特許第6551197号(P6551197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551197
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ロードポート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20190722BHJP
   B65G 49/00 20060101ALI20190722BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/00 A
   H01L21/68 L
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-233485(P2015-233485)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-103286(P2017-103286A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森鼻 俊光
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐貴
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−181655(JP,A)
【文献】 特開2004−088017(JP,A)
【文献】 特表2003−504887(JP,A)
【文献】 特開2006−222310(JP,A)
【文献】 特開2005−197431(JP,A)
【文献】 特開2012−146870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/00
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送空間を区画する隔壁の一部を構成し、被処理物を前記搬送空間に出し入れするためのベース開口部を有する立設配置されるベースと、
前記ベースの前記搬送空間の側とは反対側に設けられ、複数の前記被処理物を収容する容器が載置される載置台と、
前記ベース開口部の開閉を行うドアと、
前記載置台の上に載置された前記容器を覆う開閉可能な容器カバーと、
を備えるロードポートにおいて、
前記容器カバーは、分割された形態の複数の分割容器カバーで構成されており、
前記複数の分割容器カバーは、前記載置台の上方、および前記載置台の下方スペースに退避可能に構成されていることを特徴とする、ロードポート。
【請求項2】
請求項1に記載のロードポートにおいて、
前記複数の分割容器カバーは、
前記載置台の前方側を覆うとともに、開の状態にされたとき、前記載置台の下方スペースに退避する、昇降移動する第1容器カバーと、
前記第1容器カバーの上に載せられて前記載置台の上方側を覆うとともに、前記開の状態にされたとき、前記載置台の上方に退避する、回動動作する第2容器カバーと、
を有することを特徴とする、ロードポート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロードポートにおいて、
前記複数の分割容器カバーを動作させる駆動装置が、前記複数の分割容器カバーのそれぞれに設けられていることを特徴とする、ロードポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハなどの被処理物を搬送空間に出し入れするために、当該被処理物を収容する容器が載置されるロードポートに関する。
【背景技術】
【0002】
上記した容器には、FOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる開閉可能な蓋を備える密閉型の容器や、オープンカセットと呼ばれる開放型の容器がある。これら容器の内側には複数段の棚板が設けられており、ウエハなどの複数の被処理物は、上下方向に一定の間隔をあけて水平姿勢でその容器の中に収容される。
【0003】
ここで、異なるサイズのウエハ(異なるサイズの容器)のいずれにも対応できるロードポートとして、例えば特許文献1に記載のロードポートがある。特許文献1の中に記載されているように、一般に、300mmウエハには、密閉型の容器であるFOUPが用いられ、200mmウエハには、開放型の容器であるオープンカセットが用いられる。特許文献1の段落0031に記載されているように、200mmウエハ用の容器であるオープンカセットを用いる場合、載置台の上に載置された200mmウエハを収容するオープンカセットの全体をキャリアカバーで覆う。このキャリアカバーは、載置台の少し下の回動支点を中心にして回動するように構成されており、ロードポートが作動していないとき、および300mmウエハ用のFOUPが載置されているときは、その全てが載置台の下方に退避させられる。
