(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属コート炭素繊維及びピッチ系炭素繊維の一方又は両方を含む熱伝導性炭素繊維で強化されたプラスチックを有し、航空機の強度部材として使用される第1複合部材を備え、
繊維方向に関して前記熱伝導性炭素繊維の一端部が前記航空機の発熱部に配置され、前記熱伝導性炭素繊維の他端部が前記航空機の放熱部に配置され、
前記第1複合部材は、前記繊維方向と交差する並列方向に配置された複数の前記熱伝導性炭素繊維を含むプリプレグシートを前記繊維方向及び前記並列方向と交差する積層方向に複数積層した積層体を含み、
前記繊維方向に関する熱伝導率は、前記並列方向に関する熱伝導率及び前記積層方向に関する熱伝導率よりも大きい、部材。
金属コート炭素繊維及びピッチ系炭素繊維の一方又は両方を含む熱伝導性炭素繊維で強化されたプラスチックを有し、航空機の強度部材として使用される第1複合部材を備え、
繊維方向に関して前記熱伝導性炭素繊維の中央部が前記航空機の発熱部に配置され、前記熱伝導性炭素繊維の一端部及び他端部が前記航空機の放熱部に配置され、
前記第1複合部材は、前記繊維方向と交差する並列方向に配置された複数の前記熱伝導性炭素繊維を含むプリプレグシートを前記繊維方向及び前記並列方向と交差する積層方向に複数積層した積層体を含み、
前記繊維方向に関する熱伝導率は、前記並列方向に関する熱伝導率及び前記積層方向に関する熱伝導率よりも大きい、部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年において、航空機の部材の材料は、金属から複合材に遷移している。また、航空機の高度化に伴い、電子機器の使用が増大している。すなわち、近年においては、発熱部の発熱量が増大しているのに対し、航空機の部材の熱伝導率は低下している。そのため、発熱部で発生した熱を効率良く放出できる技術の案出が要望される。
【0005】
本発明の態様は、航空機又は人工衛星などの発熱部で発生した熱を効率良く放出できる部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、金属コート炭素繊維及びピッチ系炭素繊維の一方又は両方を含む熱伝導性炭素繊維で強化されたプラスチックを有する第1複合部材を備え、繊維方向に関して前記熱伝導性炭素繊維の一端部が発熱部に配置され、前記熱伝導性炭素繊維の他端部が放熱部に配置される部材が提供される。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、第1複合部材が金属コート炭素繊維及びピッチ系炭素繊維の一方又は両方を含む熱伝導性炭素繊維で強化された炭素繊維強化プラスチックを含み、その熱伝導性炭素繊維の一端部が発熱部に配置され、他端部が放熱部に配置される。そのため、発熱部で発生した熱は、熱伝導性炭素繊維を伝わって、効率良く放熱部に放出される。また、第1複合部材は、航空機又は人工衛星などの強度部材として使用可能である。そのため、金属シート又はジャンパー線のような専用の熱流路材を別途設けなくても、発熱部の熱を放熱部に放出することができる。そのため、重量の増大を抑制しつつ、発熱部で発生した熱が、効率良く放熱部に放出される。また、熱伝導性炭素繊維とプラスチックとは一緒に成型されるので、ロバスト性が向上する。
【0008】
本発明の第2の態様に従えば、金属コート炭素繊維及びピッチ系炭素繊維の一方又は両方を含む熱伝導性炭素繊維で強化されたプラスチックを有する第1複合部材を備え、繊維方向に関して前記熱伝導性炭素繊維の中央部が発熱部に配置され、前記熱伝導性炭素繊維の一端部及び他端部が放熱部に配置される部材が提供される。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、熱伝導性炭素繊維の中央部が発熱部に配置され、一端部及び他端部が放熱部に配置されるので、発熱部で発生した熱は、熱伝導性炭素繊維を伝わって、効率良く放熱部に放出される。そのため、重量の増大を抑制しつつ、発熱部で発生した熱が、効率良く放熱部に放出される。また、熱伝導性炭素繊維とプラスチックとは一緒に成型されるので、ロバスト性が向上する。
【0010】
本発明の第1の態様又は第2の態様において、前記第1複合部材は、前記繊維方向と交差する並列方向に配置された複数の前記熱伝導性炭素繊維を含むプリプレグシートを前記繊維方向及び前記並列方向と交差する積層方向に複数積層した積層体を含み、前記繊維方向に関する熱伝導率は、前記並列方向に関する熱伝導率及び前記積層方向に関する熱伝導率よりも大きくてもよい。
【0011】
これにより、熱伝導率に異方性が付与されるので、発熱部で発生した熱が、並列方向及び積層方向に伝わることが抑制され、放熱部に効率良く放出される。
