(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ドアが閉じられることに伴い生じる機構音は、例えばドアの開閉速度や外気温などによって異なる。しかしながら、特許文献1に記載の装置の場合、ドアの開閉速度などにかかわらず記憶手段に予め記憶されたドア音がスピーカから一様に出力されることから、合成音が現実に即さないものとなる。
【0005】
本発明の目的は、ドアが開閉される際に、現実に即した所望の合成音を生じさせることのできる車両の音響装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための車両の音響装置は、車両のドアが開閉される際に、当該ドアの開閉に伴い生じる機構音に合成させるべく前記車両に設けられたスピーカから音を出力させる装置において、前記スピーカから出力される音の出力態様を当該ドアの開閉時における車両状態に応じて可変させるべく前記スピーカを駆動する制御部を備える。
【0007】
同構成によれば、制御部によりスピーカが駆動されることにより、スピーカから出力される音の出力態様がドアの開閉時における車両状態に応じて可変される。このため、そのときどきの車両状態が反映された音がドアの開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。したがって、現実的な合成音を生じさせることができる。
【0008】
なお、音の出力態様としては、例えば音圧レベルや残響時間の周波数特性などが挙げられる。
前記制御部は、前記スピーカから出力される音の出力態様を当該ドアを開閉する際の前記車両のドアの状態に応じて可変させるべく前記スピーカを駆動することが好ましい。
【0009】
ドアの開閉に伴い生じる機構音は車両のドアの状態に応じて異なる。ここで、車両のドアの状態としては、例えばドアの開閉速度、ドアの開度、ドアの窓の開度などが挙げられる。また、ドアの状態は、当該ドアの状態及び当該ドアとは別のドアの状態の少なくとも一方を含む。
【0010】
上記構成によれば、制御部によりスピーカが駆動されることにより、スピーカから出力される音の出力態様が車両のドアの状態に応じて可変される。このため、そのときどきのドアの状態が反映された音がドアの開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0011】
前記制御部は、前記スピーカから出力される音の出力態様を当該ドアを開閉する際の当該ドアの開閉速度に応じて可変させるべく前記スピーカを駆動することが好ましい。
ドアの開閉に伴い生じる機構音は、当該ドアの開閉速度に応じて異なる。例えばドアの開閉速度が大きいときには小さいときに比べて、機構音の音圧レベルは大きくなり、機構音の残響時間は短くなる。
【0012】
上記構成によれば、制御部によりスピーカが駆動されることにより、スピーカから出力される音の出力態様が当該ドアの開閉速度に応じて可変される。このため、そのときどきのドアの開閉速度が反映された音がドアの開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0013】
前記制御部は、前記スピーカから出力される音の出力態様を当該ドアを閉じ始める際の当該ドアの開度に応じて可変させるべく前記スピーカを駆動することが好ましい。
ドアを閉じるに生じる機構音は、当該ドアを閉じ始める際の当該ドアの開度に応じて異なる。例えばドアの開度が大きいときには小さいときに比べて、機構音の音圧レベルは大きくなり、機構音の残響時間は短くなる。
【0014】
上記構成によれば、制御部によりスピーカが駆動されることにより、スピーカから出力される音の出力態様が当該ドアを閉じ始める際の当該ドアの開度に応じて可変される。このため、そのときどきの閉じ始めのドアの開度が反映された音がドアの開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0015】
前記制御部は、前記スピーカから出力される音の出力態様を当該ドアを開閉する際の前記車両の窓の開閉状態及び当該ドアとは別のドアの開閉状態の少なくとも一方に応じて可変させるべく前記スピーカを駆動することが好ましい。
【0016】
ドアの開閉に伴い生じる機構音は車両の窓の開閉状態や他のドアの開閉状態、換言すれば、車室内の密閉度に応じて異なる。
上記構成によれば、制御部によりスピーカが駆動されることにより、スピーカから出力される音の出力態様が車両の窓の開閉状態及び他のドアの開閉状態の少なくとも一方に応じて可変される。このため、そのときどきの車両の窓の開閉状態や他のドアの開閉状態が反映された音がドアの開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0017】
