(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配信要求の属性は、前記配信要求が行われた曜日を特定する曜日特定情報、又は、前記配信要求が行われた時間を特定する時間特定情報のうちの、少なくとも1つの特定情報を、更に含み、
前記決定手段は、前記曜日特定情報又は前記時間特定情報に基づいて、前記許容率を決定する、
請求項1に記載の更新情報配信システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る更新情報配信システム、更新情報配信方法、及び更新情報配信プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
本発明に係る更新情報配信システムは、地図表示端末からの配信要求を受信する毎に、受信した配信要求の属性に基づいて、更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定し、決定した許容率に基づいて、更新情報を配信するシステムである。
【0015】
ここで、「地図表示端末」とは、地図情報に基づいて地図を表示する表示手段であり、更新情報を配信する配信手段に対して有線又は無線にて接続される機器であって、具体的には、車載装置、又は端末装置が挙げられる。「車載装置」とは、車両に搭載される装置であり、具体的には、車載用ナビゲーション装置等を含む概念ある。また、「端末装置」とは、所定のコンピュータを搭載した装置であり、具体的には、据え置き型のコンピュータ装置、スマートフォン、又は携帯用ナビゲーション装置等を含む概念である。
【0016】
また、「配信要求」とは、更新情報の配信を要求することであり、具体的には、更新情報の配信のための処理において使用される情報を含んでいる要求であり、例えば、地図情報における配信を要求する領域である配信要求領域の場所を特定する配信要求領域場所特定情報、地図表示端末におけるユーザの自宅の場所を特定する自宅場所特定情報、地図表示端末の現在地の場所を特定する現在地場所特定情報、地図表示端末の目的地の場所を特定する目的地場所特定情報、又は地図表示端末の現在地の場所及び目的地の場所の中間点の場所を特定する中間点場所特定情報のうちの少なくとも1つの特定情報と、地図表示端末を一意に識別するための識別情報「以下、装置ID」と、地図表示端末に格納されている地図情報のバージョンを特定するためのバージョン特定情報とを含む情報である。また、「配信要求の属性」とは、配信要求の特徴又は性質であり、具体的には、許容率を決定するのに用いられる情報であり、例えば、配信要求に含まれる各特定情報に加えて、配信要求が行われた曜日を特定する曜日特定情報、又は、配信要求が行われた時間を特定する時間特定情報のうちの少なくとも1つの情報を含む概念である。
【0017】
また、「許容率」とは、更新情報の配信が許容される確率に対応する蓋然性であり、具体的には、更新情報の配信が許容される確実さの度合であり、例えば、百分率(つまり、パーセント)にて示される比率である。
【0018】
そして、以下に示す各実施の形態においては、「地図表示端末」が「車載装置」である場合において、許容率を決定するための「配信要求の属性」として、以下に示す各特定情報を用いる場合について説明する。「配信要求の属性」として具体的には、実施の形態1では、配信要求領域場所特定情報を用いる場合について説明し、実施の形態2では、自宅場所特定情報及び目的地場所特定情報を用いる場合について説明し、実施の形態3では、配信要求領域場所特定情報及び自宅場所特定情報を用いる場合について説明し、実施の形態4では、配信要求領域場所特定情報及び目的地場所特定情報を用いる場合について説明し、実施の形態5では、配信要求領域場所特定情報及び中間点場所特定情報を用いる場合について説明し、実施の形態6では、配信要求領域場所特定情報、曜日特定情報、及び時間特定情報を用いる場合について説明し、変形例において、実施の形態1〜6以外の場合について説明する。なお、以下では、車載装置を搭載した車両(車載装置を操作する者が搭乗する車両)を「自車両」と称して説明する。また、「自車両」とは、例えば、四輪自動車、二輪自動車、及び自転車等を含む概念であるが、以下では、自車両が四輪自動車である場合について説明する。
【0019】
(実施の形態1)
初めに、実施の形態1について説明する。この実施の形態においては、「配信要求領域場所特定情報」を用いて許容率を決定する場合について説明する。
【0020】
(構成)
まず、本実施の形態に係る更新情報配信システム100について説明する。この更新情報配信システム100は、車載装置1、受信サーバ2、差分地図計算サーバ3、地図情報データベースサーバ4(以下、データベースを「DB」と称する)、及びファイルサーバ5を備えている。
図1は、本発明の各実施の形態に係る更新情報配信システムを例示するブロック図である。なお、更新情報配信システム100には、実際には、車載装置1以外にも、この車載装置1と同様な構成の他の車載装置が複数含まれているが、ここでは、説明の便宜上、車載装置1のみを
図1において示し、車載装置1及び複数の他の車載装置を総称する場合には、「更新情報配信システム100の車載装置」と称して、以下説明する。
【0021】
(構成−車載装置)
最初に、車載装置1の構成について説明する。
図1に示すように、車載装置1は、概略的に、通信部11、タッチパネル12、ディスプレイ13、スピーカ14、現在位置検出部15、データ記録部16、及び制御部17を備えている。
【0022】
(構成−車載装置−通信部)
通信部11は、受信サーバ2との間でネットワークを介した通信を行う通信手段である。この通信部11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の移動体無線通信手段を用いることができる。
【0023】
(構成−車載装置−タッチパネル)
タッチパネル12は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。このタッチパネル12は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ13の前面において当該ディスプレイ13の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル12としては、例えば、抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネルを用いることができる。
【0024】
(構成−車載装置−ディスプレイ)
ディスプレイ13は、後述する制御部17の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段であり、特に、後述する地図情報DB161に格納された地図情報に基づいて地図を表示する表示手段である。このディスプレイ13の具体的な構成は任意であり、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0025】
(構成−車載装置−スピーカ)
スピーカ14は、後述する制御部17の制御に基づいて情報を音声にて出力する音声出力手段である。このスピーカ14から出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0026】
(構成−車載装置−現在位置検出部)
現在位置検出部15は、車載装置1の現在位置(現在地)を検出する現在位置検出手段である。この現在位置検出部15は、GPS又は地磁気センサ(いずれも図示省略)を有し、現在の車載装置1の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0027】
(構成−車載装置−データ記録部)
データ記録部16は、車載装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(各実施の形態における各装置のデータ記録部も同様とする)。
【0028】
また、このデータ記録部16は、地図情報DB161を備えている。
【0029】
地図情報DB161は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。ここで、「地図情報」とは、案内に用いられる情報であり、道路、道路の交差点、道路構造物、施設等を含む各種の位置の特定に必要な情報であって、例えば、道路上に設定された各ノードに関するノードデータ(例えばノードID、座標等)や、道路上に設定された各リンクに関するリンクデータ(例えばリンクID、リンク名、接続ノードID、道路座標、道路種別(例えば、有料道路、一般道路、高架道路等)、車線数等)、地物データ(例えば信号機、道路標識、ガードレール、施設等)、地形データ等を含んで構成されている。このような地図情報DB161の地図情報は、後述する配信処理において更新される。
【0030】
(構成−車載装置−制御部)
制御部17は、車載装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態に係る更新情報配信プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して車載装置1にインストールされることで、制御部17の各部を実質的に構成する(各実施の形態における受信サーバを含む各装置の制御部も同様とする)。ここでは、例えば、制御部17の内部メモリに「装置ID」が格納されているものとして、以下説明する。ここで、「装置ID」とは、前述したように、更新情報配信システム100の車載装置を一意に識別するための識別情報であって、任意の数字、文字等を用いて表すことができるが、ここでは、例えば、後述する「配信判定処理」にて使用することができるように、所定桁数(例えば、7桁等)の数値であり、更新情報配信システム100の車載装置各々に対して、互いの数値が異なる数値になるように、例えば製造順等の所定の順序で「0」から順に、1ずつ増えるように(つまり、インクリメントされるように)設定されているものとする。そして、例えば、制御部17の内部メモリに格納されている装置IDとしての数値を、説明の便宜上、「ID1」とも称して、以下説明する。
