(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550189
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】電子タバコのアトマイザー及び電子タバコ
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20060101AFI20190711BHJP
【FI】
A24F47/00
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-524193(P2018-524193)
(86)(22)【出願日】2016年6月22日
(65)【公表番号】特表2019-500018(P2019-500018A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】CN2016086659
(87)【国際公開番号】WO2017206212
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2018年5月10日
(31)【優先権主張番号】201610390050.4
(32)【優先日】2016年6月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507308153
【氏名又は名称】チャイナ タバコ フーナン インダストリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 建福
(72)【発明者】
【氏名】鐘 科軍
(72)【発明者】
【氏名】郭 小義
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】代 遠剛
(72)【発明者】
【氏名】尹 新強
(72)【発明者】
【氏名】易 建華
(72)【発明者】
【氏名】于 宏
(72)【発明者】
【氏名】周 永権
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第103919279(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第105559151(CN,A)
【文献】
中国実用新案第205233465(CN,U)
【文献】
特表2013−511962(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0318882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウスピース(2)に固定して接続されたハウジング(1)を備える電子タバコのアトマイザーであって、
前記ハウジング(1)は、内部に超音波霧化シートが固定され、前記超音波霧化シートは中実圧電セラミックシート(6)を含み、前記中実圧電セラミックシート(6)は、一面が導液構造に接触して、他面が固形香料(3)に接触し、前記導液構造は貯液室(4)に連通し、前記導液構造および前記固形香料(3)はいずれも気流通路(5)に連通し、前記気流通路(5)は、吸気端がハウジング(1)の外部に連通し、排気端が前記マウスピース(2)に連通する
ことを特徴とする電子タバコのアトマイザー。
【請求項2】
前記固形香料は、タバコ用材料、タバコ抽出物、エッセンス、保湿剤を含み、前記タバコ用材料、前記タバコ抽出物、前記エッセンス、前記保湿剤の重量比率は1:0.1〜0.5:0.001〜0.005:2〜6である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項3】
前記中実圧電セラミックシート(6)が位置する平面は、前記ハウジング(1)の中心軸に平行である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項4】
前記導液構造は、導液体(8)と、前記中実圧電セラミックシート(6)の一面に接触する貯液シート(7)とを含み、前記貯液シート(7)は前記導液体(8)の一端に接触し、前記導液体(8)の他端は前記貯液室(4)内に伸びている
ことを特徴とする請求項3に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項5】
前記導液体(8)は、前記貯液シート(7)の形状、大きさに合わせてその位置に対向する接続部と、前記貯液室(4)内に伸び、且つ、前記接続部に接続された導液部とを含み、前記接続部に前記貯液シート(7)に接触するボス(9)が少なくとも1つ設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項6】
前記接続部は固定ベース(10)内に固定され、前記固定ベース(10)にノッチ(11)が設けられ、前記導液部は前記ノッチ(11)から前記貯液室(4)内に伸びている
