【実施例1】
【0011】
図1は本発明の実施例1の配列支援システムの全体説明図である。
図1において、配列支援システムSは、物品の配列装置の一例としてのクライアントパソコンPCを有する。クライアントパソコンPCは、物品の配列図の作成装置の機能を有する。なお、実施例1のクライアントパソコンPCは、電子計算機の一例としてのコンピュータ装置により構成されている。
【0012】
実施例1のクライアントパソコンPCは、計算機本体の一例としてのコンピュータ本体H1を有する。コンピュータ本体H1には、表示装置の一例としてのディスプレイH2が接続されている。また、コンピュータ本体H1には、入力装置の一例としてのキーボードH3およびマウスH4が接続されている。コンピュータ本体H1は、図示しない記憶装置の一例としてのHDドライブ、すなわち、ハードディスクドライブや、記憶媒体の読取装置の一例としてのCDドライブ、すなわち、コンパクトディスクドライブ等を有する。
【0013】
(実施例1の制御部の説明)
図2は実施例1のクライアントパソコンの制御部が備えている機能をブロック図で示した図である。
(クライアントパソコンPCの制御部の説明)
図2において、クライアントパソコンPCのコンピュータ本体H1は、I/O、すなわち、入出力インターフェースを有する。入出力インターフェースは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う。また、コンピュータ本体H1は、ROM、すなわち、Read Only Memory:リードオンリーメモリーを有する。リードオンリーメモリーには、必要な処理を行うためのプログラムおよびデータ等が記憶される。
【0014】
また、コンピュータ本体H1は、RAM、すなわち、Random Access Memory:ランダムアクセスメモリを有する。ランダムアクセスメモリは、必要なデータを一時的に記憶する。また、コンピュータ本体H1は、CPU、すなわち、Central Processing Unit:中央演算処理装置を有する。中央演算処理装置は、ハードディスク等に記憶されたプログラムに応じた処理を行う。また、コンピュータ本体H1は、クロック発振器等も有する。
【0015】
クライアントパソコンPCは、ハードディスクやROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
クライアントパソコンPCのハードディスクには、基本ソフトウェアとしてのオペレーティングシステムOSが記憶されている。オペレーティングシステムOSは、コンピュータ装置の基本動作を制御する。
【0016】
また、クライアントパソコンPCのハードディスクには、物品の配置プログラムの一例としての配列支援プログラムAP1が記憶されている。配列支援プログラムAP1は、物品の配列処理を行う。
また、クライアントパソコンPCのハードディスクには、図示しない文書作成用ソフトウェアとしてのワープロソフトウェアや、電子メール送受信用ソフトウェア等のアプリケーションプログラム等が記憶されている。
以下、従来公知のオペレーティングシステムOSや図示しないアプリケーションプログラムを除く配列支援プログラムAP1の各機能(制御手段)を説明する。
【0017】
(配列支援プログラムAP1)
なお、以下の図面において、第1の物品の形状は各図面の説明内容に応じて異なっており、必ずしも形状は一致していない。
図3は実施例1の仮想平面上に配置された第1の物品の画像の説明図である。
C1:形状情報の記憶手段
形状情報の記憶手段C1は、第1の物品の形状に関する形状情報を記憶する。実施例1の形状情報の記憶手段C1は、第1の物品の形状パターンに関連する形状情報をパターン毎に記憶する。実施例1では、第1の物品の一例としての対象物品1の形状パターンに対応する形状情報として、対象物品1に形成された角の位置や、各角どうしの距離を記憶する。具体的には、実施例1の形状パターンの一例として、対象物品1に関連付けられた形状情報として、対象物品1が有する角、各角どうしの距離および対象物品1の外周に閉じられた領域が記憶されている。
