特許第6550144号(P6550144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6550144ストレプトマイセスおよびそれを用いてミルベマイシンA3を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550144
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】ストレプトマイセスおよびそれを用いてミルベマイシンA3を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20190711BHJP
   C12P 17/18 20060101ALI20190711BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALN20190711BHJP
   A61P 33/10 20060101ALN20190711BHJP
   C12R 1/55 20060101ALN20190711BHJP
【FI】
   C12N1/20 AZNA
   C12P17/18 D
   !A61K31/7048
   !A61P33/10
   C12R1:55
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-549455(P2017-549455)
(86)(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公表番号】特表2018-512845(P2018-512845A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】CN2016077357
(87)【国際公開番号】WO2016155568
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年11月9日
(31)【優先権主張番号】201510137674.0
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】CN
【微生物の受託番号】CGMCC  CGMCC NO.9672
(73)【特許権者】
【識別番号】510116819
【氏名又は名称】浙江海正薬業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Hisun Pharmaceutical CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】滕雲
(72)【発明者】
【氏名】徐美冬
(72)【発明者】
【氏名】莫美依
(72)【発明者】
【氏名】何志慧
(72)【発明者】
【氏名】陳正杰
(72)【発明者】
【氏名】江連清
(72)【発明者】
【氏名】白▲か▼
【審査官】 野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−089272(JP,A)
【文献】 特開平06−345768(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/089550(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/121488(WO,A1)
【文献】 特開平06−179680(JP,A)
【文献】 特開2005−198658(JP,A)
【文献】 特表2018−509166(JP,A)
【文献】 WANG, X.J. et al.,"Improvement of milbemycin-producing Streptomyces bingchenggensis by rational screening of ultraviolet- and chemically induced mutants.",World Journal of Microbiology and Biotechnology,2009年,Vol.25,pp.1051-1056,doi:10.1007/s11274-009-9986-5
【文献】 OKADA, S. et al.,"Scale‐up Production of Milbemycin by Streptomyces hygroscopicus subsp. aureolacrimosus with Control of Internal Pressure, Temperature, Aeration and Agitation.",Journal of Chemical Technology & Biotechnology,1997年,Vol.70,pp.179-187
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00− 7/08
C12P 1/18−41/00
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CGMCC No.9672の受入番号で寄託され、ミルベマイシン(milbemycin)を産生する能力を有することを特徴とする、ストレプトマイセス ヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)HS7523。
