(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
(1)画像形成装置の構成
以下、第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。まず、第1実施形態に係る画像形成装置100の全体的な構成を、
図1を用いて説明する。
画像形成装置100は、本体部1を備える。本体部1は、画像形成装置100の本体を形成する。本体部1の一部には、排紙トレイTが形成されている。排紙トレイTには、排紙装置4(後述)により搬送された用紙Pが排出される。
【0015】
画像形成装置100は、給紙カセット2を備える。給紙カセット2は、本体部1の下部(画像形成部3の下方)に配置されている。給紙カセット2には、画像を形成するために画像形成部3に搬送される用紙Pが載置される。給紙カセット2に載置された用紙Pは、給紙ローラ21の回転により、第1搬送路R1へと搬送される。
【0016】
画像形成装置100は、本体部1の内部に画像形成部3を備える。画像形成部3は、第1搬送路R1を搬送された用紙Pの表面に、電子写真方式にて画像を形成する。画像形成部3は、用紙Pに画像を形成後、当該用紙Pを第2搬送路R2へと排出する。
【0017】
画像形成装置100は、本体部1の内部であって画像形成部3の上方に排紙装置4を備える。排紙装置4は、第2搬送路R2により搬送され画像が形成され用紙Pを、排出口E(
図1)から排紙トレイTへ排紙する。なお、排紙装置4の構成については、後ほど詳しく説明する。用紙Pが排出口Eから排紙トレイTへと搬送される方向を第1方向D1と呼ぶことにする。
【0018】
画像形成装置100は、本体部1の内部に制御部5を備える。制御部5は、画像形成部3の各部を制御する。制御部5の構成については、後ほど詳しく説明する。
画像形成装置100は、本体部1の上方に操作パネル6を備える。操作パネル6は、タッチパネル及び各種キーを有し、ユーザなどによる入力操作を受け付ける。また、操作パネル6は、画像形成装置100の状態を表示するディスプレイを有する。
【0019】
画像形成装置100は、第2搬送路R2の排紙装置4の近傍に、用紙通過検出スイッチSW(
図4)を備えている。用紙通過検出スイッチSWは、画像を形成した用紙Pが排紙装置4に接近したことを検知する、フォトインタラプタ方式のスイッチである。
具体的には、画像を形成した用紙Pの先端が通過したときに、用紙通過検出スイッチSWのレバーが、フォトインタラプタの光を遮断する位置から通過させる位置へと移動することにより、用紙Pの先端の通過を検出できる。用紙通過検出スイッチSWは、上記の光を受光したことを示す検出信号を、制御部5へ出力する。
【0020】
また、用紙Pの後端が通過したときに、用紙通過検出スイッチSWのレバーが、フォトインタラプタの光を通過させる位置から遮光する位置に復帰することにより、用紙Pの後端の通過を検出できる。用紙通過検出スイッチSWは、上記の光が遮光されたことを示す信号を、制御部5に出力する。
すなわち、用紙通過検出スイッチSWは、用紙通過検出スイッチSWのフォトインタラプタの光を検出したことを示す信号を出力後に当該光が遮断されたことを示す信号を出力することにより(例えば、用紙通過検出スイッチSWの出力信号がON信号からOFF信号に切り替わることにより)、用紙Pの第1方向D1の後端が用紙通過検出スイッチSWを通過したことを、制御部5に通知できる。
【0021】
画像形成装置100は、操作パネル6の上方に画像読取部7を備えていてもよい。画像読取部7は、例えば、イメージスキャナであり、紙面などから画像を読み取る。これにより、画像形成装置100は、紙面から読み取った画像を用紙Pに形成する複写機能を実現できる。
【0022】
(2)排紙装置の構成
次に、排紙装置4の構成の詳細について、
図2、
図3、及び
図4を用いて説明する。
図2は、排紙装置を排出口から見た正面図である。
図3は、排紙装置の斜視図である。
図4は、排紙装置を第2方向から見た断面図である。
