特許第6551112号(P6551112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551112
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】点灯装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20190722BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20190722BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20190722BHJP
【FI】
   H05B37/02 F
   H05B37/02 C
   H05B37/02 G
   H04Q9/00 301D
   H01L33/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-191263(P2015-191263)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-68964(P2017-68964A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】▲西▼川 弘明
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−059667(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/098435(WO,A1)
【文献】 特開2005−322473(JP,A)
【文献】 特開2008−053083(JP,A)
【文献】 特開2015−060382(JP,A)
【文献】 特開2005−311735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
H04Q 9/00
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体発光素子からなる光源を点灯させる電源回路と、
前記電源回路を制御し、家電の電源操作に応答して前記家電から発せられる消灯用信号を受信する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
予め設定される設定時刻を記憶し、
前記設定時刻よりも前の時刻である制御開始時刻から前記設定時刻にかけて予め設定された開始調光率から予め設定された終了調光率まで前記光源の明るさを徐々に変化させる調光制御を行い、
前記光源の明るさが前記終了調光率に達した後、前記光源の消灯操作がないままで前記消灯用信号を受信した場合に、前記光源を消灯させる点灯装置。
【請求項2】
前記設定時刻は、起床予定時刻であり、
前記制御装置は、前記調光制御において前記開始調光率を下限調光率としかつ前記終了調光率を上限調光率として徐々に明るさを上げ、
前記消灯用信号は、前記家電の電源投入時に前記家電から発せられる請求項に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記設定時刻は、就寝予定時刻であり、
前記制御装置は、前記調光制御において前記開始調光率を上限調光率としかつ前記終了調光率を下限調光率として徐々に明るさを下げ、
前記消灯用信号は、前記家電の電源オフ時に前記家電から発せられる請求項に記載の点灯装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の点灯装置を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光灯および白熱灯を備える照明とアラームにより目覚ましを促進する目覚まし装置において、設定時刻前から白熱灯を調光点灯させ徐々に眠りを浅くしてゆき、設定時刻に蛍光灯の点灯およびアラームを鳴らすことで目覚ましを促進する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−215279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような目覚まし照明制御は、寝室などの睡眠を取るための空間に設けられた照明器具で実行されることが想定される。寝室などに設けられた照明器具は日中に点灯されることは少なく、日没以後の暗い時間帯に点灯し就寝時に消灯操作することが多い。一方、上記特許文献1によれば、起床時(通常は日の出以後の朝方)に自動的に照明が点灯された状態となる。起床後には必ずしも照明を点灯させ続ける必要は無いので、使用者は、起床した直後に既に点いている照明を消灯することになる。このような消灯操作は前述した通常の消灯操作とは異なっているので、起床直後で注意力が低下している場合などに、消灯忘れが生じやすいという問題がある。
【0005】
なお、上記特許文献1には明記が無いが、本願発明者は就寝時の照明制御についても鋭意研究を重ねている。その研究の過程において、就寝時についても消灯忘れの問題が生じうることが本願発明者により見出されている。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、消灯忘れを抑制できるように使い勝手が向上された点灯装置および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
の発明にかかる点灯装置は、固体発光素子からなる光源を点灯させる電源回路と、前記電源回路を制御し、家電の電源操作に応答して前記家電から発せられる消灯用信号を受信する制御装置と、を備え、前記制御装置は、予め設定された時刻の設定を受け付け、設定された設定時刻を記憶し、前記設定時刻よりも前の時刻である制御開始時刻から前記設定時刻にかけて、予め設定された開始調光率から予め設定された終了調光率まで前記光源の明るさを徐々に変化させる調光制御を行い、前記光源の明るさが前記終了調光率に達した後、前記光源の消灯操作がないままで前記消灯用信号を受信した場合に、前記光源を消灯させる。
【0013】
の発明にかかる照明装置は、上記第1の発明にかかる点灯装置を備える。
【発明の効果】
【0014】
1の発明によれば、照明スイッチ以外の消灯機能を持たせることにより、照明スイッチなどで消灯する動作がなくとも消灯忘れを抑制でき、使い勝手が向上する。
【0016】
の発明によれば、上記第1の発明にかかる機能を搭載した照明装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態にかかる点灯装置の回路ブロック図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる目覚まし照明制御における処理フローを説明するタイムチャートである。
図3】本発明の実施の形態にかかる目覚まし照明制御における設定画面の一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる目覚まし照明制御における処理フローを説明するフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態にかかる就寝時消灯制御における処理フローを説明するタイムチャートである。
図6】本発明の実施の形態にかかる就寝時消灯制御における設定画面の一例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態にかかる就寝時消灯制御における処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態にかかる装置の構成.
