(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケースと前記操作ノブとの間で前記操作ノブを所定の角度に応じて回転させることができるように位置を決定する回転角度決定手段をさらに含む、請求項1に記載の薬液流量制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。
【0017】
[第1実施形態の薬液流量制御装置]
本発明の第1実施形態に係る薬液流量制御装置が
図1乃至
図11に示されている。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、本発明の第1実施形態に係る薬液流量制御装置は、下側の第1ケース10A、及び第1ケース10Aに結合される上側の第2ケース10Bから構成されたケースと、使用者の操作に応じて作動する操作ノブ20と、薬液を移送する2つの薬液移送ライン30A、30Bとを含む。
【0019】
図2及び
図5を参照すると、ケース10A、10Bの内部には、Z軸方向である上下方向の軸線CLを中心に操作ノブ20が回転可能に設置される。具体的に、ケース本体である第1ケース10Aの底部には軸部材11が上下方向に立てられ、操作ノブ20の下側には軸部材11が挿入される中心溝部21が上下方向に設けられ、操作ノブ20は軸部材11を中心に回転する。カバーである第2ケース10Bには、操作ノブ20の上側をケース10A、10Bの外部に露出させるノブ開口12が設けられる。
【0020】
図2、
図5乃至
図7を参照すると、薬液移送ライン30A、30Bは、それぞれ弾性変形可能なチューブ31、32を有する。
図5乃至
図7に示すように、薬液移送ライン30A、30Bは、ケース10A、10Bの内部空間で操作ノブ20の外周の一側にチューブ31、32が互いに異なる第1、第2高さH1、H2に位置するように配置され、チューブ31、32は操作ノブ20の外周の一側に集中的に配置される。薬液移送ライン30A、30Bは、一部または全体がチューブ31、32から構成できる。チューブ31、32はY軸方向に配置できる。チューブ31、32としては、フラットに圧着されたり原状に復元されたりするシリコンチューブやPVCチューブなどが適用できる。
【0021】
図3及び
図5を参照すると、ケース10A、10Bの内部空間には、操作ノブ20との間にチューブ31、32が位置するように配置された状態でチューブ31、32を支持するチューブ支持部材40が備えられる。チューブ支持部材40における操作ノブ20側に臨む前方側には、互いに異なる高さH1、H2上のチューブ31、32がそれぞれ収容されるチューブ収容溝部41、42がチューブ支持部材40の長さ方向に沿って設けられる。
【0022】
図3、
図6および
図7に示されているように、チューブ支持部材40は、第1ケース10Aの内壁に取り外し可能に装着される。このため、第1ケース10Aの内壁の両側には、第1ケース10Aの内壁との間に挿入溝部を形成する嵌合顎部13がそれぞれ設けられ、チューブ支持部材40の長さ方向の両側には、両側の嵌合顎部13によって形成された挿入溝部にそれぞれ嵌め込まれる嵌込部43が設けられる。嵌合顎部13と嵌込部43は、チューブ支持部材40が上側から下側にスライド方式で結合できるように構成することが好ましい。
【0023】
図2、
図6および
図7を参照すると、各チューブ収容溝部41、42に収容されたチューブ31、32は、チューブ支持部材40の前方でチューブ支持部材40の長さ方向の両側にそれぞれ結合され、チューブ収容溝部41、42の両端側を遮蔽する溝部カバー45によって位置ずれが防止される。
【0024】
図2乃至
図5を参照すると、ケース10A、10Bの内部では、薬液移送ライン30A、30Bが開閉されるように、チューブ31、32が管路開閉手段50によって圧着または圧着解除される。ケース10A、10Bには、薬液移送ライン30A、30Bに薬液を互いに異なる流量で分けて流入させる薬液分岐機構60、及び薬液移送ライン30A、30Bから流出する薬液を単一の流れに合流させる薬液合流機構65が設置される。
図1において、図面符号70は、操作ノブ20を回転させる操作に用いられる操作ハンドルである。
【0025】
図3に示すように、薬液分岐機構60は、薬液供給源からの薬液が流入する単一の流入管61と、流入管61から分岐して薬液移送ライン30A、30Bの両端のうちのいずれか一方にそれぞれ接続された2つの流量調節管62A、62Bとを含む。流入管61は入口がケース10A、10Bの外部に配置され、流量調節管62A、62Bはケース10A、10Bの内部に配置される。
