(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550140
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】アンダーフィル収容キャビティを伴う半導体デバイス・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01L 25/065 20060101AFI20190711BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20190711BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20190711BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
H01L25/08 C
H01L23/36 Z
【請求項の数】36
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-544901(P2017-544901)
(86)(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公表番号】特表2018-507560(P2018-507560A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】US2016019601
(87)【国際公開番号】WO2016140865
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年10月17日
(31)【優先権主張番号】14/635,888
(32)【優先日】2015年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100106851
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 泰久
(72)【発明者】
【氏名】チャンドル,アニルクマール
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ウェイン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァダフカー,サミア エス.
【審査官】
加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−533439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/065
H01L 23/36
H01L 25/07
H01L 25/18
H01L 23/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板材料から形成されたベース領域、前記ベース領域に沿った陥凹面、前記基板材料から形成され、前記ベース領域から突き出た周辺領域、および前記周辺領域に沿った側壁面を有する第1の半導体ダイであって、前記陥凹面と前記側壁面とが、前記周辺領域内にキャビティを画定する、第1の半導体ダイと、
前記キャビティに少なくとも部分的に入った複数の第2の半導体ダイからなるスタックと、
前記第1の半導体ダイの前記周辺領域に取り付けられた熱伝達構造体と、
前記キャビティを少なくとも部分的に充填し、前記周辺領域と前記複数の第2の半導体ダイからなるスタックとの間にフィレットを含むアンダーフィル材料と
を備える半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項2】
前記側壁面が、内側を向いて、前記複数の第2の半導体ダイからなるスタックに面し、
前記側壁面が、露出される部分を含む、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項3】
前記フィレットが、前記側壁面と前記複数の第2の半導体ダイからなるスタックとの間の第1の部分、および、前記熱伝達構造体と前記複数の第2の半導体ダイからなるスタックとの間の第2の部分を含む、
請求項2に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項4】
前記側壁面が、内側を向いて、前記複数の第2の半導体ダイからなるスタックに面し、
前記熱伝達構造体が、前記側壁面と概ね同一平面状に存在する内面を含む、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項5】
前記側壁面が、前記複数の第2の半導体ダイからなるスタックを向いた第1の側壁面を画定し、前記第1の半導体ダイが、0度以外の角度で、前記第1の側壁面から離れるように延びる第2の側壁面を更に含み、
