特許第6550757号(P6550757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000002
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000003
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000004
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000005
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000006
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000007
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000008
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000009
  • 特許6550757-収容容器、これを用いた香り発生装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550757
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】収容容器、これを用いた香り発生装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20190722BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B65D85/00 A
   A61L9/12
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-8350(P2015-8350)
(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公開番号】特開2016-132468(P2016-132468A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野村 由佳
(72)【発明者】
【氏名】山科 晋
(72)【発明者】
【氏名】林 良宏
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 朗
(72)【発明者】
【氏名】高田 怜
(72)【発明者】
【氏名】菱田 美沙
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−112339(JP,A)
【文献】 実開平01−140956(JP,U)
【文献】 実開昭58−014803(JP,U)
【文献】 実開昭62−116258(JP,U)
【文献】 実開昭60−180434(JP,U)
【文献】 特開平11−276567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00
A61L 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に開口し、短冊状に立設され揮散性薬剤を前記開口に面する面を除いて前記揮散性薬剤と接触するように複数に分割して収容する分割部材を有する容器体と、
回転軸を有する複数の可動フラップ片が、互いに重なって前記開口を塞ぐ閉鎖位置と互いに離隔して前記開口を開放する開放位置の間で前記回転軸で回転し前記揮散性薬剤から揮散する揮散成分を通過させる開閉可能な蓋体と、を備えた、
ことを特徴とする収容容器。
【請求項2】
揮散性薬剤と、
請求項1に記載の収容容器と、を備えた、
ことを特徴とする香り発生装置。
【請求項3】
前記揮散性薬剤が、揮散性物質を保持するゲル成形体である、
ことを特徴とする請求項に記載の香り発生装置。
【請求項4】
装置本体から排気される空気の流通方向における下流側に設置して、芳香剤又は消香剤から選ばれる揮発性物質を放出するために使用される、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の香り発生装置。
【請求項5】
前記開放位置で前記可動フラップ片が前記空気を前記空気の流通方向における下流側に導く方向に傾斜している、
ことを特徴とする請求項記載の香り発生装置。
【請求項6】
前記装置本体が、機内で発生する熱を前記装置本体に設けた排気手段で機外へ排出する画像形成装置である、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の香り発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容容器、これを用いた香り発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置内の気体を外部に強制排気するファンと、処理中に装置内で発生するオゾンの濃度を低減するためのフィルタと、排気用の排気口とを備えた電子写真式の画像形成装置の排気方式において、ファンと排気口との間に芳香剤を有する画像形成装置の排気方式が知られている(特許文献1)。