図1及び
図2に示すように、流入管61の入口には、薬液供給源からの薬液を移送し且つ薬液流入ラインを構成する薬液流入ホース2が接続される。流量調節管62A、62Bとしては、管路の断面積が互いに異なる毛細管が適用できる。
【0026】
薬液合流機構65は、単一の合流管66と、合流管66から分岐して薬液移送ライン30A、30Bの両端のうちの他方にそれぞれ接続された2つの分岐管67とを含む。合流管66は出口がケース10A、10Bの外部に配置され、分岐管67はケース10A、10Bの内部に配置される。
図1及び
図2に示すように、合流管66の出口には、合流管66からの流出薬液を目的のところ(患者など)へ移送し且つ薬液流出ラインを構成する薬液流出ホース4が接続される。薬液流出ホース4には、薬液を投与対象(患者など)に注入するための注入ユニット(例えば、注射針やカテーテルなど)が接続できる。
【0027】
薬液分岐機構60には流量調節管62A、62Bの代わりに分岐管が適用されてもよく、薬液合流機構65には分岐管67の代わりに流量調節管が適用されてもよい。または、薬液分岐機構60には流量調節管62A、62Bの代わりに分岐管が適用されてもよく、薬液移送ライン30A、30Bは一部が流量調節管から構成されてもよい。
【0028】
図1に示すように、操作ハンドル70は、ケース10A、10Bの外部からノブ開口12を介して操作ノブ20の上側に脱着可能に結合される。このため、操作ノブ20の上側には嵌合溝部22が上下方向に設けられ、操作ハンドル70は操作ハンドル70の取っ手71から延長され、嵌合溝部22に嵌め込まれる嵌合ロッド72を有する。
【0029】
嵌合溝部22に嵌合ロッド72を嵌め込み、取っ手71を用いて操作ハンドル70を回転させると、操作ノブ20は操作ハンドル70と同じ方向に回転する。操作ノブ20の操作が操作ハンドル70のみによって行われるようにするために、嵌合溝部22は、内周が円形、外周が多角形(8角形など)である形状に形成し、嵌合ロッド72は、このような嵌合溝部22の形状に対応する形状に形成することができる。
【0030】
図2、
図4乃至
図7を参照すると、管路開閉手段50は、操作ノブ20の回転角度に応じて、薬液移送ライン30A、30Bを全て開放または閉鎖するか、薬液移送ライン30A、30Bの一部のみを閉鎖することにより、合流管66から流出する薬液の流量を調節する。開閉手段50は、操作ノブ20とチューブ31、32との間に介在する2つの板バネ51、52と、円形の操作ノブ20の外周に設けられた複数の凹部54A、55A、54B、55Bとを含む。
【0031】
図5乃至
図7に示すように、板バネ51、52は、チューブ31、32の高さH1、H2に対応する各高さ上に配置され、円形の操作ノブ20の外周に接触することによりチューブ31、32側にふっくらと曲がって各高さH1、H2上のチューブ31、32を圧迫することで、薬液移送ライン30A、30Bを選択的に閉鎖する。
【0032】
凹部54A、55A、54B、55Bは、板バネ51、52と対応する各高さH1、H2上に少なくとも一つずつ設けられ、それぞれ凹状をしている。凹部54A、55A、54B、55Bは、操作ノブ20が回転して、対応する高さH1、H2上の板バネ51、52と対向するように位置するときに、対応する高さH1、H2上の曲がった板バネ51、52が中に進入しながら原状に復元されることにより、板バネ51、52によるチューブ31、32の圧迫状態を解除する。つまり、薬液移送ライン30A、30Bを選択的に開放させるのである。
【0033】
板バネ51、52は、弾性を有する金属または合成樹脂からなってもよい。
図2、
図6および
図7に示すように、板バネ51、52は、両側の溝部カバー45に長さ方向の両端側がそれぞれ接続される。板バネ51、52は溝部カバー45と一体型であってもよい。
【0034】
図6及び
図7に示すように、板バネ51、52は、チューブ31、32に臨む側にチューブ31、32に向かって突出した加圧部P1が設けられる。加圧部P1は、板バネ51、52がチューブ31、32側にふっくらと曲がると、チューブ31、32に圧迫を加えてチューブ31、32を圧着(管路閉鎖)させる。加圧部P1は、先端が尖るように形成できる。板バネ51、52は、操作ノブ20の外周に臨む側に、操作ノブ20の外周に接触する或いは凹部54A、55A、54B、55Bの中へ進入する突出部P2が設けられる。
【0035】
図2、
図4及び
図5を参照すると、凹部54A、55A、54B、55Bは、板バネ51、52と対応する各高さH1、H2上に2つずつ設けられる。具体的には、