【0031】
(構成−受信サーバ)
次に、受信サーバ2の構成について説明する。受信サーバ2は、情報を受信する受信手段であって、センター側に設けられている装置であり、具体的には、更新情報配信システム100の車載装置と、センター側の差分地図計算サーバ3、地図情報DBサーバ4、及びファイルサーバ5との間のインターフェースとして機能するインターフェース受信サーバであり、
図1に示すように、概略的に、通信部21、データ記録部26、及び制御部27を備えている。
【0032】
(構成−受信サーバ−通信部)
通信部21は、車載装置1との間でネットワークを介した通信を行う通信手段であり、特に、配信要求を受信する受信手段であり、具体的な構成については、通信部11の構成と同様である。
【0033】
(構成−受信サーバ−データ記録部)
データ記録部26は、許容率特定情報DB261を備えている。
【0034】
許容率特定情報DB261は、許容率特定情報を格納する格納手段である。ここで、許容率特定情報DB261に格納されている「許容率特定情報」とは、許容率を特定する情報である。
図2は、許容率特定情報を例示した図である。この
図2に示すように、許容率特定情報は、項目「基準地点」、及び項目「許容率」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「基準地点」に対応する情報は、配信領域における配信場所を判断するための基準地点を特定する情報であり、本実施形態では、
図1の車載装置1のユーザの自宅又は目的地である(
図2では、「自宅」、「目的地」)。ここで、「配信領域」とは、地図情報によって特定される地図の一部の領域(配信要求領域)であり、任意の手法を用いて定義可能な領域であるが、本実施の形態では、例えば、「配信場所」及び「基準地点」を用いて定義するものとして、以下説明する。「配信場所」とは、地図情報によって特定される地図上の場所であり、具体的には、配信領域の基準となる場所であり、例えば、配信領域における中心点の場所であり、タッチパネル12を介してユーザの所定操作が受け付けられることで登録される。また、「基準地点」とは、地図情報によって特定される地図上の地点であり、具体的には、配信場所の基準となる地点であり、例えば、配信場所の周辺の目印となる地点であり、タッチパネル12を介してユーザの所定操作が受け付けられることで登録される。ここでは、例えば、「配信場所」が経度及び緯度の座標であり、「基準地点」が車載装置1のユーザの自宅又は目的地であるものとして、以下説明する。「自宅」とは、車載装置1のユーザ自身の家であり、また、「目的地」とは、自車両の移動の目的となる地点であり、これらの「自宅」及び「目的地」は、例えば、
図1の受信サーバ2における不図示の入力手段を介してユーザの所定操作が受け付けられることで登録される。また、項目「許容率」に対応する情報は、許容率を特定する情報である(
図2では、百分率表記であり、「5」、「10」)。
【0035】
そして、差分更新情報を生成及び配信する処理(以下、差分更新情報の処理)が、更新情報配信システム100の処理能力の範囲内にて行われ、且つ、差分更新情報の処理が、地図情報の更新のニーズに応じた優先度に従って行われるように、前述の許容率特定情報が決定されて、
図1の受信サーバ2における不図示の入力手段を介してユーザの所定操作が受け付けられることで、決定された許容率特定情報が記録される(実施の形態1以外の各実施の形態及び変形例についても同様とする)。なお、「差分更新情報」とは、地図情報を更新するための情報であり、具体的には、更新情報配信システム100の車載装置からの配信要求に応じて生成される情報であり、例えば、受信した配信要求に対応する地図情報を含んでいる情報である。また、「更新情報配信システム100の処理能力」とは、更新情報配信システム100の能力であり、具体的には、差分更新情報を生成及び配信するための能力であって、例えば、後述の差分地図計算サーバ3が、差分更新情報の処理を同時間(例えば、同時、又は1時間等)に遅延なく適切に行える最多件数(以下、処理最多件数)、及び受信サーバ2と更新情報配信システム100の車載装置との間の通信容量(以下、処理最大通信容量)に対応する能力である。また、「地図情報の更新のニーズ」とは、地図情報を更新する必要性の度合いであり、任意に定めることができるが、本実施の形態では、例えば、基準地点が「自宅」である場合には、ユーザが実際の地図上の情報を熟知している可能性が高いという観点から、基準地点が「自宅」である場合に比べて、当該ニーズは低いものと定めることができる。また、「優先度」とは、優先される度合いであり、具体的には、「地図情報の更新のニーズ」に従って定められる度合いであり、例えば、「地図情報の更新のニーズ」が高いほど、高く定められるものである。ここでは、例えば、
図2の項目「許容率」に対応する値については、地図情報の更新のニーズ(つまり、優先度)が高いほど大きな値となり、且つ、差分更新情報を生成及び配信する場合に、処理最多件数を超える件数の差分更新情報の処理を行うことを求められず、及び、受信サーバ2と更新情報配信システム100の車載装置との間において、処理最大通信容量を超える量の通信を行うことを求められないように、シミュレーション等を行って決定した上で、ユーザが
図1の受信サーバ2における不図示の入力手段を介して入力することにより記録されるものとして、以下説明する。
【0036】
(構成−受信サーバ−制御部)
図1に戻って、制御部27は、機能概念的に、決定部271、及び配信部272を備えている。決定部271は、通信部21が配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、差分更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定手段である。また、配信部272は、決定部271が決定する許容率に基づいて、差分更新情報を配信する配信手段である。なお、これら制御部27の各部により行われる処理については、後述する。
【0037】
(構成−差分地図計算サーバ)
次に、差分地図計算サーバ3の構成について説明する。差分地図計算サーバ3は、差分更新情報を生成する生成手段であって、センター側に設けられている装置である。
【0038】
(構成−地図情報DBサーバ)
次に、地図情報DBサーバ4の構成について説明する。地図情報DBサーバ4は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。ここで、この地図情報DBサーバ4に格納されている「地図情報」とは、案内に用いられる情報であり、更新情報配信システム100の車載装置に格納されている地図情報に含まれている情報(例えば、ノードデータ、リンクデータ、地物データ、及び地形データ等)に対応する情報が含まれている情報である。そして、地図情報DBサーバ4には、地図に関する最新の情報(例えば、道路の撤廃又は新設の情報等)に基づいて所定期間(例えば、1日、1週間等)毎に生成された地図情報が、順次提供されて蓄積されている。つまり、この地図情報DBサーバ4には、地図上の各領域について、最新バージョンの地図情報と共に、過去の各バージョンの地図情報も格納されている。ここでは、例えば、地図情報の「バージョン」については、「バージョン1〜4」が設けられており、「バージョン1」が最も古く、「バージョン2」が「バージョン1」の次に古く、「バージョン3」が「バージョン2」の次に古く、「バージョン4」が最新であるものとして、以下説明する。
【0039】
(構成−ファイルサーバ)
次に、ファイルサーバ5の構成について説明する。ファイルサーバ5は、差分更新情報を格納する格納手段であって、センター側に設けられている装置である。
【0040】
(処理)
次に、このように構成される更新情報配信システム100によって実行される配信処理について説明する。
図3は、配信処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「配信処理」とは、配信する処理であり、具体的には、差分更新情報を配信する処理である。この配信処理を実行するタイミングは任意のタイミングであるが、例えば、更新情報配信システム100の電源が投入された場合に起動されるものとして、当該処理が起動したところから説明する。ここでは、例えば、
図1の車載装置1の地図情報のバージョンが「バージョン2」である場合において、車載装置1が、自己の装置ID(つまり、制御部17の内部メモリに格納されている装置ID)である「ID1」、及び「バージョン特定情報」=「バージョン2」と共に、「「基準地点」=「自宅」、「配信場所」=「34度56分40秒、137度11分50秒」、「配信領域」=「配信場所を中心とする10キロメートルの正方形に囲まれた領域」」を含んでいる「配信要求領域場所特定情報」を含む配信要求(以下、例示の配信要求)を生成し、生成した配信要求を送信する例を適宜用いて説明する。
【0041】
まず、
図3に示すように、SA1において車載装置1の制御部17は、配信要求を生成して送信する。具体的には、通信部11を介して送信する。ここでは、例えば、例示の配信要求を生成して送信する。
【0042】
次に、SA2において受信サーバ2の制御部27は、SA1で送信された配信要求を、通信部21を介して受信して、配信判定処理を起動する。