図1は、本発明の実施の形態にかかる点灯装置1を示す回路ブロック図である。図1には、点灯装置1を含む照明器具100も図示されている。照明器具100は、光源モジュール27と、点灯装置1と、調光器28および調光信号インターフェイス(I/F)回路4と、を備えている。点灯装置1は、直流電源2、バックコンバータ回路3、および制御装置40を備えている。光源モジュール27は、固体発光素子であるLED27aが複数個直列接続されたものである。ただしLED27aの接続方法は並列あるいは直並列であってもよい。実施の形態では、光源モジュール27を点灯させる「電源回路」として直流電源2およびバックコンバータ回路3が用いられているが、電源回路の具体的回路構成は様々なものを用いることができ、例えばフライバックコンバータ回路を用いても良い。LED27aは、無機半導体材料からなるLEDに限らず、いわゆる有機EL(OLED)でもよい。
【0019】
直流電源2は、例えば昇圧チョッパ回路で構成されており、整流回路8と、コンデンサ9と、抵抗31、32が直列接続した分圧回路と、インダクタ10と、スイッチング素子Q1と、ダイオード14と、コンデンサ17と、抵抗15、16が直列接続した分圧回路を備えている。
【0020】
整流回路8は、交流電源7と接続している。交流電源7と整流回路8とを接続する配線の途中には、電源オン/オフ等の操作を受け付ける照明スイッチSWが設けられている。コンデンサ9は、整流回路8の出力端子に並列に接続する。抵抗31、32が直列接続した分圧回路は、このコンデンサ9に並列に接続される。コンデンサ9の両端電圧が抵抗31、32を用いて分圧され、制御装置40に入力される。インダクタ10は、一端が整流回路8の高電位側に接続される。
【0021】
スイッチング素子Q1は、本実施の形態ではMOSFETであり、第1電極(本実施の形態ではドレイン)、第2電極(本実施の形態ではソース)および第1、2電極間をスイッチングするための制御電極(本実施の形態ではゲート)を備え、インダクタ10の他端に第1電極が接続される。ダイオード14のアノードが、スイッチング素子Q1の第1電極とインダクタ10の他端との接続点に接続される。
【0022】
コンデンサ17は、ダイオード14のカソードに正極が接続され整流回路8の低電位側に負極が接続される電解コンデンサからなる。抵抗15、16が直列接続した分圧回路は、このコンデンサ17に並列に接続される。コンデンサ17の両端電圧が抵抗15、16を用いて分圧され制御装置40に入力される。
【0023】
抵抗15、16は、直流電源2の出力端に設けられており、直流電源2の出力電圧検出に用いられる。抵抗16からの検出電圧が制御装置40に入力され、制御装置40はこの検出電圧に基づいて、直流電源2の出力電圧が一定電圧になるようにスイッチング素子Q1をオンオフする。
【0024】
バックコンバータ回路3は、スイッチング素子Q2と、ダイオード21と、インダクタ(チョークコイル)22と、コンデンサ23と、検出抵抗24と、抵抗51、52が直列接続した分圧回路を備えている。スイッチング素子Q2とダイオード21からなる直列回路が、直流電源2のコンデンサ17と並列に接続されている。
【0025】
スイッチング素子Q2は、本実施の形態ではMOSFETであり、第1電極(本実施の形態ではドレイン)、第2電極(本実施の形態ではソース)および第1、第2電極間をスイッチングするための制御電極(本実施の形態ではゲート)を備えている。この第1電極がコンデンサ17の一端(正極)と接続し、ダイオード21のカソードに第2電極が接続される。インダクタ22、コンデンサ23、および検出抵抗24がこの順に接続して直列回路を形成しており、この直列回路がダイオード21に並列に接続している。
【0026】
検出抵抗24は、バックコンバータ回路3に設けられており、光源モジュール27に流れるLED電流の検出に用いられる。検出抵抗24からのLED電流に対応した検出電圧が制御装置40に入力され、制御装置40はこの検出電圧に基づいて、光源モジュール27に流れる電流が一定電流になるようにバックコンバータ回路3のスイッチング素子Q2をオンオフする。
【0027】
