特許第6550011号(P6550011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550011
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール固定構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20190711BHJP
   H02S 20/24 20140101ALI20190711BHJP
【FI】
   E04D13/18ETD
   H02S20/24
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-88512(P2016-88512)
(22)【出願日】2016年4月26日
(65)【公開番号】特開2017-197948(P2017-197948A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2018年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】笹川 拓也
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−047570(JP,A)
【文献】 特開2014−227669(JP,A)
【文献】 特開2014−201986(JP,A)
【文献】 特開2014−080724(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/086271(WO,A1)
【文献】 特開2012−017550(JP,A)
【文献】 米国特許第07592537(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/00−3/40
E04D 13/00−15/07
H02S 20/00−20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合って配置された二つの太陽電池モジュールの端部を支持する下受金具と、
前記二つの太陽電池モジュールの端部の上面にそれぞれ当接し前記下受金具とで当該二つの太陽電池モジュールの端部をそれぞれ挟持する一対の固定金具と、
前記二つの太陽電池モジュールの間に配置され、前記一対の固定金具を前記下受金具側へ移動させて当該二つの太陽電池モジュールを挟持する挟持力をそれぞれ増大させる締結部材と、
を備え、
前記一対の固定金具は、
前記締結部材を介して一方の太陽電池モジュールの上面を押圧する一方の固定金具と、
前記一方の固定金具の上に重なって前記締結部材を介して他方の太陽電池モジュールの上面を押圧すると共に、前記一方の太陽電池モジュールに対してその面方向に沿って相対的に接離可能とされた他方の固定金具と、
有し、
前記締結部材は、前記下受金具に設けられたボルトと、前記ボルトに螺合されるナットと、を含んで構成され、
前記一対の固定金具に設けられ、前記ナットによる締付力が増大すると当該他方の固定金具と前記一方の固定金具との重なり量を減少させるスライド手段を有している太陽電池モジュール固定構造。
【請求項2】
前記固定金具は、前記太陽電池モジュールの上面を押圧する上壁部と、前記上壁部と繋がり前記二つの太陽電池モジュール間に配置される脚部と、を含んで構成され、
前記スライド手段は、前記脚部の下端に形成され前記ボルト側へ向かうにつれて前記上壁部側へ傾斜する第1傾斜面である請求項1に記載の太陽電池モジュール固定構造。
【請求項3】
前記スライド手段は、前記太陽電池モジュールの上面を押圧する上壁部の上面に形成され前記ボルト側へ向かうにつれて下方側へ向かって傾斜する第2傾斜面である請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュール固定構造。
【請求項4】
前記固定金具には、前記太陽電池モジュールを接地させる突起部が設けられている請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の太陽電池モジュール固定構造。
【請求項5】