前記制御部は、前記スピーカから出力される音の出力態様を当該ドアを開閉する際の前記車両の総走行距離に応じて可変させるべく前記スピーカを駆動することが好ましい。
ドアの開閉に伴い生じる機構音は、ドアを含む車両の剛性や、ウェザーストリップの硬度に応じて異なる。また、車両の総走行距離が長くなるほど、車両の剛性は低くなり、ウェザーストリップの硬度はゴムの劣化により変化する。
【0018】
上記構成によれば、制御部によりスピーカが駆動されることにより、スピーカから出力される音の出力態様が車両の総走行距離に応じて可変される。このため、車両の総走行距離が反映された音がドアの開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0019】
前記制御部は、前記スピーカから出力される音の出力態様を当該ドアを開閉する際の外気温及び湿度の少なくとも一方に応じて可変させるべく前記スピーカを駆動することが好ましい。
【0020】
ドアの開閉に伴い生じる機構音は、外気温や湿度に応じて異なる。
上記構成によれば、制御部によりスピーカが駆動されることにより、スピーカから出力される音の出力態様が外気温及び湿度の少なく一方に応じて可変される。このため、そのときどきの外気温や湿度が反映された音がドアの開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ドアが開閉される際に、現実に即した所望の合成音を生じさせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下、
図1〜
図4を参照して、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、車両10の車幅方向の両側部には、乗降口を開閉するスイング式のドア20,30がそれぞれ設けられている。ドア20,30は、車両本体11における上記乗降口の前側縁部に固定されたヒンジ18,19により回動可能にそれぞれ支持されている。
【0024】
ドア20,30の車室側には、ドアスピーカ21,31がそれぞれ設けられている。また、ヒンジ18,19には、ドア20,30の回転角を検出する回転角センサ43,44がそれぞれ設けられている。
【0025】
ドア20,30には、同ドア20,30の窓(図示略)の開度を検出する窓開度センサ45,46が設けられている。
車両本体11における上記乗降口の後側縁部には、ドア20,30が全閉であるか否かを検出するカーテシスイッチ16,17がそれぞれ設けられている。
【0026】
また、車両10には、外気温を検出する温度センサ41や、外部の湿度を検出する湿度センサ42が設けられている。
車両本体11におけるドア20,30よりも後側の両内側壁には、リアスピーカ12,13がそれぞれ設けられている。
【0027】
次に、車両10の音響装置の電気的構成について説明する。
図2に示すように、車両10は、車室内の音響を制御する電子制御装置50を備えている。
【0028】
電子制御装置50は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップなどを予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果などを一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェースなどを備えて構成されている。
【0029】
電子制御装置50には、カーテシスイッチ16,17の検出信号、回転角センサ43,44の検出信号、窓開度センサ45,46の検出信号、温度センサ41、及び湿度センサ42の検出信号が入力される。
【0030】
電子制御装置50は、上述した各種のセンサ及びスイッチからの信号に基づき、アンプ14,15,22,32に対して指令信号を出力してスピーカ12,13,21,31を駆動することにより音を出力させる。
【0031】
次に、
図3を参照して、ドア20(30)閉じ時におけるスピーカ12,13,21,31の駆動制御の処理手順について説明する。なお、
図3に示される一連の処理は、電子制御装置50によりドア20(30)が開いているときに所定期間毎に繰り返し実行される。
【0032】
図3に示すように、この一連の処理では、まず、各種のセンサ及びスイッチからの検出信号が読み込まれる(ステップS1)。
次に、開いているドア20(30)が閉じ動作中であるか否かが判断される(ステップS2)。ここでは、回転角センサ43(44)により検出されるドア20(30)の開度θが減少することに基づいてドア20(30)が閉じ動作中である旨判断する。
【0033】
ステップS2において否定判断された場合(「NO」)には、スピーカ12,13,21,31の駆動制御の実行条件が未だ成立していないとして、この一連の処理を一旦終了する。
【0034】
