(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の工程が、一方では前記第1の工程に直接由来する触媒によって、かつ他方ではコーティング材料によって、継続的に原料供給されている無加熱の移動層において実施される、請求項1または2に記載の方法。
前記コーティング材料が、鉱物ワックス、合成ワックス、天然ワックス、周囲温度で固体の脂肪酸、45℃〜180℃の範囲の融点Tを有するポリマーおよびこれらの混合物から選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
前記第2の工程が、前記コーティング材料の層で、前記顆粒をその表面において覆うものであり、前記コーティング材料の層の平均厚さが、0.01〜15μmの範囲である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
前記触媒が、多孔質耐火性酸化物支持体を含む炭化水素の水素化変換用触媒であり、前記多孔質耐火性酸化物支持体の上に、VIII族金属およびVIB族金属から選択される少なくとも1種の金属が堆積されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
前記触媒が、アルミナベース支持体上に堆積された金属複合体CoMo、NiMo、NiWまたはNiCoMoを含有する触媒から選択される、請求項14または15に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
当該の触媒は、限定するわけではないが例えば、特に石油精製、石油化学および化学の分野における、炭化水素処理プロセス、特に炭化水素ベース化合物を変換するためのプロセスで使用される触媒である。
製油所および/または石油化学プラントにおいて実施される炭化水素処理プロセスは、炭化水素分子の構造を改質すること、および/または炭化水素ベース留分から、特に硫黄含有化合物、窒素含有化合物、芳香族化合物および金属化合物等の望ましくない化合物を排除することを本質的に目的とする、一定数の処理を含む。非限定的な例として、ナフサ改質プロセス、水素化プロセスおよび水素化分解プロセス、ならびに水素化脱硫プロセス、水素化脱窒素プロセス、水素化脱酸素プロセス、水素化脱芳香族プロセスおよび水素化脱金属プロセス等の水素化処理プロセスとして公知のプロセスを挙げることができる。
【0003】
当該の触媒は、気体状化合物を処理することもできる。したがって、本発明は、水蒸気改質工程を含む水素およびアンモニアの製造用のラインにおいて使用される触媒のすべてにも当てはまり、硫黄用ラインにおいて使用される触媒(クラウス触媒およびテールガス触媒)にも当てはまり、酸化触媒、脱水素化触媒およびアンモ酸化触媒のすべてにも当てはまる。
触媒を使用することができるプロセスの中には、水素の存在下で実施されるものもあるが、通常、水素化変換プロセスという総称的な用語によって表される。
上記プロセスの大部分は、「触媒顆粒(catalyst grain)」としても公知の粒子の形態である固体触媒を必要とする。この触媒顆粒は、元素周期表のVIII族の金属および元素周期表のVIB族の金属から選択される1種または複数の触媒活性な金属が堆積された、1種または複数の耐火性無機酸化物をベースとした多孔質支持体を含む。
炭化水素処理反応の速度は、触媒の細孔中に配置された触媒部位に向けての炭化水素分子(しばしば、大きなサイズである)の拡散速度によって特に限定される。したがって、触媒部位は、利用できる状態に可能な限りしておくべきである。これこそが、製造業者が、可能な限り大きな比表面積および多孔度を有する触媒を調製するように努力した理由であるが、こうした努力の結果が、非常に小さなサイズの顆粒の形態の触媒である。
【0004】
しかしながら、触媒顆粒のサイズは、あまりに小さくすべきでもなく、理由として、触媒顆粒のサイズがあまりに小さいと、それらの動作中の炭化水素処理反応器内における圧力降下(ΔP)の増進につながるという点がある。
したがって、製造業者は、触媒顆粒のサイズが小さくなるほど、触媒性能が高くなっていくが、反応器内での圧力降下も大きくなっていくという、相矛盾する2つの制約に対処しなければならない。
したがって、この種類のプロセスに関与する触媒は通常、一般に0.8〜4mmの範囲の平均直径および一般に2.5〜5mmの範囲の平均長さを有する、円筒形状または多葉形状(multilobal shape)の顆粒の形態である。特定の用途において、球形形状の顆粒が使用されるが、こうした球形形状の顆粒の直径は一般に、1.5〜5mmである。
触媒顆粒を使用するプロセスにおいて生じるさらなる制約は、前記顆粒の機械的強度に関する。前記顆粒の機械的強度は、触媒顆粒の多孔度および比表面積が大きい場合さらに低下する。
しかしながら、触媒、特に触媒の輸送中および反応器内への触媒の装填中に触媒を取り扱うための動作は、「細粒」すなわちダストの形成を起こすことになる、顆粒どうしが互いに摩擦し合うまたは顆粒が壁に当たって摩擦される現象を発生させる。これらの摩擦力はまた、顆粒損耗現象も起こし、すなわち、摩擦、衝撃および/または圧潰による上記触媒顆粒の機械的摩耗も起こすが、この結果として、粒子の破壊および粒子のサイズの望ましくない減少がもたらされる。
【0005】
現在、大量の触媒ダストの形成が、いくつかの課題を提起している。一方では、大量の触媒ダストの形成は、大量のダストにより装填の進行が目視によって監視できなくなる限り、顆粒の装填動作を大幅に複雑化するものであり、この結果、反応器内における触媒顆粒の正確で均一な分配を確実にできるようにするという目的で、ダスト雲が沈下するままになるように、規則的な間隔で装填動作を停止させることが必要になる。
