特許第6551126号(P6551126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6551126アーカイブシステム、アーカイブ装置およびアーカイブするためのコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551126
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】アーカイブシステム、アーカイブ装置およびアーカイブするためのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/11 20190101AFI20190722BHJP
【FI】
   G06F16/11
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-199116(P2015-199116)
(22)【出願日】2015年10月7日
(65)【公開番号】特開2017-72965(P2017-72965A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 崇司
(72)【発明者】
【氏名】大屋 誠
【審査官】 田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−039805(JP,A)
【文献】 再公表特許第2008/126297(JP,A1)
【文献】 国際公開第2014/196077(WO,A1)
【文献】 再公表特許第2013/061463(JP,A1)
【文献】 特開2010−009573(JP,A)
【文献】 特開2013−077150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00−16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーカイブシステムであって、
アーカイブ装置と、
前記アーカイブ装置とネットワークを介して接続されたファイル処理システムと、を備え、
前記ファイル処理システムは、
ファイルを格納する共有フォルダと、
前記共有フォルダから移動されたファイルを一時的に格納する一時退避フォルダと、
を有し、
前記アーカイブ装置は、
前記ファイル処理システムからアーカイブされたファイルを格納するアーカイブフォルダと、
前記共有フォルダに格納されているファイルについて、その属性を示すファイル情報を取得するファイル情報取得部と、
前記ファイル情報に基づき、予め設定されたルールに従って、前記共有フォルダに格納されているファイルを、前記一時退避フォルダを用いてアーカイブするアーカイブ処理部と、
前記ファイル処理システムから、前記アーカイブされたファイルを前記共有フォルダに復元させる復元命令を受けて、前記一時退避フォルダから前記共有フォルダにファイルを復元させるファイル復元部と、
を備え、
前記アーカイブ処理部は、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記一時退避フォルダに移動することにより、または、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記アーカイブフォルダにコピーするとともに前記一時退避フォルダに移動することにより、アーカイブする、アーカイブシステム。
【請求項2】
ファイルを格納する共有フォルダと、前記共有フォルダから移動されたファイルを一時的に格納する一時退避フォルダとを有するファイル処理システムにネットワークを介して接続されるアーカイブ装置であって、
前記ファイル処理システムからアーカイブされたファイルを格納するアーカイブフォルダと、
前記ファイル処理システムの前記共有フォルダに格納されているファイルについて、その属性を示すファイル情報を取得するファイル情報取得部と、
前記ファイル情報に基づき、予め設定されたルールに従って、前記共有フォルダに格納されているファイルを、前記一時退避フォルダを用いてアーカイブするアーカイブ処理部と、
前記ファイル処理システムから、前記アーカイブされたファイルを前記共有フォルダに復元させる復元命令を受けて、前記一時退避フォルダから前記共有フォルダにファイルを復元させるファイル復元部と、
を備え、
前記アーカイブ処理部は、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記一時退避フォルダに移動することにより、または、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記アーカイブフォルダにコピーするとともに前記一時退避フォルダに移動することにより、アーカイブする、アーカイブ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアーカイブ装置において、さらに、
少なくとも前記アーカイブされたファイルの前記ファイル情報を、各ファイルを一意に識別可能に格納するデータベースを備え、
前記アーカイブされたファイルの前記ファイル情報は、アーカイブ前後の格納場所を特定するアーカイブ情報を含み、
前記復元命令は、前記ファイルを前記データベース内で一意に識別可能な情報を含み、
前記ファイル復元部は、前記一意に識別可能な情報を用いて前記データベースを検索し、検索結果を用いて前記アーカイブされたファイルを復元する、アーカイブ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のアーカイブ装置において、さらに、
前記復元命令を発信するための復元用ファイルを作成し、前記アーカイブされたファイルの代わりに、前記共有フォルダに前記復元用ファイルを格納させる復元用ファイル作成部を備え、
前記ファイル復元部は、前記ファイル処理システムにおいて前記復元用ファイルが実行されて発信された前記復元命令を受信する、アーカイブ装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のアーカイブ装置において、
前記復元命令は、HTTPリクエストメッセージである、アーカイブ装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載のアーカイブ装置において、
前記アーカイブ処理部は、前記一時退避フォルダに移動されたファイルを、前記ルールに従って、前記アーカイブフォルダにコピーが存在する場合には削除し、前記アーカイブフォルダにコピーが存在しない場合には前記アーカイブフォルダに移動し、
前記ファイル復元部は、前記復元命令を受けた時に復元対象となるファイルが前記一時退避フォルダに存在しない場合には、前記アーカイブフォルダから前記共有フォルダにファイルを復元させる、アーカイブ装置。
【請求項7】