一方、ステップS2において肯定判断された場合(「YES」)には、次に、ドア20(30)の開度θが第1開度θ1(>0)よりも大きく、且つ第2開度θ2(>θ1)よりも小さい所定範囲内(θ1<θ<θ2)にあるか否かが判断される(ステップS3)。なお、ドア20(30)の開度θは、カーテシスイッチ16,17からの検出信号と、回転角センサ43,44からの検出信号とに基づいて導出される。すなわち、カーテシスイッチ16,17からドア20(30)が全閉である旨の検出信号が出力されているときの回転角センサ43(44)の検出信号を基準として回転角センサ43,44からの検出信号に基づいてドア20(30)の開度θが導出される。
【0035】
ステップS3において否定判断された場合(「NO」)には、次に、ドア20(30)の開度θが第1開度θ1以下であるか否かが判断される(ステップS5)。
ステップS5において否定判断された場合(ステップS5:「NO」)には、ドア20(30)の開度θが第2開度θ2以上であるとして、この一連の処理を一旦終了する。
【0036】
一方、ステップS3において肯定判断された場合(「YES」)には、次に、車両状態に関する以下のパラメータに基づいてスピーカ12,13,21,31から出力する音の出力態様がそれぞれ設定される(ステップS4)。そして、この一連の処理を一旦終了する。なお、ドア20(30)の閉じ速度は、回転角センサ43(44)の検出信号の時間微分値dθ/dtを算出することにより得られる。
【0037】
ここで、上記パラメータとしては、例えば、閉じ動作中の当該ドア20(30)のそのときの閉じ速度、当該ドア20(30)及び他のドア30(20)の窓の開閉状態、他のドア30(20)の開閉状態、外気温、並びに湿度が挙げられる。
【0038】
また、上記音の出力態様としては、例えば、音圧レベルや音の残響時間の周波数特性などが挙げられる。本実施形態では、出力される音に関する周波数と音圧レベル及び残響時間との関係が規定された複数のマップが読出専用メモリ(ROM)に記憶されており、複数のマップの中から1つのマップが上記パラメータに基づいて選択される。これにより、音の出力態様が上記パラメータに応じて可変されることとなる。出力される音に関する周波数と音圧レベル及び残響時間との関係は、当該車両10の機構音を考慮した上で実験等により設定されている。ちなみに、車両10の機構音には、ドア20,30の形状や大きさ、質量、ドア20,30と乗降口との間をシールするウェザーストリップの形状や大きさ、硬度などが寄与している。
【0039】
また例えば右側ドア20が閉じられる際には、右側ドアスピーカ21から最も大きな音圧レベルの音が出力される一方、その他のスピーカ12,13,31からは右側ドアスピーカ21から出力される音よりも小さい音圧レベルの音が補助的に出力される。
【0040】
一方、上記ステップS5において肯定判断された場合(「YES」)には、ドア20(30)が全閉となる直前であるとして、ステップS4において設定された出力態様にてアンプ14,15,22,32に対してそれぞれ指令信号が出力される。これにより、当該スピーカ12,13,21,31がそれぞれ駆動される。
【0041】
次に、本実施形態の作用について説明する。
電子制御装置50によりアンプ14,15,22,32を介してスピーカ12,13,21,31が駆動されることにより、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様がドア20(30)の開閉時における車両状態に応じて可変される。このため、そのときどきの車両状態が反映された音がドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0042】
例えば、右側ドア20が閉じられる際に、右側ドア20の閉じ動作に伴い所定の位置においては
図4に実線にて示すような特性の機構音が生じる。このとき、機構音の音圧レベルは、低周波数側(低音側)の周波数f2と、高周波数側(高音側)の周波数f5とにおいてそれぞれ極大となり、周波数f4において極小となる。
【0043】
こうした特性の機構音に対してスピーカ12,13,21,31から出力される音が合成されることで、同図に破線にて示すような特性の合成音が生じる。このとき、合成音の音圧レベルは、低周波数側の周波数f1(<f2)と、高周波数側の周波数f5とにおいてそれぞれ極大となり、周波数f3(<f4)において極小となる。
【0044】
このように機構音の音圧レベルの極大値及び極小値に対して合成音の音圧レベルの極大値及び極小値が変化される。
以上説明した本実施形態に係る車両の音響装置によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
【0045】