【0012】
本発明の第1の態様及び第2の態様において、前記第1複合部材は板状部材であり、前記第1複合部材の表面及び裏面の一方又は両方に配置され、炭素繊維で強化されたプラスチックを含む第2複合部材を備え、前記熱伝導性炭素繊維の一端部及び他端部のそれぞれは露出してもよい。
【0013】
これにより、第1複合部材が第2複合部材で支持され、強度が維持される。熱伝導性炭素繊維の一端部及び他端部のそれぞれは、第2複合部材で覆われずに露出するので、発熱部で発生した熱は、放熱部から効率良く放出される。
【0014】
本発明の第1の態様及び第2の態様において、前記発熱部は、前記航空機の電子機器を含み、前記放熱部は、前記航空機の燃料タンクを含んでもよい。
【0015】
これにより、電子機器の発熱量が増大しても、電子機器で発生した熱は、燃料タンクに効率良く放出される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、発熱部で発生した熱を効率良く放出できる部材が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る航空機1の一例を示す図である。
図1に示すように、航空機1は、胴体2と、主翼3と、水平尾翼4と、垂直尾翼5と、エンジン6と、燃料タンク7と、コックピット8と、電子機器9と、バッテリ10と、を備えている。
【0020】
胴体2、主翼3、水平尾翼4、及び垂直尾翼5の少なくとも一部は、複合材で形成されている。複合材は、炭素繊維で強化されたプラスチックである炭素繊維強化プラスチック(carbon fiber reinforced plastic:CFRP)を含む。なお、複合材が、ガラス繊維で強化されたプラスチックであるガラス繊維強化プラスチック(glass fiber reinforced plastic:GFRP)を含んでもよい。
【0021】
なお、胴体2、主翼3、水平尾翼4、及び垂直尾翼5の少なくとも一部が、アルミニウム合金(ジュラルミン)のような金属で形成されてもよい。
【0022】
本実施形態において、航空機1の部材の少なくとも一部は、金属コート炭素繊維(MC)で強化されたプラスチックである金属コート炭素繊維強化プラスチックを有する。金属コート炭素繊維で強化されたプラスチックは、MC−CFRP、とも呼ばれる。金属コート炭素繊維は、熱伝導性を有する熱伝導性炭素繊維である。
【0023】
図2は、本実施形態に係る金属コート炭素繊維強化プラスチックを含む複合部材11の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、複合部材11は、金属コート炭素繊維12で強化されたプラスチック13である金属コート炭素繊維強化プラスチック14を有する。金属コート炭素繊維12は、炭素繊維15と、炭素繊維15に被覆された金属16とを有する。
【0024】
複合部材11は、複数の金属コート炭素繊維12を有する。金属コート炭素繊維12は、第1の方向に長い。複数の金属コート炭素繊維12が、第1の方向と直交する第2の方向に並列に並べられる。また、複数の金属コート炭素繊維12が、第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向に配置される。
【0025】
以下の説明においては、金属コート炭素繊維12の長手方向(第1の方向)を適宜、繊維方向、と称する。また、以下の説明においては、複数の金属コート炭素繊維12が並べられる方向(第2の方向)を適宜、並列方向、と称する。また、以下の説明においては、複数の金属コート炭素繊維12が配置される方向(第3の方向)を適宜、積層方向、と称する。
【0026】
複数の金属コート炭素繊維12は、並列方向及び積層方向のそれぞれに関して、間隔をあけて配置される。複数の金属コート炭素繊維12の間に、プラスチック13が配置される。本実施形態において、プラスチック13は、エポキシ樹脂を含む。
【0027】
金属コート炭素繊維12の炭素繊維15の直径は、例えば、5μm以上10μm以下である。炭素繊維15の表面に金属16が被覆されている。金属16の熱伝導率は、炭素繊維15の熱伝導率よりも高い。プラスチック13の熱伝導率は、金属16の熱伝導率及び炭素繊維15の熱伝導率よりも低い。すなわち、プラスチック13の熱伝導率は、金属コート炭素繊維12の熱伝導率よりも低い。
【0028】
本実施形態において、金属16は、ニッケルである。金属コート炭素繊維12は、ニッケルコート炭素繊維である。なお、金属16は、金、銀、及び銅の少なくとも一つでもよい。
【0029】
図3は、本実施形態に係る複合部材11の製造方法の一例を模式的に示す図である。
