特許第6550684号(P6550684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550684
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 21/06 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   A47C21/06 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-110182(P2017-110182)
(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公開番号】特開2018-201832(P2018-201832A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】599071946
【氏名又は名称】株式会社弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】木村 弘樹
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0265268(US,A1)
【文献】 特開2009−207543(JP,A)
【文献】 実開昭47−023214(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0096121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 21/06
A47C 31/08−31/10
A47C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドフレーム(1)と、平板直方体形状に形成され、ベッドフレーム(1)上に配置されるマットレス(2)と、ベッドフレーム(1)とマットレス(2)との間に配置されるスライドシート(3)と、を備えるベッドであって、
ベッドフレーム(1)は、少なくとも上面に生地からなる矩形状のフレーム表装材(8)を備えており、
マットレス(2)は、生地からなり、矩形状に形成された上下一対のマットレス表装材(12・13)と、両マットレス表装材(12・13)の間に配置される弾性ユニット(14)とを備えており、
スライドシート(3)が、マットレス表装材(12・13)の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい、生地からなるシート体で形成されており、
スライドシート(3)が、上下一対のマットレス表装材(12・13)にファスナー部材(21)で着脱自在に係着されており、
ファスナー部材(21)が、マットレス表装材(12・13)側に設けられたファスナー体(22)と、スライドシート(3)の上面に形成されたファスナー体(23)とからなり、上下いずれのマットレス表装材(12・13)に対してもファスナー部材(21)を用いてスライドシート(3)を係着することができるようになっており、
スライドシート(3)が、マットレス表装材(12・13)の外形形状よりも一回り小さい矩形状に形成されており、ファスナー部材(21)を用いてマットレス表装材(12・13)にスライドシート(3)を係着したとき、スライドシート(3)の周囲にはマットレス表装材(12・13)が露出するようになっており、
下面側に位置するマットレス表装材(12・13)にスライドシート(3)を係着したうえで、スライドシート(3)を介してベッドフレーム(1)の上にマットレス(2)を配置した状態において、スライドシート(3)の周囲に位置するフレーム表装材(8)とマットレス表装材(12・13)とが密着して、当該密着する部分では、スライドシート(3)による摩擦抵抗力の減少作用が発揮されないように構成されていることを特徴とするベッド。
【請求項2】
ファスナー部材(21)が、マットレス表装材(12・13)側に設けられた雌側のファスナー体(22)と、スライドシート(3)側に設けられた雄側のファスナー体(23)とからなる面ファスナーで構成されている請求項1に記載のベッド。
【請求項3】
マットレス(2)の周側面の複数個所に、操作把手(18)が設けられている請求項1又は2に記載のベッド
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド、スライドシート、およびマットレスに関して、ローテーション作業やベッドメイキング作業に要する労力の軽減を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビジネスホテルなどにおいては、客室内の質感向上を目的として、織布、不織布、編布などの生地からなるフレーム表装材が設けられたベッドフレームの採用が増えている。さらに、マットレスにおいては寝心地を向上させるため、細糸からなる織目の細かな生地など比較的肌ざわりが柔らかい生地(以下、適宜に「柔生地」と言う。)がマットレス表装材として採用されている。
【0003】
