(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材に印刷する第一可変情報コードが表す第一可変情報、前記第一可変情報コードを印刷する前記基材の数量である第一数量、前記基材に印刷する第二可変情報コードが表し前記第一可変情報とは異なる第二可変情報、前記第二可変情報コードを印刷する前記基材の数量である第二数量、並びに、前記第一可変情報コードの後で前記第二可変情報コードを印刷する順序を含む印刷指示情報に基づいて、前記第一可変情報コードを前記第一数量の前記基材に印刷し、続いて前記第二可変情報コードを前記第二数量の前記基材に印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷された前記基材を印刷された順番に搬送する搬送部と、
前記第一可変情報コード及び前記第二可変情報コードを前記搬送部で搬送された前記基材の順番に読み取る読み取り部と、
前記印刷指示情報に基づいて、Nが1以上前記第一数量以下であって前記搬送部でN番目に搬送され前記第一可変情報コードが印刷されていない前記基材、及び、Nが前記第一数量を越えて前記第一数量と前記第二数量との和以下であって前記搬送部でN番目に搬送され前記第二可変情報コードが印刷されていない前記基材である誤印刷基材を検出する検出部と、
を備え、
前記第一数量および前記第二数量の値は2以上であることを特徴とする基材印刷システム。
基材に印刷する第一可変情報、前記第一可変情報を印刷する前記基材の数量である第一数量、前記基材に印刷し前記第一可変情報とは異なる第二可変情報、前記第二可変情報を印刷する前記基材の数量である第二数量、並びに、前記第一可変情報の後で前記第二可変情報を印刷する順序を含む印刷指示情報に基づいて、前記第一可変情報を前記第一数量の前記基材に印刷し、続いて前記第二可変情報を前記第二数量の前記基材に印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷された前記基材を印刷された順番に搬送する搬送部と、
前記第一可変情報及び前記第二可変情報を前記搬送部で搬送された前記基材の順番に読み取る読み取り部と、
前記印刷指示情報に基づいて、Nが1以上前記第一数量以下であって前記搬送部でN番目に搬送され前記第一可変情報が印刷されていない前記基材、及び、Nが前記第一数量を越えて前記第一数量と前記第二数量との和以下であって前記搬送部でN番目に搬送され前記第二可変情報が印刷されていない前記基材である誤印刷基材を検出する検出部と、
を備え、
前記第一数量および前記第二数量の値は2以上であることを特徴とする基材印刷システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る基材印刷システムの一実施形態を、
図1から
図11を参照しながら説明する。
図1及び2に示すように、本実施形態の基材印刷システム1は、後述する第一バーコード221が表す第一数値221a及び第二バーコード222が表す第二数値222aを含む印刷指示情報に基づいて基材200に印刷するプリンタ(印刷部)10と、プリンタ10で印刷された基材200を印刷された順番に搬送する搬送レーン(搬送部)30と、第一バーコード221及び第二バーコード222を搬送レーン30で搬送された基材200の順番に読み取るバーコードリーダ(読み取り部)40と、搬送レーン30に併設されたリジェクト機構(区分け部)45と、プリンタ10、搬送レーン30、バーコードリーダ40、及びリジェクト機構45を制御する制御ユニット55とを備えている。
図1においては、基材200を見やすくするため、後述する位置センサ38及びバーコードリーダ40を二点鎖線で示している。
以下では、まず基材200について説明する。
図1では基材200を模式的に示しているが、
図3では基材200の形状をより正確に示す。
【0015】
基材200は、例えば、大判のロール紙等に、4面付けや8面付け等の多面付けで印刷されたものを打抜いたブランクスである。ロール紙には、白ボール等の白板紙や、黄板紙等の紙が用いられている。ロール紙の印刷には、グラビア印刷やオフセット印刷等の公知の印刷方法を好適に用いることができる。
基材200では、小側面板201、底板202、小側面板203、及び、天板204が、矩形状の底板202の長辺202aに沿う長手方向Xにこの順で連設されている。
