(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部は、前記装置が節電モードになる前に前記第1の状態を表す検出結果を記憶しており且つ前記第1モードへの切替後に前記第2の状態が検出された場合には、記憶している当該検出結果を前記第2の状態を表す検出結果に上書きする
請求項1に記載の電力制御装置。
第1モードでは、装置の利用開始の際に現れる状態を検出すれば当該状態を表す第1の出力を行い、当該装置の利用終了の際に現れる状態を検出すれば当該状態を表す第2の出力を行い、第2モードでは前記検出を行わない第1検出部と、
人間の接近又は動作を検出し且つ前記第1検出部が前記第1モードから前記第2モードになったときの消費電力の低減量よりも消費電力が小さい第2検出部と、
前記第1検出部のモードを、前記第2検出部により前記接近又は動作が検出されたときに前記第1モードに、前記装置が節電モードになるときに前記第2モードに切り替える切替部と、
前記第1モードへの切替後の決められた期間が経過した後に前記第1検出部からの出力が変化した場合に前記節電モードを解除する解除部であって、前記節電モードを解除する度に前記期間を短縮し、当該短縮により削った期間に前記出力の変化が検出された場合に、当該短縮を行う前の期間に戻して且つ以降は短縮を行わない解除部と
を備える電力制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1]第1実施例
図1は第1実施例に係る画像処理装置1のハードウェア構成を表す。画像処理装置1は、スキャン、プリント及びコピー等の画像処理を伴うサービスを提供する一方、ユーザによって利用されていないときには、消費電力を低減する節電モードで稼働して、スキャン等のサービス提供を停止する。画像処理装置1は、節電モードを解除すると、再び各サービスを提供する動作を行う。こうして各サービスを提供するときのモードを通常モードと呼ぶものとする。以下では、画像処理装置1が節電モードを解除して通常モードに戻るための仕組みについて説明する。
【0015】
画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)2と、RAM(Random Access Memory)3と、ROM(Read Only Memory)4と、HDD(Hard Disk Drive)5と、操作パネル6と、プリンタ7と、スキャナ8と、開閉検出センサ11と、人感センサ12と、電源制御回路13と、レジスタ14と、節電制御回路15とを有する。CPU2は、ROM4やHDD5に記憶されているプログラムを実行するコンピュータであり、RAM3をワークエリアとして用いて各部の動作を制御する。
【0016】
HDD5は各種プログラムやデータを記憶する。操作パネル6は、各種メッセージや画像を表示するディスプレイ及び画像処理装置1を操作するための操作子(ディスプレイに設けられたタッチスクリーンを含む)等を有する。プリンタ7は、記録媒体に画像を形成する手段であり、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを用いて電子写真方式で記録媒体に画像を形成する。スキャナ8は、用紙等の記録媒体に形成された画像を読み取る手段であり、例えば記録媒体上の画像を光学的に読み取る。スキャナ8について
図2、
図3を参照して説明する。
【0017】
図2は画像処理装置1の外観を表す。画像処理装置1は、プリンタ7の上側にスキャナ8が設けられている。スキャナ8は、本体81と、原稿押付け部82とを備える。本体81は、原稿に光を照射する光源やイメージセンサ、原稿からの反射光をイメージセンサまで導く光学系などを有する。原稿押付け部82は、本体81に載せられた原稿を押さえ付ける板状の部材であり、プラテンとも呼ばれる。
【0018】
図3は原稿押付け部82を開いた状態を表す。原稿押付け部82を開くと、原稿台83に原稿を載せたり、原稿台83に載せられていた原稿を取り除いたりすることが可能な状態になる。原稿押付け部82は、通常は、ユーザがスキャン機能を利用していないときには閉まった状態であり、ユーザがスキャン機能を利用しようとするときに開いた状態になる。また、原稿押付け部82は、スキャン中も閉まった状態であり、原稿を取り替えるときに開いた状態になる。
【0019】