ことを特徴とする請求項5に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項7】
前記中実圧電セラミックシート(6)および貯液シート(7)はいずれもホルダ(12)内に固定され、前記固定ベース(10)は、前記ホルダ(12)の前記貯液シート(7)寄りの一側に接続され、前記ホルダ(12)の前記貯液シート(7)から離れた一側に香料固定ベース(15)が設けられ、前記香料固定ベース(15)と前記中実圧電セラミックシート(6)の間に前記固形香料(3)が充填された充填室(16)が設けられ、前記充填室(16)の上下両側にあるホルダ(12)にそれぞれ、位置が対向し且ついずれも前記固形香料(3)に連通する吸気孔(17)と排気孔(18)が開けられ、前記排気孔(18)は前記マウスピース(2)に連通する
ことを特徴とする請求項6に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項8】
前記ハウジング(1)に吸気口(19)が開けられ、前記貯液シート(7)と導液体(8)との間に、一側が前記吸気口(19)に連通して他側が前記吸気孔(17)に連通する第1隙間(20)が設けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項9】
前記貯液室(4)は、前記中実圧電セラミックシート(6)と導液体(8)の下方に設置され、前記貯液室(4)の上端部に室蓋(21)が設けられ、該室蓋(21)の前記貯液室(4)から離れた表面は、上端が開口するキャビティー(22)の側縁に接続され、該キャビティー(22)の内壁に制限段差(23)が設けられ、前記ホルダ(12)の底部にある外壁が前記制限段差(23)の内壁に接続され、前記ホルダ(12)と前記キャビティー(22)の接触部位に前記第1隙間(20)と前記吸気孔(17)に連通する第1貫通孔(13)が開けられ、前記吸気口(19)、前記第1隙間(20)、前記第1貫通孔(13)、前記吸気孔(17)、前記キャビティー(22)、前記排気孔(18)、前記マウスピース(2)のキャビティーにより前記気流通路(5)が形成される
ことを特徴とする請求項8に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項10】
前記室蓋(21)の一側に取付貫通孔(24)が設けられ、前記導液体(8)の導液部が前記取付貫通孔(24)を貫通して前記貯液室(4)内に伸びている
ことを特徴とする請求項9に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項11】
前記貯液室(4)の下端部が底蓋(25)内に配置され、前記底蓋(25)の外壁が前記ハウジング(1)内壁に固定して接続される
ことを特徴とする請求項9に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項12】
前記貯液室(4)は、前記中実圧電セラミックシート(6)の上方に設置され、前記中実圧電セラミックシート(6)は、両端が開口する下固定ベース(27)と、下端部が前記下固定ベース(27)内に設置された上固定ベース(29)とを合わせて形成されるキャビティーに固定され、前記下固定ベース(27)の内壁に通気溝(28)が開けられ、前記中実圧電セラミックシート(6)の上表面は前記導液構造に接触し、前記中実圧電セラミックシート(6)の下表面は前記固形香料(3)に接触し、前記下固定ベース(27)は前記ハウジング(1)の底部に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項13】
前記導液構造は、前記中実圧電セラミックシート(6)の一表面に接触する本体を有する導液体(8)を含み、前記本体には、前記上固定ベース(29)を貫通して前記貯液室(4)に連通する少なくとも1つのボス(9)が設けられる
ことを特徴とする請求項12に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項14】
前記貯液室(4)内に通気管(31)が設けられ、前記通気管(31)の下端部に取付部(32)が設けられ、前記上固定ベース(29)に、前記取付部(32)の外径と合致する内径を有する取付孔(33)が設けられ、前記取付部(32)は前記取付孔(33)内に固定され、且つ前記取付部(32)のキャビティーが前記通気溝(28)に連通し、前記通気管(31)の上端部は前記マウスピース(2)のキャビティーに連通している
ことを特徴とする請求項13に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項15】
前記下固定ベース(27)は接続シート(34)上に配置され、前記接続シート(34)に第2貫通孔(35)が開けられ、前記第2貫通孔(35)と前記下固定ベース(27)との間に網状構造(36)が設けられ、前記固形香料(3)は、前記網状構造(36)と前記中実圧電セラミックシート(6)との間にあるキャビティーに収納される
