特許第6550758号(P6550758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6550758煙火災検知器保護カバーおよびその取付け治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6550758
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】煙火災検知器保護カバーおよびその取付け治具
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20190722BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G08B17/10 H
   G08B17/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-10733(P2015-10733)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-134155(P2016-134155A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】森 健治
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−268268(JP,A)
【文献】 実開昭53−075091(JP,U)
【文献】 米国特許第05264668(US,A)
【文献】 特開平06−314386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙火災検知器をその中空部に収容しながら前記煙火災検知器に覆設されるカバー本体と、このカバー本体の内側側面上に固設される弾性緩衝材と、を有し、
前記弾性緩衝材は、スポンジ体であり、かつ、その中央への前記煙火災検知器の挿脱を可能にする空隙又はスリット、あるいは、これらの組み合わせを備え、
前記弾性緩衝材中に前記煙火災検知器を挿入した場合に、前記弾性緩衝材が前記煙火災検知器の最外に位置する周側面の形状に沿って弾性変形して、前記煙火災検知器の前記周側面上に前記カバー本体が保持され
前記カバー本体は、前記煙火災検知器を収容する前記中空部を第1の中空部とし、この第1の中空部が形成される領域を第1の室部とすると、その底面側に、前記第1の室部と分離されてなる第2の室部を一体に備え、
前記第2の室部には第2の中空部が形成され、
前記第2の室部は、その鉛直下方側に前記カバー本体を前記煙火災検知器に着脱させるのに用いる取付け治具の頭部を挿脱可能にする切欠き部を備えていることを特徴とする煙火災検知器保護カバー。
【請求項2】
前記弾性緩衝材は、低反発性素材であることを特徴とする請求項1記載の煙火災検知器保護カバー。
【請求項3】
前記切欠き部の形状の少なくとも一部は、前記取付け治具の前記頭部の平面形状と符合している、又は、相似であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の煙火災検知器保護カバー。
【請求項4】
前記第2の室部は、前記取付け治具の前記頭部の回動動作を規制するストッパーを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の煙火災検知器保護カバー。
【請求項5】
前記カバー本体は、前記カバー本体を前記煙火災検知器から取り外すための紐を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の煙火災検知器保護カバー。
【請求項6】
請求項乃至請求項5のいずれか1項に記載の煙火災検知器保護カバーの前記切欠き部から前記第2の中空部に挿脱可能な前記頭部と、
前記頭部の鉛直下方側に垂設される操作棒と、を有することを特徴とする煙火災検知器保護カバー取付け治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙火災検知器への着脱が容易でかつ構造がシンプルであり、しかも、汎用性が高い煙火災検知器保護カバーおよびその取付け治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、煙火災検知器周辺において、火花や粉塵、あるいは、煙を生じるような作業を行うと、煙火災検知器が誤作動することがあった。このような煙火災検知器の誤作動を防止するために、シート体(養生シート)等で煙火災検知器をカバーした状態で作業を行っていた。
その一方で、シート体(養生シート)等による簡易のカバーでは、隙間が生じる場合があり、その隙間から粉塵、あるいは、煙が煙火災検知器に侵入して、煙火災検知器が誤作動してしまい、必要な作業を継続できないような事態が生じていた。
また、このようなシート体(養生シート)は通常、透明か又は半透明状態であるので、高所等においてはカバー体の着脱状態を目視で確認しづらく、作業終了後のカバー体の取外し忘れが生じるという課題もあった。
このような従来の課題に対処することを目的とした先行技術としては、特開2009−251657号公報(特許文献1)が知られていた。
このような特許文献1に開示される発明によれば、ビニール袋を利用することで簡易に煙火災検知器に、カバーを着脱できるというメリットを有する。その一方で、ビニール袋は合成樹脂製であるため、火花が触れた場合はその熱で瞬時に穴が開いてしまい、目的とする機能を発揮させることができなくなるという懸念があった。
