(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理制御部は、前記注目画素にアンチエイリアシング処理が施されることによって取得された第1画素データと、前記注目画素に前記アンチエイリアシング処理が施されずに取得された第2画素データとを選択的に出力するセレクタ部を有し、
前記セレクタ部は、前記サイズ情報および前記コーナー情報の少なくとも一方に基づいて、前記第1画素データまたは前記第2画素データを出力する、請求項1に記載の画像処理装置。
前記セレクタ部は、前記オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいことを前記サイズ情報が示し、かつ、前記注目画素が前記オブジェクトのコーナーを構成しないことを前記コーナー情報が示す場合、前記第1画素データを出力する、請求項2に記載の画像処理装置。
前記セレクタ部は、前記オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きくないことを前記サイズ情報が示す場合、前記第2画素データを出力する、請求項2または3に記載の画像処理装置。
前記セレクタ部は、前記注目画素が前記オブジェクトのコーナーを構成することを前記コーナー情報が示す場合、前記第2画素データを出力する、請求項2から4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
前記処理制御部は、前記サイズ情報および前記コーナー情報の少なくとも一方に基づいて、前記注目画素に対するアンチエイリアシング処理の処理強度を制御する画像調整部を有する、請求項1に記載の画像処理装置。
前記画像調整部は、前記オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きくないことを前記サイズ情報が示す場合および前記注目画素が前記オブジェクトのコーナーを構成することを前記コーナー情報が示す場合、前記オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいことを前記サイズ情報が示し、かつ、前記注目画素が前記オブジェクトのコーナーを構成しないことを前記コーナー情報が示す場合に比べて、前記アンチエイリアシング処理の処理強度を低くする、請求項6に記載の画像処理装置。
前記画像調整部は、前記オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいことを前記サイズ情報が示し、かつ、前記注目画素が前記オブジェクトのコーナーを構成しないことを前記コーナー情報が示す場合、前記注目画素について、画素値が前記注目画素に前記アンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データよりも前記注目画素に前記アンチエイリアシング処理が施されることによって取得された画素データに近い画素データを出力する、請求項6または7に記載の画像処理装置。
前記画像調整部は、前記オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きくないことを前記サイズ情報が示す場合、前記注目画素について、画素値が前記注目画素に前記アンチエイリアシング処理が施されることによって取得された画素データよりも前記注目画素に前記アンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データに近い画素データを出力する、請求項6から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
前記画像調整部は、前記注目画素が前記オブジェクトのコーナーを構成することを前記コーナー情報が示す場合、前記注目画素について、画素値が前記注目画素に前記アンチエイリアシング処理が施されることによって取得された画素データよりも前記注目画素に前記アンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データに近い画素データを出力する、請求項6から9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、表示装置100の機能構成の一例を概略的に示す。表示装置100は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイおよび有機ELディスプレイ等であってよい。本実施形態に係る表示装置100は、入力画像に含まれる画素に対してアンチエイリアシング処理を施して、アンチエイリアシング処理を施した入力画像を表示する。表示装置100は、画像処理装置の一例であってよい。
【0015】
表示装置100は、画像処理部102、表示制御部104および表示部106を備える。画像処理部102は、入力画像に含まれる画素に対してアンチエイリアシング処理を施す。画像処理部102は、画像処理装置の一例であってよい。
【0016】
画像処理部102は、画像入力部110、エッジ検出部112、同一オブジェクト構成画素抽出部114、オブジェクト情報抽出部116、コーナー画素判定部118、アンチエイリアシング処理部120および処理制御部130を有する。
【0017】
画像入力部110は、画像を入力する。入力画像は、動画または静止画であってよく、また、動画に含まれるフレームであってもよい。画像入力部110は、RGBデータ、YUVデータまたはHSVデータを入力してよい。画像入力部110は、入力画像に含まれる画素の画素データを順にエッジ検出部112、アンチエイリアシング処理部120、および処理制御部130に送信してよい。
