(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体が流れる弁箱内流路を開閉する弁体を回転可能に保持する内弁箱と、前記内弁箱を離脱可能に収納する内弁箱収納部を有する外弁箱とを備える弁体離脱型バタフライ弁であって、
前記内弁箱の一次側の端面には一次側シール面が設けられ、前記内弁箱の二次側の端面には二次側シール面が設けられ、
前記外弁箱は、前記内弁箱収納部が設けられた外弁箱本体と、前記弁箱内流路に沿って移動可能に前記外弁箱本体に設けられる二次側リング部材とを備え、前記外弁箱には、前記内弁箱が前記内弁箱収納部に収納されたときに前記一次側シール面と対向する対向一次側シール面が設けられ、前記二次側リング部材には、前記内弁箱が前記内弁箱収納部に収納されたときに前記二次側シール面と対向する対向二次側シール面が設けられ、
前記二次側リング部材が前記内弁箱収納部に収納された前記内弁箱に対して押し付けられることで、前記一次側シール面と前記対向一次側シール面との間がシールされ、かつ、前記二次側シール面と前記対向二次側シール面との間がシールされるものである、
ことを特徴とする弁体離脱型バタフライ弁。
前記移動手段は、前記外弁箱本体の外部に位置する頭部と、前記外弁箱本体に挿通されて前記内弁箱収納部内を前記弁箱内流路に沿ってのびる軸部とからなる操作ボルトを備え、
前記軸部は、前記頭部からのび、外周面にネジが形成されていない大径部と、前記大径部からのび、前記大径部より小さい直径を有し、外周面にネジが形成されていない小径部と、外周面にネジが形成されたネジ部とを備え、前記小径部の外周面には当接部材が取り付けられ、
前記小径部は、前記一次側リング部材及び前記二次側リング部材のうち一方のリング部材の外周のフランジ部に挿通され、該フランジ部は、前記大径部と前記当接部材との間に位置し、
前記ネジ部は、前記一次側リング部材及び前記二次側リング部材のうち他方のリング部材の外周のフランジ部と螺合し、
前記操作ボルトの回転操作によって、前記一次側リング部材及び前記二次側リング部材が前記内弁箱収納部に収納された前記内弁箱に対して押し付けられるものである、ことを特徴とする請求項4に記載の弁体離脱型バタフライ弁。
前記小径部は、前記一次側リング部材のフランジ部に挿通されており、前記ネジ部は、前記二次側リング部材のフランジ部と螺合している、ことを特徴する請求項5に記載の弁体離脱型バタフライ弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、内弁箱の外弁箱に対する挿入及び離脱が容易な弁体離脱型バタフライ弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る弁体離脱型バタフライ弁は、流体が流れる弁箱内流路を開閉する弁体を回転可能に保持する内弁箱と、前記内弁箱を離脱可能に収納する内弁箱収納部を有する外弁箱とを備える弁体離脱型バタフライ弁であって、
前記内弁箱の一次側の端面には一次側シール面が設けられ、前記内弁箱の二次側の端面には二次側シール面が設けられ、
前記外弁箱は、前記内弁箱収納部が設けられた外弁箱本体と、前記弁箱内流路に沿って移動可能に前記外弁箱本体に設けられる二次側リング部材とを備え、前記外弁箱には、前記内弁箱が前記内弁箱収納部に収納されたときに前記一次側シール面と対向する対向一次側シール面が設けられ、前記二次側リング部材には、前記内弁箱が前記内弁箱収納部に収納されたときに前記二次側シール面と対向する対向二次側シール面が設けられ、
前記二次側リング部材が前記内弁箱収納部に収納された前記内弁箱に対して押し付けられることで、前記一次側シール面と前記対向一次側シール面との間がシールされ、かつ、前記二次側シール面と前記対向二次側シール面との間がシールされるものである、ことを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記二次側リング部材は、前記フランジ短管が挿入された状態で、前記弁箱内流路に沿って前記外弁箱本体と前記フランジ短管との間を移動可能である。
【0008】
好ましくは、前記対向一次側シール面は、前記外弁箱本体に設けられている。
【0009】
好ましくは、前記二次側リング部材は、前記外弁箱本体内に配置され、
前記外弁箱は、前記外弁箱本体内に配置された一次側リング部材と、前記一次側リング部材及び前記二次側リング部材を前記弁箱内流路に沿って移動させるための移動手段と、をさらに備え、
前記対向一次側シール面は、前記一次側リング部材に設けられ、