収容した薬剤を容器体に開設された揮散孔から揮散する芳香剤において、
前記容器体の外周面に弾性体を突出させた状態で設け、当該容器体をドアポケットに収容した状態で該ドアポケットの内側面に前記弾性体が当接するように構成した芳香剤も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−275969号公報
【特許文献2】特開2014−50491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器に収容された香料成分を含むゲル体は、時間の経過とともに空気と接している表面から香料成分が揮発しゲル体表面中心部に向かって収縮するために、表面積が変化して一定の香りを提供できないことがあった。
本発明は、環境によらず、周辺環境へ一定した強度の香りを効率的に提供する揮散性薬剤の収容容器、これを用いた香り発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項に記載の収容容器は、
一端側に開口し、短冊状に立設され揮散性薬剤を前記開口に面する面を除いて前記揮散性薬剤と接触するように複数に分割して収容する分割部材を有する容器体と、
回転軸を有する複数の可動フラップ片が、互いに重なって前記開口を塞ぐ閉鎖位置と互いに離隔して前記開口を開放する開放位置の間で前記回転軸で回転し前記揮散性薬剤から揮散する揮散成分を通過させる開閉可能な蓋体と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0012】
前記課題を解決するために、請求項に記載の香り発生装置は、
揮散性薬剤と、
請求項1に記載の収容容器と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項に記載の香り発生装置において、
前記揮散性薬剤が、揮散性物質を保持するゲル成形体である、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項2又は3に記載の香り発生装置において、
装置本体から排気される空気の流通方向における下流側に設置して、芳香剤又は消香剤から選ばれる揮発性物質を放出するために使用される、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項に記載の収容容器において、
前記開放位置で前記蓋体が前記空気を前記空気の流通方向における下流側に導く方向に傾斜している、
ことを特徴とする。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項4又は5に記載の香り発生装置において、
前記装置本体が、機内で発生する熱を前記装置本体に設けた排気手段で機外へ排出する画像形成装置である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項に記載の発明によれば、揮散性薬剤を分割して収容する分割部材を備えていない場合に比して、揮散性物質の揮散に伴って揮散性薬剤が収縮しても周辺環境へ一定した強度の香りを効率的に通過させることができる。
請求項に記載の発明によれば、環境によらず、周辺環境へ一定した強度の香りを効率的に提供することができる。
請求項に記載の発明によれば、揮散性物質がゲル成形体でない場合に比して、運搬、保存、取り扱いを容易に行うことができる。
請求項に記載の発明によれば、香り発生装置が設置された装置の利用者を含む周辺環境へ安定した濃度で香りを提供することができる。
請求項に記載の発明によれば、外部の空気の香り発生装置への流入を抑制することができる。
請求項に記載の発明によれば、香り発生装置が設置された画像形成装置の利用者を含む周辺環境へ安定した濃度で香りを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は香り発生装置1の外観全体を示す斜視図、(b)は容器体20のX−X縦断面図、(c)は容器体20のY−Y縦断面図である。
図2】蓋体30の開閉機構の構成を示す断面模式図である。
図3】(a)は一定の横断面積を有する比較例の容器体を有する香り発生装置100におけるゲル成形体の変化を説明する断面模式図、(b)は本実施形態に係る香り発生装置1におけるゲル成形体の変化を説明する断面模式図である。
図4】香り発生装置1における蓋体30の機能を説明する断面模式図である。
図5】(a)は本実施形態に係る香り発生装置1Aの外観全体を示す斜視図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。
図6】(a)は変形例に係る香り発生装置1ABの縦断面図、(b)は横断面図である。
図7】(a)は香り発生装置1Bの下面側に視点をおいた外観全体を示す斜視図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。
図8】(a)は変形例に係る香り発生装置1Cの下面側に視点をおいた外観全体を示す斜視図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。
図9】(a)は香り発生装置1が設置された画像形成装置200の斜視図、図9(b)は香り発生装置1Bが設置された画像形成装置200の斜視図、(c)は画像形成装置200の排気を説明する平面視した部分断面図、(d)は排気側の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