【0018】
C2:識別番号の設定手段
識別番号の設定手段C2は、第1の物品の各角に識別番号を設定する。実施例1の識別番号の設定手段C2では、
図3に示すように、仮想平面上に配置された対象物品1の画像に形成された角のうち、外周上の1点を、ランダムに選出して、角A
1と識別番号を設定する。そして、対象物品1の各角に対して、角A
1から時計回りの順に、角A
2、角A
3、…、角A
α−1、角A
αを設定する。なお、実施例1では、角A
1を設定した角を、対象物品1に形成された凹部1aを検出する際に、検出を開始する対象物品1上の始点A
1として設定する。
【0019】
図4は実施例1の第2の移動方向に平行移動した第1の物品の状態説明図である。
C3:第2の配置手段
第2の配置手段C3は、第1の物品と同一形状に形成された第2の物品が第1の物品の凹部に非進入の状態となるように予め設定された第2の方向に沿って、第1の物品を平行移動させて、予め設定された位置に第1の物品を配置させる。実施例1の第2の配置手段C3では、
図4に示すように、第2の方向の一例であって、第2の移動方向の一例としてのX,Y軸方向に沿って、+X軸方向、且つ、+Y軸方向側に、対象物品1を平行移動させて、第2の物品の一例としての隣接物品31,41を配置する。なお、実施例1では、対象物品1の一部に、隣接物品31,41の一部が重ならなくなるまで、X,Y軸方向に沿って、対象物品1を平行移動させる。
【0020】
また、実施例1の構成では、基材から対象物品1や隣接物品31,41を型抜く型抜き動作に備えて、十分な余裕、いわゆる、マージンを持って、対象物品1と隣接物品31,41との間に予め設定された間隔の隙間に応じて、対象物品1が更に移動される。また、実施例1では、+X軸方向、且つ、+Y軸方向側に、対象物品1を平行移動させたが、これに限定されない。例えば、設計や仕様に応じて、−X軸方向、且つ、+Y軸方向側等、+X軸方向、且つ、+Y軸方向側以外の方向に、対象物品1を平行移動させる構成も可能である。
【0021】
C4:第2の面積の演算手段
第2の面積の算出手段の一例としての第2の面積の演算手段C4は、第1の物品と第2の物品との間の面積を第2の面積として演算する。実施例1の第2の面積の演算手段C4は、対象物品1と、前記第2の配置手段C3に基づいて第2の移動方向に平行移動した隣接物品31,41との間の面積を第2の面積として演算する。
【0022】
具体的には、
図4に示すように、対象物品1の角A
1と隣接物品31の角A
1との間の距離に対応する移動距離L
3aと、対象物品1におけるY軸方向の対象物品1の最大幅L
3bとを算出し、移動距離L
3aと対象物品1の最大幅L
3bとを掛け合せた領域の面積としての面積Exを第2の面積として演算する。また、角A
1と隣接物品41の角A
1との間の距離に対応する移動距離L
4aと、対象物品1におけるX軸方向の対象物品1の最大幅L
4bとを掛け合せた面積Eyも第2の面積として演算する。
【0023】
C5:凹部の検出手段
凹部の検出手段C5は、角間のベクトル演算手段C5A、内積の演算手段C5B、内積値の判別手段C5C、および、凹凸の設定手段C5Dを有しており、第1の物品に形成された凹部を検出する。実施例1の凹部の検出手段C5は、前記形状情報の記憶手段C1に記憶された形状情報に基づいて、対象物品1に形成された角のうち、凹部1aの一部を形成する角を検出する。
【0024】
図5は実施例1の第1の物品に形成された各角から他の角に向けて延びるベクトルを示す説明図である。
C5A:角間のベクトル演算手段
角間のベクトル演算手段C5Aは、第1の物品に形成された各角と他の角との間のベクトルを演算する。実施例1の角間のベクトル演算手段C5Aは、前記形状情報の記憶手段C1と識別番号の設定手段C2とに基づいて、α個の角が形成された第1の物品の各角A
αから他の角A
βへ向かう各ベクトルp
α,βを演算する。なお、実施例1では、
図5に示すように、角A