図1に表す開閉検出センサ11は、上記の原稿押付け部82の開閉の状態を検出するセンサである。原稿押付け部82の開閉の状態は、画像処理装置1の状態の一つである。開閉検出センサ11は、画像処理装置1の状態を検出する本発明の「第1検出部」の一例である。開閉検出センサ11は、例えば曲げセンサであり、原稿押付け部82が開閉すると曲がり具合が変化して抵抗値が変化し、それによって出力が変化する。開閉検出センサ11は、原稿押付け部82が閉じている状態では低い電圧の信号Lowを出力し、原稿押付け部82が開いている状態では高い電圧の信号Highを出力する。開閉検出センサ11が出力した信号はCPU2に供給される。
【0020】
開閉検出センサ11は、開閉状態の検出を行う第1モードと、開閉状態の検出を行わない第2モードの2通りのモードで稼働する。開閉検出センサ11は、第1モードでは、いつ原稿押付け部82が開閉されても状態の変化を検出して出力する信号が切り替わるように電力が供給され続ける状態になっている。そのため、開閉検出センサ11は、第1モードでは原稿押付け部82の開閉がなくても電力を消費し続けている。
【0021】
一方、開閉検出センサ11は、第2モードでは、第1モードに比べて自身の消費電力が低減された状態になっている。本実施例では、開閉検出センサ11は、第2モードでは電源を切断されて電力が供給されない状態になることで、第1モードよりも消費電力が低減され、且つ、開閉状態の検出を行わない状態になる。なお、第2モードでの電源の切断は必須ではなく、消費電力が低減されて且つ開閉状態の検出を行わない状態になっていれば、開閉検出センサ11への電力の供給があってもよい。
【0022】
人感センサ12は、人間の接近を検出するセンサである。人感センサ12は、例えば赤外線や超音波などを発することで人間の接近を検出する。人感センサ12としては、開閉検出センサ11が第1モードから第2モードになったときの消費電力の低減量よりも消費電力が小さいものが用いられる。人感センサ12は本発明の「第2検出部」の一例である。人感センサ12の設置位置及び検出範囲について
図4を参照して説明する。
【0023】
図4は鉛直上方から見た画像処理装置1を表す。画像処理装置1には操作パネル6が設けられている。人感センサ12は、画像処理装置1のうちの操作パネル6が設けられている側、すなわちユーザが操作パネル6を操作するときに立つ側に設けられている。
図4では、人感センサ12が人間の接近を検出する検出範囲A1が表されている。人感センサ12は、検出範囲A1に人間が入ってくると、人間の接近を検出する。人感センサ12は、人間の接近を検出したことを示す信号を電源制御回路13に供給する。
【0024】
電源制御回路13は、開閉検出センサ11の電源を制御する回路である。電源制御回路13が開閉検出センサ11の電源を投入すると、開閉検出センサ11は開閉状態の検出を行う状態、すなわち前述した第1モードになる。また、電源制御回路13が開閉検出センサ11の電源を切断すると、開閉検出センサ11は開閉状態の検出を行わない状態、すなわち前述した第2モードになる。このように、電源制御回路13は、開閉検出センサ11のモードを切り替える本発明の「切替部」の一例である。
【0025】
電源制御回路13は、開閉検出センサ11のモードを、人感センサ12により人間の接近が検出されたときに第1モードに切り替える。具体的には、電源制御回路13は、人感センサ12から供給される信号が人間の接近を表すものになったときに、開閉検出センサ11の電源を投入して第1モードに切り替える。なお、第1モードに切り替えられた開閉検出センサ11が信号High及び信号Lowを出力するまでに厳密には数msec程度の時間(センサの起動時間)を要するが、本実施例ではその時間は無視できるものとする。
【0026】
また、電源制御回路13は、開閉検出センサ11のモードを、画像処理装置1が節電モードになるときに第2モードに切り替える。電源制御回路13は、節電モードになることを、後述する節電制御回路15からの信号に基づいて判断する。
【0027】
レジスタ14は、開閉検出センサ11の検出結果を記憶する。レジスタ14は本発明の「記憶部」の一例である。CPU2は、開閉検出センサ11から信号Lowが供給されると原稿押付け部82が閉じている状態を表す情報(例えば「0」という値)をレジスタ14に記憶させ、開閉検出センサ11から信号Highが供給されると原稿押付け部82が開いている状態を表す情報(例えば「1」という値)をレジスタ14に記憶させる。