ことを特徴とする請求項14に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項16】
前記第2貫通孔(35)内に電極(37)が取り付けられ、前記電極(37)内に一端が外部に連通している吸気通路(38)が開けられ、前記吸気通路(38)は、前記網状構造(36)および前記固形香料(3)を経由して前記通気溝(28)に連通している
ことを特徴とする請求項15に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項17】
前記電極(37)の最上部に前記固形香料(3)に連通している通気孔(39)が少なくとも1つ開けられ、前記吸気通路(38)、前記通気孔(39)、前記網状構造(36)、前記固形香料(3)、前記通気溝(28)、前記通気管(31)、前記マウスピース(2)のキャビティーにより前記気流通路(5)が構成される
ことを特徴とする請求項16に記載の電子タバコのアトマイザー。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の電子タバコのアトマイザーを用いる
ことを特徴とする電子タバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タバコのアトマイザー及び電子タバコに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子タバコの風味は、市販されている紙巻タバコの風味とは大きく差があり、それによって電子タバコの普及に影響を及ぼしている。現在、電熱線を用いてタバコ油を加熱し霧化させて発煙させるのが一般的な解決策であるが、煙の味わいが本物の紙巻タバコとは大きな差があるため、ユーザのニーズを満足できず、同時に、電子タバコ中の電熱線は、タバコ油を煙として霧化させるために大電流を必要とすることから、霧化過程で焦げ臭い匂いを発生させやすく、タバコ喫煙時の風味の劣化を招き、且つ構造が複雑で、油漏れが発生しやすく、このため、市場のニーズに応え、市場での空白を埋めてユーザの電子タバコを使用するときの認識を改善する、本物の紙巻タバコの味わいと同様な電子タバコの開発が期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来技術の欠点を考慮した電子タバコのアトマイザー及び電子タバコを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本発明は下記技術的解決策を提供する。マウスピースに固定して接続されたハウジングを備える電子タバコのアトマイザーであって、前記ハウジングは、内部に超音波霧化シートが固定され、前記超音波霧化シートは中実圧電セラミックシートを含み、前記中実圧電セラミックシートは、一面が導液構造に接触して、他面が固形香料に接触し、このように、前記中実圧電セラミックシートは、作動時にタバコ油を霧化させて煙を発生できるとともに、自体作動による熱を固形香料に伝達して固形香料の香りを放出させることができ、前記導液構造は貯液室に連通し、前記導液構造および前記固形香料はいずれも気流通路に連通し、前記気流通路は、吸気端がハウジングの外部に連通し、排気端が前記マウスピースに連通し、このように、煙と香りを混合して、マウスピースを介してユーザにより吸われる。
【0005】
本発明では、前記固形香料は、タバコ用材料、タバコ抽出物、エッセンス、保湿剤を含み、前記タバコ用材料、前記タバコ抽出物、前記エッセンス、前記保湿剤の重量比率は1:0.1〜0.5:0.001〜0.005:2〜6である。
【0006】
前記中実圧電セラミックシートが位置する平面は、前記ハウジングの中心軸に平行である。このため、電子タバコのアトマイザーが水平面に垂直に配置されると、前記中実圧電セラミックシートは径方向が該水平面に垂直になり、すなわち、中実圧電セラミックシートはハウジング内に縦方向に配置されるため、中実圧電セラミックシート上のタバコ油が中実圧電セラミックシートの表面に蓄積することがなく、アトマイザーの高起動速度が確保できる。
【0007】
本発明の一最適態様において、前記導液構造は、導液体と、前記中実圧電セラミックシートの一面に接触する貯液シートとを含み、前記貯液シートは前記導液体の一端に接触し、前記導液体の他端は前記貯液室内に伸びており、前記導液体は、前記貯液シートの形状、大きさに合わせてその位置に対向する接続部と、前記貯液室内に伸び、且つ、前記接続部に接続された導液部とを含み、前記接続部に前記貯液シートに接触するボスが少なくとも1つ設けられる。前記ボスは、前記貯液シートに当接されて前記導液体と貯液シートの間に隙間を形成することで、気流が前記隙間を通過して煙を混入させるようにするとともに、気流通路の詰まりを防止する。
【0008】