α(1≦α≦8)から他の角A
β(1≦β≦8)に向かうベクトルp
α,βが演算される。また、実施例1では、各ベクトルp
α,βとして、大きさが1の単位ベクトルを演算する。
【0025】
C5B:内積の演算手段
内積の演算手段C5Bは、第1の物品の各角間のベクトルの内積を演算する。実施例1の内積の演算手段C5Bでは、形状情報の記憶手段C1に記憶された対象物品1の形状情報と、角間のベクトル演算手段C5Aで演算された各角間のベクトルp
α,βとに基づいて、対象物品1の各ベクトルp
α,βどうしの内積の値としての内積値を演算する。
【0026】
C5C:内積値の判別手段
内積値の判別手段C5Cは、第1の物品の一辺に対応するベクトルと、一辺の端から他の各角に向けて延びるベクトルとの内積値のうち、一辺に対応するベクトルと、一辺に隣接する隣接辺に対応するベクトルとの間の内積値が最小値であるか否かを判別する。実施例1の内積値の判別手段C5Cは、内積の演算手段C5Bで演算された対象物品1の各ベクトルp
α,βどうしの内積値に基づいて、対象物品1において、角A
αから角A
α−1に向かうベクトルp
α,α−1と、角A
αから各角A
βに向けて延びる各ベクトルp
α,βとの内積値B
α−1,βのうち、ベクトルp
α,α−1と、角A
αから角A
α+1に向かうベクトルp
α,α+1との内積値B
α−1,α+1が、最小値であるか否かを判別する。
【0027】
具体的には、
図5に示すように、対象物品1において、例えば、角A
3から隣接する手前の角A
2に向かうベクトルp
3,2と、角A
3から隣接する次の各角A
β(1≦β≦8)に向かう各ベクトルp
3,βとの内積値B
2,βのうち、ベクトルp
3,2と角A
3から角A
4に向かうベクトルp
3,4との内積値B
2,4が、最小値であるか否かが判別される。
【0028】
C5D:凹凸の設定手段
凹凸の設定手段C5Dは、第1の物品の外周に形成された各角が、第1の物品の凹部1aの一部または凸部の一部のどちらか一方に設定する。実施例1の凹凸の設定手段C5Dは、前記内積値の判別手段C5Cで内積値B
α−1,βのうち、内積値B
α−1,α+1が最小値ではないと判別された場合に、隣接する角A
α+1は凹部1aの角であると判別されて「凹」として設定される。また、内積値B
α−1,α+1が最小値であると判別された場合、隣接する角A
α+1は凸部の角であると判別されて「凸」として設定される。
【0029】
図6は実施例1の第1の物品に形成された各角に「凸」または「凹」が設定された状態の説明図である。
具体的には、
図5に示す対象物品1において、内積値B
α−1,β(1≦α,β≦8)のうち、内積値B
α−1,α+1が最小値ではないと判別された内積値B
3,5,B
4,6、および、B
5,7の判別結果から、
図6に示すように、角A
4〜A
6は「凹」として設定される。また、最小値であると判別された内積値B
1,3,B
2,4,B
6,8,B
7,1、および、B
8,2の判別結果から、角A
1,A
2,A
3,A
7およびA
8は「凸」として設定される。
【0030】
図7は実施例1の第1の移動方向に平行移動した第1の物品の状態説明図である。
C6:第1の移動方向の抽出手段
第1の移動方向の抽出手段C6は、第1の方向の一例として、第1の物品の凹部に第2の物品の一部が進入した状態になるように第1の物品を移動させる方向としての第1の移動方向を抽出する。実施例1の第1の移動方向の抽出手段C6では、前記凹凸の設定手段C5Dで、対象物品1の「凸」と設定された角のうち、αの最小の角から対象物品1の「凹」と設定された角に向かう方向を第1の移動方向として抽出する。具体的には、
図7に示すように、対象物品1の角A
1から角A
4に向かう矢印Yaの方向や、対象物品1の角A
1から角A
6に向かう矢印Ybの方向を第1の移動方向として抽出する。なお、実施例1では、対象物品1に「凹」と設定された角がない場合、第1の移動方向が抽出されない。
【0031】
C7:第1の配置手段