さらに、このようなダストは、顆粒の取扱いを担当する操作者にとっての安全上の課題を提起する一方で、工業用地に存在するすべての人々にも同様に安全上の課題を提起する。このダストは、飛行することができるものであり、時折非常に大きな距離にわたって大気中で運搬され得るので、付近の居住者および周囲の環境にさらなる危険性をもたらす。
【0006】
厳密には、ダストは、ミリメートルサイズの粒子からマイクロメートルサイズの粒子の範囲で、任意選択によりナノメートルサイズまでの、広範な粒径分布を一般に有する粒子からなる。
ミリメートルサイズのダストは、1mm未満のサイズを有し、または通常0.8mm未満のサイズを有する。
最小の粒子に関する次の種類のマイクロメートルサイズの粒子には、その毒性のため、特段の注目が寄せられている。これらは、そのサイズに基づいて分類されている(例えば、EN12341規格およびISO10473:2000規格を参照されたい)。区別は、以下のようになされている:
− PM
10と呼ばれる粒子(10μm未満のサイズ)、
− PM
2.5と呼ばれる粒子(2.5μm未満のサイズ)および
− PM
1.0と呼ばれる粒子(1μm未満のサイズ)。
【0007】
これらの粒子は、1日から1週間の範囲の持続期間にわたって、空気中に懸濁した状態のままであり得る。2.5μmのサイズより小さい場合、粒子は、吸入により肺胞に到達することができる。一般に、公衆衛生上の理由から、PM
10以下の粒子への住民の曝露には厳格な規制が存在する。
HSE(衛生/安全/環境)の観点においてより悪影響を伴う現象が、今日ではナノスケール物質の存在に関連付けられている、不確実性である。ナノマテリアルという用語は、100ナノメートル未満(すなわち、0.1μm未満)のサイズを有する粒子を含む化合物を表す。ナノマテリアルとしての分類対象の触媒は現在、欧州連合において様々なレベルで議論されている。触媒は、これらが貴金属をベースとした活性相であるか、周期表のVI族およびVIII族の非貴金属をベースとした活性相であるかにかかわらず、一般にナノメートルスケールで分散されている活性相を本質的に有することに疑問の余地がない。さらに、これらの触媒のための支持体は、ナノメートルサイズの多孔度を有するように設計されており、しばしば、5ナノメートルから50ナノメートルの間の細孔径も一緒に有するように設計されている。
【0008】
健康への悪影響を伴う結果があり得る効果の1つは、触媒がしばしば、例えばコバルトおよびニッケル等の金属元素を含有することである。これらの元素は、その毒性のため、増々言及されるようになっている。したがって、例えば、コバルト元素、ニッケル元素、モリブデン元素、タングステン元素を含有する水素化処理触媒は、ダストの発生に起因した環境問題を提起する。より厳密には、水素化処理触媒は、およそ2質量%〜5質量%の酸化コバルトまたは酸化ニッケルを含有するが、水素化触媒は、10質量%〜50質量%のニッケルを含有することもあり得る。
【0009】
衛生上、安全上および環境上の理由からダストの排出を限定する必要性の他にも、これらの触媒の取扱いを担当する人員の労働条件の快適さについても関心が寄せられている。これらの触媒の製品は、毒性をもつ可能性があることの他にも、その周囲を汚くするダストを排出する。
最後に、反応器内において、ミリメートルサイズおよびマイクロメートルサイズのダストを生成するこれらの現象は、望ましくない効果を反応器の正確な動作に及ぼすが、これらの現象は特に、圧力降下の著しい増進につながるが、こうした圧力降下の著しい増進は、触媒層の中を通る液体状または気体状流体の正確な通過に不利である。圧力損失によるプラントの操業停止は、精製/石油化学における反応器を最終的に操業停止することになる主要な原因の1つである。したがって、圧力降下の発生を低減するのに役立つことができる何らかの方策は、非常に有益である。
したがって、上記で展開させてきたすべての理由からは、一般に触媒顆粒の取扱い中および輸送中、特に触媒顆粒が工業的に使用される反応器内への触媒顆粒の装填中に生成されるダストが触媒顆粒から排出されるという現象を可能な限り低減し、または完全に排除さえすることが、望ましい。
【0010】
様々な手段によって触媒顆粒の機械的強度を増大させることを本質的に目的とする解決法が、触媒の製造業者によって提案されてきた。
1つの解決法は、顆粒のサイズを増大させるものであるが、こうした顆粒のサイズの増大は通常、触媒の活性を損なうように行われる。
他の解決法も、触媒顆粒の機械的強度を増大させるために、従来技術において提案されてきた。
したがって、米国特許第2,976,253号は、取扱い中の触媒の損耗を回避し、触媒の損耗に起因した圧力降下を反応器内において予防するための方法について記述しているが、この方法は、C
2からC
8のモノオレフィンから得られた樹脂ポリマーのフィルムによって各触媒顆粒をコーティングし、次いで、触媒の使用中に排除するものである。触媒顆粒上のポリマーフィルムの厚さは、25〜100μmの範囲である。
【0011】
特許出願EP2000206は、フィッシャー−トロプシュ合成用に意図された触媒の保護に関しており、1つまたは複数のワックスを触媒に添加することによって触媒を強化することを提案している。使用されるワックスもまた、触媒の細孔中に存在するが、この文献は、触媒粒子の外側皮膜について記述していない。
