特許第6550481号(P6550481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550481
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】プレス機械及びプレス加工方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/26 20060101AFI20190711BHJP
   B30B 15/06 20060101ALI20190711BHJP
   B30B 15/14 20060101ALI20190711BHJP
   B21D 28/20 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   B30B1/26 D
   B30B1/26 B
   B30B15/06 G
   B30B15/14 F
   B21D28/20
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-2471(P2018-2471)
(22)【出願日】2018年1月11日
(65)【公開番号】特開2019-118952(P2019-118952A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2019年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】河本 圭司
【審査官】 飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−024729(JP,A)
【文献】 特開2003−340599(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007012638(DE,A1)
【文献】 特開2004−122172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/26
B21D 28/20
B30B 15/06
B30B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏心軸の回転によってラムが上下動されるプレス機械であって、前記ラムの下部に備えたストライカハウジングに、ストライカを上下動可能に備え、前記ストライカを、上昇位置及び下降位置に固定自在に備えていることを特徴とするプレス機械。
【請求項2】
請求項1に記載のプレス機械において、前記ラムの下面と前記ストライカの上面との間へ対向する両側から出入自在な一対の受圧プレートを備えていることを特徴とするプレス機械。
【請求項3】
請求項2に記載のプレス機械において、前記受圧プレートの出入動作と前記ストライカハウジングに対するストライカの上下動とを連動するための連動機構を備えていることを特徴とするプレス機械。
【請求項4】
請求項3に記載のプレス機械において、前記連動機は、前記ストライカに備えた上下方向の長孔内をストライカの径方向に往復動自在に貫通した作動ロッドと、この作動ロッドを往復動するためのアクチュエータと、前記ラムの下面とストライカの上面との間へ対向する両側から一対の受圧プレートを出入するために、一対の受圧プレートに一端側を枢支連結したクロスリンクと、一端が前記ストライカに固定されると共に他端が前記クロスリンクに枢支連結されたヒンジピンと、前記作動ロッドの往復動を前記クロスリンクに伝達するための伝達リンクと、を備えていることを特徴とするプレス機械。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のプレス機械によるプレス加工方法であって、前記偏心軸の回転位置が90°付近又は270°付近において前記偏心軸を、予め設定した角度範囲において正回転、逆回転を繰り返して、前記ラムの上下動を繰り返し、このラムの上下動によってプレス機械に備えたパンチの打圧を繰り返すことを特徴とするプレス加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏心軸(クランク軸)の回転によってラムが上下動されるプレス機械及びこのプレス機械によるプレス加工方法に関する。さらに詳細には、偏心軸の回転角が90°付近又は270°付近においてプレス加工を高速に行うことができるプレス機械及びプレス加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械は、偏心軸(クランク軸)が回転すると、ラムが上死点位置から下死点位置へ下降し、その後に、下死点位置から上死点位置へ上昇復帰される構成である。そして、上型としてのパンチと、下型としてのダイとによって、板状のワークの、例えば打抜き加工等のプレス加工を行う場合、偏心軸の回転角は90°〜180°範囲(逆回転の場合は270°〜180°の範囲)が一般的である(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3802513号公報
【特許文献2】特開2007−185667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1,2に記載の構成は、偏心軸を回転するための駆動源としてサーボモータを使用して、偏心軸を正回転、逆回転することが記載されている。そして、特許文献1においての図4及びその対応本文には、偏心軸を約40°〜60°程度の回転角でもって正逆回転を繰り返して、ラムを上下動することが記載されている。