他方、より高性能な煙火災検知器用カバーとしては、例えば、特開平9−147259号公報(特許文献2)、特開2006−252368号公報(特許文献3)、実願平1−138578号(実開平3−78393号)のマイクロフィルム(特許文献4)、特開2000−268268号公報(特許文献5)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−251657号公報
【特許文献2】特開平9−147259号公報
【特許文献3】特開2006−252368号公報
【特許文献4】実願平1−138578号(実開平3−78393号)のマイクロフィルム
【特許文献5】特開2000−268268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献2に開示される発明の場合、煙火災検知器へのカバーの着脱は、第一又は第二の空気袋中に封止される気体の圧力によって行われている。この場合、それぞれの空気袋に何らかの原因で穴が空いてしまった場合は、それぞれの空気袋が目的とする機能を発揮しなくなるので、その取扱いには注意が必要であった。つまり、様々な工具が使用される作業現場では、それぞれの空気袋が、その使用前に破損するリスクが高く、使用時および保管時の取り扱いについて課題があった。
さらに、特許文献2に開示される発明の場合は、煙火災検知器からカバーを取り外す際に、第二の空気袋に穴をあける必要がある。このことは、特許文献2に開示される発明が使い捨てされることを意味し、作業の度に煙火災検知器用カバーを使い捨てることは不経済であった。
【0005】
特許文献3に開示される発明の場合は、特定の形状の煙火災検知器に特化したカバーであるため、それ以外の形状の煙火災検知器には使用できないという課題があった。
【0006】
特許文献4に開示される発明の場合は、煙火災検知器と天井との間に隙間が形成されるタイプの煙火災検知器には装着できるものの、そうでない場合はカバーを煙火災検知器装着できないため、やはり、汎用性が低いという課題があった。
【0007】
特許文献5に開示される発明の場合、煙火災検知器へのカバーの着脱は、カバーの内側面上に周設されるフェルトの弾性変形によりなされている。
この場合、例えば、煙火災検知器の最外に位置する周側面が鉛直下方側に向かって縮径するテーパー状である場合は、カバーを装着できない可能性があり、やはり、汎用性が低いという課題があった。
また、フェルトの収縮率を考えると、特許文献5に開示される煙火災検知器用カバーを用いる場合は、煙火災検知器の外形に応じて適切な大きさのものを準備する必要があった。つまり、異なる形状の煙火災検知器が混在する場合は、それぞれの形状に応じた煙火災検知器用カバーを準備する必要があり、煩雑であった。
さらに、特許文献5に開示される発明の場合は、煙火災検知器用カバーとその取付け治具が対応する構成であるので、異なる大きさの煙火災検知器用カバーを用いる場合は、それに合わせた取付け治具を準備する必要があった。したがって、この点からも特許文献5に開示される発明は、煙火災検知器の形状や大きさに対する汎用性が高いとは言い難かった。
加えて、特許文献5に開示される発明の場合、煙火災検知器用カバーに設けられる取付け用の嵌合構造と、煙火災検知器用カバーを装着するための治具に設けられる嵌合構造とが、上手く噛み合っているか否かを、真下から見て容易に確認することができない。このため、煙火災検知器のカバーの着脱作業を効率よく行うことができないという課題もあった。また、せっかく装着された煙火災検知器用カバーを、治具の取外し時に意図せず外してしまう恐れがあり、作業性を向上し難いという課題もあった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、被装着対象である煙火災検知器の外形が異なる場合でも同じものを使用できて汎用性が高く、かつ、その構造が極めてシンプルな煙火災検知器保護カバーを提供することにある。
さらに、上記目的に加えて、煙火災検知器保護カバーを真下から見上げるだけで、その取付け治具の装着状態を目視により容易に確認することができる煙火災検知器保護カバーおよびその取付け治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため第1の発明である煙火災検知器保護カバーは、煙火災検知器をその中空部に収容しながら煙火災検知器に覆設されるカバー本体と、このカバー本体の内側側面上に固設される弾性緩衝材と、を有し、弾性緩衝材は、スポンジ体であり、かつ、その中央への煙火災検知器の挿脱を可能にする空隙又はスリット、あるいは、これらの組み合わせを備え、弾性緩衝材中に煙火災検知器を挿入した場合に、弾性緩衝材が煙火災検知器の最外に位置する周側面の形状に沿って弾性変形して、煙火災検知器の周側面上にカバー本体が保持されることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において、カバー本体は、煙火災検知器をその中空部に収容することで、煙火災検知器にカバー本体が隙間なく覆設される。これにより、火花や粉塵、煙等が煙火災検知器に進入するのを妨げるという作用を有する。また、弾性緩衝材は、煙火災検知器の周側面上にカバー本体を着脱可能に保持するとともに、カバー本体の外部から煙火災検知器に作用する衝撃を緩衝して、煙火災検知器を保護するという作用を有する。
また、弾性緩衝材が、その中央に空隙又はスリット、あるいは、これらの組み合わせを備えていることで、弾性緩衝材の中央部への煙火災検知器の挿脱が可能になる。
さらに、弾性緩衝材に形成される空隙又はスリット、あるいは、これらの組み合わせに煙火災検知器を挿入した場合に、弾性緩衝材が、煙火災検知器の最外に位置する周側面の形状に沿って弾性変形することで、煙火災検知器の最外に位置する周側面が弾性緩衝材に包み込まれるようにして密着して、カバー本体が保持される。