米国特許第4,526,877号および米国特許第5,302,566号等の他の文献は、恒久的な皮膜によって触媒を保護することを提案している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「フィードストック」という用語は好ましくは、75℃〜650℃までにわたる範囲の大気圧における沸騰範囲を一般的に有し、液体状状態または気体状状態の触媒と接触し得る、炭化水素留分を表す。「フィードストック」という用語は、非限定的な例として酸素、窒素、水、一酸化炭素、メタン、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄等の様々な気体状化合物も同様に表し得る。
本発明によるプロセスは、顆粒の形態の任意の固体触媒、限定するわけではないが例えば、特に石油精製分野および石油化学分野において炭化水素フィードストックを処理するために意図された触媒にも適用され得る。
本プロセスは、炭化水素の水素化変換用触媒に非常に特に当てはまる。顆粒の形態のこれらの触媒は、VIII族金属およびVIB族金属から選択される少なくとも1種の金属がその上に堆積された多孔質耐火性酸化物支持体を含む。
好ましくは、触媒は、例えばコバルト、ニッケル、鉄、パラジウム、白金等、元素周期表のVIII族の少なくとも1種の金属を含有する。これらの金属は、例えばモリブデン、タングステン、クロム等、VIB族の少なくとも1種の金属と組み合わせてもよい。VIII族金属または金属の含量は一般に、未コーティング触媒の合計質量に対して0.1質量%から20質量%の間であり、時折、最大50質量%であることもある。VIB族金属または金属の含量は一般に、触媒(未コーティング加工形態)の合計質量に対して3質量%から30質量%の間である。
【0020】
好ましくは、触媒のための支持体は、非晶質アルミナもしくは結晶性アルミナ、シリカまたはシリカ−アルミナ(ゼオライト)から選択される。より好適には、支持体は、少なくとも30質量%、さらに良好には少なくとも50質量%のアルミナを含有する。
本発明によるプロセスは、アルミナベース支持体上に堆積された金属複合体CoMo、NiMo、NiWまたはNiCoMoを含有する触媒を処理するために特に適している。
これらの触媒は、有機添加剤およびハロゲン化化合物、ホウ素含有化合物またはリン含有化合物等の1種または複数の添加剤を含有し得る。
【0021】
これらの触媒は、好適には球形形状、円筒形状または多葉形状の顆粒の形態である。
本発明は、最大数平均寸法が1〜10mm、好ましくは2〜5mmの範囲である触媒顆粒に非常に特に当てはまる。
触媒顆粒の最大数平均寸法は、当業者に周知の方法によって判定することができ、特にビデオ式粒径分析によってまたはノギスを使用して判定することができる。RETSCHによって開発されたCAMSIZERビデオ式粒径分析計が、一般的に使用され得る。
本発明において使用される触媒は一般的に、BET法によって測定して100〜300m
2/gの範囲の比表面積、窒素吸着によって判定して0.20〜1ml/gの範囲の細孔容積および窒素吸着によって判定して7〜20nmの範囲の平均細孔径を有する。
本発明によるプロセスは、新しい触媒、すなわち、まったく使用されていない触媒にも当てはまり、再生済み触媒、すなわち、当該触媒が再使用可能になる活性レベルにまで当該触媒を回復させるために、該触媒を炭素ベース残留物(コークス)から剥離させるという目的で再生された、使用済み触媒にも当てはまる。再生プロセスは特に、コークスを燃焼させる第1の工程と、1種または複数の添加剤、特に有機添加剤を触媒に含侵させた後に乾燥させることからなる第2の工程との、2つの工程によって実施することができる。第2の工程は時折、「賦活」と呼ばれることもある。
【0022】
好ましい一実施形態によれば、本発明によるプロセスは、継続的に実施される。
好ましくは、第2の工程は、第1の工程の直後であり、すなわち、本発明による2つの工程は、中断なしで連結されており、特に、これらの2つの工程間にさらなる処理工程を挟まずに連結されている。
2つの工程が実施される容器間またはデバイス間の触媒の任意選択による搬送(または輸送)が、さらなる処理を構成するものだと考えられないことには、留意すべきである。
同様に、2つの工程間の触媒の任意選択による冷却は、さらなる処理を構成するものだと考えられない。このような冷却は、能動的であっても受動的(すなわち、触媒の温度が、単に低下するままにされる)であってもよいが、第1の工程の終了時における触媒の温度がT−1℃より高い場合で、Tがコーティング材料の融点であるときに必要であると判明することもある。冷却は、単に上記の2つの工程間に触媒を搬送することによって達成することができる。
【0023】
特に好ましい一実施形態において、前記第2の工程は、一方としての第1の工程に直接由来する触媒と、他方としてのコーティング材料とによって継続的に原料供給されている、無加熱の移動層システムにおいて実施される。
本発明によるプロセスの第1の工程は、100℃以上の温度における触媒顆粒の熱処理からなる。
好ましくは、この第1の工程は、120℃〜650℃、より好適には150℃〜550℃、さらに良好には200℃〜500℃までの範囲の温度で実施される。
本発明によれば、「熱処理」という表現は、この触媒を加熱するものであり、または触媒の加熱を含む触媒への何らかの処理を表す。
したがって、前記第1の工程は、触媒の簡便な加熱からなり得る。
第1の工程は、例えば前記触媒を製造するためのプロセスの終了時に実施される、触媒の乾燥処理またはか焼処理からなることもあり得る。
この実施形態は、従来の触媒製造プロセスへの本発明によるプロセスの統合を可能にするため、特に有利であり、製造プロセスの最後の工程はやはり、本発明によるプロセスの第1の工程でもある。この結果、保護された状態の新しい触媒が、直接得られる。
