(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550480
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】使い捨て検査キットの使用から検査データを収集するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20190711BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
G01N35/00 E
G01N33/48 T
G01N33/48 Z
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-567189(P2017-567189)
(86)(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公表番号】特表2018-525613(P2018-525613A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】SG2015050185
(87)【国際公開番号】WO2017003368
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】515317190
【氏名又は名称】セル アイディー ピーティーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CELL ID PTE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム、ライ ホック
【審査官】
永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/008094(WO,A1)
【文献】
特開2012−103150(JP,A)
【文献】
特開2012−68155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00
G01N 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て検査キットの使用から検査データを収集する方法であって、
a)コードリーダが、該使い捨て検査キットに設けられた一意の検査識別子を走査するステップと、
b)識別モジュールが、該走査された一意の検査識別子から、該使い捨て検査キットによって行われる検査のタイプを識別するステップと、
c)該コードリーダが患者識別子を走査するステップと、
d)該識別モジュールが、該走査された患者識別子から、該使い捨て検査キットを使用した患者を識別するステップと、
e)表示および選択モジュールが、表示スクリーン上に、該識別された検査に関連付けられた全ての取り得る弁別的結果の各々を選択可能なオプションとして自動的に表示するステップと、
f)ユーザが、検査データとして収集するために、該表示された全ての取り得る弁別的結果のうちの1つを選択するステップと、
g)関連付けモジュールが、該検査データを該患者と自動的に関連付けるステップと、
h)該ユーザがデータストアラへの該検査データの記憶を起動するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
ステップf)における前記選択することは、前記ユーザによって選択される前記表示された全ての取り得る弁別的結果のうちの1つが、前記患者による前記使い捨て検査キットの使用から生じる前記検査の実際の結果に対応するようになっている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
i)前記使い捨て検査キットにおける前記検査の前記実際の結果の写真を撮るステップと、
j)前記写真を前記検査データと自動的に関連付けるステップと、
k)前記写真を前記データストアラに記憶するステップと
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
l)アラートモジュールが、前記患者に、前記検査データに基づいて所定のアクションを行うように自動的に促すステップを更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップl)における前記自動的に促すことは、前記アラートモジュールが、前記検査データを、以前に収集された検査データと比較し、該比較の結果に従って所定のアクションのデータベースから前記所定のアクションを選択することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記一意の検査識別子は、前記検査のタイプが記憶された情報を有するQRコード(登録商標)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記データストアラは、加入サービスを介してヘルスケア組織がアクセス可能であるようにされたサーバ上のデータベースである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