抵抗51、52は、バックコンバータ回路3の出力端に設けられており、光源モジュール27の接続有無、電圧検出に用いられる。抵抗52からの検出電圧が制御装置40に入力され、制御装置40はこの検出電圧に基づいて、光源モジュール27の電圧異常を検出する。
【0028】
デジタル電源用制御装置として提供されるマイコンは既に各種のものが公知であり、それらの公知のマイコンを制御装置40に使用することができる。本実施の形態において一例として図1に示す制御装置40は、内部バスを介して互いに接続された制御回路41、42、記憶部43、A/D変換回路44、演算処理部45、送受信部46、およびタイマ47を備えている。制御回路41、42は、スイッチング素子Q1、Q2それぞれをスイッチングするPWM信号を出力する。記憶部43は、例えば不揮発性メモリなどからなり、演算処理部45で実行すべき演算プログラム(後述する目覚まし照明制御プログラム、就寝時消灯制御プログラムなど)および演算プログラムの実行時に用いられる各種データを記憶している。制御装置40は、さらに、送受信部46と接続して無線信号の送受信を行うアンテナ50を備えている。
【0029】
記憶部43に対しては外部からデータの書き込みおよび読み出しが行われるようになっている。演算処理部45は、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング制御におけるオン時間などを算出する。制御装置40には、抵抗15,16で分圧された直流電源2の出力電圧に応じた電圧、抵抗31、32で分圧された交流電源7を整流した電圧に応じた電圧、および検出抵抗24で検知したLED電流に応じた電圧が入力される。A/D変換回路44でこれらの電圧値がデジタル値に変換され、このデジタル値を用いて演算処理部45により演算処理が行われる。
【0030】
制御装置40は、予め記憶部43に設定された目標電圧に一致するように、抵抗15,16で分圧された直流電源2の出力電圧に応じてスイッチング素子Q1のオン時間を調整することで定電圧制御を行っている。
【0031】
また、制御装置40には、調光信号I/F回路4を介して壁等に備え付けた調光器28からの調光指令値が入力されており、LED電流がこの調光指令値に基づいて決定される目標電流に一致するように、検出抵抗24で検知したLED電流に基づいてスイッチング素子Q2のオン時間を調整する。さらに、記憶部43に予め書き込まれたバックコンバータ回路3の回路効率、インダクタ22のインダクタンス値、ダイオード21の順方向電圧値と、検出回路で検出したバックコンバータ回路3の出力電流値、出力電圧値、入力電圧値に基づいてスイッチング素子Q2の周波数を変調することで略臨界モードでの定電流制御を行っている。
【0032】
図1には、ネットワーク70を介して制御装置40のアンテナ50に接続される家電80および無線通信機器200が図示されている。図1では、一例として、エアコン81、パーソナルコンピュータ82、テレビ83、およびオーディオ84を包括して家電80と称している。これら以外にも様々な家電機器を家電80に含めても良く、例えば、電子レンジおよび電磁調理器(いわゆるIHクッキングヒータ)などの台所家電機器、並びに洗濯機などが含まれていてもよい。ネットワーク70を介してこれらの家電80を接続する技術は、例えば特開2015−46950号公報などに開示されているような公知技術を用いればよく、新規な事項ではない。したがって、ここではこれ以上の説明は省略する。
【0033】
無線通信機器200は、照明コントローラ201などの照明制御機器を除くいわば汎用通信機器である。無線通信機器200には様々な通信装置が含まれ、例えば持ち運び可能な携帯端末を例示すると、スマートフォン、スマートフォン以外の携帯電話、タブレット型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、あるいはノート型のパーソナルコンピュータであってもよい。また、必ずしも持ち運び可能な携帯端末に限らず、無線LANを構築した据置型通信端末、具体的にはデスクトップ型パーソナルコンピュータであってもよい。照明コントローラ201は、図示しないリモコンからの電源オン/オフおよび調光指令値により照明器具100を照明制御する。
【0034】
実施の形態にかかる装置の動作.