【請求項2】
ミルベマイシンの製造のための、請求項1に記載のストレプトマイセスHS7523の使用。
【請求項3】
同化炭素源と同化窒素源とを含む栄養培地にてストレプトマイセスHS7523を好気性発酵させる工程を含むことを特徴とする、ミルベマイシンの発酵方法。
【請求項4】
上記同化炭素源が、澱粉、デキストリン、グルコース、工業糖蜜、グリセロール、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、キシラン、マンニトールおよびソルビトールのうちの1つ、またはこれらの物質の組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記同化窒素源が、酵母エキス、パン種、牛肉エキス、トリプトン、ペプトン、脱脂粉乳、全脂粉乳、大豆ケーキ粉末、綿実ケーキ粉末、ピーナッツケーキ粉末、グルテン粉末、コーンパルプ乾燥粉末、糠、尿素およびアンモニウム塩のうちの1つ、またはこれらの物質の組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
上記栄養培地が、2〜10g/Lの酵母エキス、酵母エキスペーストまたはペプトン、20〜200g/Lのスクロースまたは糖蜜、2〜11g/Lの脱脂粉乳またはコーンパルプ、2〜11g/Lの大豆ケーキ粉末、5〜15g/Lの綿実ケーキ粉末またはグルテン粉末、0.5〜1g/LのKHPO、0.05〜0.1g/LのFeSO・7HO、0.005〜0.02g/LのZnSO、1〜5g/LのCaCO、0.01〜0.05g/LのCuSOおよび0.1〜0.5g/LのNaMoOを含むことを特徴とする、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
上記発酵の温度が、20〜40℃であり、上記栄養培地のpHが、6.0〜8.0であり、上記発酵の時間が、300〜360時間であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
上記発酵の温度が、25〜35℃であり、上記栄養培地のpHが、7.0であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記発酵の時の溶存酸素が、35%以上であることを特徴とする、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
上記発酵の時の通気量が、0.5〜1.0vvmであることを特徴とする、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しいストレプトマイセス(Streptomyces)およびストレプトマイセスの発酵培養によってミルベマイシン(milbemycin)A3を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミルベマイシンは、微生物源からの天然産物であり、これは、農薬として用いることができ、また、現代の世界で最も良好なダニ駆除剤の一つであることを示すデータがある。米国環境保護機関(Environmental Protection Agency)は、これを、危険性の低い農薬であると確認し、オランダは、これを、「GNO」(作物の生産における天然産物)として承認している。これは、生態系に優しい農薬に属しており、有機農業の病虫害の総合的な防止に応用可能であり、発達した国家において、好評な殺虫剤およびダニ駆除剤となってきている。
【0003】
ミルベマイシンは、試験用の虫として二斑クモダニを用いて、日本の三共製薬による微生物の発酵液からスクリーニングされた、殺虫活性を有する代謝産物である(US3,950,360)。大量の基礎研究を経て、1983年に、ダニ駆除剤として、ミルベマイシンA3およびミルベマイシンA4の成分の混合物(A3:A4=3:7)が用いられた。ミルベマイシンA3およびミルベマイシンA4の構造を式Iに示す。1990年に、日本で、茶および茄子に対するダニ駆除剤として、1%のミルベマイシン乳剤(milbeknock)が用いられた。1%のミルベマイシン乳剤はまた、1993年に、日本で、梨、桃、西瓜、苺、茄子および花卉に対する農薬として登録された。現在、ミルベマイシンは、日本や、ヨーロッパの多くの国、米国などの多くの国で登録されており、安全で環境に優しい殺虫剤およびダニ駆除剤として、米国環境保護機関によって使用が推奨されている。
【0004】
ミルベマイシンを含む発酵液は、複雑な組成を有しており、分離が困難であるので、ミルベマイシンは通常、ミルベマイシンA3成分およびミルベマイシンA4成分の混合物として報告され、単独成分の製造と使用はめったに報告されない。この主要な原因は、A3およびA4の類似の比率を有する液からA3およびA4の単独成分を分離することが困難であることであり、このことが、最終的な生産量に影響を及ぼす。A3の場合、液中のA3の含量は30%より小さい。A3の単独成分を得るために、多くのA4が消失してしまう。A3またはA4の単独成分を生産することを実現することは、ミルベマイシンの単独成分の、他の領域での応用をさらに容易化することができる。単独成分を得るための最も効率的な方法は、単独成分を産生する新しい菌種を獲得することである。
