(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記堆積量推定手段は、前記選択還元触媒を通過した還元剤の通過量に基づいて、前記デポジットの堆積量を補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
前記堆積量推定手段は、前記選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量を前記内燃機関の始動から停止までの運転サイクルごとに算出する第1吸着量算出手段を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
前記第1吸着量算出手段は、前記内燃機関の前記運転サイクルの停止時における前記選択還元触媒の温度で前記選択還元触媒が吸着可能な最大吸着量を当該運転サイクルにおける還元剤の吸着量とすることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
前記堆積量推定手段は、前記選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量を前記内燃機関の運転中に逐次算出する第2吸着量算出手段を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ミキシング部材(撹拌ミキサ)を用いて尿素還元剤と排気ガスのミキシングを促進する場合、撹拌ミキサの静止翼(ブレード)にデポジットが溜まりやすい。そして、撹拌ミキサのブレードにデポジットが溜まると、圧力損失が増大するとともに、尿素還元剤の分散効率が低下し、選択還元触媒における窒素酸化物の浄化効率が低下するという問題を引き起こす。
しかしながら、ミキシング部材(撹拌ミキサ)に付着したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを判定するには、差圧検出手段で検出された差圧と比較する所定値を極小さな値(γ)に設定する必要があり、差圧の検出が困難である。これにより、撹拌ミキサに堆積したデポジットを適切に溶融除去することができない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、撹拌ミキサに堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを正確に判定することができる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関から排出された排気ガスに含まれる窒素酸化物を選択的に還元する選択還元触媒と、前記選択還元触媒の上流で前記排気通路に還元剤を供給するための還元剤供給手段と、前記還元剤供給手段と前記選択還元触媒との間の前記排気通路に設けられ、前記排気通路に流れる排気ガスと前記還元剤供給手段で供給された還元剤とを混合する撹拌ミキサと、前記還元剤供給手段から供給される還元剤が前記撹拌ミキサに堆積して生成されるデポジットの堆積量を推定する堆積量推定手段と、を備え、前記堆積量推定手段は、前記還元剤供給手段から供給された還元剤の総量から、前記窒素酸化物の還元に用いられた還元剤の消費量と、前記選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量と、を減算して前記デポジットの堆積量とする。
【0007】
上記(1)の構成によれば、堆積量推定手段は、還元剤供給手段から供給された還元剤の総量から、窒素酸化物の還元に用いられた還元剤の消費量と、選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量と、を減算してデポジットの堆積量とするので、撹拌ミキサに堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを正確に判定することができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記堆積量推定手段は、前記選択還元触媒を通過した還元剤の通過量に基づいて、前記デポジットの堆積量を補正する。
上記(2)の構成によれば、堆積量推定手段は、選択還元触媒から通過した還元剤の通過量に基づいて、デポジットの堆積量を補正するので、撹拌ミキサに堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かをより正確に判定することができる。
【0009】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記堆積量推定手段は、前記選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量を前記内燃機関の始動から停止までの運転サイクルごとに算出する第1吸着量算出手段を含む。