前記下受金具の上面には、前記太陽電池モジュールの下面に食い付いて当該太陽電池モジュールの移動を規制する規制部が設けられている請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の太陽電池モジュール固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、太陽電池モジュールの固定金具として、長脚金具と短脚金具を備えた技術が開示されており、長脚金具と短脚金具を使い分けることによって、太陽電池モジュールの高さ方向の位置に合わせて追従可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−47570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、太陽電池モジュールは、様々な製品が市場に出回っており、その外形寸法は製品ごとに異なる。このため、製品が異なると隣り合う太陽電池モジュール間の隙間が異なることになるが、上記先行技術では、太陽電池モジュールの面方向に沿って追従することはできないため、太陽電池モジュールの製品ごとに異なる固定金具を製作する必要が生じてしまう。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、太陽電池モジュールの製品が変わり、隣り合う太陽電池モジュール間の隙間寸法が変わっても当該太陽電池モジュールを固定することができる太陽電池モジュール固定構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の態様に係る太陽電池モジュール固定構造は、隣り合って配置された二つの太陽電池モジュールの端部を支持する下受金具と、前記二つの太陽電池モジュールの端部の上面にそれぞれ当接し前記下受金具とで当該二つの太陽電池モジュールの端部をそれぞれ挟持する一対の固定金具と、前記二つの太陽電池モジュールの間に配置され、前記一対の固定金具を前記下受金具側へ移動させて当該二つの太陽電池モジュールを挟持する挟持力をそれぞれ増大させる締結部材と、を備え、前記一対の固定金具は、前記締結部材を介して一方の太陽電池モジュールの上面を押圧する一方の固定金具と、前記一方の固定金具の上に重なって前記締結部材を介して他方の太陽電池モジュールの上面を押圧すると共に、前記一方の太陽電池モジュールに対してその面方向に沿って相対的に接離可能とされた他方の固定金具と、を有し、前記締結部材は、前記下受金具に設けられたボルトと、前記ボルトに螺合されるナットと、を含んで構成され、前記一対の固定金具に設けられ、前記ナットによる締付力が増大すると当該他方の固定金具と前記一方の固定金具との重なり量を減少させるスライド手段を有している
【0007】
第1の態様に係る太陽電池モジュール固定構造では、隣り合って配置された二つの太陽電池モジュールの端部の下面を支持する下受金具と二つの太陽電池モジュールの端部の上面にそれぞれ当接する一対の固定金具とで、当該二つの太陽電池モジュールの端部をそれぞれ挟持するようになっている。そして、当該一対の固定金具は、二つの太陽電池モジュールの間に配置された締結部材によって締め付けられることによって下受金具側へ移動し、これにより、二つの太陽電池モジュールを挟持する挟持力がそれぞれ増大する。
【0008】
ここで、当該一対の固定金具は、一方の固定金具及び他方の固定金具を含んで構成されており、一方の固定金具は、締結部材を介して一方の太陽電池モジュールの上面を押圧するようになっている。また、他方の固定金具は、当該一方の固定金具の上に重なって当該締結部材を介して他方の太陽電池モジュールの上面を押圧するようになっており、当該他方の固定金具は、一方の太陽電池モジュールに対してその面方向に沿って相対的に接離可能とされている。
【0009】
つまり、一対の固定金具において、一方の固定金具と他方の固定金具とで互いに重なる量を変えることができる。これにより、太陽電池モジュールの製品が変わり、隣り合う太陽電池モジュール間の隙間寸法が変わっても当該一対の固定金具により太陽電池モジュールを固定することができる。
【0011】
また、締結部材は、下受金具に設けられたボルトと、当該ボルトに螺合されるナットと、を含んで構成されており、一対の固定金具にはスライド手段が設けられている。そして、このスライド手段は、ナットによる締結力が増大すると、当該他方の固定金具と一方の固定金具との重なり量を減少させるようになっている。
【0012】