小側面板201における底板202の短辺202bに沿う短手方向Yの両側には、フラップ板206が連設されている。小側面板203の短手方向Yの両側には、フラップ板207が連設されている。天板204の小側面板203とは反対側には、フラップ板208が連設されている。
【0016】
底板202の短手方向Yの両側には、大側面板210、211が連設されている。大側面板210の底板202とは反対側には、フラップ板212が連設されている。大側面板211の底板202とは反対側には、フラップ板213が連設されている。
小側面板201と底板202との間等には、符号を省略した折目が形成されている。この折目をヒンジとして用いることで、底板202に対して小側面板201を容易に折り曲げることができる。
小側面板203、天板204、大側面板210、211には、固定絵柄203a、204a、210a、211a(以下、固定絵柄203a等と称する)が印刷されている。固定絵柄203a等は、基材200のパッケージデザインを表している。
【0017】
小側面板201、底板202、及び小側面板203には、固定絵柄203a等が印刷されていない領域であって、
図4に示すバーコードである第一バーコード(第一可変情報コード)221及び第二バーコード(第二可変情報コード)222を印刷するための印刷領域201a、202c、203bが設けられている。
なお、説明の便宜のため、これら第一バーコード221、第二バーコード222の脇に、第一バーコード221が表す数値である第一数値(第一可変情報)221a、第二バーコード222が表す数値である第二数値(第二可変情報)222aを示す。
図3以外では、基材200に第一バーコード221又は第二バーコード222が印刷された場合には、第一バーコード221又は第二バーコード222が1カ所印刷された状態を模式的に示す。
【0018】
可変情報コードのコードとは、バーコードやQRコード(登録商標)等の情報伝達の効率性・守秘性を向上させるために変換された情報の表現であって、それを見ただけでは使用者が情報の内容を容易に理解できない情報のことを意味する。可変情報コードとは、このコードのうち基材200により表現内容が変わるもののことを意味する。可変情報とは、文字、数字等、使用者が情報の内容を容易に理解可能な情報のことを意味する。
この例では、固定絵柄203a等には、基材200を箱状に組み立てた後で基材200内に収納される収納物の名称、収納物を使用するメーカー名、収納物を表す絵等が含まれる。ただし、固定絵柄203a等に記載される内容は、これに限定されず、適宜選択することができる。
【0019】
ここで、前述の印刷指示情報について説明する。
印刷指示情報は例えばCSV(Comma−Separated Values)形式のファイルとしてハードディスクやメモリ等に記録される。
図5に示すように、ファイルの1行目には、第一数値221a、第一バーコード221を印刷する基材200の数量である第一数量221bが記載されている。ファイルの2行目には、第二数値222a、第二バーコード222を印刷する基材200の数量である第二数量222bが記載されている。第一数値221aと第一数量221b、第二数値222aと第二数量222bは、カンマでそれぞれ区切られている。第一数値221aは第二数値222aとは異なる。この例では、第一数値221aは「11」であり、第一数量221bは「3」である。第二数値222aは「22」であり、第二数量222bは「2」である。
ファイルにおいて1行目に第一数値221a、2行目に第二数値222aが記載されていることで、第一バーコード221の後で第二バーコード222を印刷することを表している。
【0020】
次に、プリンタ10の説明を行う。本実施形態ではプリンタ10として公知のレーザープリンタが用いられていが、プリンタ10はインクジェットプリンタでもよい。
図6に示すように、プリンタ10は、ケース11と、ケース11内に収容された感光ドラム12、感光ドラム12の表面にマイナスの静電気を帯びさせるための帯電部13、帯電した感光ドラム12を露光するためのレーザー発振器14aを有する露光部14、感光ドラム12にトナーTを付着させるための現像部15、感光ドラム12に付着したトナーTを基材200に転写させるための転写部16、基材200にトナーTを定着させるための定着部17、及び帯電部13等を制御するためのプリンタ制御部18とを有している。
【0021】