図4は、配信判定処理のフローチャートである。この「配信判定処理」とは、差分更新情報を配信するか否かを判定する処理である。具体的な判定手法については、許容率を用いて行う手法であり、且つ、許容率が高い程、「配信するもの」と判定され易くなる手法であれば任意の手法を用いることができるが、ここでは、例えば、前述の装置IDとしての数値の下2桁の値を、許容率と共に用いて判定する手法を用いるものとして、以下説明する。
【0043】
まず、
図4に示すように、SB1において受信サーバ2の制御部27における決定部271は、許容率を決定する。具体的には、受信した配信要求の属性、及び
図2の許容率特定情報に基づいて、許容率を決定する。更に具体的には、受信した配信要求の属性として、当該配信要求の「配信要求領域場所特定情報」における「基準地点」を取得し、許容率特定情報の項目「許容率」に対応する情報において、前述の取得した「基準地点」に対応する情報を特定し、特定した情報を許容率に決定する。ここでは、例えば、例示の配信要求を受信した場合、受信した例示の配信要求の属性として、「基準地点」=「自宅」、を取得し、この取得した「自宅」に対応する情報として、許容率特定情報の項目「許容率」=「5」を特定し、特定した「5」を許容率に決定する。
【0044】
次に、SB2において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、乱数上限値を決定する。ここで、「乱数上限値」とは、比較対象乱数値の上限値である。また、「比較対象乱数値」とは、前述の装置IDとしての数値の下2桁(以下、装置IDの下2桁)の値に基づく演算値(具体的には、後述する「比較剰余値」)と比較される2桁の数値からのなる値であり、一の位の数値及び十の位の数値が乱数にて設定される値である。具体的には、SB1で決定した許容率に基づいて、許容率の値が大きい程、乱数上限値が小さくなるように、乱数上限値を決定する。ここでは、例えば、「100÷「SB1で決定した許容率」」)の演算を行った上で、演算結果の小数点以下第一位を四捨五入した結果である整数値を、乱数上限値に決定する。なお、「SB1で決定した許容率」の値が小さいために、演算結果の整数値が3桁以上の数値になる場合、「99」を乱数上限値に決定する。また、「SB1で決定した許容率」の値が大きいために、演算結果の整数値が「0」になる場合、後述のSB5の除算における除数とし用いることができるように、「1」を乱数上限値に決定する。ここでは、例えば、例示の配信要求を受信した場合、「100÷「5」」の演算を行って、「20」を乱数上限値に決定する。
【0045】
次に、SB3において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、比較対象乱数値を決定する。具体的には、SB2で決定した乱数上限値以下の比較対象乱数値を決定する。更に具体的には、一の位の数値及び十の位の数値において乱数を発生させることにより生成された値が、SB2で決定した乱数上限値以下である場合、この生成した値を比較対象乱数値に決定し、一方、一の位の数値及び十の位の数値において乱数を発生させることにより生成された値が、SB2で決定した乱数上限値より大きい場合、乱数上限値以下の値が生成されるまで、繰り返し乱数を発生させる。ここでは、例えば、例示の配信要求を受信した場合、乱数を発生させて「20」以下の値を比較対象乱数値に決定するが、「比較対象乱数値」=「5」を決定したものとして、以下説明する。
【0046】
次に、SB4において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、装置IDの下2桁を取得する。具体的には、
図3のSA2において受信した配信要求から、装置IDの下2桁を取得する。ここでは、例えば、例示の配信要求を受信した場合、「ID1」を取得するが、「ID1」の下二桁が数値の「85」であるものとして、以下説明する。
【0047】
次に、SB5において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、比較剰余値を演算する。ここで、「比較剰余値」とは、比較対象乱数値と比較される剰余値であり、具体的には、「装置IDの下2桁」を被除数とし、「乱数上限値」を除数とした除算結果の剰余の値である。具体的には、SB4で取得した「装置IDの下2桁」を被除数とし、SB2で決定した「乱数上限値」を除数とした除算を行い、この除算における剰余を比較剰余値として演算する。ここでは、例えば、例示の配信要求を受信した場合、「85÷20」の除算を行い、この除算における剰余である「5」を比較剰余値として演算する。
【0048】
次に、SB6において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、差分更新情報を配信するか否かを判定する。具体的には、SB3で決定した比較対象乱数値と、SB5で演算した比較剰余値とを比較して、これらの値が互いに一致しているか否かを判定する。そして、比較対象乱数値と比較剰余値とが互いに一致している場合、差分更新情報を配信するものと判定して、配信を許可することを示す許可情報を、
図1の制御部27の不図示のメモリに格納した上で、配信判定処理をリターンして
図3のSA3に移行する。また、比較対象乱数値と比較剰余値とが一致していない場合(つまり、比較対象乱数値と比較剰余値とが互いに異なっている場合)、差分更新情報を配信しないものと判定して、配信を制限することを示す制限情報を、
図1の制御部27の不図示のメモリに格納した上で、配信判定処理をリターンして
図3のSA3に移行する。ここでは、例えば、例示の配信要求を受信した場合、前述のようにSB3において「比較対象乱数値」=「5」と決定され、SB5において「比較剰余値」=「5」と演算されたので、差分更新情報を配信するものと判定して、「許可情報」を、
図1の制御部27の不図示のメモリに格納した上で、配信判定処理をリターンする。
【0049】
図3に戻って、SA3において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、差分更新情報を配信するか否かを判定する。具体的には、
図1の制御部27の不図示のメモリに、「許可情報」が格納されているか、「制限情報」が格納されているかに基づいて判定する。そして、許可情報が格納されている場合、差分更新情報を配信するものと判定して(
図3のSA3のYES)、SA4に移行する。また、制限情報が格納されている場合、差分更新情報を配信しないものと判定して(SA3のNO)、SA16に移行する。ここでは、例えば、例示の配信要求を受信した場合、許可情報が格納されているので、差分更新情報を配信するものと判定して、SA4に移行する。
【0050】
次に、SA4において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、差分更新情報の作成の要求である差分更新情報作成要求を生成して送信する。具体的には、SA2において受信した配信要求から「装置ID」、「バージョン特定情報」、「配信場所」、及び「配信領域」を取得して、取得したこれらの情報を含む差分更新情報作成要求を生成して、生成した差分更新情報作成要求を、差分地図計算サーバ3に送信する。ここでは、例えば、例示の配信要求を受信した場合、例示の配信要求から「装置ID」=「ID1」、「バージョン特定情報」=「バージョン2」、「配信場所」=「34度56分40秒、137度11分50秒」、及び「配信領域」=「配信場所を中心とする10キロメートルの正方形に囲まれた領域」を取得して、取得したこれらの情報を含む差分更新情報作成要求を生成して送信する。
【0051】
次に、SA5において差分地図計算サーバ3は、SA4において送信された差分更新情報作成要求を受信して、差分地図情報の検索の要求である差分地図情報検索要求を生成して送信する。ここで、「差分地図情報」とは、差分更新情報を作成するのに用いられる情報であり、具体的には、
図1の地図情報DBサーバ4に格納されている地図情報に対する、更新情報配信システム100の車載装置に格納されている地図情報の差分に対応する情報である。
図3のSA5において具体的には、受信した差分更新情報作成要求から「バージョン特定情報」、「配信場所」、及び「配信領域」を取得して、取得したこれらの情報を含む差分地図情報検索要求を生成して、生成した差分地図情報検索要求を、地図情報DBサーバ4に送信する。ここでは、例えば、差分更新情報作成要求から「バージョン特定情報」=「バージョン2」、「配信場所」=「34度56分40秒、137度11分50秒」、及び「配信領域」=「配信場所を中心とする10キロメートルの正方形に囲まれた領域」を取得して、取得したこれらの情報を含む差分地図情報検索要求を生成して送信する。
【0052】
次に、SA6において地図情報DBサーバ4は、SA5において送信された差分地図情報検索要求を受信して、差分地図情報を検索して送信する。具体的には、
図1の地図情報DBサーバ4に格納されている地図情報に対する、受信した差分地図情報検索要求の「バージョン特定情報」が特定するバージョンの地図情報の差分に対応する地図情報であり、且つ、受信した差分地図情報検索要求の「配信場所」及び「配信領域」によって特定される領域に対応する地図情報を、「差分地図情報」として検索し、検索した差分地図情報を差分地図計算サーバ3に送信する。ここでは、例えば、「(34度56分40秒、137度11分50秒)を中心とする10キロメートルの正方形に囲まれた領域」の地図情報であり、且つ、「バージョン3及びバージョン4」の地図情報(以下、車載装置1のため差分地図情報)を検索して送信する。
【0053】
