特許第6550311号(P6550311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550311
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】剥離方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20190711BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20190711BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   B65H41/00 B
   C09J5/00
   G02B5/30
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-189429(P2015-189429)
(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-65812(P2017-65812A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大悟
(72)【発明者】
【氏名】中村 宜弘
(72)【発明者】
【氏名】大沢 曜彰
(72)【発明者】
【氏名】原 知広
(72)【発明者】
【氏名】前田 実
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−78063(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0060773(US,A1)
【文献】 特開2006−99018(JP,A)
【文献】 特開2010−149965(JP,A)
【文献】 特開2010−85549(JP,A)
【文献】 特開2007−78978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 41/00
B65H 37/00−37/06
B65H 45/00−47/00
C09J 1/00− 5/10
C09J 9/00−201/10
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板の一方の面上に接着された偏光板とを備えた矩形状の積層体から前記偏光板を剥離する剥離方法であって、
前記積層体は、前記偏光板の上面に剥離可能に接着された表面保護フィルムをさらに備えており、
前記偏光板の上面に粘着テープを接着すべく前記表面保護フィルムを剥離し、
前記偏光板の4つの端縁のうち、少なくとも一の角部を構成する2つの端縁に粘着テープが沿うように、前記偏光板の上面に前記粘着テープを接着し、
前記表面保護フィルムを前記粘着テープに被せて接着し、
前記角部を剥離起点として前記表面保護フィルム及び前記粘着テープと共に前記偏光板を剥離する、剥離方法。
【請求項2】
前記偏光板の前記粘着テープが沿うように接着される各端縁と、該各端縁に対応する前記粘着テープの外側の端縁とが面一に位置するように、または、前記偏光板の前記粘着テープが沿うように接着される各端縁から、該各端縁に対応する前記粘着テープの外側の端縁が前記偏光板の厚み未満の長さで突出するように、前記偏光板の上面に前記粘着テープを接着する、請求項1に記載の剥離方法。
【請求項3】
前記偏光板の4つの端縁に沿うように、前記偏光板の上面に前記粘着テープを接着する、請求項1または2に記載の剥離方法。
【請求項4】
前記表面保護フィルムを介して前記粘着テープと重なるように、前記表面保護フィルムの上面に粘着シートを接着し、
前記表面保護フィルム、前記粘着テープ及び前記粘着シートと共に前記偏光板を剥離する、請求項1〜3のいずれかに記載の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体から偏光板を剥離する剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネルや有機EL表示パネルといった画像表示装置の画像表示部に適用されるパネルとして、硬質ガラス板等により形成された基板と、該基板の少なくとも一方の面に接着された偏光板(偏光フィルム)とを備えたものが用いられている。流通段階においては、かかるパネルは、該パネルと、偏光板上に剥離可能に接着された表面保護フィルムとを有する積層体の状態で流通されている。
【0003】
この種の積層体は、例えば、基板に接着剤を介して偏光板を接着し、該偏光板の上に、該接着剤よりも接着力が小さい、剥離可能な接着剤を介して表面保護フィルムを接着することによって製造され、製造後に検査されるようになっている。この検査では、接着された偏光板の汚れや破損、該偏光板と基板との間への空気や異物の混入等の不具合が発見される場合がある。このように不具合が発見された場合、積層体から表面保護フィルムと共に偏光板を剥離することによって、得られた基板を別の積層体の製造に再利用することが行われている。このように偏光板を剥離することは、一般に、リワークと呼ばれている。
【0004】
ところで、このように積層体から偏光体を剥離する際、剥離時に偏光フィルムが裂け(破断し)、その一部が基板上に残ってしまう場合がある。
【0005】
そこで、フィルムの破断を抑制しつつ、積層体から該フィルムを剥離する方法が提案されている。
例えば、基板と、該基板に接着された破断し易いフィルムとを備えた積層体から該フィルムを剥離する方法であって、該破断し易いフィルムの全面に粘着シートを貼り付け、該粘着シートと共に該フィルムを剥離する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−88256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記のように基板に偏光板と表面保護フィルムとが積層されてなる積層体から、表面保護フィルムと共に偏光板を剥離する際に、特許文献1に記載された剥離方法を適用すると、表面保護フィルムの全面に粘着シートを接着し、該粘着シート及び表面フィルムと共に偏光板を剥離することになる。
しかし、このように表面保護フィルムの全面に粘着シートを接着しても、偏光板を剥離する際、該偏光板が裂ける場合がある。このように偏光板が裂け、裂けた一部が基板に残ると、残った偏光板を別途剥離する必要が生じるため、その結果、偏光板を剥離する作業が困難となる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、偏光板が裂けることを抑制しつつ、該偏光板を表面保護フィルムと共に基板から簡便に剥離することを可能とする剥離方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが、鋭意研究したところ、以下の知見を得た。
一般的によく知られているように、液晶表示パネル等において基板に接着された偏光板は、本来剥離されることが予定されていないものである。すなわち、本来剥離されることを前提として一のフィルムが他の部材に接着されるような場合よりも、遥かに強い接着力で偏光板が基板に接着されている。
これに対し、偏光板に接着された表面保護フィルムは、本来剥離されることが予定されているものである。すなわち、基板に対する偏光板の接着力よりも遥かに小さな接着力で、偏光板に表面保護フィルムが接着されている。