前記アンダーフィル材料が、前記第1の側壁面および前記第2の側壁面を少なくとも部分的に覆う、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項6】
前記熱伝達構造体が、凹部を画定する第1の壁部分および第2の壁部分を含み、
前記複数の第2の半導体ダイのうちの少なくとも1つが、前記凹部内に配置される、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項7】
前記第1の半導体ダイが、前記ベース領域を貫通して延びる複数のシリコン貫通ビアを含み、
前記複数のシリコン貫通ビアが、前記複数の第2の半導体ダイからなるスタックに電気的に結合される、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の半導体ダイが、集積回路を含む、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項9】
前記集積回路が、前記周辺領域に少なくとも部分的に入るように配置される、
請求項8に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項10】
前記集積回路が、論理回路であり、
前記複数の第2の半導体ダイが、複数のメモリ・ダイである、
請求項8に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項11】
前記キャビティが、最低でも200μmの深さを有する、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項12】
前記複数の第2の半導体ダイがそれぞれ、約50〜約200μmの範囲内の厚さを有する、
請求項11に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項13】
前記キャビティが、最低でも300μmの深さを有する、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項14】
前記複数の第2の半導体ダイからなるスタックが、前記キャビティ内の少なくとも2つの半導体ダイを含む、
請求項1に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項15】
キャビティを有する論理ダイと、
前記キャビティ内の第1のメモリ・ダイと、
前記論理ダイに取り付けられた熱伝達構造体と、
前記第1のメモリ・ダイ上の第2のメモリ・ダイと、
前記第1のメモリ・ダイと前記第2のメモリ・ダイとの間にあり、前記キャビティを少なくとも部分的に充填するアンダーフィル材料と
を備える半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項16】
前記第1のメモリ・ダイの下方にあり、前記論理ダイを貫通して延びる複数のシリコン貫通ビアを更に備える、
請求項15に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項17】
前記論理ダイが、前記熱伝達構造体に隣接し、ある隙間分だけ前記第1のメモリ・ダイから分離された側壁面を含み、
前記アンダーフィル材料が、前記隙間に少なくとも入ったフィレットを含む、
請求項15に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項18】
前記熱伝達構造体が、前記第2のメモリ・ダイに取り付けられる、
請求項15に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項19】
前記熱伝達構造体が、前記アンダーフィル材料に接触しない、
請求項15に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項20】
前記論理ダイが、
前記キャビティに隣接し、前記熱伝達構造体に取り付けられた周辺領域、および
前記周辺領域内に少なくとも部分的に入って配置された集積回路構成部品
を含む、
請求項15に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項21】
前記集積回路構成部品が、シリアライザ/デシリアライザ回路を含む、
請求項20に記載の半導体デバイス・アセンブリ。
【請求項22】
半導体デバイス・アセンブリを形成する方法であって、
半導体基板内にキャビティを形成することと、
前記キャビティ内の陥凹面に複数の半導体ダイからなるスタックを取り付けることと、
前記複数の半導体ダイからなるスタックの個別の半導体ダイ同士の間にアンダーフィル材料を堆積させることと、
前記複数の半導体ダイからなるスタックと、前記キャビティに隣接する、前記半導体基板の周辺領域との間に余分なアンダーフィル材料を蓄積することと、
前記周辺領域に熱伝達構造体を取り付けることと
を含む方法。