上記(3)の構成によれば、堆積量推定手段は、選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量を内燃機関の始動から停止までの運転サイクルごとに算出する第1吸着量算出手段を含むので、運転サイクルごとに撹拌ミキサに堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを正確に判定することができる。
【0010】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、前記第1吸着量算出手段は、前記内燃機関の前記運転サイクルの停止時における前記選択還元触媒の温度で前記選択還元触媒が吸着可能な最大吸着量を当該運転サイクルにおける還元剤の吸着量とする。
上記(4)の構成によれば、第1吸着量算出手段は、内燃機関の運転サイクルの停止時における選択還元触媒の温度で選択還元触媒が吸着可能な最大吸着量を運転サイクルにおける還元剤の吸着量とするので、運転サイクルごとに算出する還元剤の吸着量を簡単に算出することができる。
【0011】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)のいずれか一つの構成において、前記堆積量推定手段は、前記選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量を前記内燃機関の運転中に逐次算出する第2吸着量算出手段を含む。
上記(5)の構成によれば、堆積量推定手段は、選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量を内燃機関の運転中に逐次算出する第2吸着量算出手段を含むので、内燃機関の運転中にも撹拌ミキサに堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを判定することができる。
【0012】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、前記第2吸着量算出手段は、前記選択還元触媒の温度が所定温度に到達するまでは前記還元剤供給手段から供給された還元剤の総量の所定比率を前記運転中における還元剤の吸着量とし、前記選択還元触媒の温度が所定温度に到達した後は前記選択還元触媒の温度で前記選択還元触媒が吸着可能な最大吸着量を前記運転中における還元剤の吸着量とする。
上記(6)の構成によれば、第2吸着量算出手段は、選択還元触媒の温度が所定温度に到達するまでは還元剤供給手段から供給された還元剤の総量の所定比率を運転中における還元剤の吸着量とするので、選択還元触媒の温度が所定温度に到達するまでの還元剤の吸着量を正確に算出することができる。また、第2吸着量算出手段は、選択還元触媒の温度が所定温度に到達した後は選択還元触媒の温度で選択還元触媒が吸着可能な最大吸着量を運転中における還元剤の吸着量とするので、選択還元触媒の温度が所定温度に到達した後の還元剤の吸着量を簡単に算出することができる。
【0013】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記堆積量推定手段は、前記選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量を前記内燃機関の始動から停止までの運転サイクルごとに算出する第1吸着量算出手段と、前記選択還元触媒に吸着された還元剤の吸着量を前記内燃機関の運転中に逐次算出する第2吸着量算出手段と、を含み、前記内燃機関の停止時に前記デポジットの堆積量を前記内燃機関の運転中に推定された堆積量から前記内燃機関の停止時に推定された堆積量に書き換える。
上記(7)の構成によれば、堆積量推定手段は、内燃機関の停止時にデポジットの堆積量を内燃機関の運転中に推定された堆積量から内燃機関の停止時に推定された堆積量に書き換えるので、内燃機関の停止時におけるデポジットの堆積量を正確に推定することができる。
【0014】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)から(7)のいずれか一つの構成において、前記撹拌ミキサに堆積したデポジットを溶融除去するための除去手段と、前記堆積量推定手段で推定されたデポジットの堆積量が閾値を超えた場合に前記除去手段に前記デポジットを溶融除去させる制御手段と、を備える。
上記(8)の構成によれば、堆積量推定手段で推定されたデポジットの堆積量が閾値を超えた場合に除去手段にデポジットを溶融除去させる制御手段を備えるので、デポジットの堆積量が閾値を超えた場合に除去手段にデポジットを溶融除去させることができる。これにより、撹拌ミキサに堆積したデポジットによる圧力損失の増大、及び還元剤の分散効率の低下を解消することができる。
【0015】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、前記制御手段は、前記内燃機関の始動時に前記除去手段に前記デポジットを溶融除去させる。
上記(9)の構成によれば、制御手段は、内燃機関の始動時に除去手段にデポジットを溶融除去させるので、溶融除去されたデポジットは還元剤となり、選択還元触媒において窒素酸化物を選択的に還元する。これにより、還元剤の供給が制限される内燃機関の始動時における窒素酸化物の排出を抑制することができる。