【0005】
【化1】
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、ミルベマイシンA3の単位生産量を増加させることができる微生物菌種を提供することであり、本発明は、発酵液中のミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の70%を超える百分率を占め、ミルベマイシンA3の単位生産量が3000ug/mlを超える量に到達することができ、不純物含量が低いことを特徴としている。
【0007】
本発明のストレプトマイセスHS7523の微生物菌種は、2014年9月16日、中国微生物菌種寄託管理委員会普通微生物センター(China General Microbiological Culture Collection Center)(住所:Institute of Microbiology, Chinese Academy of Sciences, No.1 Beichen West Road, Chaoyang District, Beijing)に、CGMCC No.9672の寄託番号で寄託され、Streptomyces hygroscopicusとして分類・命名され、登記され、生存が証明された。
【0008】
本発明のストレプトマイセスHS7523の主要な生物学特性は以下の通りである:コロニーが、ISP1、ISP2、ISP3培地上では白色で、円形であり、中間に少し突起があり、皺が多く、中型サイズの直径(約6mmほど)であり、胞子は少なく、基質菌糸が発達しており、菌糸が培地と緊密に結合していて引き起こしが容易でなく、ISP1およびISP2培地上では色素が産生されず、ISP3培地上ではベージュ褐色の色素が産生される。
【0009】
本発明は、ストレプトマイセスHS7523の形態学的特性および分子レベルの特性を述べる。公知のミルベマイシン産生菌を形態学および分子レベルで比較することによって、ストレプトマイセスHS7523はStreptomyces hygroscopicusに属することが確認された。ストレプトマイセスHS7523は、Streptomyces sp. NRRL 5739 16s rRNAと99%の相同性を有し、Streptomyces bingchenggensis BCW−1と99%の相同性を有する。ストレプトマイセスHS7523菌株と、他のミルベマイシン産生菌の間の、形態学上の最大の相違点は、Streptomyces sp. CGMCC No. 7677などの他の菌種のコロニーが、産生プレート上のコロニー表面に金色の涙を分泌し、色素が産生されるが、ストレプトマイセスHS7523は、同じ培地上で、灰色がかった白色であり、表面に涙を有さず、色素が産生されないことである(図2参照)。
【0010】
本発明はまた、ストレプトマイセスHS7523(CGMCC No.9672)を用いることによって、ミルベマイシンを製造する方法を提供する。この方法は、同化炭素源と同化窒素源とを含む栄養培地にてストレプトマイセスHS7523(CGMCC No.9672)を好気性発酵させる工程を含む。
【0011】
好ましい実施形態では、好ましくは、上記炭素源が、澱粉、デキストリン、グルコース、工業糖蜜、グリセロール、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、キシラン、マンニトールおよびソルビトールのうちの1つ、またはこれらの物質の組み合わせから選択される。
【0012】
好ましい実施形態では、好ましくは、上記窒素源が、酵母エキス、パン種、牛肉エキス、トリプトン、ペプトン、脱脂粉乳、全脂粉乳、大豆ケーキ粉末、綿実ケーキ粉末、ピーナッツケーキ粉末、グルテン粉末、コーンパルプ乾燥粉末、糠、尿素およびアンモニウム塩のうちの1つ、またはこれらの物質の組み合わせから選択される。
【0013】
好ましい実施形態では、上記栄養培地が、2〜12g/Lの酵母エキス、酵母エキスペーストまたはペプトン、20〜200g/Lのスクロースまたは糖蜜、2〜11g/Lの脱脂粉乳またはコーンパルプ、2〜11g/Lの大豆ケーキ粉末、5〜15g/Lの綿実ケーキ粉末またはグルテン粉末、0.5〜1g/LのKHPO、0.05〜0.1g/LのFeSO・7HO、0.005〜0.02g/LのZnSO、1〜5g/LのCaCO、0.01〜0.05g/LのCuSOおよび/または0.1〜0.5g/LのNaMoOを含む。
【0014】
好ましい実施形態では、発酵培養の温度が、20〜40℃、さらに好ましくは25〜35℃であり、培地のpHが、6.0〜8.0、好ましくは約7.0であり、発酵の時間が、300〜360時間であり、溶存酸素が、35%以上であり、通気量が、0.5〜1.0vvmである。
【0015】
発酵方式は、液中発酵である。
【0016】
ミルベマイシンは、以下の方法によって測定可能である:
0.5mlの発酵液に4.5mlの75%エタノールを加える。得られた混合物を均質に混合し、15分間3000rpmで遠心分離する。上澄み液を取って試料を注入する。