図19に、積層体30から、このような偏光板33と表面保護フィルム37とを一緒に剥離しようとして、両者を掴んで引っ張る状態を示す(図19中、白抜き矢印は、引っ張り方向を示す)。上記の通り、偏光板33と基板31との間の接着力よりも表面保護フィルム37と偏光板33との間の接着力の方が遥かに小さいため、基板31からの偏光板33の剥がれが進行するよりも速く、偏光板33からの表面保護フィルム37の剥がれが進行する。その結果、図19に示すように、偏光板33の未だ剥がれていない部分から表面保護フィルム37が剥がれること、すなわち、偏光板33からの表面保護フィルム37の乖離が発生することを見出した。
また、かかる乖離が発生すると、この乖離した部分において偏光板が裂け易くなることを見出した。
さらに、矩形状の偏光板を表面保護フィルムと共に剥離する際、通常、これらは、1つの角部から対角線を描くような方向に剥離される。そこで、この剥離起点を構成する2つの端縁(2辺)に沿うように、表面保護フィルムを剥離して偏光板に粘着テープを接着し、表面保護フィルムをこの粘着テープに被せてこれに接着し、偏光板を、表面保護フィルム及び粘着テープと共に引っ張ることによって、偏光板に対する表面保護フィルムの乖離を抑制することができ、これによって、偏光板の裂けを抑制しつつ、偏光板と表面保護フィルムとを剥離し得ることを見出した。
また、このようにすることによって、表面保護フィルムを全て剥離して偏光板を露出させ、露出した偏光板の全面に粘着シートを貼る必要がないため、その分、剥離作業が簡便になることも見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る剥離方法は、
基板と、該基板の一方の面上に接着された偏光板とを備えた矩形状の積層体から前記偏光板を剥離する剥離方法であって、
前記積層体は、前記偏光板の上面に剥離可能に接着された表面保護フィルムをさらに備えており、
前記偏光板の上面に粘着テープを接着すべく前記表面保護フィルムを剥離し、
前記偏光板の4つの端縁のうち、少なくとも一の角部を構成する2つの端縁に粘着テープが沿うように、前記偏光板の上面に前記粘着テープを接着し、
前記表面保護フィルムを前記粘着テープに被せて接着し、
前記角部を剥離起点として前記表面保護フィルム及び前記粘着テープと共に前記偏光板を剥離する。
【0011】
かかる構成によれば、表面保護フィルムを剥離して、偏光板の4つの端縁のうち、少なくとも一の角部を構成する2つの端縁に粘着テープが沿うように、偏光板の上面に粘着テープを接着し、表面保護フィルムを粘着テープに接着し、上記角部を剥離起点として表面保護フィルム及び粘着テープと共に偏光板を剥離することによって、偏光板を剥離する際に、表面保護フィルムが偏光板から乖離することを抑制できる。これにより、剥離の間、表面保護フィルムと偏光板とが接着された状態が維持されることになる(図18参照)。その結果、偏光板が表面保護フィルムで補強された状態が維持されつつ基板から剥離されるため、偏光板の裂けを抑制することが可能となる。
ここで、偏光板の上面の全面に特許文献1に記載されたような粘着シートを接着しようとすれば、表面保護フィルムを全て剥離して偏光板を露出させた後、露出した偏光板の上面の全面に粘着シートを接着させる必要がある。このため、偏光板の上面の全面に粘着シートを接着する分だけ手間がかかり、また、別途の粘着シートを用いて偏光板を補強することになる分だけ、手間がかかる。
しかし、上記構成によれば、偏光板の上面における端縁側の部分に粘着テープを接着するため、表面保護フィルムを全て剥離する必要がなく、その分、手間が省ける。また、表面保護フィルムで偏光板を補強することができるため、表面保護フィルムの有効利用を図ることができ、別途の部材で偏光板を補強する手間も省ける。
このように、偏光板が裂けることを抑制しつつ、該偏光板を表面保護フィルムと共に基板から簡便に剥離することが可能となる。
【0012】
また、上記構成の剥離方法においては、
前記偏光板の前記粘着テープが沿うように接着される各端縁と、該各端縁に対応する前記粘着テープの外側の端縁とが面一に位置するように、または、前記偏光板の前記粘着テープが沿うように接着される各端縁から、該各端縁に対応する前記粘着テープの外側の端縁が前記偏光板の厚み未満の長さで突出するように、前記偏光板の上面に前記粘着テープを接着することが好ましい。
【0013】
ここで、通常、基板は偏光板よりも大きく形成されているため、粘着テープの外側の端縁が偏光板の端縁よりも厚み以上の長さで外側にはみ出していると、該粘着テープが基板と接着し、基板からの偏光板の剥離を妨げるという不具合が発生するおそれがある。また、通常、偏光板は所定の形状となるように切断されて形成されており、微視的にはその端縁に一直線となっていない部分があるため、粘着テープの外側の端縁が偏光板の端縁よりも内側に引っ込んでいると、この一直線上となっていない部分を起点として裂けが生じるという不具合が発生するおそれがある。
しかし、かかる構成によれば、上記したような粘着テープのはみ出しによる不具合や、引っ込みによる不具合の発生を抑制し得るため、より確実に、偏光板が裂けることを抑制しつつ、偏光板を表面保護フィルムと共に基板から剥離することが可能となる。
【0014】
また、上記構成の剥離方法においては、
前記偏光板の4つの端縁に沿うように、前記偏光板の上面に前記粘着テープを接着することが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、偏光板を剥離する際、偏光板から表面保護フィルムが乖離することをより確実に抑制し得るため、より確実に、偏光板が裂けることを抑制しつつ、偏光板を表面保護フィルムと共に基板から剥離することが可能となる。
【0016】
また、上記構成の剥離方法においては、
前記表面保護フィルムを介して前記粘着テープと重なるように、前記表面保護フィルムの上面に粘着シートを接着し、
前記表面保護フィルム、前記粘着テープ及び前記粘着シートと共に前記偏光板を剥離することが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、表面保護フィルムの上面に、さらに粘着シートを接着することによって、偏光板を剥離する際、該偏光板を一層補強し得るため、より確実に、偏光板が裂けることを抑制しつつ、偏光板を表面保護フィルムと共に基板から剥離することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上の通り、本発明によれば、偏光板が裂けることを抑制しつつ、該偏光板を表面保護フィルムと共に基板から簡便に剥離することを可能とする剥離方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の剥離装置および剥離方法が適用される積層体を示す概略上面図
図2図1の積層体の層構成の一例を示す概略側面図
図3図1の積層体のうち偏光板の層構成の一例を示す概略側面図
図4】偏光板における剥離起点を構成する2つの端縁のうち一方の端縁が露出するように、表面保護フィルムの端縁側を偏光板から剥離した状態を示す概略上面図
図5】露出した偏光板の端縁に沿うように粘着テープを接着した状態を示す概略上面図