つまり、ボルトに対してナットを螺合させていくと、スライド手段により他方の固定金具が一方の固定金具に対して相対的に離間する方向へ移動する。これにより、一対の固定金具(一方の固定金具、他方の固定金具)は、一方の太陽電池モジュールと他方の太陽電池モジュールの隙間に合わせてそれぞれ配置されることになり、二つの太陽電池モジュールの端部をそれぞれ確実に挟持することができる。
【0013】
第3の態様に係る太陽電池モジュール固定構造は、第2の態様に係る太陽電池モジュール固定構造において、前記固定金具は、前記太陽電池モジュールの上面を押圧する上壁部と、前記上壁部と繋がり前記二つの太陽電池モジュール間に配置される脚部と、を含んで構成され、前記スライド手段は、前記脚部の下端に形成され前記ボルト側へ向かうにつれて前記上壁部側へ傾斜する第1傾斜面である。
【0014】
第3の態様に係る太陽電池モジュール固定構造では、固定金具は、太陽電池モジュールの上面を押圧する上壁部と、当該上壁部と繋がる脚部と、を含んで構成されており、脚部は二つの太陽電池モジュール間に配置されるようになっている。そして、スライド手段は、脚部の下端に形成された第1傾斜面であり、当該第1傾斜面は、二つの太陽電池モジュール間に配置されたボルト側へ向かうにつれて上壁部側へ傾斜している。
【0015】
したがって、ボルトに対してナットを螺合させていくと、固定金具の脚部の第1傾斜面を介して、固定金具におけるボルト側が当該ボルトの反対側よりも下受金具側へ押圧される。これにより、他方の固定金具の上壁部と一方の固定金具の上壁部は互いに押し広げられ、結果的に他方の固定金具と一方の固定金具を互いに離間する方向へスライドさせることができる。
【0016】
第4の態様に係る太陽電池モジュール固定構造は、第2の態様又は第3の態様に係る太陽電池モジュール固定構造において、前記スライド手段は、前記太陽電池モジュールの上面を押圧する上壁部の上面に形成され前記ボルト側へ向かうにつれて下方側へ向かって傾斜する第2傾斜面である。
【0017】
第4の態様に係る太陽電池モジュール固定構造では、スライド手段は、固定金具の上壁部の上面に形成された第2傾斜面であり、当該第2傾斜面は、ボルト側へ向かうにつれて下方側へ向かって傾斜している。
【0018】
したがって、ボルトに対してナットを螺合させていくと、固定金具の上壁部の第2傾斜面を介して、固定金具におけるボルト側が当該ボルトの反対側よりも下受金具側へ押圧される。これにより、他方の固定金具の上壁部と一方の固定金具の上壁部は互いに押し広げられ、結果的に他方の固定金具と一方の固定金具を互いに離間する方向へスライドさせることができる。
【0019】
第5の態様に係る太陽電池モジュール固定構造は、第1の態様〜第4の態様の何れか1の態様に係る太陽電池モジュール固定構造において、前記固定金具には、前記太陽電池モジュールを接地させる突起部が設けられている。
【0020】
第5の態様に係る太陽電池モジュール固定構造では、太陽電池モジュールを接地させる突起部が固定金具に設けられているため、固定金具に太陽電池モジュールを固定することによって当該太陽電池モジュールを接地させることができる。
【0021】
第6の態様に係る太陽電池モジュール固定構造は、第1の態様〜第5の態様の何れか1の態様に係る太陽電池モジュール固定構造において、前記下受金具の上面には、前記太陽電池モジュールの下面に食い付いて当該太陽電池モジュールの移動を規制する規制部が設けられている。
【0022】
第6の態様に係る太陽電池モジュール固定構造では、下受金具の上面には規制部が設けられており、当該規制部は、太陽電池モジュールの下面に食い付いて当該太陽電池モジュールの移動を規制するようになっているため、下受金具に対して太陽電池モジュールが移動しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明に係る太陽電池モジュール固定構造は、太陽電池モジュールの製品が変わり、隣り合う太陽電池モジュール間の隙間寸法が変わっても当該太陽電池モジュールを固定することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る太陽電池モジュール固定構造によって複数の太陽電池モジュールが陸屋根に布設される状態を示す分解斜視図である。