【0016】
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、前記閾値は、前記内燃機関の始動時において前記内燃機関の運転中よりも小である。
上記(10)の構成によれば、閾値は、内燃機関の始動時において内燃機関の運転中よりも小であるので、撹拌ミキサに堆積したデポジットは内燃機関の始動時に溶融除去され易くなる。これにより、溶融除去されたデポジットは還元剤となり、選択還元触媒において窒素酸化物を選択的に還元する。この結果、還元剤の供給が制限される内燃機関の始動時における窒素酸化物の排出を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、撹拌ミキサに堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを正確に判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0020】
まず、
図1から
図4に基づいて本発明の実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の構成を説明する。尚、
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの排気浄化装置が適用される内燃機関を概略的に示す模式図である。また、
図2は、
図1に示したエンジンの排気浄化装置の制御構成を概略的に示すブロック図である。
図3は、エンジンの運転開始からSCR触媒が所定温度に昇温されるまでに吸着されるアンモニア量を示す図であり、
図4は、SCR触媒が所定温度に昇温した後に吸着されるアンモニア量を示す図である。
【0021】
本発明の実施形態に係る排気浄化装置が適用される内燃機関は、コモンレール式のディーゼルエンジンであって、
図1に示すように、エンジン本体1、燃料供給系統2、吸気系統3、排気系統4、及び排気再循環系統5を備えて構成され、本発明の実施形態である排気浄化装置6は、排気系統4に設けられている。
【0022】
エンジン本体1は、シリンダブロック11と、シリンダブロック11の上に固定されたシリンダヘッド12とにより構成される。シリンダブロック11には、複数のシリンダ(気筒)111が一列に設けられ、その下方域に共通する一つのクランクシャフト13が回転可能に支持されている。シリンダ111は、円筒形に形成され、その内部にはピストン14が上下方向に往復動可能に収容されている。ピストン14は、頭部が閉塞された円筒形に形成され、その胴部には径方向に貫通するピン穴が設けられている。また、ピストン14の胴部には、コネクティングロッド15の一端(スモール・エンド)が収容され、ピン穴を挿通するピストンピン142により、コネクティングロッド15の一端がピストン14に連結されている。そして、シリンダヘッド12とピストン14との間には燃焼室が形成される。
【0023】
クランクシャフト13は、コネクティングロッド15とともにピストン14の往復運動(下降運動)を回転運動に変換するもので、クランクシャフト13の回転中心を通る軸線に対して平行にクランクピン(図示せず)を有している。そして、クランクピンには、コネクティングロッド15の他端(ラージ・エンド)が連結されている。これにより、ピストン14の往復運動は、クランクシャフト13の回転運動に変換される。
【0024】
シリンダヘッド12には、シリンダ111ごとに吸気ポート112と排気ポート113とが設けられている。
また、各吸気ポート112には、吸気ポート112を開閉する吸気弁が取り付けられている。吸気ポート112は、吸入行程において開放され、吸気ポート112からシリンダ111内に空気の吸入が可能となり、圧縮行程、膨張行程、排気行程において閉鎖される。また、各排気ポート113には、排気ポート113を開閉する排気弁が取り付けられている。排気ポート113は、排気行程において開放され、排気ポート113から排気ガスの排出が可能となり、吸入行程、圧縮行程、膨張行程において閉鎖される。これにより、燃焼室は、圧縮行程と膨張行程において閉鎖される。
【0025】
また、シリンダヘッド12には、シリンダ111ごとにグロープラグが設けられている。グロープラグは、冷間時の始動を助ける補助熱源であって、燃料供給系統2から供給(噴射)された燃料が直接触れる位置に配置される。
【0026】
燃料供給系統2は、所定のタイミングで所定量の燃料をシリンダ111内に噴射するもので、本実施形態では、コモンレール式の燃料噴射装置21を備えている。コモンレール式の燃料噴射装置21は、シリンダ111ごとに設けられたインジェクター22と、各インジェクター22に共通するコモンレール23と、コモンレール23に高圧燃料を供給する高圧燃料ポンプ24とを備えて構成されている。燃料噴射装置21は、一燃焼サイクル中で複数回の燃料噴射が可能で、本実施形態に係るインジェクター22は、一燃焼サイクル中で、パイロット噴射(Pilot)、プレ噴射(Pre)、主噴射(Main)、アフター噴射(After)、ポスト噴射(Post)に分けて燃料を噴射することができる。これにより、本実施の形態に係るインジェクター22は、シリンダ111内に燃焼に寄与せず未燃燃料として排気系統4に排出するタイミングで燃料を噴射(ポスト噴射)することができる。
