(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作コードは、n個(nは3以上)の連結部を備え、前記n個の連結部は、最近接の2つの連結部の間の距離が前記操作プーリーの外周の半分よりも離れるように配置される、請求項1に記載の操作コード。
前記連結部は、前記連結部が向けられる方向の変化に伴って移動可能な移動部材を備え、前記移動部材の移動に伴って保持力が変化するように構成される、請求項1又は請求項2に記載の操作コード。
前記連結部の係合部は、前記操作コードの径方向外側に広がることによって係合が解除されるように構成され、前記移動部材は、前記係合部の外周側から、前記係合部が広がる方向の変形を規制/非規制することによって前記連結部の保持力を変化させるように構成される、請求項3に記載の操作コード。
前記操作プーリーから垂下される前記操作コードの2つの部分のうちの一方に加わる最大張力は、他方に加わる最大張力よりも大きく、前記最大張力が大きい方の部分を高張力部分とし、前記最大張力が小さい方の部分を低張力部分とし、
前記連結部は、前記高張力部分に位置しているときに高保持力状態となり、且つ前記低張力部分に位置しているときに低保持力状態となるように構成される、請求項5に記載の遮蔽装置。
高保持力状態での前記連結部の保持力は、前記高張力部分に加わる最大張力よりも大きく、低保持力状態での前記連結部の保持力は、前記低張力部分に加わる最大張力よりも大きい、請求項6に記載の遮蔽装置。
前記遮蔽材を下降させる方向への前記操作プーリーの回転を、前記遮蔽材を開閉させるための駆動軸に伝達しないワンウェイクラッチを備える、請求項5〜請求項7の何れか1つに記載の遮蔽装置。
前記連結部は、前記連結部が向けられる方向の変化に伴って移動可能な移動部材を備え、前記移動部材の移動に伴って保持力が変化するように構成され、前記移動部材の移動が移動促進部材によって促進されるように構成される、請求項5〜請求項8の何れか1つに記載の遮蔽装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。以下の説明中においては、「ボールチェーン」は、適宜、「操作コード」と読み替えることができ、プリーツスクリーンは、適宜、「日射遮蔽装置」と読み替えることができる。
【0017】
1.第1実施形態
図1〜
図2に示す本発明の第1実施形態のプリーツスクリーンは、ヘッドボックス1からスクリーン4が吊下支持され、スクリーン4の下端にボトムレール5が取着されている。スクリーン4は、生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。
【0018】
ヘッドボックス1とボトムレール5の間には、スクリーン4の折り目のピッチを保持するためのピッチ保持コード39が設けられている。ピッチ保持コード39には、環状の保持部57が等間隔に多数設けられており、この保持部57をスクリーン4に挿通させた後、ボトムレール5を昇降させるための昇降コード7を保持部57に挿通させることによって、保持部57がスクリーン4から抜けることを防ぎ、これによってスクリーン4のピッチ保持を可能としている。ピッチ保持コード39と昇降コード7は、スクリーン4を挟んで互いに反対側に配置されている。
【0019】
ボトムレール5には、ピッチ保持コード39を保持するピッチ保持コード保持部材56と、昇降コード7を保持する昇降コード保持部材55が取着される。ピッチ保持コード39及び昇降コード7は、これらの保持部材によって、ボトムレール5に取着される。
【0020】
昇降コード7の上端は、巻取軸10に取着される。巻取軸10は、駆動軸12と共に回転する。ヘッドボックス1の一端には、ボールチェーン13、操作プーリー11及び伝達クラッチ21を備える操作部ユニット23が設けられている。ボールチェーン13は、操作プーリー11に掛装されており、ボールチェーン13によって操作プーリー11に加えられたボトムレール5の引き上げ方向(
図1の矢印A方向)の回転力が伝達クラッチ21を介して駆動軸12に伝達される。伝達クラッチ21は、
図1の矢印A方向の回転力は伝達するが、
図1の矢印B方向の回転力は駆動軸12に伝達しないように構成されている。
【0021】
ここで、
図3〜
図7を用いて、伝達クラッチ21が一方向の回転のみを伝達する具体的な機構(ワンウェイククッチ)の一例を説明する。以下に示す機構は、一例であり、伝達クラッチ21は、同様の機能を有するものであれば、別の機構を有するものであってもよい。
【0022】
シャフト71は、ヘッドボックス1に対し回転不能に支持される。駆動ドラム72は、シャフト71に対し回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持される。操作プーリー11に加えられた回転力は、操作プーリー11と一体回転する駆動ギヤ(不図示)と、この駆動ギヤと噛み合う
図5に示す伝達ギヤ89を介して駆動ドラム72に伝達される。
【0023】
駆動ドラム72に隣接して、クラッチドラム73がシャフト71に対し回転可能に、かつ軸方向に移動可能に支持されている。クラッチドラム73は、
図5に示すように、その外周面に案内溝74が形成され、その案内溝74は係合溝75と解除溝76とが軸方向にオフセットされて形成されている。
【0024】
駆動ドラム72とクラッチドラム73との間にはスリップバネ77が配設されている。クラッチドラム73は駆動ドラム72を支点とするスリップバネ77の付勢力により、駆動ドラム72から離間する方向、すなわち
図3に示す矢印E方向に付勢されている。
【0025】
クラッチドラム73に隣接して、シャフト71にはカラー78が回転不能に嵌着され、そのカラー78の外周面にはストップバネ79が巻着されている。ストップバネ79の両端部80a,80bは、
図4に示すように、径方向に折り曲げられ、その両端部80a,80b間にクラッチドラム73の係合部73aが突出されている。
【0026】
そして、係合部73aがストップバネ79の端部80a,80bのいずれかに当接すると、ストップバネ79とカラー78との摩擦が増大して、クラッチドラム73の回転が阻止されるようになっている。
【0027】
クラッチドラム73の周囲には、回転ドラム81が回転可能に、かつ軸方向に移動可能に支持されている。回転ドラム81には駆動ドラム72側に開口する係合凹部82が形成され、その係合凹部82には駆動ドラム72に形成された係合凸部83が係合されている。従って、回転ドラム81は駆動ドラム72と一体に回転される。
【0028】
回転ドラム81の内周面には、クラッチドラム73の案内溝74に係合する半球状のクラッチ凸部84が形成されている。そして、回転ドラム81が回転すると、クラッチ凸部84が案内溝74に案内されて、回転ドラム81が軸方向に移動するようになっている。