ファイル処理システムの共有フォルダに格納されているファイルを、ネットワークを介して前記ファイル処理システムに接続されているアーカイブ装置にアーカイブするためのアーカイブ装置用のコンピュータプログラムであって、
前記ファイル処理システムの前記共有フォルダに格納されているファイルの属性を示すファイル情報を取得する機能と、
前記ファイル情報に基づき、予め設定されたルールに従って、前記共有フォルダに格納されているファイルを、前記ファイル処理システムの一時退避フォルダを用いてアーカイブする機能と、
前記ファイル処理システムから前記アーカイブされたファイルを前記共有フォルダに復元させる復元命令を受けて、前記一時退避フォルダから前記共有フォルダにファイルを復元させる機能と、
前記アーカイブ装置に実現させ、
前記アーカイブする機能は、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記一時退避フォルダに移動することにより、または、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記アーカイブ装置のアーカイブフォルダにコピーするとともに前記一時退避フォルダに移動することにより、アーカイブする機能である、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーカイブシステム、アーカイブ装置およびアーカイブするためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレージに格納されたファイルをアーカイブするシステムとして、特許文献1に記載のシステムが知られている。このシステムでは、ファイルを第1ストレージから第2ストレージにアーカイブすると、第1ストレージのファイルは削除され、第2ストレージに保存される。第1ストレージのファイルのあった場所には、第2ストレージの対応するファイルへのシンボリックリンクが作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−177947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ファイルサイズが大きい場合には、第2ストレージから第1ストレージへの復元に時間がかかり、また、第2ストレージから第1ストレージに復元する場合に専用アプリケーションソフトを利用する必要がある。自動的にファイルを第2ストレージに移動すると、ファイルのユーザーに、ファイルが突然消えてしまう不安を生じさせる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を達成するために、本発明は、以下の形態として実施することができる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、アーカイブシステムが提供される。このアーカイブシステムは、アーカイブ装置と、前記アーカイブ装置とネットワークを介して接続されたファイル処理システムと、を備え、前記ファイル処理システムは、ファイルを格納する共有フォルダと、前記共有フォルダから移動されたファイルを一時的に格納する一時退避フォルダと、を有し、前記アーカイブ装置は、前記ファイル処理システムからアーカイブされたファイルを格納するアーカイブフォルダと、前記共有フォルダに格納されているファイルについて、その属性を示すファイル情報を取得するファイル情報取得部と、前記ファイル情報に基づき、予め設定されたルールに従って、前記共有フォルダに格納されているファイルを、前記一時退避フォルダを用いてアーカイブするアーカイブ処理部と、前記ファイル処理システムから、前記アーカイブされたファイルを前記共有フォルダに復元させる復元命令を受けて、前記一時退避フォルダから前記共有フォルダにファイルを復元させるファイル復元部と、を備え、前記アーカイブ処理部は、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記一時退避フォルダに移動することにより、または、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記アーカイブフォルダにコピーするとともに前記一時退避フォルダに移動することにより、アーカイブする。
この形態によれば、共有フォルダと一時退避フォルダとを同じファイル処理システムに設けてアーカイブするので、復元までの時間を短縮できる。
【0007】
(2)本発明の一形態によれば、ファイルを格納する共有フォルダと、前記共有フォルダから移動されたファイルを一時的に格納する一時退避フォルダとを有するファイル処理システムにネットワークを介して接続されるアーカイブ装置が提供される。このアーカイブ装置は、前記ファイル処理システムからアーカイブされたファイルを格納するアーカイブフォルダと、前記ファイル処理システムの前記共有フォルダに格納されているファイルについて、その属性を示すファイル情報を取得するファイル情報取得部と、前記ファイル情報に基づき、予め設定されたルールに従って、前記共有フォルダに格納されているファイルを、前記一時退避フォルダを用いてアーカイブするアーカイブ処理部と、前記ファイル処理システムから、前記アーカイブされたファイルを前記共有フォルダに復元させる復元命令を受けて、前記一時退避フォルダから前記共有フォルダにファイルを復元させるファイル復元部と、を備え、前記アーカイブ処理部は、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記一時退避フォルダに移動することにより、または、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記アーカイブフォルダにコピーするとともに前記一時退避フォルダに移動することにより、アーカイブする。
この形態によれば、共有フォルダと一時退避フォルダとを同じファイル処理システムに設けてアーカイブするので、復元までの時間を短縮できる。
【0008】
(3)上記形態のアーカイブ装置において、さらに、少なくとも前記アーカイブされたファイルの前記ファイル情報を、各ファイルを一意に識別可能に格納するデータベースを備え、前記アーカイブされたファイルの前記ファイル情報は、アーカイブ前後の格納場所を特定するアーカイブ情報を含み、前記復元命令は、前記ファイルを前記データベース内で一意に識別可能な情報を含み、前記ファイル復元部は、前記一意に識別可能な情報を用いて前記データベースを検索し、検索結果を用いて前記アーカイブされたファイルを復元してもよい。
この形態によれば、データベースを用いてアーカイブファイルが管理されるので、ファイルがどこにアーカイブされたか容易に判断することが可能であり、復元までの時間を短縮できる。
【0009】