前記接続部は固定ベース内に固定され、前記固定ベースにノッチが設けられ、前記導液部は該ノッチから前記貯液室内に伸びている。このようにして、導液部は、前記貯液室内のタバコ油を吸収して中実圧電セラミックシートに提供して霧化させる。
【0009】
前記超音波霧化シートおよび貯液シートはいずれもホルダ内に固定され、前記固定ベースは、前記ホルダの前記貯液シート寄りの一側に接続され、前記ホルダの前記貯液シートから離れた一側に香料固定ベースが設けられ、前記香料固定ベースと前記中実圧電セラミックシートの間に前記固形香料が充填された充填室が設けられ、前記充填室の上下両側にあるホルダにそれぞれ、位置が対向し且ついずれも前記固形香料に連通する吸気孔と排気孔が開けられ、前記排気孔は前記マウスピースに連通し、それによって、気流が前記吸気孔から前記充填室に流入して、前記充填室内の香りが前記排気孔から排出される。
【0010】
前記ハウジングに吸気口が開けられ、前記貯液シートと導液体との間に、一側が前記吸気口に連通して他側が前記吸気孔に連通する第1隙間が設けられ、これにより、前記中実圧電セラミックシートによりタバコ油が霧化されて得た煙は気流とともに排出される。
【0011】
前記貯液室は、前記中実圧電セラミックシートと導液体の下方に設置され、前記貯液室の上端部に室蓋が設けられ、該室蓋の前記貯液室から離れた表面は、上端が開口するキャビティーの側縁に接続され、該キャビティーの内壁に制限段差が設けられ、前記ホルダの底部にある外壁が前記制限段差の内壁に接続され、前記ホルダと前記キャビティーの接触部位に前記第1隙間と前記吸気孔に連通する第1貫通孔が開けられ、前記吸気口、前記第1隙間、前記第1貫通孔、前記吸気孔、前記キャビティー、前記排気孔、前記マウスピースのキャビティーにより前記気流通路が形成される。それによって、まず気流が第1隙間を経て、煙とともに充填室内に送られて香りと混合され、煙に本物のタバコのような味わいを与え、ユーザのニーズを満たすことができる。
【0012】
前記室蓋の一側に取付貫通孔が設けられ、前記導液体の導液部が前記取付貫通孔を貫通して前記貯液室内に伸びている。それによって、導液体の取付安定性を高めて、油漏れを防止する。
【0013】
前記貯液室の下端部が底蓋内に配置され、前記底蓋の外壁が前記ハウジングの内壁に固定して接続される。また、この接続は、前記底蓋を着脱しやすくするように、バックル接続又は磁性接続としてもよい。
【0014】
本発明の別の最適態様において、前記貯液室は、前記中実圧電セラミックシートの上方に設置され、前記中実圧電セラミックシートは、両端が開口する下固定ベースと、下端部が前記下固定ベース内に設置された上固定ベースとを合わせて形成されるキャビティーに固定され、前記下固定ベースの内壁に通気溝が開けられ、前記中実圧電セラミックシートの上表面は前記導液構造に接触し、前記中実圧電セラミックシートの下表面は前記固形香料に接触し、前記下固定ベースは前記ハウジングの底部に接続される。前記導液構造は、前記中実圧電セラミックシートの一表面に接触する本体を有する導液体を含み、前記本体には、前記上固定ベースを貫通して前記貯液室に連通する少なくとも1つのボスが設けられる。該構造はシンプルで、油案内速度が速い。
【0015】
前記貯液室内に通気管が設けられ、前記通気管の下端部に取付部が設けられ、前記上固定ベースに、前記取付部の外径と合致する内径を有する取付孔が設けられ、前記取付部は前記取付孔内に固定され、且つ前記取付部のキャビティーが前記通気溝に連通し、前記通気管の上端部は前記マウスピースのキャビティーに連通している。煙と香りを混合した気流の通路が長いため、より均一な混合ができ、煙の風味が良好となる。
【0016】
前記下固定ベースは接続シート上に配置され、前記接続シートに第2貫通孔が開けられ、前記第2貫通孔と前記下固定ベースとの間に網状構造が設けられ、前記固形香料は、前記網状構造と前記中実圧電セラミックシートとの間にあるキャビティーに収納され、且つ前記固形香料は前記中実圧電セラミックシートに接触し、このようにして、固形香料は、前記中実圧電セラミックシートの作動時に生じた熱を吸収して香りを放出し、且つ、網状構造によって、固形香料を固定する役割を果たすとともに、気流を遮断しないようにする。
【0017】
前記第2貫通孔内に電極が取り付けられ、前記電極内に一端が外部に連通している吸気通路が開けられ、前記吸気通路は、前記網状構造および前記固形香料を経由して前記通気溝に連通し、吸気通路の網状構造、固形香料、通気溝、通気管、マウスピースのキャビティーにより前記気流通路が形成される。煙と香りを混合した気流の通路が長いため、より均一な混合ができ、煙の風味が良好となる。
【0018】
前記電極の最上部に前記固形香料に連通している通気孔が少なくとも1つ開けられ、通気孔により気流を分散させて、固形香料全体を気流と接触させ、香りの放散を容易にする。
【0019】
さらに、本発明は、上記2種の最適態様のいずれかの電子タバコのアトマイザーを用いた電子タバコを提供する。