【0027】
吸気系統3は、エンジン本体1に空気を供給するためのもので、外部からエンジン本体1に空気を供給するための吸気通路(吸気管)31を備えている。吸気通路31は、上流から下流(外部からエンジン本体1)に向けて、エアクリーナ32、ターボチャージャ33、インタークーラ34、吸気スロットル36、及びインテークマニホールド37を備えている。
【0028】
エアクリーナ32は、大気中に含まれる粉塵等を分離し清浄な空気をエンジン本体1に供給するためのもので、吸気通路31の最上流に配置されている。
【0029】
ターボチャージャ33は、エンジン本体1に圧縮された空気を供給するためのもので、吸気通路31にはコンプレッサ(図示せず)が設けられ、排気タービン(図示せず)は、後述するように、排気通路41に設けられている。そして、コンプレッサのコンプレッサホイール(図示せず)と、排気タービンのタービンホイール(図示せず)とが同軸に設けられ、タービンホイールがコンプレッサを駆動する。これにより、吸気通路31の空気(吸気)はコンプレッサで圧縮され、圧縮された空気はエンジン本体1に供給される(過給)。
【0030】
インタークーラ34は、吸気通路31に導入され、ターボチャージャ33で圧縮された空気を冷却するためのもので、吸気通路31に導入され、ターボチャージャ33で圧縮された空気は、インタークーラ34を通過する際に冷却される。
【0031】
吸気スロットル36は、エンジン本体1に供給する空気(吸気)の流量を調整し、エンジンの出力を調整するためのもので、インタークーラ34とインテークマニホールド37との間に設けられている。
【0032】
インテークマニホールド37は、各吸気ポート112に空気を分配する多気管であり、吸気通路31の下流に設けられ、端部(分岐側端部)が各吸気ポート112に接続されている。これにより、吸気通路31に供給された空気は、インテークマニホールド37で均等に分配され、各吸気ポート112に均等に供給される。
【0033】
また、吸気通路31は、第1温度センサ311、酸素濃度センサ312、及び第2温度センサ313を備えている。
第1温度センサ311は、外部から吸入した空気の温度を計測するためのもので、エアクリーナ32の下流、エアクリーナ32とターボチャージャ(コンプレッサ)33との間に設けられている。
酸素濃度センサ312は、吸気ポート112に供給する空気に含まれる酸素の濃度を計測するためのもので、後述するEGR通路51の合流位置よりも下流であって、吸気スロットル36とインテークマニホールド37との間に設けられている。
第2温度センサ313は、吸気ポート112に供給する空気の温度を計測するためのもので、インテークマニホールド37に設けられている。
【0034】
排気系統4は、エンジン本体1から排気ガスを排出するもので、エンジン本体1から外部に排気ガスを排出するための排気通路(排気管)41を備えている。排気通路41は、上流から下流(エンジン本体1から外部)に向けて、エキゾーストマニホールド42、排気タービン(ターボチャージャ33)、酸化触媒43、微粒子捕集フィルター44、尿素水噴射インジェクター45、撹拌ミキサ46、SCR触媒47、及び加熱装置61を備えている。
【0035】
エキゾーストマニホールド42は、各排気ポート113から排出された排気ガスが集合する多気管であり、排気通路41の上流に設けられ、端部(分岐側端部)が各排気ポート113に接続されている。これにより、各排気ポート113からエキゾーストマニホールド42に排出された排気ガスは、エキゾーストマニホールド42で集合する。
【0036】
排気タービン(図示せず)は、上述したように、ターボチャージャ33を構成するもので、排気通路41に設けられている。これにより、エンジン本体1から排出された排気ガスがタービンホイールを回転させ、コンプレッサを駆動するので、吸気通路31の空気(吸気)はコンプレッサで圧縮され、圧縮された空気はエンジン本体1に供給される(過給)。
【0037】
酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst)43は、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)を酸化するためのもので、ターボチャージャ33のタービンの直下流に設けられている。酸化触媒43は、円柱状に形成され、円筒の前後に円錐を組み合わせた形状に形成された第1触媒収容部48の上流側部分に収容されている。
【0038】
微粒子捕集フィルター(Diesel particulate filter)44は、酸化触媒43を通過した排気ガスに含まれる微粒子(PM)を捕集するためのもので、酸化触媒43の下流に設けられている。微粒子捕集フィルター44は、酸化触媒43と同一直径の円柱状に形成され、上述した第1触媒収容部48の下流側部分に収容されている。
【0039】