第1の配置手段C7は、第1の物品の凹部に応じて設定された方向に沿って、第1の物品を平行移動させて、予め設定された位置に第1の物品を配置させる。実施例1の第1の配置手段C7では、前記第1の移動方向の抽出手段C6で抽出された第1の移動方向に沿って、前記形状情報の記憶手段C1で記憶された対象物品1上の予め設定された角と他の角との間の距離だけ対象物品1を平行移動させて、第2の物品の一例として、対象物品1に隣接する隣接物品11,21として配置する。
【0032】
具体的には、
図7に示すように、対象物品1の角A
1が角A
4に重なるまで、第1の移動方向Yaに沿って、対象物品1を平行移動させて、隣接物品11を配置し、対象物品1の角A
1が角A
6に重なるまで、第1の移動方向Ybに沿って、対象物品1を平行移動させて、隣接物品21を配置する。なお、実施例1では、「凸」と設定された角を、「凹」と設定された角の上に移動させた際に、対象物品1の一部と、隣接物品11,21の一部とが重なる場合がある。この場合、対象物品1の一部に、隣接物品11,21の一部が重ならなくなるまで、設定された第1の移動方向に沿って、対象物品1を平行移動させて、隣接物品11,21を配置する。よって、実施例1では、対象物品1に形成された凹部1aに、隣接物品11,21の一部が進入した状態で隣接物品11,21が配置される。また、実施例1の構成では、前記第2の配置手段C3と同様に、マージンを持って、対象物品1と隣接物品11,21との間に予め設定された間隔の隙間に応じて、対象物品1が更に移動される。
【0033】
C8:第1の面積の演算手段
第1の面積の算出手段の一例としての第1の面積の演算手段C8は、第1の物品と第1の物品の形状に応じて設定された方向に沿って、移動した第2の物品との間の面積を第1の面積として演算する。実施例1の第1の面積の演算手段C8は、第1の移動方向に沿って、対象物品1の一端からと、隣接物品11,21の一端までの面積を第1の面積として演算する。
【0034】
具体的には、
図7に示すように、対象物品1の角A
1と隣接物品11の角A
1との間の距離に対応する移動距離L
1aと、対象物品1における第1の移動方向Yaに直交する直交方向の対象物品1の最大幅L
1bとを算出し、移動距離L
1aと対象物品1の最大幅L
1bとを掛け合せた領域の面積を第1の面積Eaとして演算する。また、角A
1と隣接物品21の角A
1との間の距離に対応する移動距離L
2aと、対象物品1における第1の移動方向Ybに直交する直交方向の対象物品1の最大幅L
2bとを掛け合せた面積も第1の面積Ebとして演算する。なお、実施例1の構成では、対象物品に対して3つ以上の第1の移動方向が抽出された場合、対象物品と、各第1の移動方向に沿って移動した隣接物品とに対応した第1の面積Ea,Eb,Ec,…,をそれぞれ演算する。
【0035】
C9:配列方向の決定手段
配列方向の決定手段C9は、移動方向の中から、第1の物品を並べて配列する方向である配列方向を決定する。実施例1の配列方向の決定手段C9は、前記第1の面積の演算手段C8および第2の面積の演算手段C4で演算された面積のうち、最小面積に対応する移動方向を配列方向に決定する。具体的には、
図4,7に示すように、前記第1の面積の演算手段C8や、前記第2の面積の演算手段C4で算出された面積Ea,Eb,Ex,Eyのうち、最小面積の第1の面積Eaに対応する平行移動方向Yaを、配列方向に決定する。
【0036】
図8は実施例1の通知画面の説明図である。
C10:通知画面の表示手段
通知画面の表示手段C10は、第1の物品の配列情報を通知する通知画面を表示する。実施例1の通知画面の表示手段C10は、対象物品1が配列方向に移動した際に、対象物品1と移動した対象物品1との配列図、対象物品1の移動距離、対象物品1の直交方向の最大幅、および、X軸から配列方向の傾斜角度θを配列情報として通知する画面を、ディスプレイH2に表示する。なお、実施例1では、
図8に示すように、対象物品1が配列方向Yaに移動した場合、対象物品1と移動した対象物品1との配列図、対象物品1の移動距離L