図6図5の状態から、表面保護フィルムを粘着テープに被せ、これに接着した状態を示す概略上面図
図7】偏光板における剥離起点となる角部を構成する2つの端縁のうち他方の端縁が露出するように、表面保護フィルムの端縁側を偏光板から剥離した状態を示す概略上面図
図8】露出した偏光板の端縁に沿うように粘着テープを接着した状態を示す概略上面図
図9図8の状態から、表面保護フィルムを粘着テープに被せ、これに接着した状態を示す概略上面図
図10】偏光板の4つの端縁に沿うように粘着テープを接着した後、表面保護フィルムを粘着テープに被せ、これに接着した状態を示す概略上面図
図11図5で接着した粘着シートと表面保護フィルム介して重なるように、表面保護フィルムに粘着シートを接着した状態を示す概略上面図
図12図8で接着した粘着シートと表面保護フィルム介して重なるように、表面保護フィルムに粘着シートを接着した状態を示す概略上面図
図13図10に示す4つの粘着シートと表面保護フィルム介して重なるように、表面保護フィルムに4つの粘着シートを接着した状態を示す概略上面図
図14】本実施形態の剥離方法に用いる剥離装置に、剥離起点から剥離された偏光板が巻き掛けられた状態を示す概略上面図
図15】本実施形態の剥離方法に用いる剥離装置に、剥離起点から剥離された偏光板が表面保護フィルム、粘着テープ及び粘着シートと共に巻き掛けられた状態を示す概略側面図
図16】巻き取り部材の回転によって偏光板が表面保護フィルム、粘着テープ及び粘着シートと共にさらに剥離されつつ、剥離された偏光板が表面保護フィルム、粘着テープ及び粘着シートと共に順次巻き取られる状態を示す概略側面図
図17】巻き取り部材の回転によって偏光板が表面保護フィルム、粘着テープ及び粘着シートと共に全て剥離された状態を示す概略側面図
図18】本実施形態の剥離方法によって偏光板が表面保護フィルム、粘着テープ及び粘着シートと共に剥離される状態を拡大して示す概略側面図
図19】従来の剥離方法によって偏光板が表面保護フィルムと共に剥離される状態を拡大して示す概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る剥離方法について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
まず、本実施形態の剥離方法で偏光板が剥離される積層体について説明する。
図1及び図2に示すように、積層体30は、矩形状の基板31と、該基板31の一方の面31a上に接着された矩形状の偏光板33と、該偏光板33の上面33a上に剥離可能に接着された表面保護フィルム37とを有している。
基板31は、偏光板33及び表面保護フィルム37よりも大きく形成され、偏光板33と表面保護フィルム37とは同じ大きさに形成されている。
【0022】
基板31としては、例えば、硬質ガラス等が挙げられる。
【0023】
偏光板33は、基板31の上面31aに、第1の接着剤(不図示)によって接着されている。偏光板33は、4つの端縁34a、34b、34c、34dを、この順に隣接して有しており、これら端縁の交点が、4つの角部35a、35b、35c、35dを構成している。
【0024】
また、図3に示すように、本実施形態では、偏光板33は、具体的には、偏光子41と、偏光子41の両面にそれぞれ形成された第2の接着剤を有する接着剤層43と、これら接着剤層43にそれぞれ積層された保護フィルム45とを備えている。
なお、このように、本実施形態では、偏光板33が、偏光子41と、その両面に積層された保護フィルム45とを有する態様を示すが、その他、本発明では、偏光板33が、偏光子41と、その一方の面のみに積層された保護フィルム45とを有する態様を採用することもできる。
【0025】
かかる偏光板33の厚みは、特に限定されるものではなく、適宜設定し得る。ただし、例えば、偏光板33の厚みが小さい程、強度が低下して破れ易くなる傾向にあり、一方、厚みが大きい程、強度が増加して破れ難くなる傾向にある。従って、例えば、偏光板33の厚みが、200μm以下、好ましくは90μm以下、さらに好ましくは50μm以下である場合に、本実施形態の剥離方法を好ましく適用できる。このように、厚みが比較的小さい場合であっても、偏光板30を補強して、剥離時に偏光板33を破れ難くすることができるため、本実施形態の剥離方法がより有用となるからである。
【0026】
また、偏光板33の材質は、特に限定されるものではない。ただし、後述するように、偏光板33、特に、そのうち保護フィルム45の材質が破れ易いものである場合に、本実施形態の剥離方法を好ましく適用し得る。
【0027】
偏光子41としては、ポリビニルアルコール系フィルムが染色、延伸されることによって形成されたものが挙げられる。
偏光子41の厚みは、通常、2〜30μm程度である。
【0028】
第1及び第2の接着剤としては、従来公知の接着剤が挙げられる。
【0029】
保護フィルム45としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、これらの混合物等から形成されたフィルムが挙げられる。
【0030】
上記したような保護フィルム45の厚みは、通常、20〜60μm程度である。
【0031】
本実施形態の剥離方法で用いられる積層体30では、上記の通り、偏光板33が第1の接着剤によって基板31の上面31a上に接着されており、基板31に対する偏光板33の接着力(すなわち、第1の接着剤の接着力)は、通常、5〜15N/25mmである。かかる接着力であれば、基板31に対して偏光板33が比較的強固に接着され得る。また、このように強固に接着された偏光板33を剥離するときであっても、偏光板33の裂けを抑制し得る。よって、本実施形態の剥離方法は、上記範囲の接着力を有する積層体30に好適である。
かかる接着力は、オートグラフ(精密万能試験機、島津製作所製)によって、基板31から偏光板33を、引張速度300mm/minで90°方向に引き剥がして測定される値である。
【0032】
表面保護フィルム37は、偏光板33の上面33aに、すなわち、保護フィルム45の上面に、上記第1の接着剤よりも弱い接着力を有する第3の接着剤(不図示)によって剥離可能に接着されている。
表面保護フィルム37は、偏光板33の4つの端縁34a〜34dにそれぞれ対応して(重なるように)、4つの端縁38a、38b、38c、38dを、この順に隣接して有しており、これら端縁の交点が、角部39a、39b、39c、39dを構成している。
本実施形態では、偏光板33に対する表面保護フィルム37の接着力(すなわち、第3の接着剤の接着力)は、通常、0.3〜2.0N/25mmである。かかる接着力であれば、偏光板33に対して表面保護フィルム37が剥離可能に接着され得る。
かかる接着力は、オートグラフ(精密万能試験機、島津製作所製)によって、偏光板33から表面保護フィルム37を、引張速度300mm/minで90°方向に引き剥がして測定される値である。
【0033】
本実施形態の剥離方法は、
基板31と、該基板31の一方の面(上面)31a上に接着された偏光板33とを備えた矩形状の積層体30から前記偏光板33を剥離する剥離方法であって、
前記積層体30は、前記偏光板33の上面33aに剥離可能に接着された表面保護フィルム37をさらに備えており、
前記偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着すべく前記表面保護フィルム37を剥離し、
