(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強部材に交差する方向に配置された板部材が前記補強部材の端面に接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のラチスブームの補強構造。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
[第1実施形態]
(クレーンの構成)
本発明の第1実施形態によるラチスブームの補強構造は、作業機械であるクレーン20に設けられているラチスブームを補強するための構造である。クレーン20は、側面図である
図1に示すように、ラチスブーム26により、吊荷Lを吊り上げる作業(荷役作業)等を行う。クレーン20は、移動式クレーンであり、クローラクレーンであり、ラチスブームクローラクレーンである。なお、クレーン20は、ラチスブームを有するホイールクレーンであってもよい。
【0014】
クレーン20は、下部走行体21と、旋回ベアリング22と、上部旋回体23と、を備える。下部走行体21は、無限軌道車である。上部旋回体23は、下部走行体21の上部に旋回ベアリング22を介して旋回可能に設けられている。
【0015】
上部旋回体23は、上部本体24と、カウンタウエイト25と、ラチスブーム26と、キャブ(運転室)27と、マスト28と、を備える。以下、ラチスブーム26側を前側、カウンタウエイト25側を後ろ側とする。
【0016】
上部本体24は、下部走行体21に対して旋回可能に搭載される(取り付けられる)。カウンタウエイト25は、クレーン20の吊り荷Lとバランスをとるためのおもりである。カウンタウエイト25は、上部本体24の後端部に分解可能に取り付けられる。
【0017】
ラチスブーム26は、吊荷Lの吊り上げ等を行うための起伏部材であり、複数本のメインパイプが複数本のラチスパイプで互いに接続されてなる。ラチスブーム26は、上部本体24の前端部において、上部本体24を構成する旋回フレームに起伏可能に取り付けられている。ラチスブーム26の先端部には、シーブ31が取り付けられている。シーブ31には、上部本体24に設けられたウインチドラム(図示せず)で巻上げ及び巻下げされるロープ32がかけられている。
【0018】
マスト28は、ラチスブーム26の後ろ側に設けられている。マスト28の先端部と、ラチスブーム26の先端部とは、ガイライン33を介して連結されている。また、マスト28の先端部(図示しない上部スプレッダ)と、上部本体24の後部に設けられた下部スプレッダ(図示せず)とは、ブーム起伏ロープ34を介して連結されている。上部本体24に設けられたウインチ(図示せず)で、ブーム起伏ロープ34を巻込み及び巻出しすることで、マスト28が起伏する結果、ラチスブーム26が起伏する。
【0019】
(ラチスブーム)
ラチスブーム26は、斜視図である
図2Aおよび断面図である
図2Bに示すように、断面形状が矩形であり、四隅に中空のメインパイプ41がそれぞれ配置されている。これらメインパイプ41は互いにラチスパイプ42によって連結されている。また、メインパイプ41の端部同士は、枠パイプ43によって連結されている。枠パイプ43はラチスパイプ42と同等のものである。ラチスパイプ42および枠パイプ43は、接続箇所44において、溶接によってメインパイプ41に接続されている。メインパイプ41は、ラチスブーム26に負荷される軸方向の荷重を受ける役割を果たしている。一方、ラチスパイプ42は、メインパイプ41間の距離を保持することによって、ラチスブーム26の断面形状を保持する役割を果たしている。
【0020】
(ラチスブームの補強構造)
本実施形態のラチスブームの補強構造1は、ラチスブーム26の側面図である
図3に示すように、メインパイプ41、ラチスパイプ42、および、枠パイプ43の各々の外周面にそれぞれ設けられて、その軸方向に延びる補強部材2を有している。
図3のA−A断面図である
図4に示すように、補強部材2は、板状であって、メインパイプ41の外周面に立った状態で溶接等により取り付けられている。
【0021】
また、
図4に示すように、補強部材2は、メインパイプ41の外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で3個設けられている。本実施形態では、補強部材2は、メインパイプ41の外周面の周方向に等間隔(120°間隔)で3個設けられている。ラチスパイプ42および枠パイプ43に設けられた補強部材2についても同様である。なお、同程度の間隔とは、等間隔よりもわずかに大きいか、またはわずかに小さい間隔であり、等間隔における角度との差は±20%程度である。例えば、等間隔における角度が120°であれば、同程度の間隔における角度は、100°〜140°程度である。