前記一次側リング部材及び前記第二次側リング部材が前記移動手段によって前記内弁箱収納部に収納された前記内弁箱に対して押し付けられることで、前記一次側シール面と前記対向一次側シール面との間がシールされ、かつ、前記二次側シール面と前記対向二次側シール面との間がシールされるものである。
【0010】
好ましくは、前記移動手段は、前記外弁箱本体の外部に位置する頭部と、前記外弁箱本体に挿通されて前記内弁箱収納部内を前記弁箱内流路に沿ってのびる軸部とからなる操作ボルトを備え、
前記軸部は、前記頭部からのび、外周面にネジが形成されていない大径部と、前記大径部からのび、前記大径部より小さい直径を有し、外周面にネジが形成されていない小径部と、外周面にネジが形成されたネジ部とを備え、前記小径部の外周面には当接部材が取り付けられ、
前記小径部は、前記一次側リング部材及び前記二次側リング部材のうち一方のリング部材の外周のフランジ部に挿通され、該フランジ部は、前記大径部と前記当接部材との間に位置し、
前記ネジ部は、前記一次側リング部材及び前記二次側リング部材のうち他方のリング部材の外周のフランジ部と螺合し、
前記操作ボルトの回転操作によって、前記一次側リング部材及び前記二次側リング部材が前記内弁箱収納部に収納された前記内弁箱に対して押し付けられるものである。
【0011】
好ましくは、前記小径部は、前記一次側リング部材のフランジ部に挿通されており、前記ネジ部は、前記二次側リング部材のフランジ部と螺合している。
【0012】
好ましくは、一次側において配管とフランジ接合するフランジ接合部を備え、
前記フランジ接合部は、
前記配管の端部のシール面と対向するシール面と、二次側を向く段差面と有し、前記外弁箱本体の一次側の端部に設けられた円環状の接続部と、
前記接続部の周りに回転可能に前記接続部の外周に設けられ、一次側から二次側に向けて小さくなる内径を有し、前記配管の端部のフランジ部との連結のためのボルト挿通孔が形成された円環状のフランジ部材と、
前記フランジ部材の内径と対応する外径と、前記段差面に対向する対向面とを有し、前記接続部と前記フランジ部材との間に介在される規制部材と、を備え、
前記フランジ部材が前記配管のフランジ部に向けて付勢されることで、前記フランジ部材の前記接続部の周りの回転が規制されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る弁体離脱型バタフライ弁は、上記構成を備えることにより、内弁箱の外弁箱に対する挿入及び離脱が容易な弁体離脱型バタフライ弁を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る弁体離脱型バタフライ弁の一実施形態について説明する。
図1〜
図3の弁体離脱型バタフライ弁は、内弁箱が外弁箱に装着された状態である。
【0016】
弁体離脱型バタフライ弁は、弁体10を保持する内弁箱1と、内弁箱1を収納する外弁箱2とを備えた二重構造となっており、両弁箱1、2の内部に、流体が流れる弁箱内流路Fが形成されている。
【0017】
内弁箱1は、内部に弁体10が配置された内弁箱本体11と、弁体10が取り付けられた弁軸12とを備えている。弁軸12は、内弁箱本体11に設けられた上部軸受け13及び下部軸受け14によって回転可能に支持されて弁箱内流路Fの流体の流れ方向Yに対して直交する方向(本実施形態では上下方向)にのびている。弁軸12の上端には図示されていないが弁軸12を回転操作するための操作手段が設けられている。操作手段によって弁軸12を操作することで弁体10は弁軸12周りに回転し、それによって弁箱内流路Fを開閉する。
【0018】
内弁箱1の内弁箱本体11の一次側(即ち、流れ方向Yの上流側)の端面には円環状の一次側シール面15が設けられ、内弁箱本体11の二次側(即ち、流れ方向Yの下流側)の端面には円環状の二次側シール面16が設けられている。一次側及び二次側シール面15、16は、内弁箱本体11における弁箱内流路F周りに形成されている。また、本実施形態では、一次側及び二次側シール面15、16ともに、弁箱内流路Fを直角に横切る平面と平行であるが、非平行でもよい。
【0019】
外弁箱2は、流れ方向Yの中央部で内弁箱1を離脱可能に収納するために、内弁箱収納部21が設けられた外弁箱本体20を備えている。