尚、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0021】
「第1実施形態」
(1)香り発生装置の構成
図1(a)は香り発生装置1の外観全体を示す斜視図、(b)はX−X縦断面図、(c)はY−Y縦断面図、図2は蓋体30の開閉機構の構成を示す断面模式図である。
香り発生装置1は、揮散性薬剤10と、揮散性薬剤10を内部に収容する容器体20と、容器体20の開口を覆う蓋体30とから構成されている。
【0022】
(1.1)容器体
容器体20は、一端側が開口した有底の凹状容器体で、その横断面積が開口部22から底部23に向かって漸次減少するように形成されている。
具体的には、図1(c)に示すように、X−X断面において対向する内壁面21aが開口部22から底部23に向かって先細となるようにテーパ状に傾斜して形成されている。
同様に、Y−Y断面においても対向する内壁面21bが開口部22から底部23に向かって先細となるようにテーパ状に傾斜して形成されている。
【0023】
開口部22は、略矩形の開口面となっており(図1(b)参照)、開口部22の周縁にはフランジ部22aが形成されている。フランジ部22aは、蓋体30の内面を受けて蓋体30と接合され、揮散性薬剤10が収容された容器体20を密閉する。
尚、容器体20の開口部22から平面視した平面形状としては、矩形のほか、円形、長円形、その他の形状であってもよい。
【0024】
容器体20は、材料としては、容器体20の収容部S1内にゲル成形体を充填して保持できるものであれば特に限定されないが、合成樹脂を用いて射出成形等により形成される。合成樹脂としては、主として、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、バイオプラスチック等が挙げられる。
【0025】
(1.2)蓋体
蓋体30は、平面視略矩形の板状体で、容器体20の開口部22の周縁に形成されたフランジ部22aと接合され、蓋体30の上面31には、開閉機構の一例として可動フラップ機構35が設けられている。
可動フラップ機構35は、図2に示すように、開口部22を塞ぐ閉鎖位置と互いに離間して開口部22を開放する開放位置とを切り替えるようになっている。
【0026】
具体的には、可動フラップ機構35は、板状のフラップ36が複数それぞれ支軸37回りに回転可能に支持され、それぞれのフラップ36が支軸37回りに回転することで、隣接するフラップ36同士の端縁部が重なり合って開口部22を塞ぐ閉鎖位置(図2(a)参照)と、隣接するフラップ36同士の端縁部が離間して開口部22を開放する開放位置(図2(b)参照)とをとり得るように構成されている。
【0027】
本実施形態では、複数(7枚)のフラップ36が設けられ、可動フラップ機構35は、使用状態において、閉鎖位置から開放位置へ回転操作されて開口部22が開放される。
尚、駆動源を備えた装置本体に設置されて使用される場合には、装置本体に設けられたアクチュエータ等(不図示)によって開閉されてもよい。
【0028】
可動フラップ機構35は、開放位置では、図2(b)に示すようにそれぞれのフラップ36が形成する通気路38が断面視一定方向に傾斜して停止するように回転が規制されている。その結果、香り発生装置1が設置された状態で蓋体30の上方を空気流が流通した場合には、通気路38を介して容器体20の内部から揮散した香り成分が空気流の流通方向に拡散する。
【0029】
(1.3)揮散性薬剤
揮散性薬剤10は、揮散性物質を保持し、容器体20の収容部S1内に充填されて保持されたゲル成形体である。ゲル成形体に保持される揮散性物質は、ゲル成形体から揮散により蓋体30の通気路37を通過して外部に拡散される物質であり、揮散性の芳香剤、香料、消香剤などが挙げられる。これらの揮散性物質は、水溶性でも油溶性でもよいが、ゲル中に均一に溶解または分散してゲル成形体を形成し、ゲルの表面から揮散するものが好ましい。
【0030】
ゲル成形体は、揮散性物質を溶解して保持するゲルから形成され、ゲル成分としては、ゼラチン、オイルゲル、吸水ポリマー、多官能の酸とポリオールの重縮合ゲル等の公知のゲルが用いられるが、開口部22側が上下いずれの方向でも使用できるように、形状保持性を有するように形成される。
【0031】
(2)香り発生装置の作用
図3(a)は一定の横断面積を有する比較例の容器体を有する香り発生装置100におけるゲル成形体の変化を説明する断面模式図、(b)は本実施形態に係る香り発生装置1におけるゲル成形体の変化を説明する断面模式図、図4は香り発生装置1における蓋体30の機能を説明する断面模式図である。
香り発生装置1の使用状態では、容器体20内のゲル成形体は蓋体30の通気路38を通して空気と接触することになり、ゲル成形体に含まれる揮散性物質としての芳香剤、香料、消香剤等の揮発成分がゲル成形体の表面から外部に揮散し、香り発生装置としての機能を発揮する。
【0032】
使用開始直後は容器体20内に充填されたゲル成形体の開口部22側の表面からのみ揮散性物質が放出されるが、揮散が進んでゲル成形体が収縮する(図中 矢印参照)と、ゲル成形体は揮散する表面積が増加する(図3(a)、(b)中 A1、B1参照)。