(4)上記形態のアーカイブ装置において、前記復元命令を発信するための復元用ファイルを作成し、前記アーカイブされたファイルの代わりに、前記共有フォルダに前記復元用ファイルを格納させる復元用ファイル作成部を備え、前記ファイル復元部は、前記ファイル処理システムにおいて前記復元用ファイルが実行されて発信された前記復元命令を受信してもよい。
この形態によれば、ユーザーは、復元用ファイルにアクセスして実行することで、ファイルがどこにアーカイブされているかをユーザーが判断すること無く、アーカイブされたファイルを共有フォルダに復元できるので、ユーザーの使い勝手を向上させることができる。
【0010】
(5)上記形態のアーカイブ装置において、前記復元命令は、HTTPリクエストメッセージであってもよい。
この形態によれば、HTTPリクエストメッセージを用いることで、専用アプリケーションソフトが不要となる。
【0011】
(6)上記形態のアーカイブ装置において、前記アーカイブ処理部は、前記一時退避フォルダに移動されたファイルを、前記ルールに従って、前記アーカイブフォルダにコピーが存在する場合には削除し、前記アーカイブフォルダにコピーが存在しない場合には前記アーカイブフォルダに移動し、前記ファイル復元部は、前記復元命令を受けた時に復元対象となるファイルが前記一時退避フォルダに存在しない場合には、前記アーカイブフォルダから前記共有フォルダにファイルを復元させてもよい。
この形態によれば、復元対象ファイルが一時退避フォルダに存在する場合には復元までの時間を短縮でき、復元対象ファイルが一時退避フォルダからアーカイブフォルダに移動されている場合には、ファイル処理システムのディスク空き容量を増大できる。
【0012】
(7)本発明の一形態によれば、ファイル処理システムの共有フォルダに格納されているファイルを、ネットワークを介して前記ファイル処理システムに接続されているアーカイブ装置にアーカイブするためのコンピュータプログラムが提供される。このプログラムは、前記ファイル処理システムの前記共有フォルダに格納されているファイルの属性を示すファイル情報を取得する機能と、前記ファイル情報に基づき、予め設定されたルールに従って、前記共有フォルダに格納されているファイルを、前記ファイル処理システムの一時退避フォルダを用いてアーカイブする機能と、前記ファイル処理システムから前記アーカイブされたファイルを前記共有フォルダに復元させる復元命令を受けて、前記一時退避フォルダから前記共有フォルダにファイルを復元させる機能と、をコンピュータに実現させ、前記アーカイブする機能は、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記一時退避フォルダに移動することにより、または、前記共有フォルダに格納されているファイルを前記アーカイブ装置のアーカイブフォルダにコピーするとともに前記一時退避フォルダに移動することにより、アーカイブする機能である。
この形態によれば、共有フォルダと一時退避フォルダとを同じファイル処理システムに設けてアーカイブするので、復元までの時間を短縮できる。
【0013】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、アーカイブシステム、アーカイブ装置の他、アーカイブするためのコンピュータプログラム等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態のアーカイブシステムを示す説明図。
図2】第1の実施形態のアーカイブ時の動作フローチャート。
図3】ファイル情報による分類例を示す説明図。
図4図2のフローチャートの実行中に各フォルダに格納されているファイルの一例。
図5】復元時の動作フローチャート。
図6】一時退避フォルダからの復元時の動作を示す説明図。
図7】アーカイブフォルダからの復元時の動作を示す説明図。
図8】第2の実施形態のアーカイブシステムを示す説明図。
図9】第2の実施形態で用いられるデータベースを示す説明図。
図10】第2の実施形態のアーカイブ時の動作フローチャート。
図11】復元時の動作を示す説明図。
図12】第3の実施形態のアーカイブ時の動作フローチャート。
図13】第3の実施形態で用いられるデータベースを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の実施形態:
図1は、第1の実施形態のアーカイブシステム1000を示す説明図である。アーカイブシステム1000は、アーカイブ装置10と、ファイル処理システム30と、ネットワーク60と、を備える。ファイル処理システム30は、コンピュータ50(「PC50」と呼ぶ。)と、ファイルサーバー40とを備え、PC50とファイルサーバー40は、ネットワーク60に接続されている。図1では、3台のPC50を図示しているが、PC50の台数は、1台以上であれば、何台でもよい。ファイルサーバー40は、共有フォルダ410と、一時退避フォルダ420とを備える。以下の説明では、ファイルのパスにおけるファイルサーバー40の名前を「serv」、共有フォルダ410の名前を「共有」、一時退避フォルダ420の名前を「一時」とする。共有フォルダ410は、各PC50から直接アクセス可能であり、各PC50に格納されたアプリケーションソフトウェア(図示せず)で使用されるファイルを格納する。一時退避フォルダ420は、共有フォルダ410に格納されたファイルが所定の条件を満たしたときに、アーカイブされたファイルを一時的に格納する。本明細書では、「ファイルをアーカイブする」とは、ファイルを一時退避フォルダ420またはアーカイブ装置10のアーカイブフォルダ100に移動またはコピーすることを意味する。なお、一時退避フォルダ420は、アクセス権限により各PC50のユーザーが直接アクセス出来ないことが好ましい。なお、PC50のうち、一時退避フォルダ420への直接アクセスを可能とするソフトウェアをインストールしている管理用のコンピュータ(図示せず)は、一時退避フォルダ420に直接アクセス可能である。但し、管理用のコンピュータは無くても良い。また、一時退避フォルダ420は、PC50から見えないように、隠しフォルダとなっていても良い。
【0016】
なお、この実施形態では、ファイル処理システム30は、1台以上のPC50と、ファイルサーバー40を備えているが、ファイル処理システム30は、1台のPC50のみを備え、ファイルサーバー40の共有フォルダ410と一時退避フォルダ420に対応するフォルダをPC50内に内蔵する構成であってもよい。
【0017】