【請求項23】
前記アンダーフィル材料を堆積させることが、前記個別の半導体ダイ同士の間に前記アンダーフィル材料を注入することを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記熱伝達構造体を前記複数の半導体ダイからなるスタックに取り付けることを更に含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記キャビティを形成することが、前記半導体基板に最低でも200μmの深さで孔をエッチングすることを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記半導体基板に厚さ300μm以下になるようにシニングを行うことを更に含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記キャビティを形成することが、前記半導体基板に最低でも300μmの深さで孔をエッチングすることを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記キャビティを形成することが、前記キャビティの底で複数のシリコン貫通ビア(TSV)を露出するように、前記半導体基板に孔をエッチングすることを含み、
前記複数の半導体ダイからなるスタックを取り付けることが、前記複数の半導体ダイのうち前記スタック内で一番下にある半導体ダイのボンド・パッドを、前記TSVにつなぐことを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記半導体基板が、集積回路を含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記熱伝達構造体を取り付けることが、前記複数の半導体ダイのうちの少なくとも1つの半導体ダイを、前記熱伝達構造体の凹部内に配置することを含む、
請求項22に記載の方法。
【請求項31】
半導体デバイス・アセンブリを形成する方法であって、
論理ダイのキャビティ内に少なくとも部分的に入るように、複数のメモリ・ダイからなるスタックを配置することと、
前記キャビティをアンダーフィル材料で少なくとも部分的に充填することと、
前記複数のメモリ・ダイのうちの少なくとも1つのメモリ・ダイを、熱伝達構造体の凹部内に配置することと、
前記熱伝達構造体を、前記キャビティに隣接する、前記論理ダイの周辺領域に取り付け
ることと
を含む方法。
【請求項32】
前記キャビティを前記アンダーフィル材料で少なくとも部分的に充填することが、前記複数のメモリ・ダイからなるスタックと前記周辺領域との隙間に余分なアンダーフィル材料を流すことを含む、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記キャビティの底で、前記複数のメモリ・ダイからなるスタックを複数のシリコン貫通ビアに電気的に結合することを更に含む、
請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記熱伝達構造体を、前記複数のメモリ・ダイのうちの前記少なくとも1つのメモリ・ダイに取り付けることを更に含む、
請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記論理ダイが、前記周辺領域に少なくとも部分的に入って配置された集積回路構成部品を含む、
請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記集積回路構成部品が、シリアライザ/デシリアライザ回路を含む、
請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する実施形態は、半導体デバイス・アセンブリに関し、詳細には、アンダーフィル収容キャビティを伴う半導体デバイス・アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリ・チップ、マイクロプロセッサ・チップ、イメージャ・チップを含めたパッケージ化された半導体ダイには、基板に実装され、プラスチック保護カバーに入れられた半導体ダイが一般に含まれる。こうしたダイは、メモリ・セル、プロセッサ回路、イメージャ・デバイスなどの機能フィーチャ、ならびに、これら機能フィーチャに電気的に接続されたボンド・パッドを含む。ボンド・パッドを、保護カバーの外側の端子に電気的に接続して、より高レベルの回路にダイを接続することを可能にすることもできる。
【0003】
半導体の製造者たちは、電子デバイスのスペース制約内に収まるように、ダイ・パッケージのサイズを縮小し続けており、また、作動パラメータを満たすために、各パッケージの機能的能力を増大させている。パッケージに覆われる表面積(すなわち、パッケージの「フットプリント」)を実質的に増大させずに、半導体パッケージの処理パワーを増大させる手法の1つは、単一パッケージ内で複数の半導体ダイを縦に積み重ねることである。縦に積み重ねたこのようなパッケージ内のダイは、シリコン貫通ビア(TSV)を使用して、それぞれのダイのボンド・パッドを隣接ダイのボンド・パッドに電気的に結合させることにより、相互接続することが可能である。