感光ドラム12は、ケース11内で感光ドラム12の軸線C1周りに回転可能に支持されている。現像部15内では、トナーTが攪拌される。
定着部17は、例えば基材200に熱や圧力を加えることで、基材200にトナーTを定着させる。
ケース11内には、基材200を搬送するためのローラ20、ローラ20を回転させるための図示しないローラ駆動モータが設けられている。
プリンタ制御部18は、帯電部13、露光部14、現像部15、転写部16、定着部17、及びローラ駆動モータに接続され、これらを制御する。
【0022】
ケース11は、鋼板や樹脂等で形成することができる。ケース11には、開口11a、11bが対向するように形成されている。
給紙トレイ22は、給紙トレイ22の下端部が開口11aよりも下方に位置するようにケース11に取付けられている。ケース11の外側であって開口11bよりも下方には、搬送レーン30における基材200を搬送する搬送方向Dの上流部30aが配置されている。ここで言う搬送方向Dとは、プリンタ10と搬送レーン30とを結ぶ方向のことを意味する。
このように構成されたプリンタ10は、前述の印刷指示情報に基づいて第一バーコード221を第一数量221bの基材200に印刷し、続いて第二バーコード222を第二数量222bの基材200に印刷する。
【0023】
搬送レーン30は、公知の構成のものであり、
図2、6及び7に示すように、搬送ベルト31の両側に巻回された一対のローラ32を有している。各ローラ32は、ローラ駆動モータ33により駆動される。ローラ駆動モータ33を駆動させ所定の向きに回転させることで一対のローラ32が回転し、搬送ベルト31の上面である搬送面31aが、上流部30aから搬送方向Dの下流部30bに移動する。搬送面31aは、基材200を支持したときに基材200を上流部30aから下流部30bまで搬送する。
搬送ベルト31よりも搬送方向Dの下流側には、リジェクト機構45を挟んで案内板34が配置されている。ここで言う搬送方向Dの下流側とは、搬送レーン30の上流部30aに対する下流部30b側のことを意味する。案内板34の上面は、搬送面31aに平行に配置されている(
図7参照)。案内板34のリジェクト機構45と反対側には、基材200を収容するための容器35が配置されている。
【0024】
搬送レーン30の上流部30a側には、
図1に示す位置センサ38が取付けられている。位置センサ38は、例えば図示しない投光部と受光部とを有している。投光部は受光部に向けて検出光を照射している。投光部と受光部との間に基材200が配置されていないときには、受光部で検出光を受光している。受光部が検出光を受光しなくなったときに、基材200の下流部30b側の端部が、検出光が通る位置P1に達したことが検出される。
前述のように、搬送レーン30はプリンタ10で印刷された基材200を、印刷された順番に搬送する。すなわち、搬送レーン30は、まず第一バーコード221が印刷された基材200を搬送し、続いて第二バーコード222が印刷された基材200を搬送する。
【0025】
搬送レーン30における位置センサ38よりも下流部30b側には、公知の構成のバーコードリーダ40が取付けられている。バーコードリーダ40は、第一数値221a、第二数値222aを読み取らず第一バーコード221、第二バーコード222を読み取る。バーコードリーダ40は、バーコードリーダ40よりも下方にある基材200のバーコード221、222を、搬送レーン30で搬送された基材200の順番に読み取る。
第一バーコード221を読み取ったバーコードリーダ40は、第一バーコード221を第一数値221aに対応付け、第一数値221aを信号に変換して制御ユニット55に送信する。バーコードリーダ40が第二バーコード222を読み取った場合も同様である。
【0026】
リジェクト機構45は、
図2及び7に示すように、搬送ベルト46と、搬送ベルト46の両側に巻回された一対のローラ47と、各ローラ47を駆動するローラ駆動モータ48と、搬送ベルト46の傾きを変えるためのチルト駆動モータ49とを有している。
搬送レーン30と同様に、ローラ駆動モータ48を駆動させ所定の向きに回転させることで一対のローラ47が回転し、搬送ベルト46の上面である補助搬送面46aが移動する。
チルト駆動モータ49は、図示しないギアを介して一対のローラ47に接続されている。チルト駆動モータ49を駆動することで、補助搬送面46aを搬送面31aと平行になるように配置された