図2及び
図4に示すように、第1高さH1の第1凹部54A及び第2凹部55Aは、操作ノブ20の外周方向に沿って90度の間隔をおいて配置される。そして、高さが第1高さH1に比べて高い第2高さH2の第1凹部54Bは、第1高さH1の第1凹部54Aと上下方向に同一の直線上に位置するように配置され、第2高さH2の第2凹部55Bは、操作ノブ20の外周方向に沿って第2高さH2の第1凹部54Bと180度の間隔をおいて配置される。第1高さH1の第1凹部54Aと第2高さH2の第1凹部54Bは、互いに連通している一体型の構造を持つように形成できる。
【0036】
このような凹部54A、55A、54B、55Bの配置構造によれば、薬液移送ライン30A、30Bは、操作ノブ20を90度の角度単位で回転させるとき、チューブ31、32の全部または一部が板バネ51、52によって圧迫されるか或いは板バネ51、52による圧迫状態がすべて解除されることで開閉される。
【0037】
図2及び
図4において、図面符号23は、操作ノブ20の上側縁に沿って設けられた係止段部である。係止段部23は、ノブ開口12の周辺との係止作用によって操作ノブ20が上方に移動することによる位置ずれを防止する。
【0038】
図2、
図4及び
図5において、図面符号14及び24は、操作ノブ20を90度の角度単位で回転させることができるように操作ノブ20の位置を決定する回転角度決定手段である。回転角度決定手段14、24は、中心溝部21の周囲に位置するように操作ノブ20の下側に円周方向に沿って90度の間隔で設けられた4つの係止溝部24と、第1ケース10Aの底部に操作ノブ20の回転角度に応じて係止溝部24のうちの少なくとも一つに係合される係止突起14とを含む。係止突起14と係止溝部24のうちの少なくとも一つは、係止溝部24に係止突起14が自然に係合または係脱できるように案内作用をする斜面、またはラウンド処理の施された曲面を持つことができる。係止突起14と係止溝部24は、位置が互いに入れ替わってもよい。または、係止溝部24を1つだけ備える代わりに、係止突起14を4つ備えてもよい。
【0039】
本発明の第1実施形態に係る薬液流量制御装置は、2つの流量調節管62A、62Bのうち、第1高さH1のチューブ31を有する薬液移送ライン30Aに接続された流量調節管62Aは薬液が2mL/hの流速で流れ、第2高さH2のチューブ32を有する薬液移送ライン30Bに接続された流量調節管62Bは薬液が1mL/hの流速で流れるように構成した場合、次のように合計4つのモードの中からいずれか一つを選択して、投与対象に投与される薬液の量を調節することができる。次に、
図8乃至
図11を参照してこれを考察する。
【0040】
図8に示すように、板バネ51、52が、上下方向に同一の直線上に配置された第1及び第2高さH1、H2の第1凹部54A、54Bと対向するように位置した状態で、操作ノブ20を上方から見たときに時計回りに90度回転(凹部の配置構造によっては反時計回りに90度回転)させると、
図9に示すように、板バネ51、52はいずれも操作ノブ20の外周に接触しながらチューブ31、32側にふっくらと曲がり、これにより、チューブ31、32はいずれも板バネ51、52によって加圧された閉鎖状態に維持される。これは、合流管66から薬液が流出しないオフ(OFF、0mL/h)モードである。勿論、このように操作ノブ20を90度回転させる過程で、係止突起14は係止溝部24から係脱して隣接の次の係止溝部24に係合されながら、操作ノブ20は位置が決定される。
【0041】
次いで、操作部材20を上方から見たときに時計回りに90度さらに回転させると、
図10に示すように、第1高さH1の板バネ51は曲がったままに維持され、第1高さH1のチューブ31は第1高さH1の板バネ51によって加圧された閉鎖状態に維持され、第2高さH2の板バネ52は第2高さH2の第2凹部55B内に進入することにより、曲がった状態から原状に復元され、第2高さH2のチューブ32は第2高さH2の板バネ52による加圧が解除された開放状態になることにより、合流管66からは薬液が1mL/hの流速で流出する。
【0042】
次に、操作部材20を上方から見たときに時計回りに90度さらに回転させると、
図11に示すように、第1高さH1の板バネ51は、第1高さH1の第2凹部55A内に進入することにより、曲がった状態から原状に復元され、第1高さH1のチューブ31は第1高さH1の板バネ51による加圧が解除された開放状態となり、第2高さH2の板バネ52は、操作ノブ20の外周に接触することにより、原状から第2高さH2のチューブ32側に曲がるように変形して、第2高さH2のチューブ32は第2高さH2の板バネ52によって加圧された閉鎖状態になることにより、合流管66からは薬液が2mL/hの流速で流出する。