【0024】
上記実施形態もまた、触媒の調製の終了時に実施された熱処理中に供給された熱を有利に回収し、この回収された熱を触媒の保護のために使用できるようにする。
【0025】
使用済み触媒の場合、本発明によるプロセスの第1の工程は、触媒再生処理からなることもあり得る。
実際、使用済み触媒は一般に、触媒顆粒の表面および細孔中に存在する汚染物質(重質炭化水素、コークスまたは他の不純物)を排除するように意図された熱処理によって再生される。
再生が、触媒顆粒の空隙中に1種または複数の添加剤、特に有機添加剤を堆積させた後に乾燥させるものである、第2の工程(しばしば、賦活と呼ばれる)を含む場合、本発明によるプロセスの第1の工程は有利なことに、この乾燥工程に相当し得る。
この実施形態もまた、従来の触媒再生プロセスへの本発明によるプロセスの統合を可能にするため、非常に有利であり、再生プロセスの最後の工程はやはり、本発明によるプロセスの第1の工程でもある。この結果、保護された状態の再生済み触媒が、直接得られる。
【0026】
上記実施形態もまた、再生の目的のために実施された熱処理中に供給された熱を有利に回収し、この回収された熱を触媒の保護のために使用できるようにする。
触媒のコーティングが顆粒を溶融状態の材料と接触させることによって実施される従来技術において記述されたプロセスの大部分とは異なり、上記のように、本発明によるプロセスの第2の工程は、触媒顆粒を、固体状態で導入された1種または複数のコーティング材料と接触させることによって実施される。
この第2の工程は、2つの評価基準を満たさなければならない温度で実施される。
第1に、上記温度は、40℃以上でなければならない。このことは、温度が、コーティング材料による触媒顆粒の効果的なコーティングを可能にするのに十分なほど高いことを保証する。
第2に、上記温度は、T−60℃〜T−1℃にわたる範囲でなければならず、このことは、コーティング材料の溶融温度Tより低くなければならない(1℃〜60℃の範囲でなければならない)ことを意味する。これらの条件は、触媒顆粒の表面に最適な皮膜を得ることを可能にする。
好ましくは、第2の工程は、T−50℃〜T−1℃の範囲(コーティング材料の溶融温度Tより1℃〜50℃の範囲で低い温度)、より好適にはT−40℃〜T−5℃の範囲(コーティング材料の溶融温度Tより5℃〜40℃の範囲で低い温度)の温度Tで実施される。
【0027】
最後に、本発明によれば、第2の工程は、新たな熱の供給なしで実施される。
このことは、加熱が、この工程中に実施されず、十分な温度を得るために必要な熱が、第1の工程から直接生じた高温触媒のみによって供給されることを意味している。したがって、コーティング材料または材料はしばしば、第1の工程から生じた高温触媒と接触して軟化し、この結果、顆粒をコーティングする。
したがって、第2の工程の温度は、以下パラメータのうちの1つおよび/または残りを調節することによって制御することができる:流入してくる触媒の温度(およびこの結果としての、第1の工程が実施された温度)、触媒および導入されたコーティング材料のそれぞれの量、ならびに導入されたときのコーティング材料の温度。
上記のように、本発明において使用されるコーティング材料は、45℃以上の融点を有する。
「融点」という表現は、大気圧における前記材料の溶融温度を表す。
それ自体公知の方法で、コーティング材料の融点は、METTLERによりDSC30の名称で販売されている熱量計等の示差走査熱量計(DSC)を使用して、1分当たり5℃または10℃の温度上昇によって測定することができる。考えられる融点は、サーモグラムにおいて最大の吸熱ピークの温度に対応する地点である。
好ましくは、使用されるコーティング材料は、45℃〜180℃、好ましくは50℃〜130℃の範囲の融点を有する。
【0028】
本発明によるプロセスの実施のために非常に特に適したコーティング材料は、鉱物ワックス、合成ワックス、天然ワックス、周囲温度(23℃)で固体の脂肪酸、45℃〜180℃の範囲の融点Tを有するポリマーおよびこれらの混合物から選択される。
「鉱物ワックス」という表現は、石油製品の精製に由来したもの等のパラフィンワックスを特に表す。
合成ワックスの中では、ポリエチレンワックス等の合成パラフィンワックスを特に挙げることができる。
「天然ワックス」という表現は、動物性ワックスおよび植物性ワックスを特に表す。適切な植物性ワックスは例えば、蜜蝋およびカルナウバ蝋である。
周囲温度(23℃)で固体である脂肪酸の中では、ステアリン酸およびパルミチン酸を特に挙げることができる。
使用することができるポリマーは好ましくは、50℃〜130℃の範囲の融点Tを有する。それらは特に、ポリエチレンおよびポリプロピレンから選択することができる。
【0029】
ポリエチレン、特にポリエチレンワックスを使用することが、特に好ましい。
本発明の好ましい一実施形態によれば、コーティング材料は、粒子の形態である。これらの粒子は、200μm以下、好ましくは150μm以下、より好適には50μm以下、さらに良好には10μm以下の数平均直径を有する。
特に好ましい一実施形態によれば、コーティング材料は、触媒顆粒の数平均直径に対して3%以下の数平均直径の粒子の形態である。
触媒顆粒の数平均直径は、当業者に周知の方法、特にビデオ式粒径分析によって判定することができる。
コーティング材料の粒子の数平均直径は、ISO13320:2009規格に従って規定されたレーザー回折式粒径分析法によって判定することができる。