アーカイブ装置10は、アーカイブフォルダ100と、ファイル情報取得部110と、アーカイブ処理部120と、復元用ファイル作成部130と、ファイル復元部140と、を備え、ネットワーク60を介してファイル処理システム30に接続されている。以下の説明では、ファイルのパスにおけるアーカイブ装置10の名前を「ArcN」、アーカイブフォルダ100の名前を「arc」とする。アーカイブフォルダ100は、ファイル処理システム30の一時退避フォルダ420からアーカイブされたファイルを格納する。ファイル情報取得部110は、共有フォルダ410に格納されたファイルの属性を示すファイル情報を取得する。ここで、ファイルの属性とは、例えば、ファイル名と、フルパスと、ファイルの作成日と、最終更新日と、最終アクセス日と、ファイルサイズ等を意味する。一般にフルパスは、ファイル名を含むが、ファイル名をフルパスに含まなくても良く、また、フルパスの代わりに絶対パス、相対パスなどファイルの格納場所を特定できるパスであっても構わない。ファイルの属性には、アクセス権限や、読み取り専用か書き換え可能かの情報、拡張子、作成者等の他の情報を含んでも良い。
【0018】
アーカイブ処理部120は、共有フォルダ410に格納されているファイルを、一時退避フォルダ420を用いてアーカイブする機能を有する。ここで、「一時退避フォルダ420を用いてアーカイブする機能」とは、一時退避フォルダ420を格納フォルダとしてファイル処理システム30の共有フォルダ410から一時退避フォルダ420へファイルをアーカイブする機能と、一時退避フォルダ420を経由フォルダとしてファイル処理システム30の一時退避フォルダ420からアーカイブ装置10のアーカイブフォルダ100へファイルをアーカイブする機能を意味する。復元用ファイル作成部130は、一時退避フォルダ420又はアーカイブフォルダ100から共有フォルダ410へファイルを復元するための復元命令を出すための復元用ファイルを作成する。復元用ファイルは、アーカイブされたファイルの代わりにファイル処理システム30の共有フォルダ410に格納される。ファイル復元部140は、復元用ファイルが実行されることによって発行される復元命令に従って一時退避フォルダ420又はアーカイブフォルダ100から共有フォルダ410へ、ファイルを復元する。
【0019】
第1の実施形態では、ファイルのアーカイブは、「ファイルの移動」によって行われる。本明細書において、「ファイルの移動」は、圧縮せずにファイルをあるフォルダから別のフォルダ(移動先)に移動させる場合と、圧縮した状態で移動先に格納する場合の両方を包含する用語として使用する。なお、前者の場合を「ファイルの単純移動」と呼ぶ。
【0020】
図2は、第1の実施形態のアーカイブ時の動作フローチャートである。ステップS100では、アーカイブ装置10のファイル情報取得部110は、ファイルサーバー40の共有フォルダ410に格納されているファイルの属性を示すファイル情報を取得する。この属性には、上述したように、例えば、ファイル名を含むフルパスと、ファイルの作成日と、最終更新日と、最終アクセス日と、ファイルサイズ等、を含む。ファイル情報取得部110は、定期的に、ファイル情報を取得する。なお、ファイル情報取得部110は、次に説明するファイル情報による分類の指示又はコマンドを受けた時に、ファイル情報を取得してもよい。
【0021】
図3は、ファイル情報による分類例を示す説明図である。図3(1)に示すグラフと表は、ファイルサイズによってファイルを分類した例を示し、図3(2)に示すグラフと表は、ファイルの最終アクセス日によってファイルを分類した例を示している。なお、ファイルの最終更新日と最終アクセス日を比較して、新しい方の日時によって分類されても良い。この分類例では、ファイルの最終アクセス日が1年以上前の、昨今アクセスされていないファイルが多いことがわかる。従って、例えば最終アクセス日が現在から一定時間前のファイルを、他のフォルダ(例えば一時退避フォルダ)へアーカイブすれば、共有フォルダの容量の使用量(使用率)を少なくできる。なお、図3に示す例では、空き容量を除いた全ファイルの使用量を使用率100%としているが、空き容量と全ファイルの使用量とを合わせた量を100%としても良い。ユーザーは、このファイル情報による分類を見て、ファイルをアーカイブするルールを設定しても良い。例えば、ユーザーは、アーカイブ実行時に所定期間(例えば1年)以上アクセスがないファイルを一時退避フォルダ420に移動することをルールとして設定しても良い。また、このルールでは、一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100にファイルを移動する条件も設定される。ステップS110以降の処理は、このようにして予め設定されたルールに従って実行される。
【0022】
図2のステップS110では、アーカイブ装置10のアーカイブ処理部120(図1)は、共有フォルダ410のファイルのうちで一時退避フォルダ420に移動すべきファイルがあるか否かを判断する。移動すべきファイルがある場合には、ステップS120に移行し、移動すべきファイルが無い場合には、ステップS100に戻る。なお、ステップS100の処理時期は、例えば、定期的(例えば1ヶ月毎)に行われても良く、あるいは不定期(例えば、ユーザーから指示があったとき、あるいは、共有フォルダ410の使用量が予め定められた大きさを超えたとき)に行われてもよい。この時期もルールとして予め設定される。
【0023】
ステップS120では、アーカイブ処理部120は、アーカイブすべきファイルを共有フォルダ410から一時退避フォルダ420に移動させる。この結果、そのファイルは、共有フォルダ410に存在せず、一時退避フォルダ420内に存在する状態となる。
【0024】
ステップS130では、復元用ファイル作成部130は、復元用ファイルを作成し、共有フォルダ410に格納する。この復元用ファイルは、例えば、ファイルのアーカイブ元(共有フォルダ410)中のファイルのフルパスと、ファイルのアーカイブ先(一時退避フォルダ420)中のファイルのフルパスを含む復元命令を、アーカイブ装置10のファイル復元部140に発信するためのファイルである。この復元用ファイルとしては、例えば、復元命令としてのHTTPリクエストメッセージを含むHTMLファイルを使用可能である。
【0025】
ステップS140では、アーカイブ処理部120は、一時退避フォルダ420のファイルのうちでアーカイブ装置10のアーカイブフォルダ100に移動すべきファイルがあるか否かを判断する。アーカイブフォルダ100に移動すべきファイルがある場合には、ステップS150に移行し、移動すべきファイルが無い場合には、ステップS100に戻り、次のステップS100の処理時期まで待機する。
【0026】
ステップS150では、アーカイブ処理部120は、移動すべきファイルを一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100に移動させる。この移動のルールとしては、例えば、一時退避フォルダ420にアーカイブされてから所定期間(例えば1年)を経過したファイルをアーカイブフォルダ100に移動するルールや、あるいは、ファイルサーバー40のディスク使用量が一定量を超えた場合に一時退避フォルダ420のファイルをアーカイブフォルダ100に移動するルールを予め設定可能である。
【0027】