【0043】
次いで、操作部材20を上方から見たときに反時計回りに90度さらに回転させて1回転が完了すると、
図8に示すように、第1高さH1の板バネ51は、第1高さH1の第1凹部54A内に進入することにより、原状のまま維持され、第1高さH1のチューブ31は第1高さH1の板バネ51による加圧が解除された開放状態に維持され、第2高さH2の板バネ52は第2高さH2の第1凹部54B内に進入することにより、曲がった状態から原状に復元され、第2高さH2のチューブ32は第2高さH2の板バネ52による加圧が解除された開放状態になることにより、合流管66からは薬液が3mL/hの流速で流出する。
【0044】
上述したような作動をまとめてみると、下記表1のとおりである。
【0046】
このように作動する本発明の第1実施形態に係る薬液流量制御装置は、次のとおり非常に有用に使用できる。
【0047】
手術患者の場合には、手術種類または個人差によって痛みを感じる程度に差があるが、ほとんどが手術後の初期には非常に激しい痛みを感じ、時間の経過に伴って痛みは徐々に減少し、約3日が経過すると、かなり緩和する。このため、手術患者に痛み管理を目的として薬液を投与する際に、手術後の初期には、
図8の如く、薬液移送ライン30A、30Bが全て開放されたモードを選択し、その後、痛みが減少するにつれて薬液投与量が段階的に減少するようにモードを切り替えることができる。
【0048】
末期癌患者の場合には、手術患者とは対照的に、時間が経過するほど感じる痛みが益々増加するので、薬液の投与量を段階的に増加させることができる。
【0049】
一方、本発明の第1実施形態に係る薬液流量制御装置は、チューブ31、32及び板バネ51、52が多数の箇所に分散されることなく操作ノブ20の外周の一側に集中的に配置されるので、薬液移送ライン30A、30Bの配置構造及び板バネ51、52の設置構造をより単純化することができ、これによりコンパクト化、組立性の向上、維持及び保守面で有利な効果がある。
【0050】
以上で説明されていない図面符号15は指示部を示す。指示部15は、ノブ開口12の周囲の一側に位置するように第2ケース10Bの上側に設けられ、外部から見ることができ、操作ノブ20の上側における嵌合溝部22の周囲には、操作ノブ20が90度の角度単位で回転するたびに、指示部15が指し示す薬液の流速(0mL/h、1mL/h、2mL/h、3mL/h)またはモード(0、A、B、C)が表示される。
【0051】
[第2実施形態の薬液流量制御装置]
本発明の第2実施形態に係る薬液流量制御装置が
図12乃至
図20に示されている。
【0052】
本発明の第2実施形態に係る薬液流量制御装置は、2つの薬液移送ラインを選択的に開閉して薬液の流量を調節するように構成されることにより、2チャネル構造を持つ第1実施形態の薬液流量制御装置と比較するとき、その他の構成および作用は同一であるのに対し、3チャネルの構造を持つように構成された点のみが相違する。次に、これを説明する。
【0053】
本発明の第2実施形態に係る薬液流量制御装置は、3チャネルの構造のために薬液移送ライン130A、130B、130C、板バネ151、152、153、流量調節管162A、162B、162C及び分岐管167を3つずつ備え、凹部を12つ備える。
【0054】
薬液移送ライン130A、130B、130Cは、そのチューブ131、132、133が操作ノブ120の外周の一側に互いに異なる第1、第2および第3高さH11、H12、H13に位置するように配置される。もちろん、各高さH11、H12、H13上のチューブ131、132、133は、チューブ支持部材140に設けられた3つのチューブ収容溝部に個別に収容され、薬液移送ライン130A、130B、130Cは、流量調節管162A、162B、162Cと分岐管167に両端側がそれぞれ接続される。
【0055】
板バネ151、152、153は、操作ノブ120の外周と上下に配置されたチューブの131、132、133との間に位置するように、チューブ131、132、133の高さH11、H12、H13に対応する各高さ上に配置される。
【0056】
凹部は、操作ノブ120の外周における、板バネ151、152、153と対応する各高さH11、H12、H13上に4つずつ設けられ、板バネ151、152、153との複合作用でチューブ131、132、133を選択的に圧迫または圧迫解除して薬液移送ライン130A、130B、130Cを全部開放または閉鎖させるか、或いは薬液移送ライン130A、130B 、130Cの一部のみを開放させることができるように配置される。