全ての取り得る弁別的結果の各々が、前記使い捨て検査キットの使用から生じる取り得る弁別的結果ごとに前記患者が前記使い捨て検査キットにおいて見るものに対応する画像として表示される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップf)の後かつステップh)の前に、前記検査結果に対応する弁別的検査結果を前記表示スクリーン上に自動的に表示することを更に含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
使い捨て検査キットの使用から検査データを収集するための装置であって、
該使い捨て検査キットに設けられた一意の検査識別子を走査するように構成され、患者識別子を走査するように更に構成されたコードリーダと、
該走査された一意の検査識別子から、該使い捨て検査キットによって行われる検査のタイプを識別するように構成され、該走査された患者識別子から、該使い捨て検査キットを使用した患者を識別するように更に構成された識別モジュールと、
表示スクリーンと、
該表示スクリーン上に、該識別された検査に関連付けられた全ての取り得る弁別的結果の各々をユーザによる選択のために選択可能なオプションとして自動的に表示し、該表示された全ての取り得る弁別的結果のうちの選択されたもののみが検査データとして収集されるようにするように構成された表示および選択モジュールと、
該検査データを該患者と自動的に関連付けるように構成された関連付けモジュールと、
該ユーザによって起動されると、前記検査データを自動的に記憶するように構成されたデータストアラと
を備える、装置。
【請求項11】
前記使い捨て検査キットにおける前記検査の実際の結果の写真を撮るように構成されたカメラを更に備え、前記関連付けモジュールは、前記写真を前記検査データと自動的に関連付けるように更に構成され、前記データストアラは、前記写真を前記データストアラに自動的に記憶するように更に構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記識別された患者に、前記検査データに基づいて所定のアクションを行うように自動的に促すように構成されたアラートモジュールを更に備える、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記アラートモジュールは、前記検査データを、以前に収集された検査データと比較し、該比較の異なる結果に従って所定のアクションのデータベースから前記所定のアクションを選択するように更に構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記一意の検査識別子は、前記検査のタイプが記憶された情報を有するQRコード(登録商標)を含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記データストアラは、加入サービスを介してヘルスケア組織がアクセス可能であるようにされたサーバ上のデータベースである、請求項10〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
全ての取り得る弁別的結果の各々が、前記使い捨て検査キットの使用から生じる取り得る弁別的結果ごとに前記患者が前記使い捨て検査キットにおいて見るものに対応する画像として表示される、請求項10〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記表示および選択モジュールは、前記検査データに対応する弁別的検査結果を前記表示スクリーン上に自動的に表示するように更に構成される、請求項10〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
有形コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータプログラムであって、プロセッサによって実行されると、該プロセッサに、請求項1に記載の、前記ユーザによって実行されていないステップを実行させるコンピュータ可読コードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項19】
有形コンピュータ可読媒体および請求項18に記載のコンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータプログラムは前記有形コンピュータ可読媒体に記憶される、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て検査キットの使用から検査のデータを収集するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿または血液等の体液を検体として用いて、病気または他の医学的状態を検出または診断する、家庭用妊娠検査キットまたは実験用検査キット等の使い捨て検査キットは、世界中で一般的に用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
患者の医学的状態を監視するために、および/または統計データの収集等の他の目的のために、そのような使い捨て検査キットの使用から検査データを収集することが必要である。