(1)車両の音響装置は、車両10のドア20(30)が開閉される際に、当該ドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音に合成させるべく車両10に設けられたスピーカ12,13,21,31から音を出力させる。音響装置は、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様を当該ドア20(30)の開閉時における車両状態に応じて可変させるべくスピーカ12,13,21,31を駆動する電子制御装置50を備えている。
【0046】
こうした構成によれば、上記作用を奏することにより、ドア20(30)が開閉される際に、現実に即した所望の合成音を生じさせることができる。
(2)電子制御装置50は、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様を当該ドア20(30)を開閉する際の車両10のドア20,30の状態に応じて可変させるべくスピーカ12,13,21,31を駆動する。
【0047】
ドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音は車両10のドア20,30の状態に応じて異なる。ここで、車両10のドア20,30の状態としては、ドア20(30)の開閉速度、ドア20(30)の開度、ドア20(30)の窓の開度などが挙げられる。また、ドア20(30)の状態は、当該ドア20(30)の状態及び当該ドア20(30)とは別のドア30(20)の状態の双方を含む。
【0048】
上記構成によれば、電子制御装置50によりスピーカ12,13,21,31が駆動されることにより、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様が車両10のドア20,30の状態に応じて可変される。このため、そのときどきのドア20,30の状態が反映された音がドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0049】
(3)電子制御装置50は、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様を当該ドア20(30)を開閉する際の当該ドア20(30)の開閉速度に応じて可変させるべくスピーカ12,13,21,31を駆動する。
【0050】
ドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音は、当該ドア20(30)の開閉速度に応じて異なる。例えばドア20(30)の開閉速度が大きいときには小さいときに比べて、機構音の音圧レベルは大きくなり、機構音の残響時間は短くなる。
【0051】
上記構成によれば、電子制御装置50によりスピーカ12,13,21,31が駆動されることにより、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様が当該ドア20(30)の開閉速度に応じて可変される。このため、そのときどきのドア20(30)の開閉速度が反映された音がドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0052】
(4)電子制御装置50は、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様を当該ドア20(30)を開閉する際の車両10の窓の開閉状態及び当該ドア20(30)とは別のドア30(20)の開閉状態の双方に応じて可変させるべくスピーカ12,13,21,31を駆動する。
【0053】
ドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音は車両10の窓の開閉状態や他のドア30(20)の開閉状態、換言すれば、車室内の密閉度に応じて異なる。
上記構成によれば、電子制御装置50によりスピーカ12,13,21,31が駆動されることにより、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様が車両10の窓の開閉状態及び他のドア30(20)の開閉状態の双方に応じて可変される。このため、そのときどきの車両10の窓の開閉状態や他のドア30(20)の開閉状態が反映された音がドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0054】
(5)電子制御装置50は、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様を当該ドア20(30)を開閉する際の外気温及び湿度の少なくとも一方に応じて可変させるべく前記スピーカを駆動する。
【0055】
ドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音は、外気温や湿度に応じて異なる。