【0028】
CPU2は、後述する節電制御回路15により自装置が節電モードになると電力が供給されなくなる。CPU2は、節電モードが開始されることになると、まだ電力が供給されているうちに開閉検出センサ11による検出結果をレジスタ14に記憶させる。こうしてレジスタ14には節電モードになる前の検出結果が記憶される。
【0029】
節電制御回路15は、画像処理装置1の通常モード及び節電モードにおける画像処理装置1の各部(
図1に表すCPU2やRAM3、ROM4など)への電力の供給を制御する。節電制御回路15は、通常モードでは、各部が通常の動作を行う際に必要な電力をそれらの各部に対して供給する制御を行う。また、節電制御回路15は、節電モードでは、各部を3つのグループに分け、第1グループについては電力の供給を停止し、第2グループについては電力を供給し続ける制御を行う。第2グループには、人感センサ12、電源制御回路13及びレジスタ14が含まれる。なお、前述したように節電制御回路15自身も節電モードでも電力が供給されるようになっている。
【0030】
節電制御回路15は、第3グループに対しても節電モードにおいて電力を供給する。ただし、第3グループについては、他の回路によって電力の供給が制御される。具体的には、第3グループには開閉検出センサ11が含まれ、電源制御回路13によって上述したように電力の供給が制御される。節電制御回路15は、例えば操作パネル6への操作や各部の動作が行われない時間が閾値を超えた場合に、節電モードに切り替えるための条件(以下「節電条件」という)が満たされたと判断し、節電モードにおける電力の制御、すなわち第1グループへの電力の供給の停止を開始する。節電制御回路15は、この制御を開始すると、その旨を表す信号を電源制御回路13に供給する。電源制御回路13は、この信号が供給されると自装置が節電モードになると判断し、上述した第2モードへの切り替えを行う。
【0031】
また、節電制御回路15は、以下に述べる節電モードを解除するための条件(以下「解除条件」という)が満たされた場合に、節電モードを解除する。節電制御回路15には、開閉検出センサ11が出力した信号High及び信号Lowが供給される。これらの信号は、開閉検出センサ11による検出結果、すなわち信号Highは原稿押付け部82が開いている状態(以下「オープン状態」という)が検出された結果を表し、信号Lowは原稿押付け部82が閉じている状態(以下「クローズ状態」という)が検出された結果を表す。
【0032】
オープン状態は、画像処理装置1の利用開始の際に現れる状態であり、本発明の「第1の状態」の一例である。また、クローズ状態は、画像処理装置1の利用終了の際に現れる状態であり、本発明の「第2の状態」の一例である。なお、第1及び第2の状態は、いずれも、画像処理装置1の利用開始及び利用終了の際にしか現れないというわけではなく、例えばユーザが画像処理装置1を利用している最中にも現れる状態であってもよい(本実施例では、スキャン中は原稿押付け部82が閉じている状態となり、原稿を取り替えるときには原稿押付け部82が開いている状態となる)。
【0033】
節電制御回路15は、前述した信号High及び信号Lowにより開閉検出センサ11による検出結果を受け取ると、レジスタ14に記憶されている検出結果を参照する。節電制御回路15は、第1モードへの切替後に行われた開閉検出センサ11による検出結果と、レジスタ14に記憶されている検出結果、すなわち自装置が節電モードになる前にレジスタ14に記憶された検出結果とが解除条件を満たした場合に節電モードを解除する。
【0034】
ここでいう第1モードへの切替後に行われた開閉検出センサ11による検出結果には、次の2通りの場合が含まれる。例えば画像処理装置1の近くをユーザが通り過ぎた場合、人間の接近が検出されて開閉検出センサ11に電源が投入されるが、原稿押付け部82の開閉の状態は変わらないまま再び節電モードに切り替わることになる。この場合は、開閉検出センサ11が第1モードに切り替えられてから第2モードに切り替えられるまでに検出される結果が変化しないので、最初に検出された検出結果がそのまま第1モードへの切替後に行われた開閉検出センサ11による検出結果となる。