【0018】
エッジ検出部112は、オブジェクトのエッジを構成するエッジ画素を検出する。本実施形態において、オブジェクトはエッジであってもよく、その場合、エッジ検出部112は、オブジェクトを構成するエッジ画素を検出してよい。エッジ検出部112は、例えば、注目画素の画素値と、注目画素の4近傍の画素の画素値との差分絶対値を算出して、4近傍の画素のうち、差分絶対値が予め定められた閾値より大きい画素が1つでもあれば注目画素をエッジ画素と判定する。なお、エッジ検出部112は、公知の手法を用いることによってエッジ画素を検出してもよい。
【0019】
本実施形態において、画素値の差分絶対値は、任意の手法によって算出されてよい。例えば、画素値の差分絶対値は、RGBそれぞれの差分絶対値の和である。また、画素値の差分絶対値は、RGBそれぞれの差分絶対値の最大値であってもよい。また、画素値の差分絶対値は、輝度信号Yの差分絶対値であってもよい。
【0020】
同一オブジェクト構成画素抽出部114は、エッジ検出部112によってエッジ画素と判定された注目画素と同一のオブジェクトを構成するエッジ画素を抽出する。例えば、同一オブジェクト構成画素抽出部114は、エッジ検出部112によってエッジ画素と判定された注目画素の画素値と、注目画素に隣接するエッジ画素の画素値とを比較することにより、注目画素と同一のオブジェクトを構成するエッジ画素を抽出する。同一オブジェクト構成画素抽出部114は、注目画素と同一のオブジェクトのエッジを構成するエッジ画素を抽出してよい。
【0021】
オブジェクト情報抽出部116は、注目画素が構成するオブジェクトの情報を抽出する。オブジェクト情報抽出部116は、注目画素と、同一オブジェクト構成画素抽出部114によって抽出されたエッジ画素とにより構成されるオブジェクトの情報を抽出してよい。オブジェクト情報抽出部116は、オブジェクトの大きさに関するサイズ情報を生成してよい。サイズ情報は、オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいか否かを示してよい。予め定められたサイズは、例えば、表示装置100の使用者等によって変更可能であってよい。オブジェクト情報抽出部116は、サイズ情報生成部の一例であってよい。
【0022】
コーナー画素判定部118は、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成するか否かを判定する。コーナー画素判定部118は、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成するか否かを示すコーナー情報を生成してよい。例えば、コーナー画素判定部118は、入力画像の縦方向または横方向に並ぶ、注目画素を含むエッジ画素群の端部に位置するエッジ画素について、エッジ画素群が存在する方向とは反対の斜め方向およびエッジ画素群が存在する方向に垂直な方向にエッジ画素が存在し、当該エッジ画素から、エッジ画素群が並ぶ方向に垂直な方向に、予め定められた数以上のエッジ画素が存在する場合に、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成することを示すコーナー情報を生成する。なお、コーナー画素判定部118は、公知の手法を用いることによって、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成するか否かを判定して、当該判定結果に従ってコーナー情報を生成してもよい。コーナー画素判定部118は、コーナー情報生成部の一例であってよい。
【0023】
アンチエイリアシング処理部120は、入力画像に含まれる画素に対してアンチエイリアシング処理を実行する。アンチエイリアシング処理部120は、例えば、MLAA等の従来のアンチエイリアシング処理を実行する。また、アンチエイリアシング処理部120は、後述するように、注目画素を含む、入力画像の横方向に並ぶエッジ画素群に横方向に隣接する、注目画素と同一のオブジェクトに属さない画素から一の画素を選択し、注目画素と当該一の画素との距離および注目画素を含むエッジ画素群の長さに基づく割合に従って、注目画素の画素値と一の画素の画素値とを配合することにより、アンチエイリアシング処理を実行してもよい。また、アンチエイリアシング処理部120は、注目画素を含む、入力画像の縦方向に並ぶエッジ画素群に縦方向に隣接する、注目画素と同一のオブジェクトに属さない画素から一の画素を選択し、注目画素と当該一の画素との距離および注目画素を含むエッジ画素群の長さに基づく割合に従って、注目画素の画素値と一の画素の画素値とを配合することにより、アンチエイリアシング処理を実行してもよい。
【0024】
処理制御部130は、注目画素が構成するオブジェクトの大きさに関するサイズ情報および注目画素がオブジェクトのコーナーを構成するか否かを示すコーナー情報の少なくとも一方に基づいて、注目画素に対するアンチエイリアシング処理を制御する。処理制御部130は、セレクタ部132および画像調整部134を有してよい。処理制御部130は、セレクタ部132および画像調整部134のいずれか一方のみを有してもよく、両方を有してもよい。
【0025】
セレクタ部132は、注目画素にアンチエイリアシング処理が施されることによって取得された画素データと、注目画素にアンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データとを選択的に出力する。注目画素にアンチエイリアシング処理が施されることによって取得された画素データは第1画素データの一例であってよい。注目画素にアンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データは第2画素データの一例であってよい。