【0022】
また、
図3に示すように、メインパイプ41およびラチスパイプ42に設けられた補強部材2は、メインパイプ41とラチスパイプ42との接続箇所44同士の間に配置されている。同様に、枠パイプ43に設けられた補強部材2は、メインパイプ41と枠パイプ43との接続箇所44同士の間に配置されている。各パイプにおける接続箇所44同士の間の部分を中間部45とする。本実施形態において、補強部材2は各中間部45に配置されている。
【0023】
ここで、隣り合う接続箇所44同士の間隔の長さをLs、一方の接続箇所44を始点としたときの始点から補強部材2の始点側の端までの長さをLas、始点から補強部材2の始点とは反対側の端までの長さをLaeとしたときに、補強部材2は、LasがLsの5%以上で、LaeがLsの95%以下となる範囲に配置されている。補強部材2の長さが長いほど、座屈強度は向上するが、重量は増加する。座屈強度の向上度と重量の増加量とはトレードオフの関係にあるため、LasとLaeとは、設計要件に応じて決定される。
【0024】
このように、補強部材2を、パイプ(メインパイプ41、ラチスパイプ42、および、枠パイプ43)の外周面に設けることで、ラチスブーム26を組み立てた後に所望の箇所を補強することができる。そして、補強部材2を、パイプの外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で3以上設けることで、パイプの断面剛性が外周面の全周にわたって向上するので、パイプの外周面に交差する全方向にわたってパイプの座屈強度を向上させることができる。また、メインパイプ41とラチスパイプ42との接続箇所44同士の間、および、メインパイプ41と枠パイプ43との接続箇所44同士の間に補強部材2を配置することで、ラチスブーム26を組み立てた後に所望となった箇所を補強する場合に、メインパイプ41とラチスパイプ42との接続箇所44やメインパイプ41と枠パイプ43との接続箇所44を跨いで作業を行う必要がない。よって、ラチスブーム26を組み立てた後に所望の箇所を補強することができるとともに、補強作業の作業性を向上させることができる。
【0025】
(変形例)
次に、変形例について説明する。第1変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図5に示すように、補強部材2は、メインパイプ41の各中間部45のみにそれぞれ設けられている。第2変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図6に示すように、補強部材2は、図中上側のメインパイプ41の各中間部45のみにそれぞれ設けられている。第3変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図7に示すように、補強部材2は、メインパイプ41の各中間部45のうち、特定の中間部45のみに設けられている。このように、メインパイプ41の外周面の所望の箇所のみに補強部材2を設けた場合であっても、重量増加を抑えながらラチスブーム26の座屈強度を向上させることができる。
【0026】
第4変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図8に示すように、補強部材2は、ラチスパイプ42の各中間部45のみにそれぞれ設けられている。第5変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図9に示すように、補強部材2は、B方向に平行なラチスパイプ42の各中間部45のみにそれぞれ設けられている。第6変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図10に示すように、補強部材2は、ラチスパイプ42の各中間部45のうち、特定の中間部45のみに設けられている。このように、ラチスパイプ42の外周面の所望の箇所のみに補強部材2を設けた場合であっても、重量増加を抑えながらラチスブーム26の座屈強度を向上させることができる。
【0027】
