(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されると、前記コントローラー(100)は、前記エンジン(40)の回転数が増大し、前記駆動力が前記苗載せ台移動装置(310)へ伝達されるように、前記主変速装置(50)の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
前記端寄せ指示部材(300)に前記端寄せを指示させる端寄せレバー位置、または車体(10)を走行させる走行レバー位置を選択できる副変速レバー(320)を備え、
前記端寄せレバー位置が前記副変速レバー(320)によって選択されると、所定のロック解除条件が満足されるまでは、前記副変速レバー(320)は前記走行レバー位置を選択できないようにロックされることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の苗移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述された従来の田植機などの苗移植機においては、熟練していない作業者は操作に戸惑ってしまい簡単に端寄せを行うことがしばしばできなかった。
【0008】
本発明は、前述された従来の課題を考慮し、熟練していない作業者であっても操作に戸惑うことなくより簡単に端寄せを行うことが可能な苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、エンジン(40)から主変速装置(50)を介して伝達される駆動力を利用して、苗載せ台(110)を左右方向に往復移動させる苗載せ台移動装置(310)と、
前記苗載せ台(110)を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せを指示する端寄せ指示部材(300)と、
コントローラー(100)と、
前記苗載せ台(110)が前記左側または前記右側の端に寄せられると、オンされる端寄せ検出スイッチ(311)と、
前記エンジン(40)を緊急時に停止させるための配線を有するエンジン緊急停止配線回路(41)と、
を備え、
前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されると、前記コントローラー(100)は、前記苗載せ台(110)が前記エンジン(40)から前記主変速装置(50)を介して伝達される前記駆動力を利用して移動させられるように、前記主変速装置(50)の制御を行
い、
前記エンジン緊急停止配線回路(41)は、前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されているとき、前記端寄せ検出スイッチ(311)がオンされると、前記コントローラー(100)が前記エンジン(40)を停止させるための制御を行わなくても、前記エンジン(40)を強制的に停止させることを特徴とする苗移植機である。
【0010】
第2の本発明は、前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されると、前記コントローラー(100)は、前記エンジン(40)の回転数が増大し、前記駆動力が前記苗載せ台移動装置(310)へ伝達されるように、前記主変速装置(50)の制御を行うことを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
【0011】
第3の本発明は、前記エンジン(40)から前記主変速装置(50)を介して伝達される前記駆動力を利用して苗植付けを行う複数の苗植付装置(121)と、
前記複数の苗植付装置(121)へ伝達される前記駆動力を選択的にオンオフする苗植付装置クラッチ機構(250a)と、
を備え、
前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されると、前記コントローラー(100)は、前記複数の苗植付装置(121)へ伝達される前記駆動力がオフされるように、前記苗植付装置クラッチ機構(250a)の制御を行うことを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
【0012】
第4の本発明は、前記エンジン(40)から前記主変速装置(50)を介して伝達される前記駆動力を利用して施肥を行う複数の施肥装置(161)と、
前記複数の施肥装置(161)へ伝達される前記駆動力を選択的にオンオフする施肥装置クラッチ機構(250b)と、
を備え、
前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されると、前記コントローラー(100)は、前記複数の施肥装置(161)へ伝達される前記駆動力がオフされるように、前記施肥装置クラッチ機構(250b)の制御を行うことを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
【0013】
第5の本発明は、
エンジン(40)から主変速装置(50)を介して伝達される駆動力を利用して、苗載せ台(110)を左右方向に往復移動させる苗載せ台移動装置(310)と、
前記苗載せ台(110)を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せを指示する端寄せ指示部材(300)と、
コントローラー(100)と、
前記端寄せ指示部材(300)に前記端寄せを指示させる端寄せレバー位置、または車体(10)を走行させる走行レバー位置を選択できる副変速レバー(320)と、
を備え、
前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されると、前記コントローラー(100)は、前記苗載せ台(110)が前記エンジン(40)から前記主変速装置(50)を介して伝達される前記駆動力を利用して移動させられるように、前記主変速装置(50)の制御を行い、