マットレスは、同一部位を長期間使用していると、マットレスに内蔵されているウレタンフォームやスプリングなどのクッション部材の弾性力および復元力が局部的に低下するため、定期的に前後反転あるいは上下反転させる、所謂ローテーションと称される作業が行われる。マットレス表装材が柔生地であるベッドにおいては、柔生地の表面の摩擦抵抗が大きいため、フレーム表装材とマットレス表装材との接触面における摩擦抵抗力が大きく、ローテーション作業時にベッドフレーム上でマットレスのスライド操作あるいは回転操作(以下、適宜に「変位操作」と言う。)を行うことは容易ではない。そのため、客室数の多いビジネスホテルなどでは、ローテーション作業に要する労力の増大、および所要時間の増長などの問題が生じている。また、マットレスの側面が壁面に密着するように配置されているベッドの場合には、シーツ交換を伴うベッドメイキング作業において、壁面とマットレスとの間に隙間を設けてシーツをベッドフレームとマットレスの間に挟み込む必要があるため、必ずマットレスを変位操作しなければならない。そのため、ベッドメイキング作業においても労力の増大、および所要時間の増長などの問題が生じている。
【0004】
マットレスの変位操作の容易化を目的として、例えば特許文献1のマットレス管理システムが提案されている。特許文献1のマットレス管理システムでは、土台(ベッドフレーム)とマットレスとの間にカバーが配置されている。カバーの中央付近に空気出口孔が設けられており、空気ポンプからカバーに向かって送給された空気を空気出口孔から吹き出すことにより、マットレスとカバーとの間に部分的に空気層が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015−525615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のマットレス管理システムにおいては、マットレスの変位操作を行う際に、マットレスとカバーとの間に部分的に空気層を形成することで、両者間の接触面における摩擦抵抗力を小さくして、軽い力でマットレスの変位操作を行うことができる。しかし、空気出口孔はカバーの中央付近のみに設けられており、また、マットレスは柔軟であるため、前記空気層の形成領域は定常的ではない。そのため、空気層の形成領域の大小で摩擦抵抗力の減少量が大きく左右される。空気層の形成領域が小さい場合には、マットレスの変位操作に大きな操作力が必要となり、ローテーション作業やベッドメイキングを行う際の労力の増大、および所要時間の増長を招く。また、カバーに向かって空気を送給するための空気ポンプが必要であり、同ポンプの各客室への持ち込みが煩わしい。
【0007】
本発明の目的は、マットレスのスライド操作および回転操作を常に軽い操作力で円滑に行えるようにして、ローテーション作業やベッドメイキング作業に要する労力を軽減し、さらにこれら作業の所要時間を短縮することができるベッドと、当該ベッドを構成するスライドシートとマットレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るベッドは、ベッドフレーム1と、平板直方体形状に形成され、ベッドフレーム1上に配置されるマットレス2と、ベッドフレーム1とマットレス2との間に配置されるスライドシート3とを備える。ベッドフレーム1は、少なくとも上面に生地からなる矩形状のフレーム表装材8を備えている。マットレス2は、生地からなり、矩形状に形成された上下一対のマットレス表装材12・13と、両マットレス表装材12・13の間に配置される弾性ユニット14とを備えている。スライドシート3が、マットレス表装材12・13の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい、生地からなるシート体で形成されている。スライドシート3が、上下一対のマットレス表装材12・13にファスナー部材21で着脱自在に係着されており、ファスナー部材21は、マットレス表装材12・13側に設けられたファスナー体22と、スライドシート3の上面に形成されたファスナー体23とからなり、上下いずれのマットレス表装材12・13に対してもファスナー部材21を用いてスライドシート3を係着することができるようになっている。スライドシート3は、マットレス表装材12・13の外形形状よりも一回り小さい矩形状に形成されており、ファスナー部材21を用いてマットレス表装材12・13にスライドシート3を係着したとき、スライドシート3の周囲にはマットレス表装材12・13が露出するようになっている。そして、下面側に位置するマットレス表装材12・13にスライドシート3を係着したうえで、スライドシート3を介してベッドフレーム1の上にマットレス2を配置した状態において、スライドシート3の周囲に位置するフレーム表装材8とマットレス表装材12・13とが密着して、当該密着する部分では、スライドシート3による摩擦抵抗力の減少作用が発揮されないように構成されていることを特徴とする。
【0010】
ファスナー部材21は、雌雄のファスナー体22・23からなる面ファスナーで構成することが好ましい。
【0013】