【0005】
上記構成によれば、ラムを上下動する際に、偏心軸を一方向の回転による(上死点から下死点を通過して上死点に戻る360°の回転)一回転をすることなく、所定の角度範囲で往復回動すればよいものである。したがって、ラムの上下動の高速化が可能なものである。
【0006】
ところで、特許文献1,2に記載の構成においては、偏心軸の回転角が90°〜180°の範囲、或は180°〜270°の範囲において偏心軸を正逆回転することによってラムの上下動を行っている。したがって、例えば偏心軸の回転角が180°付近の所定の角度θでもって正逆回転する際のラムの上下ストローク長は、偏心軸の回転角が90°(270°)付近の位置において同じ所定の角度θで、正逆回転する場合の上下ストローク長よりも小さくなる。
【0007】
換言すれば、ラムの上下方向のストローク長が一定の場合には、偏心軸の回転角が90°(270°)付近の場合には、回転角をより小さくでき、高速化を図れることになる。しかし、この場合、ラムが上下動するストローク位置はより高くなり、場合によっては、打抜き加工が不可能になることがある。
【0008】
本発明は、上述のごとき問題に鑑みてなされたもので、偏心軸の往復回動が、偏心軸の90°付近を中心として、又は270°付近を中心として行われる場合であっても、プレス加工を行うことができるプレス機械を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、偏心軸の回転によってラムが上下動されるプレス機械であって、前記ラムの下部に備えたストライカハウジングに、ストライカを上下動可能に備え、前記ストライカを、上昇位置及び下降位置に固定自在に備えていることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記プレス機械によるプレス加工方法であって、前記偏心軸の回転位置が90°付近又は270°付近において前記偏心軸を、予め設定した角度範囲において正回転、逆回転を繰り返して、前記ラムの上下動を繰り返し、このラムの上下動によってプレス機械に備えたパンチの打圧を繰り返すことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、偏心軸の回転によって上下動されるラムに、このラムに対して上下動可能なストライカを備えている。そして、ストライカは上昇位置及び下降位置に固定自在に備えられている。
【0012】
したがって、偏心軸の回転角が90°〜180°の範囲の場合である一般的な場合や、回転角が90°付近、270°付近の場合であっても対応可能なものである。よって、より高速なプレス加工が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】プレス機械における偏心軸の回転角が異なる位置でのラムの上下ストロークが異なることの説明図である。
図2】ラムに備えたストライカハウジングに対してストライカを上下動するための構成を示す説明図である。
図3】ラムに備えたストライカハウジングに対してストライカを上下動するための構成を示す説明図である。
図4】ストライカハウジングに対してストライカを上下動可能な構成を示す正断面説明図である。
図5】ストライカハウジングに対してストライカを上下動可能な構成を示す正断面説明図である。
図6】ストライカハウジングに対してストライカを上下動可能な構成を示す平断面説明図である。
図7】斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
プレス機械において、駆動源としてのサーボモータによって偏心軸(クランク軸)を回転する構成は、例えば、前記特許文献1,2に記載されているように、既によく知られている。サーボモータを駆動源としたプレス機械においては、偏心軸の回転制御を行うことができる。したがって、前記特許文献1の図4に記載されているように、所望範囲において、偏心軸を往復回動することができる。よって、偏心軸の回転角0°の位置を上死点とし、回転角180°の位置を下死点として、特許文献1の図4(b)、(c)に記載されているように、偏心軸の回転角が90°〜180°の範囲内、180°〜270°の範囲内において偏心軸の正回転、逆回転すなわち正逆回転を繰り返すことが行われている。
【0015】
上記構成によれば、偏心軸を360°回転することがないので、より高速のプレス加工、例えば打抜き加工が可能である。
【0016】
ところで、プレス機械(図示省略)に備えた上下動自在なラム1と偏心軸(図示省略)の回転角との関係を概略的に示すと、図1に示すごとき関係になる。すなわち、偏心軸の回転角が180°の近傍範囲内において、前記ラム1に備えたストライカ3でもって、プレス機械に備えた上型としてのパンチ5を打圧して、板状のワークWの打抜き加工を行うストロークSを得るには、偏心軸の回転角はθ1となる。
【0017】
しかし、図1に示すように、偏心軸の回転角が90°付近(90°の位置を含んだ範囲)においては、前記ストロークSを得るには、偏心軸の回転角はθ2となる。ここで、回転角θ1と回転角θ2とを比較すると、θ1>θ2となる。したがって、偏心軸を往復回転(正逆回転)してラム1の上下動をより高速に繰り返して、作業能率向上を図るには、偏心軸の回転角が90°付近又は270°付近において正逆回転を行うことが望ましいものである。