制御装置40は、以下に述べる「目覚まし照明制御」および「就寝時消灯制御」を実行することができる。これらの制御を実行するために、記憶部43には、予め、「目覚まし照明制御プログラム」、「就寝時消灯制御プログラム」、「目覚まし照明設定プログラム」、および「就寝消灯設定プログラム」を含む電子データが記憶されている。
【0035】
目覚まし照明制御および就寝時消灯制御における調光制御は、使用者によって設定時刻が予め設定されており、制御開始時刻から設定時刻にかけて予め定められた「開始調光率」から予め定められた「終了調光率」まで光源モジュール27の明るさを徐々に変化させる点で類似している。ただし、目覚まし照明制御では、設定時刻が「起床予定時刻」であり、開始調光率が下限調光率とされかつ終了調光率が上限調光率とされて徐々に明るさを上げる調光制御が行われる。その一方で、就寝時消灯制御では、設定時刻が「就寝予定時刻」であり、開始調光率が上限調光率とされ、かつ終了調光率が下限調光率とされて徐々に明るさを下げる調光制御が行われる。
【0036】
(実施の形態にかかる目覚まし照明制御)
図2は、実施の形態にかかる目覚まし照明制御における処理フローを説明するタイムチャートである。図2では、一例として、目覚まし照明制御開始時刻t1から起床予定時刻t2にかけて、5%〜25%の範囲で予め定められた所定調光率を下限としここから上限調光率(一例として全光)に向けて、時間経過に応じて連続的に明るさを上げていくという調光制御を行っている。なお、起床予定時刻t2で全光となった後、後述する所定の消灯条件(図4のステップS112〜S116)が成立した時刻t3において、制御装置40は光源モジュール27を自動的に消灯する。図2では下限調光レベルに一気に持っていき、直ちに予め定めた所定時間かけて上限調光レベルに持っていく調光制御を例示したが、変形例として下限調光レベルを予め定めた他の所定時間だけ保持するように構成してもよい。
【0037】
(目覚まし設定画面)
図3は、実施の形態にかかる目覚まし照明制御における設定画面の一例を示す図である。本実施の形態では、使用者の好みに応じて目覚まし照明制御の内容を調整することができる。具体的には、時間および明るさの設定値などを任意に設定することができる。これにより、使用者一人ひとりが気分よく起床するような照明制御を実現することができる。使用者は、スマートフォン等の無線通信機器200を用い、図3に示す目覚まし設定画面を立ち上げる。無線通信機器200の画面上で図3のユーザインターフェースを介して起床予定時刻などを設定することができる。
【0038】
設定画面により入力されるべき複数の設定値には、起床予定時刻t2と、目覚まし照明制御開始時刻t1を決定するための情報(すなわち、目覚まし予定時刻の何分前に目覚まし照明制御を開始するかの時間値)と、上限調光率および下限調光率と、調光パターンと、自動消灯時間と、家電連携の有無と、が含まれている。図3では目覚まし照明制御開始時刻t1から起床予定時刻t2までの時間が5分に設定されているが、これは一例であり、個人差があるので、時間を長くしたり短くしたり調整できるようになっている。図3に示す例では、目覚まし照明制御において上限調光率および下限調光率の両方を可変設定にしているが、上限調光率は全光点灯(つまり調光率=100%)で固定とされ下限調光率のみを可変設定可能としても良く、その逆でもよい。また、調光パターンを複数個記憶しておき、使用者が選択できるようにしてもよい。例えば、3つの調光パターンA、B、Cを記憶しておき、使用者に選択させても良い。調光パターンAは、図2に示すように、下限調光率から上限調光率に向かって一次関数的に連続調光で明るさを上げるものとする。調光パターンBは、下限調光率から上限調光率に向かって階段状に(いわば段調光的に)明るさを上げるものとしてもよい。調光パターンCは、下限調光率から第1の変化率で明るさを上げ、途中で第1の変化率と異なる第2の変化率(第1の変化率より大きくてもよく、小さくてもよい)で明るさを上げて上限調光率に達するものでもよい。なお、「自動消灯時間」および「家電連携の有無」は、後述する図4のフローチャートにおけるステップS112、S116の処理で使用される設定値である。
【0039】