【0033】
そして、大気との接触面積は大きくなり、ゲル成形体内の揮散性物質は略均一に分散しているために、大気に接触する表面積が増加した分だけ揮散性物質の揮散効率は高くなる。
リフレッシュや癒しの効果を狙った香りの発生は、周囲の利用者に快適な感情を引き起こす一方、揮散性物質の揮散量が安定せず、香り成分の濃度が必要以上に高くなりすぎると周囲の利用者の不快感につながる虞がある。
【0034】
本実施形態に係る香り発生装置1は、揮散性薬剤10としての揮散性物質を保持したゲル成形体を収容した容器体20の横断面積が開口部22から底部23に向かって漸次減少するように形成されている。
そのために、横断面積が一定の収容部を有する場合に比して、ゲル成形体が収縮しても、揮散する表面積(B1)の増加が抑制され、揮散効率の変化を抑制することができる(図3(b)参照)。
【0035】
蓋体30の上面31には、可動フラップ機構35が設けられている。可動フラップ機構35は、開口部22を塞ぐ閉鎖位置(図2(a)参照)と、破線で示す開口部22を開放する開放位置(図2(b)参照)とをとり得るように構成されている。
そして、フラップ36が、例えば、外部に設けられたアクチュエータ(不図示)によって駆動されることにより、閉鎖位置と開放位置の間に停止させ、それぞれのフラップ36が形成する通気路38の外部との開口面積を変化させることができる。
その結果、ゲル成形体の表面から揮散する香り成分の外部への通過量を変化させることができる。
【0036】
それぞれのフラップ36が形成する通気路38が断面視一定方向に傾斜して停止するように回転が規制されている。その結果、香り発生装置1が設置された状態で蓋体30の上方を空気流(図4中 矢印R参照)が流通した場合には、空気流の容器体20内への流入が抑制され、揮散性物質の揮散効率の変化を抑制することができる。
【0037】
「第2実施形態」
(1)香り発生装置の構成
図5(a)は本実施形態に係る香り発生装置1Aの外観全体を示す斜視図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。
香り発生装置1Aは、揮散性薬剤10と、揮散性薬剤10を内部に収容する容器体20Aと、容器体20Aの開口を覆う蓋体30とから構成されている。
【0038】
本実施形態の香り発生装置1Aは、一端側に開口し揮散性薬剤10を分割して内部に収容する分割部材25を有する容器体20Aを有する点で第1実施形態と異なっている。
以下、本実施形態の香り発生装置1Aの構成について図5を用いて説明するが、第1実施形態に係る香り発生装置1と共通の構成要素には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0039】
(1.1)容器体
容器体20Aは、一端側が開口した有底の凹状容器体で、揮散性薬剤10を分割して内部に収容する分割部材25を有する。
具体的には、図5(b)、(c)に示すように、底部23Aから複数の分割部材25が短冊状に立設されて、揮散性薬剤10は分割部材25によって画成された収容部S2に分割された状態で収容される。
分割部材25は、容器体20Aの底部23Aから一体として形成されても、別体として底部23A上に載置されてもよい。
【0040】
開口部22Aは、略矩形の開口面となっており(図5(b)参照)、開口部22Aの周縁にはフランジ部22Aaが形成されている。フランジ部22Aaは、蓋体30の内面を受けて蓋体30と接合され、揮散性薬剤10が収容された容器体20Aを密閉する。
尚、容器体20Aの開口部22Aから平面視した平面形状としては、矩形のほか、円形、長円形、その他の形状であってもよい。
【0041】
容器体20A及び分割部材25は、材料としては、容器体20Aに形成された収容部S2内にゲル成形体を充填して保持できるものであれば特に限定されないが、合成樹脂を用いて射出成形等により形成される。合成樹脂としては、主として、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、バイオプラスチック等が挙げられる。
【0042】
「変形例」
図6(a)は変形例に係る香り発生装置1ABの縦断面図、(b)は横断面図である。容器体20ABは、分割部材25ABが平面視格子状に立設されている。変形例の容器体20ABによれば、揮散性薬剤10は、格子状に画成されたそれぞれの収容部S3に収容される。
【0043】
(2)香り発生装置の作用
本実施形態に係る容器体20A及びその変形例としての容器体20ABは、それぞれ分割部材25、25ABによって画成された収容部S2、S3が、分割部材25、25ABを有さない容器体に比して、それぞれの内壁で形成されるゲル成形体との接触面積が拡大されている。
そのために、ゲル成形体の開口部22側の表面から、揮散が進んでゲル成形体が収縮する場合でも、収容部S2、S3の分割部材25、25ABで画成されたそれぞれ内壁面での収縮が抑制され、揮散性物質の揮散効率の変化が抑制される。
【0044】
「第3実施形態」
(1)香り発生装置の構成