次に、SA7において差分地図計算サーバ3は、SA6において送信された差分地図情報を受信して、差分更新情報を格納する。具体的には、受信した差分地図情報を含む差分更新情報を生成して、生成した差分更新情報をファイルサーバ5に格納する。ここでは、例えば、車載装置1のため差分地図情報を含む差分更新情報を生成して格納する。
【0054】
次に、SA8においてファイルサーバ5は、SA7において格納した差分更新情報の格納場所を特定する情報である格納場所特定情報を、差分地図計算サーバ3に送信する。ここでは、例えば、車載装置1のため差分地図情報を含む差分更新情報についての格納場所を特定する格納場所特定情報(以下、車載装置1のための格納場所特定情報)を送信する。
【0055】
次に、SA9において差分地図計算サーバ3は、SA8において送信された格納場所特定情報を受信し、格納場所応答を送信する。ここで、「格納場所応答」とは、差分更新情報の格納場所についての応答であり、具体的には、格納場所特定情報及び装置IDを含む応答である。SA9について具体的には、受信した「格納場所特定情報」及びSA5において受信した差分更新情報作成要求に含まれている「装置ID」を含む格納場所応答を生成し、生成した格納場所応答を受信サーバ2に送信する。ここでは、例えば、「車載装置1のための格納場所特定情報」及び「ID1」を含む格納場所応答(以下、車載装置1のための格納場所応答)を生成して送信する。
【0056】
次に、SA10において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、SA9において送信された格納場所応答を受信し、受信した格納場所応答を、通信部21を介して更新情報配信システム100の車載装置に送信する。ここでは、例えば、車載装置1のための格納場所応答を送信する。
【0057】
次に、SA11において車載装置1の制御部17は、差分更新情報を取得する。具体的には、SA10において送信された格納場所応答を、通信部11を介して受信して、受信した格納場所応答のうちの自己の装置IDが含まれている格納場所応答を特定し、特定した格納場所応答の格納場所特定情報と自己の装置IDとを、通信部11を介して受信サーバ2に送信する。ここでは、例えば、「車載装置1のための格納場所特定情報」及び「ID1」を送信する。
【0058】
次に、SA12において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、差分更新情報を取得する。具体的には、SA11において送信された格納場所特定情報及び装置IDを、通信部21を介して受信して、受信した格納場所特定情報を含む送信要求をファイルサーバ5に送信する。ここでは、例えば、車載装置1のための格納場所特定情報を含む送信要求を送信する。
【0059】
次に、SA13においてファイルサーバ5は、差分更新情報を送信する。具体的には、SA12において送信された送信要求を受信し、受信した送信要求に含まれる格納場所特定情報を特定し、特定した格納場所特定情報が特定する場所に格納されている差分更新情報を取得し、取得した差分更新情報を受信サーバ2に送信する。ここでは、例えば、車載装置1のため差分地図情報を取得して送信する。
【0060】
次に、SA14において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、差分更新情報を送信する。具体的には、SA13において送信された差分更新情報を受信して、受信した差分更新情報とSA12で受信した装置IDとを関連づけて、更新情報配信システム100の車載装置に、通信部21を介して送信する。ここでは、例えば、車載装置1のため差分地図情報と「ID1」とを関連づけて送信する。
【0061】
次に、SA15において車載装置1の制御部17は、地図情報を更新した後、配信処理を終了する。具体的には、SA14において送信された情報を、通信部11を介して受信して、受信した情報のうちの自己の装置IDが含まれている情報に対応する差分更新情報を取得し、取得した差分更新情報が反映されるように、
図1の地図情報DB161における地図情報を更新する。ここでは、例えば、車載装置1のため差分地図情報を取得して更新する。
【0062】
図3に戻って、SA3の判定において、差分更新情報を配信しないものと判定して(SA3のNO)、SA16に移行した場合、このSA16において受信サーバ2の制御部27における配信部272は、
図1の通信部21を介してアクセス制限応答を送信する。ここで、「アクセス制限応答」とは、差分更新情報の配信を行わないことを通知する応答である。SA16において具体的には、SA2で受信した配信要求から、装置IDを取得して、取得した装置IDを含むアクセス制限応答を生成し、生成したアクセス制限応答を送信する。
【0063】
図3に戻って、SA17において車載装置1の制御部17は、アクセス制限情報を表示した後、配信処理を終了する。ここで、「アクセス制限情報」とは、アクセスを制限が制限されていることを示す情報であり、具体的には、差分更新情報の配信が行われないことを示す情報であり、例えば、テキスト情報、又は画像情報等である。SA17について具体的には、SA16において送信されたアクセス制限応答を、通信部11を介して受信して、受信したアクセス制限応答のうち自己の装置IDが含まれているアクセス制限応答を取得して、アクセス制限情報を
図1のディスプレイ13に表示した後、配信処理を終了する。このように構成することにより、
図1の受信サーバ2の制御部27における決定部271が、配信要求を受信する毎に、
図4のSB1において許容率を決定するので、更新情報配信システム100の車載装置各々の更新ニーズに応じて、差分更新情報を適切に配信することができる。
【0064】
(実施の形態1の効果)
このように本実施の形態によれば、通信部21が配信要求を受信する毎に、通信部21が受信した配信要求の属性に基づいて、差分更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定することから、例えば、更新情報配信システム100の車載装置における個別の事情を許容率に反映することができ、更新のための負荷を低減させつつ、更新情報配信システム100の車載装置各々の更新ニーズに応じて適切に差分更新情報を配信することができる。
【0065】
また、配信要求の属性としての配信要求領域場所特定情報に基づいて、許容率を決定することから、例えば、配信要求領域の場所に基づいて、更新の必要性に対応する許容率を決定することができ、更新のための負荷の低減、及び更新ニーズに沿った差分更新情報の配信を行うことができる。
【0066】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。なお、この実施の形態2においては、「自宅場所特定情報」及び「目的地場所特定情報」を用いて許容率を決定する場合について説明する。実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0067】
(構成)
まず、本実施の形態に係る更新情報配信システム100Bについて説明する。
図1に示すように、この更新情報配信システム100Bは、車載装置1B、受信サーバ2B、差分地図計算サーバ3、地図情報DBサーバ4、及びファイルサーバ5を備えている。
【0068】
(構成−車載装置)
最初に、車載装置1Bの構成について説明する。
図1に示すように、車載装置1Bは、概略的に、通信部11、タッチパネル12、ディスプレイ13、スピーカ14、現在位置検出部15、データ記録部16、及び制御部17Bを備えている。
【0069】
(構成−受信サーバ)
次に、受信サーバ2Bの構成について説明する。受信サーバ2Bは、
図1に示すように、概略的に、通信部21、データ記録部26B、及び制御部27Bを備えている。
【0070】
(構成−受信サーバ−データ記録部)
データ記録部26Bは、許容率特定情報DB261Bを備えている。
【0071】
許容率特定情報DB261Bは、許容率特定情報を格納する格納手段である。ここで、許容率特定情報DB261Bに格納されている「許容率特定情報」とは、許容率を特定する情報である。
図5は、許容率特定情報を例示した図である。この
図5に示すように、許容率特定情報は、項目「距離(自宅-目的地)」、及び項目「許容率」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「距離(自宅-目的地)」に対応する情報は、自宅と目的地との間の距離の範囲を特定する情報である(
図5では、単位がキロメートルであり、「10未満」、「10以上〜40未満」、「40以上〜80未満」、「80以上〜160未満」、及び「160以上」)。ここで、「自宅と目的地との間の距離」とは、車載装置1Bのユーザ自身の家の場所と自車両の移動の目的となる地点との間の距離である。そして、「自宅」及び「目的地」については、実施の形態1において説明したように、例えば、タッチパネル12を介してユーザの所定操作が受け付けられることで登録される。また、項目「許容率」に対応する情報は、許容率を特定する情報である(
図5では、百分率表記であり、「1」、「5」、「10」、「20」、「30」)。
【0072】
そして、このような許容率特定情報については、例えば、目的地が自宅に近くなるほど、ユーザが実際の地図上の情報を熟知している可能性が高いという観点から、「地図情報の更新のニーズ」を、自宅と目的地との間の距離が短くなる程低くなるように定めた上で、実施の形態1の場合と同様にして記録されるものとして、以下説明する。
【0073】
(構成−受信サーバ−制御部)