第7変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図11に示すように、補強部材2は、枠パイプ43の各中間部45のみにそれぞれ設けられている。第8変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図12に示すように、補強部材2は、図中右側の枠パイプ43の中間部45のみに設けられている。第9変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図13に示すように、補強部材2は、図中右上の箇所を重点的に補強するように、メインパイプ41の各中間部45のうち、図中右上の中間部45と、ラチスパイプ42の各中間部45のうち、図中右側の中間部45と、枠パイプ43の各中間部45のうち、図中右側の中間部45とに、それぞれ設けられている。このように、所望の箇所に補強部材2を設けることで、重量増加を抑えながらラチスブーム26の座屈強度を向上させることができる。
【0028】
また、第10変形例においては、
図3のA−A断面図である
図14に示すように、補強部材2に直交する方向に配置された板部材3が補強部材2の端面に溶接で接続されている。これにより、断面視において、補強部材2と板部材3とはT字状になっている。なお、補強部材2と板部材3とは一体成型されていてもよい。板部材3により、補強部材2の剛性が向上するので、メインパイプ41の座屈強度がさらに向上する。
【0029】
また、第11変形例においては、
図3のA−A断面図である
図15に示すように、補強部材2に直交する方向に配置された板部材4が補強部材2の端面に溶接で接続されている。断面視において、板部材4は、補強部材2の端面から時計回りの方向に延びている。これにより、断面視において、補強部材2と板部材4とはL字状になっている。なお、補強部材2と板部材4とは一体成型されていてもよい。板部材4により、補強部材2の剛性が向上するので、メインパイプ41の座屈強度がさらに向上する。
【0030】
また、第12変形例においては、
図3のA−A断面図である
図16に示すように、補強部材2に交差する方向に配置された2枚の板部材5が補強部材2の端面にそれぞれ溶接で接続されている。断面視において、2枚の板部材5は、補強部材2の端面からそれぞれ離隔する方向に延びている。これにより、断面視において、補強部材2と2枚の板部材5とはY字状になっている。なお、補強部材2と板部材5とは一体成型されていてもよい。板部材5により、補強部材2の剛性が向上するので、メインパイプ41の座屈強度がさらに向上する。
【0031】
また、第13変形例においては、
図3のA−A断面図である
図17に示すように、第12変形例の2枚の板部材5の端面同士を接続するように板部材6が設けられている。2枚の板部材5と板部材6とは、断面視において閉空間を形成している。なお、補強部材2と板部材5と板部材6とは一体成型されていてもよい。板部材6により、板部材5の剛性が向上するので、補強部材2の剛性がより向上する。よって、メインパイプ41の座屈強度がさらに向上する。
【0032】
また、第14変形例においては、
図3のA−A断面図である
図18に示すように、補強部材2に直交する方向に配置された第1板部材7が補強部材2の端面に溶接で接続されている。さらに、第1板部材7に直交する方向に配置された第2板部材8が第1板部材7の端面に溶接で接続されている。断面視において、第1板部材7は、補強部材2の端面から反時計回りの方向に延びている。また、第2板部材8は、第1板部材7の端面から補強部材2と平行な方向に延びている。これにより、断面視において、補強部材2と第1板部材7と第2板部材8とはコ字状になっている。なお、補強部材2と第1板部材7と第2板部材8とは一体成型されていてもよい。第1板部材7および第2板部材8により、補強部材2の剛性が向上するので、メインパイプ41の座屈強度がさらに向上する。
【0033】
また、第15変形例においては、
図3のA−A断面図である
図19に示すように、補強部材9が、断面視において、四角形の3辺を有する形状に形成されており、メインパイプ41の外周面に立てて設けられて、その軸方向に延びている。即ち、補強部材9は断面コ字状である。補強部材9とメインパイプ41の外周面とは、断面視において閉空間を形成している。補強部材9は、メインパイプ41の外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で3個設けられている。このように、断面視において、メインパイプ41の外周面と補強部材9とで閉空間を形成することで、重量増加を抑えながら、補強部材9の剛性を向上させることができる。これにより、メインパイプ41の座屈強度をさらに向上させることができる。なお、角筒などの筒状の補強部材をメインパイプ41の外周面に取り付けてもよい。