本発明によれば、第2の工程中に使用されるコーティング材料の合計量は特に、コーティングされた触媒の合計質量に対して0.05質量%〜5質量%、好ましくは0.1質量%〜3質量%、さらにより好ましくは0.3質量%〜1質量%であり得る。
ここで、コーティングされた触媒の合計質量は、最終的に得られた触媒の質量、すなわち、第2の工程の終了時にコーティング材料の層によって覆われた触媒の質量を表す。
【0030】
上記のように、第2の工程は、触媒顆粒のコーティングを実施するものであり、すなわち、第2の工程は、コーティング材料の層によって顆粒のその表面を覆うものである。
このコーティング材料の層は、(特に、すべての顆粒についておよび各顆粒の表面における同一の厚さに関して)完全に均一である必要はない。
上記のコーティング材料の層が可能な限り薄いことと、上記のコーティング材料の層が表面的なもののままであること、すなわち、コーティング材料が触媒の細孔中に浸透しないこととが、特に重要である。
好ましくは、第2の工程は、0.01〜15μmの範囲の平均厚さのコーティング材料の層によって顆粒のその表面を覆うものである。より好適には、コーティング材料の層の平均厚さは、0.01〜10μm、より好適には0.02〜5μm、さらにより好適には0.05〜4μm、さらに良好には1〜3.5μmの範囲である。
本発明によるプロセスの特に顕著な利点の1つは、本プロセスが、特に薄いコーティング材料の層を触媒顆粒の表面に得ることを可能にするという点である。
触媒顆粒を覆っているコーティング材料の層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡法によって判定することができる。
この厚さは、第2の工程のパラメータ、特に、触媒顆粒の量に対する添加されるコーティング材料の量と、この第2の工程が実施される温度とを調節することによって制御することができる。
【0031】
第2の工程の終了時、触媒顆粒は必要に応じて、薄い皮膜層を不都合に改変しないような適度な温度において、例えば野外、または空気もしくは任意の他の適切な気体の気体流の存在下で乾燥させてもよい。
触媒粒子の脱保護は好ましくは、触媒粒子が使用される反応器内に触媒粒子が装填されたらすぐに実施される。
上記脱保護は、粒子の表面に存在する材料の層が排除される条件下に触媒を置くことによって実施される。
特に好ましくは、コーティング材料は、触媒が使用される反応器の始動中に、このコーティング材料がフィードストックと自然に接触した状態で排除されるように選択される。この実施形態は、反応器の始動時に、触媒の脱保護を特に簡便かつ経済的に実施することを可能にする。
以下の実施例は、純粋に本発明の説明として示している。
【実施例】
【0032】
(触媒のキャラクタリゼーションのために使用される方法)
以下の実施例において記述された触媒A〜Hの機械的強度特性を、触媒の衝撃強度をキャラクタリゼーションすることになる触媒の損耗を判定するための試験に従って評価した。
このパラメータは、ASTM D−4058規格に記載の原理に従って50gの触媒試料について判定したが、この原理は、反らせ板(ドラムの内壁に溶接されたシート状金属板)とその母線上に装着された円筒形ドラムに触媒試料を入れ、次いでカバーを用いてドラムを閉じた後、30分の持続期間にわたってこの組立体を回転させ、次いで触媒試料が受けた質量減少を、生成した細粒を排除するために20番(0.85mm)スクリーンによってスクリーニングすることによって測定するものである。次いで、生成した細粒の質量百分率を計算する。
この試験は、破損部および細粒を発生させることになる触媒粒子の逐次的な降下のシミュレートを可能にする。
さらに、触媒A、B、GおよびHの水素化脱硫活性を、パイロットプラントにおいて判定した。
使用したフィードストックは、以下の特性を有する「直留」ガスオイルだった。
【表1】
各試料に関しては、試験のために使用した触媒の体積が、10mLだった。
【0033】
実際の水素化脱硫試験前には、各触媒試料を、3時間の湿潤期間後に、ジメチルジスルフィド(DMDS)を使用して2.5質量%の硫黄が添加されていたガスオイルによって周囲温度において硫化させることによって活性化した。硫化手順は、3h
-1の時間空間速度(HSV)、200(NL/時間)/(L/時間)のH
2/添加剤添加済みガスオイル比および3MPa(30bar)の合計圧力にした状態で実施した。20℃〜250℃の第1の昇温は、30℃/時間で進行させ、続いて8時間250℃に保持することによって実施した。次いで、250℃〜320℃の第2の昇温を20℃/時間で実施し、続いて5時間320℃に保持した。
次いで試験フィードストックを、実際の試験を開始するために注入した。試験条件は、以下のとおりだった: 4MPa(40bar)の圧力、300のH
2/ガスオイル比、HSV=2h
-1、340℃〜350℃の温度。
フィードストックの硫黄含量を、プラントの出口において紫外蛍光法式分析装置によって測定した。脱硫反応の見かけの定数を、以下の式E1に従って計算した。
【数1】
式中、
K
v=見かけの反応定数
α=反応次数(1.2に等しいと考えられる)
S=廃液の硫黄含量
S
0=フィードストックの硫黄含量
HSV=液体フィードストックの時間空間速度
【0034】
各試料の性能を、基準触媒の性能に対して評価した。この評価に関しては、相対体積活性(RVA)を、以下の式E2に従って計算した。
【数2】
基準として、100のK
v値は、未コーティング加工触媒Aに起因していた。
最後に、触媒A〜Hによるダストの形成を、DIN55992−1規格の記述に従って以下のように判定した。
【0035】