上記構成によれば、電子制御装置50によりスピーカ12,13,21,31が駆動されることにより、スピーカ12,13,21,31から出力される音の出力態様が外気温及び湿度の双方に応じて可変される。このため、そのときどきの外気温や湿度が反映された音がドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0056】
<第2実施形態>
以下、
図5〜
図8を参照して、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、第1実施形態と対応する構成については「100」を加算した符号「1**」を付すことにより重複する説明を省略する。
【0057】
図5に示すように、車両110の車幅方向の両側部には、乗降口を開閉するスライド式のドア120,130がそれぞれ設けられている。ドア120,130は、車両本体111の両側部に設けられたレール(図示略)により車両の前後方向に沿ってスライド可能にそれぞれ支持されている。また、車両本体111の両側部には、ドア120,130を駆動するためのドアモータ123,133がそれぞれ設けられている。
【0058】
ドア120,130には、ユーザによるインサイドハンドル124,134及びアウトサイドハンドル125,135の操作の有無を検出するハンドルスイッチ126,136がそれぞれ設けられている。そして、ドア120,130が閉じた状態でインサイドハンドル124,134もしくはアウトサイドハンドル125,135の操作が行われたときには、ドア120,130が開き方向(図中の右方向)に移動するようドアモータ123,133がそれぞれ駆動される。また、ドア120,130が開いた状態でインサイドハンドル124,134もしくはアウトサイドハンドル125,135の操作が行われたときには、ドア120,130が閉じ方向(図中の左方向)に移動するようドアモータ123,133がそれぞれ駆動される。
【0059】
車両110には、ドア120,130の位置、すなわちドア120,130の開度を検出するドア開度センサ147,148が設けられている。なお、ドア開度センサ147,148は、ホールICなどにより構成されている。
【0060】
車両110には、車両の総走行距離を計測するオドメータ49が設けられている。
なお、本実施形態の車両本体111には、リアスピーカは設けられていない。
図6に示すように、電子制御装置150には、ハンドルスイッチ126,136の検出信号、カーテシスイッチ116,117の検出信号、ドア開度センサ147,148の検出信号、窓開度センサ145,146の検出信号、温度センサ41、湿度センサ42、及びオドメータ49の検出信号が入力される。
【0061】
電子制御装置150は、上述した各種のセンサ及びスイッチからの信号に基づき、ドア120,130を開閉するためのドアモータ123,133の駆動回路に指令信号を出力してドアモータ123,133を駆動制御する。
【0062】
また、電子制御装置150は、上述した各種のセンサ及びスイッチからの信号に基づき、アンプ122,132に対して指令信号を出力してスピーカ121,131を駆動することにより音を出力させる。
【0063】
次に、
図7を参照して、ドア開け時におけるアンプ122,132への指令信号の推移の一例について説明する。
図7に示すように、例えば右側ドア120が全閉とされているタイミングt1においてハンドルスイッチ126がタイミングt3までオン操作される(
図7(a))。これにより、その後のタイミングt4において右側ドアモータ123の駆動が開始されることにより(
図7(b))、右側ドア120が開き方向に駆動される(
図7(c))。そして、タイミングt6において右側ドア120が全開となることで右側ドアモータ123の駆動が停止される。
【0064】
本実施形態においては、右側ドア120のロックが解除される際に生じる機構音に合成されるロック解除音を右側ドアスピーカ121から出力するべく、タイミングt1からタイミングt2まで右側ドアスピーカアンプ122に対して指令信号が出力される(
図7(d))。
【0065】
また、右側ドア120の移動に伴い生じる機構音に合成される移動音を右側ドアスピーカ121から出力するべく、タイミングt2から、右側ドア120が全開となるタイミングt6の直前のタイミングt5まで右側ドアスピーカアンプ122に対して指令信号が出力される(
図7(d))。
【0066】
また、右側ドア120が全開となる際に生じる機構音に合成される全開完了音を右側ドアスピーカ121から出力すべく、タイミングt5からタイミングt7まで右側ドアスピーカアンプ122に対して指令信号が出力される(
図7(d))。
【0067】
次に、
図8を参照して、ドア閉じ時におけるアンプ122,132への指令信号の推移の一例について説明する。
図8に示すように、例えば右側ドア120が全開とされているタイミングt1においてハンドルスイッチ126がタイミングt2までオン操作される(