図1に戻って、制御部27Bは、機能概念的に、決定部271B、及び配信部272を備えている。決定部271Bは、通信部21が配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、差分更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定手段である。なお、これら制御部27Bの各部により行われる処理については、後述する。
【0074】
(処理)
次に、このように構成される更新情報配信システム100Bによって実行される配信処理について説明する。この配信処理については、
図3のSA1及び
図4のSB1以外については、実施の形態1の配信処理における対応するステップと同様であり、ここでは、実施の形態1の配信処理のステップとは異なっている
図3のSA1及び
図4のSB1のみについて説明する(後述する実施の形態3〜6についても同様とする)。
【0075】
まず、
図3のSA1において車載装置1Bの制御部17Bは、配信要求を生成して送信する。具体的には、通信部11を介して送信する。更に具体的には、まず、タッチパネル12を介してユーザの所定操作により登録されている「自宅」及び「目的地」の場所を特定する。次に、自己の装置ID、バージョン特定情報、配信要求領域場所特定情報に加えて、前述の特定した「自宅」の場所を特定する自宅場所特定情報、及び前述の特定した「目的地」の場所を特定する目的地場所特定情報を含む配信要求を生成し、生成した配信要求を送信する。
【0076】
次に、SA2において
図4の配信判定処理を起動し、SB1において受信サーバ2Bの制御部27Bにおける決定部271Bは、許容率を決定する。具体的には、受信した配信要求の属性、及び
図5の許容率特定情報に基づいて、許容率を決定する。更に具体的には、受信した配信要求の属性として、当該配信要求の「自宅場所特定情報」及び「目的地場所特定情報」を取得し、取得したこれらの情報に基づいて「自宅と目的地との間の距離」を演算し、許容率特定情報の項目「距離(自宅-目的地)」に対応する情報において、前述の演算した「自宅と目的地との間の距離」を含む情報を特定し、この特定した情報に対応する項目「許容率」に対応する情報を、許容率に決定する。ここでは、例えば、「自宅と目的地との間の距離」=「2」(キロメートル)を演算した場合、「1」を許容率に決定し、また、例えば、「自宅と目的地との間の距離」=「100」(キロメートル)を演算した場合、「20」を許容率に決定することになる。
【0077】
(実施の形態2の効果)
このように本実施の形態によれば、配信要求の属性としての自宅場所特定情報及び目的地場所特定情報に基づいて、許容率を決定することから、例えば、自宅の場所及び目的地の場所に基づいて、更新の必要性に対応する許容率を決定することができ、更新のための負荷の低減、及び更新ニーズに沿った差分更新情報の配信を行うことができる。
【0078】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。なお、この実施の形態3においては、「自宅場所特定情報」及び「配信要求領域場所特定情報」を用いて許容率を決定する場合について説明する。実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0079】
(構成)
まず、本実施の形態に係る更新情報配信システム100Cについて説明する。
図1に示すように、この更新情報配信システム100Cは、車載装置1C、受信サーバ2C、差分地図計算サーバ3、地図情報DBサーバ4、及びファイルサーバ5を備えている。
【0080】
(構成−車載装置)
最初に、車載装置1Cの構成について説明する。
図1に示すように、車載装置1Cは、概略的に、通信部11、タッチパネル12、ディスプレイ13、スピーカ14、現在位置検出部15、データ記録部16、及び制御部17Cを備えている。
【0081】
(構成−受信サーバ)
次に、受信サーバ2Cの構成について説明する。受信サーバ2Cは、
図1に示すように、概略的に、通信部21、データ記録部26C、及び制御部27Cを備えている。
【0082】
(構成−受信サーバ−データ記録部)
データ記録部26Cは、許容率特定情報DB261Cを備えている。
【0083】
許容率特定情報DB261Cは、許容率特定情報を格納する格納手段である。ここで、許容率特定情報DB261Cに格納されている「許容率特定情報」とは、許容率を特定する情報である。
図6は、許容率特定情報を例示した図である。この
図6に示すように、許容率特定情報は、項目「距離(自宅-配信場所)」、及び項目「許容率」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「距離(自宅-配信場所)」に対応する情報は、自宅と配信場所との間の距離の範囲を特定する情報である(
図6では、単位がキロメートルであり、「10未満」、「10以上〜40未満」、「40以上〜80未満」、「80以上〜160未満」、及び「160以上」)。なお、「自宅」及び「配信場所」については、実施の形態1において説明したように、例えば、タッチパネル12を介してユーザの所定操作が受け付けられることで登録される。また、項目「許容率」に対応する情報は、許容率を特定する情報である(
図6では、百分率表記であり、「1」、「1」、「10」、「20」、「30」)。
【0084】
そして、このような許容率特定情報については、例えば、配信場所が自宅に近くなる程、ユーザが実際の地図上の情報を熟知している可能性が高いという観点から、「地図情報の更新のニーズ」を、自宅と配信場所との間の距離が短くなる程低くなるように定めた上で、実施の形態1の場合と同様にして記録されるものとして、以下説明する。
【0085】
(構成−受信サーバ−制御部)
図1に戻って、制御部27Cは、機能概念的に、決定部271C、及び配信部272を備えている。決定部271Cは、通信部21が配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、差分更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定手段である。なお、これら制御部27Cの各部により行われる処理については、後述する。
【0086】
(処理)
次に、このように構成される更新情報配信システム100Cによって実行される配信処理について説明する。
【0087】
まず、
図3のSA1において車載装置1Cの制御部17Cは、配信要求を生成して送信する。具体的には、通信部11を介して送信する。更に具体的には、まず、タッチパネル12を介してユーザの所定操作により登録されている「自宅」の場所及び「配信場所」を特定する。次に、自己の装置ID、バージョン特定情報に加えて、前述の特定した「自宅」の場所を特定する自宅場所特定情報、及び前述の特定した「配信場所」を含む配信要求領域場所特定情報を含む配信要求を生成し、生成した配信要求を送信する。
【0088】
次に、SA2において
図4の配信判定処理を起動し、SB1において受信サーバ2Cの制御部27Cにおける決定部271Cは、許容率を決定する。具体的には、受信した配信要求の属性、及び
図6の許容率特定情報に基づいて、許容率を決定する。更に具体的には、受信した配信要求の属性として、当該配信要求の「自宅場所特定情報」及び「配信要求領域場所特定情報」を取得し、取得したこれらの情報に基づいて「自宅と配信場所との間の距離」を演算し、許容率特定情報の項目「距離(自宅-配信場所)」に対応する情報において、前述の演算した「自宅と配信場所との間の距離」を含む情報を特定し、この特定した情報に対応する項目「許容率」に対応する情報を、許容率に決定する。
【0089】
(実施の形態3の効果)
このように本実施の形態によれば、配信要求の属性としての配信要求領域場所特定情報及び自宅場所特定情報に基づいて、許容率を決定することから、例えば、配信要求領域の場所及び自宅の場所に基づいて、更新の必要性に対応する許容率を決定することができ、更新のための負荷の低減、及び更新ニーズに沿った差分更新情報の配信を行うことができる。
【0090】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。なお、この実施の形態4においては、「目的地場所特定情報」及び「配信要求領域場所特定情報」を用いて許容率を決定する場合について説明する。実施の形態4の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0091】
(構成)
まず、本実施の形態に係る更新情報配信システム100Dについて説明する。
図1に示すように、この更新情報配信システム100Dは、車載装置1D、受信サーバ2D、差分地図計算サーバ3、地図情報DBサーバ4、及びファイルサーバ5を備えている。
【0092】
(構成−車載装置)
最初に、車載装置1Dの構成について説明する。
図1に示すように、車載装置1Dは、概略的に、通信部11、タッチパネル12、ディスプレイ13、スピーカ14、現在位置検出部15、データ記録部16、及び制御部17Dを備えている。
【0093】
(構成−受信サーバ)
次に、受信サーバ2Dの構成について説明する。受信サーバ2Dは、
図1に示すように、概略的に、通信部21、データ記録部26D、及び制御部27Dを備えている。
【0094】
(構成−受信サーバ−データ記録部)
データ記録部26Dは、許容率特定情報DB261Dを備えている。
【0095】
許容率特定情報DB261Dは、許容率特定情報を格納する格納手段である。ここで、許容率特定情報DB261Dに格納されている「許容率特定情報」とは、許容率を特定する情報である。
図7は、許容率特定情報を例示した図である。この