使用した装置は、反復的な降下を起こすことによってダストを発生させることを可能にする、反らせ板(ドラムの内壁に溶接されたシート状金属板)と装着された回転シリンダーからなる。シリンダーが回転しているとき、シリンダーは、所与の流量の空気流によってスイープされており、この結果、ダストの搬送が可能になる。この空気流は、最も微細な粒子のみを保持することを可能にする長いガラス管を通過するが、最も粗大な粒子は、管の底部に堆積される。次いで空気流を、懸濁しているすべての粒子を捕集するためにダストフィルター経由で送り込む。0.85mm未満のすべての粒子を測定する損耗試験とは異なり、この試験は、最も長い時間にわたって空気中に懸濁したままとなる粒子である、吸入すると有害な粒子のみを定量化できるようにする。これらのサイズは一般に、10μm未満である。
ダストの形成を定量化するためには、3回の測定が少なくとも実施される。1回の分析は、100g(+/− 1g)の触媒を必要とするが、この触媒は、10mg以下になるように精確に秤量すべきである。ダストフィルターは、1mg以下になるように秤量した後、装置に据え付けるべきである。次いで触媒をシリンダー内に装填し、装置を、30rpmのシリンダー回転速度および20L/分の空気流量において5分間始動させた。測定の終了時に、フィルターを精確に秤量する(+/− 1mg)。測定の前後の質量の差異が、100gの触媒に関して発生したダストの質量を直接与える。
【0036】
以下の実施例を、触媒Aと表されている基準触媒を使用して実施した。
触媒Aは、アルミナ支持体上の20質量%のMoO
3および5質量%のCoOを含有し、1.3mmの数平均直径および3.2mmの数平均長さを有する円筒形状の押出成形品の形態である、再生済み商業用水素化処理触媒である。
触媒Aは、1.8%の損耗、21mg/100gのPM10型微細ダストの発生およびRVA活性=100%を有する。
【0037】
(比較例1:(工程1のみ、本発明によらない))
触媒Aを、以下のように処理した。
1kgの触媒を、4rpmの回転速度で3リットルの容積を有するステンレス鋼ドラムに入れる。触媒の温度を140℃に上げて、乾燥/活性化工程または再生処理の出来高をシミュレートするために、次いで熱風流を30分間触媒に向かって送り込み、次いで空気流を停止させ、触媒を放置して、周囲温度に冷却する。このようにして得られた触媒は、触媒Bと表されている。
触媒Bは、1.9%の損耗、22mg/100gのPM10型微細ダストの発生およびRVA活性=101%を有する。
この例は、工程1は、工程2中の熱の供給が後で必要とされるものの、それ自体が触媒の損耗、ダストおよび活性に著しい影響を与えることはないことを示している。
【0038】
(比較例2:(低温において工程1+工程2、本発明によらない))
触媒Aを、以下のように処理した。
1kgの触媒を、4rpmの回転速度で3リットルの容積を有するステンレス鋼ドラムに入れる。触媒の温度を140℃に上げて、乾燥/活性化工程または再生処理の出来高をシミュレートするために、次いで熱風流を触媒に向かって送り込む。
次いで触媒層を放置して、30℃の温度に到達するまで冷却し、次いで5gの微粒化合成ワックス(5μmの粒径を有しており、MicroPowdersによりMP−620XXFの呼称で販売されており、融点115℃)をドラムに添加した。混合物を30分間均一化し、次いで周囲温度に冷却する。混合物は依然として細粒を含有するため、これらを20番(0.85mm)スクリーンによってスクリーニングし、本発明によらない触媒Cを得る。
触媒Cの分析は、触媒Cが、0.1質量%未満のワックスに対応する0.1質量%未満の炭素を含有することを示している。
走査型電子顕微鏡を用いた観察によると、触媒Cの顆粒はその表面にワックスを有さず、または非常にわずかのワックスしか有さない(測定可能でない)。
触媒Cは、1.8%の損耗および19mg/100gのPM10型微細ダストの発生を有する。
この例は、本発明によって請求されている温度範囲が重要であること、および所望の効果が、115℃の融点を有するワックスの場合に30℃で得られないことを示している。
【0039】
(比較例3:(融点より高くして工程1+工程2、本発明によらない))
触媒Aを、以下のように処理した。
1kgの触媒を、4rpmの回転速度で3リットルの容積を有するステンレス鋼ドラムに入れる。触媒の温度を140℃に上げて、乾燥/活性化工程または再生処理の出来高をシミュレートするために、次いで熱風流を30分間触媒に向かって送り込み、次いで空気流を停止させる。
触媒層の冷却のために待機することなく、5gの微粒化合成ワックス(5μmの粒径を有しており、MicroPowdersによりMP−620XXFの呼称で販売されており、融点115℃)をすぐに、140℃においてドラムに添加する。このようにして混合物を30分間均一化し、次いで、本発明によらないコーティングされた触媒Dを得るために周囲温度に冷却する。
触媒Dの分析は、触媒Dが、0.5質量%のワックスに対応する0.4質量%の炭素を含有することを示している。
走査型電子顕微鏡法によって観察したとき、触媒Dの顆粒は、純然たるワックスの層によってその表面を覆われているわけではなく、理由として、このワックスが空隙中に少なくとも部分的に存在するという点がある。
触媒Dは、0.9%の損耗および9mg/100gのPM10型微細ダストの発生を有する。
この例自体もまた、本発明によって請求されている温度範囲が重要であること、および所望の効果が、第2の工程がコーティング材料の融点Tより高い温度で(ここで、115℃の融点を有するワックスの場合だと140℃で)実施されたときに得られないことを示している。