1a、対象物品1の直交方向の最大幅L
1b、および、X軸から配列方向Yaの傾斜角度θを配列情報として通知する通知画面を、ディスプレイH2に表示する。
C11:配列設定の終了手段
配列設定の終了手段C11は、前記通知画面の表示手段C10で、配列情報がディスプレイH12に表示された場合に、前記配列支援システムSによる物品の配列設定処理を終了する。
【0037】
(実施例1のフローチャートの説明)
次に、実施例1のクライアントパソコンPCの配列支援プログラムAP1の処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
【0038】
(実施例1の物品の配列処理のフローチャートの説明)
図9は実施例1の配列支援プログラムの配列処理のフローチャートである。
図9のフローチャートの各ST(ステップ)の処理は、前記制御部のROM等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は前記制御部の他の各種処理、例えば、成形品の製図処理等と並行してマルチタスクで実行される。
【0039】
図9に示すフローチャートは前記クライアントパソコンPCが電源オンした後、前記配列支援プログラムAP1が起動した場合に開始される。
図9のST1において、ユーザによりキーボードH3やマウスH4により開始の入力があるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、形状情報の記憶手段C1に基づいて、対象物品1の形状情報を取得する。そして、ST3に進む。
【0040】
ST3において、対象物品1に形成された角のうち、外周の1点をランダムに選出して、角A
1と識別番号を設定した後に、残りの角に対して、角A
1から時計回りの順に、角A
2、角A
3、…、角A
α−1、角A
α(1≦α≦8)のそれぞれに識別番号を設定する。そして、ST4に進む。
ST4において、X軸方向、および、Y軸方向に沿って、対象物品1の一部に、隣接物品31,41の一部が重ならなくなるまで、対象物品1を平行移動させる。そして、ST5に進む。
【0041】
ST5において、対象物品1と隣接物品31との間の第2の面積Exと、対象物品1と隣接物品41との間の第2の面積Eyとを演算する。そして、ST6に進む。
ST6において、角A
αから他の角A
β(1≦β≦8)に向かうベクトルp
α,βを演算する。そして、ST7に進む。
ST7において、対象物品1の形状情報と、各角間のベクトルp
α,βとに基づいて、内積値B
α−1,α+1をそれぞれ演算する。そして、ST8に進む。
【0042】
ST8において、各角に対して、「凹」、または、「凸」を設定する。具体的には、内積値B
α−1,βのうち、内積値B
α−1,α+1が最小値ではないと判別された場合に、角A
α+1は「凹」として設定し、内積値B
α−1,α+1が最小値であると判別された場合に、角A
α+1は「凸」として設定する。そして、ST9に進む。
ST9において、対象物品1に形成された角のうち、「凹」として設定された角が存在するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST10に進み、ノー(N)の場合はST16に進む。
【0043】
ST10において、「凹」と設定された角A
αのうち、αの最小の角A
αを、第1の移動方向の抽出に用いる対象角として設定する。そして、ST11に進む。
ST11において、対象物品1の「凸」と設定された角のうち、αの最小の角A
αから、対象角に向かう方向を第1の移動方向として抽出する。そして、ST12に進む。
ST12において、第1の移動方向に沿って、対象物品1を平行移動させる。具体的には、対象物品1の一部に、隣接物品11,21の一部が重ならなくなるまで、対象物品1を平行移動させる。そして、ST13に進む。
【0044】
ST13において、対象物品1と隣接物品11との間の第1の面積Eaと、対象物品1と隣接物品21との間の第1の面積Ebとを演算する。そして、ST14に進む。