図7に示すように、許容率特定情報は、項目「距離(目的地-配信場所)」、及び項目「許容率」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「距離(目的地-配信場所)」に対応する情報は、目的地と配信場所との間の距離の範囲を特定する情報である(
図7では、単位がキロメートルであり、「10未満」、「10以上〜40未満」、「40以上〜80未満」、「80以上〜160未満」、及び「160以上」)。なお、「目的地」及び「配信場所」については、実施の形態1において説明したように、例えば、タッチパネル12を介してユーザの所定操作が受け付けられることで登録される。また、項目「許容率」に対応する情報は、許容率を特定する情報である(
図7では、百分率表記であり、「1」、「5」、「10」、「20」、「30」)。
【0096】
そして、このような許容率特定情報については、例えば、配信場所が目的地に近くなる程、ユーザが実際の地図上の情報を熟知している可能性が高いという観点から、「地図情報の更新のニーズ」を、目的地と配信場所との間の距離が短くなる程低くなるように定めた上で、実施の形態1の場合と同様にして記録されるものとして、以下説明する。
【0097】
(構成−受信サーバ−制御部)
図1に戻って、制御部27Dは、機能概念的に、決定部271D、及び配信部272を備えている。決定部271Dは、通信部21が配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、差分更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定手段である。なお、これら制御部27Dの各部により行われる処理については、後述する。
【0098】
(処理)
次に、このように構成される更新情報配信システム100Dによって実行される配信処理について説明する。
【0099】
まず、
図3のSA1において車載装置1Dの制御部17Dは、配信要求を生成して送信する。具体的には、通信部11を介して送信する。更に具体的には、まず、タッチパネル12を介してユーザの所定操作により登録されている「目的地」の場所及び「配信場所」を特定する。次に、自己の装置ID、バージョン特定情報に加えて、前述の特定した「目的地」の場所を特定する目的地場所特定情報、及び前述の特定した「配信場所」を含む配信要求領域場所特定情報を含む配信要求を生成し、生成した配信要求を送信する。
【0100】
次に、SA2において
図4の配信判定処理を起動し、SB1において受信サーバ2Dの制御部27Dにおける決定部271Dは、許容率を決定する。具体的には、受信した配信要求の属性、及び
図7の許容率特定情報に基づいて、許容率を決定する。更に具体的には、受信した配信要求の属性として、当該配信要求の「目的地場所特定情報」及び「配信要求領域場所特定情報」を取得し、取得したこれらの情報に基づいて「目的地と配信場所との間の距離」を演算し、許容率特定情報の項目「距離(目的地-配信場所)」に対応する情報において、前述の演算した「目的地と配信場所との間の距離」を含む情報を特定し、この特定した情報に対応する項目「許容率」に対応する情報を、許容率に決定する。
【0101】
(実施の形態4の効果)
このように本実施の形態によれば、配信要求の属性としての配信要求領域場所特定情報及び目的地場所特定情報に基づいて、許容率を決定することから、例えば、配信要求領域の場所及び目的地の場所に基づいて、更新の必要性に対応する許容率を決定することができ、更新のための負荷の低減、及び更新ニーズに沿った差分更新情報の配信を行うことができる。
【0102】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。なお、この実施の形態5においては、「中間点場所特定情報」及び「配信要求領域場所特定情報」を用いて許容率を決定する場合について説明する。実施の形態5の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0103】
(構成)
まず、本実施の形態に係る更新情報配信システム100Eについて説明する。
図1に示すように、この更新情報配信システム100Eは、車載装置1E、受信サーバ2E、差分地図計算サーバ3、地図情報DBサーバ4、及びファイルサーバ5を備えている。
【0104】
(構成−車載装置)
最初に、車載装置1Eの構成について説明する。
図1に示すように、車載装置1Eは、概略的に、通信部11、タッチパネル12、ディスプレイ13、スピーカ14、現在位置検出部15、データ記録部16、及び制御部17Eを備えている。
【0105】
(構成−受信サーバ)
次に、受信サーバ2Eの構成について説明する。受信サーバ2Eは、
図1に示すように、概略的に、通信部21、データ記録部26E、及び制御部27Eを備えている。
【0106】
(構成−受信サーバ−データ記録部)
データ記録部26Eは、許容率特定情報DB261Eを備えている。
【0107】
許容率特定情報DB261Eは、許容率特定情報を格納する格納手段である。ここで、許容率特定情報DB261Eに格納されている「許容率特定情報」とは、許容率を特定する情報である。
図8は、許容率特定情報を例示した図である。この
図8に示すように、許容率特定情報は、項目「距離(中間点-配信場所)」、及び項目「許容率」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「距離(中間点-配信場所)」に対応する情報は、中間点と配信場所との間の距離の範囲を特定する情報である(
図8では、単位がキロメートルであり、「10未満」、「10以上〜40未満」、「40以上〜80未満」、「80以上〜160未満」、及び「160以上」)。ここで、「中間点」とは、中間の地点であり、「出発地」と「目的地」との間の地点であり、任意に定義することができるが、ここでは、例えば、「出発地」から「目的地」に至る走行ルート上に所定距離毎(例えば、5キロメートル毎)に設定されている地点であるものと定義して、以下説明する。なお、「出発地」とは、車両が移動を開始する地点であり、例えば、タッチパネル12を介してユーザの所定操作が受け付けられることで設定されたり、
図1の現在位置検出部15によって検出された現在位置が設定されたりする。また、「走行ルート」とは、自車両が走行するべきルートであり、例えば、制御部17Eによって生成されて設定されるルートである。
【0108】
そして、このような許容率特定情報については、例えば、配信場所が中間点に近くなる程(つまり、中間点と配信場所との間の距離が短くなる程)、更新する領域が、ユーザが通過する領域に対応している可能性が高いという観点から、「地図情報の更新のニーズ」を、中間点と配信場所との間の距離が短くなる程高くなるように定めた上で、実施の形態1の場合と同様にして記録されるものとして、以下説明する。
【0109】
(構成−受信サーバ−制御部)
図1に戻って、制御部27Eは、機能概念的に、決定部271E、及び配信部272を備えている。決定部271Eは、通信部21が配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、差分更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定手段である。なお、これら制御部27Eの各部により行われる処理については、後述する。
【0110】
(処理)
次に、このように構成される更新情報配信システム100Eによって実行される配信処理について説明する。
【0111】
まず、
図3のSA1において車載装置1Eの制御部17Eは、配信要求を生成して送信する。具体的には、通信部11を介して送信する。更に具体的には、まず、タッチパネル12を介してユーザの所定操作により設定されている「出発地」から「目的地」に至る走行ルートを生成して、生成した走行ルート上の中間点の場所(例えば、経度及び緯度の座標)を特定する。次に、タッチパネル12を介してユーザの所定操作により登録されている「配信場所」を特定する。次に、自己の装置ID、バージョン特定情報に加えて、前述の特定した「中間点」の場所を特定する中間点場所特定情報、及び前述の特定した「配信場所」を含む配信要求領域場所特定情報を含む配信要求を生成し、生成した配信要求を送信する。
【0112】
次に、SA2において
図4の配信判定処理を起動し、SB1において受信サーバ2Eの制御部27Eにおける決定部271Eは、許容率を決定する。具体的には、受信した配信要求の属性、及び
図8の許容率特定情報に基づいて、許容率を決定する。更に具体的には、受信した配信要求の属性として、当該配信要求の「中間点場所特定情報」及び「配信要求領域場所特定情報」を取得し、取得したこれらの情報に基づいて「中間点と配信場所との間の距離」を演算し、許容率特定情報の項目「距離(中間点-配信場所)」に対応する情報において、前述の演算した「中間点と配信場所との間の距離」を含む情報を特定し、この特定した情報に対応する項目「許容率」に対応する情報を、許容率に決定する。
【0113】
(実施の形態5の効果)
このように本実施の形態によれば、配信要求の属性としての配信要求領域場所特定情報及び中間点場所特定情報に基づいて、許容率を決定することから、例えば、配信要求領域の場所及び中間点の場所に基づいて、更新の必要性に対応する許容率を決定することができ、更新のための負荷の低減、及び更新ニーズに沿った差分更新情報の配信を行うことができる。
【0114】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について説明する。なお、この実施の形態6においては、「配信要求領域場所特定情報」、「曜日特定情報」、及び「時間特定情報」を用いて許容率を決定する場合について説明する。実施の形態6の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0115】