排紙装置4は、シフトフレーム41a、41bを有する。シフトフレーム41a、41bは、用紙Pの排紙方向である第1方向D1と直交する第2方向D2に移動可能な板状の部材である。具体的には、シフトフレーム41a、41bは、本体部1の内部に固定されたシフトフレーム支持部材SUに、当該部材から第2方向D2に延びる棒状部材BAに貫通された状態で支持される。
【0023】
排紙装置4は、駆動機構42を有する。駆動機構42は、シフトフレーム41a、41bを第2方向D2へ移動させる。
具体的には、
図2に示すように、駆動機構42は、第1モータM1(
図6)の出力回転軸に接続された第1ギアG1と、第1ギアG1と噛合し本体部1に軸回転可能に支持された第2ギアG2と、第2ギアG2と噛合し本体部1に軸回転可能に支持された第3ギアG3と、第3ギアG3と噛合し本体部1に軸回転可能に支持された第4ギアG4とを、有する。第4ギアG4は、シフトフレームのいずれか(シフトフレーム41a)から第2方向D2に延びた駆動ギアGDと噛合している。
これにより、シフトフレーム41a、41bは、第1〜第4ギアを介して伝達された第1モータM1(
図6)の回転により、第2方向D2又は第2方向D2と反対の方向へ移動できる。
【0024】
排紙装置4は、原点検出機構43を有する。原点検出機構43は、シフトフレーム41a、41bが、原点位置にあるか否かを検出する。原点検出機構43は、フォトインタラプタ方式にて、シフトフレーム41a、41bが原点位置にあるか否かを検出する。
【0025】
具体的には、
図5A及び
図5Bに示すように、原点検出機構43は、光源431を有する。光源431は、後述する検出素子433に向けて、光(例えば、赤外光)を照射するLED(Light Emitting Diode)などの発光素子である。
原点検出機構43は、検出素子433を有する。検出素子433は、光源431からの光の受光量を測定するフォトダイオードである。検出素子433は、受光した光の強度に応じて、光を検出したか否かを表す検出信号(電圧値、又は、電流値)を、制御部5へと出力する。
原点検出機構43は、遮蔽部材435を有する。遮蔽部材435は、第1の従動ローラ45(後述)を貫通する第2軸A2(後述)のシフトフレーム41b側の一端に取り付けられた板状の部材である。遮蔽部材435は、第2軸A2の移動に応じて移動することで、光源431からの光を遮蔽又は通過させる。
【0026】
原点検出機構43が上記の構成を有することにより、原点検出機構43は、シフトフレーム41a、41bが第2方向D2の原点位置にない場合には、
図5Aに示すように、光源431からの光が検出素子433により検出されて、所定の電圧値又は電流値の検出信号を制御部5へ出力できる。当該検出信号を受信した制御部5は、シフトフレーム41a、41bが原点位置にないと判断できる。
一方、シフトフレーム41a、41bが第2方向D2の原点位置にある場合には、
図5Bに示すように、光源431からの光が遮蔽部材435により遮蔽される。この場合、検出素子433は、上記の所定の電圧値又は電流値の検出信号を制御部5へ出力しない。当該検出信号を受信しない制御部5は、シフトフレーム41a、41bが原点位置にあると判断できる。
図5Aは、シフトフレームが原点位置にないときの原点検出機構の状態を示す図である。
図5Bは、シフトフレームが原点位置にあるときの原点検出機構の状態を示す図である。
【0027】
排紙装置4が、上記のシフトフレーム41a、41bと、駆動機構42と、原点検出機構43とを備えることにより、排紙装置4は、排紙したい用紙Pを、排紙トレイTの第2方向D2の所定の位置に排紙できる。
【0028】
排紙装置4は、駆動ローラ44を有する。駆動ローラ44は、第2方向D2に延びる第1外周面F1を有し、第1軸A1回りに回転可能に、シフトフレーム41a、41bに支持される。
図3などに示すように、駆動ローラ44は、円柱軸に垂直な面の中心が第1軸A1によって貫通された、ゴム製の複数の円柱形状の小ローラ44−1、44−2、・・・44−8により構成される。
【0029】
複数の小ローラ44−1、44−2、・・・44−8を貫通する第1軸A1の両端は、第1軸A1の長さ方向が第2方向D2と平行となるように、シフトフレーム41a、41bに設けられた穴又は溝に回転可能に軸支される。また、シフトフレーム41a、41bに軸支された第1軸A1のいずれかの一端は、第2モータM2(