【0035】
一方、画像処理装置1をユーザが利用する場合、そのユーザが接近することで電源が投入された開閉検出センサ11が原稿押付け部82の開閉の状態を検出することになるが、電源の投入から最初の検出までに要する時間は前述のとおり無視できる程度の時間であるため、例えば原稿押付け部82が閉じていればクローズ状態が検出され、その後にユーザが原稿押付け部82を開くことでオープン状態が検出されることになる。つまり、開閉検出センサ11が第1モードに切り替えられてから第2モードに切り替えられるまでに検出される結果が変化することになる。この場合は、最初に検出結果が変化したときの変化後の検出結果(前述の例ではオープン状態)が第1モードへの切替後に行われた開閉検出センサ11による検出結果となる。
【0036】
節電制御回路15は、例えば、記憶されている検出結果が表す状態、開閉検出センサ11による検出結果が表す状態及び節電モードの解除の有無を対応付けた解除条件テーブルを用いて解除条件が満たされたか否かを判断する。
図5は解除条件テーブルの一例を表す。
図5の例では、記憶されている検出結果が「クローズ状態」を表し、開閉検出センサ11による検出結果が「オープン状態」を表す場合は節電モードの解除が「あり」となっており、それ以外の組み合わせではいずれも節電モードの解除が「なし」となっている。
【0037】
図5に表す解除条件テーブルに基づいて、節電制御回路15は、クローズ状態を表す検出結果が記憶されており、且つ、開閉検出センサ11によりオープン状態を表す検出結果が検出された場合に、解除条件が満たされたと判断し、節電モードを解除する。例えばユーザが画像処理装置1のスキャン機能を利用し終わると、原稿押付け部82を開いて原稿を取り出し、再び原稿押付け部82を閉じた後に画像処理装置1の設置場所から立ち去る。
【0038】
その後、画像処理装置1が節電モードになると、クローズ状態を表す検出結果がレジスタ14に記憶される。そして、他のユーザがやってきて、画像処理装置1のスキャン機能を利用するため原稿押付け部82を開けて原稿をセットしたとする。この場合には、前述のとおりクローズ状態を表す検出結果が記憶されており、且つ、オープン状態を表す検出結果が開閉検出センサ11により検出されるので、節電モードが解除される。
【0039】
また、節電制御回路15は、第1モードへの切替後に開閉検出センサ11によりクローズ状態が検出された場合には、記憶されている検出結果がどちらの状態を表していても、解除条件が満たされないと判断する。第1モードに切り替えられた開閉検出センサ11によりクローズ状態が検出される場合としては、例えば、原稿押付け部82が閉じられた状態の画像処理装置1の近くを通ったユーザの接近を人感センサ12が検出し、そのユーザが原稿押付け部82を開けることなく立ち去った場合か、開いたままになっていた原稿押付け部82を通りがかりのユーザが閉じた場合が考えられる。本実施例では、画像処理装置1がユーザによって利用されそうになっているわけではないこれらの場合に、節電モードが解除されないようになっている。
【0040】
なお、原稿押付け部82が開いた状態の画像処理装置1をユーザが利用しようとしてその原稿押付け部82を一旦閉じた場合にも、第1モードに切り替えられた開閉検出センサ11によりクローズ状態が検出されることになる。本実施例では、節電制御回路15が、このようにレジスタ14にオープン状態を表す検出結果が記憶されており且つ第1モードへの切替後に開閉検出センサ11によりクローズ状態が検出された場合に、レジスタ14に記憶されている検出結果を、クローズ状態を表す検出結果に上書きするよう指示する。
【0041】
この指示により、レジスタ14は、オープン状態を表す検出結果を、クローズ状態を表す検出結果に上書きする。この上書きがされた後にユーザが原稿押付け部82を開くと、クローズ状態を表す検出結果が記憶されており、且つ、開閉検出センサ11によりオープン状態を表す検出結果が検出されることになるため、節電制御回路15は、前述したように解除条件が満たされたと判断し、節電モードを解除する。このように、本実施例によれば、オープン状態で放置された画像処理装置1を利用しようとするユーザが現れた場合に節電モードが解除されることになる。
【0042】