マットレス2の周側面の複数個所に、操作把手18が設けられている形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るベッドにおいては、ベッドフレーム1とマットレス2との間にスライドシート3を配置するとともに、当該スライドシート3を、マットレス表装材12・13の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さいシート体で形成した。このようにベッドフレーム1とマットレス2との間にスライドシート3が配置されていると、マットレス2を変位操作する際に、スライドシート3がマットレス2と同行移動した場合には、当該スライドシート3とベッドフレーム1のフレーム表装材8との接触面における摩擦抵抗力を、同シート3により小さくすることができる。同様に、マットレス2のみが移動した場合には、スライドシート3とマットレス表装材12・13との接触面における摩擦抵抗力を、同シート3により小さくすることができる。以上のように、本発明に係るベッドによれば、マットレス2を変移操作する際の摩擦抵抗力を小さくすることができ、ベッドフレーム1上におけるマットレス2の変位操作を軽い操作力で円滑に行うことができるので、マットレス2を前後反転あるいは上下反転させるローテーション作業や、シーツ交換を伴うベッドメイキング作業に要する作業者の労力を著しく軽減できる。これら作業に要する所要時間を短縮することもできる。加えて、従来の特許文献1のベッドのように、別途空気ポンプなどを使用する必要がなく、より簡単にローテーション作業やベッドメイキング作業を進めることができる点でも優れている。
【0018】
マットレス2のローテーション作業は、数ヶ月毎に行えばよく、その実施頻度は低いが、ベッドメイキング作業は、客室が使用される都度実施されるためほぼ毎日行われるものである。また、セミダブルサイズ以上のマットレス2やクッション部材にポケットコイル式のスプリングユニットが使用されているマットレス2が採用されている場合には、マットレス2自体の重量が大きいため、毎日のベッドメイキング作業は重作業となり、作業者の作業負担が大きくなることが避けられない。これに対して本発明に係るベッドでは、重量が大きいマットレス2であっても、スライドシート3による接触面における摩擦抵抗力の減少作用により、マットレス2の変位操作を軽い操作力で円滑に行うことができるので、ベッドメイキングにおける作業負荷を大幅に軽減することができる。このように、本発明は、とくにサイズや重量が大きいマットレス2を備えるベッドに適用されて有用である。
【0019】
フレーム表装材8、またはマットレス表装材12・13のいずれか一方にファスナー部材21でスライドシート3が着脱自在に係着される構成を採ることができる。これによれば、スライドシート3をフレーム表装材8に係着した形態には、同シート3が動くことなくマットレス2のみを変位操作することができる。また、スライドシート3をマットレス表装材12・13に係着した形態では、同シート3とマットレス2とが同行移動しながらマットレス2を変位操作することができる。以上より、本発明によれば、スライドシート3とフレーム表装材8、またはスライドシート3とマットレス表装材12・13の相対位置がずれることを防ぐことができ、また、変位操作中にスライドシート3が床面に落ちたり、ベッドフレーム1とマットレス2の間でスライドシート3が折り畳まれたりすることを防ぐことができる。従って、スライドシート3の位置や状態を気にすることなく、マットレス2の変位操作を行うことができ、また、常に安定して接触面における摩擦抵抗力を小さくできるので、ローテーション作業やベッドメイキング作業に要する労力をより軽減し、さらにこれら作業の所要時間をより短縮することができる。
【0020】
ファスナー部材21を雌雄のファスナー体22・23からなる面ファスナーで構成すると、正確に位置決めする必要がなく、また、軽く押圧するだけで雌雄のファスナー体22・23どうしを連結できるので、マットレス表装材12・13に対するスライドシート3の係着および分離を容易化できる。因みに、例えばチャック(スライドファスナー)などの線ファスナーにおいては、一対のファスナー体の端部を係合させたのち、スライダーをスライド操作して連結する必要があり、例えばスナップボタンなどの点ファスナーにおいては、雌雄のファスナー体を正確に位置合わせしたのち、強く押圧操作して連結する必要がある。また、面ファスナーを構成する雌雄のファスナー体22・23は線ファスナーや点ファスナーに比べて柔軟であるため、マットレス表装材12・13にスライドシート3を係着する場合でも、マットレス2の上側に露出するいずれか一方のファスナー体22・23が就寝中の使用者に不快感を与えることがない。なお、この場合には、マットレス表装材12・13に、雌側のファスナー体22を配置することが好ましい。これは、一般的に、雄側のファスナー体23に比べて雌側のファスナー体22の方がより柔軟であることに拠る。
【0021】
マットレス2のローテーション作業が行われるとき、例えば合成樹脂のシート体で形成されたスライドシート3では、折り畳まれた場合に折り目ができ、該折り目部分から亀裂が生じて破損に至りやすい。しかし、本発明のように、生地で形成されたスライドシート3によれば、折り畳まれた場合でも折り目ができにくく、また、折り目ができたとしても折り目部分から亀裂が生じることはない。従って、スライドシート3の取り扱いを容易化できる。加えて、スライドシート3はマットレス表装材12・13にファスナー部材21で着脱自在に係着されるように構成し、スライドシート3およびフレーム表装材8を、それぞれマットレス表装材12・13の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地で形成した。こうしたベッドによれば、スライドシート3とフレーム表装材8との接触面における摩擦抵抗力をより小さくできる。従って、より軽い操作力で円滑にマットレス2の変位操作を行うことができるので、ローテーション作業やベッドメイキング作業に要する労力をより軽減し、さらにこれら作業の所要時間をより短縮することができる。