【0004】
縦に積み重ねたパッケージ内では、生成される熱が放散しにくく、こうなることで、個別のダイ、それらの間の接合部、およびパッケージ全体の動作温度が上昇する。これにより、多くの種類のデバイス内で、積み重ねられたダイがそれらの最高動作温度(T
max)を超える温度に達する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリの断面図である。
【
図2A】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリを製造する方法を示す断面図である。
【
図2B】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリを製造する方法を示す断面図である。
【
図2C】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリを製造する方法を示す断面図である。
【
図2D】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリを製造する方法を示す断面図である。
【
図2E】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリを製造する方法を示す断面図である。
【
図2F】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリを製造する方法を示す上面図である。
【
図2G】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリを製造する方法を示す断面図である。
【
図2H】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリを製造する方法を示す上面図である。
【
図3】本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリの上面図である。
【
図4】本技術の実施形態による半導体デバイスを含むシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
アンダーフィル収容キャビティ、または余分なアンダーフィル材料を収容するように構成された関連するせき止めフィーチャを伴う、積み重ねた複数の半導体ダイ・アセンブリのいくつかの実施形態の具体的詳細を以下で説明する。「半導体デバイス」という用語は、半導体材料を含んだ固体デバイスを一般に指す。半導体デバイスには、たとえば、ウエハまたは基板からのシンギュレーションにより得られる半導体基板、半導体ウエハ、または半導体ダイが含まれる場合がある。本開示内容を通して、半導体デバイスを半導体ダイの文脈で概ね説明するが、半導体デバイスは、半導体ダイに限定されない。
【0007】
「半導体デバイス・パッケージ」という用語は、1つまたは複数の半導体デバイスが共通のパッケージに組み込まれた構成を指す場合がある。半導体パッケージは、少なくとも1つの半導体デバイスを部分的にまたは完全に封入した筐体またはケーシングを含むこともある。また、半導体デバイス・パッケージは、1つまたは複数の半導体デバイスを担持し、ケーシングに取り付けられた、またはケーシングに組み込まれたインタポーザ基板を含む場合もある。「半導体デバイス・アセンブリ」という用語は、1つまたは複数の半導体デバイス、半導体デバイス・パッケージ、および/または基板(例、インタポーザ基板、支持基板、もしくは他の適当な基板)からなるアセンブリを指すこともある。
【0008】
本明細書では、「縦」、「横」、「上」および「下」といった語は、図面内に示した向きに照らした、半導体デバイス内でのフィーチャの相対的な方向または位置を指す場合がある。たとえば、「より上」または「最も上」と言えば、他のフィーチャよりもページの上端近くに位置するフィーチャを指すことがある。しかし、これらの語は、逆転した向きや傾いた向きなど、他の向きになった半導体デバイスを含むように広く解釈されたい。この場合、上端(top)/下端(bottom)、上(over)/下(under)、上方(above)/下方(below)、上(up)/下(down)、左(left)/右(right)が、向きに応じて入れ替わることもある。
【0009】