また、節電制御回路15は、第1モードへの切替後に開閉検出センサ11によりオープン状態が検出された場合でも、自装置が節電モードになる前にレジスタ14に記憶された検出結果がオープン状態を表していると解除条件が満たされないと判断する。レジスタ14にオープン状態を表す検出結果が記憶されているのは、例えば前のユーザが原稿押付け部82を開いたまま立ち去った場合である。
【0043】
その場合に、第1モードに切り替えられた開閉検出センサ11によりオープン状態が検出されるのは、例えば原稿押付け部82が開いた状態の画像処理装置1の近くを通ったユーザの接近を人感センサ12が検出し、そのユーザが原稿押付け部82をそのままにして立ち去った場合が考えられる。本実施例では、画像処理装置1がユーザによって利用されそうになっているわけではないこの場合においても、節電モードが解除されないようになっている。
【0044】
以上のとおり、本実施例によれば、節電制御回路15がレジスタ14に記憶されている検出結果を考慮せずに節電モードを解除する場合に比べて、画像処理装置1を利用するユーザがいないときに節電モードが解除されることが抑制される。特に、画像処理装置1を利用しないユーザの接近が検出された場合において節電モードが解除されることが抑制される。
【0045】
図1に表す開閉検出センサ11、人感センサ12、電源制御回路13、レジスタ14及び節電制御回路15は、画像処理装置1の電力を制御する電力制御装置10として機能する。また、CPU2、RAM3、ROM4、HDD5、操作パネル6、プリンタ7及びスキャナ8は、画像処理を行う画像処理部20として機能する。画像処理装置1においては、上記のとおり、画像処理部20が節電モードで稼働し、電力制御装置10によってその節電モードが解除される。
【0046】
続いて、節電モードの解除に関する動作手順を説明する。
図6は画像処理装置1の動作手順の一例を表す。この動作手順は、画像処理装置1において上述した節電条件が満たされたことを契機に開始される。
図6の例では、この動作手順が開始されるときに開閉検出センサ11が第1モードで動作しているものとする。画像処理装置1は、まず、節電条件の充足を判断すると(ステップS11)、オープン状態が検出されたか否かを判断する(ステップS12)。
【0047】
画像処理装置1は、オープン状態が検出された(YES)と判断した場合にはオープン状態を表す検出結果をレジスタ14に記憶し(ステップS13)、クローズ状態が検出された(NO)と判断した場合にはクローズ状態を表す検出結果をレジスタ14に記憶する(ステップS14)。画像処理装置1は、続いて、開閉検出センサ11を第2モードに切り替えて(ステップS15)、節電モードを開始する(ステップS16)。なお、ステップS15及びS16の動作はどちらが先に行われてもよいし、並行して行われてもよい。
【0048】
その後、画像処理装置1は、人感センサ12が人間の接近を検出したか否かを判断し(ステップS21)、検出していない(NO)と判断した場合にはステップS21の動作を繰り返し行う。画像処理装置1は、ステップS21で接近を検出した(YES)と判断した場合には、開閉検出センサ11を第1モードに切り替える(ステップS22)。次に、画像処理装置1は、第1モードに切り替えられた開閉検出センサ11によりオープン状態が検出されたか否かを判断する(ステップS23)。
【0049】
画像処理装置1は、ステップS23でオープン状態が検出された(YES)と判断した場合には、レジスタ14を参照してクローズ状態を表す検出結果が記憶されているか否かを判断し(ステップS24)、クローズ状態が記憶されている(YES)と判断した場合には節電モードを解除して(ステップS25)、この動作手順を終了する。画像処理装置1は、ステップS24でオープン状態が記憶されている(NO)と判断した場合には、節電モードを維持して(ステップS26)、ステップS21(人感センサの検出の判断)に戻って動作を続ける。
【0050】
画像処理装置1は、ステップS23でクローズ状態が記憶されている(NO)と判断した場合には、レジスタ14を参照してクローズ状態を表す検出結果が記憶されているか否かを判断し(ステップS31)、クローズ状態が記憶されている(YES)と判断した場合には、ステップS26(節電モードの維持)の動作を行った後にステップS21(人感センサの検出の判断)に戻って動作を続ける。
【0051】