【0034】
また、第16変形例においては、
図3のA−A断面図である
図20に示すように、補強部材2は、メインパイプ41の外周面の周方向に等間隔(180°間隔)で2個設けられている。これにより、補強部材2がメインパイプ41の外周面に交差する方向におけるメインパイプ41の断面剛性が向上するので、補強部材2がメインパイプ41の外周面に交差する方向に作用する荷重に対するメインパイプ41の座屈強度を向上させることができる。なお、補強部材2の間隔は等間隔に限定されず、同程度の間隔であってもよい。また、補強部材2は、等間隔または同程度の間隔で設けられるのではなく、荷重が作用する側に設けられていてよい。
【0035】
また、第17変形例においては、
図3のA−A断面図である
図21に示すように、補強部材2は、メインパイプ41の外周面の周方向に等間隔(90°間隔)で4個設けられている。また、第18変形例においては、
図3のA−A断面図である
図22に示すように、補強部材2は、メインパイプ41の外周面の周方向に等間隔(72°間隔)で5個設けられている。これにより、メインパイプ41の断面剛性を外周面の全周にわたって向上させることができる。なお、第17変形例および第18変形例において、補強部材2の間隔は等間隔に限定されず、同程度の間隔であってもよい。
【0036】
なお、第10変形例から第18変形例については、ラチスパイプ42や枠パイプ43に設けられた補強部材2についても同様である。また、第10変形例から第18変形例は、第1実施形態の他に、第1〜9変形例に適用されてよい。また、第16変形例と同様に、他の実施形態においても、補強部材2は、等間隔または同程度の間隔で設けられるのではなく、荷重が作用する側に設けられていてよい。
【0037】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るラチスブームの補強構造1によると、補強部材2を、パイプ(メインパイプ41、ラチスパイプ42、および、枠パイプ43)の外周面に設けることで、ラチスブーム26を組み立てた後に所望の箇所を補強することができる。そして、補強部材2を、パイプの外周面の周方向に2以上設けることで、補強部材2がパイプの外周面に交差する方向におけるパイプの断面剛性が向上するので、補強部材2がパイプの外周面に交差する方向に作用する荷重に対するパイプの座屈強度を向上させることができる。また、メインパイプ41とラチスパイプ42との接続箇所44同士の間、および、メインパイプ41と枠パイプ43との接続箇所44同士の間に補強部材2を配置することで、ラチスブーム26を組み立てた後に所望となった箇所を補強する場合に、メインパイプ41とラチスパイプ42との接続箇所44やメインパイプ41と枠パイプ43との接続箇所44を跨いで作業を行う必要がない。よって、ラチスブーム26を組み立てた後に所望の箇所を補強することができるとともに、補強作業の作業性を向上させることができる。
【0038】
また、補強部材2を、パイプの外周面の周方向に3以上設けることで、パイプの断面剛性をより向上させることができる。これにより、パイプの座屈強度をより向上させることができる。
【0039】
また、補強部材2を、パイプの外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で設けることで、パイプの断面剛性を周方向にほぼ均等に向上させることができる。これにより、パイプの座屈強度をより向上させることができる。
【0040】
さらに、補強部材2を、パイプの外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で3以上設けることで、パイプの断面剛性が外周面の全周にわたって向上するので、パイプの外周面に交差する全方向にわたってパイプの座屈強度を向上させることができる。
【0041】
また、補強部材2をメインパイプ41の外周面のみに設けた場合や、補強部材2をラチスパイプ42の外周面のみに設けた場合であっても、重量増加を抑えながらラチスブーム26の座屈強度を向上させることができる。
【0042】
また、補強部材2の端面に板部材(3,4,5,7,8)を接続した場合、板部材により補強部材2の剛性が向上するので、パイプの座屈強度をさらに向上させることができる。
【0043】
また、断面視においてパイプの外周面と補強部材9とで閉空間を形成した場合や、筒状の補強部材をパイプの外周面に取り付けた場合、重量増加を抑えながら、補強部材の剛性を向上させることができる。これにより、パイプの座屈強度をさらに向上させることができる。
