特許第6550416号(P6550416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550416
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】防虫具
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/20 20060101AFI20190711BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20190711BHJP
【FI】
   A01M1/20 U
   A01M29/12
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-45850(P2017-45850)
(22)【出願日】2017年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-148810(P2018-148810A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2018年11月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年1月11日〜13日ドギーマンハヤシ株式会社本社(大阪府大阪市東成区深江南1−16−14)にて開催されたドギーマンハヤシ「2017年春商談会(大阪会場)」において公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年1月18日〜20日ドギーマン東京ビル(東京都大田区南雪谷1−2−7)にて開催されたドギーマンハヤシ「2017年春商談会(東京会場)」において公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000111638
【氏名又は名称】ドギーマンハヤシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】角辻 智也
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−185252(JP,A)
【文献】 実開昭58−194685(JP,U)
【文献】 国際公開第00/24434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/12
A01M 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に渦巻き形状の溝(3)を形成した受け台(4)と、この受け台(4)の渦巻き溝(3)に虫忌避薬剤(5)を収納した防虫具であって、
前記受け台(4)は、渦巻き溝(3)と略相似形の渦巻き形状であって、虫忌避薬剤(5)を載置する渦巻き溝(3)の底の底壁(4A)と、この底壁(4A)上の渦巻き溝(3)の両側に立設する側壁(4B)とを有し、両側壁(4B)の高さを収納する虫忌避薬剤(5)の上面より高くしていることを特徴とする防虫具。
【請求項2】
前記受け台(4)の底壁(4A)に、渦巻き溝(3)を下方に開放する穴(6)を溝長手方向に間隔をおいて複数形成していることを特徴とする請求項1に記載の防虫具。
【請求項3】
前記受け台(4)は始端(4a)の下面に凹形状の取付部(8)を形成しており、この受け台(4)の取付部(8)を上部に連結する弾性支持体(9)と、この弾性支持体(9)の下部を連結して支持するスタンド(10)とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の防虫具。
【請求項4】
前記受け台(4)は終端(4b)に吊り下げ穴(11)を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防虫具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性虫忌避薬剤を用いた防虫具に関する。
【背景技術】
【0002】
着火使用する蚊取り線香に代わり、火を使わない揮発性虫忌避薬剤を用いた防虫具がある。
この種の防虫具として、特許文献1の薬剤蒸散器は、底壁と周壁を有して上方が開口した容器本体の内部に、同心状又は渦巻状に形成された多重の隔壁と、該隔壁間で形成される空間の深さが外周側から中心方向に向けて順次深くなる逆錐形状又は階段形状の内底壁部とにより構成されるゲル状又は固形状の薬剤の薬剤充填部が設けられている(請求項1)。
【0003】
また、特許文献2の害虫駆除用製品は、害虫を駆除する害虫駆除用製品であって、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる製品本体を備え、前記製品本体は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能である(請求項1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−185252号公報