図6)の出力回転軸に、クラッチ56(
図6)を介して接続される。これにより、駆動ローラ44は、第2モータM2の回転により、第1軸A1回りに回転する。
【0030】
排紙装置4は、第1の従動ローラ45を有する。第1の従動ローラ45は、第2方向D2に延び、第1外周面F1と第1接触位置TP1(
図4)において接触する第2外周面F2を有する、樹脂製の円筒状ローラである。第1の従動ローラ45は、駆動ローラ44の回転に従って第2方向D2に平行な第2軸A2回りに回転するよう、シフトフレーム41a、41bに支持される。
【0031】
具体的には、第1の従動ローラ45は、第1の従動ローラ45が第2軸A2回りに回転可能となるように、第2軸A2によって貫通されている。第2軸A2の両端は、第1軸A1よりも第2搬送路R2に近い側において、第2軸A2の長さ方向が第2方向D2と平行となるように、シフトフレーム41a、41bに支持される。これにより、第1の従動ローラ45の円筒軸に平行な面(第2外周面F2)は、駆動ローラ44の下側の第2搬送路R2に近い第1接触位置TP1(
図4)において、第1外周面F1と接触する。
【0032】
なお、
図4に示すように、第1の従動ローラ45は、駆動ローラ44に対して相対移動可能で、かつ、付勢部材46により駆動ローラ44に対して弾性的に付勢されてもよい。これにより、例えば、用紙Pのカールが強く、用紙Pの先端が第1の従動ローラ45にあたった場合に、第1の従動ローラ45が下方に変位し、用紙Pの先端を駆動ローラ44と第1の従動ローラ45との間に導きやすくなる。
【0033】
排紙装置4は、第2の従動ローラ47を有する。第2の従動ローラ47は、第2方向D2に延び、第1接触位置TP1よりも第1方向D1の下流側の第2接触位置TP2において第1外周面F1と接触する第3外周面F3を有する、硬度(ASKER C)が30度のスポンジ製の円柱ローラである。第2の従動ローラ47の硬度は、駆動ローラ44の硬度より低く設定されている。また、第2の従動ローラ47は、駆動ローラ44の回転に従って第2方向D2に平行な第3軸A3回りに回転するよう、シフトフレーム41a、41bに支持される。
【0034】
具体的には、第2の従動ローラ47の円柱軸に垂直な面の中心は、第2の従動ローラ47が第3軸A3回りに回転可能となるように、第3軸A3により貫通されている。第3軸A3の両端は、第2軸A2よりも排出口E(
図1)に近い位置において、第3軸A3の長さ方向が第2方向D2と平行になるよう、シフトフレーム41a、41bに支持される。これにより、第2の従動ローラ47の円柱軸に平行な面(第3外周面F3)は、第2接触位置TP2において第1外周面F1と所定の接触力にて接触する。
【0035】
第2の従動ローラ47が上記の硬度を有するスポンジであることにより、第2の従動ローラ47は、用紙Pの厚さに応じて弾性変形して、用紙Pの種類によらず、一定のニップ力にて用紙Pをニップできる。
また、第2の従動ローラ47は、第1の従動ローラ45とは異なり、駆動ローラ44に対して相対移動できないようにシフトフレーム41a、41bに支持されていてもよい。すなわち、駆動ローラ44の第1軸A1と第2の従動ローラ47の第3軸A3との軸間距離を固定する。これにより、用紙Pの厚さにより、第2の従動ローラ47によるニップ力が弱くなったり強くなったりすることがなくなる。その結果、第2の従動ローラ47は、用紙Pの種類によらず、一定のニップ力にて用紙Pをニップできる。
【0036】
排紙装置4が、上記の駆動ローラ44と、第1の従動ローラ45と、第2の従動ローラ47とを備えることにより、用紙Pをこれら3つのローラの回転により排紙トレイTへ排紙する際に、用紙Pに生じたカールの方向とは逆方向に3つのローラにニップした用紙Pを湾曲できる。この結果、用紙Pに生じたカールを除去できる。
また、上記のように、駆動ローラ44と、第1の従動ローラ45と、第2の従動ローラ47は、第2方向D2に移動可能なシフトフレーム41a、41bに支持されている。これにより、シフトソータ機能とデカール機能とを両方備えたコンパクトな排紙装置4を実現できる。その結果、本体部1の体積を小さくして画像形成装置100を小型化できる。