【0022】
スライドシート3をマットレス表装材12・13よりも一回り小さく形成し、スライドシート3を介してベッドフレーム1上にマットレス2が配置された状態におけるスライドシート3の周囲において、フレーム表装材8とマットレス表装材12・13が密着するように構成することが望ましい。こうしたベッドによれば、フレーム表装材8とマットレス表装材12・13とが密着する部分では、スライドシート3による摩擦抵抗力の減少作用が発揮されない。そのため、密着部分で生じる摩擦抵抗力をマットレス2のブレーキとして利用できるので、ローテーション作業やベッドメイキングのとき、変位操作時の慣性力で不必要にマットレス2が変位移動することを抑制できる。また、マットレス2を覆うシーツSは、マットレス表装材12・13に接触する状態でベッドフレーム1とマットレス2との間で挟み込まれるので、シーツSを確りと保持することができる。これにより、就寝中に不用意にシーツSがずれることがなく、使用者の肌面が直接触れることによるマットレス表装材12・13の汚れを防止できる。
【0023】
マットレス2の周側面の複数個所に操作把手18を設けると、操作把手18を掴んでマットレス2の変位操作を行うことができるので、変位操作時に力を入れやすいことからローテーション作業やベッドメイキングに要する労力をより軽減し、さらに所要時間をより短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例に係るベッドの縦断正面図である。
図2】ベッドフレーム、マットレス、スライドシートの3者を分離した状態を示す斜視図である。
図3】ベッドフレームからマットレスをずらした状態を示す平面図である。
図4】スライドシートの係着途中状態を示す斜視図である。
図5】ベッドメイキング中のベッドを示す縦断正面図である。
図6】マットレスの参考例を示すベッドの縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施例) 図1から図5に、本発明に係るベッドの実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2に示すようにベッドは、ベッドフレーム1と、ベッドフレーム1上に配置されるマットレス2とを備えており、ベッドフレーム1とマットレス2との間にシート体からなるスライドシート3が配置される。ベッドフレーム1とマットレス2は平面視において略同一寸法の前後方向に長い長方形状に形成されている。
【0028】
図1に示すようにベッドフレーム1は、木枠で形成されるフレーム本体6と、フレーム本体6の上側に積層されるクッション材7と、生地からなるフレーム表装材8などで構成されている。なお、「ベッドフレーム」は「土台ベッド」と称されることもある。フレーム表装材8は、クッション材7の上面を覆う上面装材8aと、フレーム本体6およびクッション材7の前後および左右の側面を覆う周回状の側面装材8bとを備えており、上面装材8aの周縁に側面装材8bの上縁が縁テープとともに縫着されて、両者8a・8bは一体化されている。図示していないが、フレーム表装材8は、側面装材8bの下縁がフレーム本体6の下側に折り込まれ、折り込まれた部分がステープルでフレーム本体6に固定されている。図1において、符号9は、フレーム本体6を支持する脚体である。
【0029】
図1に示すようにマットレス2は、同一生地からなる上下一対のマットレス表装材12・13と、両マットレス表装材12・13の間に配置される弾性ユニット14などで構成されている。弾性ユニット14は、ポケットコイル式のスプリングユニット15と、同ユニット15の上下に配置されるクッション材16・16とで構成される。各クッション材16はウレタンフォーム、フェルト、不織布などが積層されており、両クッション材16・16は同一の素材構成で形成されている。図2に示すように、弾性ユニット14の側面全体は、周回状の側面装材17で覆われており、マットレス表装材12・13の周縁に側面装材17の上縁および下縁が縁テープとともに縫着されて、弾性ユニット14を収容する状態で3者12・13・17は袋状に一体化されている。
【0030】
上記のように、マットレス2は、前後対称かつ上下対称に形成されて前後と上下(表裏)の区別無く使用できるように構成されている。このように、マットレス2が前後と上下の区別を無く使用できるように構成されていると、定期的に前後反転あるいは上下反転させるローテーションを行うことができる。また、スプリングユニット15は、前後中央領域のスプリングのばね定数が、残る領域のスプリングのばね定数よりも高く設定されており、体重が最も集中する腰部を硬めのコイルスプリングで支持し、使用者の寝姿勢を良好なものとして、使用者の寝心地を向上させている。なお、スプリングユニット15はボンネルコイル式であってもよく、また、各クッション材16・16を異なる素材構成で形成して、表裏面で寝心地の硬軟が選択できるマットレス2としてもよい。
【0031】