【0018】
ところが、偏心軸の回転角が90°付近においては、図1に概略的に示すように、ラム1の上下動を高位置において上下動することとなる。したがって、パンチ5を打圧するには、ラム1に備えたストライカ3の寸法がLだけ不足することになる。また、偏心軸の回転角が90°付近又は270°付近においての、ストライカ3の打圧力は小さくなる。したがって、打抜き可能なワークWの板厚は薄くなる。
【0019】
したがって、ストライカ3としては、偏心軸の回転角が90°〜180°又は180°〜270°の範囲の場合、回転角が90°付近又は270°付近の場合の両方に対応することが望まれるものである。そこで、本実施形態においては、上述した両方の場合に対応可能に構成してある。
【0020】
すなわち、プレス機械において、偏心軸の回転によって上下動されるラム1の下面には、図2に示すように、Y軸方向(図2においては紙面に対して垂直な方向)に対向した一対のブラケット6が対向して備えられている。そして、一対のブラケット6は、Y軸方向の連結部材7を介して一体的に連結してある。上記連結部材7には、箱状のストライカハウジング9が一体的に取付けてある。このストライカハウジング9には、ストライカ3が上下動可能に備えられている。
【0021】
図2においては、ストライカハウジング9に対してストライカ3が下降した状態が示してある。そして、図3には、ストライカハウジング9に対してストライカ3が上昇し、ストライカ3の上面3Uが前記ラム1の下面1Lに当接した状態が示してある。
【0022】
既に理解されるように、ストライカ3は、ラム1の下面1Lに当接することにより、ストライカハウジング9に対して上昇した状態に固定保持されるものである。そして、ストライカハウジング9に対してストライカ3が下降した状態のときには、ストライカ3の上面3Uとラム1の下面との間に、X軸方向に対向した一対の受圧プレート11,13が入り込み、ストライカ3を、下降した状態に固定するものである。
【0023】
ストライカハウジング9に対するストライカ3の上下動と、ストライカ3の上面3Uとラム1の下面1Lとの間への受圧プレート11,13の出入動作とを連動するための連動機構15が備えられている。
【0024】
より詳細には、図4に示すように、前記ストライカハウジング9に形成した上下貫通孔17内に前記ストライカ3が上下動自在に嵌合してある。そして、前記ストライカハウジング9の一側(X軸方向の一側)には、前記連動機構15を作動するためのアクチュエータ19が備えられている。このアクチュエータ19は、本実施形態においては、エアシリンダ等のごとき流体圧シリンダでもって例示してある。
【0025】
前記アクチュエータ19には、X軸方向へ往復動自在なピストンロッド21が備えられている。このピストンロッド21には、連結ネジなどのごとき連結部材23を介してスライドロッド25の一端部が一体的に連結してある。前記スライドロッド25は、前記ストライカ3に形成した上下方向の長孔27を摺動自在に貫通してある。そして、スライドロッド25の他端部は、前記ストライカハウジング9に形成したX軸方向の貫通孔(ガイド孔)29に摺動自在に嵌合支持されている。したがって、ストライカ3は、スライドロッド25の存在に拘わらず、ストライカハウジング9に対して上下動自在なものである。
【0026】
前記スライドロッド25の先端部には、前記ストライカハウジング9をY軸方向に貫通した連動部材31が一体的に取付けてある。前記連動部材31がX軸方向に移動自在であるように、前記ストライカハウジング9には、前記貫通孔29に直交するY軸方向の貫通孔33がX軸方向に長く形成してある。そして、ストライカハウジング9を貫通した連動部材31のY軸方向の両端部には、連動リンク35A,35B(図2,3,6参照)の一端部が枢支連結してある。
【0027】
前記ストライカ3のY軸方向の両側には、前記ストライカハウジング9を貫通したY軸方向のヒンジピン37A,37Bの基端部がネジなどで螺合してそれぞれ一体的に備えられている。上記ヒンジピン37A,37Bは、前記ストライカハウジング9における上下貫通孔17のY軸方向の両側にY軸方向に形成した、上下方向に長い貫通孔39A,39Bを上下動可能に貫通してある。そして、前記ヒンジピン37A,37Bには、リンク41A,41Bの中間部が回動自在に枢支されている。
【0028】
前記リンク41A,41Bの一端部には中間リンク43A,43Bの一端部がヒンジピン45A,45Bを介して枢支連結してある。そして、前記中間リンク43A,43Bの他端部は、ヒンジピン47A,47Bを介して前記連動リンク35A,35Bの他端部と枢支連結してある。前記リンク41A,41Bの他端部にはヒンジピン49A,49B(図2,3参照)を介して連結ブラケット51A,51Bが枢支連結してある。この連結ブラケット51A,51Bは、前記ストライカハウジング9のY軸方向の両側において、前記受圧プレート11の下面に一体的に取付けてある。
【0029】
さらに、前記リンク41A,41BのY軸方向の内側には、リンク53A,53Bが配置してある。このリンク53A,53Bの基端部は、前記ヒンジピン37A,37Bに枢支されている。そして、前記リンク53A,53Bの先端部には、ヒンジピン55A,55Bを介して連結ブラケット57A,57Bが枢支連結してある。前記連結ブラケット57A,57Bは、前記ストライカハウジング9のY軸方向の両側において、前記受圧プレート13に一体的に取付けてある。