【0026】
セレクタ部132は、オブジェクト情報抽出部116によって生成されたサイズ情報およびコーナー画素判定部118によって生成されたコーナー情報の少なくとも一方に基づいて、第1画素データまたは第2画素データを出力する。例えば、セレクタ部132は、注目画素が構成するオブジェクトのサイズが予め定められたサイズよりも大きいことをサイズ情報が示し、かつ、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成しないことをコーナー情報が示す場合、第1画素データを出力する。
【0027】
また、例えば、セレクタ部132は、注目画素が構成するオブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きくないことをサイズ情報が示す場合、第2画素データを出力する。また、例えば、セレクタ部132は、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成することをコーナー情報が示す場合、第2画素データを出力する。
【0028】
画像調整部134は、オブジェクト情報抽出部116によって生成されたサイズ情報およびコーナー画素判定部118によって生成されたコーナー情報の少なくとも一方に基づいて、注目画素に対するアンチエイリアシング処理の処理強度を制御する。例えば、画像調整部134は、オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きくないことをサイズ情報が示す場合および注目画素がオブジェクトのコーナーを構成することをコーナー情報が示す場合、オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいことをサイズ情報が示し、かつ、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成しないことをコーナー情報が示す場合に比べて、アンチエイリアシング処理の処理強度を低くする。
【0029】
例えば、画像調整部134は、オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいことをサイズ情報が示し、かつ、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成しないことをコーナー情報が示す場合、注目画素について、画素値が第2画素データよりも第1画素データに近い画素データを出力する。
【0030】
また、例えば、画像調整部134は、オブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きくないことをサイズ情報が示す場合、注目画素について、画素値が第1画素データよりも第2画素データに近い画素データを出力する。また、例えば、画像調整部134は、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成することをコーナー情報が示す場合、注目画素について、画素値が第1画素データよりも第2画素データに近い画素データを出力する。
【0031】
表示制御部104は、処理制御部130によって出力された画素データを用いて、画像を表示部106に表示させる。表示部106は、表示制御部104による制御に従って画像を表示する。
【0032】
図2は、エッジ検出部112による処理の一例を概略的に示す。ここでは、入力画像の一部の例210に含まれるエッジ画素を検出する処理を例に挙げて説明する。
【0033】
エッジ検出部112は、まず、注目画素211の画素値と、注目画素211の4近傍の画素212、213、214、215のそれぞれの画素値との差分絶対値を算出する。次に、エッジ検出部112は、算出した差分絶対値と閾値とを比較する。そして、エッジ検出部112は、4つの差分絶対値のうち1つでも閾値より大きければ、注目画素211をエッジ画素と判定する。なお、当該閾値は予め設定されていてよい。また、当該閾値は表示装置100の使用者等によって変更可能であってよい。
【0034】
エッジ検出部112は、例210に含まれる各画素について上記処理を実行することによって、例210に含まれるすべてのエッジ画素を検出する。例220のハッチングが施された画素は、検出されたエッジ画素を示す。
【0035】
図3は、同一オブジェクト構成画素抽出部114による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、例230において、注目画素231と同一のオブジェクトのエッジを構成するエッジ画素を抽出する処理を例に挙げて説明する。
【0036】
同一オブジェクト構成画素抽出部114は、まず、注目画素231の8近傍に位置するエッジ画素を検出する。同一オブジェクト構成画素抽出部114は、検出されたエッジ画素の数が2つの場合、当該2つのエッジ画素を選択し、3つ以上の場合、注目画素231の画素値により近い画素値を有する2つのエッジ画素を選択し、2つ未満の場合、処理終了と判定する。
【0037】
次に、同一オブジェクト構成画素抽出部114は、選択された2つのエッジ画素の画素値のうち、注目画素231の画素値に近くない方と、注目画素231の画素値との差分絶対値を算出する。そして、同一オブジェクト構成画素抽出部114は、算出した差分絶対値が閾値よりも小さい場合、選択された2つの画素を輪郭構成画素と判定する。当該閾値は予め設定されていてよい。また、当該閾値は表示装置100の使用者等によって変更可能であってよい。例230では、画素232、233が輪郭構成画素と判定される。
