【実施例1】
【0048】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、以下に示す実施例及び比較例中、「部」又は「%」とあるのは、特に断りのない限り、固形分における質量基準である。
【0049】
(実施例1)
<塗工液の調整>
アルミニウムペースト(商品名:SAP260PW−HS、東洋アルミニウム社製)100部を水中に分散して分散液を得た後、更に分散液を攪拌しながら、高級アルコール酸化エチレン縮合物としてポリオキシエチレンオレイン酸エステル(商品名:ノイゲンES−149D、第一工業製薬社製)20部、ポリカルボン酸塩としてポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)2部、バインダーとしてスチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)150部、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)30部、ポリスチレン系顔料(商品名:サイビノールPG−2、サイデン化学社製)10部、黒色顔料(商品名:TB786Black、大日精化社製)0.2部、黄色顔料(商品名:Emacol NS Yellow 4618、山陽色素社製)35部、赤色顔料(商品名:SA RED DKR−5)14部、ポリエチレンワックス(商品名:WAX♯100、御国色素社製)4部、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:CS−12、JNC社製)3部を順次添加して分散混合し、固形分30.2%の塗工液を得た。
<塗工液の塗工>
市販のコート紙(商品名:ミューコート、127.9g/m
2、北越紀州製紙社製)を基材として用い、塗工速度を115m/分として走行する基材の一方の面に、エアナイフコーターにて塗工量が固形分換算で6g/m
2となるように塗工液を塗工した。その後、エアドライヤーで熱風乾燥しメタリック調塗工シートを得た。
【0050】
(実施例2)
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)の添加量を2部から1部に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0051】
(実施例3)
実施例1の塗工液の調製において、ポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)の添加量を2部から4部に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0052】
(実施例4)
実施例1の塗工液の調製において、ポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)の添加量を2部から5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0053】
(実施例5)
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)の添加量を150部から105部に、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)の添加量を30部から45部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0054】
(実施例6)
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)の添加量を150部から180部に、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)の添加量を30部から20部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0055】
(実施例7)
実施例1の塗工液の調整において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:CS−12、JNC社製)の添加量を3部から5部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0056】
(実施例8)
実施例1の塗工液の調整において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:CS−12、JNC社製)の添加量を3部から1部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0057】
(実施例9)
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸塩としてポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)2部を、ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−20L、東亜合成社製)2部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0058】
(実施例10)
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸塩としてポリカルボン酸ナトリウム(商品名:SNシックナー929S、サンノプコ社製)2部を、ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンA−20L、東亜合成社製)4部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0059】
(実施例11)
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)30部を、スチレンアクリル系樹脂(商品名:サイビノールEK−81、Tg:40℃、サイデン化学社製)30部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0060】
(実施例12)
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)30部を、変性スチレンブタジエン系ラテックス(商品名:A−6081、Tg:46℃、旭化成社製)30部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0061】
(実施例13)
実施例1の塗工液の調整において、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(商品名:CS−12、JNC社製)3部を、2,2,4−トリメチル−1−ヒドロキシ−3−ペンタノン(商品名:CS−202、JNC社製)3部に変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0062】
(比較例1)
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸塩と、成膜助剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0063】
(比較例2)
実施例1の塗工液の調整において、成膜助剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0064】
(比較例3)
実施例9の塗工液の調整において、成膜助剤を添加しなかった以外は実施例9と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0065】
(比較例4)
実施例1の塗工液の調整において、ポリカルボン酸塩を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0066】
(比較例5)
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)の添加量を150部から90部に、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)の添加量を30部から50部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0067】
(比較例6)
実施例1の塗工液の調整において、スチレンブタジエン系ラテックス(A)(商品名:L−1924、Tg:4.5℃、旭化成社製)の添加量を150部から130部に、スチレンブタジエン系ラテックス(B)(商品名:L−1638、Tg:39℃、旭化成社製)の添加量を30部から80部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にしてメタリック調塗工シートを得た。
【0068】
各実施例及び比較例で得たメタリック調塗工シートの評価結果を
図1,2に示す。尚、測定及び評価は次の方法で行った。
【0069】
(光沢度)
光沢度計(機器名:GLOSS METER GM−26D、村上色彩技術研究所社製)を使用し、JIS P−8142に準拠して塗工層の表面の75°光沢度を測定した。
【0070】
(耐ブロッキング性)
メタリック調塗工シートを10cm×5cmに裁断した2枚の試験片を、塗工面と非塗工面とが接触するように重ね合わせ、プレス機(佐川製作所社製)を用いて圧力1.0MPa(ゲージ目盛り)、時間15分の条件でプレスした。プレス後の試験片2枚の剥離強度を測定し、剥離強度が100mN/50mm未満のものを「○」、100〜150mN/50mmのものを「△」、150mN/50mmを上回るものを「×」として三段階で評価し、「○」と「△」を合格とした。剥離強度の測定条件は次の通りである。
<測定条件>
測定機器 : オートグラフ
剥離速度 : 300mm/min
測定巾 : 50mm
剥離角度 : 90℃(T字剥離)
【0071】
図1の結果から明らかなように、各実施例で得られたメタリック調塗工シートは、何れも光沢度が高く、耐ブロッキング性に優れるものであった。
【0072】
これに対して、
図2に示されたように、比較例1で得られたメタリック調塗工シートは光沢度が低いものであった。これは、ポリカルボン酸塩と成膜助剤とを添加しなかったことが原因と考えられる。
【0073】
また、比較例2及び比較例3で得られたメタリック調塗工シートも、やはり光沢度は低くなった。これは成膜助剤を添加しなかったため塗工層の成膜性が低下したことが原因と考えられる。
【0074】
比較例4で得られたメタリック調塗工シートは、ポリカルボン酸塩を添加しなかったためか、塗工液の粘度が低くなりすぎて安定した塗工ができず、塗工層の面感が損なわれて未塗工部分が散見された。このため光沢度と耐ブロッキング性の評価は行わなかったが、メタリック調塗工シートとしては外観を損ねるものであった。
【0075】
また、比較例5で得られたメタリック調塗工シートは、バインダーの配合部数が少なすぎたためか光沢度が低いものであった。これはバインダー量が少なかったために、塗工層に微小なひび割れが生じて光沢度が低下したものと考えられる。
【0076】
また、比較例6で得られたメタリック調塗工シートは、バインダーの配合部数が多すぎたためか光沢度が低いものであった。これは光輝性顔料をバインダーが被覆しすぎたことが原因だと推察される。また、バインダー量が多すぎるため、耐ブロッキング性にも劣るものであった。