【0004】
上記したキャリアカバーに関する技術として、特許文献2に記載のものもある。特許文献2に記載のカセットカバー部材も、特許文献1に記載のキャリアカバーと同様、使用しないときは、その全てが載置台の下方に退避させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4474922号公報
【特許文献2】特開2003−249535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば特許第5796279号公報に記載されているように、ロードポートの載置台の下方には、ロードポートのドア昇降機構、マッピングセンサの昇降機構などの機械機構や、これらを動作させるための制御盤、ケーブルなどの電気機器が収納される。
【0007】
特許文献1,2に記載されているようなロードポートの載置台の下方にその全てを退避させるタイプのカバーによると、上記した機械機構および電気機器の収容スペースを確保しにくい。収容スペースを確保できたとしても、その収容スペースが複雑なものとなる。
【0008】
上記した機械機構および電気機器の収容スペースとして、ロードポートのベースの背面側を利用することも考えられるが、この背面側には、昇降するドアの昇降空間などを確保する必要があったり、半導体の製造機器メーカー、材料メーカーなどを構成員とする国際的な業界団体であるSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)により策定されたSEMI規格(Semiconductor Equipment and Materials International Standard)を遵守する場合は収容スペースがベースの背面から100mm(300mmウエハの場合)という制約があったりと、必要な収容スペースを確保することは困難である。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロードポートに必要な機械機構、および電気機器の収容スペースをロードポートの載置台の下方に確保しやすいロードポートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るロードポートは、搬送空間を区画する隔壁の一部を構成し、被処理物を前記搬送空間に出し入れするためのベース開口部を有する立設配置されるベースと、前記ベースの前記搬送空間の側とは反対側に設けられ、複数の前記被処理物を収容する容器が載置される載置台と、前記ベース開口部の開閉を行うドアと、前記載置台の上に載置された前記容器を覆う開閉可能な容器カバーと、を備える。前記容器カバーは、分割された形態の複数の分割容器カバーで構成されており、前記複数の分割容器カバーは、前記載置台の上方、および前記載置台の下方スペースに退避可能に構成されている。
【0011】
この構成によると、容器を覆う開閉可能な容器カバーを、分割された形態の複数の分割容器カバーとすることで、カバーの配置、およびカバー形状の自由度が高くなる。これらの複数の分割容器カバーを、載置台の下方ではなく、載置台の上方や、載置台の下方スペースに退避させるので、開閉可能な容器カバーの全てを載置台の下方スペースに退避させる場合に比べて、ロードポートに必要な機械機構、および電気機器の収容スペースをロードポートの載置台の下方に確保しやすい。
【0012】
また本発明において、前記複数の分割容器カバーは、前記載置台の前方側を覆うとともに、開の状態にされたとき、前記載置台の下方スペースに退避する、昇降移動する第1容器カバーと、前記第1容器カバーの上に載せられて前記載置台の上方側を覆うとともに、前記開の状態にされたとき、前記載置台の上方に退避する、回動動作する第2容器カバーと、を有することが好ましい。
【0013】
この構成によると、特に、載置台の下方スペースに退避する分割容器カバーを昇降移動する構成としたことで、ロードポートに必要な機械機構、および電気機器の収容スペースをロードポートの載置台の下方により確保しやすい。
【0014】
さらに本発明において、前記複数の分割容器カバーを動作させる駆動装置が、前記複数の分割容器カバーのそれぞれに設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によると、分割容器カバーを自動で開閉することができる。これにより、容器の搬送方法や、容器の種類によって、必要な分割容器カバーのみを自動で開けたり、必要最低限の範囲で分割容器カバーを自動で開けたりなどの制御が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ロードポートに必要な機械機構、および電気機器の収容スペースをロードポートの載置台の下方に確保しやすいロードポートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るロードポートを含む、半導体の製造に用いられる装置全体の概略平面図である。