【0038】
続いて、同一オブジェクト構成画素抽出部114は、輪郭構成画素と判定された画素232の8近傍に位置するエッジ画素を検出する。同一オブジェクト構成画素抽出部114は、検出されたエッジ画素の数が、注目画素231を含めて2つの場合、2つのうち注目画素231以外のエッジ画素を選択し、3つ以上の場合、注目画素231以外のエッジ画素のうち、画素232の画素値により近い画素値を有する1つのエッジ画素を選択し、2つ未満の場合、処理終了と判定する。
【0039】
次に、同一オブジェクト構成画素抽出部114は、選択された1つのエッジ画素の画素値と、画素232の画素値との差分絶対値を算出する。そして、同一オブジェクト構成画素抽出部114は、算出した差分絶対値が閾値よりも小さければ、選択された1つの画素を輪郭構成画素と判定する。同一オブジェクト構成画素抽出部114は、同様の処理を画素233についても実行する。
【0040】
同一オブジェクト構成画素抽出部114は、処理終了と判定するまで、輪郭構成画素と判定された画素について上述した処理を繰り返す。これにより、注目画素231と同一のオブジェクトのエッジを構成するエッジ画素を抽出できる。例230においては、画素234、235、236、237が輪郭構成画素と判定される。例240のハッチングが施された画素は、同一オブジェクト構成画素抽出部114によって抽出されたエッジ画素を示す。
【0041】
図4は、オブジェクト情報抽出部116による処理の一例を概略的に示す。オブジェクト情報抽出部116は、注目画素251を中心とした予め定められたサイズの領域250を抽出し、領域250の端部に、注目画素251が構成するエッジに含まれるエッジ画素が存在する場合に、注目画素251が構成するオブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいことを示すサイズ情報を生成してよい。また、オブジェクト情報抽出部116は、領域250の端部に、注目画素251が構成するエッジに含まれるエッジ画素が存在しない場合、注目画素251が構成するオブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きくないことを示すサイズ情報を生成してよい。
【0042】
図4に例示する領域250では、領域250の端部に注目画素251が構成するエッジに含まれるエッジ画素252およびエッジ画素253が存在するので、オブジェクト情報抽出部116は、注目画素251が構成するオブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいことを示すサイズ情報を生成する。
【0043】
なお、ここでは、領域250の端部に注目画素251が構成するエッジに含まれるエッジ画素が存在することを条件に、注目画素251が構成するオブジェクトのサイズが予め定められたサイズより大きいことを示すサイズ情報を生成する例を挙げて説明したが、これに限らない。領域250の端部に、注目画素251が構成するエッジに含まれるエッジ画素が2つ存在することを条件にしてもよい。
【0044】
また、ここでは、領域250のサイズが7×7画素である場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。領域250のサイズは、7×7画素以外であってもよい。また、領域250のサイズは、表示装置100の使用者等によって変更可能であってもよい。
【0045】
図5および
図6は、MLAA処理の一例を概略的に示す。例260が示すように、MLAA処理によれば、注目画素261は、Z型輪郭262の一部と判定される。そして、下記数式1によって、注目画素261の画素値TargetValueと、注目画素261に隣接する画素264の画素値OppositeValueとが配合されて、注目画素261の画素値の出力値OutValueが算出される。
【0046】
[数式1]
【数1】
ただし、aは領域263の面積を示す。
【0047】
MLAA処理によれば、例270が示すように、小さなオブジェクトが密集している場合についても、例260と同様に、注目画素271が、Z型輪郭272の一部と判定され、上記数式1によって、領域273の面積aを用いて、注目画素271の画素値TargetValueと、注目画素271に隣接する画素274の画素値OppositeValueとが配合されて、注目画素271の画素値の出力値OutValueが算出されてしまう場合がある。この場合、過剰な画素の配合が生じる恐れがあり、テクスチャの精細感がなくなる、局所的なコントラストが低下する、などの問題が発生する可能性がある。
【0048】
これに対して、本実施形態に係る表示装置100によれば、同一オブジェクト構成画素抽出部114によって、注目画素と同一のオブジェクトのエッジを構成するエッジ画素が抽出され、当該オブジェクトのサイズが予め定められたサイズよりも大きくない場合には、セレクタ部132によって、注目画素にアンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データが出力される。これにより、上述した問題の発生を防止することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る表示装置100によれば、画像調整部134によって、注目画素について、画素値が注目画素にアンチエイリアシング処理が施されることによって取得された画素データよりも注目画素にアンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データに近い画素データが出力される。これにより、上述した問題の影響を低減することができる。