図2に示すように、マットレス2の周側面の複数個所には、操作把手18が設けられている。具体的には、マットレス2の前後および左右の各側面(四周側面)に、それぞれ一対の操作把手18・18が設けられている。一対の操作把手18・18は、各側面における長手方向中央を基準にして、前後対称あるいは左右対称の位置に設けられている。各操作把手18は帯状の生地からなり、その上端および下端がマットレス表装材12・13と側面装材17とともに縫着されており、側面装材17と操作把手18との間に、手指が挿入できるようになっている。このように、マットレス2の前後および左右の各側面に操作把手18を設けると、操作把手18を掴んでマットレス2の変位操作を行うことができるので、変位操作時に力を入れやすいことからローテーション作業やベッドメイキング作業に要する労力を軽減し、さらに所要時間を短縮することができる。
【0032】
なお、操作把手18・18は少なくともふたつの周側面に設けることが望ましく、特に、向かい合う周側面に一対の操作把手18・18を設けることが好ましい。これは、この種のベッドは、その前側面と、右側面または左側面とが壁面に密着するように室内隅部に設置されることが多く、そのような場合であっても、前側面と後側面、あるいは左側面と右側面に一対の操作把手18・18が設けられていると、マットレス2の姿勢に係わらず必ず一対の操作把手18・18が室内側に露出するため、ベッドメイキング作業等を迅速に進めることが可能となることに拠る。
【0033】
スライドシート3は、マットレス表装材12・13の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さいシート体で形成されている。ベッドフレーム1とマットレス2との間に介在されるようにスライドシート3を配置することにより、上面装材8a(フレーム表装材8)とマットレス表装材12・13との接触面における摩擦抵抗力を小さくできる。例えば合成樹脂のシート体で形成されたスライドシート3では、折り畳まれた場合に折り目ができ、該折り目部分から亀裂が生じて破損に至りやすい。そこで本実施例においては、スライドシート3は1枚の生地で形成した。このように、生地で形成されたスライドシート3によれば、折り畳まれた場合でも折り目ができにくく、また、折り目ができたとしても折り目部分から亀裂が生じることはない。従って、スライドシート3の取り扱いを容易化できる。
【0034】
スライドシート3は、ファスナー部材21でマットレス表装材12・13に対して着脱自在に係着されるように構成されている。係着状態におけるスライドシート3の中心は、マットレス2の中心と一致している。ファスナー部材21は、雌雄のファスナー体22・23からなる面ファスナーで構成されており、マットレス表装材12・13のそれぞれに雌側のファスナー体22が縫着され、スライドシート3の上面に雄側のファスナー体23が縫着されている。図2に示すように雄側のファスナー体23は、スライドシート3の左右縁部の全体と、上下縁部の中央の一部に配置されており、雌側のファスナー体22は、各マットレス表装材12・13の雄側のファスナー体23に対応する位置に配置されている。
【0035】
このように、マットレス表装材12・13に対してスライドシート3が着脱自在に係着されていると、マットレス2を変位操作するとき、スライドシート3をマットレス2と同行移動させることができる。このため、スライドシート3とマットレス表装材12・13との相対位置がずれることがなく、また、変位操作中にスライドシート3が床面に落ちたり、ベッドフレーム1とマットレス2の間で折り畳まれたりすることもない。従って、スライドシート3の位置や状態を気にすることなく、マットレス2の変位操作を行うことができる。また、常に安定して接触面における摩擦抵抗力を小さくできるので、ローテーション作業やベッドメイキング作業に要する労力を軽減し、さらにこれら作業の所要時間を短縮化できる。
【0036】
ファスナー部材21を雌雄のファスナー体22・23からなる面ファスナーで構成すると、マットレス2に対してスライドシート3を正確に位置決めする必要がなく、また、軽く押圧するだけで雌雄のファスナー体22・23どうしを連結できるので、マットレス表装材12・13に対するスライドシート3の係着および分離を容易化できる。また、面ファスナーを構成する雌雄のファスナー体22・23はチャックなどの線ファスナーやスナップボタンなどの点ファスナーに比べて柔軟であるため、マットレス2の上側に露出するいずれか一方の雌側のファスナー体22が就寝中の使用者に不快感を与えることを抑制できる。とくに本実施例のように、雄側のファスナー体23に比べてより柔軟な雌側のファスナー体22をマットレス表装材12・13に配置することで、就寝中の使用者に不快感を与えることをより抑制できる。
【0037】
図3および図4に示すように、スライドシート3はマットレス表装材12・13よりも一回り小さく形成されている。マットレス2の左右および前後の寸法が1500mm×2000mmのとき、スライドシート3の左右および前後の寸法は、1300mm×1800mmの長方形状に形成されている。スライドシート3をマットレス表装材12・13に係着したとき、スライドシート3の周囲にはマットレス表装材12・13が露出しており、ベッドフレーム1上にマットレス2を載置したとき、スライドシート3の周囲において上面装材8aと下側のマットレス表装材12・13とが密着している(図1参照)。
【0038】
