【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する主題によって達成される。
【0009】
したがって、アンプル本体は、プラスチック射出成形によるプラスチック射出成形部品として作成される。
【0010】
プラスチック射出成形法は、射出ユニットの射出成形ツールを用いてプラスチックを可塑化して射出金型内に射出する一次成形法として理解される。ここで射出金型内に設けられたキャビティにより、製造される成形部品の形状及び表面構造が決まる。成形部品が精細な構造を伴って正確に製造されることが可能になる。特に、ブローフィルシールプロセスによって製造される既知のアンプルとは対照的に、このアンプル本体の外側には実質的にバリ(flash)がない。
【0011】
もはやアンプルはブローフィルシールプロセスを用いて製造されず、その代わりにアンプル本体が射出成形によって成形されるので、有利な特性を有するアンプルを製造することが可能である。また、射出成形によって、アンプル本体が容易に圧潰可能であるように非常に薄い壁を有するアンプル本体を非常に正確に製造することができる。このことに付随して液体の取出し後の復元の程度が小さくなり、そのため逆流方向のポンプ作用が(実際に起こった場合)少なくとも低減される。
【0012】
アンプルは多部品構成であることが好ましく、接続部は別個の部品としてアンプル本体に結合される。ここでは、アンプル本体をプラスチック射出成形部品として作成し、同様に接続部もプラスチック射出成形によって作成することができるが、接続部とアンプル本体とは別個の部品として設計され、アンプルを利用可能にするには接続部がアンプル本体に接続される。次に、組付け状態において、接続部は、例えば、アンプル本体の首部に形状嵌合(form fit)によって保持することができ、それにより、接続部は、アンプル本体に堅固に接続されるとともにアンプル本体上に防漏状態で固定される。
【0013】
有利な一実施形態において、接続部は、少なくとも1つのねじ山ターンを有し、取出し装置に対するねじ接続をもたらすねじ付きセグメントと、ねじ付きセグメントに接続される破断ピースとを含む。
【0014】
ねじ付きセグメントは、例えば、接続部を取出し装置、例えばシリンジにいわゆるルアーロック方式で接続することができるルアーアタッチメントを提供することができる。このために、取出し装置は、ねじ付きセグメントと螺合することができる雌ねじ付きのスリーブナットの形態の接続部材を備えることができ、それにより、取出し装置を、ねじ付きセグメントを介してアンプルに解除可能に接続することができる。
【0015】
破断ピースは、ねじ付きセグメントに接続された状態ではアンプル本体の開口を防漏状態で閉鎖するのに利用される。開口を開放するために、破断ピースをねじ付きセグメントから除去できる、特に破断することができる。このために、破断ピースとねじ付きセグメントとの間に規定される所定の破断点を設けることができ、この所定の破断点において、破断ピースをねじ付きセグメントから規定の様式で分離することができる。破断ピースを破断すると、アンプル本体の開口が開放され、アンプル内の液体にアクセスすることができるようになる。さらに、破断ピースを破断すると、ねじ付きセグメントは、アンプルから取出し装置、例えばシリンジを介して液体を取り出すことができるように、取出し装置に接続することができる。
【0016】
述べたように、接続部は、別個の部品として設計し、アンプル本体の首部に装着することができる。接続部とアンプル本体との間の移行部が防漏状態でシールされることを確実にするために、接続部とアンプル本体との間に挟持される膜部材を設けることができる。この膜部材は、アンプルからの液体の取出しが好適な取出し装置によってのみ可能である一方で、破断ピースを破断した後、液体がアンプルから容易に流れ出ることができるように設計されていることが好ましい。膜は、特に再密閉可能な膜である。膜部材は、例えば弁のように、取出し装置によって吸引力を印加した場合は開き、したがって液体がアンプルから取出し装置内、例えばシリンジ内へ流れ出ることを可能にする一方で、そのような吸引力が印加されていない場合は液体がアンプルから流れ出ることができないように閉じる開口を有することができる。一代替形態として又は加えて、膜は、取出し装置によって、例えば針なしシリンジの先端部によって、膜を少なくとも局所的に穿孔する取出し装置によって、及び/又は、膜を少なくとも局所的に変形させる取出し装置によって開くことができる。
【0017】