図2図1に示すロードポートの斜視図である。
図3図2(b)に示すロードポートを上方からみた平面図である。
図4】ロードポートの載置台の上に載せるアダプタおよびカセットを示す斜視図である。
図5】ロードポートの載置台の上に載せるアダプタおよびカセットを示す斜視図である。
図6図2に示すロードポートにおいて、外カバー、ベース、および第2容器カバーを外した、ロードポートの内部構造を示す斜視図である(第1容器カバーは下がった状態)。
図7図2に示すロードポートにおいて、外カバー、ベース、および第2容器カバーを外した、ロードポートの内部構造を示す斜視図である(第1容器カバーは上がった状態)。
図8図7に示すロードポートの上部を示す斜視図である(第2容器カバーは取り付けられた状態)。
図9図8の右側面図である。
図10図8の左側面図である。
図11】マッピングセンサの斜視図である。
図12】開閉可能な容器カバーの変形例を示す斜視図である。
図13】開閉可能な容器カバーの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(ロードポートを含む装置全体の構成)
図1に示す装置は、半導体の製造に用いられる装置であって、複数のロードポート1(本実施形態では3つ)と、搬送室2と、処理装置3とで構成される。ロードポート1は、ウエハ(Wafer)などの被処理物を、搬送室2の中の空間(搬送空間S)に出し入れするために、当該被処理物を収容する容器(例えば、カセット51,52(図4,5参照))が載置される装置である。なお、ウエハは、ウエハのみが(ウエハが直接)容器に収容される場合もあるし、FFC(Film Flame Carrier)やフープリング(Hoop Ring)の上面(または下面)に貼ったテープに貼られた状態で容器に収容される場合もある。以下で単に「FFC」と言う場合は、FFC(Film Flame Carrier)の上面(または下面)に貼ったテープにウエハが貼られた状態のFFCのことを指す。
【0020】
搬送室2の中には搬送ロボット22が配置されており、この搬送ロボット22によって、ロードポート1と処理装置3との間で被処理物の受け渡しが行われる。搬送ロボット22は、ロードポート1に載置された容器の中から被処理物を取り出し、搬送空間Sを経由して被処理物を処理装置3に供給する。なお、搬送空間Sは、搬送室2を構成する外壁である隔壁21でその側方を区画される空間である。
【0021】
ロードポート1は、制御装置4によってその動作が制御される。なお、制御装置4は、ロードポート1だけでなく搬送ロボット22などの搬送室2内の機器も制御するものである場合もある。図1における制御装置4の図示は、ロードポート1が制御装置4で制御されるということを示すための図示であり、制御装置4の配置位置を示すものではない。ロードポート1の中(載置台11(図2等参照)の下方の空間)に制御装置4が組み込まれる場合もあるし、搬送ロボット22などの制御も含む制御装置が搬送室2の中に配置される場合もある。
【0022】
なお、搬送室2(搬送空間S)から見てロードポート1が接続される側の向きを前方、その反対方向を後方と定義し、さらに、前後方向および鉛直方向に直交する方向を側方と定義し、それを図1中に示した。図2以降の図中に示す前方、後方、側方は、図1中に示す前方、後方、側方と一致する。
【0023】
(ロードポートの構成)
図2図11を参照しつつ、ロードポート1の構成を説明する。図2に示すように、ロードポート1は、搬送空間Sを区画する隔壁21の一部を構成する板形状のベース10を有する。ベース10は立設配置され、このベース10には、被処理物を搬送空間Sに出し入れするための開口としてのベース開口部10a(図2(b)参照)が設けられている。搬送空間Sをクリーンな状態に保つため、通常時、ベース開口部10aはドア12で閉じられている。
【0024】
ベース10の搬送空間Sの側とは反対側、すなわちベース10の前方には、複数の被処理物を収容する容器が載置される載置台11が設けられる。
【0025】
被処理物を収容する容器の一例を図4,5に示している。図4,5に示すカセット51,52は、それぞれ、複数のFFCを収容する容器であり、図4に示すカセット51は、図5に示すカセット52よりも小径のFFCを収容する容器である。図4,5にはそれぞれ1つのFFCしか示していないが、カセット51,52には、それぞれ、複数のFFCが、上下方向に一定の間隔をあけて水平姿勢でカセット51,52の中に収容される。カセット51,52は、載置台11の上に載置された状態における後方(搬送空間Sの側)、および前方(その反対側)に、それぞれ、開口部51a,52a、開口部51b,52bを有する。
【0026】