【0057】
本発明の第2実施形態に係る薬液流量制御装置は、第1高さH11上のチューブ131を有する薬液移送ライン130Aに接続された流量調節管162Aは薬液が4mL/hの流速で流れ、第2高さH12上のチューブ132を有する薬液移送ライン130Bに接続された流量調節管162Bは薬液が2mL/hの流速で流れ、第3高さH13上のチューブ133を有する薬液移送ライン130Cに接続された流量調節管162Cは薬液が1mL/hの流速で流れるように構成した場合、合計8つのモードの中からいずれか一つを選択して、投与対象に投与される薬液の量を調節することができる。
【0058】
図13に示すように、板バネ151、152、153が上下方向に同一の直線上に配置された第1乃至第3高さH11、H12、H13の第1凹部154A、154B、154Cと対向するように位置した状態で、操作ノブ120を上方から見たときに反時計回りに45度回転(凹部の配置構造によっては時計回りに45度回転)させると、
図14に示すように、板バネ151、152、153はいずれも操作ノブ120の外周と接触しながらチューブ131、132、133側にふっくらと曲がり、これによりチューブ131、132、133はいずれも板バネ151、152、153によって加圧された閉鎖状態になる。これはオフ(0mL/h)モードである。
【0059】
次に、操作ノブ120を45度さらに回転させると、
図15に示すように、第1及び第2高さH11、H12の板バネ151、152は操作ノブ120の外周にそれぞれ接触し、第3高さH13の板バネ153は第3高さH13の第2凹部155Cに進入する。これによれば、第1と第2高さH11、H12のチューブ131、132は閉鎖状態となり、第3高さH13のチューブ133は第3高さH13の板バネ153が原状に復元されることにより、第3高さH13の板バネ153による加圧が解除された開放状態となるので、合流管166からは薬液が1mL/hの流速で流出する。
【0060】
その後、操作ノブ120を45度さらに回転させると、
図16に示すように、第1と第3高さH11、H13の板バネ151、153は操作ノブ120の外周にそれぞれ接触し、第2高さH12の板バネ152は第2高さH12の第2凹部155Bに進入する。よって、第1と第3高さH11、H13のチューブ131、133は閉鎖状態、第2高さH12のチューブ132は開放状態になり、合流管166からは薬液が2mL/hの流速で流出する。
【0061】
次に、操作ノブ120を45度さらに回転させると、
図17に示すように、第1高さH11の板バネ151は操作ノブ120の外周に接触し、第2と第3高さH12、H13の板バネ152、153は第2と第3高さH12、H13の第3凹部156B、156Cにそれぞれ進入する。よって、第1高さH11のチューブ131は閉鎖状態、第2と第3高さH12、H13のチューブ132、133は開放状態になり、合流管166からは薬液が3mL/hの流速で流出する。
【0062】
次いで、操作ノブ120を45度さらに回転させると、
図18に示すように、第2と第3高さH12、H13の板バネ152、153は操作ノブ120の外周にそれぞれ接触し、第1高さH11の板バネ151は第1高さH11の第2凹部155Aに進入する。よって、第2と第3高さH12、H13のチューブ132、133は閉鎖状態、第1高さH11のチューブ131は開放状態になり、合流管166からは薬液が4mL/hの流速で流出する。
【0063】
その後、操作ノブ120を45度さらに回転させると、
図19に示すように、第2高さH12の板バネ152は操作ノブ120の外周に接触し、第1と第3高さH11、H13の板バネ151、153は第1高さH11の第3凹部156Aと第3高さH13の第4凹部157Cに進入する。よって、第2高さH12のチューブ132は閉鎖状態、第1と第3高さH11、H13のチューブ131、133は開放状態になり、合流管166からは薬液が5mL/hの流速で流出する。
【0064】
次いで、操作ノブ120を45度さらに回転させると、
図20に示すように、第3高さH13の板バネ153は操作ノブ120の外周に接触し、第1と第2高さH11、H12の板バネ151、152は第1と第2高さH11、H12の第4凹部157A、157Bに進入する。これにより、第3高さH13のチューブ133は閉鎖状態、第1と第2高さH11、H12のチューブ131、132は開放状態になり、合流管166からは薬液が6mL/hの流速で流出する。