しかし、患者を患者の収集された個々の検査データと紐付ける際に混同が生じることが知られており、ヘルスケア組織および患者にとって一様に、収集された大量の検査データを記憶し組織化するタスクは、可能な限り単純に行われ、合理化されることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、使い捨て検査キットの使用から検査データを収集する方法であって、コードリーダが、使い捨て検査キットに設けられた一意の検査識別子を走査するステップと、識別モジュールが、走査された一意の検査識別子から、使い捨て検査キットによって行われる検査のタイプを識別するステップと、コードリーダが患者識別子を走査するステップと、識別モジュールが、走査された患者識別子から、使い捨て検査キットを使用した患者を識別するステップと、表示および選択モジュールが、表示スクリーン上に、識別された検査に関連付けられた全ての取り得る弁別的結果の各々を選択可能なオプションとして自動的に表示するステップと、ユーザが、検査データとして収集するために、表示された全ての取り得る弁別的結果のうちの1つを選択するステップと、関連付けモジュールが、検査データを患者と自動的に関連付けるステップと、ユーザがデータストアラ(data storer)への検査データの記憶を起動するステップとを含む、方法が提供される。
【0005】
検査データとして収集するために、表示された全ての取り得る弁別的結果のうちの1つを選択することは、ユーザによって選択される表示された全ての取り得る弁別的結果のうちの1つが、患者による使い捨て検査キットの使用から生じる検査の実際の結果に対応するようにすることができる。
【0006】
本方法は、使い捨て検査キットにおける検査の実際の結果の写真を撮るステップと、写真を検査データと自動的に関連付けるステップと、写真をデータストアラに記憶するステップとを更に含むことができる。
【0007】
本方法は、アラートモジュールが、患者に、検査データに基づいて所定のアクションを行うように自動的に促すステップを更に含むことができる。
【0008】
患者に、検査データに基づいて所定のアクションを行うように自動的に促すことは、アラートモジュールが、検査データを、以前に収集された検査データと比較し、比較の結果に従って所定のアクションのデータベースから所定のアクションを選択することを含むことができる。
【0009】
一意の検査識別子は、検査のタイプが記憶された情報を有するQRコード(登録商標)を含むことができる。
【0010】
データストアラは、加入サービスを介してヘルスケア組織がアクセス可能であるようにされたサーバ上のデータベースとすることができる。
【0011】
全ての取り得る弁別的結果の各々は、使い捨て検査キットの使用から生じる取り得る弁別的結果ごとに患者が使い捨て検査キットにおいて見るものに対応する画像として表示することができる。
【0012】
本方法は、ユーザが検査データとして収集するために、表示された全ての取り得る弁別的結果のうちの1つを選択した後、かつユーザがデータストアラへの検査データの記憶を起動する前に、検査結果に対応する弁別的検査結果を表示スクリーン上に自動的に表示することを更に含むことができる。
【0013】
第2の態様によれば、使い捨て検査キットの使用から検査データを収集するための装置であって、使い捨て検査キットに設けられた一意の検査識別子を走査するように構成され、患者識別子を走査するように更に構成されたコードリーダと、走査された一意の検査識別子から、使い捨て検査キットによって行われる検査のタイプを識別するように構成され、走査された識別子から、使い捨て検査キットを使用した患者を識別するように更に構成された識別モジュールと、表示スクリーンと、表示スクリーン上に、識別された検査に関連付けられた全ての取り得る弁別的結果の各々をユーザによる選択のために選択可能なオプションとして自動的に表示し、表示された全ての取り得る弁別的結果のうちの選択されたもののみが検査データとして収集されるようにするように構成された表示および選択モジュールと、検査データを患者と自動的に関連付けるように構成された関連付けモジュールと、ユーザによって起動されると、検査データを自動的に記憶するように構成されたデータストアラとを備える、装置が提供される。
【0014】
本装置は、使い捨て検査キットにおける検査の実際の結果の写真を撮るように構成されたカメラを更に備えることができ、関連付けモジュールは、写真を検査データと自動的に関連付けるように更に構成され、データストアラは、写真をデータストアラに自動的に記憶するように更に構成される。
【0015】
本装置は、識別された患者に、検査データに基づいて所定のアクションを行うように自動的に促すように構成されたアラートモジュールを更に備えることができる。
【0016】
アラートモジュールは、検査データを、以前に収集された検査データと比較し、比較の異なる結果に従って所定のアクションのデータベースから所定のアクションを選択するように更に構成することができる。
【0017】
一意の検査識別子は、検査のタイプが記憶された情報を有するQRコード(登録商標)を更に含むことができる。
【0018】
データストアラは、加入サービスを介してヘルスケア組織がアクセス可能であるようにされたサーバ上のデータベースとすることができる。
【0019】