図3の(ステップA)に示すように、金属コート炭素繊維12が製造される。金属コート炭素繊維12は、直径が5μmから10μm程度の炭素繊維15に金属16を被覆することによって製造される。本実施形態においては、金属16として、ニッケルが被覆される。なお、金属16として、金、銀、及び銅の少なくとも一つが被覆されてもよい。
【0030】
図3の(ステップB)に示すように、複数の金属コート炭素繊維12が並列方向に並べられ、エポキシ樹脂のようなブラスチック13で固められる。複数の金属コート炭素繊維12は、撚らずに、引き揃えられた状態で、プラスチック13で固められる。
【0031】
並列方向は、繊維方向に配置された複数の金属コート炭素繊維12が並べられる方向である。繊維方向と並列方向とは直交する。
【0032】
プラスチック13と、並列方向に配置されプラスチック13で固められた複数の金属コート炭素繊維12とを含むシート状の部材は、プリプレグシート17、と呼ばれる。
【0033】
図3の(ステップC)に示すように、製造された複数のプリプレグシート17が積層方向に積層される。
【0034】
積層方向は、プリプレグシート17が複数積層される方向である。積層方向は、繊維方向及び並列方向と直交する。
【0035】
プリプレグシート17の積層体は、オートクレーブと呼ばれる加熱加圧装置で、高温高圧下で加熱処理される。これにより、複数のプリプレグシート17の積層体である複合部材11が製造される。
【0036】
なお、本実施形態においては、複数のプリプレグシート17の金属コート炭素繊維12が全て同一方向に配置される、所謂、一方向積層であることとした。第1のプリプレグシート17の金属コート繊維12が第1の方向に配置され、第1のプリプレグシート17に重なる第2のプリプレグシート17の金属コート繊維12が第1のプリプレグシート17の第1の方向と交差する第2の方向に配置される、所謂、クロスプライ積層でもよい。
【0037】
図4は、本実施形態に係る航空機1用の部材(熱流路材)20の一例を示す断面図である。本実施形態において、部材20は、複合部材11と、複合部材11に接続される複合部材21と、を含む。部材20は、胴体2、主翼3、水平尾翼4、及び垂直尾翼5の少なくとも一部に使用される。
【0038】
例えば、金属コート炭素繊維12を含むプリプレグシートと、金属が被覆されていない炭素繊維を含むプリブレクシートとが積層され、その積層体がオートクレーブで加熱加圧処理されることによって、部材20が製造されてもよい。
【0039】
図4に示すように、繊維方向に関して金属コート炭素繊維12の一端部12Aが航空機1の発熱部に配置される。繊維方向に関して金属コート炭素繊維12の他端部12Bが航空機1の放熱部に配置される。
【0040】
航空機1の発熱部は、例えば、航空機1の電子機器9、バッテリ10、及びエンジン6の少なくとも一つを含む。また、発熱部は、電子機器9の筐体を含む。航空機1の放熱部は、例えば、航空機1の燃料タンク7を含む。なお、航空機1の放熱部が、航空機1の外部空間(胴体2の外面に面する空間)でもよい。
【0041】
複合部材11は、板状部材である。
図4に示す例では、複合部材11の表面及び裏面のそれぞれに、複合部材21が配置される。複合部材21は、炭素繊維で強化されたプラスチックを含む炭素繊維強化プラスチックを有する。
【0042】
複合部材21の炭素繊維強化プラスチックの炭素繊維には、金属が被覆されていない。繊維方向に関する複合部材21の熱伝導率は、繊維方向に関する複合部材11の熱伝導率よりも低い。並列方向に関する複合部材21の熱伝導率は、繊維方向に関する複合部材11の熱伝導率よりも低い。積層方向に関する複合部材21の熱伝導率は、繊維方向に関する複合部材11の熱伝導率よりも低い。
【0043】
なお、並列方向に関する複合部材21の熱伝導率は、並列方向に関する複合部材11の熱伝導率と等しくてもよいし、並列方向に関する複合部材11よりも低くてもよい。積層方向に関する複合部材21の熱伝導率は、積層方向に関する複合部材11の熱伝導率と等しくてもよいし、積層方向に関する複合部材11よりも低くてもよい。
【0044】
金属コート炭素繊維12の一端部12A及び他端部12Bのそれぞれに、複合部材21は配置されない。金属コート炭素繊維12の一端部12A及び他端部12Bのそれぞれは、露出する。金属コート炭素繊維12の一端部12Aは、発熱部と接触する。なお、金属コート炭素繊維12の一端部12Aは、発熱部と間隙を介して対向してもよい。金属コート炭素繊維12の他端部12Bは、放熱部と接触する。金属コート炭素繊維12の他端部12Bは、放熱部と間隙を介して対向してもよい。
【0045】