図1は、本技術の一実施形態に従って構成された半導体デバイス・アセンブリ100(「アセンブリ100」)の断面図である。図示のように、アセンブリ100は、パッケージ支持基板102と、基板102上の第1の半導体ダイ104と、第1のダイ104に取り付けられた熱伝達構造体、すなわちケーシング118と、第1のダイ104に実装された複数の第2の半導体ダイ106とを含む。第1のダイ104は、陥凹面110を有するベース領域105と、周辺領域112(当業者には「ポーチ」または「シェルフ」と呼ばれる)であって、ベース領域105から突き出し、上面115および周辺領域112の内部に沿った側壁面116を有する周辺領域112とを含む。陥凹面110と側壁面116とが、周辺領域112内にアンダーフィル収容キャビティ140を画定する。第2のダイ106は、キャビティ140の陥凹面110上のスタック108(「ダイ・スタック108」)内に配置され、隙間g
1だけ側壁面116から分離される。
図1に示す実施形態では、ケーシング108は、周辺領域112に取り付けられた第1の壁部分120と、ダイ・スタック108の上方で横に延びる第2の壁部分124とを含む。第1の壁部分120と、第2の壁部分124とは、ダイ・スタック108の一部分を収容する凹部114を、キャビティ140の上方に画定する。他の実施形態では、第1の半導体ダイ104の周辺領域112は、一番上の第2のダイ106以上の高さに延びることもあり、ケーシング118は、第1の壁部分120を有さない単一パネルであってもよい。少なくともいくつかの実施形態では、ケーシング118は、第1のダイ104からの熱エネルギーを概ね第1の壁部分120で吸収および放散し、ダイ・スタック108からの熱エネルギーを概ね第2の壁部分124で吸収および放散するように構成される。
【0010】
第1のダイ104および第2のダイ106は、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、フラッシュ・メモリ、他の形態の集積回路メモリ、処理回路、イメージング構成部品、および/または、他の半導体フィーチャなど、様々な種類の半導体構成部品および機能フィーチャを含みうる。様々な実施形態で、たとえば、アセンブリ100は、積み重ねられた第2のダイ106がDRAMダイ、またはデータ記憶装置をもたらす他のメモリ・ダイであり、第1のダイ104がHMC内でメモリ制御(例、DRAM制御)をもたらす高速論理ダイであるような、ハイブリッド・メモリ・キューブ(HMC)として構成することも可能である。
図1に示す実施形態では、第1のダイ104は、周辺領域112に少なくとも部分的に入って延びる集積回路128を含む。一実施形態では、集積回路128のうち周辺領域112に入って延びる部分は、シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)回路など、動作中に相対的に多量の熱を発する1つまたは複数の回路構成部品を含むことがある。他の実施形態では、第1のダイ104および第2のダイ106が、他の半導体構成部品を含むこともあり、かつ/または、ダイ・スタック108内の個別の第2のダイ106の半導体構成部品が、互いに異なることもある。
【0011】
アセンブリ100は、それぞれの第2のダイ106同士の間、および、第1のダイ104と、最低部の第2のダイ106との間にアンダーフィル材料130を更に含む。アンダーフィル材料130は、ダイ・スタック108と側壁面116との間の隙間g
1に入って延びる余剰部分134を含む場合がある。余剰部分134は、側壁面116を少なくとも部分的に覆い、フィレット132を含む。より詳細には後に説明するが、側壁面116とダイ・スタック108との間の隙間g
1は、アンダーフィル材料130の堆積中に、余分なアンダーフィル材料134が周辺領域112上に広がることを阻止または抑制するようにサイズを決めることも可能である。周辺領域または下にあるダイのポーチに熱伝導性部材を取り付ける他のデバイスでは、アンダーフィル材料は、通常、周辺領域を覆って横に広がる。一般には、アンダーフィル材料は、熱伝導性部材(例、ケーシング118または第1の半導体ダイ104の基板材料)と比較して熱伝導性が低いのが普通であり、よって、こうしたデバイス内での周辺領域と熱伝導性部材との間にあるアンダーフィル材料は、耐熱性を増大させることが可能である。さらに、こうしたデバイス内のアンダーフィル材料のフィレットにより、熱伝導性部材と周辺領域との間に、周辺領域上での熱伝導性部材のカバーエリアを小さくする大きな空間が作られる。
【0012】
図1に示すアセンブリ100のいくつかの実施形態では、アセンブリ100内の個別のダイ104、106の動作温度を下げる向上した熱的性質を適宜もたらすことが可能であり、これにより、それらダイは、指定された最高温度(T