【0030】
そして、前記ヒンジピン37A,37Bからヒンジピン45A,45Bまで、および前記ヒンジピン37A,37Bから49A,49Bまでの寸法と、前記ヒンジピン37A,37Bからヒンジピン55A,55Bまでの寸法は等しい寸法に形成してある。また、前記ヒンジピン47A,47Bとヒンジピン55A,55Bとの間には、両端部をヒンジピン47A,47B,55A,55Bに枢支連結した中間リンク59A,59B(図3,7参照)が備えられている。
【0031】
なお、ヒンジピン45A,45Bとヒンジピン47A,47B間の寸法は、ヒンジピン47A,47Bとヒンジピン55A,55Bとの間の寸法と等しく設定してある。
【0032】
以上のごとき構成において、図3,4に示すように、ストライカ3の上面3Uがラム1の下面1Lに当接した上昇位置にあるときには、一対の受圧プレート11,13は、ストライカ3からX軸方向に離隔した状態にある。この場合、アクチュエータ19におけるピストンロッド21は、図4において右方向に移動された状態にある。換言すれば、ストライカ3は、上昇位置に固定された状態にある。
【0033】
図3,4に示したごとき状態において、アクチュエータ19におけるピストンロッド21を突出作動して、左方向に移動すると、連動部材31も一体的に同方向に移動される。連動部材31が図3において左方向に移動されると、連動リンク35A,35Bが、図3において左方向へ移動される。
【0034】
図3において、連動リンク35A,35Bが左方向に移動されると、リンク41A,41Bは、中間リンク43A,43Bを介して,ヒンジピン37A,37Bを中心として、図3において、時計回り方向に回動されることになる。リンク41A,41Bが図3において時計回り方向に回動されると、受圧プレート11は、右方向に移動される。前記受圧プレート11は、ストライカハウジング9の上面とラム1の下面1Lとによって上下方向への移動は規制された状態にある。
【0035】
したがって、受圧プレート11が図3において右方向へ移動されるとき、ヒンジピン37A,37Bは上下方向の貫通孔39A,39Bに案内されて次第に下降する(図2)。ヒンジピン37A,37Bが、図3において次第に下降されると、受圧プレート13は、リンク53A,53B及び中間リンク59A,59Bを介して、次第に左方向に移動される。
【0036】
すなわち、一対の受圧プレート11,13は、X軸方向の両側から互に接近するように移動し、ストライカ3の上部に形成した傾斜面3Sに次第に乗り上げる。したがって、ストライカ3の上部に受圧プレート11,13を迅速に位置決めすることができる。そして、一対の受圧プレート11,13は、図2,5に示すように、ストライカ3の上面3Uとラム1の下面1Lとの間に位置して、ストライカ3を下降した状態に固定することになる。なお、図5に示すように、ピストンロッド21が突出した状態にあるときに、図5においてピストンロッド21を右方向に移動すると(引込み作動すると)、ピン37A,37Bが貫通孔39A,39Bの上端側へ移動して、図4に示した元の状態に復帰するものである。
【0037】
既に理解されるように、リンク41A,41Bとリンク53A,53Bとは一種のクロスリンクを構成するもので、ヒンジピン37A,37Bを中心として互に逆方向に回動すると、一対の受圧プレート11,13は、互に接近離反する方向へ連動して移動する。そして、連動リンク35A,35B及び中間リンク43A,43B等は、前記ピストンロッド(作動ロッド)21の往復動を前記クロスリンクへ伝する伝リンクを構成するものである。
【0038】
以上のごとき説明から理解されるように、ラム1に備えたストライカ3は、ラム1に備えたストライカハウジング9に対して上昇した位置と、下降した位置の2位置に位置決めすることができる。この上昇した位置と下降した位置の高さの差が受圧プレート11、13の高さによって実現されることとなり、例えば図1における寸法Lに相当することになる。また各プレス加工機の仕様によって、また加工対象ワークの打ち抜き力によってL寸法は適宜選択される。したがって、偏心軸の回転角が90°〜180°の範囲、又は180°〜270°の範囲において正逆回転しプレス加工を行う場合に対応できる。また、偏心軸の回転角が90°又は270°付近(90°を含む範囲、又は270°を含む範囲)において正逆回転してプレス加工を行う場合と対応することができる。
【0039】
よって、例えば打抜き加工の負荷が小さな薄い板材の打抜き加工を行う場合、偏心軸の回転角が90°付近、又は270°付近において正逆回転してのプレス加工が可能である。したがって、プレス加工をより高速に行うことができるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 ラム
1L 下面
3 ストライカ
3U 上面
9 ストライカハウジング
11,13 受圧プレート
15 連動機構
17 上下貫通孔
19 アクチュエータ
21 ピストンロッド
27 長孔
31 連動部材
33 貫通孔
35A,35B 連動リンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7