【発明の効果】
【0020】
従来技術に比べて、本発明は下記の有益な効果がある。本発明では、超音波霧化シートの一面でタバコ油が霧化され、超音波霧化シートはタバコ油を霧化させると同時に熱を発生させ、且つ超音波霧化シートの他面が熱を固形香料に伝達して、超音波霧化シートの作動時に固形香料が香りを放出させ、該香りとタバコ油の霧化により生じた煙とを混合して、それによって、電子タバコの風味が紙巻タバコの風味により近くなり、エネルギー利用率が高まる。つまり、超音波霧化シートはタバコ油を霧化させて煙を発生させ(匂いのない煙)、固形香料は香りを放出し、煙と香りを混合することで紙巻タバコのような風味と匂いを有する煙を発生させ、さらに、超音波霧化シートの一面が導液構造でのタバコ油に接触するため、超音波霧化シートの空焼きによる破損の問題をある程度解決する。本発明では、超音波霧化シートでタバコ油を霧化させるものであり、霧化電力が低く、焦げ臭い匂いを発生させることがなく、構造が簡単で精巧であり、安定してコンパクトであり、使用と普及を容易化させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本発明の実施例1の霧化芯部分の分解図である。
【
図3】本発明の実施例1の貯液室と底蓋部分の分解図である。
【
図5】本発明の実施例2の上固定ベースと電極の間の構造の分解図である。
【
図6】本発明の実施例3のマウスピースから貯液室までの部分の構造分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示すように、本発明の実施例1は、マウスピース2に固定して接続されたハウジング1を備え、前記ハウジング1内に中実圧電セラミックシート6が固定され、前記中実圧電セラミックシート6は、一面が導液構造に接触して他面が固形香料3に接触し、前記導液構造は貯液室4に連通し、前記導液構造および前記固形香料3はいずれも気流通路5に連通し、前記気流通路5は、吸気端がハウジング1の外部に連通し、排気端が前記マウスピース2に連通する。
【0023】
本発明では、固形香料は、タバコ用材料、タバコ抽出物、エッセンス、保湿剤を含み、熱気流又は対流加熱等のプロセス及びタンブルミキサーにより固形香料粒子が形成されており、タバコ用材料、タバコ抽出物、エッセンス、保湿剤の重量比率は1:0.1〜0.5:0.001〜0.005:2〜6である。
【0024】
タバコ用材料は、刻みタバコ、タバコ茎、タバコ用シート、タバコ粉末のうちの1種又は複数種の組み合わせであり、保湿剤は、プロピレングリコールとグリセロールの混合物であり、エッセンスはタバコ風味エッセンスまたはイチゴ風味エッセンスの味付き香料である。
【0025】
本発明では、超音波霧化シートは中実圧電セラミックシートである。
【0026】
図1に示すように、中実圧電セラミックシート6が位置する平面は、前記ハウジング1の中心軸に平行であり、つまり、電子タバコのアトマイザーが水平面に垂直に配置されるとき、中実圧電セラミックシート6は電子タバコのアトマイザー内に垂直に配置された状態であり、すなわち超音波霧化シートはハウジング1内に垂直に設置されている。
【0027】
図2に示すように、導液構造は、導液体8と、前記中実圧電セラミックシート6の一面に接触する貯液シート7とを含み、前記貯液シート7は前記導液体8の一端に接触し、前記導液体8の他端は前記貯液室4内に伸びている。導液体8は、前記貯液シート7の形状、大きさと合わせてその位置に対向する接続部と、前記貯液室4内に伸びて該接続部に接続された導液部とを含み、前記接続部に前記貯液シート7に接触するボス9が少なくとも1つ設けられる。
【0028】
前記接続部は固定ベース10内に固定され、該固定ベース10にノッチ11が設けられ、前記導液部は、該ノッチ11から前記貯液室4内に伸びている。固定ベース10は、側縁の内側が導液体の接続部エッジに接触する円盤形構造を有する。
【0029】
導液体の導液部は、ノッチ11を貫通してノッチ11の幅と一致する幅を有する長尺形構造である。
【0030】
図2に示すように、本発明に係る中実圧電セラミックシート6および貯液シート7はいずれもホルダ12内に固定され、前記固定ベース10は、前記ホルダ12の前記貯液シート7寄りの一側に接続され、前記ホルダ12の前記貯液シート7から離れた一側に香料固定ベース15が設けられ、前記香料固定ベース15と前記中実圧電セラミックシート6の間のキャビティーは、前記固形香料3が充填された充填室16となり、前記充填室16の上下両側にあるホルダ12にそれぞれ、位置が対向し且ついずれも前記固形香料3に連通している吸気孔17と排気孔18が開けられ、前記排気孔18は前記マウスピース2に連通する。
【0031】
香料固定ベース15は円盤形構造であり、該円盤形構造の吸気孔17と排気孔18に位置する対応側縁にノッチ40が設けられることにより、気流が吸気孔17から充填室16に入り、充填室16での排気孔18から流出できる。