ステップS160では、復元用ファイル作成部130は、共有フォルダ410内の復元用ファイルの内容を更新する。ファイルが一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100に移動されたことにより、ファイルのアーカイブ先のフルパスが変わるからである。このステップS160が終了すると、処理は、ステップS100に戻り、次のステップS100の処理時期まで待機する。
【0028】
図4は、図2のフローチャートの実行中に各フォルダに格納されているファイルの一例である。ステップS100の前の状態では、図4(1)に示す様に、共有フォルダ410に6個のファイルが格納され、一時退避フォルダ420に1個のファイルが格納されているものと仮定する。共有フォルダ410の6個のファイルのうち1個のファイルPQR006.htmlは、一時退避フォルダ420に格納されているPQR006.xlsを共有フォルダ410に復元するための復元用ファイル440である。共有フォルダ410の残りの5個のファイル(ABC001.xlsからMNO005.xls)は、通常のファイルである。本実施形態で「通常のファイル」とは、復元用ファイル440以外のファイルを意味する。
【0029】
ステップS120が実行されると、図4(2)に示すように、2つのファイルJKL004.xls,MNO005.xlsが共有フォルダ410から一時退避フォルダ420に移動する。移動したファイルは、元の共有フォルダ410から削除される。
【0030】
ステップS130が実行されると、図4(3)に示すように、2つの復元用ファイルJKL004.html,MNO005.htmlが作成され、共有フォルダ410に格納される。図4(3)において、復元用ファイルJKL004.html,MNO005.htmlから一時退避フォルダ420内のファイルJKL004.xls,MNO005.xlsに向けて描かれた矢印は、これらの間に関連性(参照関係)が設定されていることを意味する。
【0031】
ステップS150が実行されると、図4(4)に示すように、1つのファイルPQR006.xlsが一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100に移動する。移動したファイルは、元の一時退避フォルダ420から削除される。この後、ステップS160により、復元用ファイルPQR006.htmlの内容が更新される。上述したように、ファイルのアーカイブ先のフルパスが変わるからである。なお、復元用ファイル440が更新されても、復元用ファイル440のファイル名は変わらない。
【0032】
図5は、復元時の動作フローチャートである。ステップS170では、アーカイブ装置10のファイル復元部140は、受信待ち状態で待機する。ステップS175で、ファイル復元部140は、復元命令を受信したか否かを判断する。ファイル復元部140は、復元命令を受信した場合には、ステップS180に移行し、復元命令を受信しない場合には、ステップS170に戻る。
【0033】
ステップS180では、ファイル復元部140は、復元を要求された復元対象ファイルが一時退避フォルダ420内にあるか否かを判断する。この判断は、復元命令に含まれるファイルのアーカイブ先のパス(フルパス)を用いて行われる。復元対象ファイルが一時退避フォルダ420内に存在する場合には、ステップS185に移行し、一時退避フォルダ420内に存在しない場合には、ステップS190に移行する。
【0034】
ステップS185では、ファイル復元部140は、一時退避フォルダ420から共有フォルダ410にファイルを復元し、共有フォルダ410から復元用ファイル440を削除する。ファイルが復元された場合には、復元用ファイルは不要となるからである。ステップS190では、ファイル復元部140は、アーカイブフォルダ100から共有フォルダ410にファイルを復元し、共有フォルダ410から復元用ファイル440を削除する。なお、ファイルがアーカイブされている場合、そのファイルは、一時退避フォルダ420またはアーカイブフォルダ100のいずれかにアーカイブされている。復元されたファイルは、アーカイブ先(一時退避フォルダ420またはアーカイブフォルダ100)から削除される。
【0035】
図6は、一時退避フォルダからの復元時の動作を示す説明図である。例えば、共有フォルダ410のMNO005.htmlという復元用ファイル440が選択され、実行された場合、復元命令として、アーカイブ元フルパス(¥¥serv¥共有¥MNO005.xls)と、アーカイブ先フルパス(¥¥serv¥一時¥MNO005.xls)を含むhttpリクエストメッセージが、アーカイブ装置10のファイル復元部140に送られる。ファイル復元部140は、httpリクエストメッセージからファイルのアーカイブ先(一時退避フォルダ420)と、アーカイブ元(共有フォルダ410)を把握して、ファイルをアーカイブ先からアーカイブ元に復元する。そして、復元用ファイル440(MNO005.html)と、アーカイブ先(一時退避フォルダ420)のファイル(MNO005.xls)を削除する。
【0036】
図7は、アーカイブフォルダからの復元時の動作を示す説明図である。例えば、共有フォルダ410のPQR006.htmlという復元用ファイル440が選択され、実行された場合、復元命令として、アーカイブ元フルパス(¥¥serv¥共有¥PQR006.xls)と、アーカイブ先フルパス(¥¥ArcN¥arc¥PQR006.xls)を含むhttpリクエストメッセージが、アーカイブ装置10のファイル復元部140に送られる。ファイル復元部140は、httpリクエストメッセージからファイルのアーカイブ先(アーカイブフォルダ100)と、アーカイブ元(共有フォルダ410)を把握して、ファイルをアーカイブ先からアーカイブ元に復元する。そして、復元用ファイル440(PQR006.html)と、アーカイブ先(アーカイブフォルダ100)のファイル(PQR006.xls)を削除する。
【0037】
一時退避フォルダ420からの復元では、同一のファイルシステムの管理下でのファイルの移動のため、共有設定情報(アクセス権の設定)が元のままで復元できる。一方、アーカイブフォルダ100からの復元では、異なるファイルシステムの間でファイルが移動すると共有設定情報が失われる場合がある。従って、アーカイブフォルダ100から復元する時は、管理権限のある者のみがアクセス可能な状態で復元するか、又は、直ちに復元せずに管理権限者に復元を依頼するようにしてもよい。後者の場合には、ファイルの復元を望むユーザーが管理権限者に依頼を行うようにしてもよく、あるいは、アーカイブ装置10が管理権限者に対して依頼を発信するようにしてもよい。
【0038】
以上、第1の実施形態によれば、アーカイブ装置10のアーカイブ処理部120は、予め設定されたルールに従って、共有フォルダ410に格納されているファイルを、共有フォルダ410と同じファイル処理システム30(同じファイルサーバー40)にある一時退避フォルダ420にアーカイブする。そのため、ファイルの復元命令があった場合、復元までの時間を短く出来る。