ここで、カセット51,52は、カセット51,52に共通のFFC用アダプタ20を介して載置台11の上に載せられる。FFC用アダプタ20は、光学式のカセットサイズ検知センサ42(42a、42b)を有する。2組のセンサからなるカセットサイズ検知センサ42は、カセット51,52のうちのどちらのカセットがFFC用アダプタ20の上に載置されているかを検知するためのセンサである。内側のカセットサイズ検知センサ42aがオンしているが(遮光状態)、外側のカセットサイズ検知センサ42bがオンしていない場合(投光状態)は、FFC用アダプタ20の上に載置されているのは小さい方のカセット51ということになる(図4)。これに対して、カセットサイズ検知センサ42a、42bの両方がオンしている場合は、FFC用アダプタ20の上に載置されているのは大きい方のカセット52ということになる(図5)。なお、当然ではあるが、カセットサイズ検知センサ42a、42bの両方がオンしていない場合は、FFC用アダプタ20の上にカセットが載置されていないということである。
【0027】
カセットのサイズと、FFCのサイズとは一対一の関係にあるため、カセットのサイズが検知されることは、FFCのサイズが検知されることでもある。すなわち、カセットサイズ検知センサ42により、FFCのサイズが検知される。
【0028】
FFC用アダプタ20に設けられたコネクタ20aには、カセットサイズ検知センサ42(42a、42b)がケーブル等で接続されており、カセットサイズ検知センサ42(42a、42b)からの信号は、コネクタ20a部分を経由して制御装置4に送られる。すなわち、FFCのサイズ情報は、FFC用アダプタ20から制御装置4へ送られる。
【0029】
<マッピングセンサ>
カセット51,52に収容された複数のFFCをマッピングするマッピングセンサ30をロードポート1は備えている。図2(b)、図3に示されているように、マッピングセンサ30は、ベース10の搬送空間Sの側とは反対側、すなわちベース10の前方に配置される。マッピングセンサ30は光学式のセンサである。なお、光学式のセンサは、レーザー光式のセンサを含む。
【0030】
図11に示したように、マッピングセンサ30は、センサ部31、およびセンサ部31を昇降させる昇降部32を有する。
【0031】
センサ部31は、平面視でコ字形状のセンサ支持部材34の両端先端部分に発光素子部33aおよび受光素子部33bがそれぞれ取り付けられてなるものである。1組の発光素子部33aと受光素子部33bとでセンサ33を構成する。発光素子部33aおよび受光素子部33bにはケーブル35が接続されており、センサ33からの信号は、ケーブル35を介して制御装置4に送られる。図11中に示すケーブルベア(登録商標)39は、センサ33用のケーブルベアである。
【0032】
昇降部32は、センサ支持部材34の中央部に端部が固定されたセンサ部支持部材36と、センサ部支持部材36を昇降させるためのボールネジ37と、ボールネジ37を回転させるモータ38とを有する。
【0033】
図3に示したように、発光素子部33aおよび受光素子部33bは、載置台11の前方および後方にそれぞれ配置される。すなわち、カセット51またはカセット52がFFC用アダプタ20を介して載置台11の上に載置された状態において、カセット51,52の外であって、且つカセット51,52に収容された複数のFFCを平面視において間に挟む位置に、発光素子部33aおよび受光素子部33bは配置される。
【0034】
<カバー>
図2に示すように、前記した載置台11、マッピングセンサ30は、ロードポート1の外カバー13(固定カバー)の中に収容される。本実施形態では、外カバー13のうちの前面側カバーは、カバー13a,13b,13cで構成され、側面側カバーは、左右一対のカバー13d,13eで構成される。ロードポート1の背面側は、ベース10がカバーの役割を果たす。なお、ロードポート1の底部にはキャスター14が取り付けられており、これにより、ロードポート1は容易に移動させることができるようになっている。
【0035】
<開閉可能な容器カバー>
さらに、本実施形態のロードポート1は、FFC用アダプタ20を介して載置台11の上に載置されたカセット51,52、および上下動するセンサ部31を有するマッピングセンサ30の全体を覆う開閉可能な容器カバー15,16を備えている。
【0036】
容器カバー15と容器カバー16とで、開閉可能な1つの容器カバーを構成する。すなわち、容器カバー15,16は、分割された形態の複数の分割容器カバーの一例である。
【0037】
第1容器カバー15は、前面側カバー15aおよび左右一対の側面側カバー15bで構成された平面視コ字形状のカバーであり、図6,7に示す駆動装置としてのエアシリンダー61で制御装置4からの指令により上下動(昇降移動)するようになっている。
【0038】
エアシリンダー61は、左右一対の側面側カバー15bの下に、それぞれ1本ずつ配置され、その上端(シリンダロッド61a)は側面側カバー15bの下に取り付けられ、下端部(シリンダ本体61b)はロードポート1のフレームに取り付けられている。