尿素水噴射インジェクター45は、排気通路41の内部を流れる排気ガスに尿素水を供給(噴射)するための還元剤供給手段で、排気通路41のSCR触媒47の上流となる位置に設けられている。これにより、尿素水噴射インジェクター45から排気通路41に流れる排気ガスに噴射された尿素水は熱分解されてアンモニア(NH
3)となり、SCR触媒47に供給される。
【0040】
撹拌ミキサ46は、尿素水噴射インジェクター45から排気通路41の内部に噴射された尿素水(熱分解されたアンモニアを含む)と排気通路41の内部に流れる排気ガスとの混合を促進するためのもので、排気通路41の内部、尿素水噴射インジェクター45とSCR触媒47との間に設けられている。撹拌ミキサ46は、排気ガスの流れに旋回成分を付加することにより、尿素水と排気ガスの混合を促進可能であり、例えば、排気ガスの流れ方向に対して傾斜する複数の静止翼により構成される。
【0041】
SCR触媒47は、排気通路41に設けられ、エンジン本体1から排出された排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を選択的に還元する選択還元触媒で、本実施形態に係るSCR触媒は、アンモニア(NH
3)を用いて窒素酸化物を選択的に還元する。また、本実施形態に係るSCR触媒47は、円柱状に形成され、円筒の前後に円錐を組み合わせた形状に形成された第2触媒収容部49に収容されている。
【0042】
加熱装置61は、撹拌ミキサ46に堆積したデポジット(尿素水噴射インジェクター45から供給される尿素水の一部から生成された結晶)を溶融除去するための除去手段で、本実施形態に係る加熱装置61は、電源611と電熱線612とにより構成されている。
電熱線612は、排気通路41の撹拌ミキサ46が収容された部分に巻回され、電源611から供給された電気により加熱される。これにより、電源611から電熱線612に電気が供給されると、排気通路41の撹拌ミキサ46が収容された部分が加熱され、撹拌ミキサ46に堆積したデポジットは溶融除去される。
【0043】
また、排気通路41は、酸素濃度センサ411、第1温度センサ412、第2温度センサ413、第3温度センサ414、第4温度センサ415、第1NOxセンサ416、第2NOxセンサ417、及びアンモニアセンサ418を備えている。
酸素濃度センサ411は、エンジン本体1から排出された排気ガスに含まれる酸素の濃度を計測するためのもので、ターボチャージャ(排気タービン)33の下流、排気タービンと酸化触媒43との間に設けられている。
【0044】
第1温度センサ412は、酸化触媒43に流入する排気ガスの温度を計測するためのもので、第1触媒収容部48の入口側に設けられている。
第2温度センサ413は、酸化触媒43を通過した排気ガスの温度を計測するためのもので、酸化触媒43と微粒子捕集フィルター44との間となる第1触媒収容部48の中程に設けられている。
第3温度センサ414は、微粒子捕集フィルター44を通過した排気ガスの温度を計測するためのもので、第1触媒収容部48の出口側に設けられている。
第4温度センサ415は、SCR触媒47の温度を計測するためのもので、第2触媒収容部49の入口側に設けられている。
【0045】
第1NOxセンサ416は、SCR触媒47に流入する排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の濃度を計測するためのもので、SCR触媒47の上流、微粒子捕集フィルター44とSCR触媒47との間に設けられている。
第2NOxセンサ417は、SCR触媒47から排出された排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の濃度を計測するためのもので、SCR触媒47の下流に設けられている。
アンモニアセンサ418は、SCR触媒47から排出された排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測するためのもので、SCR触媒47の下流に設けられている。
【0046】
排気再循環系統5は、エンジン本体1から排出された排気ガスの一部を吸気系統3に供給(再循環)するもので、排気系統4と吸気系統3とに跨がって設けられている。排気再循環系統5は、エキゾーストマニホールド42から分岐し吸気通路(吸気管)31に合流するEGR通路(排気再循環通路)51を備えている。これにより、排気系統4を流れる排気ガスの一部がEGR通路51を通り吸気通路31に導入される(排気再循環)。
【0047】
EGR通路51には、上流側(排気系統4側)から下流側(吸気系統3側)に向けて順に、EGRクーラ52、及びEGRバルブ53を備えている。
EGRクーラ52は、EGR通路51に導入された排気ガスを冷却するためのもので、EGR通路51に導入された排気ガスは、EGRクーラ52を通過する際に冷却される。
EGRバルブ53は、排気再循環する排気ガスの流量を調整するためのもので、その開度により任意の流量の排気ガスがEGR通路51を通り吸気通路31に供給される。