(構成)
まず、本実施の形態に係る更新情報配信システム100Fについて説明する。
図1に示すように、この更新情報配信システム100Fは、車載装置1F、受信サーバ2F、差分地図計算サーバ3、地図情報DBサーバ4、及びファイルサーバ5を備えている。
【0116】
(構成−車載装置)
最初に、車載装置1Fの構成について説明する。
図1に示すように、車載装置1Fは、概略的に、通信部11、タッチパネル12、ディスプレイ13、スピーカ14、現在位置検出部15、データ記録部16、及び制御部17Fを備えている。
【0117】
(構成−受信サーバ)
次に、受信サーバ2Fの構成について説明する。受信サーバ2Fは、
図1に示すように、概略的に、通信部21、データ記録部26F、及び制御部27Fを備えている。
【0118】
(構成−受信サーバ−データ記録部)
データ記録部26Fは、許容率特定情報DB261Fを備えている。
【0119】
許容率特定情報DB261Fは、許容率特定情報を格納する格納手段である。ここで、許容率特定情報DB261Fに格納されている「許容率特定情報」とは、許容率を特定する情報である。
図9は、許容率特定情報を例示した図である。この
図9に示すように、許容率特定情報は、項目「配信領域」、及び項目「許容率」と、各項目に対応する情報とを、相互に関連付けて構成されている。ここで、項目「配信領域」に対応する情報は、配信領域に含まれている目印の地点を特定する情報である(
図9では、「自宅」、「目的地」、「会社」、「定期的に行く場所」)。なお、「会社」とは、車載装置1Fのユーザが通勤する会社であり、例えば、「自宅」及び「目的地」と同様にして、タッチパネル12を介してユーザの所定操作が受け付けられることで登録される。また、「定期的に行く場所」とは、車載装置1Fのユーザが定期的に行く場所であり、任意の手法を用いて定義することができるが、ここでは、例えば、過去に「目的地」として登録した実績に基づいて、曜日及び時間帯と関連付けて定義するものとして、以下説明する。「定期的に行く場所」の定義について具体的には、過去の所定期間(例えば、1年間等)に「目的地」として設定した地点を、曜日及び時間帯毎(例えば、「土曜日の午前中」、「日曜日の午後」等)に取得して、取得した各曜日及び時間帯に目的地として設定された地点について、目的地として設定された頻度を集計し、集計した頻度が所定回数(例えば、20回等)以上の地点を、各曜日及び時間帯における「定期的に行く場所」と定義するものとする。つまり、例えば、「土曜日の午前中」に「フィットネスジム」に行く頻度として「30」回を集計し「デパート」に行く頻度として「10」回を集計した場合、「土曜日の午前中」の「定期的に行く場所」=「フィットネスジム」と定義するものとする。また、項目「許容率」に対応する情報は、許容率を特定する情報である(
図9では、百分率表記であり、「10」、「30」、「5」)。
【0120】
そして、このような許容率特定情報については、例えば、「自宅」については、ユーザが実際の地図上の情報を熟知している可能性が高く、また、「定期的に行く場所」及び「会社」については、ユーザが実際の地図上の情報を熟知している可能性が更に高いが、「目的地」については、ユーザが実際の地図上の情報に精通していない可能性が高いという観点から、「地図情報の更新のニーズ」を「目的地」、「自宅」、「会社」(及び、「定期的に行く場所」(なお、「会社」及び「定期的に行く場所」は同じ))の順に低くなるように定めた上で、実施の形態1の場合と同様にして記録されるものとして、以下説明する。
【0121】
(構成−受信サーバ−制御部)
図1に戻って、制御部27Fは、機能概念的に、決定部271F、及び配信部272を備えている。決定部271Fは、通信部21が配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、差分更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定手段である。なお、これら制御部27Fの各部により行われる処理については、後述する。
【0122】
(処理)
次に、このように構成される更新情報配信システム100Fによって実行される配信処理について説明する。
【0123】
まず、
図3のSA1において車載装置1Fの制御部17Fは、配信要求を生成して送信する。具体的には、配信領域に含まれている目印の地点(以下、目印地点)を特定し、当該地点を示す情報であり、配信要求の特徴又は性質に対応する「目印地点情報」を含む配信要求を、通信部11を介して送信する。更に具体的には、まず、車載装置1Fの不図示の(時間及び曜日と特定する機能を有している)タイマーの如き計時手段を用いて、現在の曜日及び時間帯(つまり、配信要求が行われる曜日及び時間)を特定し、タッチパネル12を介してユーザの所定操作により登録されている「配信領域」に、特定した曜日及び時間帯の「定期的に行く場所」が含まれているか否かを判定し、「定期的に行く場所」が含まれているものと判定した場合、「目印地点」=「定期的に行く場所」を特定し(つまり、曜日特定情報及び時間特定情報に基づいて「定期的に行く場所」を特定し)、一方、「定期的に行く場所」が含まれていないものと判定した場合、「配信領域」に「会社」、「自宅」又は「目的地」が含まれているか否かを判定し、「目印地点」を特定する。なお、「会社」、「自宅」又は「目的地」の複数が「目印地点」として特定された場合、「会社」、「自宅」、「目的地」に優先度を設定して、設定した優先度に従って1つのみの地点を「目印地点」として特定するものとする。また、「会社」、「自宅」及び「目的地」のいずれも「目印地点」として特定されなかった場合、「目印地点」=「無し」を特定するものとする。次に、自己の装置ID、バージョン特定情報、配信要求領域場所特定情報に加えて、「目印地点情報」=「前述の特定した目印地点」である目印地点情報を含む配信要求を生成し、生成した配信要求を送信する。
【0124】
次に、SA2において
図4の配信判定処理を起動し、SB1において受信サーバ2Fの制御部27Fにおける決定部271Fは、許容率を決定する。具体的には、受信した配信要求の属性、及び
図9の許容率特定情報に基づいて、許容率を決定する。更に具体的には、受信した配信要求の属性として、当該配信要求の「目印地点情報」を取得し、許容率特定情報の項目「許容率」に対応する情報において、前述の取得した「目印地点情報」に対応する情報を特定し、特定した情報を許容率に決定する。ここでは、例えば、「目印地点情報」=「自宅」を取得した場合、「10」を許容率に決定し、「目印地点情報」=「目的地」を取得した場合、「30」を許容率に決定し、「目印地点情報」=「会社」を取得した場合、「5」を許容率に決定し、「目印地点情報」=「定期的に行く場所」を取得した場合、「5」を許容率に決定する。なお、「目印地点情報」=「なし」を取得した場合、予め定められている許容率(例えば、極めて小さい値である「1」等)を決定してもよい。
【0125】
(実施の形態6の効果)
このように本実施の形態によれば、配信要求の属性としての配信要求領域場所特定情報、曜日特定情報、及び時間特定情報に基づいて、許容率を決定することから、例えば、配信要求領域の場所、配信要求領域が行われた曜日及び時間に基づいて、更新の必要性に対応する許容率を決定することができ、更新のための負荷の低減、及び更新ニーズに沿った差分更新情報の配信を行うことができる。
【0126】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0127】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る更新情報配信システムを用いて行われる更新ニーズに応じた配信の適切さが従来と同程度であっても、従来と異なる構造により従来と同程度の適切な配信が行われる場合には、本願発明の課題は解決されている。
【0128】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、車載装置の一部の機能を受信サーバに設けたり、受信サーバの一部の機能を車載装置に設けたりしてもよい。また、受信サーバを、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に決定部又は配信部の一方を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に決定部又は配信部の他方を設けてもよい。また、例えば、各実施の形態の受信サーバ、差分地図計算サーバ、地図情報DBサーバ、又はファイルサーバの機能を統合してもよい。
【0129】
(形状、数値、構造、時系列について)
各実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0130】
(許容率特定情報について)
また、上記各実施の形態では、各実施の形態の許容率特定情報DBの許容率特定情報について、ユーザが
図1の受信サーバ2における不図示の入力手段を介して入力することにより記録される場合について説明したが、これに限られない。例えば、受信サーバが、更新情報配信システムの処理能力の範囲において、地図情報の更新のニーズに応じた優先度に従って、所定時間毎(例えば、24時間毎等)に許容率特定情報の「許容率」演算し、演算結果に基づいて許容率特定情報を更新してもよい。
【0131】
(許容率の決定について)
また、上記実施の形態2では、「自宅場所特定情報」及び「目的地場所特定情報」を用いて許容率を決定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、「自宅場所特定情報」の代わりに「現在地場所特定情報」を用いて許容率を決定してもよい。この場合、