【0040】
(実施例4:(本発明による))
触媒Aを、以下のように処理した。
1kgの触媒を、4rpmの回転速度で3リットルの容積を有するステンレス鋼ドラムに入れる。触媒の温度を140℃に上げて、乾燥/活性化工程または再生処理の出来高をシミュレートするために、次いで熱風流を触媒に向かって送り込む。
次いで触媒層を放置して、80℃の温度に到達するまで冷却し、次いで15gの合成ワックス(平均して150μmの粒径を有しており、融点115℃)をドラムに添加した。混合物を60分間均一化し、次いで周囲温度に冷却する。混合物が依然として細粒を含有するため、これらを20番(0.85mm)スクリーンによってスクリーニングし、本発明による触媒Eを得る。
触媒Eの分析は、触媒Eが、0.4質量%のワックスに対応する0.3質量%の炭素を含有することを示している。
触媒Eは、0.6%の損耗および4mg/100gのPM10型微細ダストの発生を伴う。
これらの値は、基準触媒Aの場合に得られた値ならびに比較用触媒B、C、DおよびFの場合に得られた値より格段に低い。
【0041】
(比較例5:(融点より高くして工程1+工程2、本発明によらない))
触媒Aを、以下のように処理した。
1kgの触媒を、4rpmの回転速度で3リットルの容積を有するステンレス鋼ドラムに入れる。触媒の温度を190℃に上げて、乾燥/活性化工程または再生処理の出来高をシミュレートするために、次いで熱風流を30分間触媒に向かって送り込み、次いで空気流を停止させる。
触媒層の冷却のために待機することなく、5gの合成ワックス(平均して150μmの粒径を有しており、融点115℃)をすぐに、190℃においてドラムに添加する。このようにして混合物を30分間均一化し、次いで、本発明によらないコーティングされた触媒Fを得るために周囲温度に冷却する。
触媒Fの分析は、触媒Fが、0.5質量%のワックスに対応する0.4質量%の炭素を含有することを示している。
走査型電子顕微鏡法によって観察したとき、触媒Fの顆粒は、純然たるワックスの層によってその表面を覆われているわけではなく、理由として、このワックスが空隙中に少なくとも部分的に存在するという点がある。
触媒Fは、1.1%の損耗および11mg/100gのPM10型微細ダストの発生を有する。
この例もやはり、第2の工程中にコーティング材料の融点より高い温度を使用すると、所望の効果を得ることができないことを示している。
【0042】
(実施例6:(本発明による))
触媒Aを、以下のように処理した。
1kgの触媒を、4rpmの回転速度で3リットルの容積を有するステンレス鋼ドラムに入れる。触媒の温度を140℃に上げて、乾燥/活性化工程または再生処理の出来高をシミュレートするために、次いで熱風流を触媒に向かって送り込む。
次いで触媒層を放置して、80℃の温度に到達するまで冷却し、次いで20gの微粒化合成ワックス(5μmの粒径を有しており、MicroPowdersによりMP−620XXFの呼称で販売されており、融点115℃)をドラムに添加した。混合物を30分間均一化し、次いで、本発明によるコーティングされた触媒Gを得るために周囲温度に冷却する。
触媒Gの分析は、触媒Gが、2質量%のワックスに対応する1.7質量%の炭素を含有することを示している。
【0043】
触媒Gの顆粒は、走査型電子顕微鏡法によって測定して平均して12μmである平均厚さのワックスの層によって覆われている。
触媒Gは、0.2%の損耗、0.1mg/100g未満のPM10型微細ダストの発生およびRVA活性=95%を有する。
この実施例は、所望の効果(損耗の低減および特にダストの発生の低減)が、2質量%のワックス含量で本発明によるプロセスを利用することによって得られることを示している。
しかしながら、この量のワックスは、RVA活性の若干の不足を誘起し、したがって、コーティング材料の含量をより低くして本発明を実施することが、依然として好ましい。
さらに、損耗の低減および微細ダストの発生の低減に関する所望の効果も、特に満足のいくように達成される。この実施例は、本発明によるプロセスにより、第2の工程において非常に小さなサイズの粒子の形態のコーティング材料を使用することにより提供されるさらなる利益を説明している。
【0044】
(実施例7:(本発明による))
触媒Aを、以下のように処理した。
1kgの触媒を、4rpmの回転速度で3リットルの容積を有するステンレス鋼ドラムに入れる。触媒の温度を140℃に上げて、乾燥/活性化工程または再生処理の出来高をシミュレートするために、次いで熱風流を触媒に向かって送り込む。
次いで触媒層を放置して、80℃の温度に到達するまで冷却し、次いで5gの微粒化合成ワックス(5μmの粒径を有しており、MicroPowdersによりMP−620XXFの呼称で販売されており、融点115℃)をドラムに添加した。混合物を30分間均一化し、次いで、本発明によるコーティングされた触媒Hを得るために周囲温度に冷却する。
触媒Hの分析は、触媒Hが、0.5質量%のワックスに対応する0.4質量%の炭素を含有することを示している。
【0045】
触媒Hの顆粒は、走査型電子顕微鏡法によって測定して平均して3μmの平均厚さの薄いワックスの層によって覆われている。
触媒Hは、0.3%の損耗、0.1mg/100g未満のPM10型微細ダストの発生およびRVA活性=99%を有する。
この実施例において、所望の効果、すなわち、損耗の大きな低減および微細ダストの発生の大きな低減が、良好なレベルの活性を可能な限り保持しながらも、さらに改良された形で達成される。この点に関して、驚くべきことに、得られた結果も特に良好である。