無線通信機器200は、上記の各種設定値を含む目覚まし設定用無線信号を制御装置40に送信する。無線通信機器200は、入力された設定値を制御装置40へ送信する。制御装置40は、無線通信機器200からの無線信号をアンテナ50および送受信部46で受信し、設定値を記憶部43に記憶する。制御装置40は、タイマ47により計時された現在時刻が目覚まし照明制御開始時刻に一致すると、最新の設定値に従って調光制御プログラムを実行する。
【0040】
なお、本実施の形態では、一例として、図3の各設定値を入力するための「入力用通信機器」として無線通信機器200を用いるとともに、無線通信機器200を後述するステップS114の消灯用信号の送信にも用いている。しかしながら、目覚まし設定画面の入力用機器と、図4のステップS114における消灯用信号の送信用通信機器とを、別の機器としても良い。また、設定画面を介した制御装置40への設定値入力は無線信号で行う場合に限定されず、図示しない有線設定器(有線コントローラ)から目覚まし設定用信号および消灯用信号を制御装置40へ有線送信するようにしてもよい。
【0041】
(目覚まし照明制御の具体的処理)
図4は、実施の形態にかかる目覚まし照明制御における処理フローを説明するフローチャートである。制御装置40の演算処理部45は、アンテナ50および送受信部46を介して目覚まし設定用無線信号を受信すると、記憶部43に予め記憶された目覚まし照明制御プログラムを実行する。
【0042】
図4の処理フローでは、まず、演算処理部45は、記憶部43に予め格納しておいた設定値を読み出す(ステップS100)。演算処理部45は、設定値に含まれる起床予定時刻および目覚まし照明制御開始時刻の値から、目覚まし照明制御開始時刻t1を演算する(ステップS102)。一例として、図3では、使用者により目覚まし照明制御開始時刻t1が起床予定時刻t2(図3の例では6時00分)の5分前に設定されているので、起床予定時刻t2から5分を減算した時刻が目覚まし照明制御開始時刻t1(図3の例では5時55分)に設定される。
【0043】
次に、演算処理部45は、目覚まし照明制御プログラムに従って、タイマ47で現在時刻を検出し、現在時間が目覚まし照明制御開始時刻t1に達したか否かが判定される(ステップS104)。現在時間が目覚まし照明制御開始時刻t1に達するまでは待機状態となる。
【0044】
現在時間が目覚まし照明制御開始時刻t1に達すると、次に、演算処理部45は、下限調光率での点灯を開始する(ステップS106)。具体的には、演算処理部45は、使用者により予め定められた下限調光率でLED27aを下限調光点灯するように制御回路42に制御信号を送る。制御回路42は、その制御信号をもとにスイッチング素子Q2のオン時間を制御して、光源モジュール27を下限調光点灯させる。図3では、一例として、使用者により下限調光率が5%に設定されている。下限調光率は例えば調光率5〜25%の範囲で使用者に選択させるようにしてもよい。
【0045】
その後、演算処理部45は、目覚まし照明制御プログラムに従って、下限調光率に達すると直ちに調光率を増大させる(ステップS108)。具体的には、演算処理部45は、下限調光点灯時から5分後の起床予定時刻で、予め定めた上限調光率(一例として全光すなわち調光率100%)となるように、しかもこの5分間の下限調光点灯時から全光点灯時まで調光率を一定速度で上昇させるように、制御回路42に制御信号を送る。制御回路42は、その制御信号をもとにスイッチング素子Q2のオン時間を制御して、下限調光点灯時から5分間の起床予定時刻まで一定で調光率を上昇させる。このような調光制御が行われ、最終的に起床予定時刻t2で光源モジュール27が全光点灯とされる(ステップS110)。
【0046】
ステップS110の後、処理はステップS112〜S116に進む。実施の形態では、起床予定時刻t2に達した後、光源モジュール27の消灯操作がないままで下記に述べる各種の消灯条件が満たされた場合に制御装置40が光源モジュール27を消灯させるように、目覚まし照明制御プログラムが構築されている。
【0047】