図1の通り、内弁箱収納部21の上部は、弁箱内流路Fよりも上方に設けられており、内弁箱1を挿入するために上向きに開口し、内弁箱1の上部を収納する上部収納部22として構成されている。内弁箱本体11の上端には挿入を規制する規制部17が設けられている。内弁箱1が上部収納部22から内弁箱収納部21の所定の位置まで挿入されると、当該規制部17が上部収納部22の開口の縁部23に当接する。それによって、内弁箱1の挿入が規制され、内弁箱1の外弁箱2に対する上下方向の位置決めがなされる。
【0020】
内弁箱収納部21の下部は、弁箱内流路Fよりも下方に設けられており、内弁箱1の下部(内弁箱本体11の下部、弁軸12の下部、及び下部軸受け14)を収納する下部収納部24として構成されている。
図3の通り、下部収納部24には受容部25が設けられている。内弁箱1の挿入時に、内弁箱本体11が受容部25に受容されて案内されるようになっている。そして、この受容部25が流れ方向Yに直角な水平方向の両側から内弁箱1の下部に当接することで、内弁箱1の外弁箱2に対する流れ方向Yに直角な水平方向の位置決めがなされる。
【0021】
なお、
図2、
図3の通り、内弁箱1を挿入の際に適切にガイドするために、内弁箱収納部21の上半部の流れ方向Yに直角な水平方向の両内壁には、上下方向にのびる横断面が凹状のガイド溝26が設けられ、そして、内弁箱本体11の外周面にはガイド溝26に遊びを持って嵌るガイド部18が設けられている。
【0022】
図1、
図2の通り、外弁箱2は、外弁箱本体20に設けられた円環状の二次側リング部材3を備えている。二次側リング部材3は、例えば金属製である。二次側リング部材3は、弁箱内流路Fを囲むように設けられる。二次側リング部材3は、その一次側の部分が外弁箱本体20の二次側の端部の受け口27に差し込まれることで、内弁箱収納部21に対して近接及び離間するよう弁箱内流路Fに沿って(即ち、流れ方向Y及びこれと反対方向に)移動可能に外弁箱本体20に装着される。なお、外弁箱本体20の受け口27の内周面の溝に弾性を有する円環状のシール材27aが嵌め込まれており、外弁箱本体20と二次側リング部材3との間のシール性が確保されている。このシール材27aは二次側リング部材3に嵌め込まれてもよい。
【0023】
外弁箱本体20には、内弁箱1を内弁箱収納部21に収納したときに内弁箱1の一次側シール面15に対向する対向一次側シール面28が設けられている。二次側リング部材3の一次側の端面には、内弁箱1を内弁箱収納部21に収納したときに内弁箱1の二次側シール面16に対向する対向二次側シール面30が設けられている。対向一次側シール面28と対向二次側シール面30にはそれぞれ溝が形成されて、当該溝に弾性を有する円環状のシール材28a、30aが嵌め込まれている。なおシール材28a、30aは、内弁箱1の一次側シール面15及び二次側シール面16に嵌め込まれてもよい。
【0024】
図2の通り、二次側リング部材3の外周に設けられたフランジ部31と、外弁箱本体20の端面の当該フランジ部31に対向する部分に固定ボルト50が挿入され、当該固定ボルト50によって二次側リング部材3が外弁箱本体20に締め付け固定される。二次側リング部材3は、この締め付け固定によって内弁箱収納部21に収納された内弁箱1に押し付けられている。それによって、一次側シール面15と対向一次側シール面28とが互いに接触してこれらの間がシールされるとともに、二次側シール面16と対向二次側シール面30とが互いに接触してこれらの間がシールされる。さらに、二次側リング部材3を内弁箱1へ押し付けたことにより、内弁箱1の外弁箱2に対する流れ方向Yの位置決めがなされる。
【0025】
さらに、外弁箱2は、二次側リング部材3に二次側から挿入されるフランジ短管4を備えている。フランジ短管4は、二次側リング部材3に受容される管体部40と、管本体40の二次側の端部の外周に設けられた二次側のフランジ部41とを備えている。そして、二次側リング部材3の内周面とフランジ短管4の管体部40の外周面との間に円環状のシール材32が配置されており、二次側リング部材3とフランジ短管4との間のシール性が確保されている。
【0026】
弁体離脱型バタフライ弁は、その一次側の端面と二次側の端面間の距離をこのフランジ短管4の挿入量によって調整できる面間伸縮構造となっている。
図2、
図3の通り、フランジ接合部41の流れ方向Yに直角な水平方向の両側には短管側連結部42が設けられている。さらに、外弁箱本体20の外周面の流れ方向Yに直角な水平方向の両側には本体側連結部29が設けられている。これらの連結部29、42の間に連結ボルト51(
図2)を挿入して、当該連結ボルト51によってフランジ短管4を外弁箱本体20に連結し固定することで、調整した面間距離がずれないようになっている。