【0037】
(3)制御部の構成
次に、画像形成装置100の各部を制御する制御部5の構成について、
図6を用いて説明する。
図6は、制御部の構成を示す図である。制御部5は、中央処理部51を有する。中央処理部51は、情報処理回路、信号処理回路(A/D変換回路、D/A変換回路など)、及び通信回路などを1チップに形成した集積回路(System on Chip)である。
中央処理部51は、操作パネル6にて受け付けたユーザの指令や、画像形成装置100にEthernet(登録商標)カードなどのネットワークインターフェース501を介して接続されたコンピュータ(図示せず)などからの指令に基づいて、制御部5の各部を動作させるための情報処理を行う。また、中央処理部51は、画像形成装置100の状態に関する情報を含んだ信号を、操作パネル6や上記のコンピュータに出力する。
さらに、中央処理部51は、画像読取部7、ネットワークインターフェース501、モデム502から画像データを入力し、画像処理部54(後述)に出力する。
【0038】
制御部5は、記憶装置53を有する。記憶装置53は、RAM、ROM、HDDなどの情報を記憶する装置である。記憶装置53は、画像形成装置100の各種設定、中央処理部51において実行されるプログラムなどを記憶する。
制御部5は、画像処理部54を有する。画像処理部54は、画像読取部7などから中央処理部51を介して入力した画像データに基づいて、画像形成部3を制御する。画像処理部54の上記の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)によりハードウェア的に実現されている。
【0039】
制御部5は、モータドライバ55a、55bを有する。モータドライバ55a、55bは、それぞれ、中央処理部51から出力されるパルス信号から生成された励磁相信号を、第1モータM1及び第2モータM2(ステッピングモータ)に出力して、これらのモータの回転を制御するモータ制御回路である。
【0040】
制御部5は、クラッチ56を有する。クラッチ56は、中央処理部51からの指令に基づいて、例えば、第2モータM2からの回転伝達機構(図示せず)及び第1軸A1に接続されたギアを互いに噛合又は離反することにより、第2モータM2の回転を第1軸A1に伝達又は遮断する。
【0041】
制御部5は、DIPスイッチ57を有する。DIPスイッチ57は、複数の小スイッチを有し、当該複数の小スイッチのONとOFFの組み合わせにより、用紙Pの後端が排紙装置4に到達してから、当該用紙Pの後端のみが第2接触位置TP2のみにてニップされるまでの搬送時間を設定する。具体的には、当該搬送時間は、DIPスイッチ57の複数の小スイッチのONとOFFの組み合わせにて表される二進数の数値と単位時間との積として、中央処理部51にて算出される。なお、上記の単位時間は、記憶装置53に記憶されている。
【0042】
なお、DIPスイッチ57は、ハードウェアのDIPスイッチに限られず、いわゆるソフトウェアディップスイッチであってもよい。この場合、DIPスイッチ57の設定値は、不揮発性のメモリ(例えば、記憶装置53)に保持される。例えば、DIPスイッチのONを「1」としOFFを「0」とする二進数表記の値を記憶装置53に記憶できる。その他、DIPスイッチのON/OFFによる二進数表記の値を10進数又は16進数などに変換した値を記憶装置53に記憶できる。
【0043】
画像形成装置100の状態等に応じて、DIPスイッチ57の小スイッチのONとOFFの組み合わせを変える、すなわち、DIPスイッチ57にて設定される数値の大小を変えることにより、用紙Pの後端のみが第2接触位置TP2のみにてニップされるまでの搬送時間を、任意に設定できる。
上記の搬送時間は、例えば、用紙通過検出スイッチSWの設置位置を用紙Pの後端が通過してから、用紙Pの後端が第2接触位置TP2に到達する時間より、わずかに短い時間として予め決定できる。
【0044】
(4)画像形成装置の動作
次に、画像形成装置100において、画像を形成した用紙Pを排紙トレイTに排紙する動作について、
図7を用いて説明する。
図7は、画像形成装置の画像形成プロセスを示すフローチャートである。