画像処理装置1は、ステップS31でオープン状態が記憶されている(NO)と判断した場合には、レジスタ14に記憶されているオープン状態を表す検出結果を、クローズ状態を表す検出結果に上書きして(ステップS32)、ステップS23(オープン状態の検出の判断)に戻って動作を続ける。
【0052】
[2]第2実施例
第2実施例では、第1実施例と異なる点を中心に説明する。まず、第2実施例では、レジスタ14への検出結果の記憶が行われない。また、第2実施例では、開閉検出センサ11が出力する信号の状態(信号Highか信号Lowか)によって解除条件を判断したが、第2実施例では、開閉検出センサ11が出力する信号の変化(例えば信号Lowから信号Highへの変化)によって解除条件を判断する。
【0053】
図7は第2実施例に係る画像処理装置1aのハードウェア構成を表す。画像処理装置1aは、
図1に表す画像処理装置1が備える各部のうちレジスタ14以外のものを備える。そのため、
図7の例では、開閉検出センサ11、人感センサ12、電源制御回路13及び節電制御回路15が、画像処理装置1aの電力を制御する電力制御装置10aとして機能する。
【0054】
本実施例の開閉検出センサ11は、第1実施例と同様に、第1モードでは、画像処理装置1aの利用開始の際に現れる状態(オープン状態)を検出すればその状態を表す第1の出力(信号Highの出力)を行い、画像処理装置1aの利用終了の際に現れる状態(クローズ状態)を検出すればその状態を表す第2の出力(信号Lowの出力)を行う。また、開閉検出センサ11は、第2モードでは、それらの検出を行わない。
【0055】
一方、節電制御回路15は、第1実施例とは異なる方法で節電モードを解除する。具体的には、節電制御回路15は、第1モードへの切替後の決められた期間が経過した後に開閉検出センサ11からの出力が変化した場合に節電モードを解除する。この期間は、節電制御回路15が節電モードを解除するか否かについての判断を行わず待機する期間であり、以下では「待機期間」という。この待機期間の決め方について、
図8等を参照して説明する。
【0056】
図8は開閉検出センサ11から出力される信号の変遷の一例を表す。
図8では横軸が時刻、縦軸が電圧を表すグラフが表されている。本実施例では、信号Lowの電圧が0V(つまり電源が切断されているときと同じ電圧)であるものとする。例えばユーザが原稿押付け部82を開いたまま立ち去った場合、信号Highの出力が、開閉検出センサ11が第2モードに切り替えられて電源が切断されるまで継続する。電源が切断されると、開閉検出センサ11が出力する信号の電圧は0V(信号Lowと同じ電圧)になる。
【0057】
その後に節電モードが開始され、画像処理装置1aの近くをユーザが通り過ぎて人感センサ12がそのユーザの接近を検出した場合、開閉検出センサ11が第1モードに切り替わる。開閉検出センサ11は、第1実施例で述べたように、電源が投入されると、数msec程度の起動時間を経て信号を出力するようになる。この例では、原稿押付け部82が開いたままなので、開閉検出センサ11は信号Highを出力する。そのため、実際には原稿押付け部82は開いたままで動かされていないが、開閉検出センサ11からの出力が信号Lowから信号Highに変化することになる。
【0058】
前述した待機期間は、
図8に表すように、開閉検出センサ11が第1モードに切り替えられてから信号を出力するまでに要する時間よりも長い期間となるように決められている。そのため、節電制御回路15は、待機期間に
図8に表すように出力される信号が信号Lowから信号Highに変化しても、節電モードを解除せずに維持する。この場合、画像処理装置1aを利用しようとするユーザがやってくると、原稿押付け部82を閉じて操作パネル6を操作するので、開閉検出センサ11が出力する信号が信号Highから信号Lowに変化する。この場合、節電制御回路15は、待機期間が経過した後に開閉検出センサ11からの出力が変化しているので、節電モードを解除する。
【0059】
図9は画像処理装置1aの動作手順の一例を表す。画像処理装置1aは、まず、
図6に表すステップS11(節電条件充足を判断)の後、ステップS15(開閉検出センサ11の第2モードへの切り替え)、S16(節電モードを開始)を行い、次に、ステップS21(人感センサが人間の接近を検出したか否かの判断)を行う。画像処理装置1aは、ステップS21で接近を検出した(YES)と判断すると、ステップS22(開閉検出センサ11の第1モードへの切り替え)の動作を行う。