【特許文献2】特開2007−306921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記前者従来技術は、薬剤を人手に触れさすことなく多量に収納しておけるが、容器本体は大型になり、薬剤の揮散性能を高くすることが困難になっている。
前記後者従来技術は、昆虫忌避剤が含有された樹脂自体で製品本体を作っているので、小型、軽量で揮散性能も高いが、人手に触れるものになっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした防虫具を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、虫忌避薬剤の高揮散を確保しながら人手にも触れさせずに収納しておける防虫具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、上面に渦巻き形状の溝3を形成した受け台4と、この受け台4の渦巻き溝3に虫忌避薬剤5を収納した防虫具であって、
前記受け台4は、渦巻き溝3と略相似形の渦巻き形状であって、虫忌避薬剤5を載置する渦巻き溝3の底の底壁4Aと、この底壁4A上の渦巻き溝3の両側に立設する側壁4Bとを有し、両側壁4Bの高さを収納する虫忌避薬剤5の上面より高くしていることを特徴とする。
【0008】
第2に、前記受け台4の底壁4Aに、渦巻き溝3を下方に開放する穴6を溝長手方向に間隔をおいて複数形成していることを特徴とする。
第3に、前記受け台4は始端4aの下面に凹形状の取付部8を形成しており、この受け台4の取付部8を上部に連結する弾性支持体9と、この弾性支持体9の下部を連結して支持するスタンド10とを有することを特徴とする。
【0009】
第4に、前記受け台4は終端4bに吊り下げ穴11を形成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、虫忌避薬剤の高揮散を確保しながら人手にも触れさせずに収納しておくことができる。
即ち、請求項1に係る発明は、虫忌避薬剤5を収納する受け台4は渦巻き溝3と略相似形の渦巻き形状であり、渦巻き溝3の底壁4Aから立設する両側の側壁4Bの高さを虫忌避薬剤5の上面より高くしているので、受け台4を極力小さくでき、虫忌避薬剤の高揮散を確保でき、かつ虫忌避薬剤5が人手に触れることを防止できる。
【0011】
請求項2に係る発明は、受け台4の底壁4Aに穴6を形成しているので、渦巻き溝3内の虫忌避薬剤5を下方にも揮散させることができる。
請求項3に係る発明は、受け台4は始端4aの取付部8を弾性支持体9の上部に連結し、この弾性支持体9をスタンド10に立設することにより、防虫具を床面等に載置することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、受け台4は終端4bに吊り下げ穴11を形成しているので、防虫具を壁、柱等に吊り具を介して吊り下げておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態を示す使用状態の斜視図である。
図2】同平面図である。
図3図2のX−X線断面図である。
図4】受け台の底面図である。
図5】受け台の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜4において、防虫具1は上面に渦巻き形状の溝3を形成した受け台4と、この受け台4の渦巻き溝3に収納された虫忌避薬剤5と、受け台4の底面に連結される弾性支持体9と、この弾性支持体9の下部を連結して支持するスタンド10とを有している。
虫忌避薬剤5は、薬剤入り渦巻きコースタ紙であって、メトフルトリン、レモングラス等のハーブ、天然植物精油、その他の揮発性のある虫が忌避する薬剤を紙に染みこませたものであり、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂に薬剤を混合させたものでもよく、また発泡性合成樹脂に薬剤を含浸させたものでもよい。
【0015】
この虫忌避薬剤5は薬剤の含浸量に応じて有効期間を種々設定したり、有効期間中に色を変化させたりすることができる。
前記虫忌避薬剤5は、平面視渦巻き形状であり、始端5aから終端5bまで径が次第に大きくなる螺旋形状であり、始端5a近傍から終端5bまで略同一幅に形成され、始端5aは前記幅より大きな直径の円形に形成されている。
【0016】
受け台4は有色又は無色の合成樹脂で平面視渦巻き形状に形成されており、その上面に虫忌避薬剤5と略相似形の平面視渦巻き形状の渦巻き溝3が形成され、その外形は渦巻き溝3及び虫忌避薬剤5と略相似形(一回り大きい略相似形)であり、渦巻き溝3の始端3aは虫忌避薬剤5の円形始端5aが適合嵌合するように円形の凹部となっている。