図2】本実施形態に係る太陽電池モジュール固定構造によって複数の太陽電池モジュールが固定された状態を示す平面図である。
図3図2に示す3−3線に沿って切断したときの断面図である。
図4】本実施形態に係る太陽電池モジュール固定構造を示す分解斜視図である。
図5】(A)は架台にボルトが固定された状態を示す断面図であり、(B)はボルトに下受金具が取り付けられた状態を示す断面図である。
図6】(A)は下受金具に太陽電池モジュールが載置された状態を示す断面図であり、(B)は一方の太陽電池モジュールに下固定金具が取り付けられた状態を示す断面図である。
図7】(A)は他方の太陽電池モジュールに上固定金具が取り付けられた状態を示す断面図であり、(B)は二つの太陽電池モジュールが架台に固定された状態を示す断面図である。
図8】(A)、(B)は、本実施の形態に係る太陽電池モジュールの作用を説明するための平面図である。
図9】(A)、(B)は、本実施形態に係る太陽電池モジュール固定構造を構成する一対の固定金具の変形例をそれぞれ示す側面図である。
図10】(A)、(B)は、本実施形態に係る太陽電池モジュール固定構造の上固定金具の変形例をそれぞれ示す斜視図である。
図11】(A)は、本実施形態に係る太陽電池モジュール固定構造の下受金具の変形例を示す斜視図であり、(B)は(A)の作用を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本発明の一実施の形態に係る太陽電池モジュール固定構造について説明する。
【0026】
図1には、本実施の形態に係る太陽電池モジュール固定構造10によって隣り合って配置された複数の太陽電池モジュール(他方の太陽電池モジュール)12、太陽電池モジュール(他方の太陽電池モジュール)14が固定された状態を示す斜視図が示されている。
【0027】
例えば、図1に示されるように、複数の太陽電池モジュール12、14は、架台16を介して陸屋根18に布設されるようになっている。なお、ここでの架台16は、下桟34及び上桟32を含んで構成されている。当該上桟32、下桟34は、それぞれアルミニウムによる押出し材とされており、上桟32、下桟34の幅方向の中央部には、上桟32、下桟34の長手方向に沿って溝部32A、34Aがそれぞれ形成されている。
【0028】
当該下桟34は、陸屋根18に打ち込まれたアンカーボルト35及び専用の固定金具36を介して陸屋根18に固定されるようになっている。また、下桟34には、当該下桟34に対して直交した状態で専用の固定金具38を介して上桟32が固定されており、本実施形態では、当該上桟32に太陽電池モジュール12、14が固定されるようになっている(後述する)。
【0029】
なお、当該太陽電池モジュール12、14により発電された直流電力は、図示はしないが、パワーコンディショナに供給されるようになっている。このパワーコンディショナでは、直流電力が交流電力に変換され、当該パワーコンディショナに接続された分電盤を介して、太陽電池モジュールによって発電された電力を屋内照明機器等の一般負荷に分配すると共に、電力量計を介して商用電力系統に連系され発電された電力が電力会社へ送電されるようになっている。
【0030】
一方、図2には、本実施の形態に係る太陽電池モジュール固定構造10によって隣り合って配置された複数の太陽電池モジュール12、14が固定された状態を示す平面図が示されている。
【0031】
図1及び図2に示されるように、太陽電池モジュール12、14は、平面視で略矩形状を成す太陽電池パネル20、22と、当該太陽電池パネル20、22の端部24、26に設けられた矩形枠状のフレーム28、30と、を含んでそれぞれ構成されている。また、太陽電池パネル20、22は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、CIGS化合物半導体等の光発電素子によって構成されている。一方、フレーム28、30はアルミニウム合金によって形成されており、図3に示されるように、太陽電池パネル20、22の板厚方向に沿って切断したときの断面形状が、略E字状を成している。
【0032】