【0044】
(座屈評価)
次に、補強部材2を設けたパイプ40における座屈評価を、弾塑性解析により行った。パイプ40は、直径が200mm、板厚が2mm、長さが2000mmのものを使用した。補強部材2は、パイプ40の表面からの高さが10mmのものを使用し、板厚を1mmと5mmとで異ならせた。また、パイプ40の軸方向に沿った補強部材2の長さを500mm、760mm、1000mmでそれぞれ異ならせた。また、パイプ40の断面図である
図23に示すように、補強部材2をパイプ40の外周面の周方向に等間隔(45°間隔)で8個設けた。
【0045】
パイプ40が座屈する様子を
図24に示す。
図24において、パイプ40の軸方向であるZ軸方向が強制変位を付加した方向である。ここで、解析条件として、パイプ40の下端のX軸方向、Y軸方向、および、Z軸方向の並進をそれぞれ拘束し、パイプ40の下端のZ軸周りの回転を拘束した。また、パイプ40の上端のX軸方向およびY軸方向の並進をそれぞれ拘束し、Z軸方向に60mmの強制変位を付加した。
【0046】
解析結果を
図25に示す。また、
図25のC部拡大図を
図26に示す。補強部材2をパイプ40に設けない場合、ピーク値(座屈荷重)は22000kgf弱であった。これに対して、板厚1mm、長さ1000mmの補強部材2をパイプ40に設けた場合、ピーク値(座屈荷重)は27000kgf強であった。
【0047】
ここで、板厚1mm、長さ1000mmの補強部材2をパイプ40に設けた場合、重量が6.5%増加するのに対して、座屈強度が26%増加した。これに対して、パイプ40の直径を変えずに全長にわたって断面積を6.5%増加させた場合、言い換えると、補強部材2による重量増加分6.5%をパイプ40の厚肉化に用いた場合、座屈強度は6.5%増加する。よって、補強部材2による補強は、それに伴う重量増加に比べて座屈強度の向上効果が高いことがわかる。
【0048】
[第2実施形態]
(ラチスブームの補強構造)
次に、本発明の第2実施形態に係るラチスブームの補強構造201について説明する。なお、上述した構成要素と同じ構成要素については、同じ参照番号を付してその説明を省略する。本実施形態のラチスブームの補強構造201が第1実施形態のラチスブームの補強構造1と異なる点は、ラチスブーム26の側面図である
図27に示すように、中間部45に配置された3以上の補強部材202の1つが、メインパイプ41の中心軸とラチスパイプ42の中心軸とを含む仮想平面上(
図26の紙面上)に配置されており、この補強部材202は、接続箇所44まで延びる延長部202aを有している点である。
【0049】
本実施形態において、補強部材202は、メインパイプ41の外周面に設けられている。また、
図27のD−D断面図である
図28に示すように、補強部材202は、メインパイプ41の外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で3個設けられている。そして、
図27に示すように、3個の補強部材202の1つが、メインパイプ41の中心軸とラチスパイプ42の中心軸とを含む仮想平面上(
図27の紙面上)に配置されており、この補強部材202は、接続箇所44まで延びる延長部202aを有している。
【0050】
また、延長部202aを有しない他の2個の補強部材202は、接続箇所44から隣の接続箇所44にわたって配置されている。即ち、他の2個の補強部材202の長さは、隣り合う接続箇所44同士の間隔の長さLsである。なお、他の2個の補強部材202は、第1実施形態と同様に、LasがLsの5%以上で、LaeがLsの95%以下となる範囲に配置されていてもよい。
【0051】
このように、メインパイプ41の中心軸とラチスパイプ42の中心軸とを含む仮想平面上に配置された補強部材202が有する延長部202aが、接続箇所44に接続することで、接続箇所44が補強される。これにより、接続箇所44の強度を向上させることができる。また、延長部202aを有する補強部材202を接続箇所44同士の間に配置することで、ラチスブーム26を組み立てた後に所望となった箇所を補強することができるとともに、接続箇所44を跨いで作業を行う必要がないので、補強作業の作業性を向上させることができる。
【0052】
なお、本実施形態においては、メインパイプ41の各中間部45に補強部材202がそれぞれ設けられているが、メインパイプ41の特定の中間部45のみに補強部材202が設けられていてもよい。
【0053】
(変形例)