【0065】
その後、操作ノブ120を45度さらに回転させて1回転が完了すると、
図13に示すように、板バネ151、152、153は第1凹部154A、154B、154Cにそれぞれ進入する。この際、チューブ131、132、133はいずれも開放状態になり、合流管166からは薬液が7mL/hの流速で流出する。
【0066】
上述したような本発明の第2実施形態に係る薬液流量制御装置の作動をまとめてみると、下記表2のとおりである。
【0068】
図12で説明されていない図面符号110Aと110Bは互いに結合する下側の第1ケースと上側の第2ケースであり、図面符号112はノブ開口である。
【0069】
[第3実施形態の薬液流量制御装置]
本発明の第3実施形態に係る薬液流量制御装置が
図21に示されている。
図21に示すように、本発明の第3実施形態に係る薬液流量制御装置は、2チャネル(または、3チャネル)構造を持つ第1実施形態(または、第2実施形態)の薬液流量制御装置と比較するときに、その他の構成および作用は同一であるのに対し、4チャネル構造を持つように構成された点のみが相違する。
【0070】
本発明の第3実施形態に係る薬液流量制御装置は、第1高さ上のチューブを有する薬液移送ライン230Aに接続された流量調節管は薬液が8mL/hの流速で流れ、第2高さ上のチューブを有する薬液移送ライン230Bに接続された流量調節管は薬液が4mL/hの流速で流れ、第2高さ上のチューブを有する薬液移送ライン230Cに接続された流量調節管は薬液が2mL/hの流速で流れ、第4高さ上のチューブを有する薬液移送ライン230Dに接続された流量調節管は薬液が1mL/hの流速で流れるように構成した場合、操作ノブ220を22.5度の角度間隔で回転させながら、合計16個のモードの中からいずれか一つを選択して、投与対象に投与される薬液の量を調節することができる。これをまとめてみると、下記表3のとおりである。
【0072】
以上では、本発明に係る薬液流量制御装置が2チャネル、3チャネルまたは4チャネル構造である実施形態を説明したが、本発明に係る薬液流量制御装置は、これに限定されず、5チャネル以上の構造のために、薬液移送ラインの個数が適切に増加でき、板バネ、流量調節管、分岐管等の個数も適切に増加できる。また、高さごとに設けられる凹部の個数も適切に増加でき、高さごとの凹部の配置構造も適切に変更できる。
【0073】
そして、本発明に係る薬液流量制御装置において、流量調節管は、薬液流速が1mL/h、2mL/h、または1mL/h、2mL/h、4mL/hなどのように設定されたことを例示したが、これは0.5mL/h、1.0mL/h、または0.5mL/h、1.0mL/h、2mLhなどの組み合わせに設定を変更することもできる。
【0074】
[薬液注入器の一例]
本発明に係る薬液流量制御装置を含む薬液注入器の一例が
図22乃至
図24に示されている。
【0075】
図22乃至
図24に示すように、薬液注入器の一例には、使用者の操作に応じて、投与対象に持続的に投与される薬液の量を調節する3チャネル構造の薬液流量制御装置(図面符号120、130A、130B、130C、140などを参照)、及び、使用者の操作に応じて、投与対象に投与される薬液の量を瞬間的に増加させるボーラス装置(bolus apparatus)(図面符号81、82などを参照)が適用される。勿論、薬液流量制御装置としては、3チャネルではなく、2チャネルまたは4チャネル以上の構造を持つものが適用されてもよい。
【0076】
薬液流量制御装置及びボーラス装置は、互いに結合される下側の第1ケースと上側の第2ケースとを含むケースに設置される。
【0077】
薬液流量制御装置は、第2実施形態に係る3チャネル構造の薬液流量制御装置と同一または類似に構成される。これにより、薬液流量制御装置を説明するにあたり、第2実施形態の薬液流量制御装置と同様の構成については同一の符号を付与することにする。
【0078】
薬液流量制御装置は、操作ノブ120、3つの第1薬液移送ライン130A、130B、130C、チューブ支持部材140、及び第1管路開閉手段(板バネ及び凹部)を含む。操作ノブ120を回転させると、チューブ支持部材140によって支持された第1薬液移送ライン130A、130B、130Cが操作ノブ120の回転角度に応じて第1管路開閉手段によって選択的に開閉される。これらは第2実施形態に係る薬液流量制御装置のそれと実質的に同様に構成されるので、これについての詳細な説明は省略する。
【0079】