当該フレーム28、30について具体的に説明すると、フレーム28、30は、その外形をそれぞれ構成し太陽電池パネル20、22の板厚方向に沿って配置された周壁28A、30Aを備えている。この周壁28A、30Aの上端からは、上壁28B、30Bが当該フレーム28、30の内側へ向かってそれぞれ張り出している。また、周壁28A、30Aの下端からは、下壁28C、30Cが当該フレーム28、30の内側へ向かってそれぞれ張り出している。さらに、上壁28Bと下壁28Cの間、上壁30Bと下壁30Cの間には、中壁28D、30Dが当該フレーム28の内側へ向かって張り出している。
【0033】
また、フレーム28の上壁28B及び中壁28Dによって太陽電池パネル20は挟持されており、フレーム30の上壁30B及び中壁30Dによって太陽電池パネル22は挟持されている。このため、太陽電池パネル20の下面20A、太陽電池パネル22の下面22Aは、フレーム28の下壁28Cの上面28C1、フレーム30の下壁30Cの上面30C1との間でそれぞれ隙間t’が設けられる。これにより、太陽電池パネル20の下面20A、太陽電池パネル22の下面22Aが、直接載置面に接触しないようになっている。
【0034】
なお、フレーム28の上壁28Bは、周壁28Aから離間するにつれて中壁28D側へ近づく方向へ傾斜しており、フレーム30の上壁30Bは、周壁30Aから離間するにつれて中壁30D側へ近づく方向へ傾斜している。これにより、当該上壁28B、30Bは、それぞれ弾性力を有した状態で太陽電池パネル20の上面20B、太陽電池パネル22の上面22Bにそれぞれ当接し、上壁28B、30Bと中壁28D、30Dとで、太陽電池パネル20、22の端部24、26をそれぞれ確実に挟持している。
【0035】
前述したように、本実施形態では、太陽電池モジュール12、14は上桟32に固定されるようになっている。このため、上桟32の長手方向に沿った所定の位置には、溝部34A内においてボルト(締結部材の一部)40の頭部40Aが挿入されており、当該ボルト40のネジ部40Bにナット42が螺合されボルト40が上桟32に固定されている。
【0036】
ここで、太陽電池モジュール12、14を上桟32に固定する際に用いられる下受金具44及び一対の固定金具46について説明する。
【0037】
図4には、当該下受金具44及び一対の固定金具46を示す分解斜視図が示されている。図3及び図4に示す下受金具44は、鉄又はステンレス等によって形成されており、平面視で矩形状を成し、中央部には貫通孔44Aが形成されている。この貫通孔44Aを中心として下受金具44の上面44Bには、ウェルドナット45が設けられており、当該ウェルドナット45がボルト40に螺合可能とされている。また、下受金具44の長手方向の両端には、上方へ向かって略垂直に折曲されたストッパ44C、44Dがそれぞれ設けられている。そして、この下受金具44上に一対の固定金具46が配置されるようになっている。
【0038】
この一対の固定金具46は、鉄又はステンレス等によって形成されている。また、一対の固定金具46は、下固定金具(一方の固定金具)48と上固定金具(他方の固定金具)50とを含んで構成されており、上固定金具50は下固定金具48の上にその一部が重なるようになっている。そして、下固定金具48は、下受金具44と共に太陽電池モジュール14を支持可能とされており、上固定金具50は、当該下受金具44と共に太陽電池モジュール12を支持可能とされている。
【0039】
以下、上固定金具50及び下固定金具48の具体的な構成について説明する。
まず、下固定金具48について説明すると、下固定金具48は、平面視で矩形状を成す上壁部52を備えている。この上壁部52は下受金具44の幅よりも大きくなるように設定されている。また、上壁部52の上固定金具50側の外縁部52Aの中央部からは、当該外縁部52Aと対向する外縁部52B側へ向かって長孔状の切欠き部52Cが切り欠かれている。そして、この切欠き部52C内にはボルト40のネジ部40Bが挿通可能とされている。
【0040】
また、上壁部52において、切欠き部52Cと平行に配置されている一対の外縁部52Dからは、一対の脚部56がそれぞれ垂下されており、当該一対の脚部56は、平面視で下受金具44の幅方向の外側に配置されるようになっている。さらに、上壁部52の外縁部52Bからは当接片54が張り出しており、当該当接片54は、上壁部52から離間する方向へ向かうにつれて下方へ傾斜し、太陽電池モジュール14のフレーム30の上壁30Bに当接可能とされている。
【0041】