前記偏光板33の4つの端縁34a、34b、34c、34dのうち、少なくとも一の角部35aを構成する2つの端縁34a、34bに前記粘着テープ51が沿うように、前記偏光板33の上面33aに前記粘着テープ51を接着し、
前記表面保護フィルム37を前記粘着テープ51に被せて接着し、
前記角部35を剥離起点Pとして前記表面保護フィルム37及び前記粘着テープ51と共に前記偏光板33を剥離する。
また、本実施形態では、
前記偏光板33の前記粘着テープ51が沿うように接着される各端縁と、該各端縁に対応する前記粘着テープ51の外側の端縁とが面一に位置するように、または、前記偏光板33の前記粘着テープ51が沿うように接着される各端縁34a〜34dから、該各端縁34a〜34dに対応する前記粘着テープ51の外側の端縁が前記偏光板33の厚み未満の長さで突出するように、前記粘着テープ51を接着する。
より具体的には、本実施形態では、
前記偏光板33の4つの端縁34a〜34dに沿うように、前記偏光板33に前記粘着テープ51を接着する。
また、本実施形態では、
前記表面保護フィルム37を介して前記粘着テープ51と重なるように、前記表面保護フィルム37の上面37aに粘着シート53を接着し、
前記表面保護フィルム37、前記粘着テープ51及び前記粘着シート53と共に前記偏光板33を剥離する。
【0034】
本実施形態の剥離方法においては、偏光板33の角部35aを剥離起点Pとして、偏光板33を基板31から剥離することとする。
また、偏光板33の4つの端縁34a〜34dにそれぞれ沿うように、粘着テープ51を接着することとする。
【0035】
本実施形態では、偏光板33の各端縁34a、34b、34c、34dに沿うように、粘着テープ51を偏光板33の上面33aに接着する。また、粘着テープ51としては、両面側に粘着剤(第1の粘着剤、不図示)を有しているテープ、具体的には両面テープを用いる。かかる粘着テープ51の一面側の粘着剤は露出しており、他面側の粘着剤には剥離ライナー(不図示)が貼着されている。
【0036】
粘着テープ51の接着力、すなわち、両面テープの接着力(上記第1の粘着剤の接着力)は、偏光板33の上面33aに対する表面保護フィルム37の接着力(上記第3の接着剤の接着力)よりも大きい。かかる粘着テープ51の接着力は、10.0N/25mm以上であることが好ましく、15.0N/25mm以上がより好ましい。
接着力が10.0N/25mm以上であることによって、基板31から偏光板33を剥離している間に、粘着テープ51が偏光板33から乖離することを抑制し得るため、より確実に、偏光板33裂けることなく該偏光板33を表面保護フィルム37と共に基板31から剥離し得る。
なお、上記接着力は、オートグラフ(精密万能試験機、島津製作所製)によって、偏光板33から表面保護フィルム37を、引張速度300mm/minで90°方向に引き剥がして測定される値である。
【0037】
本実施形態の剥離方法においては、具体的には、まず、図4に示すように、偏光板33の端縁34aに沿うように粘着テープ51を接着するために、表面保護フィルム37の端縁38a側を部分的に剥離する。
この剥離によって露出した偏光板33の上面33aの領域に、図5に示すように、端縁34aに沿うように粘着テープ51を接着する。接着後、粘着テープ51に貼着されている剥離ライナー(不図示)を剥離し、図6に示すように、露出した粘着テープ51の接着剤(不図示)に表面保護フィルム37を被せて接着する。なお、ここでは、偏光板33の端縁34b、34d側に粘着テープ51を接着すべく該端縁34b、34d側の表面保護フィルム37を部分的に剥離できるような剥離しろを設けるように、偏光板33の端縁34a側に粘着テープ51を接着する。
【0038】
次に、図7に示すように、偏光板33の端縁34bに沿うように粘着テープ51を接着するために、表面保護フィルム37の端縁38b側を部分的に剥離する。
この剥離によって露出した偏光板33の上面33aの領域に、図8に示すように、端縁34bに沿うように粘着テープ51を接着する。接着後、粘着テープ51に貼着されている剥離ライナー(不図示)を剥離し、図9に示すように、露出した粘着テープ51の接着剤(不図示)に表面保護フィルム37を被せて接着する。なお、ここでは、上記偏光板33の端縁34a側への粘着フィルム51の接着で形成された剥離しろを埋めるように、且つ、偏光板33の端縁34c側に粘着テープ51を接着すべく該端縁34c側の表面保護フィルム37を部分的に剥離できるような剥離しろを設けるように、偏光板33の端縁34b側に粘着テープ51を接着する。
【0039】
これらと同様にして、偏光板33の端縁34cに沿うように粘着テープ51を接着するために、表面保護フィルム37の端縁38c側を剥離し、この剥離によって露出した偏光板33の上面33aの領域に、端縁34cに沿うように粘着テープ51を接着する。接着後、粘着テープ51に貼着されている剥離ライナーを剥離し、露出した粘着テープ51の粘着剤に表面保護フィルム37を被せて接着する。なお、ここでは、上記偏光板33の端縁34b側への粘着フィルム51の接着で形成された剥離しろを埋めるように、且つ、偏光板33の端縁34d側に粘着テープ51を接着すべく該端縁34d側の表面保護フィルム37を部分的に剥離できるような剥離しろを設けるように、偏光板33の端縁34c側に粘着テープ51を接着する。
さらに、端縁34dに沿うように粘着テープ51を接着するために、表面保護フィルム37の端縁38d側を部分的に剥離し、この剥離によって露出した偏光板33の上面33aの領域に、端縁34dに沿うように粘着テープ51を接着する。接着後、粘着テープ51に貼着されている剥離ライナーを剥離し、露出した粘着テープ51の粘着剤に表面保護フィルム37を被せて接着する。なお、ここでは、上記偏光板33の端縁34a、34c側への粘着フィルム51の接着で形成された剥離しろを埋めるように、偏光板33の端縁34d側に粘着テープ51を接着する。
【0040】
このように、偏光板33の4つの端縁34a〜34dに沿うように偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着すべく、表面保護フィルム37を部分的に剥離し、剥離によって露出した偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着した後、各粘着テープ51に貼着されている剥離ライナーを剥離し、図10に示すように、露出した粘着テープ51の粘着剤に表面保護フィルム37を被せて接着する。
【0041】
本実施形態では、偏光板33の粘着テープ51が沿うように接着される各端縁と(すなわち4つの各端縁34a〜34d)と、各端縁に対応する粘着テープ51の外側の端縁とが面一に位置される(すなわち、偏光板33の各端縁と、各粘着テープ51の外側の端縁とが一致する)ように、または、前記偏光板33の前記粘着テープ51が沿うように接着される各端縁34a〜34dから、該各端縁34a〜34dに対応する前記粘着テープ51の外側の端縁が前記偏光板33の厚み未満の長さで突出するように、偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着する。
【0042】