【0029】
回転ドラム81の内周面には、ストップバネ79の端部80a,80bに当接する係合部85が形成されている。そして、係合部85が端部80a,80bのいずれかに係合すると、ストップバネ79とカラー78との摩擦が低減されて、ストップバネ79及びクラッチドラム73が回転ドラム81と一体に回転される。
【0030】
シャフト71の先端部には、伝達ドラム86が回転可能に、かつ軸方向に移動不能に支持されている。伝達ドラム86の基端側端面、すなわち回転ドラム81に対向する端面には、一対の鋸歯状の被動係止歯87が形成されている。
【0031】
回転ドラム81の先端側端面、すなわち伝達ドラム86に対向する端面には、一対の鋸歯状の駆動係止歯88が形成される。そして、回転ドラム81が回転されて伝達ドラム86側に移動すると、駆動係止歯88が被動係止歯87に係合して、回転ドラム81と伝達ドラム86とが一体に回転される。また、伝達ドラム86の軸方向における巻取軸側には凹部(この例では4つ)が設けられ、出力軸21aに嵌合している。出力軸21aは駆動軸12に嵌合し、伝達ドラム86の回転は出力軸21aを介し駆動軸12に伝達される。
【0032】
また、
図6、
図7に示すように、回転ドラム81が駆動ドラム72側に移動すると、駆動係止歯88と被動係止歯87との係合が解除されて、伝達ドラム86が自在に回転可能な状態となる。伝達ドラム86は、駆動軸12と一体に回転するように連結される。
【0033】
次に、伝達クラッチ21の動作について説明する。
操作プーリー11がボトムレール5の引き上げ方向に回転されると、その回転力が駆動ギヤ(不図示)、伝達ギヤ89、及び駆動ドラム72を介して回転ドラム81に伝達される。
【0034】
そして、クラッチ凸部84が係合溝75内に案内されて、回転ドラム81が伝達ドラム86に向かって移動し、駆動係止歯88が被動係止歯87に係合する。すると、駆動ドラム72の回転が回転ドラム81を介して伝達ドラム86に伝達され、伝達ドラム86の
図5の矢印A方向の回転に基づいて、駆動軸12が回転される。このとき、駆動係止歯88が被動係止歯87に係合した後は、回転ドラム81の係合部がストップバネ79の端部80aに当接するため、クラッチドラム73及びストップバネ79は駆動ドラム72と一体に回転される。
【0035】
一方、操作プーリー11がボトムレール5の引き下げ方向に回転されると、その
図5の矢印B方向の回転力が回転ドラム81に伝達され、クラッチ凸部84が解除溝76に移動し、駆動係止歯88と被動係止歯87の係合が解除され、駆動係止歯88は
図5の矢印B方向に空転し、操作プーリー11に加えられた
図5の矢印B方向の回転力は、駆動軸12には伝達されない。
【0036】
以上の構成によって、伝達クラッチ21は、操作プーリー11に加えられた一方向の回転のみを駆動軸12に伝達する。
【0037】
駆動軸12は、ヘッドボックス1の中間部においてストッパ装置24に挿通されている。このストッパ装置24は、ボトムレール5の引き上げ操作の後にボールチェーン13を手放したとき、駆動軸12の回転を停止させてボトムレール5の自重降下を防止する。
【0038】
ここで、
図8〜
図9を用いて、ストッパ装置24の動作について説明する。
【0039】
図8に示すように、ストッパ装置24は、ストッパドラム94と、ストッパドラム94の周囲に配設されるストッパケース95と、その間に配置されるストッパボール96とを備える。ストッパドラム94の外周面には、
図9に示す外周面形状で且つ断面半円状のストッパ案内溝98が設けられている。ストッパケース95の内周面には、駆動軸12に沿う方向に延び且つ断面半円状のスライド溝97が設けられている。ストッパボール96は、ストッパ案内溝98とスライド溝97の間に配置される。従って、ストッパボール96は、駆動軸12に沿った方向にのみ移動可能であり、ストッパドラム94が回転されると、ストッパボール96は、ストッパ案内溝98に沿ってストッパドラム94の外周面上を相対的に周回しながら、スライド溝97に沿って移動する。
【0040】
ストッパ案内溝98の構成を
図9に示す展開図に従って説明する。
図9において、ストッパドラム94がボトムレール5の引き上げ方向(
図1の矢印A方向)に回転されると、ストッパボール96はストッパ案内溝98上を相対的に
図9の矢印C方向に移動する。
【0041】
また、ストッパドラム94がスクリーン4の引き下げ方向(
図1の矢印B方向)に回転されると、ストッパボール96はストッパ案内溝98上を相対的に矢印D方向に移動する。
【0042】
ストッパドラム94の外周面一側には引き下げ溝99が形成される。引き下げ溝99には、矢印C方向に分岐する第一の戻り溝50が連通し、第一の戻り溝50は引き上げ溝51に対し矢印C方向に合流している。
【0043】
引き上げ溝51には、矢印D方向に分岐するストップ溝52が連通し、ストップ溝52は矢印D方向には係止部53で行き止まりとなり、矢印C方向に延びる第二の戻り溝54を経て、引き下げ溝99に合流している。
【0044】
このように構成されたストッパ装置24では、ボールチェーン13の操作に基づいて、伝達クラッチ21を介して駆動軸12がスクリーン4の引き上げ方向に回転されると、ストッパボール96は引き上げ溝51内を矢印C方向に移動する。
【0045】
スクリーン4を所望位置まで引き上げた後、ボールチェーン13を手放すと、スクリーン4の重量により、昇降コード7が巻き戻されて、駆動軸12を介してストッパドラム94が回転され、ストッパボール96が引き上げ溝51内を矢印D方向に移動する。
【0046】
すると、ストッパボール96は係止部53に係合して、ストッパドラム94のそれ以上の回転が阻止される。従って、この状態ではスクリーン4の自重降下が阻止される。
【0047】
次いで、スクリーン4を下降操作する場合には、ボールチェーン13を操作してスクリーン4を僅かに引き上げれば、ストッパボール96は係止部53から第二の戻り溝54を経て引き下げ溝99内に案内される。
【0048】
すると、ストッパボール96は引き下げ溝99内を矢印D方向に周回可能となるので、ボールチェーン13を手放せば、スクリーン4の自重による下降操作が可能となる。
【0049】
また、ストッパボール96が係止部53に係合している状態から、さらにスクリーン4を引き上げる場合には、ボールチェーン13をスクリーン4の引き上げ方向に操作する。
【0050】
すると、ストッパボール96は係止部53から第二の戻り溝54を経て引き下げ溝99内に案内され、さらに第一の戻り溝50を経て引き上げ溝51内に案内される。従って、ボールチェーン13によるスクリーン4の引き上げ操作が可能となる。