図7中に実線で示す非排出状態P6と、搬送面31aと交差するように配置された
図7中に点線で示す排出状態P7と、に切替え可能である。
【0027】
搬送ベルト46の補助搬送面46aは、基材200を支持することができる。排出状態P7であるときのリジェクト機構45の下流側には、基材200を収容するための容器50が配置されている。容器50は、搬送レーン30の搬送方向Dの下流側の容器35とは異なる位置に配置されている。
補助搬送面46aが非排出状態P6であるときには、補助搬送面46aは搬送面31aとともに基材200を搬送レーン30の搬送方向Dの下流側に搬送する。搬送された基材200は、リジェクト機構45及び案内板34から落ちて、容器35に収容される。
一方で、補助搬送面46aが排出状態P7であるときには、補助搬送面46aは搬送面31aに支持された基材200を搬送面31aから受け取り、基材200を容器50に搬送する。
【0028】
制御ユニット55は、
図2に示すように、バス56に接続された検出部57、メモリ58、及び主制御部59を有している。バス56には、プリンタ10、搬送レーン30のローラ駆動モータ33、位置センサ38、バーコードリーダ40、リジェクト機構45のローラ駆動モータ48、チルト駆動モータ49、及び後述する表示部61、入力部62、USB(Universal Serial Bus)ハブ63が接続されている。
検出部57及び主制御部59は、演算素子及び補助メモリを有している。
メモリ58には、プリンタ10やバーコードリーダ40等を制御するための印刷指示プログラムや、後述する自動組版プログラムが記憶されている。これら印刷指示プログラム及び自動組版プログラムとしては、公知のソフトウエアを適宜選択して用いることができる。
【0029】
次に、検出部57の説明をするが、以下では記号Nは自然数を表すと規定する。
検出部57は、印刷指示情報に基づいて、Nが1以上第一数量221b以下であって搬送レーン30でN番目に搬送され第一バーコード221が印刷されていない基材200、及び、Nが第一数量を越えて第一数量と第二数量との和以下であって搬送レーン30でN番目に搬送され第二バーコード222が印刷されていない基材200である誤印刷基材を検出する。
【0030】
具体的に、印刷指示情報が
図5に示すものである場合で説明する。
プリンタ10で、まず第一数量221bである3枚の基材200に、第一数値221aである「11」を表す第一バーコード221が印刷される。この3枚の基材200が、搬送レーン30で搬送される。すなわち、Nが1以上3以下の場合には、搬送レーン30でN番目に搬送される基材200には第一バーコード221が印刷される。
次に、第二数量222bである2枚の基材200に、第二数値222aである「22」を表す第二バーコード222が印刷される。前述の3枚の基材200に続いて、この2枚の基材200が搬送レーン30で搬送される。すなわち、Nが3を越えて、3と2の和である5以下の場合には、搬送レーン30でN番目に搬送される基材200には第二バーコード222が印刷される。
【0031】
誤印刷基材の具体的な検出方法については、後述する。
主制御部59は、プリンタ10や搬送レーン30等、基材印刷システム1の全体を制御する。
【0032】
表示部61は、
図1に示す液晶モニタ61aを有している。液晶モニタ61aには、主制御部59で処理された内容が表示される。入力部62は、キーボードやマウス等で構成される。制御ユニット55、表示部61、及び入力部62として、公知のパーソナルコンピュータを好適に用いることができる。
USBハブ63には、フラッシュメモリを有する
図2に示すUSBメモリ230が着脱可能である。USBハブ63にUSBメモリ230を取付けることで、USBメモリ230に記録されたファイルを制御ユニット55のメモリ58にコピー(複写)したり、メモリ58に記録されたファイルをUSBメモリ230にコピーしたりすることができる。
【0033】
次に、以上のように構成された基材印刷システム1の作用について説明する。なお、基材印刷システム1を使用する前に、以下に説明するように印刷指示情報を作成する。
使用者は、得意先からの指示である発注データを、例えばUSBメモリ230に記録する。USBメモリ230をUSBハブ63に取付け、入力部62を操作して
図8に示す自動組版プログラム240をメモリ58から主制御部59に読み込ませる。主制御部59は、自動組版プログラム240に基づいて発注データ241を処理する。