HPLCカラム:Zorbex RX−C8、150mm×4.6mm、5μm
UV吸収波長:240nm
温度制御:22℃
HPLC流動相条件:表9に示す。
注入量:10μl。
【0017】
本発明で採用されるミルベマイシン産生菌は、ストレプトマイセスHS7523(CGMCC No.9672)、または、ストレプトマイセスHS7523(CGMCC No.9672)の自然突然変異体または通常の突然変異誘発によって得られた突然変異体である。
【0018】
本発明の主要な有利な点は以下の通りである。
【0019】
(1)本発明は、新しいミルベマイシン産生菌であるストレプトマイセスHS7523およびそれを用いてミルベマイシンを製造する方法を提供する。本発明のストレプトマイセスHS7523は、発酵液中のミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の70%を超える百分率を占め、ミルベマイシンA3の単位生産量が3000ug/mlを超える量に到達することができ、不純物含量が低いことを特徴としている。
【0020】
(2)本発明のストレプトマイセスHS7523は、発酵法によって発酵生成物中のミルベマイシンA3の比率を改善するので、ミルベマイシンA3の単独成分の製造の困難さが軽減され、これは、製造コストを下げてミルベマイシンA3の単独成分の応用範囲を広げるのに有利である。
【0021】
(3)ミルベマイシンA3の発酵単位が改善される。原始菌であるStreptomyces milbemycinicus CGMCC No.7677の力価と比べて、本発明のストレプトマイセスHS7523によって製造されるミルベマイシンA3の力価は、大幅に増加しており、これは産業的生産に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のストレプトマイセスHS7523の選択育成ダイヤグラムである。
図2】本発明のストレプトマイセスHS7523菌株のコロニー形態とStreptomyces milbemycinicus CGMCC No.7677のコロニー形態との比較であり、Aは、Streptomyces milbemycinicus CGMCC No.7677のコロニー形態であり、Bは、本発明のストレプトマイセスHS7523のコロニー形態である。
図3】ミルベマイシンA3の標準品およびミルベマイシンA4の標準品のHPLCクロマトグラムである。
図4】実施例5の発酵液中でのHPLCクロマトグラムである。ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の72%を占める。
図5】実施例6の50Lの発酵槽中でのミルベマイシンA3およびミルベマイシンA4の製造における本発明のストレプトマイセスHS7523の発酵曲線である。
図6】実施例6の条件下での本発明のストレプトマイセスHS7523により産生されたミルベマイシンA3のHPLCクロマトグラムである。ミルベマイシンA4の含量は1246mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量は3050mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の71%を占める。
【実施例】
【0023】
以下の実施例で用いられる実験方法は、特に記載のない限り、すべて、従来の方法である。
【0024】
以下の実施例で用いられる材料、試薬等は、特に記載のない限り、すべて、商業的に入手可能である。
【0025】
以下の具体的な実施形態を参照して本発明を説明する。以下の実施例は、本発明を説明することを意図したものであり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0026】
ミルベマイシンA3およびミルベマイシンA4の標準品の製造は、米国特許US3,950,360の実施例1に記載されている。
スクロースは、Guangxi Dongmen Nanhua Sugar Industry Co., Ltd.の製品である。
酵母エキスは、Zhejiang Dongcheng Pharmaceutical Co., Ltd.の製品である。
酵母エキスペーストは、Hefei Laisi Biological Engineering Co., Ltd.の製品である。
ペプトンは、Huzhou Confluence Biological science and technology Co., Ltd.の製品である。
糖蜜は、Guangdong Jiangmen Biological science and technology Co., Ltd.の製品である。
脱脂粉乳は、Hulunbeier Sanyuan Milk Co.,Ltd.の製品である。
コーンパルプは、Shandong Shouguang Juneng Golden Corn Co., Ltd.の製品である。
大豆ケーキ粉末は、Ningbo Beilun Jiangnan Oil Co., Ltd.の製品である。