図8(a))。これにより、その後のタイミングt3において右側ドアモータ123の駆動が開始されることにより(
図8(b))、右側ドア120が閉じ方向に駆動される(
図8(c))。そして、タイミングt5において右側ドア120が全閉となることで右側ドアモータ123の駆動が停止される。
【0068】
本実施形態においては、右側ドア120の閉じ方向への移動が開始されるのに先立ち、閉じ開始音を右側ドアスピーカ121から出力するべく、タイミングt1からタイミングt2まで右側ドアスピーカアンプ122に対して指令信号が出力される(
図8(d))。
【0069】
また、右側ドア120の移動に伴い生じる機構音に合成される移動音を右側ドアスピーカ121から出力するべく、タイミングt2から、右側ドア120が全閉となるタイミングt5の直前のタイミングt4まで右側ドアスピーカアンプ122に対して指令信号が出力される(
図8(d))。
【0070】
また、右側ドア120が全閉となる際に生じる機構音に合成される全閉完了音を右側ドアスピーカ121から出力すべく、タイミングt4からタイミングt6まで右側ドアスピーカアンプ122に対して指令信号が出力される(
図8(d))。
【0071】
車両110の総走行距離にかかわらず合成音の特性が同一となるように、ロック解除音、ドア移動音、全開完了音、及び全閉完了音の出力態様が車両110の総走行距離に応じてそれぞれ可変設定される。
【0072】
以上説明した本実施形態に係る車両の音響装置によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(6)電子制御装置150は、スピーカ121,131から出力される音の出力態様を当該ドア120(130)を開閉する際の車両110の総走行距離に応じて可変させるべくスピーカ121,131を駆動する。
【0073】
ドア120(130)の開閉に伴い生じる機構音は、ドア120(130)を含む車両110の剛性に応じて異なる。また、車両の総走行距離が長くなるほど、車両110の剛性は低くなる。
【0074】
上記構成によれば、電子制御装置150によりスピーカ121,131が駆動されることにより、スピーカ121,131から出力される音の出力態様が車両110の総走行距離に応じて可変される。このため、車両110の総走行距離が反映された音がドア120(130)の開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。したがって、車両110の総走行距離にかかわらず合成音の特性を同一にすることができる。
【0075】
<変形例>
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・当該車両10とは異なる種類の車両における機構音を再現すべく、スピーカから出力される音の出力態様を設定するようにしてもよい。この場合、音の出力態様を設定するためのパラメータとして、ドアの形状、ウェザーストリップの硬度、ドアの質量、ドアの材質、ヒンジの構造などを用いることが好ましい。
【0076】
・上記各実施形態において、温度センサ41及び湿度センサ42の少なくとも一方を省略することもできる。
・第1実施形態の回転角センサ43,44に代えて、あるいは加えてドア20,30が開閉される際の加速度を検出する加速度センサを設けることもできる。この場合、加速度センサの検出信号に基づいてドア20,30の開閉速度を算出することができる。また、加速度センサの検出信号に応じてスピーカから出力される音の出力態様を可変させることもできる。
【0077】
・第1実施形態において、ドア20(30)が閉じられる際に、当該ドア20(30)のドアスピーカ21(31)のみから音を出力させることもできる。
・第1実施形態において、ドア20(30)開け時にスピーカ12,13,21,31から音を出力させるようにしてもよい。
【0078】
・電子制御装置50により、スピーカから出力される音の出力態様を当該ドア20(30)を閉じ始める際の当該ドア20(30)の開度に応じて可変させるべくスピーカを駆動することもできる。
【0079】
ドア20(30)を閉じるに生じる機構音は、当該ドア20(30)を閉じ始める際の当該ドア20(30)の開度に応じて異なる。例えばドア20(30)の開度が大きいときには小さいときに比べて、機構音の音圧レベルは大きくなり、機構音の残響時間は短くなる。
【0080】
したがって、上記構成によれば、電子制御装置50によりスピーカが駆動されることにより、スピーカから出力される音の出力態様が当該ドア20(30)を閉じ始める際の当該ドア20(30)の開度に応じて可変される。このため、そのときどきの閉じ始めのドア20(30)の開度が反映された音がドア20(30)の開閉に伴い生じる機構音に合成されるようになる。
【0081】
・本発明を車両のバックドアが開閉される際に適用することもできる。