【0048】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置の各種制御は、電子制御装置(DCU(Dosing Control Unit))7により実現される。
電子制御装置7は、各種演算処理を実行するCPU(図示せず)、その制御に必要なプログラムやデータが記憶されたROM(図示せず)、CPUの演算結果が一時記憶されるRAM(図示せず)、及び外部との間で信号を入出力するための入・出力ポート(図示せず)を備えて構成される。これらは、
図2に示すように、堆積量推定手段71、限界量算出手段72、再生時間算出手段73、及び制御手段74を構成する。
【0049】
堆積量推定手段71は、撹拌ミキサ46に堆積したデポジットの堆積量を推定するためのもので、下記の数式1に示すように、尿素水噴射インジェクター45から供給された尿素水から生成されるアンモニアの総量から、窒素酸化物の還元に用いられたアンモニアの消費量と、SCR触媒に吸着されたアンモニアの吸着量と、を減算してデポジットの堆積量とする。
【0051】
また、本実施形態に係る排気浄化装置6は、窒素酸化物がそのまま排出されることがないように、できるだけ多くのアンモニアがSCR触媒47に吸着されるように制御されるので、微少量のアンモニアはSCR触媒47に吸着されないで通過する。これにより、堆積量推定手段71は、SCR触媒47を通過したアンモニアの通過量(スリップ量)に基づいてデポジットの堆積量を補正する。
尚、これにより、上記の数式1は下記の数式2に補正することができる。
【0053】
ここで、尿素水噴射インジェクター45から供給された尿素水から生成されるアンモニアの総量は、尿素水噴射インジェクター45から噴射される尿素水の噴射量から算出可能である。また、窒素酸化物の還元に用いられたアンモニアの消費量は、第1NOxセンサ416で検出された窒素酸化物の濃度と第2NOxセンサ417で検出された窒素酸化物の濃度とに基づいて算出可能である。また、SCR触媒47を通過したアンモニアの通過量は、アンモニアセンサ418で計測されたアンモニアの濃度に基づいて算出可能である。
【0054】
また、堆積量推定手段71は、SCR触媒47に吸着されたアンモニアの吸着量をエンジンの始動から停止までの運転サイクルごとに算出する第1吸着量算出手段711を含んで構成される。
第1吸着量算出手段711は、本実施形態に係る排気浄化装置6ができるだけ多くのアンモニアがSCR触媒47に吸着されるように制御することを鑑みて、エンジンの停止時におけるSCR触媒47の温度でSCR触媒47が吸着可能な最大吸着量をアンモニアの吸着量とするものである。これにより、第1吸着量算出手段711は、SCR触媒47の温度とSCR触媒47が吸着可能な最大吸着量とを関連付けたマップと、エンジンの停止時に第4温度センサ415で計測された温度とに基づいてアンモニアの吸着量を算出するように構成されている。
【0055】
尚、正確なデポジットの堆積量の推定には上述した数式2によることが好ましいが、エンジンの始動直後、SCR触媒47にアンモニアを吸蔵していく過程におけるアンモニアの吸着量の推定は困難であり、上述した数式2を用いたデポジット堆積量の算出も困難である。
【0056】
これにより、堆積量推定手段71は、下記の数式3に示すように、SCR触媒47に吸着されたアンモニアの吸着量をエンジンの運転中に逐次算出する第2吸着量算出手段712を含んで構成される。
【0058】
第2吸着量算出手段71において、エンジンの運転中にSCR触媒47に吸着されるアンモニア量は、
図3及び
図4に示すように、エンジンの始動後にSCR触媒47が所定温度(第2の所定温度)T2に到達までと、SCR触媒が所定温度(T2)に到達した後とに分けて算出される。
すなわち、
図5に示すように、エンジンの始動からSCR触媒47が所定温度T2に到達するまでは、尿素水噴射インジェクター45から供給された尿素水から生成されるアンモニアの総量の所定比率をアンモニアの吸着量とする。一方、SCR触媒47の温度が所定温度T2に到達した後は、SCR触媒47の温度でSCR触媒47が吸着可能な最大量を運転中におけるアンモニアの吸着量とする。これにより、SCR触媒47の温度がT2に到達した後はSCR触媒47の温度上昇に伴いSCR触媒47に吸着されるアンモニア量は減少する。
尚、SCR触媒47の温度が所定温度(第1の所定温度)T1以下の場合にSCR触媒47に吸着されるアンモニア量が0(ゼロ)となるのは、SCR触媒47が所定温度T1以下の場合に尿素水の噴射を行わないためである。
また、上述した所定比率は、任意に設定することができるが、
図3に示すように、第1の所定温度T1でアンモニアの吸着量が0(ゼロ)で第2の所定温度T2でSCR触媒47が吸着可能な最大量となるように設定される。
【0059】
また、数式3で求められるデポジットの堆積量は暫定的な値であるので、エンジンの停止時に上記数式2を用いて算出した値に書き換えることが好ましい。
【0060】
限界量算出手段72は、SCR触媒47に吸着されるアンモニアの吸着限界量を算出するものである。
再生時間算出手段73は、デポジット量の溶解に必要な時間を算出するためのものである。