以下の説明においては、複数部数の画像形成を行う場合を例にとって画像形成プロセスを説明する。また、複数部数の画像形成を行う場合に、2部目以降は、用紙Pをシフトソート後に排紙トレイTに排紙するものとする。さらに、シフトフレーム41a、41bは、画像形成プロセス開始時には、原点位置にあるものとする。
操作パネル6の操作や、ネットワークインターフェース501などを介した外部のコンピュータからの通信などにより、用紙Pに画像を形成することが指令されると、中央処理部51は、給紙ローラ21を回転させる。これにより、給紙カセット2に載置された用紙Pは、第1搬送路R1を経由して画像形成部3に搬送される(ステップS1)。
【0045】
用紙Pが画像形成部3に搬送されると、用紙Pへの画像の形成が開始される(ステップS2)。具体的には、まず、中央処理部51が、画像読取部7、モデム502から受信した画像データ、又は、外部のコンピュータなどからネットワークインターフェース501を介して受信した画像データを、画像処理部54へ送信する。
次に、画像データを受信した画像処理部54が、受信した画像データの濃淡値などに基づいて、画像形成部3の光源31(
図1)の光量を制御しつつ、帯電された感光体ドラム32(
図1)の表面に光を照射する。この結果、感光体ドラム32の表面には、受信した画像データに対応した静電潜像が形成される。
【0046】
その後、トナー供給装置33(
図1)が、静電潜像が形成された感光体ドラム32にトナーを供給する。これにより、感光体ドラム32の表面には、静電潜像に対応するようにトナーが付着する。その後、搬送されてきた用紙Pが感光体ドラム32の表面を通過中に、感光体ドラム32に付着したトナーが用紙Pの一面に転写される。
【0047】
トナーを用紙Pに転写後、用紙Pのトナーが転写された面を加熱ローラ34(
図1)にて加熱しつつ加圧ローラ35(
図1)にて加圧する。これにより、トナーが用紙Pに定着される。すなわち、用紙Pに画像データに対応した画像が形成される。
用紙Pにトナーを定着させる際に、用紙Pの加熱ローラ34側から水分が蒸発する。用紙Pからの水分の蒸発により用紙Pの加熱した面が先に収縮する結果、用紙Pは、トナーを定着して画像が形成された面を内側にしてカールすることがある。トナーの定着過程において発生する用紙Pのカールの内、画像が定着された側が内側(凹面)となるカールを、イメージカールと呼ぶことにする。
【0048】
用紙Pに画像を形成後、中央処理部51は、画像を形成した用紙Pが第2搬送路R2を搬送されて排紙装置4に到達したか否かを判断する(ステップS3)。
具体的には、中央処理部51は、用紙通過検出スイッチSWから当該スイッチのフォトインタラプタの光を検出したことを示す検出信号を受信したら、用紙Pの先端が排紙装置4に到達したと判断する。
【0049】
用紙Pが排紙装置4に到達していないと判断された場合(ステップS3において「No」の場合)、中央処理部51は、上記の検出信号を用紙通過検出スイッチSWから受信するまで待機する。
一方、用紙Pが排紙装置4に到達したと判断された場合(ステップS3において「Yes」の場合)、中央処理部51は、画像を形成した用紙Pを、排紙トレイTの所定の位置に排紙する。
【0050】
用紙Pを排紙トレイTへ排紙する動作を開始する前に、中央処理部51は、用紙Pを第2方向D2へ移動(シフトソート)後に排紙するか、又は、用紙Pをシフトソートすることなく排紙するかを判断する(ステップS4)。
具体的には、複数部数の画像形成が指令されており、かつ、シフトソートを行うことが指令されていると、画像形成プロセスにおいて2部目以降の画像形成を実行している場合に、中央処理部51は、用紙Pをシフトソートする必要があると判断する。
【0051】
現在1部目の画像形成を実行中であり用紙Pをシフトソートする必要がないと判断した場合(ステップS4において「No」の場合)、中央処理部51は、用紙Pをシフトソートすることなく、用紙Pを排紙トレイTに排紙する(ステップS5)。
具体的には、中央処理部51は、クラッチ56に対して、第2モータM2の回転を第1軸A1に伝達するよう指令して、駆動ローラ44を回転させる。駆動ローラ44が回転を開始すると、駆動ローラ44の回転に従って、第1の従動ローラ45及び第2の従動ローラ47が回転を開始する。