図7(a)は香り発生装置1Bの下面側に視点をおいた外観全体を示す斜視図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図、図8(a)は変形例に係る香り発生装置1Cの下面側に視点をおいた外観全体を示す斜視図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。
香り発生装置1Bは、揮散性薬剤10と、揮散性薬剤10を内部に収容する容器体20Bと、容器体20Bの開口を分割して開口し揮散性薬剤10を下方から保持する保持部材26とから構成されている。
【0045】
(1.1)容器体
容器体20Bは、下端開口部を有し、内部に揮散性薬剤10を収容した状態で下端開口部は多数の開口部に分割された保持部材26で塞がれている。
具体的には、図7(b)に示すように、保持部材26は開口部を有する平板上の蓋部材であり、下端開口部が多数の分割された開口部によって構成されている。
図7(b)に一例として示す開口部は格子状に分割された多数の開口からなるが、開口部の分割態様は、これに限らず、円形、長円形、多角形等であってもよい。
【0046】
容器体20Bと保持部材26は、容器体20Bの開口した下面側から揮散性薬剤10を収容した状態で、接着、溶着、スナップフィット等で接合することができる。また、香り発生装置1Bは、多数の開口部に分割された保持部材26で塞がれた下面側から、外部に揮散性物質を通過させるように設置される。
そのために、容器体20Bの上面側には、設置のための公知の取り付け具が設けられる。
【0047】
(1.2)仕切り膜
図8(b)に示すように、保持部材26の揮散性薬剤10と接触する面には、通気性シートからなる仕切り膜27を設けてもよい。好適な通気性シートとしては、不織布が挙げられる。
仕切り膜27を設けることで、保持部材26の多数の開口部からの揮散性薬剤10の漏出を抑制することができる。
【0048】
(2)香り発生装置の作用
香り発生装置1Bは、容器体20Bが、下端開口部を有し、内部に揮散性薬剤10を収容した状態で下端開口部は多数の開口部に分割された保持部材26で塞がれている。
容器体20Bに収容されたゲル成形体は下面側の保持部材26に形成された多数の開口部を介して大気に接している。
そのために、ゲル成形体は、保持部材26の開口部側の表面から揮散が進んで収縮する場合でも、ゲル成形体の自重によって下面側の開口部へ垂下し、大気と接触して揮散性物質が揮散する面積の増加が抑制され、揮散性物質の揮散効率の変化が抑制される。
【0049】
「第4実施形態」
図9(a)は香り発生装置1が設置された画像形成装置200の斜視図、図9(b)は香り発生装置1Bが設置された画像形成装置200の斜視図、(c)は画像形成装置200の排気を説明する平面視した部分断面図、(d)は排気側の部分断面図である。
図9(c)、(d)に示すように、画像形成装置200の背面側の筐体内には排気ファンFが設けられた通気ダクト210が配置されて、画像形成装置200内の熱せられた空気を画像形成装置200の外部へ排出する。通気ダクト210の空気吸引側となる吸気口210Aは、定着装置(不図示)の側方の上方に位置し、通気ダクト210の排気側となる排気口210Bは、外装カバー220側に位置している。
【0050】
外装カバー220には、画像形成装置200外部と接続するように開口されたルーバ部221が形成され、通気ダクト210の排気口210Bと接続している。
図9(a)に示すように、外装カバー220のルーバ部の外側には凹部222が形成され、凹部222の底面222aに、香り発生装置1が蓋体30の可動フラップ機構35を上側にして設置されている。
【0051】
画像形成装置200は、動作状態において排気ファンFが回転すると、画像形成装置200内部の空気が通気ダクト210の吸気口210Aから吸入され、排気口210Bから外装カバー220のルーバ部221を介して装置外部へ排気される。
ルーバ部221から排気される空気流は、香り発生装置1の可動フラップ機構35の上方を流通し、連通路37を介して容器体20の内部から揮散した香り成分が空気流の流通方向に拡散する。その結果、画像形成装置200の利用者を含む周辺環境へ安定した濃度で香りを提供することができる。
【0052】
香り発生装置1Bは、図9(b)に示すように、凹部222の上面222bに下面側の開口を大気と接続するように設置されている。
ルーバ部221から排気される空気流は、香り発生装置1Bの下方を流通し、保持部材26に形成された多数の開口部を介して揮散した香り成分が空気流の流通方向に拡散する。その結果、画像形成装置200の利用者を含む周辺環境へ安定した濃度で香りを提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、1A、1AB、1B、1C、100・・・香り発生装置
10・・・揮散性薬剤
20、20A、20AB、20B・・・容器体
21a、21b・・・内壁面
22、22A・・・開口部
22a、22Aa・・・フランジ部
23、23A・・・底部
25、25AB・・・分割部材
26・・・保持部材
27・・・仕切り膜
30・・・蓋体
35・・・可動フラップ機構
36・・・フラップ
37・・・支軸
38・・・通気路
200・・・画像形成装置
210・・・通気ダクト
220・・・外装カバー
221・・・ルーバ部
222・・・凹部
F・・・排気ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9