【0010】
第2の発明である煙火災検知器保護カバーは、第1の発明である煙火災検知器保護カバーであって、弾性緩衝材は、低反発性素材であることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、第1の発明と同じ作用に加えて、弾性緩衝材を、低反発性素材により構成することで、弾性緩衝材が一旦押し縮められて復元する際に、煙火災検知器の最外に位置する周側面上に、弾性緩衝材を一層隙間なく密着させるという作用を有する。
【0011】
第3の発明である煙火災検知器保護カバーは、第1又は第2の発明であって、カバー本体は、煙火災検知器を収容する中空部を第1の中空部とし、この第1の中空部が形成される領域を第1の室部とすると、その底面側に、第1の室部と分離されてなる第2の室部を一体に備え、第2の室部には第2の中空部が形成され、第2の室部は、その鉛直下方側にカバー本体を煙火災検知器に着脱させるのに用いる取付け治具の頭部を挿脱可能にする切欠き部を備えていることを特徴とする
ものである。
上記構成の第3の発明は、第1又は第2の発明と同じ作用に加えて、第2の室部に形成される第2の中空部は、取付け治具の頭部を収容するという作用を有する。また、切欠き部は、第2の中空部への取付け治具の頭部の挿脱可能にするという作用を有する。
また、切欠き部が、室部の鉛直下方側に形成されることで、カバー本体を取り外す際に作業者は、カバー本体の鉛直下方側からカバー本体を見上げるだけで、取付け治具の頭部を、切欠き部に適切に挿入できているか否かを目視により確認可能にするという作用を有する。
また、煙火災検知器への煙火災検知器保護カバーの装着が完了した場合に、作業者は、カバー本体の鉛直下方側からカバー本体を見上げることで、目視により確認しながら、取付け治具の頭部を、切欠き部から抜き取ることを可能にするという作用を有する。
【0012】
第4の発明である煙火災検知器保護カバーは、第1乃至第3の発明のいずれかであって、前記切欠き部の形状の少なくとも一部は、前記取付け治具の前記頭部の平面形状と符合している、又は、相似であることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、第1乃至第3の発明のそれぞれと同じ作用に加えて、切欠き部の形状の少なくとも一部が、取付け治具の頭部の平面形状と符合している、又は、相似であることで、取付け治具の頭部が、切欠き部のある位置に適切に配置されているか否かを、カバー本体の鉛直下方側から目視により確認可能にするという作用を有する。
【0013】
第5の発明である煙火災検知器保護カバーは、第1乃至第4の発明のいずれかであって、第2の室部は、取付け治具の頭部の回動動作を規制するストッパーを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、第1乃至第4の発明のそれぞれと同じ作用に加えて、ストッパーは、第2の室部内における所望の位置に取付け治具の頭部を配置させるという作用を有する。
【0014】
第6の発明である煙火災検知器保護カバーは、第1乃至第5の発明のいずれかであって、カバー本体は、カバー本体を煙火災検知器から取り外すための紐を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、第1乃至第5の発明のそれぞれと同じ作用に加えて、紐は、取付け治具を使用することなく煙火災検知器から煙火災検知器保護カバーの取り外しを可能にするという作用を有する。
【0015】
第7の発明である煙火災検知器保護カバー取付け治具は、第3乃至第5のいずれかの発明である煙火災検知器保護カバーの切欠き部から第2の中空部に挿脱可能な頭部と、頭部の鉛直下方側に垂設される操作棒と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の第7の発明では、頭部は、第2の中空部において、煙火災検知器にカバー本体を押しつけるように、または、煙火災検知器からカバー本体を引き離すように、力を作用させる。
また、操作棒は、間接的に頭部を操作可能にするという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
上述のような第1の発明によれば、煙火災検知器の最外に位置する周側面と弾性緩衝材との接触面積を大きくでき、かつ、弾性緩衝材との密着性も高めることができる。これにより、様々な形状及び大きさの煙火災検知器に第1の発明に係る煙火災検知器保護カバーを装着することが可能になる。上述のような第1の発明によれば、煙火災検知器の最外に位置する周側面が、鉛直下方側に向かって縮径していても、支障なく装着できる。よって、第1の発明に係る煙火災検知器保護カバーの汎用性を高めることができる。
また、弾性緩衝材をスポンジ体とすることで、第1の発明に係る煙火災検知器保護カバーを繰り返し使用できる。加えて、煙火災検知器を外部の衝撃から保護することもできる。よって、第1の発明を緩衝機能付きの耐用品として使用することができる。
【0017】
第2の発明は、上述の第1の発明と同じ効果に加えて、弾性緩衝材が低反発性素材からなるスポンジ体であることで、装着対象である煙火災検知器を包み込むようにして保持することができるので、弾性緩衝材によるカバー本体の保持性を向上させることができる。これにより、第1の発明と比較して第2の発明の汎用性及び信頼性を一層向上できる。
【0018】
第3の発明は、上述の第1又は第2の発明と同じ効果に加えて、煙火災検知器への煙火災検知器保護カバーの装着後に、取付け治具の頭部の第2の室部からの取外しをスムーズにするという効果を有する。さらに、煙火災検知器への煙火災検知器保護カバーの取付け時に、第2の室部への取付け治具の頭部の挿入をスムーズにできるという効果も有する。