具体的には、まず、起床予定時刻t2の(全光)後に、演算処理部45は、タイマ47の計時機能を利用して、予め定められた自動消灯時間(一例として5分)が経過したか否かを判定する(ステップS112)。この自動消灯時間が経過してもいまだに光源モジュール27が点灯している場合には、消灯忘れの可能性が高い。そこで、演算処理部45は、LED27aを自動消灯となるように制御回路42に制御信号を送る(ステップS124)。制御回路42は、その制御信号をもとにスイッチング素子Q2の動作を停止する。なお、図3の設定画面において、自動消灯時間の値は使用者の好みに応じて5分以外の値に変更することができる。
【0048】
また、演算処理部45は、制御装置40のアンテナ50を介して、照明用制御機器以外の無線通信機器200から光源モジュール27の消灯を指示する消灯用信号を受信したか否かを判定する(ステップS114)。制御装置40は、消灯用信号をアンテナ50で受信した場合に、ステップS112と同様に光源モジュール27を消灯させるように制御回路42に制御信号を送る(ステップS124)。
【0049】
このようにすることで、使用者が起床した後、無線通信機器200を手動操作することにより、消灯用信号を制御装置40に通知して消灯することができる。つまり、ステップS114では、LED27aの消灯が時間経過に基づく自動消灯ではなく、手動操作に基づいて行われる。このような方法であっても、照明スイッチSWをオフすることを忘れたときに、スマートフォン等の他の無線通信機器を操作する際に使用者が消灯用信号を通知して光源モジュール27を消灯する機会を作り出すことができるので、消灯忘れを抑制する効果がある。なお、無線通信機器200に消灯時刻を予め設定しておき、その消灯時刻になると、無線通信機器200が自動で消灯用信号を制御装置40に通知するようにしてもよい。
【0050】
また、演算処理部45は、家電80から発せられる消灯用信号を受信したか否かを判定する(ステップS116)。前述したように、家電80からの信号は、ネットワーク70を介して制御装置40のアンテナ50に送信されるようになっている。本実施の形態では、エアコン81等の家電80に電源が投入されたらその家電80が制御装置40に自動で消灯用信号を発するように、家電80、ネットワーク70および点灯装置1を含むシステムが構成されている。消灯用信号は、家電80の電源投入時に家電80から発せられる。制御装置40は、家電80からの消灯用信号を受信した場合に、光源モジュール27を消灯させるように制御回路42に制御信号を送る(ステップS124)。なお、図3の設定画面で「家電連携」を「なし」に設定すると、ステップS116の処理は省略される。
【0051】
上記のような目覚まし照明制御によれば、照明スイッチSW以外の消灯機能を持たせることにより、照明スイッチSWで消灯する動作がなくとも消灯忘れを抑制でき、使い勝手が向上する。また、アラームのような音を発生させることなく、照明による視覚的な刺激を与えることにより目覚めさせることができるので、隣室などの周囲に音による悪影響を与えないで済ませることができる。また、起床予定時刻の所定時刻前から徐々に調光率を上げながら全光に持っていくようにしたので、起床予定時刻にいきなり全光させる場合よりも、優しい視覚感覚で目覚めを促進できる。
【0052】
(実施の形態にかかる就寝時消灯制御)
図5は、実施の形態にかかる就寝時消灯制御における処理フローを説明するタイムチャートである。就寝時消灯制御開始時刻t11から就寝予定時刻t12にかけて、上限調光率(一例として全光)から下限調光率(例えば5%)へと連続的に明るさを下げる制御を行っている。なお、就寝予定時刻t12で下限調光となった後、下限調光点灯を維持し、後述する所定の消灯条件(図7のステップS112〜S216)が成立した時刻t13において、制御装置40は光源モジュール27を下限調光点灯から自動的に消灯する。
【0053】
(就寝設定画面)
図6は、実施の形態にかかる就寝時消灯制御における設定画面の一例を示す図である。図3に示す目覚まし設定画面と類似する入力項目が列挙されている。これにより、例えば消灯照明制御開始時刻から就寝予定時刻までの時間を使用者の好みに応じて5分から変更するなどの調整が可能となる。図6に示す就寝設定画面の内容についても、図3で説明したのと同様の変形が可能である。例えば、図6の例では上限調光率および下限調光率の両方を可変設定にしているが、上限調光率は全光点灯(つまり調光率=100%)で固定とされ下限調光率のみを可変設定可能としても良く、その逆でもよい。これにより、目覚まし照明制御と同様に、就寝時消灯制御の内容も使用者の好みに合わせて調整することができ、使用者一人ひとりが気分よく就寝できるような消灯制御を実現することができる。