綿実ケーキ粉末は、Beijing Kang Mingwei Medium Technology Co., Ltd.の製品である。
グルテン粉末は、Beijing Kang Mingwei Medium Technology Co., Ltd.の製品である。
【0027】
〔実施例1: 菌株の源〕
本発明のストレプトマイセスHS7523は、ミルベマイシン産生菌であるStreptomyces milbemycinicus CGMCC No.7677(中国特許CN103789339A参照)に基づいて、(NTG、EMS、UV等の突然変異誘発手段を含む)多数回の突然変異誘発および選択育成によって得られた、高比率のミルベマイシンA3を有する菌種である。原始菌種と比べて、菌種の外観が大きく変化し、形態学的突然変異体に属する。
【0028】
28℃で10〜12日間、Streptomyces milbemycinicus CGMCC No.7677をISP3斜面培地上で培養した。次に、接種シャベルでの無菌条件で、菌糸を研磨口管中で研磨し、その後、無菌水に懸濁させ、菌懸濁液を得た。NTG(ニトロソグアニジン)、EMS(エチルメタンスルフォン酸エステル)、UV(紫外線)を用いて、菌懸濁液を突然変異誘発に付した。具体的な方法は以下の通りである。
【0029】
NTG結晶を10mg取り、無菌Tris緩衝液(pH8.0)10mlに溶解させ、その後、トランスファーピペットを用いて菌懸濁液1mlを加えた。その後、得られた混合物を、28℃の培地に置き、回転または往復式の振盪機にて30分間振盪した。適度に希釈した後、処理した混合物をISP3プレートに塗布した。突然変異誘発処理に付さなかった菌懸濁液も適度に希釈し、対照としてISP3プレートに塗布した。28℃で10日間培養した後、コロニーの数をチェックし、致死率を計算した。
【0030】
10−1または10−2の単独細胞菌懸濁液5ml〜10mlを、留め具の付いたプレート(直径9cm)に徐々に加えた。その後、プレートをUV誘導箱内に置き、磁力攪拌機の上に置いた。その後、蓋を開け、撹拌しながら、30cmの距離で数分間(通常2〜5分間)、プレートにUV15Wを照射した。照射後、プレートを黒い布で包み、その後、生理食塩水(0.9塩化ナトリウム溶液)で10−2〜10−7倍に希釈し、希釈液をISP3プレートにそれぞれ塗布し、突然変異誘発グループを得た。
【0031】
EMSを1ml取り、無水エタノール2mlに溶解させ、0.1モル/Lのリン酸緩衝液(pH7.2)22mlをさらに加えた。10−1または10−2の単独細胞菌懸濁液5mlを、留め具の付いたプレートに徐々に加えた。その後、4.0%EMS溶液の5mlをプレート中に加え、EMSの最終濃度は2.0%であった。その後、プレートを磁力攪拌機の上に置いて20〜60分間撹拌した。反応を止めるために、突然変異誘発プレート中に5%チオ硫酸ナトリウムを10ml加えた。その後、得られた混合物を今度は生理食塩水で10−2〜10−7倍に希釈し、希釈液をISP3プレートにそれぞれ塗布し、突然変異誘発グループを得た。
【0032】
多数回の上記の単独または組み合わせた突然変異誘発の後、10,000株以上の単独コロニーが選択されて振盪フラスコ発酵に付された。ミルベマイシンの生産量はHPLCで測定される。図1に示すように、多数回の突然変異誘発によって、突然変異体のStreptomyces hygroscopicusHS7523を選出した。
【0033】
〔実施例2: ストレプトマイセスHS523の培養特性〕
以下の実験は、「Streptomyces鑑定マニュアル」、「actinomyceteの分類と鑑定」および「一般細菌系統鑑定マニュアル」を参照して行った。
【0034】
28℃で、7〜10日間、10種類の培地、すなわち、ISP1、ISP2、ISP3、ISP4、ISP5、Gause氏No.1、リンゴ酸カルシウム、栄養寒天、YMSおよびCzapek氏にて培養した後、菌糸の色と色素を観察した(培養特性を表1に示した)。
【0035】
【表1】
【0036】
注:表1中、「/」は色素が産生されなかったことを表す。
【0037】
〔実施例3: ストレプトマイセスHS7523の生理学および生化学試験〕
以下の実験は、「Streptomyces鑑定マニュアル」、「actinomyceteの分類と鑑定」および「一般細菌系統鑑定マニュアル」を参照して行った。温度試験以外は、培養はすべて、28℃で、7〜10日間行った。
【0038】
(1)炭素源の利用:基礎培地としてISP9を採用し、種々の炭素源の最終濃度はすべて1.0%であった。結果を表2に示した。
【0039】
(2)無機窒素源の利用:基礎培地としてISP9を採用し、KNOおよび(NHSOの濃度はどちらも0.1%であった。結果を表2に示した。
【0040】
(3)分解試験およびNaCl耐性試験(結果を表7に示した)は、基礎培地としてGYEA(pH6.8)を採用した。種々の分解生成物の濃度を表3に示した。結果を表3に示した。
【0041】
(4)酸化酵素およびカタラーゼ試験(結果を表4に示した)、pH試験(結果を表5に示した)および温度試験(結果を表6に示した)は、すべて、YMS培地を採用した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
