【実施例1】
【0026】
はじめに、
図1乃至
図3を参照しながら実施例1に係る煙火災検知器保護カバーおよびその取付け治具について説明する。
図1(a)は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーの垂直方向断面図である。また、(b)は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーを底面側から見た図である。つまり、
図1(b)は、
図1(a)中の符号Aで示す方向から見た矢視図である。
図1に示すように、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1は主に、第1の室部2aと第2の室部2bとが連結されてなるカバー本体2と、第1の室部2aに形成される第1の中空部3aの内側面上に一体に固設される弾性緩衝材4からなるものである。
なお、この弾性緩衝材4は、スポンジ体である。
また、第1の室部2aへの弾性緩衝材4の固定方法を特定する必要は特にないが、例えば、接着剤5等により固定すればよい。
また、この弾性緩衝材4には、先の
図6に示す煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bを挿脱可能にするために中空部4aが形成されている。
実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1では、この中空部4aに煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bを挿入した際に、弾性緩衝材4を、煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bの外形に沿って弾性変形させて、煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bの最外に配置される周側面上にカバー本体2を保持しておく必要がある。
このため、弾性緩衝材4に形成される中空部4aの径Cは、先の
図6に示す煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bの最外に位置する周側面を形成する径において最も小さい値(径B、
図6を参照)よりも小さく設定しておく必要がある。
【0027】
また、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1は、第1の室部2aの鉛直下方側に、この第1の室部2aに形成される第1の中空部3aと分離されてなる第2の室部2bを備えており、第2の室部2bには第2の中空部3bが形成されている。
さらに、
図1(a),(b)に示されるように、第2の室部2bの鉛直下方側には、その第2の中空部3bへの取付け治具9(後段において説明する
図2を参照)の頭部10(後段において説明する
図2を参照)の挿脱を可能にするための切欠き部6aが形成されている。
加えて、本実施の形態に係る煙火災検知器保護カバー1A
1は、
図1に示すように、カバー本体2に取り外し用の紐8を備えていてもよい。この場合、後段において詳細に説明するが、煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)に装着された煙火災検知器保護カバー1A
1を、上述の取付け治具9(後段において説明する
図2を参照)を用いることなく取り外すことができる。
【0028】
次に、
図2を参照しながら、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を、煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)に挿脱する際に用いる取付け治具について説明する。
図2は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバー取付け治具の側面図である。
図2に示すように、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー取付け治具9(以下、単に取付け治具9とよぶ。)は、上述の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーの第2の室部2bに形成される切欠き部6aから第2の中空部3bに挿脱可能な頭部10と、この頭部10の鉛直下方側に垂設される棒体11とからなるものである。
なお、頭部10の上面10aを、カバー本体2の第2の室部2bの鉛直上方側の面に押し当てて、カバー本体2を操作するため、頭部10の上面10aをフラットにしておく必要がある。
さらに、第2の中空部3bにおいて取付け治具9の頭部10を水平方向に回動可能にするために、取付け治具9の頭部10の鉛直方向の厚みを、先の
図1(a)に示す第2の中空部3bの鉛直方向における空隙幅よりも小さく設定しておく必要がある。
【0029】
さらに、取付け治具9の棒体11は、特に図示しないが、複数の棒体により構成し、必要に応じてこれらを直列に連結可能に構成してもよい。この場合、棒体11の長さを所望に調節することができる。
あるいは、棒体11に伸縮機構を設けておき、この伸縮機構により棒体11の長さを調節可能にしてもよい。
このように、取付け治具9の棒体11の長さが調節可能であることで、地上から高く離れた天井に装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)が設けられる場合でも、作業員は、脚立等を用いることなく床面上に居ながらにして実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の着脱作業を行うことができる。
これにより、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の着脱作業時における作業性と安全性を同時に向上できる。
【0030】
続いて、
図3を参照しながら、装着対象である、例えば、煙火災検知器13Aに、
図2示す取付け治具9を用いて、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を装着する手順について詳細に説明する。
図3(a)は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーの第2の中空部への取付け治具の頭部の装着手順を示すための概念図である。(b)は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーに取付け治具を装着した状態を示す垂直方向断面図である。なお、
図1,3,6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、
図3(a)においては紐8の記載を省略した。
図3(a)に示すように、カバー本体2の鉛直下方の最下面に形成される切欠き部6aから、第2の室部2bの第2の中空部3b内に、取付け治具9の頭部10を挿入し、柄である棒体11(
図2を参照)を、例えば、時計回り方向に90°回動させて、
図3(a)中において破線で示すように、切欠き部6aの縁部に取付け治具9の頭部10を係止させる。
【0031】
なお、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1は、第2の中空部3bに、取付け治具9の頭部10の回動動作を規制するストッパー7を備えていてもよい。この場合、第2の中空部3bにおいて取付け治具9の頭部10を、棒体11を基軸に回動させた際に、カバー本体2の操作に最適で、かつ、切欠き部6aから取付け治具9の頭部10が抜け難い位置に、頭部10を配置することができる。