なお、複合部材21は、複合部材11の表面に配置され、複合部材11の裏面に配置されなくてもよい。複合部材21は、複合部材11の裏面に配置され、複合部材11の表面に配置されなくてもよい。複合部材21は、複合部材11の表面及び裏面の両方に配置されなくてもよい。
【0046】
部材20の繊維方向に金属コート炭素繊維12が配置されている。部材20の並列方向及び積層方向のそれぞれにおいて、複数の金属コート炭素繊維12の間にプラスチック13が配置されている。繊維方向に関する部材20の熱伝導率は、並列方向に関する部材20の熱伝導率及び積層方向に関する部材20の熱伝導率よりも大きい。
【0047】
発熱部の熱は、一端部12Aより金属コート炭素繊維12に吸収される。金属コート炭素繊維12に吸収された熱は、その金属コート炭素繊維12を伝わって、他端部12Bより放出(排熱)される。
【0048】
並列方向に関する部材20の熱伝導率及び積層方向に関する部材20の熱伝導率は、繊維方向に関する部材20の熱伝導率よりも小さい。したがって、金属コート炭素繊維12の熱は、専ら、繊維方向に移動する。金属コート炭素繊維12の熱が並列方向及び積層方向に伝達することは抑制される。
【0049】
また、本実施形態においては、積層方向に関して複合部材11の表面及び裏面のそれぞれに複合部材21が配置される。繊維方向、並列方向、及び積層方向のそれぞれの複合部材21の熱伝達率は、繊維方向に関する複合部材11の熱伝達率よりも小さい。そのため、金属コート炭素繊維12の熱が、複合部材21の表面から放出されることが抑制される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、複合部材11が金属コート炭素繊維12で強化された金属コート炭素繊維強化プラスチック14を含み、その金属コート炭素繊維12の一端部12Aが航空機1の発熱部に配置され、金属コート炭素繊維12の他端部12Bが航空機1の放熱部に配置される。金属コート炭素繊維12の金属16は、高い熱伝導率を有する。そのため、発熱部で発生した熱は、金属コート炭素繊維12を伝わって、効率良く放熱部に放出される。
【0051】
また、複合部材11は、航空機1の強度部材として使用可能である。そのため、従来のような、金属シート又はジャンパー線のような専用の熱流路材を別途設けなくても、発熱部の熱を放熱部に放出できる。そのため、航空機1の重量の増大を抑制しつつ、航空機1の発熱部で発生した熱は、効率良く放熱部に放出される。
【0052】
本実施形態においては、複合部材11は、繊維方向と交差する並列方向に配置された複数の金属コート炭素繊維12を含むプリプレグシート17を、繊維方向及び並列方向と交差する積層方向に複数積層した積層体を含む。繊維方向に関する部材20の熱伝導率は、並列方向に関する部材20の熱伝導率及び積層方向に関する部材の熱伝導率よりも大きい。これにより、熱伝導率に異方性が付与され、発熱部で発生した熱が、並列方向及び積層方向に伝わることが抑制され、放熱部に効率良く放出される。例えば、部材20の並列方向及び積層方向の少なくとも一方に、加熱したくない部材又は機器が存在する場合、熱伝達率に異方性を持つ部材20によって、その部材又は機器に熱が伝達されることが抑制される。
【0053】
本実施形態においては、複合部材11は板状部材であり、部材20は、複合部材11の表面及び裏面の一方又は両方に配置された炭素繊維強化プラスチックを含む複合部材21を備える。これにより、複合部材11が複合部材21で支持され、強度が維持される。また、複合部材21の熱伝導率は、繊維方向に関する複合部材11の熱伝導率よりも小さい。そのため、部材20の並列方向及び積層方向の少なくとも一方に、加熱したくない部材又は機器が存在する場合、複合部材21によって、その部材又は機器に熱が伝達されることが抑制される。
【0054】
また、本実施形態においては、金属コート炭素繊維12の一端部12A及び他端部12Bのそれぞれは、複合部材21などによって覆われてなく、露出する。一端部12Aが露出しているので、発熱部で発生した熱は、一端部12Aを介して、金属コート炭素繊維12の金属16に効率良く吸収される。他端部12Bが露出しているので、発熱部で発生し、金属コート炭素繊維12の金属16を移動した熱は、他端部12Bを介して、放熱部に効率良く放出される。このように、本実施形態においては、金属コート炭素繊維12の一端部12A及び他端部12Bのそれぞれは露出しているので、発熱部で発生した熱は、放熱部から効率良く放出される。
【0055】
本実施形態においては、航空機1の発熱部は、航空機1の電子機器9を含む。航空機1の放熱部は、航空機1の燃料タンク7を含む。これにより、航空機1の高度化により、電子機器9の使用が増大し、電子機器9の発熱量が増大しても、電子機器9で発生した熱は、燃料タンク7に効率良く放出される。