【0054】
なお、例えば使用者が任意に調光率を設定可能な照明器具においては、就寝時消灯制御開始時刻t11において調光率が全光未満の調光率に設定されていることも考えられる。そのような場合に対応する変形例として、就寝時消灯制御開始時刻t11の上限調光率を一定に保持せずに、就寝時消灯制御開始時刻t11における現在の調光率(例えば80%調光)を上限調光率に設定してそのまま就寝時消灯制御を開始するようにしてもよい。
【0055】
無線通信機器200は、図6の設定画面に入力された複数の設定値を含む就寝時消灯設定用無線信号を制御装置40に送信する。無線通信機器200は、入力された設定値を制御装置40へ送信する。制御装置40は、無線通信機器200からの無線信号をアンテナ50および送受信部46で受信し、設定値を記憶部43に記憶する。制御装置40は、タイマ47により計時された現在時刻が就寝時消灯制御開始時刻に一致すると、最新の設定値に従って調光制御プログラムを実行する。
【0056】
なお、就寝設定画面に関して、目覚まし照明制御の場合と同様の変形が可能である。例えば、就寝設定画面に入力された設定値を制御装置40へと伝達するための通信方式は、無線に限らず有線でもよい。また、就寝設定画面の入力用機器と、図7のステップS114における消灯用信号の送信用通信機器とを、別の機器としても良い。
【0057】
(就寝時消灯制御の具体的処理)
図7は、実施の形態にかかる就寝時消灯制御における処理フローを説明するフローチャートである。制御装置40の演算処理部45は、アンテナ50および送受信部46を介して無線通信機器200から就寝時消灯設定用無線信号を受信すると、記憶部43に予め記憶された就寝時消灯制御プログラムを実行する。以下、図7の処理フローのうち、図4で説明した処理フローと類似する部分については、重複説明を避けるために説明を簡略化或いは省略する。
【0058】
図7の処理フローによれば、演算処理部45は、まず記憶部43に予め記憶しておいた設定値を読み出し(ステップS200)、設定値に含まれる図6の就寝予定時刻(23時00分)と就寝時消灯制御開始時刻の値(5分)とから就寝時消灯制御開始時刻t11(図6の例では22時55分)を算出し(ステップS202)、現在時刻が就寝時消灯制御開始時刻t11に一致しているかを判定する(ステップS204)。
【0059】
タイマ47で計時された現在時刻が就寝時消灯制御開始時刻t11に達すると、次に、演算処理部45は、上限調光点灯から調光率の低減を開始する(ステップS206)。具体的には、演算処理部45は、全光時から5分後の就寝予定時刻t12において使用者により定められた下限調光率での点灯となるように、しかも全光点灯時から下限調光点灯時までの調光率をこの5分間かけて一定速度で減少させるように、制御回路42に制御信号を送る。制御回路42は、その制御信号をもとにスイッチング素子Q2のオン時間を制御して、上限調光時(ここでは全光点灯時)から5分後の就寝予定時刻t12まで一定速度で調光率を減少させて、就寝予定時刻t12では予め定められた下限調光率で光源モジュール27を点灯させる。
【0060】
実施の形態にかかる就寝時消灯制御プログラムでは、上述した目覚まし照明制御プログラムと同様に、消灯忘れを抑制するための工夫が施されている。すなわち、就寝予定時刻t12に達した後、下限調光点灯を維持し、光源モジュール27の消灯操作がないままで下記の3つの消灯条件の少なくとも1つが満たされた場合には制御装置40が光源モジュール27を下限調光点灯から消灯させるように、就寝時消灯制御プログラムが構築されている。3つの消灯条件のうち2つは、図4の処理フローと同じく、ステップS112およびステップS114の判定条件が満たされることである。これにより、就寝予定時刻t12に達した後、演算処理部45は一例として5分後に光源モジュール27を自動消灯となるように、制御回路42に制御信号を送る。また、無線通信機器200からの消灯用信号を受信することで、光源モジュール27が消灯される。
【0061】