上記のように、スライドシート3をマットレス表装材12・13よりも一回り小さく形成し、スライドシート3の周囲において、上面装材8a(フレーム表装材8)とマットレス表装材12・13が密着するように構成すると、上面装材8aとマットレス表装材12・13とが密着する部分では、スライドシート3による摩擦抵抗力の減少作用が発揮されない。このため、密着部分で生じる摩擦抵抗力をマットレス2のブレーキとして利用することができ、ローテーション作業やベッドメイキング作業の際に、変位操作時の慣性力により不必要にマットレス2が変位移動することを抑制できる。また、マットレス2を覆うシーツSを、マットレス表装材12・13に接触する状態でベッドフレーム1とマットレス2との間で挟み込むことができるので、シーツSを確りと保持することができる。これにより、就寝中に不用意にシーツSがずれることがなく、使用者の肌面が直接触れることによるマットレス表装材12・13の汚れを防止できる。なお、後述するように、マットレス2の変位操作を行うときには、操作把手18を手で握ってマットレス2の一部を僅かに持ち上げることで密着部分の面積が減少するため、作業者はマットレス2を軽い操作力で変位操作することができる。
【0039】
スライドシート3の周囲において、上面装材8aと下側のマットレス表装材12・13とが密着している部分の幅寸法は、本実施例では各辺100mmに設定したが、密着部分の幅寸法は、20mm以上、200mm以下に設定することが好ましい。これは、密着している部分の幅寸法が20mm未満であると、上面装材8aと下側のマットレス表装材12・13との密着部分の面積が小さいので、該密着部分がマットレス2のブレーキとして機能しないことに拠る。また、密着している部分の幅寸法が200mmを超えると、スライドシート3による摩擦抵抗力の減少作用が充分に発揮されず、マットレス2の変位操作に大きな操作力が必要となる。
【0040】
各マットレス表装材12・13は、外面側から順に織布と、シート状のわたで形成されたキルト芯と、ウレタンフォームからなる弾性シートと、不織布とが積層されたキルト生地で構成されている。従って、本実施例におけるマットレス表装材12・13の生地とは、最外面に配される織布を構成する生地を意味している。マットレス表装材12・13の生地は、寝心地を優先するため肌触りの柔らかい生地が使用されている。本実施例においては、糸の番手が綿番手で148×92(経糸×緯糸)であるポリエステル糸を素材とする平織物からなる生地を使用している。糸の番手が綿番手で148×92のポリエステル糸を使用することで、目の細かな肌触りの柔らかい生地とすることができる。なお、マットレス表装材12・13の生地に目の細かな生地を使用すると、マットレス表装材12・13とマットレス2上に敷かれたベッドパッドやシーツSとが擦れることによる衣擦れ音を低減できるので、音に敏感な利用者が快適に利用できるベッドとすることができる。
【0041】
先に述べたように、スライドシート3は、先のマットレス表装材12・13の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地が使用されている。本実施例においては、糸の番手が綿番手で15×20(経糸×緯糸)であるポリエステル糸を素材とする平織物からなる生地を使用している。このように、先のマットレス表装材12・13の生地よりも糸の番手が大きなポリエステル糸を使用した生地は、コシが強く柔軟性の低い生地となり、またその表面の摩擦抵抗はマットレス表装材12・13の生地表面の摩擦抵抗よりも小さくなる。
【0042】
フレーム表装材8の上面装材8aは、外面側から順に織布と、シート状のわたで形成されたキルト芯と、ウレタンフォームからなる弾性シートと、不織布とが積層されたキルト生地で構成されている。従って、本実施例における上面装材8a(フレーム表装材8)の生地とは、先と同様に最外面に配される織布を構成する生地を意味している。本実施例においては、上面装材8aの生地は先のスライドシート3と同じ生地を使用した。なお、スライドシート3および上面装材8aは上述した生地に限らず、生地性状として摩擦抵抗が小さい生地、あるいは生地表面の滑性を高めるコーティングが施されたコーティング生地などを、スライドシート3および上面装材8aの生地として使用してもよい。要はマットレス表装材12・13に使用された生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地を使用すればよい。
【0043】
上記のように、スライドシート3および上面装材8aの生地は、マットレス表装材12・13の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地を使用したので、マットレス2を変位操作するときの、スライドシート3と上面装材8a(フレーム表装材8)との接触面における摩擦抵抗力をより小さくできる。
【0044】
フレーム表装材8の側面装材8b、マットレス2の側面装材17、および操作把手18は、同一の生地で形成されている。本実施例においては、先のマットレス表装材12・13と同じキルト生地を使用した。上記のフレーム表装材8、マットレス表装材12・13および側面装材17、操作把手18、スライドシート3などの生地は、いずれも同系色の生地で構成することで、ベッド全体の一体感を生じさせ、デザイン性の向上を図ることができる。
【0045】