【0056】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0057】
図5は、部材20の使用方法の一例を示す断面図である。
図5に示すように、航空機1の発熱部が、部材20のうち、一端部12Aと他端部12Bとの間の中央部に配置されてもよい。すなわち、繊維方向に関して金属コート炭素繊維12の中央部が発熱部に配置され、金属コート炭素繊維12の一端部12A及び他端部12Bが放熱部に配置されてもよい。本実施形態においては、一端部12A及び他端部12Bのそれぞれが、航空機1の放熱部に配置される。発熱部で発生した熱は、一端部12A及び他端部12Bのそれぞれから放出される。また、金属コート炭素繊維12の一端部12A及び他端部12Bのそれぞれが露出することにより、発熱部で発生した熱は、放熱部から効率良く放出される。
【0058】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0059】
図6は、航空機1の主翼3の平面図を示す。リブライン29の少なくとも一部に、後述するシアタイ(構造材)31が配置される。
【0060】
図7は、外板30とシアタイ31との位置関係を概略的に示す図である。シアタイ31は、ストリンガ、リブ等と外板30とを結合する部材である。本実施形態において、シアタイ31は、炭素繊維強化プラスチックを含む複合部材21と、金属コート炭素繊維強化プラスチック14を含む複合部材11とによって形成される。
【0061】
外板30とシアタイ31とは、ファスナ51によって固定される。ファスナ51の先端にカラー(ナット)37が結合されることによって、外板30とシアタイ31とが固定される。カラー37とシアタイ31との間には、ワッシャ41及びスペーサ42が配置される。
【0062】
カラー37、ワッシャ41、及びスペーサ42は、キャップ44によって覆われる。キャップ44は、シアタイ31に密着するように配置される。
【0063】
外板30は、炭素繊維強化プラスチック層32と、ガラス繊維強化プラスチック層34と、銅ペイント層39と、を含む。
【0064】
図8は、本実施形態に係るシアタイ31の一例を示す断面図である。シアタイ31は、炭素繊維強化プラスチックを含む複合部材21と、金属コート炭素繊維強化プラスチック14を含む複合部材11とによって形成される。複合部材11は、複合部材21によって挟まれる。複合部材11は、シアタイ31の一部に設けられる。
図8において、シアタイ31の下端部に、複合部材11の金属コート炭素繊維12の一端部12Aが配置される。シアタイ31の左側の上端部に、複合部材11の金属コート炭素繊維12の他端部12Bが配置される。
図8に示す例では、シアタイ31の右側の上端部は、複合部材21によって形成される。
【0065】
シアタイ31の下端部に、航空機1の発熱部が配置される。シアタイ31の左側の上端部に、航空機1の放熱部が配置される。
【0066】
なお、シアタイ31の右側の上端部に、複合部材11の金属コート炭素繊維12の他端部12Bが配置され、航空機1の放熱部が配置されてもよい。なお、シアタイ31の右側の上端部及び左側の上端部の両方に、複合部材11の金属コート炭素繊維12の他端部12Bが配置され、航空機1の放熱部が配置されてもよい。なお、シアタイ31の右側の上端部及び左側の上端部の一方又は両方に、複合部材11の金属コート炭素繊維12の一端部12Aが配置され、航空機1の発熱部が配置されてもよい。シアタイ31の下端部に、複合部材11の金属コート炭素繊維12の他端部12Bが配置され、航空機1の放熱部が配置されてもよい。
【0067】
以上説明したように、複合部材11及び複合部材21が曲げられていてもよいし、任意の形状(3次元形状)に加工されてもよい。
【0068】
なお、上述の各実施形態において、金属コート炭素繊維12に代えて、又は金属コート炭素繊維12とともに、ピッチ系炭素繊維が配置されてもよい。ピッチ系炭素繊維は、少なくともPAN炭素繊維よりも高い熱伝導率を有する熱伝導性炭素繊維である。
【0069】
なお、上述の各実施形態においては、部材20が航空機1の構造部材に使用される例について説明した。部材20は、人工衛星の構造部材に使用されてもよい。
【0070】
なお、上述の各実施形態においては、繊維方向と並列方向と積層方向とは、互いに直交することとした。繊維方向と並列方向とが、例えば80度以上100度以下の角度で交差してもよい。繊維方向と積層方向とが、例えば80度以上100度以下の角度で交差してもよい。並列方向と積層方向とが、例えば80度以上100度以下の角度で交差してもよい。