プラスチック射出成形によって作成されるアンプル本体は、薄壁を有し、したがって、医療用液体をアンプル本体から取り出す場合に、特に大きい力を用いることなく容易に圧潰可能であるように可撓性であることが好ましい。また、アンプル本体の可撓性及び圧潰性により、アンプル本体の壁に作用する復元力が低いため、アンプルの逆流方向のポンプ作用を最小限とすることができ、このようにして、取り出した液体がアンプル内に吸い戻されるリスクが最小限になる。1つの実施形態において、アンプル本体の壁の壁厚(W1)は、0.5mm以下である。例えば、壁厚は0.01mm〜0.5mm未満の範囲である。
【0018】
アンプル本体は、射出成形部品として作成され、接続部を保持する。アンプル本体は、接続部とは面しない側に基底部材を有することができ、この基底部材は、例えば別個の部材として、特に密接接合(cohesively bonded connection)によって、アンプル本体に結合することができる。この意味において、基底部材は、例えばアンプル本体に接着又は溶接され、したがってアンプル本体をその基底領域において防漏状態で閉鎖するフィルムとして設計することができる。
【0019】
アンプル本体が別個の基底部材によって閉鎖されるので、液体を、基底を閉鎖する前に基底を介してアンプル本体内に導入し、次に基底部材、例えばフィルムを、特に接着又は溶接によってアンプル本体に結合することが可能である。代替的な一充填方法において、まず好適な基底部材によって、例えばフィルムによってアンプル本体の基底を閉鎖し、このとき初めて、接続部に接続されるアンプル本体の首部にある開口を介してアンプル本体を充填することも、当然ながら可能である。
【0020】
別の変形形態において、基底部材は、プラスチック射出成形及びブロー成形によってアンプル本体とワンピースとして作成することもできる。したがって、アンプル本体は、好適な射出成形ツールにおいてその基底部材とともにワンピースとして作成される。そのため、射出成形後に得られた成形部品により、アンプル本体の首部にある開口を除き閉鎖され、したがって充填手順後に接続部を取り付けることで容易に完成することができるアンプル本体が利用可能になる。
【0021】
有利な一実施形態において、基底部材はアンプル本体内部の方にアーチ状になっている。したがって、基底部材はアンプル本体の内部に向かうアーチを有し、そのため基底部材は、基底部材に隣接するアンプル本体の外縁部から少なくとも部分的に後退している。これは、アンプル本体を、特にその下側外縁部を下にして置くことが可能であることにより、アンプル本体が高度な安定性を有することができるという効果を有する。したがって、アンプル本体の下側外縁部は、アンプル本体がしっかりと起立することができる規定された起立面を提供する。
【0022】
さらに、アンプル本体の下側外縁部の基底部材の領域において、スタンドリング(stand ring)を取り付けることができる。スタンドリングは、アンプル本体から径方向外側に突出することが好ましいが、径方向内側にも突出することができ、ひいてはアンプル本体の底の起立面を拡大する。さらに、そのようなスタンドリングにより、基底部材、特にフィルムの形態の基底部材をアンプル本体に確実に接着又は溶接して結合させることができる。ここで、そのようなスタンドリングは、フィルムをアンプル本体のスタンドリング上に規定されたように溶接することを可能にする、溶接ツール用の確実な接触部を提供することもできる。
【0023】
更なる一実施形態において、アンプル本体は、例えば酸素バリアを提供するのに利用されるコーティングを有することもできる。そのようなコーティングは、例えばアンプル本体の内面又は外面に塗布することができ、例えば、メタロセン、EVOH、又は酸化物(例えばSiOx)等の物質を用いて生成することができる。
【0024】
アンプル本体にコーティングを塗布する代わりに、所望のバリア、特に酸素バリアを提供することができる好適な物質をアンプル本体の材料に既に組み込んでおき、プラスチック射出成形によって作成された実際のアンプル本体自体が好適なバリア特性を有するようにすることも可能である。
【0025】
上記に対する一代替形態として、ここに記載したタイプのアンプルを酸素が通らない(oxygen-tight)外部パッケージに入れ、そのような外部パッケージによって酸素バリアを提供するようにすることも可能である。
【0026】
アンプル本体は、その形状に関して、好適に圧潰することができるようになっていることが好ましい。このために、アンプル本体は、断面中央部において最大アンプル広さを有するので、例えば断面が小船の形態である(いわゆる船状本体)ことができる。最大アンプル広さは、中央部を起点として両側でアンプル本体の両端部に向かって狭まる。したがって、アンプル本体は、中央部を起点として両端部に向かって概ね先端までテーパー状になる。これが船殻の形状に略相当するので、船状本体と表現される。ここで、接続部をアンプル本体に結合する際に沿う取付け方向に対して横断方向の断面を参照する。アンプル本体は、2つの鏡映面に関して鏡面対称であることが好ましい。当該断面の断面平面は、2つの鏡映面に対して垂直である。