【0027】
二次側リング部材3は、外弁箱本体20に締め付け固定されていない状態においては、フランジ短管4が挿入された状態でも、内弁箱収納部21に対して近接及び離間するように外弁箱本体20とフランジ短管4との間を弁箱内流路Fに沿って移動可能である。即ち、
図4に示されるように、外弁箱2が、外弁箱本体20の後述するフランジ接合部7で配管60に接続され、フランジ短管4のフランジ接合部41で配管61に接続されている状態でも、二次側リング部材3を移動させることができる。
【0028】
従って、
図4の通り、二次側リング部材3を内弁箱収納部21から退避させておけば、内弁箱1の二次側シール面16と二次側リング部材3の対向二次側シール面30との間に隙間が生じるので、内弁箱1を内弁箱収納部21へ挿入しやすい。内弁箱1の挿入後、退避させた二次側リング部材3を外弁箱本体20に締め付け固定して内弁箱1に押し付けることで、前述の通り両弁箱1、2間がシールされて、
図1、
図2のように内弁箱1が外弁箱2に取り付けられる。内弁箱1の取付け後、二次側リング部材3の外弁箱本体20に対する締め付け固定を解除し、
図4の通り、二次側リング部材3を内弁箱収納部21から退避させて二次側シール面16と対向二次側シール面30との間に隙間を作れば、内弁箱1を内弁箱収納部21から離脱させ易い。
このように、二次側リング部材3によって内弁箱1の外弁箱2に対する挿入及び離脱が容易になっている。
【0029】
なお、
図5の通り、既設管62からの分岐を断水せずに行う不断水分岐工法で弁体離脱型バタフライ弁を用いるとき、弁体離脱型バタフライ弁の一次側のフランジ接合部7に、既設管62に水密性を保持して装着された割T字管63の分岐管部64を接続するとともに、二次側のフランジ接合部41に、図示されない穿孔機を接続する。そして、内弁箱1は外弁箱2からは離脱させておき穿孔機によって既設管62の外周面の一部に分岐孔を穿設し、その後に、内弁箱1を外弁箱2(内弁箱収納部21)に挿入して両弁箱1、2間がシールされるように取り付ける。
【0030】
前述の通り、本発明に係る弁体離脱型バタフライ弁は、二次側リング部材3によって、内弁箱1の外弁箱2への挿入が容易であり、かつ内弁箱1と外弁箱2と間のシール性も十分確保できるようになっている。ゆえに、本発明に係る弁体離脱型バタフライ弁は、一次側と二次側のフランジ接合部7、41に割T字管63の分岐管部64、穿孔機を接続した状態で内弁箱1を外弁箱2に取り付ける工程を含む不断水分岐工法の作業性の向上に貢献するものである。
【0031】
ところで、
図5の通り、不断水分岐工法では、既設管62に割T字管63を装着し、割T字管63の分岐管部64の端部にあるフランジ接合部65と弁体離脱型バタフライ弁の一次側のフランジ接合部7とをフランジ接合する。
図6Aの通り、既設管62が水平であれば問題はないが、
図6Bの通り、既設管62が水平方向に対して傾斜しているときには、
図6A、
図6Bの比較から明らかな通り、フランジ接合部65のボルト挿通孔66の角度位置がずれる。このボルト挿通孔66の角度位置のずれにより、このフランジ接合部7、65間のフランジ接合によって割T字管63に接続される弁体離脱型バタフライ弁の外弁箱2は傾いてしまい、その結果、内弁箱1を外弁箱2に鉛直方向に挿入できないという問題があった。
【0032】
そこで、フランジ接合部7は、
図5、
図7、
図8に示される構成を備えている。なお、
図8は、各構成物品を分解した状態を示す。
フランジ接合部7は、外弁箱本体20の一次側の端部に設けられた円環状の接続部70と、この外周に配置される円環状の第一フランジ部材71及び第二フランジ部材72と、第一及び第二フランジ部材71、72の接続部70周りの回転を規制するために用いられる規制部材73とを備えている。
【0033】
図7の通り、接続部70には、割T字管63の分岐管部64(配管60)のフランジ接合部65のシール面67と対向するシール面74が形成されている。接続部70は、外径が一次側から二次側に向けて大きくなる円錐筒部75と、円錐筒部75の二次側に隣接して設けられた外径が一定の円柱筒部76とを備えている。円柱筒部76の外径は円錐筒部75の最大外径よりも小さく、それによって、二次側を向く円環状の段差面77が形成されている。
【0034】
第一及び第二フランジ部材71、72は、分岐管部64のフランジ接合部65のフランジ部68との連結のためのものである。第一フランジ部材71は、円柱筒部76の周りに回転可能に円柱筒部76の外周に設けられ、第二フランジ部材72は、円錐筒部75の周りに回転可能に円錐筒部75の外周に設けられる。