この結果、煙火災検知器への煙火災検知器保護カバーの着脱作業の作業性を向上できる。
また、煙火災検知器に一旦、煙火災検知器保護カバーが装着された際に、取付け治具の頭部を第2の室部から取り外そうとして煙火災検知器保護カバーに、不必要な力が作用して、煙火災検知器保護カバーが意図せず外れてしまうのを防止できる。
よって、第3の発明の発明によれば、取付け治具を使用する際の作業性を大幅に向上できる。
【0019】
第4の発明は、上述の第1乃至第3のそれぞれの発明と同じ効果に加えて、第2の室部への、取付け治具の頭部の挿脱作業を一層スムーズにするという効果を有する。
この結果、煙火災検知器への煙火災検知器保護カバーの着脱作業時の作業性を一層向上できる。
【0020】
第5の発明は、上述の第1乃至第4のそれぞれの発明と同じ効果に加えて、第2の室部に収容された取付け治具の頭部の位置が外部から目視により確認できなくとも、取付け治具を回動させるだけで、煙火災検知器保護カバーの着脱作業に最適な位置に取付け治具の頭部を配置できる。
これにより、煙火災検知器保護カバーの着脱作業時の作業性を向上できる。
【0021】
第6の発明は、上述の第1乃至第5のそれぞれの発明と同じ効果に加えて、 煙火災検知器からの煙火災検知器保護カバーの取り外しを容易にするという効果を有する。
この結果、第6の発明に係る煙火災検知器保護カバーの利便性を向上できる。
さらに、紐は通常、火災検知器に煙火災検知器保護カバーが取り付けられていない場合には存在しないため、作業員に対して火災検知器に煙火災検知器保護カバーが取り付けられていることを示すサインにもなる。
この場合、火花や粉塵、煙等を生じるような作業が完了した後に、煙火災検知器から煙火災検知器保護カバーの取り外し忘れるのを好適に防止できる。
【0022】
第7の発明は、上述の第3乃至第5のそれぞれの発明である煙火災検知器保護カバーの着脱を行うための取付け治具である。
第7の発明によれば、作業者は、第3乃至第5のそれぞれの煙火災検知器保護カバーの着脱作業を行う際に、鉛直上方を見上げるだけで、目的とする箇所に取付け治具の頭部を配置できる。
この結果、第3乃至第5のそれぞれの煙火災検知器保護カバーの着脱作業の作業性を大幅に向上できる。
さらに、異なる大きさの煙火災検知器保護カバーを複数種類準備する場合でも、1種類の取付け治具を用いてこれらすべてを操作できるというメリットも有する。
よって、構造がシンプルでかつ、汎用性の高い取付け治具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(a)本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーの垂直方向断面図である。(b)本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーを底面側から見た図である。
図2】本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバー取付け治具の側面図である。
図3】(a)本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーの第2の中空部への取付け治具の頭部の装着手順を示すための概念図である。(b)本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーに取付け治具を装着した状態を示す垂直方向断面図である。
図4】(a)本発明の実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバーを底面側から見た図である。(b)本発明の実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバーの第2の中空部への取付け治具の頭部の装着手順を示すための概念図である。
図5】(a)本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバーの概念図である。(b)本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバーの使用状態を示す垂直方向断面図である。
図6】(a),(b)はともに本発明に係る煙火災検知器保護カバーの装着対象である煙火災検知器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係る煙火災検知器保護カバーおよびその取付け治具について図1乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
まず、図6を参照しながら本発明に係る煙火災検知器保護カバーの装着対象である、煙火災検知器の外形について説明する。
図6(a),(b)はともに本発明に係る煙火災検知器保護カバーの装着対象である煙火災検知器の側面図である。
図6(a),(b)に示すように、煙火災検知器は様々な形状を有している。例えば、図6(a)に示す煙火災検知器13Aのように、天井12に取設される部分がずん胴に構成されるものや、図6(b)に示す煙火災検知器13Bのように、天井12に取設される部分が鉛直下方側に向かって縮径するテーパー状のものなどがある。
特に、煙火災検知器13Bのような形状を有する場合は、上述の特許文献5に開示される技術内容を参酌しても、その胴部に煙火災検知器保護カバーをしっかり固定することは困難であった。
【実施例1】
【0026】
はじめに、図1乃至図3を参照しながら実施例1に係る煙火災検知器保護カバーおよびその取付け治具について説明する。