【0051】
図1に示すように、ストッパ装置24の側方において、駆動軸12は、ガバナ装置36に挿通されている。ガバナ装置36は、駆動軸12の回転を停止させることなく駆動軸12の回転速度を所定値以下に抑制して、ボトムレール5の自重降下時の下降速度を所定速度以下に抑制する。
【0052】
ここで、このプリーツスクリーンの動作を説明する。ボールチェーン13の部屋内側部分を
図2の矢印Aの方向に引くと、その力によって生じた回転力が操作プーリー11を介して伝達クラッチ21に伝達される。伝達クラッチ21は、
図1の矢印Aの方向の回転力のみを駆動軸12に伝達するように構成されているので、
図2の矢印Aの方向にボールチェーン13を引くことによって生じた回転力が、駆動軸12に伝達され、駆動軸12が回転される。駆動軸12の回転によって、ヘッドボックス1内でサポート部材8に回転可能に支持された巻取軸10が
図1の矢印Aの方向に回転し、昇降コード7が螺旋状に巻き取られて、昇降コード7の先端に取着されたボトムレール5が上昇する。
【0053】
この状態でボールチェーン13から手を離すと、ストッパ装置24が作動してボトムレール5の自重降下が防止される。この状態で、ボールチェーン13を再度
図2の矢印Aの方向に引いた後に手を離すと、ストッパ装置24の自重降下防止動作が解除されて、巻取軸10から昇降コード7が巻き戻されて、ボトムレール5が降下する。
【0054】
なお、伝達クラッチ21は
図1の矢印B方向の回転力を伝達しないので、ボールチェーン13の部屋外側側部分を
図2の矢印B方向に引き下げても、その力は駆動軸12には伝達されず、ボールチェーン13は空回りする。従って、ボールチェーン13の部屋外側を引き下げても、ボールチェーン13にはほとんど張力が加わらない。
【0055】
次に、ボールチェーン13の具体的構成を
図10〜
図22に従って説明する。
図10(a)〜(b)に示すように、ボールチェーン13はポリエステルのコード15上に等間隔に合成樹脂のボール16が成形されている。各ボール16はコード15の表面上に成形機で長球状の充実体を成形したものであり、各ボール16がコード15に対し移動不能に固着されている。なお、図示の便宜上、
図10においては、ボール16の数を
図1〜
図2よりも少なくしている。
【0056】
ボールチェーン13は、2つのメインコード13a,13bを2つの連結部17a,17bで連結することによって形成することができる。各メインコード13a,13bは、コード15上に多数のボール16を備え、コード15の両端に半球部16aが設けられている。本実施形態では、メインコード13aとメインコード13bの長さは、同一である。
【0057】
図10〜
図11に示すように、連結部17a,17bは、同一構成であり、互いに上下反転させた状態で、メインコード13a,13bに連結される。以下、連結部17aについて説明を進めるが、同様の説明が、連結部17bにも当てはまる。
【0058】
図11〜
図12に示すように、連結部17aは、2つの第一の連結部材41a,41bの一端部に設けられた第一の嵌合部43を筒状の第二の連結部材(第二の嵌合部)42で連結した構成である。第一の連結部材41a,41bの基本構成は、同一であるが、第一の連結部材41aは、丸軸状の嵌合突部45に円柱状の移動部材40をスライド移動可能に収容する移動部材収容部29が設けられている点においては、第一の連結部材41bとは異なっている。移動部材収容部29の深さ方向の長さは、ピン状の移動部材(移動ピン)40の高さ方向の長さよりも長い(例えば1.5倍以上、好ましくは2倍以上である。)。
図11(a)のように、第一の連結部材41aの嵌合突部45が下側を向いている場合には、移動部材40が嵌合突部45の略先端に移動して、連結部は、高保持力状態となる。一方、
図11(b)のように、第一の連結部材41aの嵌合突部45が上側を向いている場合には、移動部材40が嵌合突部45の先端から離れた位置に移動して、連結部は、低保持力状態となる。
【0059】
第一の連結部材41a,41bは、
図11〜
図12に示すように、コード15と同一材質の連結コード19の一端にボール16の半分の形状の半球部20がアウトサート成型され、他端には第一の嵌合部43が形成されている。半球部20と第一の嵌合部43との間にボール16と同形状のボール44が固着され、第一の嵌合部43とボール44との間隔及びボール44と半球部20との間隔は、ボール16の間隔と同一である。
【0060】
半球部20及び第一の嵌合部43は、ボール16と同一の合成樹脂で連結コード19の両端部に成形される。第一の嵌合部43の基端部は、ボール16の端部と同様な半球状に形成され、第一の嵌合部43の先端部には、丸軸状の嵌合突部45が形成されている。
【0061】
嵌合突部45の先端部の外周面上には、
図12〜
図15に示すように、丸軸の中心に対し線対称状に膨径部46が形成され、その膨径部46の中間には断面半円状の凹条47がそれぞれ形成されている。
【0062】
嵌合突部45の基端部には、
図12及び
図16に示すように、丸軸の径方向に突出する回動規制部48が中心に対し線対称状に形成されている。また、各回動規制部48は、丸軸の中心に対し凹条47から周方向に45度隔てた位置に形成される。
【0063】
第二の連結部材42は、第一の嵌合部43及びボール16,44と同一の合成樹脂で円筒状に成形されて嵌合孔を備えた第二の嵌合部として形成され、
図17及び
図18に示すように、両側の開口部49a,49bは嵌合突部45の膨径部46を含む先端部を挿入可能とした俵形に形成されている。また、開口部49a,49bは、その俵形の方向が円筒の中心に対し互いに90度回転した形状となっている。
【0064】
第二の連結部材42の内部には、嵌合突部45の先端部を回動可能とする径を備えた円形孔50が形成されている。そして、開口部49aの俵形の短軸方向の開口縁には、第一の連結部材41aの膨径部46の円形孔50からの抜けを妨げる係止部51a,51bがそれぞれ形成され、開口部49bの俵形の短軸方向の開口縁には、第一の連結部材41bの膨径部46の円形孔50からの抜けを妨げる係止部51c,51dがそれぞれ形成されている。
【0065】
また、係止部51a,51cの内側において、円形孔50の内周面には凹条47に係合する突条52がそれぞれ形成されている。第一の連結部材41aと第二の連結部材42とを連結するには、第一の連結部材41aの第一の嵌合部43の嵌合突部45を第二の連結部材42の開口部49aに挿入し、第一の嵌合部43を第二の連結部材42に対し時計方向に90度回動する。すると、嵌合突部45の凹条47が円形孔50内の突条52に係合し、回動規制部48が開口部49aの俵形の角部から隣の角部まで移動して、