ボーラス装置は、単一の第2薬液移送ライン81と、第2薬液移送ライン81上に備えられて内部に第2薬液移送ライン81からの薬液が貯留され、貯留された薬液を流出側へ圧送する薬液圧送ユニット82とを含む。
【0080】
薬液圧送ユニット82は、内部に第2薬液移送ライン81からの薬液が貯留されるボーラスバッグ(bolus bag)83と、押圧操作の際にボーラスバッグ83に外力を加えるプッシュボタン84と、プッシュボタン84の操作に応じて第2薬液移送ライン81の管路を開閉する第2管路開閉手段85とを含む。プッシュボタン84を押圧すると、ボーラスバッグ83に貯留された薬液は流出側へ圧送される。第2管路開閉手段85は、プッシュボタン84を押圧すると、第2薬液移送ライン81の管路を開放し、逆にプッシュボタン84の押圧操作を解除すると、第2薬液移送ライン81の管路を閉鎖するように構成される。これらは韓国登録特許公報第1126213号に開示されているので、これについての詳細な説明は省略する。
【0081】
図面符号160は薬液分岐機構であり、165は薬液合流機構であり、90は薬液流出持続装置である。
【0082】
薬液分岐機構160は、単一の流入管161、流入管161から分岐された単一の流量調節管162、及び3つの分岐管163から構成できる。薬液分岐機構160において、流入管161には薬液流入ホース2が接続され、流量調節管162には第2薬液移送ライン81の一端が接続され、分岐管163には第1薬液移送ライン130A、130B、130Cの一端がそれぞれ接続できる。
【0083】
薬液合流機構165は、単一の合流管166、合流管166から分岐された単一の分岐管167、及び3つの流量調節管168から構成できる。薬液合流機構165において、合流管166には薬液流出ホース4が接続され、分岐管167には第2薬液移送ライン81の他端が接続され、流量調節管168には第1薬液移送ライン130A、130B、130Cの他端がそれぞれ接続できる。
【0084】
このような薬液分岐機構160及び薬液合流機構165は、第2実施形態に係る薬液流量制御装置のそれと比較してみるときに、薬液を第1薬液移送ライン130A、130B、130Cと第2薬液移送ライン81に分けて流入させ、第1薬液移送ライン130A、130B、130Cと第2薬液移送ライン81から流出する薬液を単一の流れに合流させるように構成された点のみが相違するだけで、その他の構成および作用は同一または類似である。
【0085】
薬液流出持続装置90は、薬液流出ホース4上に設置されてケースの外部に配置される。薬液流出持続装置90は、プッシュボタン84の押圧操作時に第2薬液移送ライン81から圧送される薬液を一時的に貯留し、一時的に貯留された薬液を薬液流出ホース4から持続的に流出させるように構成される。このような薬液流出持続装置90は、ボーラスバッグ83から圧送される薬液の圧力で膨張するバルーン(balloon)、及び膨張したバルーンの収縮時に流出する薬液が逆流するのを防止する逆流防止機構を含む。これは、韓国登録特許公報第1126213号に開示されているので、これについての詳細な説明は省略する。
【0086】
このような薬液注入器の一例によると、薬液流入ホース2からの薬液は、薬液分岐機構160で分岐され、第1薬液移送ライン130A、130B、130Cと第2薬液移送ライン81に流入する。
【0087】
薬液流量制御装置がオフ(0mL/h)モードに設定されていない場合、第1薬液移送ライン130A、130B、130Cに提供された薬液は、薬液流量制御装置によって設定された流量が薬液合流機構165に流入する。第2薬液移送ライン81に提供された薬液は、ボーラスバッグ83に貯留されるが、プッシュボタン84を押圧すれば第2薬液移送ライン81の管路が開放されるので、ボーラスバッグ83に貯留された薬液は、薬液合流機構165側へ流出しない。これによれば、薬液は薬液流量制御装置によって設定された流量が投与対象に持続的に投与される。
【0088】
このような状態でプッシュボタン84を押圧すると、第2薬液移送ライン81は管路が開放され、ボーラスバッグ83は圧着されるので、ボーラスバッグ83に貯留された薬液は、圧送されて薬液合流機構165に流入する。これによれば、投与対象には瞬間的に大量の薬液(第1薬液移送ラインからの薬液及びボーラスバッグからの薬液)が投与される。勿論、この過程で薬液合流機構165から流出する薬液は、薬液流出持続装置90に一時的に貯留された後、投与対象に持続的に提供される。
【0089】
[薬液注入器の他の例]
本発明に係る薬液流量制御装置を含む薬液注入器の他の例が