図1(a)は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーの垂直方向断面図である。また、(b)は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーを底面側から見た図である。つまり、図1(b)は、図1(a)中の符号Aで示す方向から見た矢視図である。
図1に示すように、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aは主に、第1の室部2aと第2の室部2bとが連結されてなるカバー本体2と、第1の室部2aに形成される第1の中空部3aの内側面上に一体に固設される弾性緩衝材4からなるものである。
なお、この弾性緩衝材4は、スポンジ体である。
また、第1の室部2aへの弾性緩衝材4の固定方法を特定する必要は特にないが、例えば、接着剤5等により固定すればよい。
また、この弾性緩衝材4には、先の図6に示す煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bを挿脱可能にするために中空部4aが形成されている。
実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aでは、この中空部4aに煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bを挿入した際に、弾性緩衝材4を、煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bの外形に沿って弾性変形させて、煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bの最外に配置される周側面上にカバー本体2を保持しておく必要がある。
このため、弾性緩衝材4に形成される中空部4aの径Cは、先の図6に示す煙火災検知器13Aや煙火災検知器13Bの最外に位置する周側面を形成する径において最も小さい値(径B、図6を参照)よりも小さく設定しておく必要がある。
【0027】
また、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aは、第1の室部2aの鉛直下方側に、この第1の室部2aに形成される第1の中空部3aと分離されてなる第2の室部2bを備えており、第2の室部2bには第2の中空部3bが形成されている。
さらに、図1(a),(b)に示されるように、第2の室部2bの鉛直下方側には、その第2の中空部3bへの取付け治具9(後段において説明する図2を参照)の頭部10(後段において説明する図2を参照)の挿脱を可能にするための切欠き部6aが形成されている。
加えて、本実施の形態に係る煙火災検知器保護カバー1Aは、図1に示すように、カバー本体2に取り外し用の紐8を備えていてもよい。この場合、後段において詳細に説明するが、煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)に装着された煙火災検知器保護カバー1Aを、上述の取付け治具9(後段において説明する図2を参照)を用いることなく取り外すことができる。
【0028】
次に、図2を参照しながら、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを、煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)に挿脱する際に用いる取付け治具について説明する。
図2は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバー取付け治具の側面図である。
図2に示すように、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー取付け治具9(以下、単に取付け治具9とよぶ。)は、上述の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーの第2の室部2bに形成される切欠き部6aから第2の中空部3bに挿脱可能な頭部10と、この頭部10の鉛直下方側に垂設される棒体11とからなるものである。
なお、頭部10の上面10aを、カバー本体2の第2の室部2bの鉛直上方側の面に押し当てて、カバー本体2を操作するため、頭部10の上面10aをフラットにしておく必要がある。
さらに、第2の中空部3bにおいて取付け治具9の頭部10を水平方向に回動可能にするために、取付け治具9の頭部10の鉛直方向の厚みを、先の図1(a)に示す第2の中空部3bの鉛直方向における空隙幅よりも小さく設定しておく必要がある。
【0029】
さらに、取付け治具9の棒体11は、特に図示しないが、複数の棒体により構成し、必要に応じてこれらを直列に連結可能に構成してもよい。この場合、棒体11の長さを所望に調節することができる。
あるいは、棒体11に伸縮機構を設けておき、この伸縮機構により棒体11の長さを調節可能にしてもよい。
このように、取付け治具9の棒体11の長さが調節可能であることで、地上から高く離れた天井に装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)が設けられる場合でも、作業員は、脚立等を用いることなく床面上に居ながらにして実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの着脱作業を行うことができる。
これにより、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの着脱作業時における作業性と安全性を同時に向上できる。
【0030】