図5の許容率特定情報において、項目「距離(自宅-目的地)」の代わりに、項目「距離(現在地-目的地)」を設けて、この項目「距離(現在地-目的地)」に対応する情報として、車載装置1の現在地と目的地との間の距離の範囲を特定する情報を記録する。そして、
図3のSA1において、
図1の車載装置1Bの制御部17Bが、現在位置検出部15の検出結果(例えば、経度及び緯度の座標等)取得し、取得した検出結果である現在地を特定する「現在地場所特定情報」を、実施の形態2の「目的地場所特定情報」の代わりに含む配信要求を生成して送信するように構成し、
図4のSB1において受信サーバ2Bの制御部27Bにおける決定部271Bが、受信した配信要求に含まれている「現在地場所特定情報」及び、前述の項目「距離(現在地-目的地」に対応する情報を含む許容率決定情報に基づいて、許容率を決定するように構成する。
【0132】
また、上記各実施の形態及び変形例における、許容率特定情報を任意に組み合わせた上で、各実施の形態及び変形例における、許容率を決定するための手法を任意に組み合わせて許容率を決定してよい。具体的には、配信要求領域場所特定情報、自宅場所特定情報、現在地場所特定情報、目的地場所特定情報、又は中間点場所特定情報のうちの少なくとも1つの情報に基づいて、許容率を決定してもよいし、当該少なくとも1つの情報と、曜日特定情報又は時間特定情報と、に基づいて許容率を決定してもよい。「当該少なくとも1つの情報と、曜日特定情報又は時間特定情報と、に基づいて許容率を決定」する場合について例えば、各実施の形態及び変形例の許容率特定情報の許容率を、受信サーバが配信要求を受信した曜日又は時間毎に記録した上で、配信要求を受信した曜日又は時間も考慮して、許容率を決定するように構成してもよい。
【0133】
また、上記各実施の形態における、受信サーバに格納されている許容率特定情報については、更新情報配信システムの複数の車載装置各々に関して個別的に用いられるように構成してもよいし、複数の車載装置に関して共通して用いられるように構成してもよい。
【0134】
(中間点について)
また、上記実施の形態5では、中間点を、「出発地」から「目的地」に至る走行ルート上において所定距離毎(例えば、5キロメートル毎)に設定されている地点であるものと定義した上で処理する場合について説明したが、これに限られない。例えば、中間点の場所を特定するための負荷を軽減する観点から、中間点を、走行ルートに関係なく、単に「出発地」と「目的地」とを直線又は曲線で結び、当該結んだ直線又は曲線上の所定距離毎の地点であるものと定義した上で処理してもよい。また、「出発地」と「自宅」に読み替えて定義してもよい。
【0135】
(目印地点情報について)
また、上記実施の形態6では、目印地点情報を、車載装置1Fが配信要求の一部の情報として受信サーバ2Fに送信する場合について説明したが、これに限られない。例えば、目印地点情報を決定するために必要な情報を受信サーバ2Fが格納しており、受信サーバ2Fが、目印地点情報を決定してもよい。
【0136】
(配信判定処理について)
また、上記各実施の形態における、
図4の配信判定処理のSB2〜SB6の代わりに、SB1で決定した許容率に対応する確率で「差分更新情報を配信するもの」と判定するような、公知の判定手法を含む任意の判定手法を用いてもよい。
【0137】
〔実施の形態の特徴と効果の一部〕
最後に、これまでに説明した各実施の形態の特徴と効果の一部を、以下に例示する。ただし、各実施の形態の特徴と効果は、以下の内容に限定されず、以下の特徴の一部のみを具備することによって以下の効果の一部のみを奏する場合や、以下の特徴以外の他の特徴を具備することによって以下の効果以外の他の効果を奏する場合がある。
【0138】
実施の形態の1つの側面1に係る更新情報配信システムは、地図を表示するための地図情報を有する地図表示端末からの配信要求に応じて、前記地図情報を更新するための更新情報を配信する更新情報配信システムであって、前記配信要求を受信する受信手段と、前記受信手段が前記配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、前記更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定手段と、前記決定手段が決定する前記許容率に基づいて、前記更新情報を配信する配信手段とを備える。
【0139】
上記側面1に係る更新情報配信システムによれば、受信手段が配信要求を受信する毎に、受信手段が受信した配信要求の属性に基づいて、更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定することから、例えば、各地図表示端末における個別の事情を許容率に反映することができ、更新のための負荷を低減させつつ、各地図表示端末の更新ニーズに応じて適切に更新情報を配信することができる。
【0140】
実施の形態の他の側面2に係る更新情報配信システムは、上記側面1に係る更新情報配信システムにおいて、前記配信要求の属性は、前記地図情報における配信を要求する領域である配信要求領域の場所を特定する配信要求領域場所特定情報、前記地図表示端末におけるユーザの自宅の場所を特定する自宅場所特定情報、前記地図表示端末の現在地の場所を特定する現在地場所特定情報、前記地図表示端末の目的地の場所を特定する目的地場所特定情報、又は、前記自宅の場所及び前記目的地の場所の中間点の場所を特定する中間点場所特定情報のうちの、少なくとも1つの特定情報を、含み、前記決定手段は、前記少なくとも1つの特定情報に基づいて、前記許容率を決定する。
【0141】
上記側面2に係る更新情報配信システムによれば、地図情報における配信を要求する領域である配信要求領域の場所を特定する配信要求領域場所特定情報、地図表示端末におけるユーザの自宅の場所を特定する自宅場所特定情報、地図表示端末の現在地の場所を特定する現在地場所特定情報、地図表示端末の目的地の場所を特定する目的地場所特定情報、又は、自宅の場所及び目的地の中間点の場所を特定する中間点場所特定情報のうちの、少なくとも1つの特定情報に基づいて、許容率を決定することから、例えば、配信要求領域の場所、地図表示端末におけるユーザの自宅の場所、地図表示端末の現在地の場所、目的地の場所、又は、中間点の場所に基づいて、更新の必要性に対応する許容率を決定することができ、更新のための負荷の低減、及び更新ニーズに沿った更新情報の配信を行うことができる。
【0142】
実施の形態の他の側面3に係る更新情報配信システムは、上記側面2に係る更新情報配信システムにおいて、前記配信要求の属性は、前記配信要求が行われた曜日を特定する曜日特定情報、又は、前記配信要求が行われた時間を特定する時間特定情報のうちの、少なくとも1つの特定情報を、更に含み、前記決定手段は、前記曜日特定情報又は前記時間特定情報に更に基づいて、前記許容率を決定する。
【0143】
上記側面3に係る更新情報配信システムによれば、配信要求が行われた曜日を特定する曜日特定情報、又は、配信要求が行われた時間を特定する時間特定情報に基づいて、許容率を決定することから、例えば、曜日又は時間に基づく地図表示端末のユーザの行動パターンに応じて許容率を決定することができ、当該ユーザの行動パターンを考慮して、更新ニーズに応じて適切に更新情報を配信することができる。
【0144】
実施の形態の他の側面4に係る更新情報配信方法は、地図を表示するための地図情報を有する地図表示端末からの配信要求に応じて、前記地図情報を更新するための更新情報を配信する更新情報配信方法であって、受信手段が、前記配信要求を受信する受信ステップと、決定手段が、前記受信手段が前記配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、前記更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定ステップと、配信手段が、前記決定ステップが決定する前記許容率に基づいて、前記更新情報を配信する配信ステップとを含む。
【0145】
上記側面4に係る更新情報配信方法によれば、受信手段が配信要求を受信する毎に、受信手段が受信した配信要求の属性に基づいて、更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定することから、例えば、各地図表示端末における個別の事情を許容率に反映することができ、更新のための負荷を低減させつつ、各地図表示端末の更新ニーズに応じて適切に更新情報を配信することができる。
【0146】
実施の形態の他の側面5に係る更新情報配信プログラムは、地図を表示するための地図情報を有する地図表示端末からの配信要求に応じて、前記地図情報を更新するための更新情報を配信する更新情報配信プログラムであって、コンピュータを、前記配信要求を受信する受信手段と、前記受信手段が前記配信要求を受信する毎に、当該受信した配信要求の属性に基づいて、前記更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定する決定手段と、前記決定手段が決定する前記許容率に基づいて、前記更新情報を配信する配信手段と、として機能させる。
【0147】
上記側面5に係る更新情報配信プログラムによれば、受信手段が配信要求を受信する毎に、受信手段が受信した配信要求の属性に基づいて、更新情報の配信が許容される確率に対応する許容率を決定することから、例えば、各地図表示端末における個別の事情を許容率に反映することができ、更新のための負荷を低減させつつ、各地図表示端末の更新ニーズに応じて適切に更新情報を配信することができる。