全ての取り得る弁別的結果の各々は、使い捨て検査キットの使用から生じる取り得る弁別的結果ごとに患者が使い捨て検査キットにおいて見るものに対応する画像として表示することができる。
【0020】
表示および選択モジュールは、検査データに対応する弁別的検査結果を表示スクリーン上に自動的に表示するように更に構成することができる。
【0021】
第3の態様によれば、有形コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータプログラムであって、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、第1の態様の方法の、ユーザによって実行されていないステップを実行させるコンピュータ可読コードを含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0022】
第4の態様によれば、有形コンピュータ可読媒体および第3の態様によるコンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムは有形コンピュータ可読媒体に記憶される、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0023】
本発明を完全に理解し、実際に容易に実施することができるように、ここで、非限定的な例としてのみ、本発明の典型的な実施形態を説明する。説明は、添付の例示的な図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】使い捨て検査キットから検査データを収集するための装置の例示的な構造図である。
【
図2】装置および方法の使用中の全ての可能な検査結果の例示的な表示の概略図である。
【
図3】使い捨て検査キットから検査データを収集する例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
使い捨て検査キットから検査データを収集するための方法100および装置10の例示的な実施形態が、
図1〜
図3を参照して以下で説明される。
図1〜
図3において、同じ参照符号は、同じまたは類似の部分を指すのに用いられる。
【0026】
図1に示すように、使い捨て検査キット80の使用から検査データを収集するための装置10は、使い捨て検査キット80上に設けられた一意の検査識別子を走査し、患者識別子90を走査するように構成されたコードリーダ20を備える。好ましい実施形態では、一意の検査識別子82はQRコード(登録商標)の形態をとるのに対し、患者識別子90は、患者のIDカードまたは臨床記録上に設けることができるバーコードである。
【0027】
装置10は、走査された一意の検査識別子82から、使い捨て検査キット80によって行われる検査のタイプを識別し、走査された患者識別子90から、使い捨て検査キット80を用いた患者を識別するように構成された識別モジュール30も備え、この患者から、使い捨て検査キット80によって行われる検査を進めるために体液の検体が取得される。使い捨て検査キット80によって行われる検査は、使い捨て検査キット80において提供される検査紙またはラテラルフロー検査ストリップを用いて流体検体を解析することによって実行される免疫学的測定法である。
【0028】
現時点では、様々な医学的状態について検査するか、または病気を検出もしくは診断するために、様々なタイプの免疫学的測定法が利用可能である。使い捨て検査キットを用いて行うことができる様々なタイプの検査の例は、妊娠検査、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)検査、尿検査、マラリア検査、デング検査、レプトスピラ検査、腸チフス検査等を含む。明らかに、各検査は独自の特定の取り得る弁別的結果を有する。例えば、妊娠検査において、4つの取り得る弁別的結果、すなわち、「コントロール」位置における使い捨て検査キット80の結果窓84に示される1つのみの可視線によって示される陰性結果、結果窓84に示される2つの可視線によって示される陽性結果、ならびに2つの無効な結果、すなわち、「コントロール」位置に可視線がなく、「検査」位置に可視線があることによって示される第1の無効な結果、および「コントロール」位置に可視線がなく、「検査」位置に可視線がないことによって示される第2の無効な結果が存在し得る。「検査」位置は、検査を表す「T」によってマーク付けすることができ、「コントロール」位置は、結果窓84におけるコントロールを表す「C」によってマーク付けすることができる。
【0029】
装置10は、表示スクリーン40と、表示スクリーン40上に、識別された検査に関連付けられた全ての取り得る弁別的結果の各々を、ユーザによる選択のための選択可能なオプションとして自動的に表示するように構成された表示および選択モジュール50を更に備える。これは、
図2に示すように、スクリーン上に、取り得る弁別的結果51、52、53、54の各々を、その独自のオプションボタン51b、52b、53b、54bと共に表示することによって達成することができる。各オプションボタン51b、52b、53b、54bは、表示スクリーンがタッチスクリーンである場合にそのオプションボタンをタッチすることによって、または表示スクリーンがマウス入力を有するコンピュータデバイスに接続されている場合に、マウスを用いてオプションボタン上をクリックすることによって選択することができる。代替的に、取り得る弁別的結果の各々を、いかなるオプションボタンも必要とすることなくそれ自体選択可能なアイテムとして表示することもでき、それによって、選択は、取り得る弁別的結果のうちの1つを直接タッチするかまたはマウスでクリックすることによって行われる。