max)よりも下に留まる。このことは、アセンブリ100がHMCとして構成された場合に非常に有効になりうるが、それは、第1のダイ104が通常は論理ダイであり、第2のダイ106が一般にはメモリ・ダイであり、論理ダイは普通、メモリ・ダイよりもはるかに高い電力レベルで動作する(例、0.628Wに対して5.24W)からである。さらに、周辺領域112内の集積回路128(例、SERDES回路)は、論理ダイのうちのメモリ・ダイよりも下の部分の中の集積回路構成部品よりも高い電力密度を一般に有し、この結果、周辺領域の温度が高くなる。こうして、アンダーフィル材料130をキャビティ140内に収容することにより、周辺領域112とケーシング128の第1の壁部分120との間の熱伝達の量を改善することが可能である。
【0013】
図2A〜
図2Hは、本技術の実施形態によるアセンブリ100を製造する方法のいくつかの態様を示す。
図2Aは、アセンブリ100の製造の一段階の断面図である。図示のように、第1のダイ104(
図1)は、たとえば、裏面研削で、第1の厚さt
1から第2の厚さt
2にシニングを行った半導体基板250(例、シリコン・ウエハ)から形成することも可能である。第2の厚さt
2は、周辺領域112(
図1)の厚さを概ね規定する。周辺領域112が厚いことの利点の1つは、その領域が、第1のダイ104の周縁部での熱放散を改善することができることである。さらに、周辺領域112が厚ければ、ダイの曲がりを軽減することも可能である。一実施形態では、第2の厚さt
2は、約300μmとすることもできる。他の実施形態では、第2の厚さt
2は、300μm未満(例、約200μm)または300μm超(例、約500μm)にすることもできる。
【0014】
更に
図2Aに示すように、基板250は、ベース領域105にて基板の前面254に部分的に入って延びる複数のシリコン貫通ビア(TSV)252を含むこともある。TSV252は、これより前の製造段階で、前面254に複数の孔をエッチングし、次いで、これらの孔を導電性材料(例、銅または銅合金)で充填することにより形成することも可能である。各TSV252は、導電性材料(例、銅)と、周囲の基板250からTSV252を電気的に分離するために導電性材料を囲む電気絶縁材料(図示せず)とを含むこともある。
【0015】
図2Bは、アセンブリ100を製造する方法の次の段階を示す断面図であり、この段階は、基板250に窪みをエッチングして、周辺領域112内でベース領域105の上にキャビティ140を画定する側壁116および陥凹面110を形成した後のものである。この窪みは、レジスト材料の層(図示せず)をパターニングし、湿式または乾式エッチング・プロセスを用いることによって形成することも可能である。よって、周辺領域112とベース領域105とは、基板250の材料からなる一体領域である。たとえば、周辺領域とベース領域とはともに、シリコンを含むことがある。
図2Bに示す実施形態では、キャビティ140の深さd
1は、TSV252の面258がキャビティ140の陥凹面110にて露出されるように選択される。少なくともいくつかの実施形態では、キャビティ深さd
1は、約50μm〜約200μmの範囲内(例、100μm)であってもよい。他の実施形態では、キャビティ深さd
1は、最低で200μmであってもよい。さらに他の実施形態では、キャビティ深さd
1は、最低で300μmであってもよい。
【0016】
少なくともいくつかの実施形態では、キャビティ深さd
1は、キャビティ140とともに配置する第2のダイ106(
図1)の数および/または第2のダイ106の厚さに基づいて選択することもできる。いくつかの実施形態では、第2のダイ106は、約50〜約200μmの範囲内(例、60μm)の厚さを有する。一実施形態では、半導体ダイからなるスタック(例、3個のダイ、4個のダイ、6個のダイ、8個のダイ、12個のダイ、20個のダイ、またはそれらより多くのダイからなるスタック)の全体をキャビティ140内に配置することも可能である。他の実施形態では、ダイ・スタック108の一部分のみをキャビティ140内に配置し、こうすることで、上部の半導体ダイのうちの1つまたは複数がキャビティ140の上端よりも上方に位置するようになる。たとえば、ダイ・スタックの半分、スタックの半分よりも大きな部分、スタックの半分よりも小さな部分、またはスタックの単一ダイのみを、キャビティ140内に配置することもできる。さらに、キャビティ140の幅、長さ、および/または形状を、ダイ・スタック108のサイズ(例、ダイ・スタック108のフットプリント)および/または形状に基づいて選択することも可能である。一実施形態では、キャビティ140とダイ・スタック108とは、同様の平面図形形状(例、長方形または矩形)を有する。
【0017】
図2Cは、アセンブリ100を製造する方法の次の段階を示す断面図であり、この段階は、周辺領域112の上面115およびベース領域105の陥凹面110上に誘電材料260が堆積された後であって、また、ベース領域105にてTSV252上に第1のボンド・パッド262が形成された後のものである。誘電材料260は、たとえば、キャビティ140の底で陥凹面110を覆う共形(コンフォーマルな)膜(例、シリコン酸化物膜)を含むこともある。第1のボンド・パッド262は、誘電材料260をパターニングしてTSV252を露出し、次いで、露出されたTSV252に導電性材料(例、銅)を電気めっきすることにより形成することも可能である。