【0032】
ホルダ12内に、中実圧電セラミックシート6と貯液シート7が固定された取付溝41が設置されている。
【0033】
図1に示すように、ハウジング1に吸気口19が開けられ、前記吸気口19は前記貯液シート7、導液体8の間にある第1隙間20に連通し、前記第1隙間20は前記吸気孔17に連通し、前記吸気口19、第1隙間20、吸気孔17、排気孔18、マウスピース2のキャビティーにより前記気流通路5が構成される。中実圧電セラミックシート6の振動により生じた煙が貯液シート7の表面から放出されて、第1隙間20に入り、次に吸気孔17から固形香料に入り、中実圧電セラミックシート6の振動時に固形香料から生じた香りと混合し、次に混合後の煙が排気孔18からマウスピースに入って、ユーザにより吸われる。
【0034】
図3に示すように、貯液室4は、前記中実圧電セラミックシート6、導液体8の下方に設置され、前記貯液室4の上端部に室蓋21が設けられ、該室蓋21の前記貯液室4から離れた表面は、上端が開口するキャビティー22の側縁に接続され、該キャビティー22の内壁に制限段差23が設けられ、前記ホルダ12の底部は前記制限段差23に当接され、前記ホルダ12において前記キャビティー22との連通部位に、前記第1隙間20と前記吸気孔17に連通している第1貫通孔13が開けられる。
【0035】
前記室蓋21の一側に取付貫通孔24が設けられ、前記導液体8の導液部が該取付貫通孔24を貫通して前記貯液室4内に伸びタバコ油を含浸させ、中実圧電セラミックシート6の霧化用タバコ油を提供する。
【0036】
図3に示すように、前記貯液室4の下端部が底蓋25内に配置され、前記底蓋25の外壁が前記ハウジング1の内壁にスナップ接続又は磁性接続される。
【0037】
底蓋25には、電源ユニットに電気的に接続するための電極37が固定される。
【0038】
図4と
図5に示すように、実施例2では、貯液室4は前記中実圧電セラミックシート6の上方に設置され、前記中実圧電セラミックシート6は、両端が開口する下固定ベース27と、下端部が前記下固定ベース27内に配置された上固定ベース29とが合わせて形成されるキャビティー内に固定され、前記下固定ベース27の内壁に通気溝28が開けられ、前記中実圧電セラミックシート6の上表面は前記導液構造に接触し、前記中実圧電セラミックシート6の下表面は前記固形香料3に接触し、前記下固定ベース27は前記ハウジング1の底部に接続される。
【0039】
前記導液構造は導液体8を含み、前記導液体8は、直径が前記中実圧電セラミックシート6の直径(上固定ベースへの接続のため)より大きい円形底部付き本体を有し、該円形底部のエッジ部分に、前記上固定ベース29での油導入孔30を貫通して前記貯液室4に連通するボス9が少なくとも1つ設けられる。
【0040】
図4、
図5及び
図6に示すように、前記貯液室4内に通気管31が設けられ、前記通気管31の下端部に取付部32が設けられ、前記上固定ベース29に、前記取付部32の外径と合致する内径を有する取付孔33が設けられ、前記取付部32は前記取付孔33内に固定され、且つ前記取付部32のキャビティーが前記通気溝28に連通し、前記通気管31の上端部は前記マウスピース2のキャビティーに連通している。
【0041】
前記下固定ベース27は接続シート34上に配置され、前記接続シート34に第2貫通孔35が開けられ、前記第2貫通孔35と前記下固定ベース27との間に網状構造36が設けられ、前記固形香料3は、前記網状構造36と前記中実圧電セラミックシート6との間にあるキャビティーに収納され、且つ前記固形香料3は前記中実圧電セラミックシート6に接触し、それによって、固形香料3は、前記中実圧電セラミックシート6の作動時に生じた熱を吸収して、香りを放出する。
【0042】
本発明では、網状構造はスチールメッシュである。
【0043】
前記第2貫通孔35内に電極37(電極37と第2貫通孔35の間は絶縁リング43を介して絶縁的に分離されている)が取り付けられ、前記電極37内に一端が外部に連通している吸気通路38が開けられ、他端には、前記吸気通路38に連通している通気孔39が開けられ、前記吸気通路38は、径方向貫通孔、前記網状構造36、固形香料3を経由して前記通気溝28に連通し、前記吸気通路38、網状構造36、固形香料3、通気溝28、通気管31、マウスピース2のキャビティーにより前記気流通路5が形成される。
【0044】
外気が吸気通路38を介して入り、通気孔39と電極37の上端部を経て固形香料内に流入し、次に通気溝28を介して前記中実圧電セラミックシート6がタバコ油を霧化させて生じた煙と混合後、通気管に入り、最後にマウスピースに入り、ユーザにより吸い込まれる。
【0045】
アトマイザーの油漏れを防止するために、ハウジング1とマウスピース2の接続部がシールリング44でシールされる。
【0046】
本発明に係る電子タバコは、上記実施例1又は実施例2の電子タバコのアトマイザーを用いる。