【0039】
第1の実施形態によれば、一時退避フォルダ420が同じファイルサーバー40内にあるので、ファイルの共有に関する設定を維持したままアーカイブと復元が可能である。
【0040】
また、第1の実施形態によれば、復元用ファイル作成部130は、復元命令を発信するための復元用ファイル440を作成し、アーカイブされたファイルの代わりに、ファイル処理システム30の共有フォルダ410に格納する。そのため、ユーザーは、復元用ファイル440を実行することで、ファイルがどこにアーカイブされているかを判断すること無く、アーカイブされたファイルを共有フォルダ410に復元できるので、ユーザーの使い勝手を向上させることができる。
【0041】
第1の実施形態によれば、復元命令は、HTTPリクエストメッセージであるので、復元命令を発するための専用のソフトウェアが不要である。ただし、復元命令は、HTTPリクエストメッセージではなく、専用ソフトによるメッセージであってもよい。また、復元用ファイルをバッチファイルとし、復元命令を、バッチファイルに含まれるテキストコマンドとして構成してもよい。
【0042】
第2の実施形態:
図8は、第2の実施形態のアーカイブシステム1010を示す説明図である。このアーカイブシステム1010は、アーカイブ装置11の構成が第1の実施形態と異なるだけであり、他の構成は、第1の実施形態の構成と同じである。アーカイブ装置11は、アーカイブ装置10の構成に加えて、データベース150と、データベース作成部160を備える点が異なる。データベース作成部160は、ファイル情報取得部110が取得したファイル情報と、アーカイブ処理部120が行った処理の内容と、ファイル復元部140が行った処理の内容と、を用いて、データベース150を作成する。データベース150は、アーカイブされたファイルの識別情報、アーカイブ元フルパス、アーカイブ先フルパス、一時退避フォルダへのアーカイブ日時、等を記録するデータベースである。なお、データベース150がすでに作成されている場合には、データベース作成部160は、データベース150の更新を行う。
【0043】
図9は、第2の実施形態で用いられるデータベースを示す説明図である。なお、図9は、後述する図10のフローチャートのステップS155が終了したときの状態を示している。データベース150の各レコードは、識別情報と、アーカイブ元フルパスと、アーカイブ先フルパスと、一時退避フォルダへのアーカイブ日時と、ファイルの最終アクセス日時と、ファイルの最終更新日時と、ファイルサイズと、ファイル状態と、のフィールドを含んでいる。
【0044】
識別情報のフィールドには、ファイルを一意に識別する識別情報が格納される。この識別情報としては、ファイルのフルパスよりも短いビット列でファイルを一意に識別できる情報を使用することが好ましい。具体的には、識別情報として、単純な連続番号や、ファイルのハッシュ値を利用することが可能である。
【0045】
アーカイブ元フルパスのフィールドには、ファイルが共有フォルダ410内にある場合には、その共有フォルダ410におけるフルパスが格納され、ファイルがアーカイブされている場合には、アーカイブされる前の共有フォルダ410におけるフルパスが格納される。
【0046】
アーカイブ先フルパスのフィールドには、ファイルがアーカイブされたときに、そのアーカイブ先のフルパスが格納され、ファイルがアーカイブされていない場合には、フルパスとして無効な値(Null)が設定される。また、ファイルが復元された時には、アーカイブ先のフルパスは、アーカイブ先フルパスのフィールドから削除され、無効な値(Null)が設定される。
【0047】
一時退避フォルダへのアーカイブ日時のフィールドには、ファイルが一時退避フォルダ420にアーカイブされた日時が格納される。一時退避フォルダへのアーカイブ日時は、アーカイブ処理部120が一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100にファイルを移動するときの判断の基準日時として使用可能である。すなわち、アーカイブ処理部120は、一時退避フォルダ420へのアーカイブ日時から、所定期間(例えば、1年)以上経過しているファイルを一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100に移動する。
【0048】
ファイルの最終アクセス日時のフィールドは、そのファイルに最後にアクセスされた日時を格納する。ファイルの最終更新日時のフィールドは、そのファイルが最後に更新された日時を格納する。ファイルにアクセスされても、更新されない場合(読むだけ)の場合があるので、ファイルの最終更新日時は、ファイルの最終アクセス日時と同時か、前である。この最終アクセス日時を、一時退避フォルダ420へのアーカイブ日時の代わりに用いて、一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100への移動の要否を判断するようにルールを設定してもよい。
【0049】
ファイルサイズのフィールドは、アーカイブされる前のファイルのファイルサイズを格納する。なお、前述したように、ファイルをアーカイブするときには、ファイルを圧縮しても良く、圧縮しなくても良い。
【0050】
ファイル状態のフィールドは、「H」,「W」,「C」のいずれかのファイル状態を示す。「H」は、「Hot File」を意味し、共有フォルダ410に格納されている状態を示す。「W」は「Warm File」を意味し、一時退避フォルダ420に格納されている状態を示す。一時退避フォルダ420に格納されているファイルは、復元用ファイルが実行されると、共有フォルダ410に復元される。「C」は「Cold File」を意味し、アーカイブフォルダ100に格納されている状態を示す。アーカイブフォルダ100に格納されているファイルは、復元用ファイルが実行されると、ネットワーク60を介して共有フォルダ410に復元される。
【0051】
図10は、第2の実施形態のアーカイブ時の動作フローチャートである。ステップS100では、図2に示すステップS100と同様に、アーカイブ装置10のファイル情報取得部110は、ファイルサーバー40の共有フォルダ410に格納されているファイルの属性を示すファイル情報を取得する。ステップS105では、データベース作成部160は、ファイル情報に基づいて、データベース150を作成する。なお、一時退避フォルダ420やアーカイブフォルダ100にアーカイブされているファイルがある場合には、データベース150がすでに作成されているので、データベース作成部160は、ファイル情報と、データベース150の内容とを比較し、変更がある場合には、データベース150を更新する。
【0052】