ここで、図1に示すように、通常、基板31は偏光板33よりも大きく形成されているため、粘着テープ51の外側の端縁が偏光板33の端縁よりも外側にはみ出していると、該粘着テープ51が基板31と接着し、基板31からの偏光板33の剥離を妨げるという不具合が発生するおそれがある。また、通常、偏光板33は所定の形状となるように切断されて形成されており、微視的にはその端縁に一直線となっていない部分(例えばギザギザになっている部分)があるため、粘着テープ51の外側の端縁が偏光板33の端縁よりも内側に引っ込んでいると、この一直線となっていない部分を起点として裂けが生じるという不具合が発生するおそれがある。
【0043】
しかし、上記のように、偏光板33の粘着テープ51が沿うように接着される各端縁と、各端縁に対応する粘着テープ51の外側の端縁とが面一に位置するように、または、前記偏光板33の前記粘着テープ51が沿うように接着される各端縁34a〜34dから、該各端縁34a〜34dに対応する前記粘着テープ51の外側の端縁が前記偏光板33の厚み未満の長さで突出するように、偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着することによって、上記したような粘着テープ51のはみ出しによる不具合や、引っ込みによる不具合の発生を抑制し得るため、より確実に、偏光板33が裂けることを抑制しつつ、前記偏光板33を表面保護フィルム37と共に基板31から剥離することが可能となる。
なお、粘着テープ51の外側の端縁が偏光板33の端縁34a〜34dよりも外側に、該偏光板33の厚み未満の長さで突出している場合には、粘着テープ51が基材31に接着することなく、上記と同様に、より確実に、偏光板33が裂けることを抑制しつつ、前記偏光板33を表面保護フィルム37と共に基板31から剥離することが可能となる。
【0044】
粘着テープ51の幅は、特に限定されるものではなく、適宜設定し得る。例えば、粘着テープ51の幅が大きくなれば、表面保護フィルム37と偏光板33との乖離をより抑制し得る傾向にある一方、コストが高くなる傾向にある。従って、例えば、かかる観点を考慮して、粘着テープ51の幅は、10〜50mmであることが好ましい。
【0045】
次に、偏光板33の端縁34a、34b、34c、34dに沿って接着された粘着テープ51と表面保護フィルム37を介して重なるように、該表面保護フィルム37の上面37aに、さらに粘着シート53を接着する。
【0046】
本実施形態では、一面側にのみ粘着剤が露出した粘着シートを用いる。かかる粘着シート53として、例えば、粘着テープ51と同様の、両面テープの一面側に剥離ライナーが貼着されてなるものを(剥離ライナーを剥離することなく)用いる。
この粘着シート53の表面(表面保護フィルム37に接着される側とは反対の側の面、ここでは剥離ライナーの表面)は、表面保護フィルム37よりも滑り性が高いことが好ましい。具体的には、粘着シート53の表面の摩擦係数が、表面保護フィルム37の上面37aの摩擦係数よりも小さいことが好ましい。
【0047】
具体的には、図11に示すように、偏光板33の端縁34aに沿うように接着した粘着テープ51と、表面保護フィルム37を介して重なるように、すなわち、該表面保護フィルム37の端縁38aに沿うように、該表面保護フィルム37の上面37aに、さらに粘着シート53を接着する。
【0048】
また、図12に示すように、偏光板33の端縁34bに沿うように接着した粘着テープ51と、表面保護フィルム37を介して重なるように、すなわち、該表面保護フィルム37の端縁38bに沿うように、該表面保護フィルム37の上面37aに、さらに粘着シート53を接着する。
【0049】
さらに、これらと同様にして、偏光板33の端縁34cに沿うように接着した粘着テープ51と、表面保護フィルム37を介して重なるように、すなわち、該表面保護フィルム37の端縁38cに沿うように、該表面保護フィルム37の上面37aに、さらに粘着シート53を接着する。
また、偏光板33の端縁34dに沿うように接着した粘着テープ51と、表面保護フィルム37を介して重なるように、すなわち、該表面保護フィルム37の端縁38dに沿うように、該表面保護フィルム37の上面37aに、さらに粘着シート53を接着する。
【0050】
このようにして、図13に示すように、表面保護フィルム37を介して粘着テープ51と重なるように、表面保護フィルム37の上面37aに、その4つの端縁38a〜38dに沿うように、粘着シート53を接着する。
【0051】
引き続き、剥離装置1を用いて、前記表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に前記偏光板33を、偏光板33の角部35aを剥離起点Pとして順次剥離する。
【0052】
本実施形態の剥離方法に用いる好ましい剥離装置1について説明する。
【0053】
図14図15に示すように、本実施形態の剥離装置1は、積層体30が載置されるステージ部材3と、ローラ状の剥離用部材7と、積層体30から剥離され且つ剥離用部材7によって剥離された偏光板33の角部35aを、これと重なる表面保護フィルム39の角部39a、粘着テープ51及び粘着シート53を保持して、偏光板33をさらに順次剥離する剥離部材5とを備えている。
より具体的には、本実施形態の剥離装置1は、剥離部材5として、積層体30から剥離され且つ剥離用部材7によって湾曲された偏光板33の角部35aが、これと重なっている粘着テープ51、粘着シート53及び表面保護フィルムの角部39aと共に巻き架けられて、回転することにより偏光板33をさらに剥離しながら順次巻き取る巻き取り部材5を備えている。
【0054】
ステージ部材3は、積層体30から全ての偏光板33が剥離されるまでの間、積層体30が載置される台である。
【0055】
剥離用部材7は、偏光板33を基板31から剥離させると共に、剥離された偏光板33を表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に湾曲させながら後端側へと案内するものである。かかる剥離用部材7として、ローラ体が挙げられる。
【0056】
巻き取り部材5は、剥離された偏光板33の角部35aが、これと重なっている粘着テープ51、粘着シート53及び表面保護フィルム37の角部39aと共に巻き架けられ、この状態で回転することによって、偏光板33を、粘着テープ51、粘着シート53及び表面保護フィルム37と共に、さらに剥離しつつ順次巻き取るものである。
このような巻き取り部材5としては、例えば、モーター等の駆動装置17による駆動を受けて回転するローラ等が挙げられる。
また、巻き取り部材5には、上記剥離された偏光板33の角部35aが、これと重なっている粘着テープ51、粘着シート53及び表面保護フィルム37の角部39aと共に、接着テープ(不図示)等によって固定されるようになっている。
なお、図14では、偏光板33は、上記第1の接着剤(不図示)と共に基板31から剥離される。
【0057】
本実施形態では、上記剥離装置1を用い、積層体30から偏光板33の角部35aを、表面保護フィルム37の角部39a、粘着テープ51及び粘着シート53と共に剥離して、この剥離した部分を、剥離用部材7に巻き架けながら、さらに剥離部材5に巻き架ける。この状態で、剥離部材51で巻き取ることによって、剥離された偏光板33を、表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に、剥離用部材7によって湾曲させながら剥離部材5へと案内しつつ、剥離部材5で巻き取ることによって、偏光板33を、表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に、さらに基板31から順次剥離し、巻き取る。