【0018】
図2Dは、アセンブリ100を製造する方法の次の段階を示す断面図であり、この段階は、ダイ・スタック108を陥凹面110にてボンド・パッド262上に配置した後のものである。
図2Dに示すように、底部の第2のダイ106は、第2のボンド・パッド268と、第1のダイ104の対応する第1のボンド・パッド262に第2のボンド・パッド268を接続する複数の導電性素子264とを含む。第2のボンド・パッド268は、底部の第2のダイ106を貫通して延びるTSV266に結合することも可能であり、TSV266は、ダイ・スタック108の各レベルにて、更なる導電性素子264、ボンド・パッド268、およびTSV266に結合することも可能である。導電性素子264は、ピラー、カラム、ビョウ、バンプなど、適当な様々な構造を有することも可能であり、銅、ニッケル、はんだ(例、SnAgベースのはんだ)から作ることもできる。電気つながりの他には、導電性素子264およびTSV252、266は、第1のダイ104および第2のダイ106からの熱がその中を伝達することが可能である熱導管をもたらすことも可能である。
【0019】
図2Eは、アセンブリ100を製造する方法の他の段階を示す断面図であり、この段階は、第2のダイ106同士の間および第1のダイ104と底部の第2のダイ106との間にアンダーフィル材料130が堆積された後のものであり、
図2Fはその上面図である。
図2Eおよび
図2Fをともに参照すると、アンダーフィル材料130は、一般に、第2のダイ106と導電性素子264との間の間隙を充填する流動性材料である。一実施形態では、アンダーフィル材料130は、それぞれの第2のダイ106同士の間にそれをマイクロジェット噴射することにより、こうした間隙に注入することもできる。アンダーフィル材料130の体積は、間隙を適切に満たすように選択され、こうすることで、余分なアンダーフィル材料134が、側壁面116とダイ・スタック108との間の隙間g
1に入って、フィレット132を形成する。隙間g
1のサイズおよび/またはキャビティ深さd
1は、余分なアンダーフィル材料134が周辺領域112の上面115に流れることを阻止または抑制するように、また、アンダーフィル材料130のフィレット132を内部に収めるように選択することもできる。特定の実施形態では、アンダーフィル材料130が隙間g
1を完全には充填しない場合に、側壁面116の一部分236が露出されることもある。少なくともいくつかの実施形態では、アンダーフィル材料130は、非導電性のエポキシ・ペースト(例、日本の新潟県のナミックス株式会社により製造されるXS8448−171)、毛管アンダーフィル(capillary underfill)、非導電性膜、成型したアンダーフィルであってもよく、かつ/または、他の適当な電気絶縁材材料を含むこともある。あるいは、アンダーフィル材料130は、ドイツのDusseldorf のHenkelにより製造されるFP4585などの誘電性アンダーフィルであってもよい。いくつかの実施形態では、アンダーフィル材料130は、ダイ・スタック108を通じた熱放散を高めるために、材料の熱伝導性に基づいて選択することもある。
【0020】
図2Gは、アセンブリ100を製造する方法の他の段階を示す断面図であり、この段階は、第1のダイ104の周辺領域112にケーシング118が取り付けられた後のものであり、
図2Hはその上面図である。まず
図2Gを参照すると、ケーシング118の第1の壁部分120が、周辺領域112の上面115に第1の接着剤222により取り付けられ、ケーシング118の第2の壁部分124が、最上部の第2のダイ106に第2の接着剤226により取り付けられる。接着剤222と226は同一の接着剤であっても、互いに異なるものであってもよい。第1の接着剤222および第2の接着剤226は、たとえば、サーマル・インタフェース材料(「TIM」)または他の適当な接着剤であってもよい。たとえば、TIMおよび他の接着剤には、導電性材料(例、カーボン・ナノ・チューブ、はんだ材、ダイヤモンド状カーボン(DLC)など)でドープしたシリコーン・ベースのグリース、ゲル、または接着剤、ならびに、相変化材料が含まれることもある。いくつかの実施形態では、ケーシング118は、ニッケル、銅、アルミニウムなどの熱伝導性材料、熱伝導度の高いセラミック材料(例、窒化アルミニウム)、および/または、他の適当な熱伝導性材料から作られる。
【0021】
図示の実施形態では、ケーシング118の凹部114は、ダイ・スタック108の形状に適合する形状を有している。こうしたケースでは、凹部114は、ケーシング118内に配置するべき第2のダイ106の数に基づいて選択される高さh