ST14において、「凹」として設定された全ての角A
αに対する平行移動が完了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST16に進み、ノー(N)の場合はST15に進む。
ST15において、時計回り方向に対して、対象角の下流側の「凹」として設定された角を、次の対象角として設定する。そして、ST11に戻る。
ST16において、演算された面積Ea,Eb,Ex,Eyのうち、最小面積に対応する移動方向を配列方向として決定する。そして、ST17に進む。
【0045】
ST17において、配列方向に沿って、対象物品1に対して予め設定された間隔を空けて隣接物品11を複数個並べて配列する。そして、ST18に進む。
ST18において、
図8に示すように、配列図、移動距離L
1a、最大幅L
1bおよび、X軸に対する配列方向の傾斜角度θをディスプレイH2に表示する。そして、物品の配列処理を終了して、ST1に戻る。
【0046】
(実施例1の作用)
(物品の配列支援プログラムAP1の機能)
前記構成を備えた実施例1の配列支援システムSでは、配列支援プログラムAP1が実行されて、
図9に示す物品の配列処理が実行される。形状情報が取得されると、
図3に示すように、対象物品1に形成された各角に対して、角A
1、…、角A
α(1≦α≦8)と識別番号が設定される。
【0047】
識別番号が設定された対象物品1が、
図4に示すように、X軸方向、および、Y軸方向に沿って、対象物品1の一部に、隣接物品31,41の一部が重ならなくなるまで、平行移動する。そして、対象物品1と隣接物品31,41との間の第2の面積Ex,Eyが演算される。また、対象物品1では、
図5に示すように、各角A
αから他の角A
β(1≦β≦8)に向かうベクトルp
α,βが演算されて、ベクトルp
α,βと形状情報とに基づいて、内積値B
α−1,α+1が演算される。そして、
図6に示すように、内積値B
α−1,βのうち、内積値B
α−1,α+1が最小値ではないと判別された場合に、角A
α+1が「凹」として設定され、内積値B
α−1,α+1が最小値であると判別された場合に、角A
α+1が「凸」として設定される。
【0048】
対象物品1に「凹」と設定された角が1つ以上存在する場合に、
図7に示すように、「凸」と設定されたαの最小の角から、「凹」と設定された角に向かう第1の移動方向に沿って、対象物品1の一部に、隣接物品11,21の一部が重ならなくなるまで、対象物品1が平行移動する。そして、対象物品1と隣接物品11,21との間の第1の面積Ea,Ebが演算される。なお、実施例1では、対象物品1は、「凹」と設定された各角毎に演算される。演算された面積Ea,Eb,Ex,Eyのうち、最小面積に対応する移動方向が配列方向として決定される。
【0049】
図10は従来構成の配列処理で配列された製品の配列図である。
ここで、特許文献1に記載の従来の構成では、形状や、大きさ、向きが別々の複数の製品で構成された製品群(w
1)が、右端から左に向けて詰めて配置される。そして、右端から左に向けて製品群(w
1)が検出されなくなる位置を検出して、検出された位置と右端との間の領域が、製品群(w
1)の全てが配置可能な最小の領域として設定されている。
しかし、特許文献1の構成では、製品の形状や、大きさ、向きに関わらず、右から左に向けて製品が並べて配置されており、製品の形状等に関わらず、一定の配置方向に限定されていた。
【0050】
よって、特許文献1の構成では、製品の形状等に応じて、右から左に製品が並べられた場合に比べて、右から左以外の他の方向に製品が並べられた方が、製品として使用されない面積が小さくても、対応できなかった。したがって、
図10において、素材(w
0)から製品群(w
1)を切り出す場合に、素材(w
0)において、製品が切り出されずに廃棄される領域(Eh)が大きくなる問題があった。
【0051】
図11は実施例1の配列処理で配列された第1の物品の配列図であり、