【0052】
用紙Pが排紙装置4の第1接触位置TP1まで搬送されると、駆動ローラ44の第1外周面F1と第1の従動ローラ45の第2外周面F2との間に用紙Pがニップされる。
その後、用紙Pは、駆動ローラ44及び第1の従動ローラ45の回転により、排紙装置4の第2接触位置TP2まで搬送される。用紙Pが第2接触位置TP2に到達すると、
図8に示すように、用紙Pは、第1接触位置TP1においてニップされると同時に、第2接触位置TP2において駆動ローラ44の第1外周面F1と第2の従動ローラ47の第3外周面F3との間にニップされる。
図8は、用紙が3つのローラにてニップされた状態を示す図である。
【0053】
第1接触位置TP1及び第2接触位置TP2の2箇所にてニップされると、用紙Pは、
図8に示すように、画像が形成された面とは反対側の面(
図8では用紙Pの上側の面)が、駆動ローラ44の第1外周面F1の湾曲に沿うように配置される。つまり、3つのローラによりニップされた用紙Pは、イメージカールの方向とは逆方向に湾曲される。用紙Pをイメージカールとは逆方向に湾曲させることにより、3つのローラは、用紙Pに生じたイメージカールを除去できる。
イメージカールを除去された用紙Pは、駆動ローラ44、第1の従動ローラ45、及び第2の従動ローラ47の回転により、第1方向D1へ搬送されて、排出口Eから排紙トレイTへと排紙される。
【0054】
一方、現在2部目以降の画像形成を実行中であり用紙Pをシフトソートする必要があると判断した場合(ステップS4において「Yes」の場合)、中央処理部51は、用紙Pをシフトソートして排紙トレイTに排紙する(ステップS6)。具体的には、
図9のフローチャートに示す処理の流れに従って用紙Pを排紙する。
【0055】
まず、中央処理部51が、クラッチ56に対して、第2モータM2の回転を第1軸A1に伝達するよう指令して、駆動ローラ44を回転させる(ステップS61)。これにより、上記のように、画像が形成された用紙Pは、駆動ローラ44、第1の従動ローラ45、及び第2の従動ローラにより、第1方向D1に搬送される。用紙Pを第1方向D1に搬送中に、上記の3つのローラにより用紙Pがニップされることにより、用紙Pに発生したイメージカールは除去される。
【0056】
用紙Pを第1方向D1へ搬送中、中央処理部51は、当該用紙Pの第1方向D1の後端が第2接触位置TP2に到達したか否かを判断する(ステップS62)。
具体的には、中央処理部51は、用紙Pの後端が用紙通過検出スイッチSWを通過してからの経過時間が、DIPスイッチ57にて設定した搬送時間となったら、用紙Pの第1方向D1の後端が第2接触位置TP2に到達したと判断する。
【0057】
用紙Pの後端が第2接触位置TP2に到達していないと判断した場合(ステップS62において「No」の場合)、用紙Pをシフトソートして排紙するプロセスは、ステップS61に戻る。すなわち、中央処理部51は、駆動ローラ44の回転を継続させる。
一方、用紙Pの後端が第2接触位置TP2に到達したと判断した場合(ステップS62において「Yes」の場合)、中央処理部51は、クラッチ56に対して、第2モータM2の出力回転軸と第1軸A1とを遮断するよう指令して、駆動ローラ44の回転を停止させる(ステップS63)。
【0058】
用紙Pの後端が第2接触位置TP2に到達したときに駆動ローラ44の回転を停止することにより、
図10に示すように、用紙Pの第1方向D1の後端は、第1外周面F1と第2外周面F2との間のニップから外れ、第1外周面F1と第3外周面F3との間のみにてニップされる。
図10は、用紙の後端が第2接触位置にてニップされた状態を示す図である。
図10に示すように、用紙Pの後端が第2接触位置TP2のみにてニップされた状態で駆動ローラ44の回転を停止するため、用紙Pの後端にニップ痕が発生することが防止できる。
【0059】
その後、用紙Pは、第2方向D2の異なる位置へと移動される(ステップS64)。