発注データ241を処理することで、主制御部59はプリンタ10に送信するための画像データ242、画像データ242を印刷する基材200の数量である「3」のデータ、243、画像データ243を印刷する基材200の数量である「2」のデータ、及び、印刷指示プログラムで処理するための印刷指示情報244を作成する。画像データ242には、第一バーコード221の像、及び第一数値221aの像が含まれている。画像データ243には、第二バーコード222の像、及び第二数値222aの像が含まれている。
印刷指示情報244は、例えば
図5に示す内容となる。
【0034】
基材印刷システム1が動作を開始する時には、搬送レーン30は非排出状態P6になっている。主制御部59は、印刷指示プログラムに基づいて以下の工程を行う。
主制御部59は、画像データ242、画像データ242を印刷する基材200の数量である「3」のデータ、画像データ243、画像データ243を印刷する基材200の数量である「2」のデータをプリンタ10に送信する。主制御部59は印刷指示情報244を検出部57に送信し、検出部57は補助メモリに印刷指示情報244を記録する。
【0035】
主制御部59から画像データ242等を送信されたプリンタ10のプリンタ制御部18は、帯電部13により感光ドラム12の表面にマイナスの静電気を帯びさせる。感光ドラム12を図示しないドラム駆動モータにより、
図6に示すように軸線C1周りに方向Eに回転させる。
露光部14により、レーザー発振器14aからレーザー光Lを感光ドラム12に照射させる。感光ドラム12の表面におけるレーザー光Lが照射された部分は、マイナスの静電気が無くなる。このため、感光ドラム12の表面に画像データ242を表す形状にレーザー光Lを照射する。
【0036】
現像部15内のトナーTを感光ドラム12に近づける。すると、感光ドラム12の表面におけるマイナスの静電気が無くなった部分だけにトナーTが付着する。ローラ20により給紙トレイ22上に配置された基材200を搬送し、感光ドラム12に基材200を密着させる。
転写部16により、基材200における感光ドラム12とは反対側からプラスの電荷を与える。感光ドラム12の表面に付着したトナーTは、基材200に移る。
定着部17により基材200等に熱や圧力を加えることで、基材200に移ったトナーTを基材200に定着させる。
【0037】
以上の工程により、
図9にN=1番目の基材200として示すように、基材200に第一バーコード221が印刷される。同様の工程により、N=2番目とN=3番目の基材200に第一バーコード221が印刷される。N=4番目とN=5番目の基材200に第二バーコード222が印刷される。以下では、N=1番目の基材200を基材200Aと表す。同様に、N=2、3、4、5番目の基材200を、基材200B、200C、200D、200Eとそれぞれ表す。
この例では、何らかの原因により、
図10に示すように基材200Cに第二バーコード222が印刷されたとする。このように、印刷指示情報244に対して誤って印刷された基材200Cが誤印刷基材200Cである。
【0038】
プリンタ10が基材200にバーコード221、222を印刷すると同時に、主制御部59は搬送レーン30のローラ駆動モータ33を駆動して搬送ベルト31を移動させる。N=1番目の基材200Aが位置P1に達したときに位置センサ38が基材200Aを検出し、バーコードリーダ40がバーコード221、222を読み取る動作を開始する。
なお、位置センサ38で、位置P1を通過した基材200の枚数を検出してもよい。
バーコードリーダ40の下方に基材200Aの第一バーコード221が来たときに、バーコードリーダ40が基材200Aの第一バーコード221を読み取る。バーコードリーダ40は読み取った第一バーコード221に対応付けられた第一数値221aを信号に変換して、制御ユニット55の検出部57に送信する。
【0039】
検出部57の演算素子は、補助メモリに記録された印刷指示情報244を読み込み、バーコードリーダ40から送信された信号と比較する。Nが1以上3以下の場合には基材200A〜200Cから第一バーコード221が読み取られるはずなので、検出部57は基材200Aから読み取った第一バーコード221については、「読み取り値OK(問題無し)」と判断(判定)する。搬送レーン30を非排出状態P6のままにして、搬送面31a及び補助搬送面46aにより、基材200Aを搬送レーン30の搬送方向Dの下流側に搬送する。基材200Aは、容器35に収容される。