次に、上固定金具50について説明すると、上固定金具50は、下固定金具48と同様に、平面視で矩形状を成す上壁部58を備えている。この上壁部58は下受金具44の幅よりも大きくなるように設定されている。また、上壁部58の下固定金具48側の外縁部58Aの中央部からは、当該外縁部58Aと対向する外縁部58B側へ向かって長孔状の切欠き部58Cが切り欠かれている。
【0042】
この切欠き部58Cは、下固定金具48の切欠き部52Cと上下に重なるように形成されており、切欠き部58C内にはボルト40のネジ部40Bが挿通可能とされている。つまり、ボルト40を基準に下固定金具48の切欠き部52C及び上固定金具50の切欠き部58Cを介して、下固定金具48と上固定金具50は相対移動可能とされている。
【0043】
また、上壁部58において、切欠き部58Cと平行に配置されている一対の外縁部58Dからは、一対の脚部62がそれぞれ垂下されており、当該一対の脚部62は、平面視で下受金具44の幅方向の外側に配置されるようになっている。さらに、上壁部58の外縁部58Bからは当接片60が張り出しており、当該当接片60は、上壁部58から離間する方向へ向かうにつれて下方へ傾斜し、太陽電池モジュール12のフレーム28の上壁28Bに当接可能とされている。
【0044】
前述のように、上固定金具50の一対の脚部62、下固定金具48の一対の脚部56は、それぞれ平面視で下受金具44の外側に配置されるようになっているが、ボルト40のネジ部40Bにナット42を螺合させていくと、上固定金具50の脚部62の下端62A、下固定金具48の脚部56の下端56Aは、上桟32の上面32Bに当接可能とされる。これにより、太陽電池モジュール12、14に対して、ボルト40とナット42による締結力が必要以上に作用しないようにしている。
【0045】
なお、上固定金具50は下固定金具48の上にその一部が重なるようになっているため、上固定金具50の上壁部58は、その板厚分、下固定金具48の上壁部52よりも上に配置されることになる。このため、上固定金具50の当接片60は、下固定金具48の当接片54よりも上壁部58に対して傾斜する傾斜角度が大きくなっている。
【0046】
次に、本実施の形態に係る太陽電池モジュールの固定構造における作用及び効果について説明する。
【0047】
まず、本実施の形態に係る太陽電池モジュール12、14の固定手順について説明する。図1及び図5(A)には、太陽電池モジュール12、14固定用の架台16の上部を構成する上桟32が図示されている。前述したように、この上桟32の溝部34Aの所定の位置にボルト40の頭部40Aが挿入され、ボルト40のネジ部40Bにナット42が螺合されて当該ボルト40が上桟32に固定される。そして、図5(B)に示されるように、ボルト40のネジ部40Bに下受金具44のウェルドナット45を螺合させ、上桟32に対して高さ方向の所定の位置に下受金具44を配置する。
【0048】
次に、図6(A)に示されるように、ボルト40を間において、下受金具44の一方に太陽電池モジュール12の端部24(フレーム28)を載置し、下受金具44の他方に太陽電池モジュール14の端部26(フレーム30)を載置させる。このとき、太陽電池モジュール12のフレーム28の下壁28Cは、下受金具44のストッパ44Cの内側に配置され、太陽電池モジュール14のフレーム30の下壁30Cは、下受金具44のストッパ44Dの内側に配置される。
【0049】
このため、フレーム28の下壁28Cが、下受金具44のストッパ44Cに当接することによって、太陽電池モジュール12は、ボルト40から離間する方向への移動が規制されることになる。また、太陽電池モジュール12と同様に、フレーム30の下壁30Cが、下受金具44のストッパ44Dに当接することによって、太陽電池モジュール14は、ボルト40から離間する方向への移動が規制されることになる。
【0050】
次に、図6(B)に示されるように、ボルト40の上方側から下固定金具48を下受金具44側へ移動させ、下固定金具48の切欠き部52Cにボルト40のネジ部40Bを挿入させる。そして、下固定金具48の上壁部52から張り出す当接片54を太陽電池モジュール14のフレーム30の上壁30Bに当接させる。
【0051】
そして、図7(A)に示されるように、ボルト40の上方側から上固定金具50を下受金具44側へ移動させ、上固定金具50の切欠き部58Cにボルト40のネジ部40Bを挿入させる。これにより、上固定金具50は下固定金具48の上に重なり、上固定金具50の上壁部58から張り出す当接片60を太陽電池モジュール12のフレーム28の上壁28Bに当接させる。