図22に示すように位置決めされる。
【0066】
また、第二の連結部材42の他方の開口部49bにも同様に第一の連結部材41bの嵌合突部45を挿入して90度回動させて位置決めする。すると、
図11に示すように、第二の連結部材42を介して第一の連結部材41a,41bが連結される。
【0067】
この状態では、各第一の連結部材41a,41bの嵌合突部45の膨径部46が第二の連結部材42の係止部51a〜51dに係合して、第二の連結部材42の円形孔50内に保持される。また、第二の連結部材42の両側に第一の嵌合部43を嵌合した状態での外形形状は、ボール16と同一形状となるように形成されている。第一の連結部材41a,41bの半球部20は、メインコード13a,13bの両端にアウトサート成型された半球部16aに溶着固定されて、ボール16と同一形状のボールが形成される。そして、第一の連結部材41a,41bを第二の連結部材42で連結すると、
図10(b)に示すように、無端状のボールチェーン13が形成される。このように構成されたボールチェーン13では、そのコード15及び連結部17a,17bの連結コード19の全長に亘って同一形状のボールが同一間隔で形成される。従って、ボールチェーン13は操作プーリー11に対し制限なく周回可能である。
【0068】
ところで、
図11(a)では、連結部17aは、第一の連結部材41aの嵌合突部45が下側を向いていて移動部材40が嵌合突部45の略先端に配置されているので高保持力状態となっており、
図11(b)では、連結部17bは、第一の連結部材41aの嵌合突部45が上側を向いていて移動部材40が嵌合突部45の先端から離れた位置に配置されているので低保持力状態となっている。一方、
図23(a)〜(b)に示すように、連結部17aの第一の連結部材41aの嵌合突部45が上側を向き、連結部17bの第一の連結部材41aの嵌合突部45が下側を向く状態では、連結部17aが低保持力状態となり、連結部17bが高保持力状態となる。このように、連結部17a,17bが高保持力状態と低保持力状態のどちらの状態になるのかは、第一の連結部材41aの嵌合突部45が向いている方向によって決まる。言い換えると、連結部17a,17bは、ボールチェーン13をターンさせる位置において移動部材40の移動に伴って保持力が変化するように構成されている。連結部17a,17bは、一方が高保持力状態の場合に、他方が低保持力状態となるようにボールチェーン13において離間されて(ボールチェーン13を周方向に略二分割するように)配置されている。なお、連結部17a,17bは、
図10(b)の矢印Cで示す、ボールチェーン13の周方向に関して、同一方向に向けられている。つまり、連結部17a,17bの両方において、嵌合突部45が矢印Cの方向に向けられている。連結部17a,17bがこのように向けられているので、連結部17a,17bの一方が部屋内側に位置し、他方が部屋外側に位置する場合に、一方が高保持力状態となり、他方が低保持力状態となる。
【0069】
連結部17a,17bが高保持力状態である場合の保持力は、通常の日射遮蔽材昇降操作時にボールチェーン13に作用する通常の引張り力では、嵌合突部45が第二の連結部材42から外れることがないように設定されている。そして、ボールチェーン13に通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したときに限り、第二の連結部材42の合成樹脂の弾性により、嵌合突部45の膨径部46により第二の連結部材42の開口部49a,49bが押し広げられて、嵌合突部45が第二の連結部材42から外れるようになっている。このように、高保持力状態である連結部17aは、ある程度大きな力が作用した場合に初めて分離されるようになっている。
【0070】
一方、連結部17a,17bが低保持力状態である場合の保持力は、高保持力状態の保持力よりも小さくなっており、軽い力でひっかかった場合のように小さな力が作用した場合でも容易に分離されるようになっている。このような低保持力状態である連結部17bが存在することによって、軽い力でひっかかった場合にループ状のボールチェーン13が必ず分離されるので、安全性が高められる。
【0071】
ここで、
図2を用いて、本実施形態の作用効果について説明する。
図2の状態では、連結部17a及び連結部17bが、それぞれ、ボールチェーン13の部屋内側及び部屋外側に位置しており、連結部17aが高保持力状態になっていて、連結部17bが低保持力状態になっている。ボトムレール5を上昇させる際には、ボールチェーン13の部屋内側部分を矢印Aの方向に引き下げる。この際、連結部17aには比較的強い分離力が加わるが連結部17aが高保持力状態になっているので、連結部17aにおいてボールチェーン13が分離されることはない。また、ボールチェーン13の部屋内側部分を引き下げても、ボールチェーン13の部屋外側部分に位置している連結部17bには力が加わらないので、低保持力状態である連結部17bも分離されない。一方、この状態で、軽い力でボールチェーン13に引っかかった場合には、低保持力状態である連結部17bが分離されて事故の発生が防がれる。
【0072】
ボールチェーン13を
図2の矢印Aの方向に引き下げてボールチェーン13を半周分回転させると、
図24に示すように、連結部17aと連結部17bの位置が反対になる。この状態では、連結部17bが高保持力状態になっていて、連結部17aが低保持力状態になっている。ボールチェーン13の部屋内側部分を
図24の矢印Aの方向に引き下げると、連結部17bには比較的強い分離力が加わるが連結部17bが高保持力状態になっているので、連結部17bにおいてボールチェーン13が分離されることはない。また、この状態で、軽い力でボールチェーン13に引っかかった場合には、低保持力状態である連結部17aが分離されて事故の発生が防がれる。
【0073】
図24の状態からボトムレール5を下降させる場合には、ボールチェーン13の部屋内側部分を矢印Aの方向に引き下げることによってストッパ装置24の自重降下防止動作を解除し、その後に、ボールチェーン13から手を離すことによってボールチェーン5を自重降下させる。このように、ボトムレール5を下降させる際には、高保持力状態である連結部17bにのみ力が加わって、低保持力状態である連結部17aには力が加わらないので、低保持力状態である連結部17aが意図せずに外れることがない。
【0074】