【0030】
好ましい実施形態では、取り得る弁別的結果の各々が、使い捨て検査キット80の使用により生じるその特定の結果について、使い捨て検査キット80の患者が結果窓において見ることになるものに対応する結果窓の画像として表示される。例えば、使い捨て検査キットが、4つの取り得る弁別的結果を有する妊娠検査である場合、4つ全ての取り得る弁別的結果は、陰性結果51の場合に「コントロール」位置に1つの可視線を示す結果窓84の第1の画像、陽性結果52の場合に2つの可視線を示す結果窓の第2の画像、第1の無効な結果の場合に、「検査」位置に1つの可視線を示すが、「コントロール」位置53に可視線を示さない結果窓の第3の画像、および、第2の無効な結果54の場合に可視線を示さない結果窓の第4の画像として表示される。このようにして、ユーザは多肢選択式の評価を提示され、ここでユーザは、患者によって使い捨て検査キットが使用された後に使い捨て検査キット上で可視となる検査の実際の結果に視覚的に合致するオプションを選択することができる。
【0031】
装置10は、表示された取り得る弁別的結果のうちの選択された1つのみが検査データとして収集されるように構成される。
【0032】
好ましい実施形態では、表示および選択モジュール50は、ユーザが取り得る弁別的結果のうちの1つを選択した後に、検査データに対応する弁別的検査結果を表示スクリーン40上に自動的に表示するように更に構成される。このようにして、ユーザは、使い捨て検査キット80上で可視の検査の結果を知的に解釈する必要はなく、使い捨て検査キット上に見えるものに合致する、表示スクリーン上に表示される画像を選択するのみでよく、弁別的検査結果が自動的に表示される。使い捨て検査キット80が妊娠検査キットである例を続けると、ユーザが
図2に示されるような第2の画像52を選択すると、「妊娠陽性」等の結果が表示スクリーン上に表示される。この機能を容易にするために、検査の取り得る弁別的結果に対応することが知られている弁別的検査結果が、表示および選択モジュール50がアクセス可能なライブラリに記憶される。
【0033】
装置10は、検査データを識別された患者と自動的に関連付けるように構成された関連付けモジュール60を更に備える。このようにして、検査データは、特定の患者ごとに記憶することができ、患者および検査結果間の混同を解消することができる。
【0034】
装置10は、ユーザによって起動されると、データストアラ70に検査データを自動的に記憶するように構成されたデータストアラ70も備える。データストアラ70は、スマートフォンまたはコンピュータのハードディスク等のコンピュータデバイスの内部メモリ、SDカードまたはフラッシュメモリデバイス等の外部ストレージデバイス、クラウドコンピューティングストレージ、サーバ上のデータベース等のうちの1つ以上とすることができる。更に、データストアラ70内の検査データは、加入サービスを介してヘルスケア組織がアクセス可能となるように構成することができる。検査されたデータのデータストアラ70への記憶は、ユーザによって、例えば、取り得る弁別的結果のうちの1つを選択した後に表示スクリーン上に表示される「保存」アイコンをタッチまたはクリックすることにより起動されるように構成される。
【0035】
任意選択で、装置10は、使い捨て検査キット80上の実際の検査結果の写真を撮るように構成されたカメラ72を更に備えることができる。そのような実施形態では、関連付けモジュール60は、写真を検査データと自動的に関連付けるように更に構成され、データストアラ70は、写真を自動的に記憶するように更に構成される。写真は、検査データが、使い捨て検査キット80上の検査の実際の結果に対応することをチェックするための証拠およびバックアップとして機能することが意図される。
【0036】
装置10は、検査データに基づいて所定の動作を行うように患者に自動的に促すように構成されたアラートモジュール55を更に備えることもできる。例えば、検査のタイプが血糖値検査である事例において、検査データが、血糖値が所定のレベルを超えていることを示す場合、アラートモジュールは、患者が医者にかかることを促すことができる。患者を促すことは、患者にsmsまたは電子メールを送信することによって、または適切なメッセージを表示スクリーン上に表示することによって行うことができる。更に、アラートモジュール55は、検査データを以前に収集された検査データと比較し、異なる比較結果に従って、所定のアクションのデータベースから所定のアクションを選択するように更に構成することができる。これは、検査データと以前に収集された検査データとの間の変化の異なる大きさにより、異なるアクションが取られることが必要となる検査の場合に構想される。例えば、装置10が、HBA1c(平均血漿グルコース濃度を特定する糖化ヘモグロビン(A1c)を指す)グルコース監視デバイスとして構成される場合、収集される検査データは、ユーザが最新の検査結果を保存するたびに捕捉される。収集された最新の検査データが、以前に収集されたデータと比較して所定の差を超えている場合、患者は、差の大きさに従って所定の適切なアクションを取るように促される。