【0039】
また、後述する内カバー19(19a、19b)の外面には上下方向に直線状に延びるガイドレール62が設けられており、第1容器カバー15はこのガイドレール62に沿って上下動する。
【0040】
シリンダ本体61bは、その内部に、不図示の圧力室を二つ備える。そして、圧力室の一方にエアーを供給すると、シリンダロッド61aが延びて、これにより、第1容器カバー15は上昇する。また、圧力室の他方にエアーを供給すると、シリンダロッド61bが縮んで第1容器カバー15は下降する。このように、シリンダ本体61b内の圧力を調整することで、第1容器カバー15を昇降移動させている。第1容器カバー15の下方には、ショックアブソーバー63、および弾性ストッパ64(例えばゴム板)が配置されており、第1容器カバー15の落下の衝撃が吸収されるようになっている。なお、二つの圧力室は、一方にエアーが供給されると、他方の圧力室内のエアーが排気される仕組みになっている。
【0041】
主として図8〜10を参照しつつ第2容器カバー16について説明する。第2容器カバー16は、カセット51(52)およびマッピングセンサ30の上方を覆う平板形状のカバーであり、上方へ進出した第1カバー15の上に載るようになっている。この第2容器カバー16は、制御装置4からの指令により、駆動装置としてのエアシリンダー17でヒンジ18を支点にして回動するようになっている。図2(b)、図3に示されているように、載置台11の両側方には固定の内カバー19(19a、19b)が設けられており、エアシリンダー17は、内カバー19bと外カバー13dとの間に配置されている。内カバー19aと内カバー19bとの間隔は、載置台11の上に載せされるカセット51,52などの容器と干渉しない間隔が確保されている。
【0042】
エアシリンダー17は、第2容器カバー16の一方の側端部の下に配置され、その上端(シリンダロッド17a)は第2容器カバー16の裏面に取り付けられ、下端部(シリンダ本体17b)はロードポート1のフレームに取り付けられている。
【0043】
また、第2容器カバー16の他方の側端部の下には安全装置としてショックアブソーバー65が配置されている。ショックアブソーバー65の上端は第2容器カバー16の裏面に取り付けられ、下端部はロードポート1のフレームに取り付けられている。このショックアブソーバー65は、第2容器カバー16を回動させる力(閉める方向)よりも弱い力で、第1カバー15を常時、上方へ付勢している。そして、このショックアブソーバー65の付勢力は、第2容器カバー16が予め設定された回動角度になったときの自重よりも高く設定されている。この回動角度は、10度から45度が好ましい。本実施形態では、回動角を15度に設定している。
【0044】
シリンダ本体17bは、その内部に、不図示の二つの圧力室を備える。さらに、シリンダ本体17bは、下端部を中心に回動可能に配置されている。シリンダ本体17bの圧力室の一方にエアーを供給すると、シリンダロッド17aが延びながら下端部を中心に回動し、シリンダ本体17bは、図7の直立した状態から図8の傾斜した状態に回動する。シリンダ本体17bがシリンダロッド17aを伸ばす力を、第2容器カバー16を上方へ回動する力に変換する。シリンダ本体17b内の他方の圧力室にエアーを供給すると、シリンダロッド17aが縮みながら、下端部を中心に逆方向に回動する。これにより、シリンダ本体17bがシリンダ本体17bを縮める力を、第2容器カバー16を下方へ回動する力に変換する。このように、シリンダ本体17b内の圧力を調整することで、シリンダロッド17aが昇降する力を利用して第2容器カバー16を回動させる。なお、二つの圧力室は、一方にエアーが供給されると、他方の圧力室内のエアーが排気される仕組みになっている。また、ショックアブソーバー65も、その下端部を中心に回動するように構成されている。
【0045】
ここで、なんらかの原因(エアシリンダー17のエア漏れなど)で、第2容器カバー16を回動させる駆動部となるエアシリンダー17が作動中に故障し、エアシリンダー17が作用しなくなった場合、回動角が15度以上の場合、ショックアブソーバー65の付勢力が第2容器カバー16の自重よりも大きいので、第2容器カバー16を退避位置に戻す。一方、回動角が15度未満の場合、ショックアブソーバー65の付勢力が第2容器カバー16の自重よりも小さいので、第2容器カバー16はゆっくりと倒れていく。
この結果、なんらかの原因でエアシリンダー17が故障したとしても、第2容器カバー16がショックアブソーバー65によって、退避位置に移動するか、ゆっくりと倒れていくので、第2容器カバー16が自重により勢いよく閉まることを防ぐことができる。
【0046】
