【課題を解決するための手段】
【0013】
外気取入れ口から外気取入れチャンバー内に導入した外気を室内のインテリアゾーンに供給する建物の換気システムにおいて、
前記外気取入れチャンバーに、室内のペリメータゾーンに開口する通気口と、
自然通風時の風量を補う正逆転切替可能なアシストファンと、
前記外気取入れ口と前記通気口及び前記アシストファンとの間での風路を切り替える風路切替手段とを設けて、
自然通風状態において、前記外気取入れ口からの導入外気を前記アシストファンで室内のインテリアゾーンに送風する状態と、
前記ペリメータゾーンの冷気を前記通気口から前記アシストファンで吸引する状態と、
前記外気取入れチャンバー内の空気を前記アシストファンで前記通気口からペリメータゾーンに送風する状態とに切替可能に構成して
ある。
【0014】
上記構成によれば、中間期には、風路切替手段により、外気取入れ口と外気取入れチャンバー内のアシストファンとが連通する状態に風路を切り替え、室内温度(もしくは室内エンタルピー)よりも低温(もしくは低いエンタルピー)の外気を自然通風状態で外気取入れ口から外気取入れチャンバーを経由して室内のインテリアゾーンに供給することにより、室内空気を換気しながら冷却することができる。
【0015】
この中間期の自然通風による冷却時において、風力換気の場合には外部風速、重力換気の場合には中性帯の影響により、自然通風量が少なくなる事態が発生した場合でも、外気取入れチャンバーには自然通風時の風量を補うアシストファンが設けられているので、このアシストファンの正転駆動によって不足風量を補うことができ、安定性のある自然通風によって室内の局部冷却や冷却不足を抑制することができる。
【0016】
また、夏期には、風路切替手段により、通気口と外気取入れチャンバー内のアシストファンとが連通する状態に風路を切り替えるとともに、アシストファンを逆転駆動すると、外気取入れチャンバー内の空気が通気口からペリメータゾーンに送風され、この送風に伴ってペリメータゾーン側の温熱が下方から押し上げられて天井側から排出される。そのため、自然通風を補うアシストファンを利用して窓面からの温熱負荷を処理することができる。
【0017】
さらに、冬期には、風路切替手段により、通気口と外気取入れチャンバー内のアシストファンとが連通する状態に風路を切り替えるとともに、アシストファンを正転駆動すると、ペリメータゾーン側の冷気が通気口から外気取入れチャンバー内に吸引される。この外気取入れチャンバー内に吸引された冷気は室内のインテリアゾーンに供給されるので、室内に供給された冷気による温度低下は微小となり、室内の快適性を維持しながら自然通風を補うアシストファンを利用して窓面からの冷熱負荷を処理することができる。
【0018】
したがって、風力換気の場合の外部風速が無い状態、或いは、重力換気の場合の中性帯以上の高さにおいても、自然通風時の風量を補うアシストファンにより自然通風の効果を高めることができ、快適性を確保しながら冷却効果を高めることができる。
【0019】
しかも、アシストファンを正逆転切替可能にしてペリメータゾーンに対するエアフローファンを兼用させることにより、この一つのアシストファンの正逆転切替及び風路切替手段の風路切替によって、ペリメータゾーンでの夏期の温熱排出及び冬期の冷熱排出を簡単な構造で達成することができる。且つ、熱交換コイルを備えたペリメータ空調機を設置する場合に比較して機内圧力損失を小さくすることができので、換気システムの省スペース化と省エネ化を図りながら快適性を高めることができる。
【0020】
前記外気取入れチャンバーが床下チャンバーに連通され、前記外気取入れ口から外気取入れチャンバー内に導入した外気を前記床下チャンバーを介して室内のインテリアゾーンに供給する構成にして
ある。
【0021】
上記構成によれば、中間期には、風路切替手段により、外気取入れ口と外気取入れチャンバー内のアシストファンとが連通する状態に風路を切り替え、室内温度(もしくは室内エンタルピー)よりも低温(もしくは低いエンタルピー)の外気を自然通風状態で外気取入れ口から外気取入れチャンバーを経由して床下チャンバー内に導入する。この床下チャンバー内に流入した外気を室内に分配供給し、室内空気を置換換気しながら冷却することができる。
【0022】
それ故に、風力換気の場合の外部風速が無い状態、或いは、重力換気の場合の中性帯以上の高さにおいても、自然通風時の風量を補うアシストファンにより自然通風の効果を高めることができ、且つ、外気が床下チャンバーを介して室内に分配供給されるため、外気による室内冷却が局部的にならず、快適性を確保しながら冷却効果を高めることができる。
【0023】
さらに、冬期において、通気口から外気取入れチャンバー内に吸引されたペリメータゾーン側の冷気は、床下チャンバーを介して室内に分配供給されるので、室内に供給された冷気による温度低下は微小となり、室内の快適性を維持しながら自然通風を補うアシストファンを利用して窓面からの冷熱負荷を処理することができる。