次に、変形例について説明する。第19変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図29に示すように、補強部材202は、ラチスパイプ42の各中間部45にそれぞれ設けられている。
図29のE−E断面図である
図30に示すように、補強部材202は、ラチスパイプ42の外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で4個設けられている。そして、
図29に示すように、4個の補強部材202のうち、周方向の位置が180°またはほぼ180°異なる2つの補強部材202が、メインパイプ41の中心軸とラチスパイプ42の中心軸とを含む仮想平面上(
図29の紙面上)に配置されて、接続箇所44まで延びる延長部202aをそれぞれ有している。
【0054】
また、隣り合うラチスパイプ42において、一方に設けられた補強部材202の延長部202aと他方に設けられた補強部材202の延長部202aとは一体になっている。このように、延長部202a同士を一体にすることで、延長部202aを有する補強部材202の剛性が向上するので、ラチスパイプ42の座屈強度をより向上させることができる。
【0055】
なお、本変形例においては、ラチスパイプ42の各中間部45に補強部材202がそれぞれ設けられているが、ラチスパイプ42の特定の中間部45のみに補強部材202が設けられていてもよい。
【0056】
また、第20変形例においては、ラチスブーム26の側面図である
図31に示すように、補強部材202は、メインパイプ41の各中間部45と、ラチスパイプ42の各中間部45とにそれぞれ設けられている。メインパイプ41に設けられた補強部材202は、メインパイプ41の外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で3個設けられている。そして、3個の補強部材202のうちの1つが、メインパイプ41の中心軸とラチスパイプ42の中心軸とを含む仮想平面上(
図31の紙面上)に配置されて、接続箇所44まで延びる延長部202aを有している。
【0057】
また、ラチスパイプ42に設けられた補強部材202は、ラチスパイプ42の外周面の周方向に等間隔または同程度の間隔で4個設けられている。そして、4個の補強部材202のうち、周方向の位置が180°またはほぼ180°異なる2つの補強部材202が、メインパイプ41の中心軸とラチスパイプ42の中心軸とを含む仮想平面上(
図31の紙面上)に配置されて、接続箇所44まで延びる延長部202aをそれぞれ有している。
【0058】
また、メインパイプ41に設けられた補強部材202の延長部202aと、ラチスパイプ42に設けられた補強部材202の延長部202aとは一体になっているとともに、隣り合うラチスパイプ42において、一方に設けられた補強部材202の延長部202aと他方に設けられた補強部材202の延長部202aとは一体になっている。このように、延長部202a同士を一体にすることで、延長部202aを有する補強部材202の剛性が向上するので、パイプの座屈強度をより向上させることができる。
【0059】
なお、本変形例においては、メインパイプ41の各中間部45と、ラチスパイプ42の各中間部45とに補強部材202がそれぞれ設けられているが、メインパイプ41の特定の中間部45およびラチスパイプ42の特定の中間部45のみに補強部材202が設けられていてもよい。
【0060】
また、上述した第2実施形態および第19,20変形例においても、第10〜18変形例(
図14〜
図22参照)が適用されてよい。また、補強部材202は、等間隔または同程度の間隔で設けられるのではなく、荷重が作用する側に設けられていてよい。
【0061】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るラチスブームの補強構造201によると、メインパイプ41の中心軸とラチスパイプ42の中心軸とを含む仮想平面上に配置された補強部材202が有する延長部202aが、接続箇所44に接続することで、接続箇所44が補強される。これにより、接続箇所44の強度を向上させることができる。また、延長部202aを有する補強部材202を接続箇所44同士の間に配置することで、ラチスブーム26を組み立てた後に所望となった箇所を補強することができるとともに、接続箇所44を跨いで作業を行う必要がないので、補強作業の作業性を向上させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。