上記の内容から以下のことが言える。操作プーリー11から垂下されるボールチェーン13の2つの部分のうちの一方に加わる最大張力は、他方に加わる最大張力よりも大きい。最大張力が大きい方の部分を高張力部分、最大張力が小さい方の部分を低張力部分とする。本実施形態では、ボールチェーン13の部屋内側部分だけを用いてボトムレール5を昇降させるので、ボールチェーン13の部屋内側部分だけに張力が加わる。従って、ボールチェーン13の部屋内側部分が高張力部分であり、ボールチェーン13の部屋外側部分が低張力部分となる。高保持力状態での連結部17a,17bの保持力は、高張力部分に加わる最大張力よりも大きくし、低保持力状態での連結部17a,17bの保持力は、低張力部分に加わる最大張力よりも大きくする。そして、連結部17a,17bが高張力部分に位置しているときに連結部17a,17bが高保持力状態となり、連結部17a,17bが低張力部分に位置しているときに連結部17a,17bが低保持力状態となるように連結部を構成することによって、ボトムレール5を昇降させる際の操作力によってはボールチェーン13の連結部が分離されず、かつ軽い力でボールチェーン13に引っかかった場合には、ボールチェーン13の連結部が容易に分離されるので、安全性が高められる。
【0075】
なお、操作プーリー11に加わるトルクを用いて表現すると以下のようになる。操作プーリー11を一方向に回転させる際に必要な最大トルクは、他方向に回転させる際に必要な最大トルクよりも大きい。最大トルクが大きい方の回転方向を高トルク回転方向、最大トルクが小さい方の回転方向を低トルク回転方向とする。本実施形態では、ボールチェーン13の部屋内側部分を引き下げてボトムレール5を上昇させる際の、操作プーリー11の回転方向が高トルク回転方向であり、その逆方向が低トルク回転方向である。高保持力状態での連結部17a,17bの保持力は、この保持力に相当する張力をボールチェーン13に加えて操作プーリー11を高トルク回転方向に回転させる際のトルクが高トルク回転方向の最大トルクよりも大きくなるように設定する。一方、低保持力状態での連結部17a,17bの保持力は、この保持力に相当する張力をボールチェーン13に加えて操作プーリー11を低トルク回転方向に回転させる際のトルクが低トルク回転方向の最大トルクよりも大きくなるように設定する。連結部17a,17bの保持力をこのように設定することによって、操作時に連結部17a,17bが意図せずに分離されることを防ぐことができる。
【0076】
本発明は、以下の実施態様でも実施することができる。
・プリーツスクリーン以外にも、操作コードを用いて日射遮蔽材を昇降させる種々の日射遮蔽装置(例:横型ブラインド、たくし上げカーテン、ロールスクリーン)にも適用可能である。また、操作コードを用いて遮蔽材を開閉させるその他の遮蔽装置(例:カーテンレール、アコーディオンカーテン、縦型プリーツスクリーン、縦型ロールスクリーン、パネルカーテン等)にも適用可能である。
・上記実施形態では、第一の連結部材41a,41bの嵌合突部45を第二の連結部材42の嵌合孔に挿入して、両者を相対回転させることによって両者を嵌合させているが、第一の連結部材41a,41bの嵌合突部45を第二の連結部材42の嵌合孔に弾性的に嵌合させる(つまり、強い力を加えて押し込む)ようにしてもよい。
・上記実施形態では、ボールチェーン13の部屋内側部分を引き下げることによってボトムレール5を上昇させているが、ボールチェーン13の部屋外側部分を引き下げることによってボトムレール5を上昇させるようにしてもよい。その場合、ボールチェーン13の部屋外側部分が高張力部分となり、部屋内側部分が低張力部分となる。従って、連結部17a,17bがボールチェーン13の部屋外側部分に位置しているときに高保持力状態となり、部屋内側部分に位置しているときに低保持力状態となるように、ボールチェーン13を操作プーリー11に掛装させることによって、操作時にボールチェーン13の連結部が分離されることを防ぎつつ、安全性を高めることができる。
・ワンウェイクラッチは、上記のようなクラッチ方式以外にも、常に入力側が出力側の回転体に対し一回転方向へのみ係合してトルクを伝達するラチェット方式のものや、ニードル式(内輪周面に設けられたニードルを外輪のカム面に対しかみ合い位置と非かみ合い位置とに回転方向により移動させる方式)などの別の方式によるものでもよい。
【0077】
2.第2実施形態
第1実施形態では、連結部17a,17bは、第一の連結部材41a,41bと第二の連結部材42からなる三部材構成であるが、本実施形態では、連結部17a,17bは、
図25に示すように、第一の連結部材41aと第二の連結部材41cからなる二部材構成である。第二の連結部材41cは、第1実施形態の第一の連結部材41bに類似した構成を有しており、その嵌合部46は、第1実施形態の第一の連結部材41bの嵌合部43と、第二の連結部材42とを合体させたような構成を有している。従って、本実施形態の第一の連結部材41aと第二の連結部材41cの嵌合構造は、第1実施形態の第一の連結部材41aと第二の連結部材42の嵌合構造と同様である。
【0078】
本実施形態の構成であっても、第一の連結部材41aの嵌合突部45の向きによって、連結部17a,17bが高保持力状態と低保持力状態のどちらの状態になるのかが決まる。従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、連結部17a,17bの何れかが低保持力状態となることによって安全性が高められる。
【0079】
3.第3実施形態
図26〜
図27に示すように、本実施形態では、操作コードは、ボールチェーンではなく、ボールを有さない無端状の操作コード14である。
【0080】
図26〜
図27に示すように、操作コード14は、2つのメインコード14a,14bを2つの連結部17a,17bで連結することによって形成することができる。メインコード14a,14bは、ポリエステルやナイロン等で形成された中芯86aをポリエステルで編み込まれた外皮コード86bで被覆したものであり、中芯86aにより操作コード14の直線性が確保されるとともに、伸び方向の耐久性が確保されている。メインコード14a,14bの両端には、中芯86aが除去されてコード挿通部86cが形成されている。
【0081】
連結部17a,17bは、第1実施形態と同様に、2つの第一の連結部材41a,41bの一端部に設けられた第一の嵌合部43を筒状の第二の連結部材(第二の嵌合部)42で連結した構成である。第一の連結部材41a,41bは、それぞれ、連結コード61を備える。そして、連結コード61をコード挿通部86cに挿入した状態で縫製又は溶着などの方法で両者を固定することによって、無端状の操作コード14が形成される。
【0082】
本実施形態の構成であっても、第一の連結部材41aの嵌合突部45の向きによって、連結部17a,17bが高保持力状態と低保持力状態のどちらの状態になるのかが決まる。従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、連結部17a,17bの何れかが低保持力状態となることによって安全性が高められる。