3つの消灯条件のうち残り1つは、図4のステップS116と同様に、家電80との連携により判定される。図7のフローチャートにも、図4のステップS116と同様に、家電連携処理にかかるステップS216が含まれている。就寝時消灯制御を実現するために、エアコン81等の家電80の電源がオフされた場合に、その家電80が自動で消灯用信号を発するように、家電80、ネットワーク70および点灯装置1を含むシステムが構成されているものとする。エアコン81などの家電80は、予め定めたタイマオフ時刻になると自動的に電源オフされるタイマ機能を内蔵しているものとする。エアコン81などが予め設定されたタイマオフ時刻にオフとなると、連動して光源モジュール27も消灯することができる。
【0062】
上記のような就寝時消灯制御によれば、照明スイッチSW以外の消灯機能を持たせることにより、照明スイッチSWで消灯する動作がなくとも就寝時の消灯忘れを抑制でき、使い勝手が向上する。また、就寝予定時刻の所定時刻前から徐々に調光率を下げながら下限調光に持っていくようにしたので、就寝時にいきなり消灯させる場合よりも、優しい視覚的刺激にて睡眠を促進できる。更に、下限調光点灯を所定時間保持してから自動消灯させるようにしたので、いきなり消灯させる場合よりも、特に幼児などに対して好適な就寝消灯を実現できる。
【0063】
なお、上述した実施の形態では、目覚まし照明制御あるいは就寝時消灯制御の設定画面(図3および図6参照)により使用者が調光制御の詳細を自己の好みに合わせて調整できるようにしている。しかし、このような調整機能を無くして例えば起床予定時刻あるいは就寝予定時刻のみを設定できるようにし、調光率などの他の設定値は固定値とするように変形しても良い。その場合には、目覚まし照明制御あるいは就寝時消灯制御にかかる調光制御の後、所定の消灯条件が成立したときに自動的に光源モジュール27が消灯されるという技術的特徴を備える点灯装置およびこれを備えた照明器具が提供される。
【0064】
また、上述した実施の形態では、光源モジュール27の明るさが調光制御の終了調光率(目覚まし照明制御では上限調光率であり、就寝時消灯制御では下限調光率)に達した後、所定の消灯条件が成立したときに自動的に光源モジュール27が消灯される。しかしながら、このような消灯機能を無くすように変形してもよい。その場合には、設定画面により使用者が調光制御の詳細を自己の好みに合わせて調整できるという技術的特徴を備える点灯装置およびこれを備えた照明器具が提供される。
【0065】
なお、上記の目覚まし照明制御、就寝時消灯制御、およびそれらの設定画面を含む各制御は、マイコンに限らず、DSP(Digital Signal Processor)等の演算装置に搭載してもよい。それらの各制御に必要な制御ロジックをDSP等の演算装置に予め構築しておけばよい。
【0066】
また、上記実施の形態では無線通信機器200で設定された図3および図6の各種設定値を、無線通信機器200により1台の照明器具100に対して通知して、目覚まし照明制御および就寝時消灯制御を行う場合を例示した。しかし、この各種設定値を照明コントローラ201へ通知して、この照明コントローラ201と予めアドレス設定で関連付けられた複数の照明器具100に対して照明コントローラ201により通知することで、目覚まし照明制御および就寝時消灯制御を行うように構成してもよい。これによれば、複数台の照明器具100に対しても同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 点灯装置、2 直流電源、3 バックコンバータ回路、4 調光信号インターフェイス(I/F)回路、7 交流電源、8 整流回路、9、17、23 コンデンサ、10、22 インダクタ、14、21 ダイオード、15、16、31、32、51、52 抵抗、24 検出抵抗、27 光源モジュール、28 調光器、40 制御装置、41、42 制御回路、43 記憶部、44 A/D変換回路、45 演算処理部、46 送受信部、47 タイマ、50 アンテナ、70 ネットワーク、80 家電、81 エアコン、82 パーソナルコンピュータ、83 テレビ、84 オーディオ、100 照明器具、200 無線通信機器、201 照明コントローラ、Q1、Q2 スイッチング素子、SW 照明スイッチ
図1
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図4
図5
図6
図7