【0050】
図7は、コーナー画素判定部118による処理の流れの一例を概略的に示す。コーナー画素判定部118は、入力画像の縦方向または横方向に並ぶ、注目画素を含むエッジ画素群の端部に位置するエッジ画素について、上記エッジ画素群が存在する方向とは反対の斜め方向および上記エッジ画素群が存在する方向に垂直な方向にエッジ画素が存在し、当該エッジ画素から、当該エッジ画素群が並ぶ方向に垂直な方向に、予め定められた数以上のエッジ画素が存在する場合、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成することを示すコーナー情報を生成してよい。また、コーナー画素判定部118は、入力画像の縦方向または横方向に並ぶ、注目画素を含むエッジ画素群の端部に位置するエッジ画素について、上記エッジ画素群が存在する方向とは反対の斜め方向および上記エッジ画素群が存在する方向に垂直な方向にエッジ画素が存在し、当該エッジ画素から、当該エッジ画素群が並ぶ方向に垂直な方向に、予め定められた数以上のエッジ画素が存在しない場合、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成しないことを示すコーナー情報を生成してよい。
【0051】
コーナー画素判定部118は、予め定められた大きさの部分領域を処理単位としてよい。ここでは、大きさが7×7画素の部分領域280を例に挙げて説明するが、部分領域の大きさはこれに限らず、他の大きさであってもよい。
【0052】
コーナー画素判定部118は、まず、注目画素281から、入力画像の縦方向または横方向に並ぶエッジ画素群の方向を特定する。コーナー画素判定部118は、注目画素281の横方向および縦方向の両方に隣接するエッジ画素が存在する場合、連続するエッジ画素の数がより多い方向を特定する。すなわち、コーナー画素判定部118は、注目画素281から横方向に伸びる直線と縦方向に伸びる直線のうち、より長い直線の方向を特定する。コーナー画素判定部118は、注目画素281の縦方向および横方向のうち、隣接するエッジ画素が横方向にのみ存在する場合には横方向、縦方向にのみ存在する場合には縦方向を特定する。本例では、横方向が特定される。
【0053】
次に、コーナー画素判定部118は、エッジ画素群のうち、特定した方向における端に位置し、かつ、部分領域の端部に位置しないエッジ画素を特定する。部分領域280では、特定した方向における端に位置する注目画素281およびエッジ画素282のうち、エッジ画素282が部分領域280の端部に位置することから、注目画素281のみが特定される。次に、コーナー画素判定部118は、特定した端のエッジ画素について、エッジ画素群が存在する方向とは反対の斜め方向およびエッジ画素群が存在する方向に垂直な方向に、隣接するエッジ画素が存在するか否かを判定する。例280では、注目画素281の右斜め上方向に、隣接するエッジ画素283が存在すると判定される。
【0054】
次に、コーナー画素判定部118は、エッジ画素が存在する方向であり、かつ、特定した方向に垂直な方向に、エッジ画素が予め定められた数以上存在するか否かを判定する。例280では、矢印284が示す方向に、エッジ画素が予め定められた数以上存在するか否かが判定される。
【0055】
そして、コーナー画素判定部118は、エッジ画素が予め定められた数以上存在すると判定した場合、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成すると判定する。また、コーナー画素判定部118は、エッジ画素が予め定められた数以上存在しないと判定した場合、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成しないと判定する。予め定められた数が1の場合、例280では、エッジ画素が1つも存在しないことから、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成しないと判定される。当該予め定められた数は、表示装置100の使用者等によって変更可能であってよい。
【0056】
図8は、MLAA処理の一例を概略的に示す。MLAA処理によれば、例300が示すように、L型輪郭301、302、303、304が判定されて、例310が示すように各画素の画素値が算出される。このように、MLAA処理によれば、コーナー付近で色の滲みが発生し、意図的に作成したオブジェクトの構図が崩れてしまう問題が発生する場合がある。
【0057】
これに対して、本実施形態に係るセレクタ部132によれば、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成することをコーナー情報が示す場合、注目画素にアンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データが出力される。これにより、上述した問題の発生を防止することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る画像調整部134によれば、注目画素がオブジェクトのコーナーを構成することをコーナー情報が示す場合、注目画素について、画素値が注目画素にアンチエイリアシング処理が施されることによって取得された画素データよりも注目画素にアンチエイリアシング処理が施されずに取得された画素データに近い画素データが出力される。これにより、上述した問題の影響を低減することができる。