【0060】
続いて、画像処理装置1aは、第1モードへ切り替えて開閉検出センサ11に電源を投入した後に、待機期間が経過したか否かを判断する(ステップS41)。画像処理装置1aは、待機期間が経過したと判断するまでステップS41の動作を繰り返し、経過した(YES)と判断すると、次に、開閉検出センサ11の出力が変化したか否かを判断する(ステップS42)。画像処理装置1aは、出力が変化したと判断するまでステップS42の動作を繰り返し、変化した(YES)と判断すると、ステップS25(節電モードを解除)の動作を行い、この動作手順を終了する。
【0061】
本実施例でも、例えば原稿押付け部82が開いた状態の画像処理装置1の近くを通ったユーザの接近を人感センサ12が検出し、そのユーザが原稿押付け部82をそのままにして立ち去った場合に節電モードが解除されない。このように、節電制御回路15が待機期間にも節電モードを解除するか否かについての判断を行う場合に比べて、画像処理装置1aを利用するユーザがいないときに節電モードが解除されることが抑制される。特に、開閉検出センサ11が出力する信号の変化によって解除条件を判断する場合において、この抑制が実現される。
【0062】
[3]変形例
上述した各実施例はそれぞれが本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、各実施例及び各変形例は必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0063】
[3−1]待機期間
第2実施例では、待機期間が固定されていたが、変更されてもよい。例えば
図8に表す開閉検出センサ11の第1モードへの切り替えから信号Highが出力されるまでに要する時間(開閉検出センサ11の起動から出力までに要する時間であり、以下では「起動時間」という)は、ユーザはもちろん、画像処理装置を扱う技術員にとっても正確には分からない場合がある。この場合に、節電制御回路15は、次のように待機期間を変更する。
【0064】
図10は開閉検出センサ11から出力される信号と待機期間の変遷の一例を表す。
図10の例では、節電制御回路15は、まず、決められた長さの期間を1回目の待機期間として用いて解除条件が満たされたか否かを判断する。次に、節電制御回路15は、節電モードを解除する度に待機期間を短縮し、その短縮により削った期間に出力の変化が検出された場合に、その短縮を行う前の待機期間に戻して解除条件が満たされたか否かを判断する。
図10の例では、3回目の待機期間から4回目の待機期間に短縮した際に、その削った期間に信号Lowから信号Highへの出力の変化が検出されている。
【0065】
そのため、節電制御回路15は、短縮を行う前の3回目の待機期間に戻して解除条件が満たされたか否かを判断し、それ以降は待機期間の短縮を行わない。待機期間が長いほど、画像処理装置を利用しようとしているユーザの行為により出力の変化が検出された場合にそれが待機期間であったため節電モードが解除されないという事態が起こりやすくなる。そのため、待機期間は、前述した開閉検出センサ11の起動時間以上であれば短いほどよい。本変形例では、起動時間が正確に分からない場合でも、待機期間が起動時間に、より近づけられることになる。
【0066】
[3−2]解除条件
第1実施例において用いられた解除条件は
図5の説明で述べたものに限らない。
図11は本変形例の解除条件テーブルの一例を表す。
図11の例では、記憶されている検出結果が「オープン状態」を表し、開閉検出センサ11による検出結果が「クローズ状態」を表す場合は節電モードの解除が「あり」となっている点が
図5に表す例と異なっている。
【0067】
図11に表す解除条件テーブルを用いることで、節電制御回路15は、第1実施例のようにレジスタ14にクローズ状態を表す検出結果が記憶されており、且つ、開閉検出センサ11によりオープン状態を表す検出結果が検出された第1の場合に加えて、レジスタ14にオープン状態を表す検出結果が記憶されており、且つ、開閉検出センサ11によりクローズ状態を表す検出結果が検出された第2の場合に、解除条件が満たされたと判断し、節電モードを解除する。
【0068】