基材200Bについては、検出部57は基材200Aと同様に「読み取り値OK」と判断する。
【0040】
バーコードリーダ40の下方に基材200Cの第二バーコード222が来たときに、バーコードリーダ40が基材200Cの第二バーコード222を読み取る。Nが1以上3以下の場合には基材200A〜200Cから第一バーコード221が読み取られるはずなので、検出部57は基材200Cから読み取った第二バーコード222については、「読み取り値NG(問題有り)」と判断する。
チルト駆動モータ49を駆動して搬送レーン30を排出状態P7にして、補助搬送面46aにより、基材200Cを搬送レーン30の搬送方向Dの下流側とは異なる位置に搬送する。基材200Cは、容器50に収容される。
基材200Cが容器50に収容されたら、チルト駆動モータ49を駆動して搬送レーン30を非排出状態P6にする。
【0041】
バーコードリーダ40の下方に基材200Dの第二バーコード222が来たときに、バーコードリーダ40が基材200Dの第二バーコード222を読み取る。Nが3を越えて5以下の場合には基材200D、200Eから第二バーコード222が読み取られるはずなので、検出部57は基材200Dから読み取った第二バーコード222については、「読み取り値OK」と判断する。
基材200Eについては、検出部57は基材200Dと同様に「読み取り値OK」と判断する。
このように、リジェクト機構45は誤印刷基材200Cを、誤印刷基材200C以外の他の基材200A、200B、200D、200Eから区分する。検出した誤印刷基材200Cを、リジェクト機構45により1枚ずつ排出する。
【0042】
なお、検出部57による基材200A〜200Eの判定結果を記載した
図11に示すログファイルを作成してもよい。
ログファイルの1列目には、例えば、検査した基材200A〜200Eが搬送された順番(Nの値)が記録される。2〜4列目には、基材200A〜200Eを検査したときの時、分、秒がそれぞれ記録される。5列目には、検出部57による判定結果が記録される。この例では、N=3番目に搬送された基材200Cだけが「読み取り値NG」と判定されたため、順番が3に対応する検出部57による判定だけが「NG」で、他の判定は「OK」となる。
このログファイルは、例えば制御ユニット55のメモリ58に記録される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の基材印刷システム1によれば、印刷指示情報244に基づいて検出部57が誤印刷基材200Cを検出することで、基材200により印刷されているバーコード221、222が変わる場合でも、基材200にバーコード221、222を誤って印刷している誤印刷基材200Cを容易に検出することができる。
搬送レーン30が、プリンタ10で印刷された基材200を印刷された順番に搬送することで、発注データ241に基づいてプリンタ10で印刷した基材200の順番が変わらず、検出部57での検出が容易になる。
【0044】
基材印刷システム1は、非排出状態P6と排出状態P7とに切替え可能な補助搬送面46aを有するリジェクト機構45を備える。これにより、誤印刷基材200Cを他の基材200から確実に区分することができる。
検出部57による判定結果のログファイルを記録することで、「読み取り値NG」と判定された基材200の割合や、判定された時刻等を後で容易に分析することができる。
【0045】
なお、基材200にバーコード221、222を印刷し、検出部57による検査をした後で、第一バーコード221が印刷された基材200と第二バーコード222が印刷された基材200とを仕分けるピッキングを行ってもよい。本実施形態では、基材200に、第一バーコード221を印刷した後で第二バーコード222を印刷するため、ピッキングが容易になる。
【0046】