続いて、図3を参照しながら、装着対象である、例えば、煙火災検知器13Aに、図2示す取付け治具9を用いて、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを装着する手順について詳細に説明する。
図3(a)は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーの第2の中空部への取付け治具の頭部の装着手順を示すための概念図である。(b)は本発明の実施例1に係る煙火災検知器保護カバーに取付け治具を装着した状態を示す垂直方向断面図である。なお、図1,3,6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、図3(a)においては紐8の記載を省略した。
図3(a)に示すように、カバー本体2の鉛直下方の最下面に形成される切欠き部6aから、第2の室部2bの第2の中空部3b内に、取付け治具9の頭部10を挿入し、柄である棒体11(図2を参照)を、例えば、時計回り方向に90°回動させて、図3(a)中において破線で示すように、切欠き部6aの縁部に取付け治具9の頭部10を係止させる。
【0031】
なお、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aは、第2の中空部3bに、取付け治具9の頭部10の回動動作を規制するストッパー7を備えていてもよい。この場合、第2の中空部3bにおいて取付け治具9の頭部10を、棒体11を基軸に回動させた際に、カバー本体2の操作に最適で、かつ、切欠き部6aから取付け治具9の頭部10が抜け難い位置に、頭部10を配置することができる。
【0032】
そして、カバー本体2の第2の中空部3bに、取付け治具9の頭部10を収容して、切欠き部6aの縁部に係止させた状態が、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの取付け準備が完了した状態である(図3(a)破線部を参照)。
この状態で、取付け治具9の棒体11を操作して、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを天井近くの、例えば、煙火災検知器13A近傍に持ち運び、そのまま、煙火災検知器13Aに実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを被せればよい。この時、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの弾性緩衝材4の中空部4aに煙火災検知器13Aが押し込まれ、煙火災検知器13Aにより弾性緩衝材4が弾性変形して、その反発力により煙火災検知器13Aの最外に位置する周側面上に煙火災検知器保護カバー1Aが保持される。
この時、煙火災検知器13Aの最外に位置する周側面には、図3(b)中に矢印で示すような押圧力が作用し続ける。
【0033】
また、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの弾性緩衝材4がスポンジ体であることで、カバー本体2の外部からカバー本体2に衝撃が加わった場合、例えば、カバー本体2に何かがぶつかった場合に、この衝撃から装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)を保護することができる。
【0034】
さらに、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの弾性緩衝材4として、低反発性素材からなるスポンジ体を用いてもよい。
なお、低反発性素材とは、反発力が低いウレタン製のスポンジ体であり、力がかかるとゆっくりと沈み、ゆっくりと戻る性質を有するものである。本発明では、スポンジ体に物体を押し当てて、その物体をスポンジ体から離間させた直後に、スポンジ体に押し当てた物体の形状が残存するスポンジ体を、低反発性素材からなるスポンジ体と呼ぶことにする。
この場合、弾性緩衝材4の弾性反発力が弱まるものの、弾性緩衝材4が、装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)の最外に位置する周側面の形状に沿って密着するように弾性変形し、これにより、煙火災検知器保護カバー1Aの保持効果が高まる。
このことは、形状や大きさの異なる様々な煙火災検知器に、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを装着できることを意味している。
つまり、低反発性素材からなる弾性緩衝材4を用いることで実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの汎用性が高まる。
このような、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aによれば、図6(b)に示すような煙火災検知器13Bにも支障なく装着して保持させることができる。
【0035】
そして、装着対象である煙火災検知器13Aへの煙火災検知器保護カバー1Aの固定が完了した後は、カバー本体2の第2の室部2bにおいて、取付け治具9の頭部10を、棒体11を基軸に逆方向に、90°回動させて、切欠き部6aから取付け治具9の頭部10を抜き取ればよい。
また、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの使用後に、例えば、煙火災検知器13Aから、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを取り外すには、上述の手順の逆を行えばよい。
なお、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの取外しには、必ずしも、取付け治具9を用いる必要はなく、カバー本体2に設けられる紐8を鉛直下方に引くことによっても容易にカバー本体2を、装着対象である煙火災検知器13Aから取り外すことができる。