注:表2〜表7において、0:増殖なし、1:増殖が弱い、2:増殖可能で少量の胞子あり、3:良好な増殖で、多数の胞子あり、4:最高の増殖で、豊富に胞子あり、+:陽性、−:陰性である。
【0049】
〔実施例4: 16S rDNAのシーケンス分析および公知のミルベマイシン産生菌との比較〕
ISP2上で良好に増殖した本発明の菌糸を収集し、ガラスビーズを含んだTSB液体培地に接種し、28℃でインキュベーターに置き、250r/分で2〜4日間振盪培養した。その後、遠心分離で菌糸を収集し、無菌水で2回洗浄し、4℃で保存して使用に備えた。
【0050】
(1)菌糸を1000rpmで1分間遠心分離した。
【0051】
(2)最終濃度が3〜4mg/mlになるまで、リゾチーム溶液(菌糸体積:リゾチーム溶液=1:5〜10)を加え、その後、37℃で1〜3時間水浴に置いた。
【0052】
(3)50〜100ug/mlのプロテイナーゼKおよび1%SDSを加え、その後、37℃で0.5〜3時間水浴に置いた。
【0053】
(4)等体積の中性フェノール/クロロホルムを加え、30秒間振盪し、その後、12000rpmで5分間遠心分離した。
【0054】
(5)上澄み液に1/10体積の3MのNaAc溶液と、等体積のイソプロパノールとを加え、均質に混合し、5分間室温に置き、その後、12000rpmで5分間遠心分離した。
【0055】
(6)沈殿物を70%エタノール2回洗浄し、乾燥後、TE/RNaseに溶解させた。
【0056】
(7)抽出したゲノムをテンプレートとして用い、その後、ユニバーサルプライマーを用いてPCR増幅を行った。
【0057】
フォワードプライマー27Fは、5’−GAGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’(SEQ ID No.1)であり、
リバースプライマー1495Rは、5’−CTACGGCTACCTTGTTACGA−3’(SEQ ID No.2)である。
【0058】
反応は、PCR増幅器上で行った。工程は以下の通りである:95℃で5分間、前変性させ、94℃で45秒間の変性と55℃で45秒間のアニーリングと72℃で90秒間の延伸とのサイクルを30回行い、その後、72℃で10分間延伸した。反応系は以下の通りである:
脱イオン水 14.25μL
10×PCRバッファー 2.0μL
dNTP混合物 0.5μL
Taqポリメラーゼ 0.25μL
プライマー1(27F) 1.0μL
プライマー2(1495R) 1.0μL
DNAテンプレート 1.0μL(濃度に基づいて定量した)。
【0059】
PCR生成物を0.8%寒天ゲル電気泳動で測定した。明瞭なバンドの生成物を選択して精製した。増幅された生成物をゲル電気泳動で回収し、Tベクターに連結してシークエンシングした。菌種の16S rDNAの一次構造が得られた。結果は、Genebankのデータベース(blast)の類似性検索を行うことによって、ストレプトマイセスHS7523が、Streptomyces sp. NRRL 5739 16s rRNAと99%の相同性を有すること、および、Streptomyces bingchenggensisBCW−1と99.5%の相同性を有することを示した。
【0060】
【表8】
【0061】
〔ストレプトマイセスHS7523と、公知のミルベマイシン産生菌との比較〕
US3950360によって報告されているように、ミルベマイシン産生菌であるStreptomyces NRRL NO.5739については、ISP2培地上のその空中の菌糸は灰色で、背面は黄褐色であり、コロニー表面には多くの黄色い涙があり、黄色の色素が産生され、ISP4培地上のその空中の菌糸は灰色で、背面は黄土(カーキ)色であり、コロニー表面にはやはり多くの黄色い涙があり、明るいオリーブ緑色の色素が産生され、アラビノースとキシロースとが利用可能であった。一方、本発明のストレプトマイセスHS7523については、ISP2培地上のその空中の菌糸は白色で、背面はベージュ色であり、コロニー表面に涙は無く、色素は産生されず、ISP4培地上のその空中の菌糸は白色で、背面は象牙色であり、コロニー表面に涙は無く、色素は産生されず、アラビノースとキシロースとは利用不可能であった。
【0062】
CN101100651Aによって報告されているように、ミルベマイシン産生菌である、Gause氏No.1 培地上のStreptomyces bingchengsis sp.nov CGMCC No.1734のコロニーの表面は灰色(黒色の吸水斑があった)で、コロニーの背面は黄灰色で、黄褐色の色素が産生された。一方、Gause氏No.1 培地上の本発明のストレプトマイセスHS7523のコロニーの表面は、中央部は白色で、周囲部はテレグレイ4であり、コロニーの背面はテレグレイ4で、色素は産生されなかった。
【0063】
要約すれば、本発明のストレプトマイセスHS7523は、Streptomyces属に属するが、公知のミルベマイシン産生菌であるStreptomyces NRRL NO.5739およびStreptomyces bingchengsis sp.nov CGMCC No.1734とは異なっている。ストレプトマイセスHS7523は新しい菌種である。