【0059】
図9〜
図12は、アンチエイリアシング処理部120による処理の一例を概略的に示す。アンチエイリアシング処理部120は、注目画素を含み、入力画像の横方向に並ぶエッジ画素群に、横方向に隣接する、注目画素と同一のオブジェクトに属さない画素から一の画素を選択し、一の画素と注目画素との距離および画素群の長さに基づく割合に従って、注目画素の画素値と一の画素の画素値とを配合することにより、注目画素の画素データを出力してよい。また、アンチエイリアシング処理部120は、注目画素を含み、入力画像の縦方向に並ぶエッジ画素群に、縦方向に隣接する、注目画素と同一のオブジェクトに属さない画素から一の画素を選択し、一の画素と注目画素との距離および画素群の長さに基づく割合に従って、注目画素の画素値と一の画素の画素値とを配合することにより、注目画素の画素データを出力してよい。
【0060】
アンチエイリアシング処理部120は、注目画素が横方向に並ぶエッジ画素群に含まれる場合、当該エッジ画素群に、横方向に隣接する、注目画素と同一のオブジェクトに属さない画素を特定する。また、アンチエイリアシング処理部120は、注目画素が縦方向に並ぶエッジ画素群に含まれる場合、当該エッジ画素群に、縦方向に隣接する、注目画素と同一のオブジェクトに属さない画素を特定する。特定された画素の数が1つの場合、アンチエイリアシング処理部120は当該画素を選択する。
【0061】
特定された画素の数が2つの場合、アンチエイリアシング処理部120は、2つの画素のうちの1つを選択する。アンチエイリアシング処理部120は、まず、2つの画素のうち、画素値が注目画素の画素値に近い画素を特定する。次に、アンチエイリアシング処理部120は、特定した画素の画素値と、注目画素の画素値との差分絶対値を算出して閾値と比較する。当該閾値は予め設定されていてよい。また、当該閾値は表示装置100の使用者等によって変更可能であってよい。そして、アンチエイリアシング処理部120は、差分絶対値が閾値よりも小さい場合には、2つの画素のうち、画素値が注目画素の画素値に近くない画素を選択する。また、アンチエイリアシング処理部120は、差分絶対値が閾値よりも大きい場合、2つの画素のうち、注目画素に距離が近い画素を選択する。
【0062】
例320の注目画素321を処理対象とする場合、アンチエイリアシング処理部120は、まず、注目画素321を含み、入力画像の横方向に並ぶエッジ画素群に、横方向に隣接する、注目画素321と同一のオブジェクトに属さない画素である画素322、323を特定する。次に、アンチエイリアシング処理部120は、画素322、323のうち、画素値が注目画素321の画素値に近い画素322を特定する。次に、アンチエイリアシング処理部120は、注目画素321の画素値と画素322の画素値との差分絶対値を算出して、閾値と比較する。ここでは、差分絶対値が閾値よりも小さいものとして説明を続ける。アンチエイリアシング処理部120は、画素322、323のうち、画素値が注目画素321の画素値に近くない画素323を選択する。
【0063】
例330の注目画素331を処理対象とする場合、アンチエイリアシング処理部120は、まず、注目画素331を含み、入力画像の横方向に並ぶエッジ画素群に、横方向に隣接する、注目画素331と同一のオブジェクトに属さない画素である画素332、333を特定する。次に、アンチエイリアシング処理部120は、画素332、333のうち、画素値が注目画素331の画素値に近い画素を特定する。ここでは、画素333の画素値の方が、注目画素331の画素値に近いものとして説明を続ける。アンチエイリアシング処理部120は、画素333を特定する。次に、アンチエイリアシング処理部120は、注目画素331の画素値と画素333の画素値との差分絶対値を算出して、閾値と比較する。ここでは、差分絶対値が閾値よりも大きいものとして説明を続ける。アンチエイリアシング処理部120は、画素332、333のうち、注目画素331に距離が近い画素332を選択する。
【0064】
そして、アンチエイリアシング処理部120は、下記数式2を用いて、注目画素の出力画素値OutValueを算出する。アンチエイリアシング処理部120は、算出したOutValueを注目画素の画素データとして出力する。
【0065】
[数式2]
【数2】
ただし、Aは注目画素の画素値、Bは選択された画素の画素値、Distanceは注目画素と選択された画素との距離、Lengthは注目画素を含む画素群の長さに基づく値を示す。weightは、予め設定された重みの値であってよく、表示装置100の使用者等によって任意に設定可能であってよい。
【0066】
アンチエイリアシング処理部120は、画素を選択した理由に応じて、Lengthの導出手法を異ならせてよい。アンチエイリアシング処理部120は、上述した差分絶対値が閾値よりも小さく、2つの画素のうち、画素値が注目画素の画素値に近くない画素を選択した場合、エッジ画素群の長さをLengthとしてよい。アンチエイリアシング処理部120は、上述した差分絶対値が閾値よりも大きく、注目画素との距離に基づいて画素を選択した場合、エッジ画素群の長さの半分をLengthとしてよい。
【0067】
例320の注目画素321を処理対象とする場合、
図11に示すように、注目画素321と、選択された画素323との距離がDistanceとされ、注目画素321を含む画素群の長さがLengthとされる。例330の注目画素331を処理対象とする場合、
図12に示すように、注目画素331と、選択された画素332との距離がDistanceとされ、注目画素331を含む画素群の長さの半分がLengthとされる。