さらに、紐8は、煙火災検知器に実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aが装着されていることを示す目印にもなる。
このため、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを装着して、火花や粉塵、煙等が生じる作業を完了した後に、装着対象である煙火災検知器から実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを取外し忘れるのを好適に防止できる。
【0036】
さらに、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aは、取付け治具9や紐8を使用することなく装着対象である煙火災検知器に着脱することができる。
つまり、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aのカバー本体2を、作業者が直接手で持って、装着対象である煙火災検知器に着脱させてもよい。
従って、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aにおける第1の室部2a、切欠き部6a、取付け治具9および紐8は、必須の構成ではなく、必要に応じて設ければよい。
【0037】
このような、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aおよびその取付け治具9によれば、装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)の最外に配置される周側面の全面が、弾性緩衝材4により被覆されるので、弾性緩衝材4による煙火災検知器の保持効果を向上できる。
これにより、装着対象である煙火災検知器の形状や大きさが異なる場合であっても、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを覆設することができる。
また、仮に大きさの異なる煙火災検知器保護カバー1Aを使用する必要がある場合でも、カバー本体2に形成される第2の室部2bや切欠き部6aの大きさを一定にしておくことで、一種類の取付け治具9によりその挿脱作業を行うことが可能になる。
よって、この点からも汎用性の高い煙火災検知器保護カバー1Aおよびその取付け治具9を提供することができる。
さらに、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aによれば、装着対象である煙火災検知器に装着した場合に、弾性緩衝材4がカバー本体2の外側と内側を隔てる仕切りとして機能するため、煙火災検知器保護カバー1Aの装着時に、煙火災検知器が収容される第1の中空部3aに粉塵や煙が流入するのを好適に防止できる。
これにより、煙火災検知器保護カバー1Aの装着時に煙火災検知器の誤作動を確実に防止できる。
【0038】
なお、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aを構成するカバー本体2の材質としては、軽量で十分な剛性を有する合成樹脂を想定しているが、火花のよる損傷や穴開きを防止するために、その表面にアルミフィルム等を貼設するなどして、耐熱性を向上させてもよい。
あるいは、耐熱性又は難燃性を有する材質によりカバー本体2を構成してもよい。
【0039】
次に、実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1Aの変形例について図4を参照しながら説明する。
図4(a)は本発明の実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバーを底面側から見た図である。(b)は本発明の実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバーの第2の中空部への取付け治具の頭部の装着手順を示すための概念図である。なお、図1乃至図3,6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバー1Aは、煙火災検知器保護カバー1Aと比較して、切欠き部6bの形状が異なっている。
より具体的には、実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバー1Aでは、図4(a)に示すように、取付け治具9の頭部10の平面形状と符合する又は相似となるような形状の切欠き部6bが形成されている。
なお、切欠き部6bの形状は、取付け治具9の頭部10の平面形状と、完全に符合していたり、完全に相似である必要はなく、第2の中空部3bに頭部10が挿脱可能であり、かつ、切欠き部6bの形状から頭部10の外形を容易にイメージできる形状であればよい。
つまり、切欠き部6bの形状が、例えば、図2に示すような取付け治具9の頭部10の平面形状に似ているほど、作業者は、切欠き部6bに取付け治具9の頭部10をスムーズに挿入するために、取付け治具9の頭部10をどう配置すればよいかを理解しやすくなる。
このため、切欠き部6bの形状の少なくとも一部が、取付け治具9の頭部10の平面形状と符合していたり、あるいは、相似であればよい。
このように、切欠き部6bの形状から、取付け治具9の頭部10の形状を容易にイメージできるよう構成しておくことで、作業者は、目視で確認しながら取付け治具9の頭部10をスムーズに、切欠き部6bへの挿入に適した位置に移動させることができる。