【0032】
そして、カバー本体2の第2の中空部3bに、取付け治具9の頭部10を収容して、切欠き部6aの縁部に係止させた状態が、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の取付け準備が完了した状態である(
図3(a)破線部を参照)。
この状態で、取付け治具9の棒体11を操作して、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を天井近くの、例えば、煙火災検知器13A近傍に持ち運び、そのまま、煙火災検知器13Aに実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を被せればよい。この時、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の弾性緩衝材4の中空部4aに煙火災検知器13Aが押し込まれ、煙火災検知器13Aにより弾性緩衝材4が弾性変形して、その反発力により煙火災検知器13Aの最外に位置する周側面上に煙火災検知器保護カバー1A
1が保持される。
この時、煙火災検知器13Aの最外に位置する周側面には、
図3(b)中に矢印で示すような押圧力が作用し続ける。
【0033】
また、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の弾性緩衝材4がスポンジ体であることで、カバー本体2の外部からカバー本体2に衝撃が加わった場合、例えば、カバー本体2に何かがぶつかった場合に、この衝撃から装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)を保護することができる。
【0034】
さらに、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の弾性緩衝材4として、低反発性素材からなるスポンジ体を用いてもよい。
なお、低反発性素材とは、反発力が低いウレタン製のスポンジ体であり、力がかかるとゆっくりと沈み、ゆっくりと戻る性質を有するものである。本発明では、スポンジ体に物体を押し当てて、その物体をスポンジ体から離間させた直後に、スポンジ体に押し当てた物体の形状が残存するスポンジ体を、低反発性素材からなるスポンジ体と呼ぶことにする。
この場合、弾性緩衝材4の弾性反発力が弱まるものの、弾性緩衝材4が、装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)の最外に位置する周側面の形状に沿って密着するように弾性変形し、これにより、煙火災検知器保護カバー1A
1の保持効果が高まる。
このことは、形状や大きさの異なる様々な煙火災検知器に、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を装着できることを意味している。
つまり、低反発性素材からなる弾性緩衝材4を用いることで実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の汎用性が高まる。
このような、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1によれば、
図6(b)に示すような煙火災検知器13Bにも支障なく装着して保持させることができる。
【0035】
そして、装着対象である煙火災検知器13Aへの煙火災検知器保護カバー1A
1の固定が完了した後は、カバー本体2の第2の室部2bにおいて、取付け治具9の頭部10を、棒体11を基軸に逆方向に、90°回動させて、切欠き部6aから取付け治具9の頭部10を抜き取ればよい。
また、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の使用後に、例えば、煙火災検知器13Aから、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を取り外すには、上述の手順の逆を行えばよい。
なお、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の取外しには、必ずしも、取付け治具9を用いる必要はなく、カバー本体2に設けられる紐8を鉛直下方に引くことによっても容易にカバー本体2を、装着対象である煙火災検知器13Aから取り外すことができる。
さらに、紐8は、煙火災検知器に実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1が装着されていることを示す目印にもなる。
このため、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を装着して、火花や粉塵、煙等が生じる作業を完了した後に、装着対象である煙火災検知器から実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を取外し忘れるのを好適に防止できる。
【0036】
さらに、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1は、取付け治具9や紐8を使用することなく装着対象である煙火災検知器に着脱することができる。
つまり、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1のカバー本体2を、作業者が直接手で持って、装着対象である煙火災検知器に着脱させてもよい。
従って、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1における第1の室部2a、切欠き部6a、取付け治具9および紐8は、必須の構成ではなく、必要に応じて設ければよい。
【0037】
このような、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1およびその取付け治具9によれば、装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)の最外に配置される周側面の全面が、弾性緩衝材4により被覆されるので、弾性緩衝材4による煙火災検知器の保持効果を向上できる。
これにより、装着対象である煙火災検知器の形状や大きさが異なる場合であっても、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を覆設することができる。
また、仮に大きさの異なる煙火災検知器保護カバー1A
1を使用する必要がある場合でも、カバー本体2に形成される第2の室部2bや切欠き部6aの大きさを一定にしておくことで、一種類の取付け治具9によりその挿脱作業を行うことが可能になる。
よって、この点からも汎用性の高い煙火災検知器保護カバー1A
1およびその取付け治具9を提供することができる。
さらに、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1によれば、装着対象である煙火災検知器に装着した場合に、弾性緩衝材4がカバー本体2の外側と内側を隔てる仕切りとして機能するため、煙火災検知器保護カバー1A
1の装着時に、煙火災検知器が収容される第1の中空部3aに粉塵や煙が流入するのを好適に防止できる。
これにより、煙火災検知器保護カバー1A
1の装着時に煙火災検知器の誤作動を確実に防止できる。
【0038】
なお、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1を構成するカバー本体2の材質としては、軽量で十分な剛性を有する合成樹脂を想定しているが、火花のよる損傷や穴開きを防止するために、その表面にアルミフィルム等を貼設するなどして、耐熱性を向上させてもよい。