【0052】
この状態で、図7(B)に示されるように、ナット64をボルト40のネジ部40Bに螺合させると、上固定金具50の上壁部58を介して下固定金具48の上壁部52が押圧される。これにより、下固定金具48の当接片54が太陽電池モジュール14のフレーム30の上壁30Bを押圧すると共に、上固定金具50の当接片60が太陽電池モジュール12のフレーム28の上壁28Bを押圧する。そして、下受金具44と下固定金具48とで太陽電池モジュール14が挟持されると共に、下受金具44と上固定金具50とで太陽電池モジュール12が挟持される。
【0053】
すなわち、本実施形態では、図3及び図4に示されるように、下受金具44と一対の固定金具46とで、ボルト40及びナット64を介して、隣り合う太陽電池モジュール12のフレーム28、太陽電池モジュール14のフレーム30を挟持している。
【0054】
さらに、本実施形態では、当該一対の固定金具46が、下固定金具48及び上固定金具50を含んで構成されており、下固定金具48には切欠き部52Cが形成され、上固定金具50には切欠き部58Cが形成されている。そして、当該切欠き部58Cは、切欠き部52Cと上下に重なるように形成されており、ボルト40を基準に切欠き部52C及び切欠き部58Cを介して、下固定金具48と上固定金具50は相対的に移動可能とされている。
【0055】
これにより、本実施形態では、図8(A)、(B)に示されるように、下固定金具48及び上固定金具50を介して、太陽電池モジュール12と太陽電池モジュール14とは、その面方向に沿って相対的に接離可能とされている。したがって、太陽電池モジュールの製品が変わり、隣り合う太陽電池モジュール12、14間において、隙間寸法(t1、t2)が変わる場合でもその寸法差を吸収することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態では、太陽電池モジュール12と太陽電池モジュール14の隙間tに合わせて下固定金具48及び上固定金具50が配置されることになり、上固定金具50、下固定金具48によって、太陽電池モジュール12のフレーム28、太陽電池モジュール14のフレーム30をそれぞれ確実に挟持することができる
【0057】
また、図3及び図4に示されるように、本実施形態では、上固定金具50の一対の脚部56、下固定金具48一対の脚部62は、それぞれ平面視で下受金具44の外側に配置されるようになっており、脚部62の下端62A、脚部56の下端56Aは、上桟32の上面32Bに当接可能とされる。換言すると、上固定金具50、下固定金具48は、脚部62の下端62A、脚部56の下端56Aが上桟32の上面32Bに当接するまでボルト40とナット64による締付けが可能である。
【0058】
このため、ナット64をボルト40のネジ部40Bに螺合させていくと、ナット64を介して上固定金具50の上壁部58、下固定金具48の上壁部52は、ボルト40側が当該ボルト40の反対側よりも下方側へ押圧される。これにより、上固定金具50の上壁部58と下固定金具48の上壁部52は互いに押し広げられ、結果的に、上固定金具50は太陽電池モジュール14から離間する方向へ移動する。これにより、上固定金具50と下固定金具48との重なり量は減少し、太陽電池モジュール12と太陽電池モジュール14の隙間tに合わせて下固定金具48及び上固定金具50が配置されることになる。
【0059】
(その他の実施形態)
さらに、本実施形態では、図9(A)に示されるように、一対の固定金具46における下固定金具48の脚部56の下端56A、上固定金具50の脚部62の下端62Aにおいて、下受金具44(図3参照)のボルト40(図3参照)側へ向かうにつれて上方側へ向かって傾斜する傾斜面(第1傾斜面)66、68がそれぞれ形成されてもよい。
【0060】
この場合、ナット64(図3参照)をボルト40のネジ部40Bに螺合させると、図9(A)に示す固定金具46の脚部56の下端56A、脚部62の下端62Aが、上桟32(図3参照)の上面32B(図3参照)に当接する。この状態からさらにナット64を締め付けると、当該脚部56、62の傾斜面66、68を介して、当該固定金具46におけるボルト40側が当該ボルト40の反対側よりも下受金具44側へ押圧される。これにより、下固定金具48の上壁部52と上固定金具50の上壁部58は互いに押し広げられ、結果的に下固定金具48と上固定金具50を互いに離間する方向へスライドさせることができる。