これにより、変形例に係る煙火災検知器保護カバー1Aに対する取付け治具9の挿脱作業を一層スムーズにできる。
【0040】
つまり、装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)に装着されている煙火災検知器保護カバー1Aを取り外そうとして、第2の室部2bに形成される切欠き部6bに、取付け治具9の頭部10を挿入しようとした際に、作業者は、鉛直下方側から見上げるだけで、取付け治具9の頭部10の位置および向きが適切であるか否かを目視により容易に判断できる(図4(b)を参照)。
これにより、作業者は、切欠き部6bへの取付け治具9の頭部10の挿脱をスムーズに行うことができる。よって、実施例1の変形例に係る煙火災検知器保護カバー1Aの着脱作業を一層迅速に行うことができる。
【実施例2】
【0041】
最後に、図5を参照しながら本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bについて詳細に説明する。
先の実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A,1Aにおいて、装着対象である煙火災検知器の外形および大きさに対する汎用性を高めようとして弾性緩衝材4の厚み(水平方向の厚み)を大きくすると、中空部4aの径が容易に広がらず、大型の火災検知器を中空部4aにスムーズに収容できなくなる恐れがあった。
本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバーは、このような課題に対処するためのものである。
なお、実施例2では、本発明に係る煙火災検知器保護カバーの他の実施形態として、カバー本体2が第2の室部2bを備えない場合を示している。
よって、実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bを実際に使用する場合は、作業員がカバー本体2を手で持って装着対象である煙火災検知器(例えば、煙火災検知器13A,13B)に直に着脱させる必要がある。
【0042】
図5(a)は本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバーの概念図である。また、(b)は本発明の実施例2に係る煙火災検知器保護カバーの使用状態を示す垂直方向断面図である。なお、図1乃至図4,6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図5に示すように、実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bは、カバー本体2の第1の中空部3aの内側面に周設されるスポンジ体から成る弾性緩衝材4が、中空部4aに加えて、放射状に形成されるスリット4bを備えたものである。
この場合、弾性緩衝材4の中空部4aに、比較的大きな径(径B、図6を参照)を有する煙火災検知器を挿入する際に、弾性緩衝材4の中空部4aの径Cを必要量だけ押し広げることができる。
この結果、実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bによれば、より多様な外形および大きさの煙火災検知器に煙火災検知器保護カバー1Bを装着することが可能になる。
従って、実施例2に係る煙火災検知器保護カバー1Bによれば、先の実施例1に係る煙火災検知器保護カバー1A,1Aよりもより汎用性の高い煙火災検知器保護カバーを提供できる。
【0043】
また、特に図示しないが、先の図5(a)に示す煙火災検知器保護カバー1Bの弾性緩衝材4において、中空部4aを設けることなくスリット4bのみを形成してもよい。
この場合、煙火災検知器への弾性緩衝材4の挿入がやや難しくなることが予測されるものの、装着対象である煙火災検知器の外周面と弾性緩衝材4の接触面積を最大にできるので、煙火災検知器保護カバー1Bの汎用性および弾性緩衝材4によるカバー本体2の保持効果が最大になる。
さらに、本実施の形態においては、取付け治具9の頭部10の平面形状が一文字状である場合を例に挙げて説明しているが、頭部10の平面形状をこの形状に特定する必要性は特になく、所望の形状に設定してよい。
取付け治具9の頭部10の平面形状を、図2に示すもの以外の形状にする場合は、カバー本体2の第2の室部2bに形成される切欠き部6a,6bの形状も、取付け治具9の頭部10の平面形状に合わせた形状に変更する必要がある。
なお、本実施の形態に係る取付け治具9の形状が、先の図2に示すような一文字状である場合は、取付け治具9全体がT字状になるので、収納や搬送には有利である。
あるいは、取付け治具9における頭部10と棒体11を着脱可能に構成してもよい、この場合、頭部10の形状が複雑な場合に、その収納や搬送を容易にできるというメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように本発明は、煙火災検知器への挿脱が容易で、かつ、煙火災検知器の外形および大きさに対する汎用性が高く、外部から作用する衝撃に対する緩衝作用を有し、しかも、構造が極めてシンプルな煙火災検知器保護カバーおよびその取付け治具であり、屋内設備の保守、保護に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1A,1A,1B…煙火災検知器保護カバー 2…カバー本体 2a…第1の室部 2b…第2の室部 3a…第1の中空部 3b…第2の中空部 4…弾性緩衝材(スポンジ体) 4a…中空部 4b…スリット 5…接着剤 6a,6b…切欠き部 7…ストッパー 8…紐 9…取付け治具 10…頭部 10a…上面 11…棒体 12…天井 13A,13B…煙火災検知器
図1
図2
図3
図4
図5
図6