第1実施例では、前述の第2の場合にレジスタ14に記憶されている検出結果をクローズ状態を表す検出結果に上書きすることで画像処理装置1を利用しようとするユーザが現れた場合に節電モードが解除されるようにしたが、本変形例では、レジスタ14を上書きすることなく節電モードが解除されるようになっている。また、本変形例では、そのユーザが原稿押付け部82を閉じたときに節電モードが解除されるので、第1実施例のように原稿押付け部82を一旦閉じてから次に開いたときに節電モードが解除される場合に比べて、より早いタイミングで節電モードが解除される。
【0069】
[3−3]第1検出部
実施例では開閉検出センサ11が本発明の第1検出部の一例として用いられたが、これ以外のセンサが用いられてもよい。例えば
図3に表す原稿台83に原稿が載せられているか否かを検出するセンサが第1検出部として用いられてもよい。また、プリンタ7の記録媒体の収容部の開閉の状態を検出するセンサや人感センサ12よりも狭い検出範囲の人感センサが第1検出部として用いられてもよい。
【0070】
また、第1検出部はセンサでなくてもよい。例えば操作パネル6が、ユーザが決められた操作をした場合に、画像処理装置に対してその操作がなされたという状態を検出してもよい。要するに、ユーザが画像処理装置を使用しようとしているときに現れる状態を検出するものであれば、どのようなものが第1検出部として用いられてもよい。
【0071】
また、何が第1検出部として用いられるかによって、検出される第1の状態及び第2の状態も異なったものになる。例えば原稿台83に原稿が載せられているか否かを検出するセンサが用いられた場合には、原稿が載せられた状態が第1の状態として検出され、原稿が載せられていない状態が第2の状態として検出される。ただし、いずれの場合も、画像処理装置の利用開始の際に現れる状態が第1の状態として検出され、画像処理装置の利用終了の際に現れる状態が第2の状態として検出される。
【0072】
[3−4]第2検出部
実施例では人感センサ12が本発明の第2検出部の一例として用いられたが、これ以外のセンサが用いられてもよい。例えばユーザが所持している近距離通信(例えばBluetooth(登録商標)など)の機能を有する通信装置(スマートフォンなど)と近距離通信を行う通信部が第2検出部として用いられてもよい。この場合、通信部は、その近距離通信によりユーザIDや通信装置の装置IDを受信することで人間の接近を検出する。
【0073】
また、第2検出部は、人間の動作を検出するものであってもよい。例えば前述した近距離通信がNFC(Near Field Communication)通信である場合、ユーザの接近というよりも、ユーザが通信装置を通信部にかざす動作が検出されることになる。また、操作パネル6を第2検出部として用いて、特定の操作を行うという動作を検出してもよい。要するに、第2検出部は、第1検出部が第1モードから第2モードになったときの消費電力の低減量よりも消費電力が小さいものであり、人間の接近又は動作を検出するものであればよい。これにより、第1検出部を常に第1モードで稼働させる場合に比べて、画像処理装置の節電モードを解除する契機となる情報(第1検出部による検出結果)を得るための消費電力が抑制される。
【0074】
[3−5]電力制御の対象
実施例では電力制御装置が電力の供給を制御する対象が画像処理装置であったが、これに限らない。例えばディスプレイ等の表示装置や、パーソナルコンピュータ、サーバ装置等の情報処理装置などであってもよい。また、実施例のように電力制御装置が制御対象の装置に組み込まれていてもよいし、制御対象の装置とは筐体が異なっていても(制御対象の装置から見て外部装置であっても)よい。要するに、節電モードで稼働する装置であれば、どのような装置が電力供給の制御対象であってもよい。
【0075】
[3−6]発明のカテゴリ
本発明は、画像処理装置や電力制御装置、電力制御装置が制御の対象とするその他の装置として捉えられる。また、電力制御装置が実施する処理を実現するための情報処理方法や電力制御装置を制御するコンピュータを、上述した各部として機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態や、インターネット等の通信回線を介してコンピュータにダウンロード及びインストールさせて利用可能にするなどの形態で提供される。