ここで、図2からわかるように、外カバー13のうちの側面側カバーを構成する上側のカバー13dの上端部は、エアシリンダー17およびショックアブソーバー65が、外側方に露出しない高さ寸法とされている。エアシリンダー17、ショックアブソーバー65は可動部品であり、可動部品が外側方に露出しないので、安全性に優れる。
【0047】
また、可動部品であるエアシリンダー17およびショックアブソーバー65が、それぞれ、外カバー13dと内カバー19(19a、19b)との間に配置されているので、ロードポート1外部や、カセットがセットされる載置台11の上空間への、これら可動部品からのパーティクル(微小なゴミ)拡散を防止できる。
【0048】
(ロードポートの動作)
ロードポート1の動作(制御装置4によるロードポート1の制御)を説明する。ここでは、一例として、図4,5に示すFFC用アダプタ20がロードポート1の載置台11の上に取り付けられていることとする。最初、容器カバー15,16は開いた状態にあり、マッピングセンサ30のセンサ部31は、載置台11の高さレベル以下に下がった状態にある(待機状態、図2(b)参照)。また、載置台11は、図2(b)、図3に示す位置(=UNDOCK位置)に位置する。なお、説明を省略するが、FFC用アダプタ20がロードポート1の載置台11の上に取り付けられていることで、ロードポート1(制御装置4)は、処理対象がFFCであることを特定できている。以下に記載するロードポート1の各部の動きは、制御装置4からの指令によるものである。
【0049】
代表して、小さい方のカセット51に収容されたFFCの搬送空間Sへの供給について説明する。複数のFFCを収容する図4に示すカセット51が、FFC用アダプタ20の上に載せられると、第1容器カバー15を上昇させるとともに、第2容器カバー16を倒すことで、容器カバー15,16を閉じる(カセット51およびマッピングセンサ30を容器カバー15,16で覆う)。FFC用アダプタ20に設けられたカセットサイズ検知センサ42により、カセット51のサイズが検出され、これにより、処理対象のFFCのサイズが特定される。制御装置4は、カセット51のサイズに応じたマッピングパラメータ、すなわち、FFCのサイズに応じたマッピングパラメータを自動選定する。その後、マッピングセンサ30のセンサ部31を上昇させつつ、カセット51の中に多段で収容されたFFCのマッピングを行う(容器カバー15,16で覆われた空間内でマッピングセンサが動く)。なお、マッピングとは、カセット51内に収容されたFFCの各段毎での有無や、傾きなどの収容状態を検出する(チェックする)ことである。カセット51の開口部を通過するように発光素子部33aから受光素子部33bへ光を照射すると、FFCが存在する場合はFFCで遮光されるので、これによりFFCの存在が検知される。一方、FFCが存在しない場合は照射された光が受光素子部33bへ到達するので、これによりFFCが存在しないことが検知される。マッピングが終わったら、マッピングセンサ30のセンサ部31を載置台11の高さレベル以下にまで下げる。
【0050】
マッピング結果、正常と判断されると、搬送室2の搬送空間Sとの間を仕切るドア12を開けるとともに(ドア12は下方へ動く)、載置台11をドア12側へ所定の距離だけ水平移動させる(DOCK位置まで移動させる)。カセット51内のFFCは、搬送ロボット22(図1参照)によって、ベース開口部10aから搬送空間Sに入れられる。
【0051】
全てのFFCの搬送空間Sへの取り込みが完了すると、ドア12を閉じる(ドア12は上方へ動く)とともに、載置台11をUNDOCK位置まで移動させる。その後、容器カバー15,16を開く。空のカセット51は、図示しない搬送手段で、ロードポート1から取り出される。第1容器カバー15は、その直下へ下降して、載置台11の下方スペースの隅である外カバー13の内側に退避する。第2容器カバー16は、上方へ回動して、載置台11の上方に退避する。
【0052】
一方、マッピング結果、エラーと判断されると、ドア12を開くことなく、カバー15,16を開く。FFCを収容するカセット51は、図示しない搬送手段で、ロードポート1から取り出される。
【0053】
ここで、第1容器カバー15、第2容器カバー16というように、本発明では、容器を覆うカバーを分割された形態の複数の分割容器カバーで構成している。これにより、カバーの配置、およびカバー形状の自由度が高くなり、結果として、カバーの容積を大きくすることができる。そのため、本実施形態のロードポート1のように、容器とマッピングセンサとをまとめて覆うことができる。
【0054】
また、第1容器カバー15は、上下動(昇降移動)する構成であり、且つ、第2容器カバー16は、外カバー13よりも前方にはみだして回動することはないので、第1容器カバー15および第2容器カバー16の動作過程において、当該第1容器カバー15および第2容器カバー16が外カバー13よりも前方に出てしまうことはない。よって、容器カバーがロードポート1前方を移動する作業者の邪魔になることはない。