【0024】
前記外気取入れチャンバーと室内とを区画形成する窓下カウンターの上面に前記通気口が形成され、前記通気口よりも室内のインテリアゾーン側の位置において上方に引き出し操作可能で、且つ、その引き出し操作された高さ領域において窓面との間でペリメータゾーンを区画する遮蔽手段が設けられて
いる。
【0025】
上記構成によれば、下方から上方に引き出し操作されるクライマー式の遮蔽手段によって直射日光を遮蔽しながら窓上部から良好に採光することができる。
しかも、この遮蔽手段は、窓下カウンターの上面に形成された通気口よりも室内のインテリアゾーン側の位置において上方に引き出し操作可能であり、且つ、その引き出し操作された高さ領域において窓面との間でペリメータゾーンを区画するから、ペリメータゾーンでの夏期の温熱及び冬期の冷熱を室内のインテリアゾーン側への拡散流出を抑制しながらアシストファンにて効率良く排出することができる。
【0026】
前記風路切替手段が、前記アシストファンと通気口との間の第1風路を開閉する第1ダンパーと、前記第1風路に連通する外気取入れ口側の第2風路を開閉する第2ダンパーとから構成され、少なくとも第1ダンパーの一部が、風路開放時に第1風路の一部を区画形成する区画壁に兼用構成されて
いる。
【0027】
上記構成によれば、中間期には、風路切替手段の第1ダンパーを閉操作するとともに、第2ダンパーを開操作することにより、外気取入れ口とアシストファンとを連通する第2風路が開放され、室内温度(もしくは室内エンタルピー)より低温(もしくは低いエンタルピー)の外気を自然通風状態で外気取入れ口から外気取入れチャンバーを経由して床下チャンバー内に導入することができる。
【0028】
また、夏期又は冬期においては、風路切替手段の第1ダンパーを開操作するとともに、第2ダンパーを閉操作することにより、通気口とアシストファンとを連通する第1風路が開放され、アシストファンの逆転又は正転駆動により、床下チャンバー内の空気が通気口からペリメータゾーンに送風される、又は、ペリメータゾーン側の冷気が通気口から外気取入れチャンバー内に吸引される。
【0029】
そして、少なくとも第1ダンパーの一部が、風路開放時に第1風路の一部を区画形成する区画壁に兼用構成されているので、外気取入れチャンバーの内部構造の簡素化を図ることができる。
そして、本発明の第1特徴構成は、外気取入れ口から外気取入れチャンバー内に導入した外気を
、前記外気取入れチャンバーに連通する床下チャンバーを経由して室内のインテリアゾーンに供給する建物の換気システムにおいて、
前記外気取入れチャンバーに、室内のペリメータゾーンに開口する通気口と、
自然通風時の風量を補う正逆転切替可能なアシストファンと、
前記外気取入れ口と前記通気口及び前記アシストファンとの間での風路を切り替える風路切替手段とを
設け、
前記風路切替手段は、前記アシストファンと前記通気口との間の第1風路を開閉する第1ダンパーと、前記第1風路に連通する外気取入れ口側の第2風路を開閉する第2ダンパーとから構成され、
前記アシストファンと前記第1ダンパーと前記第2ダンパーとにより、
自然通風状態において、前記外気取入れ口からの導入外気を前記アシストファンで
前記床下チャンバーを経由して室内のインテリアゾーンに送風する状態と、
前記ペリメータゾーンの冷気を前記通気口から前記アシストファンで
吸引し、前記床下チャンバーを経由して室内のインテリアゾーンに供給する状態と、
前記アシストファンにより室内のインテリアゾーンの空気を前記床下チャンバーを経由して吸引し、前記通気口からペリメータゾーンに送風する状態とに切替可能に構成
し、
通風量を計測する風量センサと、当該風量センサの検出信号に基づいて前記アシストファンを駆動制御する制御部と、を設け、
前記制御部は、前記風量センサの計測風量が設定風量の許容値内であるとき、前記アシストファンを駆動停止状態に維持し、且つ、前記風量センサの計測風量が設定風量の許容値よりも減少したとき、外部風速による自然通風量と前記アシストファンによる機械式通風量との合計風量を設定風量の許容値に近づけるように、前記アシストファンを駆動制御し、
さらに、前記制御部は、前記風量センサの計測風量が設定風量の許容値よりも上であるとき、
前記アシストファンが駆動停止状態にある状態で第2ダンパーの開度を減少側に変更制御する点にある。
本発明の第2特徴構成
は、前記風量センサは、前記床下チャンバーにおいて、外気の自然通風量と前記アシストファンによる機械式通風量との合計風量を計測する第1風量センサと、前記外気取入れチャンバーの前記第2風路において、前記外気取入れ口から取り込まれた外気の自然通風量を計測する第2風量センサと、を備える点にある。