【0068】
アンチエイリアシング処理部120は、上述したように、Distanceの値が大きいほど、選択された画素の画素値の配合比率が高くなるように、出力画素値を算出してよい。また、アンチエイリアシング処理部120は、上述したように、Lengthの値が小さいほど、選択された画素の画素値の配合比率が高くなるように、出力画素値を算出してよい。
【0069】
アンチエイリアシング処理部120は、上記数式2によって算出されたOutValueが、注目画素の画素値と選択された画素の画素値との間に収まらない場合、注目画素の画素値と選択された画素の画素値との間に収めるように調整してよい。例えば、アンチエイリアシング処理部120は、OutValueの上限値および下限値を、注目画素の画素値および選択された画素の画素値に設定して、上限値を上回る場合には上限値に、下限値を下回る場合には下限値に、OutValueを設定してよい。
【0070】
上記実施形態では、画像処理部102が表示装置100の内部に配置された場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。画像処理部102は、表示装置100の外部のコンピュータであってもよい。
【0071】
図13は、画像処理部102として機能するコンピュータ900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ900は、ホストコントローラ1082により相互に接続されるCPU1000、RAM1020、およびグラフィックコントローラ1075を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ1084によりホストコントローラ1082に接続される通信I/F1030、ハードディスクドライブ1040、およびDVDドライブ1060を有する入出力部と、入出力コントローラ1084に接続されるROM1010、FDドライブ1050、および入出力チップ1070を有するレガシー入出力部とを備える。
【0072】
CPU1000は、ROM1010およびRAM1020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィックコントローラ1075は、CPU1000等がRAM1020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、ディスプレイ1080上に表示させる。これに代えて、グラフィックコントローラ1075は、CPU1000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0073】
通信I/F1030は、有線または無線によりネットワークを介して他の装置と通信する。また、通信I/F1030は、通信を行うハードウェアとして機能する。ハードディスクドライブ1040は、CPU1000が使用するプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブ1060は、DVD−ROM1095からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1020を介してハードディスクドライブ1040に提供する。
【0074】
ROM1010は、コンピュータ900が起動時に実行するブート・プログラム、およびコンピュータ900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。FDドライブ1050は、フレキシブルディスク1090からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1020を介してハードディスクドライブ1040に提供する。入出力チップ1070は、FDドライブ1050を入出力コントローラ1084へと接続するとともに、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ1084へと接続する。
【0075】
RAM1020を介してハードディスクドライブ1040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク1090、DVD−ROM1095、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM1020を介してハードディスクドライブ1040にインストールされ、CPU1000において実行される。
【0076】
コンピュータ900にインストールされ、コンピュータ900を画像処理部102として機能させるプログラムは、CPU1000等に働きかけて、コンピュータ900を、画像処理部102の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である画像入力部110、エッジ検出部112、同一オブジェクト構成画素抽出部114、オブジェクト情報抽出部116、コーナー画素判定部118、アンチエイリアシング処理部120および処理制御部130として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ900の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の画像処理部102が構築される。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0078】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。