【0058】
積層体30から偏光板33の角部35aを剥離することは、例えば以下のようにして行う。すなわち、先端に刃部を有する剥離用ナイフ(不図示)等を作業者の手指で掴み、積層体30の基板31と偏光板33の角部35aとの間に上記剥離用ナイフを挿入することによって偏光板33の角部35aを剥離する。より具体的には、偏光板33の基板31側の面33bに接着された上記第1の接着剤(不図示)と、基板31との間に上記剥離用ナイフを挿入し、上記第1の接着剤と共に偏光板33を剥離する。
【0059】
また、剥離された偏光板33の角部35aを、表面保護フィルム37の角部39a、粘着テープ51、粘着シート53と共に巻き取り部材5に巻き掛けることを、例えば以下のようにして行う。すなわち、剥離された偏光板33の角部35aを、巻き取り部材5の周面に巻き架けるようにして該周面に接着テープ(不図示)等で固定することによって行う。
【0060】
そして、図15に示す状態から、巻き取り部材5によって、偏光板33をさらに剥離しつつ順次巻き取ると、偏光板33の剥離が進むにつれて、図16図17に示すように、積層体30が剥離方向Xとは反対の側(図16図17の白抜き矢印参照)に順次移動する。すなわち、ステージ部材3に対して積層体30が相対的に移動する。より具体的には、積層体30がステージ部材3上を摺動する。図17に示すように、最終的に全ての偏光板33が剥離されて基板31が完全に露出すると、積層体30は移動を停止する。
このようにして、積層体30から偏光板33を、表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に剥離する。
【0061】
上記の通り、本実施形態の剥離方法は、
基板31と、該基板31の一方の面31a上に接着された偏光板33とを備えた矩形状の積層体30から前記偏光板33を剥離する剥離方法であって、
前記積層体30は、前記偏光板33の上面33aに剥離可能に接着された表面保護フィルム37をさらに備えており、
前記偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着すべく前記表面保護フィルム37を剥離し、
前記偏光板33の4つの端縁34a、34b、34c、34dのうち、少なくとも一の角部35aを構成する2つの端縁34a、34bに粘着テープ51が沿うように、前記偏光板33の上面33aに前記粘着テープ51を接着し、
前記表面保護フィルム37を前記粘着テープ51に被せて接着し、
前記角部35を剥離起点Pとして前記表面保護フィルム37及び前記粘着テープ51と共に前記偏光板33を剥離する。
【0062】
かかる構成によれば、表面保護フィルム37を剥離して、偏光板33の4つの端縁34a〜34dのうち、少なくとも一の角部35aを構成する2つの端縁34a、34bに粘着テープ51が沿うように、偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着し、該角部35aを剥離起点Pとして表面保護フィルム37及び粘着テープ51と共に偏光板33を剥離することによって、偏光板33を剥離する際に、表面保護フィルム37が偏光板33から乖離することを抑制できる。これにより、図18に示すように、剥離の間、表面保護フィルム37と偏光板33とが接着された状態が維持されることになる。その結果、偏光板33が表面保護フィルム37で補強された状態が維持されつつ基板31から剥離されるため、偏光板33の裂けを抑制することが可能となる。
ここで、偏光板33の上面33aの全面に特許文献1に記載されたような粘着シートを接着しようとすれば、表面保護フィルム37を全て剥離して偏光板33を露出させた後、露出した偏光板33の上面33aの全面に粘着シートを接着させる必要がある。このため、偏光板33の上面の33aの全面に粘着シートを接着する分だけ手間がかかり、また、別途の粘着シートを用いて偏光板33を補強することになる分だけ、手間がかかる。
しかし、上記構成によれば、偏光板33の上面33aにおける端縁側の部分に粘着テープ51を接着するため、その分、手間が省ける。また、表面保護フィルム37で偏光板33を補強することができるため、表面保護フィルム37の有効利用を図ることができ、別途の部材で偏光板33を補強する手間も省ける。
このように、偏光板33が裂けることを抑制しつつ、該偏光板33を表面保護フィルム37と共に基板31から簡便に剥離することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態の剥離方法においては、
前記偏光板33の前記粘着テープ51が沿うように接着される各端縁34〜34dと、該各端縁34a〜34dに対応する前記粘着テープ51の外側の端縁とが面一に位置するように、または、前記偏光板33前記粘着テープ51が沿うように接着される各端縁34a〜34dから、該各端縁34a〜34dに対応する前記粘着テープ51の外側の端縁が前記偏光板33の厚み未満の長さで突出するように、前記粘着テープ51を接着する。
【0064】
ここで、通常、基板31は偏光板33よりも大きく形成されているため、粘着テープ51の外側の端縁が偏光板33の端縁34a〜34dよりも偏光板33の厚み以上の長さで外側にはみ出していると、該粘着テープ51が基板31と接着し、基板31からの偏光板33の剥離を妨げるという不具合が発生するおそれがある。また、通常、偏光板33は所定の形状となるように切断されて形成されており、微視的にはその端縁に一直線となっていない部分(例えばギザギザになっている部分)があるため、粘着テープ51の外側の端縁が偏光板33の端縁34a〜34dよりも内側に引っ込んでいると、この一直線となっていない部分を起点として裂けが生じるという不具合が発生するおそれがある。
しかし、かかる構成によれば、上記したような粘着テープ51のはみ出しによる不具合や、引っ込みによる不具合の発生を抑制し得るため、より確実に、偏光板33が裂けることを抑制しつつ、偏光板33を表面保護フィルム37と共に基板31から剥離することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態の剥離方法においては、
前記偏光板33の4つの端縁34a〜34dに沿うように、前記偏光板33の上面33aに前記粘着テープ51を接着する。
【0066】
かかる構成によれば、偏光板33を剥離する際、偏光板33から表面保護フィルム37が乖離することをより確実に抑制し得るため、より確実に、偏光板33が裂けることを抑制しつつ、偏光板33を表面保護フィルム37と共に基板31から剥離することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態の剥離方法においては、
前記表面保護フィルム37を介して前記粘着テープ51と重なるように、前記表面保護フィルム37の上面37aに粘着シート53を接着し、
前記表面保護フィルム37、前記粘着テープ51及び前記粘着シート53と共に前記偏光板33を剥離する。
【0068】