この実施例は、可能な最も薄い層を得るように、一方で非常に小さなサイズの粒子の形態のコーティング材料を使用し、他方で可能な最小の量のコーティング材料を使用することの利点を説明している。
驚くべきことに、そのワックス層の非常に薄い厚さにもかかわらず、本発明による触媒Hは、少ない損耗しか有さず、特にわずかな微細ダストしか発生させない。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕触媒顆粒からのダストの排出を限定するための方法であって、以下の連続する2つの工程:
−前記触媒顆粒の熱処理を100℃以上の温度で実施するものである、第1の工程と、次いで、
−前記触媒顆粒を、固体状態で導入された45℃以上の融点Tを有する1種または複数のコーティング材料と接触させることにより、前記触媒顆粒の表面のコーティングを実施するものである、第2の工程と
を含み、
前記第2の工程が、40℃以上に留めたままにしながら、熱を新たに供給することなく、T−60℃〜T−1℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、方法。
〔2〕継続的に実施される、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記第2の工程が、一方では前記第1の工程に直接由来する触媒によって、かつ他方ではコーティング材料によって、継続的に原料供給されている無加熱の移動層において実施される、前記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記第1の工程が、120℃〜650℃、好ましくは150℃〜550℃、さらに良好には200℃〜500℃の範囲の温度で実施される、前記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の方法。
〔5〕前記第1の工程が、触媒乾燥処理、触媒か焼処理および触媒再生処理から選択される、前記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の方法。
〔6〕前記第2の工程が、T−50℃〜T−1℃の範囲、好ましくはT−40℃〜T−5℃の範囲の温度Tで実施される、前記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕前記第2の工程において使用される前記コーティング材料が、45℃〜180℃、好ましくは50℃〜130℃の範囲の融点Tを有する、前記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の方法。
〔8〕前記コーティング材料が、鉱物ワックス、合成ワックス、天然ワックス、周囲温度で固体の脂肪酸、45℃〜180℃の範囲の融点Tを有するポリマーおよびこれらの混合物から選択される、前記〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の方法。
〔9〕前記コーティング材料が、50℃〜130℃の範囲の融点Tを有するポリマーから選択され、好ましくはポリエチレンから選択され、非常に特にポリエチレンワックスから選択される、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記コーティング材料が、粒子の形態であり、前記粒子の数平均直径が、前記触媒顆粒の数平均直径の3%以下である、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の方法。
〔11〕前記第2の工程中に使用されるコーティング材料の合計量が、コーティングされた触媒の合計質量に対して、0.05質量%〜5質量%、好ましくは0.1質量%〜3質量%、さらにより好ましくは0.3質量%〜1質量%の範囲である、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の方法。
〔12〕前記第2の工程が、前記コーティング材料の層で、前記顆粒をその表面において覆うものであり、前記コーティング材料の層の平均厚さが、0.01〜15μmの範囲である、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔13〕前記コーティング材料の層の平均厚さが、0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μm、より好適には0.05〜4μm、さらに良好には1〜3.5μmの範囲である、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕前記触媒が、多孔質耐火性酸化物支持体を含む炭化水素の水素化変換用触媒であり、前記多孔質耐火性酸化物支持体の上に、VIII族金属およびVIB族金属から選択される少なくとも1種の金属が堆積されている、前記〔1〕から〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕前記触媒支持体が、非晶質アルミナもしくは結晶性アルミナ、シリカまたはシリカ−アルミナから選択され、好ましくは、少なくとも30質量%のアルミナ、より好適には少なくとも50質量%のアルミナを含有する支持体である、前記〔14〕に記載の方法。
〔16〕前記触媒が、アルミナベース支持体上に堆積された金属複合体CoMo、NiMo、NiWまたはNiCoMoを含有する触媒から選択される、前記〔14〕または〔15〕に記載の方法。
〔17〕前記触媒顆粒が、1〜10mm、好ましくは2〜5mmの範囲の最大数平均寸法を有する、前記〔1〕から〔16〕のいずれか1項に記載の方法。