【0083】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・連結部17a,17bの嵌合構造は、特に限定されず、第1実施形態のような三部材構成であっても、第2実施形態のような二部材構成であってもよい。
・連結部17a,17bの外形形状は、ボール状でなくてもよい。
・メインコード14a,14bは、
図26で示すものよりも細い紐状のものであってもよい。
・メインコード14a,14bと連結部17a,17bは、上記以外の方法で連結してもよい。
【0084】
4.第4実施形態
図28〜
図29に示すように、本実施形態では、第1実施形態に類似しているが、本実施形態では、連結部17a,17bがメインコード13a,13bに着脱可能に連結されることによって、無端状のボールチェーン13が形成される。
【0085】
メインコード13a,13bの両端には、ボール16bが設けられている。連結部17a,17bは、第1実施形態と同様に、2つの第一の連結部材41a,41bの一端部に設けられた第一の嵌合部43を筒状の第二の連結部材(第二の嵌合部)42で連結した構成である。第一の連結部材41a,41bは、それぞれ、合成樹脂でほぼ直方体状に形成され、その上面にはボール16bを挿入可能とするように長円状に開口された係止孔82が設けられている。第一の連結部材41a,41bの基端面中央には、
図29に示すように、係止孔82に連なる挿通孔83が開口され、その挿通孔83は案内溝84を介して第一の連結部材41の上面に開口されている。そして、メインコード13a,13bの端部に形成されたボール16bを係止孔82内に挿入し、そのボール16bに連なるコード15aを案内溝84から挿通孔83内に挿入すると、ボール16bが係止孔82内に保持される。
【0086】
本実施形態の構成であっても、第一の連結部材41aの嵌合突部45の向きによって、連結部17a,17bが高保持力状態と低保持力状態のどちらの状態になるのかが決まる。従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、連結部17a,17bの何れかが低保持力状態となることによって安全性が高められる。
【0087】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・本実施形態は、ボールチェーン13以外の操作コードにも適用可能である。その場合、メインコードの両端にはボール16bを設ける代わりに別の形状の係止体を設けてもよい。そして、係止孔82は、その係止体を係止可能な形状にすればよい。
・連結部17a,17bの嵌合構造は、特に限定されず、第1実施形態のような三部材構成であっても、第2実施形態のような二部材構成であってもよい。
【0088】
5.第5実施形態
第1実施形態において説明したように、
図2の状態では、連結部17aが高保持力状態であり、連結部17bは低保持力状態である。この状態で、ボールチェーン13の部屋内側部分を
図2の矢印A方向に引き下げると、ある時点で、
図30(a)に示すように低保持力状態の連結部17bが操作プーリー11に係合した状態になる。この状態では、軽い力でボールチェーン13に引っかかった場合でも、操作プーリー11が邪魔をして連結部17bが適切に分離されない場合がある。そこで、本実施形態では、
図30(b)に示すように、ボールチェーン13に3つの連結部17a,17b,17cを設け、これら3つの連結部17a,17b,17cは、最近接の2つの連結部の間の距離が操作プーリー11の外周の半分より離れるように配置している。3つの連結部17a,17b,17cをこのように配置することによって、
図30(c)に示すように、1つの連結部が操作プーリー11に係合している場合でも、別の連結部が低保持力状態になるので、軽い力でボールチェーン13に引っかかった場合に確実に分離されて安全性が高められる。
【0089】
また、変形例として、
図31(a)に示すように、ボールチェーン13に4つの連結部17a,17b,17c,17dを設けてもよい。この場合でも、4つの連結部は、最近接の2つの連結部の間の距離が操作プーリー11の外周の半分よりも離れるように配置すればよい。
【0090】
以上の内容を一般化すると、最近接の2つの連結部の間の距離が操作プーリー11の外周の半分よりも離れるように操作コードにn個(nは3以上)の連結部を設けることによって、1つの連結部が操作プーリーに係合している場合でも、別の連結部が低保持力状態となることによって、軽い力で操作コードに引っかかった場合に確実に分離されて安全性が高められる。なお、n個の連結部は、操作コードの周方向に関して同一方向に向けられることが好ましい。また、n個の連結部は、操作コードを周方向にn分割するように設けることが好ましい。
【0091】
6.第6実施形態
第1実施形態では、ボールチェーン13の部屋内側部分を
図2の矢印Aに引き下げることによってボトムレール5を上昇させ、かつボールチェーン13の部屋内側部分を
図2の矢印Aの方向に引き下げることによってストッパ装置24の自重降下防止動作を解除して、ボトムレール5を自重降下させているので、ボールチェーン13の部屋外側部分は使用していない。
【0092】
一方、本実施形態では、特許3378813号のように、ボトムレール5の自重降下を妨げるためのストッパ装置は、伝達クラッチ21よりも操作プーリー11側に設け、ボールチェーン13の部屋外側部分の引き下げ操作によって伝達クラッチ21の切り離しクラッチを切り離すことによって、操作プーリー11と駆動軸12との連結を解除する。従って、本実施形態では、ボトムレール5を上昇させるためにボールチェーン13の部屋内側部分を引き下げ、ボトムレール5を下降させるためにボールチェーン13の部屋外側部分を引き下げる。切り離しクラッチの切り離しの際にボールチェーン13に加わる張力は、ボトムレール5を引き上げる際にボールチェーン13に加わる張力よりも小さいので、第1実施形態と同様に、ボールチェーン13の部屋内側部分が高張力部分となり、ボールチェーン13の部屋外側部分が低張力部分となる。従って、本実施形態においても、第1実施形態と同様の原理により、操作時にボールチェーン13の連結部が分離されることを防ぎつつ、安全性を高めることができる。
【0093】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・ボールチェーン13の部屋外側部分を