ステップS110、S120、S140、S150の動作は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略し、ステップS125、S135、S155について説明する。ステップS125では、データベース作成部160は、データベース150を更新する。具体的には、データベース作成部160は、共有フォルダ410から一時退避フォルダ420に移動したファイルに関して、そのファイルのアーカイブ先のフルパスと、一時退避フォルダへのアーカイブ日時とを更新し、ファイル状態を「H」から「W」に書き換える。
【0053】
ステップS135では、復元用ファイル作成部130は、復元命令を発信するための復元用ファイルを作成し、アーカイブされたファイルの代わりに、ファイル処理システム30の共有フォルダ410に格納する。第1の実施形態における図2のステップS130との違いは、復元用ファイルの構成である。第1の実施形態の復元用ファイルは、ファイルのアーカイブ元(共有フォルダ410)中のファイルのフルパスと、ファイルのアーカイブ先(一時退避フォルダ420)中のファイルのフルパスと、を含んでいるが、第2の実施形態の復元用ファイルは、データベース150内のレコードを検索するための検索キーを含んでいる。この検索キーとして、例えば、図9に示すデータベース150に格納される識別情報を利用可能である。なお、復元用ファイルに含まれる検索キーとしては、識別情報に限られず、識別情報と、ファイルのアーカイブ元(共有フォルダ410)中のファイルのフルパス、と、ファイルのアーカイブ先(一時退避フォルダ420)中のファイルのフルパスのうちの、1つ以上を含み、1つのレコードを一意に識別可能な情報とすることができる。
【0054】
ステップS155では、データベース作成部160は、データベース150を更新する。具体的には、データベース作成部160は、一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100に移動したファイルに関して、そのファイルのアーカイブ先のフルパス(アーカイブフォルダ100におけるフルパス)をデータベース150に格納し、ファイル状態を「W」から「C」に書き換える。なお、図9に示す例では、アーカイブフォルダ100に移動済みのファイルP006Zに関しても、一時退避フォルダへのアーカイブ日時が削除されずにそのまま維持されているが、データベース作成部160は、一時退避フォルダへのアーカイブ日時のフィールドに格納されている一時退避フォルダへのアーカイブ日時を削除しても良い。あるいは、一時退避フォルダへのアーカイブ日時のフィールドに、一時退避フォルダ420へのアーカイブ日時の代わりに、アーカイブフォルダ100へのアーカイブ日時を登録してもよい。
【0055】
図11は、復元時の動作を示す説明図である。復元時の処理フローは、基本的に図5に示すフローと同様である。共有フォルダ410のMNO005.htmlという復元用ファイル442が選択され、実行された場合、復元命令として、ファイルの検索キー(この例では識別情報「M005Y」)を含むhttpリクエストメッセージが、アーカイブ装置10のファイル復元部140に送られる。ファイル復元部140は、この検索キー「M005Y」を用いて、データベース150を検索して1つのレコードのファイルMNO005.xlsのアーカイブ先(一時退避フォルダ420)と、アーカイブ元(共有フォルダ410)を把握し、アーカイブ先からアーカイブ元に復元する。そして、復元用ファイル442(MNO005.html)と、アーカイブ先(一時退避フォルダ420)のファイル(MNO005.xls)を削除する。この例では、一時退避フォルダ420から共有フォルダ410に復元する場合を例にとって説明したが、アーカイブフォルダ100から共有フォルダ410に復元する場合も同様である。
【0056】
以上、第2の実施形態によれば、アーカイブ装置10は、アーカイブされたファイルのファイル情報を格納するデータベース150を備える。アーカイブされたファイルのファイル情報は、アーカイブ前後のファイルの格納場所を特定するアーカイブ情報(アーカイブ元フルパスとアーカイブ先フルパス)を含んでいる。復元命令は、データベース150内のレコードを一意に検索するための検索キーを含んでおり、復元命令を受けたファイル復元部140は、この検索キーを用いてデータベース150を検索し、その検索結果から、アーカイブされたファイルを特定し、共有フォルダ410に復元する。第2の実施形態によれば、データベース150を用いてアーカイブファイルが管理されるので、ファイル復元部140は、ファイルがどこにアーカイブされたか容易に判断することが可能であり、復元までの時間を短縮できる。また、アーカイブ前後の格納場所を特定するアーカイブ情報(アーカイブ元フルパスとアーカイブ先フルパス)がデータベース150に格納されているので、復元用ファイル作成部130は、復元用ファイル442のサイズを小さく出来る。また、復元用ファイル作成部130は、ファイルが一時退避フォルダ420からアーカイブフォルダ100にアーカイブされたときに、復元用ファイル442を更新する必要がない。
【0057】
第2の実施形態では、データベース150は、アーカイブ先フルパスのフィールドを備えている。しかし、アーカイブフォルダ100を他の手段で特定できるならば、データベース150のアーカイブ先フルパスのフィールドにフルパスを格納しなくてもよい。すなわち、アーカイブ先フォルダが¥¥ArcN¥arcでアーカイブ装置10に1つしかないならば、アーカイブフォルダ100は容易に特定可能である。したがって、データベース150は、アーカイブ先ファイル名のみをアーカイブ先フルパスのフィールドに格納してもよい。この場合、フィールドの名称を「アーカイブ先ファイル名」と呼んでもよい。
【0058】
また、第2の実施形態では、データベース150にファイル状態(「H」,「W」,「C」のいずれか)が登録されているので、図5のステップS180の判断を、このファイル状態に応じて行うようにしてもよい。こうすれば、どのアーカイブ先から復元すべきかを容易に判断できる。
【0059】
第3の実施形態:
図12は、第3の実施形態のアーカイブ時の動作フローチャートである。第3の実施形態のハードウェア構成は、第2の実施形態のハードウェア構成と同じ構成である。ステップS200では、第1、第2の実施形態と同様に、アーカイブ装置10のファイル情報取得部110は、ファイルサーバー40の共有フォルダ410に格納されているファイルの属性を示すファイル情報を取得する。
【0060】