図8の通り、第一及び第二フランジ部材71、72にはそれぞれ、分岐管部64側のフランジ部68のボルト挿通孔66(
図6)と同様の複数のボルト挿通孔78が所定の角度間隔で形成される。また、第一及び第二フランジ部材71、72にはそれぞれ、互いに締め付け固定するためのネジ52を挿通するための複数のネジ挿通孔79が所定の角度間隔で形成されている。
【0035】
図7を参照して、第一フランジ部材71は、一次側から二次側に向けて内径が小さくなっており、最小内径が円錐筒部75の最大外径よりも大きい。第二フランジ部材72は、一次側から二次側に向けて内径が大きくなっており、最小内径が円錐筒部75の最大外径よりも小さく、円錐筒部75の外周面に対応する内周面を有する。
【0036】
規制部材73は、円柱筒部76と第一フランジ部材71との間に介在される。規制部材73は、円環形状を有しているが一部に切欠き73a(
図8)が形成されている。規制部材73は、内径が一定であり、外径が一次側から二次側に向けて小さくなっており、それによって断面が楔形状になっている。規制部材73の内径は、円柱筒部76の外径と同じである。規制部材73は、最大外径が第一フランジ部材71の最大内径よりも大きく、第一フランジ部材71の内周面に対応する外周面を有する。規制部材73の一次側の端面は段差面77の高さよりも高く、段差面77に対向する対向面73aとなっている。
【0037】
次いで、
図8〜
図11を参照して上記構成物品を装着し、フランジ接合部7、65同士をフランジ接合して、
図5、
図7の状態にする方法について説明する。
図8の通り、第一フランジ部材71、第二フランジ部材72、規制部材73、及びネジ52を準備する。まず、
図9Aの通り、第一フランジ部材71を外弁箱本体20に通して、接続部70より二次側に退避させておく。
【0038】
次いで、
図9Bの通り、規制部材73を外弁箱本体20に通す。規制部材73の内径は円錐筒部75の最大外径よりも小さいので、工具等により切欠き73a(
図8)を押し広げた状態で規制部材73を外弁箱本体20に通す。そして、押し広げた切欠き73aを戻し、規制部材73を接続部70の円柱筒部76の外周面に装着する。規制部材73は、段差面77によって係止されるので接続部70から抜け出ないようになっている。
【0039】
次いで、
図10Aの通り、接続部70から退避させていた第一フランジ部材71を規制部材73の外周面にかぶせるとともに、第二フランジ部材72を円錐筒部75の外周面にかぶせる。そして、第一及び第二フランジ部材71、72のネジ挿通孔79にネジ52を挿通する。第一及び第二フランジ部材71、72のネジ挿通孔79にネジ52を挿通したときに、これらのボルト挿通孔78(
図8)が同心状になる。
【0040】
図10Bを参照して、挿通したネジ52により第一及び第二フランジ部材71、72を完全に締め付け合うまでは、第一及び第二フランジ部材71、72を接続部70の周りに(弁箱内流路Fの中心軸線の周りに)一体的に回転することが可能である。即ち、
図11A及び
図11Bの通り、外弁箱本体20を傾けることなく第一及び第二フランジ部材71、72だけを回転することが可能である。
【0041】
従って、
図6Bの通り、既設管62の傾斜により割T字管63側のボルト挿通孔66の角度位置がずれても、
図11Bの通り、第一及び第二フランジ部材71、72を既設管62の傾斜角度分だけ回転させればよい。それによって、外弁箱本体20を傾けることなく第一及び第二フランジ部材71、72のボルト挿通孔78を角度位置がずれた割T字管63側のボルト挿通孔66に合わせることができる。
【0042】
図7、
図10Bを参照して、ボルト挿通孔78の角度位置を調整した後、ネジ52により第一及び第二フランジ部材71、72を完全に締め付け合う。すると、第一フランジ部材71は、第二フランジ部材72及びフランジ部68に向けて付勢されて、その内周面が規制部材73の外周面に押し付けられることにより規制部材73に固定される。さらに、第二フランジ部材72は、第一フランジ部材71に向けて付勢されて、その内周面が円錐筒部75の外周面に押し付けられることにより円錐筒部75に固定される。
その結果、第一及び第二フランジ部材71、72の接続部70の周りの回転は規制されて、接続部70と第一及び第二フランジ部材71、72とが一体化する。
【0043】