【0037】
装置10の1つの実施形態は、(
図2に既に示したように)スマートフォンの形態をとり、コードリーダ20は、スマートフォンに設けられるカメラを利用するアプリケーションとして設けられ、表示スクリーン40はスマートフォンの表示スクリーンである。識別モジュール30、表示および選択モジュール50、関連付けモジュール60およびアラートモジュール55(任意選択)は、スマートフォンのオペレーティングシステムと共に機能するように構成されたアプリケーションにおいて設けられる。データストアラ70は、スマートフォンの内部メモリ、およびクラウドコンピューティングを介してアクセスされるサーバ上のデータベースを含むことができる。スマートフォンの実施形態は、ユーザおよび使い捨て検査キットを用いる患者が同じ人物であることが予期されるか、またはユーザが患者の介護者であるポイントオブケアの使用に特に適している。
【0038】
装置10の代替的な実施形態はコンピュータ(図示せず)の形態をとり、ここで、コードリーダ20はハンドヘルドまたは固定のレーザバーコードスキャナーとして設けられ、表示スクリーン40はコンピュータのモニタである。識別モジュール30、表示および選択モジュール50、関連付けモジュール60およびアラートモジュール55(任意選択)は、コンピュータのオペレーティングシステムと協働するように構成されたソフトウェアアプリケーションとして設けられる。データストアラ70は、コンピュータの内部ハードディスク、およびコンピュータが接続されるネットワークサーバ上のデータベースを含むことができる。コンピュータの実施形態は、ユーザが、各々が一意の使い捨て検査キットを用いる複数の患者からの検査データの収集を容易にする組織のスタッフメンバーである組織的使用に特に適している。
【0039】
ここで、使い捨て検査キットの使用から検査データを収集する方法100が
図3を参照して説明される。方法100において、コードリーダ20は、使い捨て検査キット80に設けられた一意の検査識別子82を走査する(101)のに用いられ、この走査から、識別モジュール30は、使い捨て検査キットによって行われる検査のタイプを識別する(102)。コードリーダ20は、患者識別子90を走査する(103)のにも用いられ、患者識別子90から、識別モジュール30は、使い捨て検査キットを使用した患者を識別する(104)。次に、表示および選択モジュール50は、識別された検査に関連付けられた全ての取り得る個別的結果の各々を、選択可能なオプションとして表示スクリーン40上に自動的に表示する(105)。ユーザは、表示された結果のうちの1つを、収集のために検査データとして選択する(106)。選択するステップ(106)は、ユーザによって選択された結果が、患者による使い捨て検査結果の使用から生じる検査の実際の結果に対応するようにするべきである。次に、関連付けモジュール60は、検査データを患者と自動的に関連付け(107)、ユーザは、最終的に、データストアラ70への検査データの記憶を起動する(108)。
【0040】
方法(100)は、任意選択で、使い捨て検査キットにおける検査の実際の結果の写真を撮ることと、写真を検査データと自動的に関連付けることと、写真をデータストアラに記憶することとを更に含むことができる。写真を記憶することは、ユーザにより起動されてもよく、または自動的に行われてもよい。
【0041】
検査データに依拠して、方法は更に、患者に、検査データに基づいて所定のアクションを行うように自動的に促すことができる。これは、電子メッセージを患者に送信することを含むことができる。自動的に促すことは、検査データを以前に収集された検査データと比較することと、比較結果に従って、所定のアクションのデータベースから所定のアクションを選択することとを含むことができる。
【0042】
このため、装置10および方法100は、ユーザが使い捨て検査キット80上に見えるものを知的に解釈することを必要とすることなく検査データが収集されることを可能にする。ユーザは、検査結果が意味することを解釈する必要なく、ユーザが使い捨て検査キット80上に見えるものを装置10に入力するのみでよい。解釈は、特定の検査結果に相関することが予め定められた入力検査結果に従って装置10によって行われる。これにより、ヒューマンエラーの1つの可能性のある原因が低減する。同時に、装置10および方法100は、装置10を用いて使い捨て検査キット80によって示される検査結果を自動的に読み取ることに依存しない。なぜなら、ユーザが使い捨て検査キット80上に見えるものに従って、装置10によって表示される取り得る弁別的結果のうちの1つを選択するのは、ユーザであるためである。このため、方法100および装置10は、人間および機械のエラーの可能性を低減しながら、人間および機械の能力の強みを組み合わせる。
【0043】
上記の説明において、本発明の例示的な実施形態が説明されたが、関連技術の当業者には、本発明から逸脱することなく、設計、構造および/または動作の詳細における多くの変形が行われ得ることが理解されるであろう。