1を有し、第1の壁部分120は、ダイ・スタック108と、第1の壁部分120の内面270との間に十分な空間をもたらし、フィレット132を内部に収めるように構成された隙間g
2だけ、ダイ・スタック108から離隔される。一実施形態では、ケーシング118は、アンダーフィル材料130に接触しない。少なくともいくつかの実施形態では、第1の壁部分120が周辺領域112の多くの割合を覆うように、第1の壁部分120の幅w
1を選択することが可能である。これらの実施形態および他の実施形態では、第1の壁部分120の内面270が、側壁面116と実質的に同一平面上に存在する場合もある。
図2Hを参照すると、第1の壁部分120は、ダイ・スタック108の少なくとも一部分を囲んで延びるように構成することも可能である。他の実施形態では、ケーシング118は、ダイ・スタック108の形状に適合するようには構成されない。
【0022】
図3は、本技術の実施形態による半導体デバイス・アセンブリ300(「アセンブリ300」)の他の実施形態の断面上面図である。アセンブリ300のいくつかのフィーチャは、アセンブリ100について先に説明したものと同様である。たとえば、アセンブリ300は、第1の半導体ダイ304のキャビティ340内に配置された第2の半導体ダイからなるダイ・スタック108を含むこともある。しかし、
図3に示す実施形態では、第1のダイ304は、ダイ・スタック108に面した第1の側壁面316と、第1の側壁面316から離れるように角度を付けられた第2の側壁面317とを含む。余分なアンダーフィル材料134が、第1の側壁面316および第2の側壁面317を少なくとも部分的に覆う。
図3に示す実施形態の一態様では、
図1に示すキャビティ140と比較して、余分なアンダーフィル材料134のより多くを収容するために、第2の側壁317が、キャビティ340の容積を増大させるようにすることも可能である。関連する一実施形態では、第2の側壁317を使用して、キャビティ深さd
1(
図2B)を増やさずにキャビティ340の容積を増大させることもできる。
【0023】
図1〜
図3に関連して先に説明した積み重ねた半導体デバイス・アセンブリのうちのいずれのアセンブリも、より大型であり、かつ/または、より複雑な無数のシステムのうちのどんなシステムにも組み入れることが可能であり、その代表的な例の1つは、
図4に模式的に示すシステム480である。システム480は、半導体デバイス・アセンブリ400、電源482、ドライバ484、プロセッサ486、および/または、他のサブシステムもしくは構成部品488を含むこともできる。半導体デバイス・アセンブリ400は、
図1〜
図3について先に説明した半導体デバイス・アセンブリのフィーチャと概ね同様のフィーチャを含むことも可能であり、よって、熱放散を高める様々なフィーチャを含むこともある。この結果得られるシステム480は、メモリ・ストレージやデータ処理などの幅広い種類の機能、および/または他の適当な機能のうちのどんな機能でも実施することが可能である。したがって、代表的なシステム480には、ハンドヘルド・デバイス(例、携帯電話、タブレット、デジタル・リーダ、デジタル・オーディオ・プレイヤ)、コンピュータ、車両、電気製品、および他の製品が含まれうるが、これらに限定されない。システム480の構成部品は、単一ユニット内に入れることができ、または、相互接続された複数のユニットにわたって(例、通信ネットワークを介して)分散させることもできる。システム480の構成部品には、遠隔デバイス、および幅広い種類のコンピュータ可読媒体のうちの任意の媒体が含まれることもある。
【0024】
本技術の具体的な実施形態が例証目的で本明細書中に記載されているが、本開示内容から逸脱することなく、様々な修正を加えることもできることが上記から理解されるであろう。たとえば、一実施形態では、アンダーフィル収容キャビティ140が、中心から外れて配置されることもあり、キャビティの一方の側の周辺領域112が、他方側の周辺領域よりも大きい場合もある。さらに、半導体ダイ・アセンブリの実施形態のうちの多くをHMCに関連して説明しているが、他の実施形態では、半導体ダイ・アセンブリが、他のメモリ・デバイスまたは他の種類の積み重ねた半導体ダイ・アセンブリとして構成されることもある。さらに、特定の実施形態の文脈で説明した本新規技術の特定の態様を、他の実施形態で、組み合わせること、または削除することもある。さらに、本新規技術の特定の実施形態に関連する利点を、これらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態がこうした利点を示すこともあり、全ての実施形態が、必ずしも、本技術の範囲に含まれるように、こうした利点を示す必要はない。したがって、本開示内容および関連技術は、図示または本明細書中での説明を明確に行ってはいない他の実施形態を包含することもある。