次いで、第一及び第二フランジ部材71、72とフランジ部68とをそれらのボルト挿通孔66、78に連結ボルト(図示略)を挿通し該連結ボルトにより互いに連結することで、フランジ接合部7、65同士をフランジ接合する。それによって、互いのシール面67、74の間がシールされる。なお、シール面67に円環状のシール材67aが嵌め込まれているが、これはシール面74に嵌め込まれてもよい。
【0044】
以上のようにして、弁体離脱型バタフライ弁は、既設管62が傾斜していても、外弁箱本体20を傾けることなく割T字管63に接続できる。それによって、既設管62が傾斜していても、内弁箱1を外弁箱2に対して鉛直方向に挿入及び離脱ができる。
【0045】
以上の通り、弁体離脱型バタフライ弁は不断水分岐工法における既設管62の傾斜に対応できるようになっている。
【0046】
次に、
図12〜
図17を参照して、本発明に係る弁体離脱型バタフライ弁の他の実施形態について説明する。上記の実施形態と同一又は類似の構成は同一の符号を付し、その説明は可能な限り省略する。
【0047】
図12A、12Bは、内弁箱1の構成を示す。内弁箱1は、内弁箱本体11の外周面の流れ方向Yに直角な水平方向の両側に位置決めガイド部19を備えている。位置決めガイド部19には、上下方向にのびる横断面が凹状のガイド溝19aが形成されている。ガイド溝19aはその上端が閉じられその下端は開かれている。
図12Cを参照して、位置決めピン200が外弁箱本体20の流れ方向Yに直角な水平方向の両側に挿通されており内弁箱収納部21内に突出している。位置決めピン200の直径は、ガイド溝19aの幅に対応している。
【0048】
図13A、13Bの通り、各位置決めピン200がガイド溝19aに嵌るように内弁箱1を下降させることで、内弁箱1が適切に案内されながら内弁箱収納部21に挿入される。そして、
図13Bの通り、ガイド溝19aの閉じられた上端が位置決めピン200に当接すると、内弁箱1の挿入は位置決めピン200によって規制され、それによって、内弁箱1の外弁箱2に対する上下方向の位置決めがなされる。
【0049】
さらに、先の実施例と同様、内弁箱1の挿入時に、内弁箱1の下部は下部収容部24の受容部25に受容されることで適切に案内される。そして、位置決めピン200と、受容部25とが流れ方向Yに直角な水平方向の両側から内弁箱1に当接していることで、内弁箱1の外弁箱2に対する流れ方向Yに直角な水平方向の位置決めがなされる。
【0050】
また、位置決めピン200の直径はガイド溝19aの幅に対応しており、位置決めピン200がガイド溝19aに嵌っていることで、内弁箱1の外弁箱2に対する流れ方向Yの位置決めがなされる。
本実施形態では、以上のようにして内弁箱1が内弁箱収納部21に挿入される。
【0051】
先の実施形態では、外弁箱2は、二次側リング部材3を備え、これが外弁箱本体20の二次側の端部に設けられていた。これに対して、本実施形態では、
図14の通り、外弁箱2は、二次側リング部材3だけでなく一次側リング部材8を備え、一次側リング部材8及び二次側リング部材3は、外弁箱本体20内に設けられている。
【0052】
一次側リング部材8も、二次側リング部材3と同様に円環状であり、弁箱内流路Fの周りに設けられる。一次側リング部材8は、その一次側の部分が内弁箱収納部21の一次側の端部に設けられた一次側受容部201に受容され、弁箱内流路Fに沿って移動可能に外弁箱本体20に装着されている。一次側リング部材8の外周面の溝に円環状のシール材8aが嵌め込まれており、一次側リング部材8と外弁箱本体20との間がシールされている。このシール材8aは、一次側受容部201に嵌め込まれてもよい。一次側リング部材8の二次側の部分の外周にはフランジ部80が設けられている。
【0053】
二次側リング部材3は、その二次側の部分が内弁箱収納部21の二次側の端部に設けられた二次側受容部202に受容され、弁箱内流路Fに沿って移動可能に外弁箱本体20に装着されている。二次側リング部材3の外周面の溝には円環状のシール材3aが嵌め込まれており、二次側リング部材3と外弁箱本体20との間がシールされている。このシール材3aは、二次側受容部202に嵌め込まれてもよい。二次側リング部材3の一次側の部分の外周にはフランジ部33が設けられている。
【0054】
このように一次側リング部材8と二次側リング部材3が内弁箱収納部21の一次側と二次側の端部に配置されており、内弁箱1は先のように内弁箱収納部21に挿入されたときにこれらのリング部材8、3の間に配置されるようになっている。