具体的には、中央処理部51は、シフトフレーム41a、41bを第2方向D2の原点位置から離反する方向へ移動させる回転方向に第1ギアG1を回転するよう、第1モータM1に指令する。その後、中央処理部51は、所定のパルス数を有するパルス信号を、第1モータM1を駆動するモータドライバ55aへ出力する。
上記のモータドライバ55aへ出力するパルス信号のパルス数は、排紙トレイTの第2方向D2のどの位置に用紙Pを排紙するか、例えば、現在どの部数目の画像形成を実行中であるか、により決定される。
【0060】
上記のステップS64を実行することにより、
図11に示すように、シフトフレーム41a、41bは、第1モータM1の回転により、上記の中央処理部51から出力されたパルス信号のパルス数に対応する移動量だけ、原点位置から第2方向D2に移動する。つまり、中央処理部51から出力されたパルス数に対応した第2方向D2の位置まで、用紙Pは移動される。
図11は、シフトフレームが原点位置から第2方向にシフトした排紙装置の状態の一例を示す図である。
【0061】
上記のステップS64を実行して用紙Pを第2方向D2へ移動中、用紙Pの第1方向D1の後端は、第2接触位置TP2のみにてニップされている。すなわち、第2方向D2を移動中に、用紙Pは、3つのローラのニップにより湾曲された状態とならない。これにより、用紙Pを第2方向D2に移動中に、用紙Pにニップ痕が発生することを回避できる。
【0062】
用紙Pを第2方向D2の所定の位置に移動後、用紙Pを排紙トレイTへ排紙する(ステップS65)。具体的には、中央処理部51は、クラッチ56に対して、用紙Pの搬送速度と用紙Pを排紙するまでの搬送距離とにより予め定まる時間(記憶装置53に記憶されている)だけ、第2モータM2の回転を第1軸A1に伝達するよう指令する。これにより、用紙Pの第1方向D1の後端が第1外周面F1と第3外周面F3との間のニップから外れ、用紙Pは排出口Eから排紙トレイTへ排紙される。
【0063】
用紙Pを排紙トレイTへ排紙後、中央処理部51は、シフトフレーム41a、41bを原点位置へと復帰させる(ステップS66)。
具体的には、中央処理部51は、まず、シフトフレーム41a、41bを第2方向D2の原点位置から離反する方向とは逆方向へ移動させる回転方向に第1ギアG1を回転するよう、第1モータM1に指令する。
その後、中央処理部51は、原点検出機構43の検出素子433から所定の電圧値又は電流値を有する検出信号を受信しなくなるまで、第1モータM1を駆動するためのパルス信号をモータドライバ55aへ出力する。これにより、シフトフレーム41a、41bは、第1モータM1の回転により、現在位置から原点位置へと移動する。
【0064】
上記のように、ステップS66においては、原点検出機構43がシフトフレーム41a、41bが原点位置に到達したか否かを検知している。これにより、中央処理部51は、シフトフレーム41a、41bが原点位置まで戻ったことを確実に検知できる。その結果、中央処理部51は、シフトフレーム41a、41bを原点位置に復帰させる際に、第1モータM1の回転を適切なタイミングにて停止できる。
【0065】
上記のステップS5又はS6を実行して1枚の用紙Pを排紙トレイTへ排紙後、中央処理部51は、画像形成プロセスを終了するか否かを判断する(ステップS7)。具体的には、上記のステップS1〜S6が、指令された部数と1部数あたりのページ数との積に対応する回数だけ繰り返し実行されたと判断したら、画像形成プロセスを終了すると判断する。
【0066】
画像形成プロセスを終了しないと判断した場合(ステップS7において「No」の場合)、画像形成プロセスはステップS1に戻る。すなわち、指令された部数と1部数あたりのページ数との積に対応する回数だけ上記のステップS1〜S6が繰り返し実行される。
一方、指令された部数だけステップS1〜S6が実行されて画像形成プロセスを終了すると判断した場合(ステップS7において「Yes」の場合)、中央処理部51は、画像形成プロセスを終了する。
【0067】
上記第1実施形態は、下記の構成及び機能を有している。
排紙装置(例えば、排紙装置4)は、用紙(例えば、用紙P)に画像を形成する画像形成装置(例えば、画像形成装置100)に備わり、画像を形成した用紙を外部(例えば、排紙トレイT)へ排紙する。排紙装置は、シフトフレーム(例えば、シフトフレーム41a、41b)と、駆動機構(例えば、駆動機構42)と、駆動ローラ(例えば、駆動ローラ44)と、第1の従動ローラ(例えば、第1の従動ローラ45)と、第2の従動ローラ(例えば、第2の従動ローラ47)と、を備える。