ここで、マットレス2のローテーションの手順について説明する。マットレス2を前後反転あるいは上下反転させるローテーションは、いずれも1人で行うことが可能であるが、上下反転させるローテーションにおいては、マットレス2を起立姿勢にするため、2人でローテーションを行うことが安全上好ましい。
【0046】
マットレス2を前後反転させるローテーションにおいては、まず、例えば右面下側と後面右側の操作把手18・18を手で握ってマットレス2を僅かに持ち上げる。この状態のまま、マットレス2を右後方に向かって引くようにスライド操作して、図3に示すようにベッドフレーム1上からマットレス2をずらす。このとき、上面装材8aとマットレス表装材13との接触面における摩擦抵抗力はスライドシート3で小さくなっているので、マットレス2の変位操作は軽い操作力で円滑に行うことができる。次いで、マットレス2をずらした状態で、マットレス2を例えば時計まわり方向に180度回転させることでマットレス2の前後が反転される。このとき、ベッドフレーム1とマットレス2の相対位置をずらしたことで、上面装材8aに接触しているスライドシート3およびマットレス表装材13の面積が減少しているので、マットレス2の回転操作はより軽い力で行うことができる。最後に正規の位置へとマットレス2をスライド操作してローテーションが完了する。
【0047】
マットレス2を上下反転させるローテーションにおいては、まず、例えば後面左右の操作把手18・18を手で握ってマットレス2を僅かに持ち上げる。この状態のまま、マットレス2を後方に向かって引くようにスライド操作して、ベッドフレーム1上からマットレス2をずらす。次いで、ベッドフレーム1とマットレス2との間に手が入る程度にマットレス2を持ち上げてベッドフレーム1から浮き離しながら、下側のマットレス表装材13に係着されているスライドシート3を分離する。このとき、マットレス2を持ち上げる位置を変更しながら、複数回に分けて徐々にスライドシート3を分離する。マットレス2を後方にずらしてあるので、ベッドフレーム1上に位置しないスライドシート3は、マットレス2を持ち上げることなく分離できる。
【0048】
分離したスライドシート3は、図4に示すように上側のマットレス表装材12の雌側のファスナー体22と、スライドシート3の雄側のファスナー体23を位置合わせしたのち軽く押圧して、マットレス表装材12に係着する。次いで、左右の長辺部分のいずれか一方を大きく持ち上げてマットレス2を起立させたのち、スライドシート3が下側になるようにマットレス2をベッドフレーム1上に載置して上下反転する。最後に正規の位置へとマットレス2をスライド操作してローテーションが完了する。なお、2人でローテーション作業を行う場合には、1人がマットレス2を起立させた状態で保持し、もう1人がマットレス表装材13に係着されているスライドシート3を分離し、分離したスライドシート3をマットレス表装材12に係着することもできる。
【0049】
ベッドメイキング作業においては、多くの場合ベッドは壁際に配置されているため、マットレス2にシーツSを被せる際には、壁とマットレス2との間に隙間を設ける必要がある。本実施例のベッドでは、使用済みのシーツSを引き剥がしたのちに、操作把手18を利用してマットレス2を壁面から離すようにスライド操作することで、壁面とマットレス2との間に隙間を設けることができる。次いで、マットレス2に新たなシーツSを被せたのちに、先の隙間の部分からシーツSの縁部をベッドフレーム1とマットレス2との間に挟み込む(図5参照)。最後に、壁面に向かってマットレス2をスライド操作したのちに、残るシーツSの縁部をベッドフレーム1とマットレス2との間に挟み込むことで、ベッドメイキング作業を完了させることができる。
【0050】
以上のように、上記の実施例に係るベッドによれば、マットレス2を変位操作するとき、スライドシート3がマットレス2と同行移動するので、スライドシート3と上面装材8a(フレーム表装材8)との接触面における摩擦抵抗力を同シート3で小さくでき、ベッドフレーム1上におけるマットレス2の変位操作を軽い操作力で円滑に行うことができる。また、ベッドフレーム1とマットレス2との間に介在するようにスライドシート3を配置したので、安定して接触面における摩擦抵抗力を小さくできる。従って、寝心地を向上させるためにマットレス表装材12・13が柔生地で形成されている場合であっても、マットレス2の変位操作を常に軽い操作力で円滑に行うことができるので、マットレス2を前後反転あるいは上下反転させるローテーション作業や、シーツ交換を伴うベッドメイキング作業に要する作業者の労力を著しく軽減できる。これら作業に要する所要時間を短縮することもできる。加えて、従来の特許文献1のベッドのように、別途空気ポンプなどを使用する必要がなく、より簡単にローテーション作業やベッドメイキング作業を進めることができる点でも優れている。
【0051】
また、重量が大きいマットレス2であっても、スライドシート3による接触面における摩擦抵抗力の減少作用により、マットレス2の変位操作を軽い操作力で円滑に行うことができるので、ベッドメイキングにおける作業負荷を大幅に軽減することができる。このように、本発明は、とくにサイズや重量が大きいマットレス2を備えるベッドに適用されて有用である。
【0052】