【0064】
本発明のストレプトマイセスHS7523菌株のコロニーの形態と、Streptomyces milbemycinicus CGMCC No. 7677との比較図を図2に示す。
【0065】
〔実施例5: ミルベマイシンA3の製造〕
〔(1) 斜面上の菌糸の製造および培養〕
斜面胞子培地の処方(g/L):酵母エキス2、麦芽エキス2、スクロース8、脱脂粉乳1、寒天20であり、消毒前のpH7.0〜7.2、試験管30×200mm、充填体積20mLであり、121℃で20分間滅菌した後、培地を50〜60℃に冷却し、斜面を形成した。その後、斜面に菌糸リングを接種した。28±1℃の温度で10日間培養した後、菌糸が成熟した。
【0066】
〔(2) 種培地の製造および培養〕
種培地の処方(g/L):酵母エキス5、ペプトン5、スクロース20、脱脂粉乳2、KHPO 0.5であり、消毒前のpHは7.0〜7.2であった。振盪フラスコの充填体積は250mLであり、三角フラスコは30mLであった。種培地を121℃で20分間滅菌した。菌の接種量は10〜10c.f.u./mLであり、培養温度は28±1℃であり、振盪機内にて48時間、250rpmで振盪培養した。
【0067】
〔(3) ミルベマイシンA3発酵培地の製造および培養〕
発酵培地の処方(g/L):酵母エキス5、スクロース120、脱脂粉乳10、大豆ケーキ粉末10、綿実ケーキ粉末14、KHPO 1、FeSO・7HO 0.1、ZnSO 0.02、CaCO 5、CuSO 0.05、NaMoO 0.5であった。振盪フラスコの充填体積は250mLであり、三角フラスコは30mLであった。発酵培地を121℃で20分間滅菌した。その後、10%(体積百分率)の接種量で種培地を接種し、振盪機内にて温度28±1℃、250rpmで14日間振盪培養し、発酵後、発酵液をHPLCで測定した。
【0068】
ミルベマイシンのHPLC測定方法は以下の通りである:
0.5mlの発酵培地に4.5mlの75%エタノールを加える。得られた混合物を均質に混合し、15分間3000rpmで遠心分離する。上澄み液を取って試料を注入する。
HPLCカラム:Zorbex RX−C8、150mm×4.6mm、5μm
UV吸収波長:240nm
温度制御:22℃
HPLC流動相条件は以下の通りであった。
【0069】
【表9】
【0070】
注入量:10μl。
【0071】
同様の条件下での、ミルベマイシンA3の標準品およびミルベマイシンA4の標準品のHPLCクロマトグラムを図3に示した(以下の実施例の発酵液のHPLC測定は、すべて、ミルベマイシンA3の標準品およびミルベマイシンA4の標準品のHPLC測定ステップを含んでいた)。
【0072】
発酵液中でのHPLCクロマトグラムを図4に示した。
【0073】
同様の条件下での、目的産物のHPLCクロマトグラムの保持時間をミルベマイシンA3の標準品およびミルベマイシンA4の標準品のHPLCクロマトグラムの保持時間と比較することにより、発酵液の目的産物が、ミルベマイシンA3およびミルベマイシンA4であることが確定された(以下の実施例の発酵液のHPLCクロマトグラムの比較によって、目的産物がミルベマイシンA3およびミルベマイシンA4であることが確定された)。
【0074】
発酵液中のミルベマイシンA4の含量は1206mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量は3100mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の72%を占めた。
【0075】
〔実施例6: ミルベマイシンA3の製造〕
〔(1) 種タンクでの種培地の製造〕
種培地10L(種培地の処方については実施例5を参照。同時に、泡を消す薬剤として0.25%の消泡剤を添加した)を、15Lの種タンクに投入した。121℃で30分間、蒸気滅菌を行った。冷却後、200mlの振盪フラスコ種培地をその中に接種し、その後、温度28±1℃、撹拌速度150rpmで、通気量1vvmにて、48時間培養した。
【0076】
〔(2) 発酵槽培地の製造および培養〕
発酵培地の処方は実施例5と同様であり、ただし、泡を消す薬剤として0.25%の消泡剤の添加を要した。発酵槽の体積は50Lであり、供給材料の体積は35Lであった。消毒前の発酵培地のpHは7.2〜7.6であった。121℃で25分間、蒸気滅菌を行った。冷却後、その中に約3.5Lの種タンク培地を接種し、温度28±1℃で発酵させ、最低150rpmの撹拌速度で撹拌し、溶存酸素は35%以上であった。通気量は0.6vvmであり、14日間発酵培養し、その後、発酵槽を解放した。発酵後、実施例5に示すように発酵液をHPLCで測定した。発酵液においては、ミルベマイシンA4の含量は1246mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量は3050mg/Lであると測定され、ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の71%を占めた。
【0077】
発酵槽中でのミルベマイシンA3およびミルベマイシンA4の発酵曲線を図5に示した。
【0078】