図11Aは最小面積に応じた配列方向に沿って配列された第1の物品の配列図、
図11BはX軸方向に沿って配列された第1の物品の配列図である。
これに対して、実施例1の構成では、
図7に示すように、凹部1aが形成された対象物品1で第1の面積EaまたはEbが最小面積の場合に、配列方向Ya、または、Ybに沿って、隣接物品11、または、21が配置される。この場合、対象物品1の凹部1aに、隣接物品11、または、21の一部を進入させた状態で隣接物品11,21が配置される。
【0052】
よって、実施例1では、
図11Aに示すように、最小面積の第1の面積Eaに応じた配置方向に沿って、隣接物品11が配列され、
図11Bに示すX軸方向に沿って配列された各物品1,31どうしの間の領域32に比べて、各物品1,11どうしの間の領域12,13の面積を小さくすることが可能である。
【0053】
図12は実施例1の配列処理で配列された
図11の第1の物品とは異なる第1の物品の配列図であり、
図12Aは第1の移動方向に沿って配列された第1の物品の配列図、
図12Bは最小面積に応じたX軸方向に沿って配列された第1の物品の配列図である。
また、実施例1では、第1の物品の一例としての対象物品101において、
図12Aに示す第1の面積Ea′ではなく、
図12Bに示す第2の面積Ex′が最小面積の場合に、X軸方向に沿って、第2の物品の一例としての隣接物品131が配置される。
【0054】
この場合、対象物品101の凹部101aに、隣接物品131の一部を進入させずに対象物品101を配置した方が、製品として使用されない面積132が狭くなる。したがって、実施例1では、対象物品101に形成された凹部101aに、隣接物品131の一部を進入させた状態で隣接物品131が配列されない。よって、
図12Bに示すように、最小面積の第2の面積Ex′に応じた配置方向に沿って、対象物品101に対して隣接物品131が配列される。
【0055】
したがって、実施例1の構成では、
図12Aに示す第1の移動方向に沿って配列された各物品101,111どうしの間の領域112,113に比べて、各物品101,131どうしの間の製品として使用されない領域132の面積を小さくすることが可能である。
よって、面積Ea,Ea′,Eb,Ex,Ex′,Eyに応じて配列方向が決定されない従来の構成に比べて、実施例1の構成では、各物品1,11どうしの間や、各物品101,131どうしの間で製品として使用されない領域12,13,132の面積を必要最低限に低減することが可能である。
【0056】
また、実施例1では、面積Ea,Ex′が演算される際に、対象物品1,101の角A
1と隣接物品11,131の角A
1との間の距離に対応する移動距離L
1a,L
101aと、対象物品1,101における配列方向に直交する直交方向の対象物品1,101の最大幅L
1b,L
101bとが算出される。最大幅L
1b,L
101bは、対象物品1,101と隣接物品11,131とが型抜かれる基材に必要な幅に対応している。また、移動距離L
1a,L
101aは、製品1個分のおおよその長さに対応しており、移動距離L
1a,L
101aおよび必要な製品の個数から、必要な基材のおおよその長さが検出可能である。したがって、実施例1の構成では、X軸方向やY軸方向に対して、配列方向が傾斜していても、移動距離L
1a,L
101a、および、最大幅L
1b,L
101bから必要な基材のおおよその大きさを、利用者が容易に把握することが可能である。
【0057】
また、実施例1では、対象物品1,101と配列された隣接物品11,131との間には、マージンが設けられている。マージンが設けられていない場合、型抜き動作で切刃が物品1,101,11,131を型抜く際に、物品1,101,11,131の境界部分が、設計よりも欠ける場合がある。よって、実施例1では、マージンが設けられていない構成に比べて、型抜き動作の実行時に、物品1,101,11,131が設計通りに形成されないことを低減可能である。