【0055】
外弁箱2の対向一次側シール面28は、先の実施形態では外弁箱本体20に設けられているのに対して、本実施形態では一次側リング部材8の二次側の端面に設けられている。外弁箱2の二次側対向シール面30は、先の実施形態と同様に二次側リング部材3の一次側の端面に設けられている。
【0056】
面間調整用のフランジ短管4は、先の実施形態では二次側リング部材3に挿入されていたが、本実施形態では外弁箱1の二次側の端部の受け口27に挿入されている。フランジ短管4と外弁箱本体20との連結は先の実施形態と同じであるので省略する。
【0057】
外弁箱1は、シール面15、16、28、30間のシールのために、一次側リング部材8及び二次側リング部材3の双方を弁箱内流路Fに沿って移動させるための移動手段9(
図15、
図16参照)を備えている。
【0058】
移動手段9は、
図15A、
図15Bの通り、外弁箱本体20の流れ方向Yに直角な方向の両側に設けられ、外弁箱本体20内に挿入された2本の操作ボルト90を備えている。各操作ボルト90は以下のように構成されている。
【0059】
図16を参照して、操作ボルト90は、外弁箱本体20の外側に位置する頭部91と、内弁箱収納部21内を内弁箱流路Fに沿ってのびる軸部92〜94とからなる。
軸部は、
図16A’、
図16B’に最も良く示される通り、頭部91からのび、外周面にネジが形成されていない大径部92と、大径部92からのび、大径部92より小さい直径を有し、外周面にネジが形成されていない小径部93と、小径部93からのび、外周面にネジ(図示されない)が形成されたネジ部94とからなる。小径部93の外周面には円環状の当接部材95が取り付けられている。
【0060】
図16A、
図16Bを参照して、大径部92は、外弁箱本体20に挿通されている。
小径部93は、一次側リング部材8の外周のフランジ部80に挿通されており、フランジ部80は、大径部92と当接部材95との間に位置している。
ネジ部94は、二次側リング部材3の外周のフランジ部33に挿通されている。フランジ部33のネジ部94のための挿通孔の内周面には、ネジ部94の外周面のネジに対応するネジが形成されている。即ち、ネジ部94は、フランジ部33と螺合している。ネジ部94は、外弁箱本体20の内壁の挿入孔20aに遊びを持って部分的に挿入されている。挿入孔20aの内周面にはネジは形成されていない。挿入孔20aは、操作ボルト90の弁箱内流路Fに沿った移動を確保するために形成されている。
【0061】
図16Aの状態では、一次側リング部材8は内弁箱収納部21内の最も一次側に退避しており、二次側リング部材3は内弁箱収納部内21内の最も二次側に退避している。それにより、一次側リング部材8と二次側リング部材3との間隔は、即ち、対向一次側シール面28と対向二次側シール面30との間隔は、内弁箱1の一次側シール面15と二次側シール面16との間隔をより大きい。故に、内弁箱1を外弁箱収納部21に挿入しやすい。
【0062】
内弁箱1の挿入後、各操作ボルト90の頭部91を工具等により操作し、操作ボルト90を一方向に回転させる。操作ボルト90は、この回転操作によって流れ方向Yに移動する。それによって、一次側リング部材8が大径部92に押されて、内弁箱1に当接するまで流れ方向Yに移動する。
【0063】
一次側リング部材8が内弁箱1に当接していることにより、操作ボルト90の流れ方向Yへの移動は規制される。この状態で操作ボルト90を一方向に回転操作すると、ネジ部94とネジ係合している二次側リング部材3が流れ方向Yと反対の方向に移動して内弁箱1に当接する。
【0064】
こうして、
図16B、B’の通り、一次側リング部材8と二次側リング3部材との間の間隔が狭くなり、両リング部材8、3が内弁箱1に当接する。
【0065】
そこから、操作ボルト90を一方向にさらに回転操作すると、一次側リング部材8が内弁箱1に一次側から押し付けられるとともに、二次側リング部材3が内弁箱1に二次側から押し付けられる。即ち、内弁箱1が一次側リング部材8と二次側リング部材3によって一次側と二次側の両側から挟み込まれる。それによって、一次側シール面15と対向一次側シール面28とが互いに接触してこれらの間がシールされるとともに、二次側シール面16と対向二次側シール面30とが互いに接触してこれらの間がシールされる。
【0066】
先の実施形態では、二次側リング部材3によって内弁箱1は二次側からだけ押し付けられるが、本実施形態では、内弁箱1が一次側リング部材8及び二次側リング部材3によって両側から押し付けられるので、両弁箱1、2のより良好なシール処理が達成される。