【0055】
さらには、容器カバー15,16が閉じた状態でマッピングするので、装置外部からの光がマッピングセンサ30のセンサ部31に侵入しにくく、これによりセンサ精度(マッピング精度)が向上する。
【0056】
(変形例)
載置台11の上に載置された容器を覆う開閉可能な容器カバーの変形例を図12,13に示している。図12に示す開閉可能な容器カバーは、回動動作する容器カバー66と、昇降移動する1組の容器カバー67とで構成される。容器カバー66は、側面視L字形状のカバーであり、載置台11の上方の回動軸まわりに回動する。容器カバー66は、載置台11の前方側および上方側を覆う。容器カバー67は、平板形状のカバーであり、載置台11の側方側を覆う。
【0057】
図13に示す開閉可能な容器カバーは、回動動作する1組の容器カバー68と、昇降移動する容器カバー69とで構成される。容器カバー68は、平板形状のカバーであり、載置台11の上方の回動軸まわりに回動する。容器カバー68は、載置台11の上方側を覆う。容器カバー69は、平板形状のカバーであり、載置台11の前方側を覆う。なお、符号70で示すのは立設配置された固定カバーである。
【0058】
被処理物は、ウエハのような半導体基板以外に、ガラス基板(液晶パネル、有機/無機EL等のディスプレイ用基板)、細胞等を内部に収容可能なプレートやシャーレなどを挙げることができる。
【0059】
上記実施形態では、第1カバー15と第2カバー16とを、同時に退避させているが、これに限定されない。例えば、OHT(Overhead Hoist Transfer)のような天井走行式無人搬送車により容器がロードポートの載置台に搬送される場合、第2カバー16のみを退避位置に移動させてもよい。
また、AGV(Automated Guided Vehicle)のような床上走行式無人搬送車により容器をロードポートに載置する場合、第1カバー15のみを退避位置に移動させてもよい。
なお、第1カバー15の駆動部および第2カバー16の駆動部の制御は、制御装置4が上位コンピュータの指令を受けて動作させる。例えば、OHTにより搬送されている容器がロードポートに近づいた場合、予め第2カバー16のみを退避位置に移動させておき、OHTで上方から載置台に容器を載置可能にスタンバイさせておけばよい。
【0060】
エアシリンダー17に代えて、第2カバー16を回転軸に連結して、この回転軸をモータによって回転させることで、第2カバー16を退避位置に退避してもよい。
【0061】
エアシリンダー61に代えて、ボールネジと、ボールネジを回転させるモータとを有する駆動装置を用いてもよい。さらには、エアシリンダー61に代えて、油圧シリンダーを用いてもよい(エアシリンダー17についても同様)。
【0062】
ショックアブソーバー65に代えて、ガススプリングを用いてもよい。前記した実施形態では、1本のエアシリンダー17で第2容器カバー16を回動させているが、第2容器カバー16の両側端部にエアシリンダー17を配置して、2本のエアシリンダー17で第2容器カバー16を回動させてもよい。
【0063】
前記した実施形態では、ロードポートの載置台の上にアダプタを介して容器(カセット)を載置しているが、載置台の上に直接、容器を載置するロードポートであってもよい。
【0064】
前記したロードポートにFOUPを載置する場合、ドア12は、容器に対する蓋体の固定及び固定の解除を行って前記容器から前記蓋体の取外し及び取付けを可能に構成しておくとよい。具体的には、容器に対する蓋体の固定および固定の解除は、ドア12にラッチキーを設け、ラッチキーを蓋の鍵穴に挿入した後、ラッチキーを回動することで蓋体を容器から着脱可能にする。蓋体の取外し及び取付けは、ドア12に吸着部を設け、ドア12で蓋体を吸着して保持した状態で、載置台11またはドア12のうち一方を水平方向に移動させることで、容器に対する蓋体の取外しおよび取付けが可能になる。
【0065】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【0066】
第1カバー15のうちの例えば前面側カバー15aを透明部材で構成しておいてもよい。このようにすると、第1カバー15を閉じた状態でもカバー内部を目視できるので、マッピングセンサ30の動作や搬送ロボット22がウエハを取り出している状況を確認できる。
【符号の説明】
【0067】
1:ロードポート
2:搬送室
3:処理装置
4:制御装置
10:ベース
10a:ベース開口部
11:載置台
12:ドア
15:第1容器カバー(分割容器カバー)
16:第2容器カバー(分割容器カバー)
17:エアシリンダー(駆動装置)
21:隔壁
30:マッピングセンサ
51、52:カセット(容器)
61:エアシリンダー(駆動装置)
S:搬送空間
図1
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図13