かかる構成によれば、表面保護フィルム37の上面37aに、さらに粘着シート53を接着することによって、偏光板33を剥離する際、該偏光板33を一層補強し得るため、より確実に、偏光板33が裂けることを抑制しつつ、偏光板33を表面保護フィルム37と共に基板31から剥離することが可能となる。
【0069】
以上の通り、本実施形態によれば、偏光板33が裂けることを抑制しつつ、該偏光板33を表面保護フィルム37と共に基板31から簡便に剥離することが可能となる。
【0070】
本実施形態の剥離方法は上記の通りであるが、本発明の剥離方法は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0071】
例えば、上記実施形態では、偏光板33上に粘着テープ51、表面保護フィルム37上に粘着シート53を接着する態様を示したが、その他、粘着シート53を接着することなく、偏光板33を表面保護フィルム37及び粘着テープ51と共に剥離する態様を採用し得る。
【0072】
また、上記実施形態では、偏光板33の4つ端縁34a〜34dに沿うように粘着テープ51を接着したが、少なくとも角部35aを構成する2つの端縁34a、34bに沿うように粘着テープ51を接着すればよく、偏光板33上において該粘着テープ51を接着する領域の数量は、特に限定されない。
【0073】
また、上記実施形態では、表面保護フィルム37を介して4つの粘着テープ51と重なるように4つの粘着シート53を接着したが、粘着シート51と重なるように粘着シート53を接着するのであれば、粘着シート53の形状、大きさ、数量は特に限定されるものではなく、粘着シート51の数量に応じて、適宜設定すればよい。
例えば、粘着シート53として、表面保護フィルム37と同じ大きさに形成されたものを用い、この粘着シートを、表面保護フィルム37の上面37aの全面に接着する態様を採用し得る。
【0074】
また、上記実施形態では、基板31の方が偏光板33及び表面保護フィルム37よりも大きく形成され、偏光板33と表面保護フィルム37とが同じ大きさに形成されている態様を採用したが、本発明では、これらの大きさは、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。
【0075】
また、粘着テープ51同士の接着順序、及び、粘着シート53同士の接着順序も、特に限定されるものではない。
【0076】
また、上記実施形態では、偏光板33の端縁34a〜34dについて、1つずつ表面保護フィルム37の部分的な剥離、粘着フィルム51の接着、この粘着フィルム51への表面保護フィルム37の被せ及び接着を行い、これを繰り返したが、その他、偏光板33の端縁34a〜34dに対応する表面保護フィルム37の端縁38a〜38d側を同時に部分的に剥離し、これによって偏光板33の全ての端縁34a〜34d側を露出させ、この状態で剥離した端縁38a〜38d側を仮固定し、偏光板33の端縁34a〜34dに沿うように粘着テープ51を接着した後、仮固定を解除して、表面保護フィルム37の端縁38a〜38d側を粘着テープ51に被せて接着してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、複数の粘着テープ51を用い、偏光板33の端縁ごとに各粘着テープ51を接着したが、その他、予め、複数の端縁に沿うように形成された1つの粘着テープを用い、これを偏光板33の各端縁に沿うように接着してもよい。また、粘着シート53についても、同様に、予め、複数の端縁に沿うように形成された1つの粘着シートを用いてもよい。
【0078】
次に、実施例を示しつつ、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0079】
図1〜3に示すような積層板30を用いた。
具体的には、偏光板33として、偏光子41の両面に、第2の接着剤を有する接着剤層43を介して保護フィルム45が積層されて形成された偏光板33(厚み:約100μm)を用いた。積層体30として、かかる偏光板33の一方の保護フィルム45に第1の接着剤を介して基板31が積層され、他方の保護フィルム45に第3の接着剤を介して表面保護フィルム37が積層されて形成された積層体30を用いた。
より具体的には、偏光子41の両面に第2の接着剤を有する接着剤層43を介して保護フィルム45が積層され、該保護フィルム45のうち一方の保護フィルム45に第1の接着剤を介してセパレータ(不図示)が積層され、他方の保護フィルム45に第3の接着剤を介して表面保護フィルム37が積層されて形成された市販品(TEG1465DU、日東電工社製)から、セパレータを剥離して基材31に積層することによって、積層体30を形成した。
【0080】
粘着テープ51として、一面側に剥離ライナーが貼着されている両面テープ(No.500、日東電工社製)を用いた。
【0081】
粘着シート53として、粘着テープ51と同様の剥離ライナーが貼着されている両面テープ、及び、表面保護フィルム37(すなわち偏光板33)と同じ大きさに形成された粘着シート53を用いた。具体的には、粘着シート53として、上記市販品(TEG1465DU、日東電工社製)の品質検査(接着力を除く)で除かれた規格外品を用いた。
粘着シート53としての上記両面テープの上面(剥離ライナーの上面)の摩擦係数は、表面保護フィルム37の上面37aの摩擦係数よりも小さかった。
【0082】
(実施例1)
偏光板33の4つの端縁34a〜34dに沿うように粘着テープ51を接着すべく、表面保護フィルム37を部分的に剥離し、該端縁34a〜34dに沿うように、且つ、各端縁34a〜34dと粘着テープ51の外側の端縁とが面一に位置するように、偏光板33の上面33aに、剥離ライナーが貼着されている粘着テープ51としての両面テープを接着した後、該剥離ライナーを剥離して、粘着テープ51の粘着剤(不図示)に表面保護フィルム37を被せて接着した。
さらに、表面保護フィルム37を介して粘着テープ51と重なるように、且つ、表面保護フィルム37の4つの端縁38a〜38dに粘着シート53が沿うように、しかも、各端縁38a〜38dと粘着シート53の外側の端縁とが面一に位置するように、表面保護フィルム37の上面37aに、粘着シート53としての、剥離ライナーが貼着されている両面テープを接着した。なお、この剥離ライナーは剥離しなかった。
そして、図14、15に示す剥離装置1を用いて、偏光板33の角部35aを剥離起点Pとして、偏光板33を、表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に剥離した。このときの、偏光板33からの表面保護フィルム37の乖離状況と、偏光板33の裂けの状況とを、目視によって観察した。
これを50回繰り返し、成功率が90%以上の場合を良好と判断して、「〇」と表し、成功率が50%以上90%未満の場合をやや良好であると判断して、「△」と表し、50%未満の場合を不良であるとして、「×」と評価した。結果を表1に示す。
【0083】
(実施例2)
表面保護フィルム37に粘着シート53を接着しなかったこと以外は実施例1と同様にして、剥離装置1を用いて、偏光板33を、表面保護フィルム37及び粘着テープ51と共に剥離し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0084】