ステップS210では、アーカイブ装置10のアーカイブ処理部120は、共有フォルダ410のファイルをアーカイブフォルダ100にコピーすることによって、バックアップを作成する。このバックアップは、コピーによるアーカイブに相当する。このバックアップは、単純なコピーでもよく、圧縮してもよい。すなわち、本明細書において、「ファイルのコピー」は、圧縮せずにコピーする場合と、圧縮したファイルをコピー先に格納する場合の両方を包含する用語として使用する。なお、前者の場合を「ファイルの単純コピー」と呼ぶ。コピーされたファイルは、共有フォルダ410に残ったまま、アーカイブフォルダ100にアーカイブされる。なお、アーカイブのルールとして、このコピーによるアーカイブするかしないかのいずれかを選択して設定できるようにアーカイブ装置11を構成することが好ましい。また、このルールでは、コピーによるアーカイブの対象となるファイルを選択する条件を設定できるものとしてもよい。この場合は、ステップS210の実行時に、そのルールに従って共有フォルダ410の各ファイルについてバックアップを作るか否かが判断される。
【0061】
ステップS220では、データベース作成部160は、ファイル情報取得部110が取得したファイル情報と、アーカイブ処理部120がステップS210で行った処理の内容を用いて、データベース150を作成する。なお、データベース150がすでに作成されている場合には、データベース作成部160は、データベース150の更新を行う。
【0062】
ステップS230では、図2のステップS110と同様に、アーカイブ装置10のアーカイブ処理部120(図8)は、共有フォルダ410の中に一時退避フォルダ420に移動すべきファイルがあるか否かを判断する。移動すべきファイルがある場合には、ステップS240に移行し、移動すべきファイルが無い場合には、ステップS200に戻る。
【0063】
ステップS240では、図2のステップS120と同様に、アーカイブ処理部120は、共有フォルダ410のファイルを一時退避フォルダ420に移動する。移動の対象ファイルは、ステップS210の処理により、アーカイブフォルダ100に格納されているが、ステップS240の処理により、一時退避フォルダ420にも格納される。
【0064】
図13は、第3の実施形態で用いられるデータベース151を示す説明図である。第2の実施形態のデータベース150との違いは、バックアップフラグのフィールド(図13では、図示の都合上「バックアップ」と記載)を備える点である。バックアップフラグのフィールドは、バックアップされているファイルか、バックアップされていないファイルかを区別する。このフィールドの値が「1」であればそのレコードで特定されるファイルは、バックアップされており、「0」であればバックアップされていない。図13に示す例では、ABC001.xlsとMNO005.xlsという2つのファイルがバックアップされておらず、他の4つのファイル(DEF002.doc,GHI003.pdf,JKL004.xls,PQR006.xls)がバックアップされていると仮定して図示している。
【0065】
図12のステップS250では、データベース作成部160は、データベース151の更新を行う。具体的には、データベース作成部160は、共有フォルダ410から一時退避フォルダ420に移動したファイルについて、そのアーカイブ元フルパスと一時退避フォルダへのアーカイブ日時とを記録し、ファイル状態を「H」から「W」に更新する。
【0066】
ステップS255では、復元用ファイル作成部130は、図10のステップS135と同様に、復元命令を発信するための復元用ファイルを作成し、アーカイブされたファイルの代わりに、共有フォルダ410に格納する。この復元用ファイルは、データベース151の検索キーを含んでいる。但し、第1の実施形態の復元用ファイルと同様に、ファイルのアーカイブ元(共有フォルダ410)中のファイルのフルパスと、ファイルのアーカイブ先(一時退避フォルダ420)中のファイルのフルパスを含んでいてもよい。
【0067】
ステップS260では、アーカイブ処理部120は、一時退避フォルダ420内に削除すべきファイル、あるいはアーカイブフォルダ100に移動すべきファイルがあるか否かを判断する。アーカイブ処理部120は、一時退避フォルダ420から削除または移動すべきファイルのうち、アーカイブフォルダ100にファイルのコピーが存在する場合には一時退避フォルダ420内のファイルを削除し、アーカイブフォルダ100にコピーが存在しない場合には一時退避フォルダ420内のファイルをアーカイブフォルダ100に移動するとの判断を行う。削除または移動すべきファイルがある場合には、ステップS270に移行し、削除または移動すべきファイルが無い場合には、ステップS200に戻る。
【0068】
ステップS270では、アーカイブ処理部120は、ステップS260の判断結果に基づいて、一時退避フォルダ420内のファイルを削除または移動する。これにより、例えば所定期間アクセスされていないファイルは、共有フォルダ410と、一時退避フォルダ420のいずれからも削除され、アーカイブフォルダ100のみに格納された状態となる。この結果、ファイルサーバー40の空き容量を大きく出来る。なお、アーカイブ処理部120は、管理者やユーザーの指示により、一時退避フォルダ420のファイルを削除または移動してもよい。一時退避フォルダ420の使用量が予め定められた大きさを超えた場合には、アーカイブ処理部120は、一時退避フォルダ420へのアーカイブ日時が古い順にファイルを削除または移動しても良い。
【0069】
ステップS280では、データベース作成部160は、データベース151を更新する。具体的には、データベース作成部160は、ファイルのアーカイブ先のフルパスをアーカイブフォルダ100におけるフルパスに書き換え、ファイル状態を「W」から「C」に書き換える。
【0070】
以上のように、第3の実施形態においては、共有フォルダ410内のファイルをアーカイブフォルダ100にバックアップし、その後、ファイルの移動によるアーカイブするときは、ファイルを一時退避フォルダ420に移動し、さらにそのファイルへのアクセスが行われないときには、一時退避フォルダ420から削除される。そのため、第1、第2の実施形態と同様に、ファイルの復元命令があった場合、復元対象ファイルが一時退避フォルダにある場合には復元までの時間を短く出来る。さらに、何らかの理由で共有フォルダ410や一時退避フォルダ420内のファイルが壊れた場合、あるいは、誤った内容で上書きされた場合でも、アーカイブフォルダ100から復元可能である。
【0071】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
10、11…アーカイブ装置
30…ファイル処理システム
40…ファイルサーバー
50…コンピュータ
60…ネットワーク
100…アーカイブフォルダ
110…ファイル情報取得部
120…アーカイブ処理部
130…復元用ファイル作成部
140…ファイル復元部
150、151…データベース
160…データベース作成部
410…共有フォルダ
420…一時退避フォルダ
440、442…復元用ファイル
1000、1010…アーカイブシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13