虫忌避薬剤5の始端5a及び渦巻き溝3の始端3aがその他の部分より若干大きめの円形になっていることにより、虫忌避薬剤5の始端5aを渦巻き溝3の始端に挿入するための案内になるとともに、渦巻き溝3内で虫忌避薬剤5の始端5aがずれ動くのを規制できる。
【0017】
受け台4は、前記渦巻き溝3を底壁4Aと左右側壁4Bとで形成している。底壁4Aは虫忌避薬剤5を載置する渦巻き溝3の底であり、左右側壁4Bは渦巻き溝3の両側に立設されている。
前記左右側壁4Bは底壁4Aよりもさらに下方に突出しており、受け台4の断面形状は略H型になっている。受け台4は底壁4Aとそれより上の左右側壁4Bとで断面略コ字形状に形成してもよいが、前記断面略H型に形成する方が、上下方向及び水平方向の力に対して耐久性が向上される。
【0018】
前記左右側壁4Bの底壁4Aからの高さは、収納される虫忌避薬剤5の上下高さより高くなっている。即ち、渦巻き溝3の深さは虫忌避薬剤5の肉厚より大であり、虫忌避薬剤5が渦巻き溝3の底に収納されていると、人手が側壁4Bの上面に触れても、虫忌避薬剤5の上面とは接しないように構成されている。
前記受け台4の底壁4Aには、渦巻き溝3を下方に開放する穴6が溝長手方向に間隔をおいて多数形成されている。この穴6は虫忌避薬剤5の下面の一部を空気に触れさせる役目をすることができる。穴6は円形穴を底壁4Aに溝長手方向に密に配列されているが、広い間隔で粗に配列したり、長穴に形成したりしてもよい。
【0019】
受け台4は始端4a側が渦巻き溝3の略中心で大径の略円形部分となっており、この略円形部分の下面側に円形凹形状の取付部8が形成されている。
前記取付部8は受け台4の略重心位置に形成されており、弾性支持体9の上部が連結される。弾性支持体9はスプリングコイル、弾性を有する合成樹脂等で形成され、その下部はスタンド10と連結される。
【0020】
前記弾性支持体9及びスタンド10は、受け台4を床上等に平置き載置しておくものであり、組立て・分解をすることが可能になっている。
前記受け台4の終端4bは自由端であり、その端部には円形の吊り下げ穴11が形成されている。この吊り下げ穴11は、紐、鉤金具等の吊り具を通すことでき、受け台4を壁、柱等に吊り下げることができる。
【0021】
防虫具1は、床上にスタンド10を置き、このスタンド10に弾性支持体9を立設し、弾性支持体9の上端に受け台4の略中心の取付部8を嵌合することにより、平置き状態に組立てられかつ使用可能になる。
平置き使用状態では、受け台4は重心付近で弾性支持体9によって支持されているので、受け台4は始端4aから終端4b側へ重力によって下がり、側面視円錐形状の螺旋形状となり、弾性支持体9がスプリングネックとなり、風や人手で触れて揺れ動くことになる。そして、受け台4内の虫忌避薬剤5は、揺れながら防虫成分、忌避成分を揮散することになる。
【0022】
図5において受け台の変形例を示している。受け台4は、前記実施形態と同様に、有色又は無色の合成樹脂で平面視渦巻き形状に形成され、その上面に渦巻き形状の溝3を形成しているが、内周側の螺旋と外周側の螺旋とが周方向複数本の架橋部Kによって連結されている。
前記架橋部Kは、受け台4の略重心位置に形成される取付部8を中心にして放射方向に延びており、受け台4の周方向で120度間隔に配置されており、90度、180度間隔であってもよい。
【0023】
この架橋部Kは、受け台4の始端4aから終端4bまでの保形剛性を高くすることができ、平置き使用状態で弾性支持体9によって支持されたときに、受け台4の終端4b側が重力によって下がり過ぎるのを防止できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
【0024】
例えば、渦巻き溝3、受け台4及び虫忌避薬剤5は、平面形状が円形の螺旋形状の代わりに、平面形状が四角又は三角等の角形の螺旋形状にして、平置き使用状態で角錐形状になるようにしてもよい。
受け台4は始端4a側の重心位置に取付部として切り溝を形成して、火を使う蚊取り線香用の線香立てに装着しておけるようにしてもよい。
【0025】
受け台4は合成樹脂に安息香酸デナトニウム等の苦み成分を配合しておいて、ペット動物が噛みつき難くしておいてもよく、また、合成樹脂の代わりに紙材を使用することも可能である。
虫忌避薬剤5は断面四角形であるが、上下面に凹凸を形成して揮散表面積を大きくしておいてもよく、また、揮散が終了した後、新たな虫忌避薬剤5を受け台4に収納してもよい。
【0026】
虫忌避薬剤5は殺虫剤等の害虫駆除成分を含有していてもよく、ゲル状又は固形状にしたものを渦巻き溝3に充填してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 防虫具
3 渦巻き溝
3a 渦巻き溝の始端
4 受け台
4A 底壁
4B 側壁
4a 受け台の始端
4b 受け台の終端
5 虫忌避薬剤
5a 虫忌避薬剤の始端
5b 虫忌避薬剤の終端
6 穴
8 取付部
9 弾性支持体
10 スタンド
11 吊り下げ穴
図1
図2
図3
図4
図5