【0027】
アンプルの更なる一実施形態において、アンプル本体は、アンプル本体の首部への移行領域において、少なくとも2つの対向辺上にベベル状肩部を有する。これらの少なくとも2つの対向辺は、アンプル幅Eを提供する長い方の辺であることが好ましい。アンプル本体は、アンプル本体の首部への移行領域において、4つ全ての辺上にベベル状肩部を有することが好ましい。液体取出し時のアンプル本体の圧潰性は、該肩部によって向上する。1つの実施形態において、肩部は、アンプル本体の鏡映面に対して約30度〜60度、特に40度〜50度の角度で延びる。特に、肩部は、略平坦面によってそれぞれ提供される。
【0028】
更なる一実施形態において、アンプル本体は、アンプル本体の中央部において、アンプル幅Eを提供するアンプル本体の2つの対向辺に略直線部を有する。したがって、アンプル本体の下側の平面図において、アンプル本体の側壁は、アンプル本体の全周について完全には湾曲していない。直線部は、アンプル幅E全体にわたって延びていない。鉛直方向において、直線部は、スタンドリングから肩部まで延びることが好ましい。これにより、液体を取り出す場合のアンプル本体の圧潰性が更に向上する。直線部又は略直線部は、以下で平坦部とも称される。
【0029】
本発明に係るアンプルは、容量がおおよそ30mlまでのサイズを有することが好ましい。様々なサイズ、例えば容量が5ml、10ml、20ml、又は30mlのアンプルを提供することができる。一般に、アンプル本体の全高Hは60mm以下である。アンプル本体の最大アンプル広さDは25mm以下であり、及び/又は、最大アンプル幅Eは45mm以下である。基底の平面図では、アンプル本体は略楕円形である。アンプル幅Eは、アンプル広さDよりも大きい。D/E比は、0.33〜7の範囲であることが好ましい。これは、アンプルの安定性にとって特に有利である。本発明に係るアンプルは、優れた表面/容量比を有する。これは、アンプルの内容物の耐久性にとって特に重要である。1つの実施形態において、アンプルは、表面/容量比が50cm
−1未満、好ましくは30cm
−1未満、特に好ましくは20cm
−1以上〜30cm
−1以下である。
【0030】
上記目的は、医療用液体用のアンプルを製造する方法によっても達成される。アンプルは、医療用液体を収納するアンプル本体と、取出し装置をアンプルに接続する接続部とを備える。アンプル本体は、プラスチック射出成形によるプラスチック射出成形部品として作成されることが考慮される。
【0031】
利点及び有利な実施形態に関しては、本方法にも同様に当てはまるアンプルの上記説明を参照するものとする。
【0032】
アンプル本体は、プラスチック、例えばポリマー若しくはコポリマーから又は合成ゴムからも作成される。プラスチックは、溶接可能であることが好ましい。例えば、アンプル本体は、ポリプロピレン又はポリエチレンから作成することもできるし、アンプル本体は、プロピレン、エチレン、ブチレン、ブタジエン、スチレン、及び/又はイソプレン等のモノマーを用いてコポリマーから作成することもできる。アンプル本体のプラスチックは、好ましくは透明である。
【0033】
アンプル本体の基底を閉鎖するのに用いるフィルムは、例えば溶接可能フィルムとすることができる。1つの実施形態において、フィルムは、少量の熱可塑性ポリマー、例えばSEBS及び/又はSISを含むホモポリプロピレン及び/又はコポリプロピレンをベースとする。1つの実施形態において、フィルムは複数の層を有する。
【0034】
接続部とアンプル本体との間の移行部をシールする膜を、例えばポリイソプレン製とすることができる。
【0035】
接続部も射出成形によって射出成形部品として作成することができる。このために、ポリマー及びコポリマー等のプラスチックを用いることができる。例えば、ポリプロピレン又は熱可塑性エラストマーを用いることができる。あるいは、プロピレン、エチレン、ブタジエン、スチレン、及び/又はイソプレン等のモノマーを用いたコポリマーを用いることが可能である。接続部のプラスチックは透明でないことが好ましい。接続部は、全高が1cm〜5cmとすることができる。接続部の取付けピースは、高さが0.1cm〜2cm及び/又は広さが0.2cm〜1.5cmとすることができる。接続部のねじ付きセグメントは、高さが0.2cm〜1cmとすることができる。接続部の破断ピースは、高さが0.2cm〜2cmとすることができる。
【0036】
本発明の基礎となる構想は、図に示す例示的な実施形態に基づき、以下でより詳細に説明される。