また、スライドシート3および上面装材8a(フレーム表装材8)を、それぞれマットレス表装材12・13の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地で形成したので、スライドシート3と上面装材8aとの接触面における摩擦抵抗力をより小さくできる。従って、より軽い操作力で円滑にマットレス2の変位操作を行うことができるので、ローテーション作業やベッドメイキング作業に要する労力をより軽減し、さらにこれら作業の所要時間をより短縮することができる。
【0053】
図6にマットレスの参考例を示す。本参考例におけるマットレス2は、下側のマットレス表装材13が、上側のマットレス表装材12の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地で形成されている点が、先の実施例と異なる。各マットレス表装材12・13は、外面側から順に織布と、シート状のわたで形成されたキルト芯と、ウレタンフォームからなる弾性シートと、不織布とが積層されたキルト生地で構成されている。従って、本参考例においてもマットレス表装材12・13の生地とは、最外面に配される織布を構成する生地を意味している。上側のマットレス表装材12の生地は、糸の番手が綿番手で148×92(経糸×緯糸)であるポリエステル糸を素材とする平織物からなる生地を使用しており、目の細かな肌触りの柔らかい生地である。これに対して、下側のマットレス表装材13の生地は、先のマットレス表装材12の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地が使用されている。具体的には、糸の番手が綿番手で15×20(経糸×緯糸)であるポリエステル糸を素材とする平織物からなる生地を使用しており、コシが強く柔軟性の低い生地である。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
【0054】
上記のようなマットレス2によれば、下側のマットレス表装材13を下面にしてベッドフレーム1上に載置したマットレス2を変位操作するとき、ベッドフレーム1とマットレス2との接触面における摩擦抵抗力をマットレス表装材13で小さくできる。従って、ベッドフレーム1上におけるマットレス2の変位操作を軽い操作力で円滑に行うことができるので、ローテーション作業やベッドメイキングに要する労力を軽減し、さらに所要時間を短縮することができる。
【0055】
因みに、本実施例のマットレス2は、マットレス表装材13が上面になるようにマットレス2をベッドフレーム1上に載置したとき、マットレス表装材13による接触面における摩擦抵抗力の減少作用が発揮されず、また、生地のコシが強い分寝心地が悪化する。そのため、マットレス2はマットレス表装材12が上面になるように使用され、ローテーションは前後を反転させるローテーションのみ行うことができる。マットレス表装材13の全体をマットレス表装材12の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地で形成する必要はなく、マットレス表装材13の周縁部分にマットレス表装材12の生地を配することもできる。この場合には、マットレス表装材13の周縁部分で肌触りの柔らかい生地が上面装材8aに密着するように構成することができる。
【0056】
上記の実施例では、スライドシート3は、1枚の生地で形成したが、複数枚の生地を積層し、縫着して形成してもよい。この場合には、最下層(フレーム表装材8に接触する層)の生地を、マットレス表装材12・13の生地表面よりも表面の摩擦抵抗が小さい生地で構成すればよい。また、スライドシート3は、マットレス表装材12・13の長手方向、あるいは短手方向に分断された複数枚の生地で形成してあってもよい。さらに、表面の摩擦抵抗が小さな柔軟な合成樹脂からなるシート体でスライドシート3を形成することもできる。スライドシート3は、ベッドフレーム1とマットレス2との間の全体に配置してあってもよい。フレーム表装材8にファスナー部材21でスライドシート3を着脱自在に係着することもできる。この場合には、上面装材8aはスライドシート3と異なる生地で形成することができる。
【0057】
また、ファスナー部材21は、ジッパーやチャックなどの線ファスナー、またはスナップボタンやホックなどの点ファスナーで構成することができる。スライドシート3はファスナー部材21で上面装材8a(フレーム表装材8)に対して着脱自在に係着することができる。フレーム表装材8、マットレス表装材12・13および側面装材17、操作把手18、スライドシート3などは、実施例に記載した素材や織物組織からなる生地に限らず、適宜他の素材や織物組織からなる生地(織布、不織布、編布)を使用することができる。また、すべて同じ生地を使用して、スライドシート3およびフレーム表装材8の上面装材8aの生地にのみ、生地表面の滑性を高めるコーティングを施して、他の生地よりも表面の摩擦抵抗を小さくしてもよい。ベッドフレーム1はヘッドボードを備えるベッドフレームであってもよい。また、床面に敷かれたすのこなどをベッドフレーム1として代用することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 ベッドフレーム
2 マットレス
3 スライドシート
8 フレーム表装材
12 マットレス表装材
13 マットレス表装材
14 弾性ユニット
18 操作把手
21 ファスナー部材
22 雌側のファスナー体
23 雄側のファスナー体
図1
図2
図3
図4
図5
図6