【0067】
図16Bのように内弁箱1が外弁箱2に取り付けられた状態において、操作ボルト90を他方向に回転操作すると、一次側リング部材8は操作ボルト90の当接部材95に押されて流れ方向Yと反対の方向に移動し、二次側リング部材3はネジ部94とのネジ係合にゆえに流れ方向Yに移動して、
図16Aの状態に戻る。それによって、一次側シール面15と対向一次側シール面28との間、及び、二次側シール面16と対向二次側シール面30との間に隙間が生じるので、内弁箱1を内弁箱収納部21から容易に離脱させることができる。
【0068】
以上のように、本実施形態では、操作手段9によって、外弁箱本体20内に配置された一次側リング部材8と二次側リング部材3を移動させて、シール面15、16、28、30間をシールすることが可能となっている。
【0069】
操作手段9は、当然ながら上記の構成に限定されるものではない。
実施形態では、操作ボルト90は外弁箱本体20に流れ方向Yから挿入されているが、これに代えて操作ボルト90は外弁箱本体20に流れ方向Yと反対の方向から挿入されてもよい。この場合、小径部93が二次側リング部材3のフランジ部33に挿通され、該フランジ部33が大径部92と当接部材95との間に位置し、ネジ部94が一次側リング部材8のフランジ部80と螺合する。但し、フランジ短管4が外弁箱本体20に設けられる場合、操作ボルト90が流れ方向Yと反対の方向から挿入されると、操作ボルト90の頭部91にアクセスしにくい。故に、実施形態のように、操作ボルト90は流れ方向Yから挿入されることが好ましい。
また、操作ボルト90は2本に限らず、例えば弁箱内流路Fの周りに等角度間隔で3本以上設けられてもよい。
【0070】
一次側のフランジ接合部7は、先の実施形態では第一フランジ部材71及び第二フランジ部材72によって既設管62の傾斜に対応しているが、本実施形態では、
図17の通り、1つのフランジ部材71だけで既設管62の傾斜に対応している。
【0071】
図17を参照して、接続部70は、一定の外径を有する大径円柱筒部75’と、大径円柱部75’の二次側に隣接して設けられた、大径円柱筒部75’の外径より小さい一定の外径を有する小径円柱筒部76とを備えており、それによって、二次側を向く円環状の段差面77が形成されている。
【0072】
規制部材73は、フランジ部材71と円柱筒部75’、76との間に介在されており、円柱筒部75’、76の外径に対応する内径と、段差面77に対向する対向面73aとを有している。フランジ部材71と規制部材73との
図17のような装着の方法については、先の実施形態と同様なのでその説明は省略する。
【0073】
図17のようにフランジ部材71と規制部材73を装着した後、フランジ部材71を接続部70周りに回転させて、そのボルト挿通孔78と分岐管部64(配管60)のフランジ部68のボルト挿通孔66とを同心状に合わせる。次いで、これらのボルト挿通孔66、78に連結ボルトを挿通して該連結ボルトにより、フランジ部材71とフランジ部68とを互いに連結する。
以上のようにして、フランジ接合部7、65同士が連結され、それによって、互いのシール面67、74間がシールされる。
【0074】
そして、この連結ボルトによるフランジ部材71とフランジ部68との連結時に、フランジ部材71はフランジ部68に向けて付勢され、その内周面が規制部材73の外周面に押し付けられる。それによって、フランジ部材71は規制部材73に固定されて、フランジ部材71の接続部70の周りの回転は規制される。
【0075】
以上のようにして、本実施形態では、1つのフランジ部材71だけで、既設管62の傾斜に対応することができるようになっており、先の実施形態より部品点数を抑えることができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0077】
上記各実施形態では、両弁箱1、2間のシール処理は、シール面15、16、28、30同士が接触することによって行われているが、特許文献1のようにシール材28a、30aによって両弁箱1、2のシール面15、16、28、30を非接触状態にして行われてもよい。
二次側リング部材3が外弁箱本体20内に配置される実施形態では、面間調整用のフランジ短管4が設けられなくてもよい。そして、フランジ短管4が設けらない場合、二次側において配管61(
図4参照)とフランジ接合する二次側のフランジ接合部41は、外弁箱本体20の二次側の端部に設けられる。