図32の矢印Bの方向に引き下げることによって、引き下げ動作と同期させてボトムレール5を下降させるようにしてもよい。通常は、ボトムレール5を下降させる際にボールチェーン13に加わる張力は、ボトムレール5を引き上げる際にボールチェーン13に加わる張力よりも小さいので、上記実施形態と同様に、ボールチェーン13の部屋内側部分が高張力部分となり、ボールチェーン13の部屋外側部分が低張力部分となる。従って、このような実施形態においても、第1実施形態と同様の原理により、操作時にボールチェーン13の連結部が分離されることを防ぎつつ、安全性を高めることができる。
【0094】
7.第7実施形態
第1及び第6実施形態では、操作プーリーから垂下される操作コードの2つの部分のうち、日射遮蔽材を上昇させる方向に操作プーリーを回転させる部分(上昇操作部分)が高張力部分となっていたが、スプリング式のロールスクリーンなどでは、日射遮蔽材を上昇させる際に操作コードに加わる張力が、日射遮蔽材を下降させる際に操作コードに加わる張力よりも小さくなる場合がある。そのような場合、操作プーリーから垂下される操作コードの2つの部分のうち、日射遮蔽材を下降させる方向に操作プーリーを回転させる部分(下降操作部分)が高張力部分となる。このような場合でも、第1実施形態と同様の原理により、操作時にボールチェーン13の連結部が分離されることを防ぎつつ、安全性を高めることができる。
【0095】
8.第8実施形態
図33を用いて、本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、第一の連結部材41aの嵌合突部45にスリット状の空気抜き部29aが設けられている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0096】
第1実施形態では、第一の連結部材41aの丸軸状の嵌合突部45に設けられた移動部材収容部29内に円柱状の移動部材40を収容し、移動部材収容部29内で移動部材40を移動させることによって連結部の保持力を変化させているが、移動部材収容部29の開口径と移動部材40の外径が略同一であるか又はその差が非常に小さい場合には、移動部材収容部29内がほぼ密閉空間となるので、
図23(a)に示すように移動部材40が嵌合突部45の略先端にある状態から
図23(b)に示すように移動部材40が嵌合突部45の先端から離れた位置に移動する際に、移動部材収容部29内の空気が邪魔をして、移動部材40の移動を妨げられる場合があるという課題がある。
【0097】
本実施形態では、
図33に示すように、移動部材収容部29に連通するスリット状の空気抜き部29aを嵌合突部45に設けることによって、移動部材40の移動の際に移動部材収容部29内の空気が抜けやすくなり、移動部材40がスムーズに移動することが可能になっている。空気抜き部29aの形状は特に限定されず、例えば移動部材収容部29に連通する貫通孔であってもよい。空気抜き部29aをスリット状にした場合、移動部材40と、移動部材収容部29の内面との間の摩擦が低減されて、移動部材40がより一層移動しやすくなるという利点が得られる。
【0098】
また、移動部材収容部29内の空気がより抜けやすいように、嵌合突部45を取り囲む部材(例:第1実施形態では第二の連結部材42、第2実施形態では第二の連結部材41c)にも空気抜き部を設けてもよい。
【0099】
9.第9実施形態
図34を用いて、本発明の第9実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、移動促進部材(本実施形態では磁石)によって移動部材40の移動を促進させる点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0100】
操作プーリーに入った連結部がなるべく早い段階で強状態に変化する必要がある。
【0101】
本実施形態では、
図34に示すように、移動部材40を磁性体(磁石にくっつく材料)で形成すると共に、ボールチェーン13を掛装する操作プーリー11の各係合凹部11aに隣接して磁石11bを設けている。
図34(a)に示すように、連結部17aが係合凹部11aに係合されると、移動部材40と磁石11bの間の引力によって、嵌合突部45の先端に向かう方向(
図34(a)中の矢印A方向)の力が移動部材40に加わる。移動部材40の移動は、その自重や、移動部材収容部29の内面との間の摩擦力などの抵抗力によって妨げられる。しかし、連結部17aの位置が操作プーリー11の最高点に近づくにつれて移動部材40の自重による抵抗力が小さくなり、さらに、連結部17aの位置が操作プーリー11の最高点を超えると、移動部材40の移動は、その自重及び引力によって促進される。従って、連結部17aが操作プーリー11に係合されて操作プーリー11の周りを旋回する間のある地点において、
図34(b)に示すように、移動部材40が嵌合突部45の先端に向かって移動して、連結部17aが低保持力状態から高保持力状態に変わる。移動部材40は、最高点到達前、最高点到達時、又は最高点到達後の何れかのタイミングで移動する。最高点到達後は、移動部材40は、自重と引力を合わせた力により連結部17aの進行方向に移動する。このように、本実施形態では、移動部材40に対して磁力を作用させて移動部材40の移動を促進させているので、早い段階でモードを切り替ることができる。
【0102】
なお、ここでは、磁石による引力を移動部材40に作用させて移動部材40の移動を促進させたが、移動部材40を磁石で構成し、操作プーリー11に設けた磁石と移動部材40の間に斥力を生じさせて、この斥力によって移動部材40の移動を促進させてもよい。さらに、磁石による引力と斥力を併用してもよい。
【0103】
また、操作プーリー11に磁石を設ける代わりに、別の位置に設けた磁石による磁力を移動部材40に作用させてもよい。例えば、
図35に示すように、ボールチェーン13のループ下端に下部プーリー64を有するウェイト65を配置し、下部プーリー64の係合凹部64aに隣接して磁石64bを設けてもよい。この場合、連結部17aは、
図35(a)に示す高保持力状態から、
図35(b)に示す低保持力状態に変化する。
【0104】
10.第10実施形態
図36〜
図37を用いて、本発明の第10実施形態について説明する。これまでの実施形態では、嵌合突部45に設けられた移動部材収容部29内の移動部材40を移動させることによって連結部の保持力の切り替えを行ってきたが、本実施形態では、別の構成により、連結部の保持力の切り替えが行われる。具体的には、本実施形態では、連結部の係合部は、操作コード14の径方向外側に広がることによって係合が解除されるように構成され、移動部材40は、係合部の外周側から、係合部が広がる方向の変形を規制/非規制することによって連結部の保持力を変化させるように構成される。以下、連結部及び移動部材の構成について詳細に説明する。
【0105】