本実施形態の基材印刷システム1では、実際にはロット毎に通し番号を記載していくことになる。また、可変情報コードであるバーコード221、222を印刷する際に、品番毎に適切な数量を印刷し、それを作業記録としてログファイルに記録できるので、より厳密な印刷数量管理が可能となる。これにより、得意先から数量不足を指摘された際に、実際にバーコード221、222を印刷したかどうかの確認をより適切に行うことができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、プリンタ10が基材200に第一、第二可変情報である数値221a、222aを印刷し、例えばOCR(Optical Character Recognition)装置である読み取り部でこの数値221a、222aを読み取ってもよい。この場合、第一数量221bは第一数値221aを印刷する基材200の数量となり、第二数量222bは第二数値222aを印刷する基材200の数量となる。
プリンタ10は、基材200に第一数値221aを印刷した後で基材200に第二数値222aを印刷することになる。
印刷指示情報が
図5に示す例の場合、検出部57は、Nが1以上3以下であって搬送レーン30でN番目に搬送され第一数値221aが印刷されていない基材200、及び、Nが3を越えて5以下であって搬送レーン30でN番目に搬送され第二数値222aが印刷されていない基材200を誤印刷基材として検出する。
本変形例の基材印刷システムでも、本実施形態の基材印刷システム1と同様の効果を奏することができる。
【0048】
印刷指示情報は2種類の可変情報を含むとしたが、印刷指示情報が3種類以上の可変情報を含むとしてもよい。具体的に、例えば印刷指示情報が3種類の可変情報を含む場合で説明する。
図12に示すように、印刷指示情報はファイルとして記録される。
ファイルの1行目には、第一数値221a、第一バーコード221を印刷する基材200の数量である第一数量221bが記載されている。ファイルの2行目には、第二数値222a、第二バーコード222を印刷する基材200の数量である第二数量222bが記載されている。そして、ファイルの3行目には、第三数値223a、後述する第三バーコード223を印刷する基材200の数量である第三数量223bが記載されている。
この例では、第一数値221aは「11」であり、第一数量221bは「2」である。第二数値222aは「22」であり、第二数量222bは「1」である。第三数値223aは「33」であり、第三数量223bは「2」である。
ファイルにおいて1行目に第一数値221a、2行目に第二数値222a、そして3行目に第三数値223aが記載されていることで、第一バーコード221、第二バーコード222、第三バーコード223の順に印刷することを表している。
【0049】
この印刷指示情報に基づいて基材印刷システム1で各基材200に印刷すると、
図13に示すようになる。すなわち、基材200A及び基材200Bに第一バーコード221が印刷される。基材200Cに第二バーコード222が印刷される。基材200D及び基材200Eに第三バーコード223が印刷される。
この場合、検出部57は、基材200D、200Eに対しては、Nが第一数量221bと第二数量222bとの和を越えて、第一数量221b、第二数量222b及び第三数量223bの和以下であって搬送レーン30でN番目に搬送され第三バーコード223が印刷されていない基材200である誤印刷基材を検出する。
第二数量222b及び第三数量223bの和は3、第一数量221b、第二数量222b及び第三数量223bの和は5である。したがって、検出部57は、Nが3を越えて5以下であって搬送レーン30でN番目に搬送され第三バーコード223が印刷されていない基材200である誤印刷基材を検出する。
【0050】
可変情報は数値221a、222aであるとした。しかし、可変情報は、文字や記号であるとしてもよいし、数値、文字及び記号を組み合わせたものであるとしてもよい。
本実施形態では、検出部57が検出した誤印刷基材200Cをリジェクト機構45により1枚ずつ排出した。しかし、検出部57が基材200A〜200Eの中で少なくとも1枚の誤印刷基材を検出したときに、ジェクト機構45から基材200A〜200Eをまとめて排出してもよい。このように構成することで、ジェクト機構45を非排出状態P6と排出状態P7とに切替える回数を減らすことができる。
【0051】
区分け部はリジェクト機構45であるとしたが、区分け部が誤印刷基材に目印を付けること等で区分する装置であってもよい。
基材印刷システム1は、位置センサ38、及びリジェクト機構45を備えなくてもよい。
基材200はロール紙等を打抜いたブランクスであるとした。しかし、基材はブランクスをサック貼りした状態のものであってもよい。