制御手段74は、加熱装置61を制御するためのもので、再生時間算出手段73で算出された時間に基づいて電熱線612を加熱させ、撹拌ミキサ46に堆積したデポジットを溶融除去する。尚、制御手段74は、限界量算出手段72で算出されたアンモニアの吸着限界量とSCR触媒47に吸着されているアンモニア量との差がデポジット堆積量よりも多い場合には、EGRバルブ53を閉鎖して、排気ガスがEGR通路51に流入しないように制御する。これにより、エンジン本体1から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物が増大するので、アンモニアが窒素酸化物に反応し、SCR触媒47の下流にアンモニアが流出するのが抑制される。
【0061】
つぎに、
図5に基づいて上述した本発明の実施形態に係るエンジンの排気浄化装置6の制御手順を説明する。尚、
図5は、
図1に示したエンジンの排気浄化装置6の制御手順を概略的に示すフローチャートである。
【0062】
図5に示すように、本発明の実施形態に係るエンジンの排気浄化装置6は、エンジンが始動されると(ステップS1:Yes)、まず、制御手段74が、前回までの運転サイクルまでで撹拌ミキサ46に堆積したと推定されたデポジットの堆積量と閾値(第1閾値)とを比較する(ステップS2)。そして、デポジットの堆積量が閾値以下でない場合(ステップS2:No)、すなわち、デポジットの堆積量が閾値を超えている場合に、制御手段74は、再生時間算出手段73にデポジットの溶融に必要な時間(再生時間)を算出させ(ステップS3)、加熱装置61にデポジットの溶融除去を実行させる(ステップS4)。
【0063】
一方、デポジットの堆積量が閾値以下の場合には(ステップS2:Yes)、第2吸着量算出手段712がSCR触媒に吸着されたアンモニアの吸着量を算出し(ステップS5)、堆積量推定手段71が撹拌ミキサ46に堆積したデポジットの堆積量を推定する(ステップS6)。そして、前回までの運転サイクルで撹拌ミキサ46に堆積したデポジットの堆積量(推定量)にステップS6で推定したデポジットの堆積量を加算する(ステップS6a)。
【0064】
つぎに、制御手段74が、デポジットの堆積量と閾値(第2閾値)とを比較する(ステップS7)。デポジットの堆積量が閾値以下でない場合(ステップS8:No)、すなわち、デポジットの堆積量が閾値を超えている場合には、制御手段74は、限界量算出手段72にSCR触媒47に吸着されるアンモニアの吸着限界量を算出させる(ステップS8)。また、制御手段74は、再生時間算出手段73にデポジットの溶融除去に必要な時間(再生時間)を算出させる(ステップS9)。
【0065】
つぎに、制御手段74は、SCR触媒47に吸着されているアンモニアの吸着量とデポジットを溶融除去することにより再生されるアンモニアの再生量との和と、SCR触媒47に吸着されるアンモニアの吸着限界量とを比較する(ステップS10)。アンモニアの吸着量と再生量との和がアンモニアの吸着限界量以下である場合(ステップS10:Yes)には、制御手段74が加熱装置61を制御し、再生時間算出手段73で算出された再生時間分だけ加熱装置61にデポジットの溶融除去を実行させる(ステップS11)。これにより、デポジットが溶融除去され、アンモニアが再生されるが、アンモニアの吸着量と再生量との和がアンモニアの吸着限界量以下であるので、再生されたアンモニアはSCR触媒47に吸着される。
【0066】
一方、アンモニアの吸着量と再生量との和がアンモニアの吸着限界量以下でない場合(ステップS10:No)、すなわち、アンモニアの吸着量と再生量との和がアンモニアの吸着限界量を超えている場合には、EGRバルブ53を閉鎖し(ステップS12)、制御手段74が加熱装置を制御し、再生時間算出手段73で算出された再生時間分だけ加熱装置61にデポジットの溶融除去を実行させる(ステップS11)。これにより、デポジットが溶融除去され、アンモニアが生成されるが、このアンモニアは、EGRバルブ53を閉鎖することにより増加した窒素酸化物を還元することにより、消費される。
【0067】
他方、デポジットの堆積量が閾値以下である場合(ステップS7:Yes)には、エンジンが停止するまで(ステップS13)、又は、推定された堆積量が閾値を超えるまで(ステップS7:No)、堆積量推定手段71にデポジットの堆積量の推定を繰り返し実行させる。
【0068】
そして、エンジンが停止すると(ステップS13:Yes)、第1吸着量算出手段711がSCR触媒47に吸着されたアンモニアの吸着量を算出し(ステップS14)、堆積量推定手段71が撹拌ミキサ46に堆積したデポジットの堆積量を推定する(ステップS15)。そして、前回までの運転サイクルで撹拌ミキサ46に堆積したデポジットの堆積量(推定量)にステップ15で推定したデポジットの堆積量を加算する(ステップS15a)
最後に、制御手段74は、デポジットの堆積量をステップS6aで算出したものからステップS15aで算出したものに書き換える(ステップS16)。