本実施形態では、
図36〜
図37に示すように、連結部17aは、操作コード14の両端に設けられた相補的なカギ型部14c,14dと、保持力切替ユニット100とで構成される。
【0106】
カギ型部14c,14dは、操作コード14の端部を所定のキャビティ形状を有する分割金型で挟み込んだ状態で、熱又は超音波振動を加えて操作コード14の端部を溶融させることによって形成することができる。
【0107】
保持力切替ユニット100は、
図36(b)に示すように、一対の椀状部材90,91の内部に円筒状の移動部材40を収容した状態で椀状部材90,91を溶着することによって形成することができる。保持力切替ユニット100内の移動部材収容部29内には移動部材40がスライド移動可能に配置されている。枠状部材90,91及び移動部材40には、それぞれ、操作コード14の直径とほぼ同一であるか又はこれよりもわずかに大きい開口部90a,91a,40aが設けられており、これらの開口部は、保持力切替ユニット100において一列に並んで配置されて、これらの開口部に操作コード14が挿通可能になっている。
【0108】
保持力切替ユニット100を操作コード14に取り付ける方法は、以下の通りである。まず、操作コード14の一端を開口部90a,91a,40aに挿通させ、その状態で操作コード14の両端のカギ型部14c,14dを係合させる。次に、
図37(a)に示すように、カギ型部14c,14dの係合部14hを移動部材収容部29内に引き込み、係合部14hを移動部材収容部29の長手方向の中央からずれた位置に配置した状態で固定部材69を用いて保持力切替ユニット100を操作コード14に対して固定する。
【0109】
図37(a)に示すように係合部14hが移動部材40で囲まれている状態では、操作コード14に引張り力が加わってもカギ型部14c,14dが容易に分離されない。従って、
図37(a)の状態では、連結部17aは、高保持力状態となる。
【0110】
一方、操作コード14の操作に伴って、連結部17aの向きが反転すると、移動部材40が移動部材収容部29内でスライド移動して、
図37(b)に示す状態になる。この状態では、係合部14hは移動部材40で囲まれていないので、操作コード14に引張り力が加わるとカギ型部14c,14dは比較的容易に分離される。従って、
図37(b)の状態では、連結部17aは、低保持力状態となる。
【0111】
11.第11実施形態
図38〜
図40を用いて、本発明の第11実施形態について説明する。本実施形態では、さらに別の構成により、連結部の保持力の切り替えが行われる。本実施形態でも、第10実施形態と同様に、移動部材40は、係合部の外周側から、係合部が広がる方向の変形を規制/非規制することによって連結部の保持力を変化させるように構成される。以下、連結部及び移動部材の構成について詳細に説明する。
【0112】
本実施形態では、ボールチェーン13の一端に膨径部14gが設けられる。膨径部14gは、カギ型部14c,14dと同様の方法で形成可能である。ボールチェーン13の他端には、膨径部14gに係合可能な係合アーム63が形成されている。係合アーム63は、アウトサート成形などによって形成可能である。係合アーム63の外形は、ボール16と略同一になっている。
【0113】
また、膨径部14gに隣接したコード15には、膨径部14gと係合アーム63の係合部14hを取り囲むことができ且つコード15に対してスライド移動可能な椀状の移動部材40が設けられる。
【0114】
図38(a)に示すように係合部14hが移動部材40で囲まれている状態では、ボールチェーン13に引張り力が加わっても膨径部14gと係合アーム63が容易に分離されない。従って、
図38(a)の状態では、連結部17aは、高保持力状態となる。
【0115】
一方、ボールチェーン13の操作に伴って、連結部17aの向きが反転すると、移動部材40が細径部14eに沿ってスライド移動して、
図38(b)に示す状態になる。この状態では、係合部14hは移動部材40で囲まれていないので、ボールチェーン13に引張り力が加わると膨径部14gと係合アーム63は比較的容易に分離される。従って、
図38(b)の状態では、連結部17aは、低保持力状態となる。
【0116】
移動部材40は、その自重のみによって移動させてもよく、移動促進部材によって移動部材40の移動を促進させてもよい。移動促進部材としては、第9実施形態で説明したような磁石であってもよく、以下に示すような機械的手段であってもよい。
図39は、操作プーリー11に隣接してモード切替プーリー66を設けた例を示す。モード切替プーリー66は、回転板66aと、回転板66aの主面から突出するように設けた突起66bを備える。本実施形態では、複数の突起66bが周方向に等間隔に設けられている。回転板66aは、操作プーリー11の回転に連動して、操作プーリー11よりも高速で回転するように構成されている。
【0117】
操作プーリー11には、ボール16又は係合アーム63に係合する係合凹部11aと、係合凹部11aに隣接して設けられ且つ移動部材40との干渉を避けるためのポケット11cが設けられている。複数の係合凹部11a及びポケット11cは、ボールチェーン13のボール13のピッチに合うように、操作プーリー11の外周に、それぞれ、周方向に等間隔に設けられている。
【0118】
図39(a)に示すように、係合アーム63が係合凹部11aに係合され、操作プーリー11の周りを周回する際に、モード切替プーリー66がより高速で回転して、その突起66bが下側から移動部材40を押し上げることによって、
図39(b)に示すように、移動部材40が係合アーム63に隣接した位置に速やかに移動する。これによって、連結部17aが低保持力状態から高保持力状態に速やかに切り替わる。
【0119】
図40は、ボールチェーン13のループ下端に配置される下部プーリー64を用いてモード切替を行う例を示す。下部プーリー64には、ボール16又は係合アーム63に係合する係合凹部64aと、係合凹部64aに隣接して設けられ且つ移動部材40との干渉を避けるためのポケット64cが設けられている。係合凹部64aとポケット64cの間にはテーパー面64dが設けられている。
【0120】
テーパー面64dは、係合アーム63が係合凹部64aに係合される際に、移動部材40のテーパー面40dに当接して、移動部材40を上方に押し上げる位置に形成されている。このような構成によれば、係合アーム63が係合凹部64aに係合される際に移動部材40が強制的に係合アーム63から引き離されるので、連結部17aが高保持力状態から低保持力状態に確実に切り替わる。なお、テーパー面64dとテーパー面40dが当接可能な範囲を長くするために、テーパー面64dの傾斜をテーパー面40dよりも緩やかにしている。