発酵液中でのミルベマイシンA3(F075−A3)のHPLCクロマトグラムを図6に示した。
【0079】
〔実施例7: ミルベマイシンA3の製造〕
〔(1) 種タンクでの種培地の製造〕
種培地8T(種培地の処方については実施例5を参照。同時に、泡を消す薬剤として0.25%の消泡剤を添加した)を、15Tの種タンクに投入した。121℃で35分間、蒸気滅菌を行った。消毒後、培地の体積は10Tであった。冷却後、2Lの振盪フラスコ種培地をその中に接種し、その後、温度28±1℃、撹拌速度100rpmで、通気量0.8vvmにて、48時間培養した。
【0080】
〔(2) 発酵槽培地の製造および培養〕
発酵培地の処方は実施例5と同様であり、ただし、泡を消す薬剤として0.25%の消泡剤の添加を要した。発酵槽は70Tであり、供給材料の体積は55Tであった。消毒前のpHは7.2〜7.6であった。121℃で35分間、蒸気滅菌を行った。冷却後、約6Tの種タンク培地をその中に接種し、温度28±1℃で発酵させ、最低50rpmの撹拌速度で撹拌し、溶存酸素は35%以上であった。通気量は0.5vvmであり、14日間発酵培養し、その後、発酵槽を解放した。発酵後、実施例5に示すように発酵液をHPLCで測定した。ミルベマイシンA4の含量は1413mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量は3300mg/Lであると測定され、ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の70%を占めた。
【0081】
〔実施例8: ミルベマイシンA3の製造〕
種培地の処方(g/L):酵母エキス5、ペプトン5、スクロース40、脱脂粉乳2、KHPO 0.5であり、消毒前のpHは7.0〜7.4であった。振盪フラスコの充填体積は250mLであり、三角フラスコは25mLであった。種培地を121℃で20分間滅菌した。実施例5の斜面から1×2cmの面積を有する菌塊片を掘り出して種瓶に接種し、28±1℃で45時間培養した。上記種培地の2.5mLを発酵培地に接種した(g/L):酵母エキスペースト10、糖蜜200、脱脂粉乳11、豆ケーキ粉末11、綿実ケーキ粉末11、KHPO 1、FeSO・7HO 0.1、ZnSO 0.02、CaCO 5、CuSO 0.05、NaMoO 0.5であった。振盪フラスコの充填体積は250mLであり、三角フラスコは30mLであった。121℃で20分間滅菌した。得られた混合物を、振盪機内にて温度28±1℃、250rpmで14日間振盪培養した。発酵後、実施例5に示すように発酵液をHPLCで測定した。発酵液中のミルベマイシンA4の含量は1054mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量は3000mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の74%を占めた。
【0082】
〔実施例9: ミルベマイシンA3の製造〕
実施例8に沿って種培地を製造および培養し、その後、種培地の2.5mLを発酵培地に接種した(g/L):ペプトン10、スクロース140、コーンパルプ10、大豆ケーキ粉末10、グルテン粉末15、KHPO 1、FeSO・7HO 0.1、ZnSO 0.02、CaCO 5、CuSO 0.05、NaMoO 0.5であった。振盪フラスコの充填体積は250mLであり、三角フラスコは30mLであった。121℃で20分間滅菌した。得られた混合物を、振盪機内にて温度28±1℃、250rpmで14日間振盪培養した。発酵後、実施例5に示すように発酵液をHPLCで測定した。発酵液中のミルベマイシンA4の含量は1146mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量は3100mg/Lであり、ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の73%を占めた。
【0083】
〔比較例1: ミルベマイシン産生についての、本発明のストレプトマイセスHS7523と原始菌CGMCC No.7677との比較実験〕
(1)斜面、種、発酵培地、および培養条件は実施例5のものと同じであった。原始菌CGMCC No.7677を用いて、5組の平行発酵を行った。発酵後、実施例5に示すように発酵液をHPLCで測定した。ミルベマイシンA4の平均含量は748mg/Lであり、ミルベマイシンA3の平均含量は251mg/Lであると測定され、ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の25%を占めた。
【0084】
(2)斜面、種、発酵培地、および培養条件は実施例5のものと同じであった。本発明のストレプトマイセスHS7523を用いて、5組の平行発酵を行った。発酵後、発酵液をHPLCで測定した。ミルベマイシンA4の平均含量は1114mg/Lであり、ミルベマイシンA3の平均含量は3012mg/Lであると測定され、ミルベマイシンA3の含量が、A3およびA4の総含量の73%を占めた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]