【0069】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、堆積量推定手段71は、尿素水噴射インジェクター45から噴射された尿素水から生成されるアンモニアの総量から、窒素酸化物の還元に用いられたアンモニアと、SCR触媒47に吸着されたアンモニアの吸着量と、を減算してデポジットの堆積量とするので、撹拌ミキサ46に堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを正確に判定することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、堆積量推定手段71は、SCR触媒47を通過したアンモニアの通過量に基づいて、デポジットの堆積量を補正するので、撹拌ミキサ46に堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かをより正確に判定することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、堆積量推定手段71は、SCR触媒47に吸着されたアンモニアの吸着量をエンジンの始動から停止までの運転サイクルごとに算出する第1吸着量算出手段711を含むので、運転サイクルごとに撹拌ミキサ46に堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを正確に判定することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、第1吸着量算出手段711は、エンジンの停止時におけるSCR触媒47の温度でSCR触媒47が吸着可能な最大吸着量をアンモニアの吸着量とするので、運転サイクルごとに算出するアンモニアの吸着量を簡単に算出することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、堆積量推定手段71は、SCR触媒47に吸着されたアンモニアの吸着量をエンジンの運転中に逐次算出する第2吸着量算出手段712を含むので、エンジンの運転中にも撹拌ミキサ46に堆積したデポジットを溶融除去する必要があるか否かを判定することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、第2吸着量算出手段712は、SCR触媒47の温度が所定温度(T2)に到達するまでは尿素水噴射インジェクター45から供給された尿素水から生成されるアンモニアの総量の所定比率を運転中におけるアンモニアの吸着量とするので、SCR触媒47の温度が所定温度に到達するまでのアンモニアの吸着量を正確に算出することができる。また、第2吸着量算出手段712は、SCR触媒47の温度が所定温度に到達した後はSCR触媒47の温度でSCR触媒47が吸着可能な最大吸着量を運転中におけるアンモニアの吸着量とするので、SCR触媒の温度が所定温度に到達した後のアンモニアの吸着量を簡単に算出することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、堆積量推定手段71は、エンジンの停止時にデポジットの堆積量をエンジンの運転中に推定された堆積量からエンジンの停止時に推定された堆積量に書き換えるので、エンジンの停止時におけるデポジットの堆積量を正確に推定することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、堆積量推定手段71で推定されたデポジットの堆積量が閾値を超えた場合に加熱装置61にデポジットを溶融除去させる制御手段74を備えるので、デポジットの堆積量が閾値を超えた場合に加熱装置61にデポジットを溶融除去させることができる。これにより、撹拌ミキサ46に堆積したデポジットによる圧力損失の増大、及び尿素還元剤の分散効率の低下を解消することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、制御手段74は、エンジンの始動時に加熱装置61にデポジットを溶融除去させるので、溶融除去されたデポジットはアンモニアとなり、SCR触媒47において窒素酸化物を選択的に還元する。これにより、尿素水の噴射が制限されるエンジンの始動時における窒素酸化物の排出を抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置6によれば、閾値は、エンジンの停止時においてエンジンの運転時よりも小であるので、撹拌ミキサ46に堆積したデポジットはエンジンの始動時に溶融除去され易くなる。これにより、溶融除去されたデポジットはアンモニアとなり、SCR触媒47において窒素酸化物を選択的に還元する。この結果、尿素水の噴射が制限されるエンジンの始動時における窒素酸化物の排出を抑制することができる。
【0079】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では、加熱装置61を用いてデポジットを溶融除去することとしたが、モンレール式の燃料噴射装置21にシリンダ111内に燃焼に寄与せず未燃燃料として排気通路41に排出するタイミングで燃料を噴射(ポスト噴射)することにより、排気ガスを燃焼させ、デポジットを溶融除去するものとしてもよい。