(実施例3)
偏光板33の2つの端縁34a、34bに沿うように、且つ、各端縁34a、34bと粘着テープ51の外側の端縁とが面一に位置するように、偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着し、表面保護フィルム37を介して粘着テープ51と重なるように、且つ、表面保護フィルム37の端縁38a、38bに粘着シート53が沿うように、しかも、粘着シート53の外側の端縁が各端縁38a、38bと面一に位置するように、粘着シート53としての、剥離ライナーが貼着されている両面テープを接着したこと以外は実施例1と同様にして、剥離装置1を用いて、偏光板33を、表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に剥離し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0085】
(実施例4)
表面保護フィルム37の上面37aの全面にわたって、表面保護フィルム37(すなわち偏光板33)と同じ大きさに形成された粘着シート53を接着したこと以外は実施例1と同様にして、剥離装置1を用いて、偏光板33を、表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に剥離し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0086】
(実施例5)
偏光板33の上面33aの4つの端縁34a〜34dに沿うように、且つ、該各粘着テープ51の外側の端縁が、各端縁34a〜34dから2mm内側に位置するように粘着テープ51を接着したこと以外は実施例1と同様に、剥離装置1を用いて、偏光板33を、表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に剥離し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0087】
(実施例6)
偏光板33の上面33aの4つの端縁34a〜34dに沿うように、且つ、該各粘着テープ51の外側の端縁が、各端縁34a〜34dから外側に50μm突出するように粘着テープ51を接着したこと以外は実施例1と同様に、剥離装置1を用いて、偏光板33を、表面保護フィルム37、粘着テープ51及び粘着シート53と共に剥離し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0088】
(比較例1)
偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着しなかったこと以外は実施例1と同様に、剥離装置1を用いて、偏光板33を、表面保護フィルム37及び粘着シート53と共に剥離し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0089】
(比較例2)
偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着しなかったこと以外は実施例4と同様にして、剥離装置1を用いて、偏光板33を、表面保護フィルム37及び粘着シート53と共に剥離し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0090】
(比較例3)
偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着しなかったこと以外は実施例2と同様にして、剥離装置1を用いて、偏光板33を、表面保護フィルム37と共に剥離し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【表1】
【0091】
表1に示すように、偏光板33の少なくとも2つの端縁34a、34bに沿うように、偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着することによって、偏光板33の裂けを抑制しつつ、基板31から偏光板33を良好に剥離し得ることがわかった。
偏光板33の4つの端縁34a〜34dに沿うように、偏光板33の上面33aに粘着テープ51を接着することによって、基板31から偏光板33をより良好に剥離し得ることがわかった。
偏光板33の粘着テープ51が沿うように接着される各端縁と、各端縁に対応する粘着テープ51の外側の端縁とが面一に位置していることによって、基板31から偏光板33をより良好に剥離し得ることがわかった。
また、偏光板33の粘着テープ51が沿うように接着される各端縁34a〜34dから、該各端縁34a〜34dに対応する粘着テープ51の外側の端縁が偏光板33の厚み未満の長さで突出していることによっても、基板31から偏光板33をより良好に剥離し得ることがわかった。
表面保護フィルム37の上面37aの全面に粘着シート53を接着することによって、基板31から偏光板33をより良好に剥離し得ることがわかった。
【0092】
実施例2のように表面保護フィルム37の上面37aに粘着シート53が接着されていない場合よりも、2つの端縁38a、38bに沿うように表面保護フィルム37の上面37aに粘着シート53が接着されている場合の方が、剥離用部材7に対する滑り性が良好であった。また、2つの端縁38a、38bに沿うように表面保護フィルム37の上面37aに粘着シート53が接着されている場合よりも、4つの端縁38a〜38dに沿うように表面保護フィルム37の上面37aに粘着シート53が接着されている場合、及び、表面保護フィルム37の上面37aの全面に粘着シート53が接着されている場合の方が、剥離用部材7に対する滑り性が良好であった。
【0093】
実施例4のように表面保護フィルム37の上面37aの全面に粘着シート53を接着する場合よりも、表面保護フィルム37の端縁に沿うように表面保護フィルム37の上面37aに粘着シート53を接着する方が、設備面、作業面で簡便であった。
【0094】
用いた偏光板33の端縁が粗い状態(微視的にギザギザになっている状態)であったため、実施例5のように偏光板33の端縁よりも内側に粘着テープ51を接着した場合よりも、実施例1〜4、6のように、偏光板33の粘着テープ51が沿うように接着される各端縁と、各端縁に対応する粘着テープ51の外側の端縁とが面一に位置するように粘着テープ51を接着した場合の方が、この粗い部分を粘着テープ51で補強できるため、裂けがより抑制された。
また、実施例6のように、偏光板33の粘着テープ51が沿うように接着される各端縁34a〜34dから、該各端縁34a〜34dに対応する粘着テープ51の外側の端縁が偏光板33の厚み未満の長さで突出している場合であっても、実施例1〜4と同様、偏光板33の端縁が粗い部分を粘着テープ51で補強できる。よって、実施例5よりも実施例6の方が、裂けがより抑制された。
【符号の説明】
【0095】
1:剥離装置、3:ステージ部材、5:剥離部材、7:剥離用部材、30:積層体、31:基板、31a:一方の面、33:偏光板、33a:上面、34a〜34d:端縁、35a〜35d:角部、37:表面保護フィルム、37a:上面、38a〜38d:端縁、39a〜39d:角部、51:粘着テープ、53:粘着シート
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