図25に示されている。
図25に示すように、薬液注入器の他の例は、薬液注入器の一例と比較してみるとき、その他の構成及び作用は同一であるのに対し、ボーラス装置に提供される薬液の流量を調節することができるように構成した点のみが相違する。次に、これを説明する。参考までに、薬液注入器の一例と同一の構成については同一の符号を付与することにする。
【0090】
薬液注入器の他の例は、使用者の操作に応じて、投与対象に持続的に投与される薬液の量を調節する3チャネル構造の第1薬液流量制御装置、使用者の操作に応じて、投与対象に投与される薬液の量を瞬間的に増加させるボーラス装置、及び、使用者の操作に応じて、ボーラス装置に提供される薬液の量を調節する2チャネル構造の第2薬液流量制御装置(図面符号320、330A、330B、340などを参照)を含む。勿論、第2薬液流量制御装置は、2チャネルではなく、3チャネル以上の構造を持つように構成されてもよい。
【0091】
第1薬液流量制御装置は、第1操作ノブ120、3つの第1薬液移送ライン130A、130B、130C、第1チューブ支持部材140、及び第1管路開閉手段を含む。
【0092】
第2薬液流量制御装置は、第2操作ノブ320、2つの第2薬液移送ライン330A、330B、第2チューブ支持部材340、及び第2管路開閉手段(板バネ及び凹部)を含む。第2操作ノブ320を回転させると、第2チューブ支持部材340によって支持された第2薬液移送ライン330A、330Bが第2操作ノブ320の回転角度に応じて第2管路開閉手段によって選択的に開閉される。これらは第1実施形態に係る薬液流量制御装置のそれと実質的に同様に構成されるので、これについての詳細な説明は省略する。
【0093】
図面符号260は薬液分岐機構であり、265は第1薬液合流機構であり、365は第2薬液合流機構である。
【0094】
薬液分岐機構260は、単一の流入管261、及び流入管261から分岐された2つの流量調節管262、及び3つの分岐管263から構成できる。薬液分岐機構260において、流入管261には薬液流入ホース2が接続され、流量調節管262には第2薬液移送ライン330A、330Bの一端がそれぞれ接続され、分岐管263には第1薬液移送ライン130A、130B、130Cの一端がそれぞれ接続できる。
【0095】
一例として、薬液分岐機構260の流量調節管262のうち、いずれか一つは薬液が1mL/hの流速で流れ、他の一つは薬液が2mL/hの流速で流れるように構成できる。
【0096】
第1薬液合流機構265は、単一の合流管266、合流管266から分岐された単一の分岐管267、及び3つの流量調節管268から構成できる。第2薬液合流機構365は、単一の合流管366、及び合流管366から分岐された2つの分岐管367から構成できる。
【0097】
第1薬液合流機構265において、合流管266には薬液流出ホース4が接続され、流量調節管268には第1薬液移送ライン130A、130B、130Cの他端がそれぞれ接続できる。そして、第2薬液合流機構365の分岐管367には、第2薬液移送ライン330A、330Bの他端がそれぞれ接続できる。
【0098】
第1薬液合流機構265の分岐管267と第2薬液合流機構365の合流管366には、合流ライン81−1の両端がそれぞれ接続できる。
【0099】
ボーラス装置を構成する薬液圧送ユニット82は合流ライン81−1上に備えられる。
【0100】
このような薬液注入器の他の例は、ボーラス装置を使用しない場合には第2薬液流量制御装置をオフ(0mL/h)モードに設定することで、薬液圧送ユニット82のボーラスバッグ83に薬液が流入、貯留されることを防止することができる。
【0101】
痛み管理を目的として使用する場合、患者が激しい痛みを感じたら、痛み軽減のためにプッシュボタン84を頻繁に押圧することになる。そうすると、患者にややもすると薬液が過剰に投与されるおそれがある。このような場合には、第2薬液流量制御装置によってボーラスバッグ83に相対的に少ない流量(例えば、1mL/h)の薬液が流入するように設定すると、ボーラスバッグ83に薬液が充填されるが、比較的長い時間がかかるので、患者がプッシュボタン84を頻繁に押圧しても、薬液がこれに対応する量で追加投与されないため、患者に薬液が過剰に投与されることを防止することができる。
【0102】
以上、本発明を説明したが、本発明は、この明細書に開示された実施形態および添付図面によって限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、通常の技術者によって多様に変形できる。