【0058】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、第1の物品の一例として、
図3に示す対象物品1や、
図12に示す対象物品101を例示したが、これに限定されず、設計や仕様に応じて、任意の形状や大きさに形成された対象物品を用いる構成も可能である。
【0059】
(H02)前記実施例において、第1の配置手段C7で、基材から対象物品や隣接物品を型抜く型抜き動作に備えて、対象物品と隣接物品との間に、予め設定された間隔の隙間を設けた構成を例示したが、これに限定されない。例えば、基材の厚さが分厚くなるに連れて、隙間の間隔を空けるように自動的に設定する構成も可能であり、利用者が手動で変更可能とすることも可能である。なお、対象物品と隣接物品との間の隙間の間隔は、設計や仕様に応じて、隙間の間隔を変更することが可能である。
【0060】
(H03)前記実施例において、クライアントパソコンPCが電源オンした後、配列支援プログラムAP1が起動した場合に物品の配置処理が開始される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、クライアントパソコンPCとライセンスサーバとの間で、登録申請情報と使用許諾情報との送受信を行い、配列支援システムSで使用許諾が行われた後、配列支援プログラムAP1が起動した場合に、物品の配置処理が開始される構成も可能である。
(H04)前記実施例において、マージンを持って、対象物品1,101と隣接物品11,131との間に予め設定された間隔の隙間に応じて、対象物品1,101が更に移動される構成が望ましいが、対象物品1,101の作成方法によっては、対象物品1,101と隣接物品11,131との間にマージンを持たずに、対象物品1,101を移動させる構成とすることも可能である。
【0061】
(H05)前記実施例において、X軸方向、および、Y軸方向の2方向を、第2の方向の一例としての第2の移動方向として設定した構成を例示したが、これに限定されない。例えば、X軸方向、または、Y軸方向のどちらか一方の方向のみを、第2の移動方向として設定する構成も可能である。また、X軸方向やY軸方向に対して傾斜した方向を、第2の移動方向として予め設定する構成も可能である。
(H06)前記実施例において、「凸」の角から、「凹」の角に向かう方向を、第1の移動方向と設定する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、「凹」の角が複数存在する場合に、「凸」の角から、「凹」の角どうしの中間の位置に向かう方向を、第1の移動方向と設定する構成も可能である。
【0062】
(H07)前記実施例において、対象物品1に形成された角の位置や、各角どうしの距離を記憶する形状情報に基づいて、対象物品1に形成された角のうち、凹部1a,101aの一部を形成する角を検出する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、対象物品1の各角に「凸」または「凹」が関連付けられた凹凸情報とを予め記憶しておき、各角の「凸」「凹」の検出を省いた構成も可能である。また、各角の「凸」「凹」を検出する構成として、対象物品1に外接する凸形の多角形、または、外接円を求め、対象物品1の外周上の角のうち、外接多角形、または、外接円の上に存在しない角を、「凹」の角として検出する構成も可能である。また、対象物品の投影画像を一度作成し、画像解析して、凹部の一部を形成する角を検出する構成も可能である。
【0063】
(H08)前記実施例において、始点を、「凸」と設定されたαの最小の角として、「凹」の角に向かう方向を第1の方向と設定する構成を例示したが、これに限定されず、始点をランダムに設定したりする等、任意の設定とすることも可能である。
(H09)前記実施例において、対象物品1の左下に形成された「凸」の角から「凹」の角に向かう第1の方向を例示したが、これに限定されない。例えば、右下や、右上、左上に形成された「凸」の角から「凹」の角に向かう方向を第1の方向とする構成も可能である。