あるいは、耐熱性又は難燃性を有する材質によりカバー本体2を構成してもよい。
【0039】
次に、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1の変形例について
図4を参照しながら説明する。
図4(a)は本発明の実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバーを底面側から見た図である。(b)は本発明の実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバーの第2の中空部への取付け治具の頭部の装着手順を示すための概念図である。なお、
図1乃至
図3,6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバー1A
2は、煙火災検知器保護カバー1A
1と比較して、切欠き部6bの形状が異なっている。
より具体的には、実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバー1A
2では、
図4(a)に示すように、取付け治具9の頭部10の平面形状と符合する又は相似となるような形状の切欠き部6bが形成されている。
なお、切欠き部6bの形状は、取付け治具9の頭部10の平面形状と、完全に符合していたり、完全に相似である必要はなく、第2の中空部3bに頭部10が挿脱可能であり、かつ、切欠き部6bの形状から頭部10の外形を容易にイメージできる形状であればよい。
つまり、切欠き部6bの形状が、例えば、
図2に示すような取付け治具9の頭部10の平面形状に似ているほど、作業者は、切欠き部6bに取付け治具9の頭部10をスムーズに挿入するために、取付け治具9の頭部10をどう配置すればよいかを理解しやすくなる。
このため、切欠き部6bの形状の少なくとも一部が、取付け治具9の頭部10の平面形状と符合していたり、あるいは、相似であればよい。
このように、切欠き部6bの形状から、取付け治具9の頭部10の形状を容易にイメージできるよう構成しておくことで、作業者は、目視で確認しながら取付け治具9の頭部10をスムーズに、切欠き部6bへの挿入に適した位置に移動させることができる。
これにより、変形例に係る煙火災検知器保護カバー1A
2に対する取付け治具9の挿脱作業を一層スムーズにできる。
【0040】
つまり、装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)に装着されている煙火災検知器保護カバー1A
2を取り外そうとして、第2の室部2bに形成される切欠き部6bに、取付け治具9の頭部10を挿入しようとした際に、作業者は、鉛直下方側から見上げるだけで、取付け治具9の頭部10の位置および向きが適切であるか否かを目視により容易に判断できる(
図4(b)を参照)。
これにより、作業者は、切欠き部6bへの取付け治具9の頭部10の挿脱をスムーズに行うことができる。よって、実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバー1A
2の着脱作業を一層迅速に行うことができる。
【実施例2】
【0041】
最後に、
図5を参照しながら本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bについて詳細に説明する。
先の実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1,1A
2において、装着対象である煙火災検知器の外形および大きさに対する汎用性を高めようとして弾性緩衝材4の厚み(水平方向の厚み)を大きくすると、中空部4aの径が容易に広がらず、大型の火災検知器を中空部4aにスムーズに収容できなくなる恐れがあった。
本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバーは、このような課題に対処するためのものである。
なお、実施例2では、本発明に係る煙火災検知器保護カバーの他の実施形態として、カバー本体2が第2の室部2bを備えない場合を示している。
よって、実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bを実際に使用する場合は、作業員がカバー本体2を手で持って装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)に直に着脱させる必要がある。
【0042】
図5(a)は本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバーの概念図である。また、(b)は本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバーの使用状態を示す垂直方向断面図である。なお、
図1乃至
図4,6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図5に示すように、実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bは、カバー本体2の第1の中空部3aの内側面に周設されるスポンジ体から成る弾性緩衝材4が、中空部4aに加えて、放射状に形成されるスリット4bを備えたものである。
この場合、弾性緩衝材4の中空部4aに、比較的大きな径(径B、
図6を参照)を有する煙火災検知器を挿入する際に、弾性緩衝材4の中空部4aの径Cを必要量だけ押し広げることができる。
この結果、実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bによれば、より多様な外形および大きさの煙火災検知器に煙火災検知器保護カバー1Bを装着することが可能になる。
従って、実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bによれば、先の実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A
1,1A
2よりもより汎用性の高い煙火災検知器保護カバーを提供できる。
【0043】
また、特に図示しないが、先の
図5(a)に示す煙火災検知器保護カバー1Bの弾性緩衝材4において、中空部4aを設けることなくスリット4bのみを形成してもよい。
この場合、煙火災検知器への弾性緩衝材4の挿入がやや難しくなることが予測されるものの、装着対象である煙火災検知器の外周面と弾性緩衝材4の接触面積を最大にできるので、煙火災検知器保護カバー1Bの汎用性および弾性緩衝材4によるカバー本体2の保持効果が最大になる。
さらに、本実施の形態においては、取付け治具9の頭部10の平面形状が一文字状である場合を例に挙げて説明しているが、頭部10の平面形状をこの形状に特定する必要性は特になく、所望の形状に設定してよい。
取付け治具9の頭部10の平面形状を、
図2に示すもの以外の形状にする場合は、カバー本体2の第2の室部2bに形成される切欠き部6a,6bの形状も、取付け治具9の頭部10の平面形状に合わせた形状に変更する必要がある。
なお、本実施の形態に係る取付け治具9の形状が、先の
図2に示すような一文字状である場合は、取付け治具9全体がT字状になるので、収納や搬送には有利である。
あるいは、取付け治具9における頭部10と棒体11を着脱可能に構成してもよい、この場合、頭部10の形状が複雑な場合に、その収納や搬送を容易にできるというメリットがある。