【0061】
また、これ以外にも、図9(B)に示されるように、一対の固定金具46における下固定金具48の上壁部52、上固定金具50の上壁部58において、下受金具44(図3参照)のボルト40側へ向かうにつれて上方側へ向かって傾斜する傾斜面(第2傾斜面)70、72がそれぞれ形成されてもよい。この場合、固定金具46の脚部56の下端56A、脚部62の下端62Aが、上桟32(図3参照)の上面32B(図3参照)に当接しなくてもよい。下固定金具48の上壁部52と上固定金具50の上壁部58を互いに押し広げることができる。なお、当該第1傾斜面、第2傾斜面は、上固定金具50側のみに形成されてもよい。
【0062】
さらに、図10(A)、(B)に示されるように、上固定金具50に太陽電池モジュール12を接地させる突起部74、76が形成されてもよい。例えば、図10(A)では、上固定金具50の当接片60の先端の両端の下部に突起部74がそれぞれ設けられている。図3に示されるように、上固定金具50の当接片60は、太陽電池モジュール12のフレーム28の上壁28Bに当接するようになっているが、ナット64をボルト40のネジ部40Bに螺合させると、当該突起部74がフレーム28の上壁28Bに食い込むようになっている。
【0063】
また、図10(B)では、上固定金具50の一対の脚部62において、当接片60側の端面の上下方向の中央部に突起部76がそれぞれ設けられている。図3に示されるように、上固定金具50の当接片60は、太陽電池モジュール12のフレーム28の上壁28Bに当接するようになっているが、ナット64をボルト40のネジ部40Bに螺合させると、上固定金具50は、太陽電池モジュール14から離間させる方向(矢印A方向)、つまり、太陽電池モジュール14から離間する方向へスライドするようになっているが、このとき、当該突起部76がフレーム28の周壁28Aに食い込むようになっている。
【0064】
一般に、図示はしないが、太陽電池モジュールは絶縁膜によって被覆されている。このため、固定金具を介して太陽電池モジュールを架台に固定させた状態で、図10(A)、(B)に示す突起部74、76によって当該絶縁膜を貫通させることによって、太陽電池モジュールと固定金具とが導通可能とされる。そして、当該固定金具を介して、太陽電池モジュール、下受金具44及び架台が導通可能とされ、結果的に当該太陽電池モジュールを接地させることができる。
【0065】
さらにまた、図11(A)、(B)に示されるように、下受金具44の上面44Bに、太陽電池モジュール14のフレーム30の下壁30Cに食い付く爪状の規制部78が設けられても良い。これによると、太陽電池モジュール12を下受金具44に載置させた状態で、規制部78が太陽電池モジュール12のフレーム30の下壁30Cに食い付くことで、当該太陽電池モジュール12の移動を規制することができると共に、太陽電池モジュール12を接地させることができる。
【0066】
以上、本発明を実施するための一形態として一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 太陽電池モジュール固定構造
12 太陽電池モジュール
14 太陽電池モジュール
24 端部(太陽電池モジュールの端部)
26 端部(太陽電池モジュールの端部)
28 フレーム(太陽電池モジュールの端部)
28B 上壁(太陽電池モジュールの端部の上面)
28C 下壁(太陽電池モジュールの下面)
30 フレーム(太陽電池モジュールの端部)
30B 上壁(太陽電池モジュールの端部の上面)
30C 下壁(太陽電池モジュールの下面)
40 ボルト(締結部材)
44 下受金具
46 固定金具
48 下固定金具
50 上固定金具
64 ナット(締結部材)
66 傾斜面(スライド手段、第1傾斜面)
68 傾斜面(スライド手段、第1傾斜面)
70 傾斜面(スライド手段、第2傾斜面)
72 傾斜面(スライド手段、第2傾斜面)
74 突起部
76 突起部
78 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11