シフトフレームは、用紙を外部に排紙する第1方向(例えば、第1方向D1)に直交する第2方向(例えば、第2方向D2)に移動可能である。駆動機構は、シフトフレームを第2方向に移動させる。
駆動ローラは、第2方向に延びる第1外周面(例えば、第1外周面F1)を有し、第2方向に平行な第1軸(例えば、第1軸A1)回りに回転可能である。
【0068】
第1の従動ローラは、第2方向に延び、第1外周面と第1接触位置(例えば、第1接触位置TP1)において接触する第2外周面(例えば、第2外周面F2)を有する。第1の従動ローラは、駆動ローラの回転に従って第2方向に平行な第2軸(例えば、第2軸A2)回りに回転するようシフトフレームに支持される。第1の従動ローラは、第1外周面と第2外周面との間に用紙をニップした状態にて回転することにより、用紙を第1方向に搬送する。
【0069】
第2の従動ローラは、第2方向に延び、第1接触位置よりも第1方向の下流側の第2接触位置(例えば、第2接触位置TP2)において第1外周面と接触する第3外周面(例えば、第3外周面F3)を有する。第2の従動ローラは、駆動ローラの回転に従って第2方向に平行な第3軸(例えば、第3軸A3)回りに回転するよう、シフトフレームに支持される。第2の従動ローラは、第1外周面と第2外周面との間にニップされた用紙を、第1外周面と第3外周面との間にニップした状態にて回転することにより、用紙を第1方向へ搬送する。
【0070】
(5)他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0071】
(A)DIPスイッチの設定値についての他の実施形態
上記の第1実施形態において、DIPスイッチ57は、用紙Pの後端が用紙通過検出スイッチSWを通過したことを検知してから、当該用紙Pの第1方向D1の後端のみが第2接触位置TP2のみにてニップされるまでの時間を設定していた。
しかしながら、DIPスイッチ57は、用紙Pが排紙装置4に到達後、用紙Pの第1方向D1の後端のみが第2接触位置TP2のみにてニップされるまでに必要な用紙Pの搬送距離に対応した第2モータM2の回転量を設定できればよいので、DIPスイッチ57にて設定される設定値は上記の時間に限られない。
【0072】
例えば、用紙Pが排紙装置4に到達後、用紙Pの第1方向D1の後端のみが第2接触位置TP2のみにてニップされるまでに必要な、中央処理部51がモータドライバ55bに対して出力するパルス信号のパルス数を、DIPスイッチ57にて設定してもよい。
この場合、中央処理部51は、モータドライバ55bに出力したパルス信号のパルス数がDIPスイッチ57にて設定された値となったタイミングにて、クラッチ56に対して、第2モータM2の回転を第1軸A1に伝達しないよう指令してもよい。
【0073】
(B)駆動ローラについての他の実施形態
上記の第1実施形態において、駆動ローラ44を構成する複数の小ローラ44−1、44−2、・・・44−8の第2方向D2の長さは全て同じであった。しかし、これに限られず、用紙Pの第2方向D2の端部を安定にニップするために、複数の小ローラ44−1、44−2、・・・44−8のうち、第2方向D2の端部の小ローラ44−1、44−8の第2方向D2の長さを、他の小ローラ44−2、44−3、・・・44−7よりも長くしておいてもよい。
【0074】
(C)ローラの配置についての他の実施形態
上記の第1実施形態においては、第1の従動ローラ45と第2の従動ローラ47との間の隙間には、何も配置されていなかった。しかし、これに限られない。例えば、第1の従動ローラ45と第2の従動ローラ47とを橋渡しするように、第2方向D2に対して所定の幅を有するベルトを配置してもよい。
これにより、第1接触位置TP1においてニップされた用紙Pは、第2接触位置TP2へ搬送される方向とは異なる方向に移動することなく、第2接触位置TP2へと確実に移動できる。その結果、第2接触位置TP2において用紙Pを確実にニップできる。