前記端寄せレバー位置が前記副変速レバー(320)によって選択されると、所定のロック解除条件が満足されるまでは、前記副変速レバー(320)は前記走行レバー位置を選択できないようにロックされることを特徴とする苗移植機である。
【0014】
第6の本発明は、前記端寄せ指示部材(300)に前記端寄せを指示させる端寄せレバー位置、または車体(10)を走行させる走行レバー位置を選択できる副変速レバー(320)を備え、
前記端寄せレバー位置が前記副変速レバー(320)によって選択されると、所定のロック解除条件が満足されるまでは、前記副変速レバー(320)は前記走行レバー位置を選択できないようにロックされることを特徴とする第1から第
4の何れかの本発明の苗移植機である。
【0015】
第7の本発明は、前記エンジン(40)から前記主変速装置(50)を介して伝達される前記駆動力を利用して苗植付けを行う苗植付装置(121)を有する苗植付部(120)と、
前記苗植付部(120)を、車体(10)に対して、上下方向に昇降させる苗植付部昇降機構(210)と、
前記苗植付部昇降機構(210)を利用して、前記苗植付部(120)を昇降させずに停止させる停止レバー位置を選択できる苗植付部昇降レバー(330)と、
を備え、
前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されても、前記停止レバー位置が前記苗植付部昇降レバー(330)によって選択されていなければ、前記コントローラー(100)は前記端寄せを実行するための制御を行わないことを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
【0016】
第8の本発明は、車体(10)を走行させない中立レバー位置を選択できる副変速レバー(320)を備え、
前記端寄せ指示部材(300)は、前記副変速レバー(320)とは独立して設けられており、
前記端寄せが前記端寄せ指示部材(300)によって指示されても、前記中立レバー位置が前記副変速レバー(320)によって選択されていなければ、前記コントローラー(100)は前記端寄せを実行するための制御を行わないことを特徴とする第1の本発明の苗移植機である。
【発明の効果】
【0017】
第1の本発明によって、端寄せが端寄せ指示部材(300)によって指示されると、コントローラー(100)は、苗載せ台(110)がエンジン(40)から主変速装置(50)を介して伝達される駆動力を利用して移動させられるように、主変速装置(50)の制御を行うことにより、熟練していない作業者であっても操作に戸惑うことなくより簡単に端寄せを行うことが可能である。
そして、第1の本発明によって、エンジン緊急停止配線回路(41)は、端寄せが端寄せ指示部材(300)によって指示されているとき、端寄せ検出スイッチ(311)がオンされると、コントローラー(100)がエンジン(40)を停止させるための制御を行わなくても、エンジン(40)を強制的に停止させることにより、廉価な構成を実現することが可能である。
【0018】
第2の本発明によって、第1の本発明の効果に加えて、端寄せが端寄せ指示部材(300)によって指示されると、コントローラー(100)は、エンジン(40)の回転数が増大し、駆動力が苗載せ台移動装置(310)へ伝達されるように、主変速装置(50)の制御を行うことにより、より確実に端寄せを行うことが可能である。
【0019】
第3の本発明によって、第1の本発明の効果に加えて、端寄せが端寄せ指示部材(300)によって指示されると、コントローラー(100)は、複数の苗植付装置(121)へ伝達される駆動力がオフされるように、苗植付装置クラッチ機構(250a)の制御を行うことにより、苗が端寄せにともなって空中に植えられてしまう恐れを低減することが可能である。
【0020】
第4の本発明によって、第1の本発明の効果に加えて、端寄せが端寄せ指示部材(300)によって指示されると、コントローラー(100)は、複数の施肥装置(161)へ伝達される駆動力がオフされるように、施肥装置クラッチ機構(250b)の制御を行うことにより、肥料が端寄せにともなって空中に撒かれてしまう恐れを低減することが可能である。
【0021】
第5の本発明によって、端寄せレバー位置が副変速レバー(320)によって選択されると、所定のロック解除条件が満足されるまでは、副変速レバー(320)は走行レバー位置を選択できないようにロックされることにより、田植機が急発進する恐れを低減することが可能である。
【0022】
第6の本発明によって、第1から第
4の何れかの本発明の効果に加えて、端寄せレバー位置が副変速レバー(320)によって選択されると、所定のロック解除条件が満足されるまでは、副変速レバー(320)は走行レバー位置を選択できないようにロックされることにより、田植機が急発進する恐れを低減することが可能である。
【0023】
第7の本発明によって、第1の本発明の効果に加えて、端寄せが端寄せ指示部材(300)によって指示されても、停止レバー位置が苗植付部昇降レバー(330)によって選択されていなければ、コントローラー(100)は端寄せを実行するための制御を行わないことにより、苗植付装置(121)が植込杵の回転動作による硬い路面への衝突などのために破損してしまう恐れを低減することが可能である。
【0024】
第8の本発明によって、第1の本発明の効果に加えて、端寄せが端寄せ指示部材(300)によって指示されても、中立レバー位置が副変速レバー(320)によって選択されていなければ、コントローラー(100)は端寄せを実行するための制御を行わないことにより、作業者が不意の車体走行などのために転倒してしまう恐れを低減することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
はじめに、
図1〜3を参照しながら、本発明の苗移植機の一例である本実施の形態の田植機の構成および動作について具体的に説明する。
【0028】
ここに、
図1は、本発明における実施の形態の田植機の左側面図であり、
図2は、本発明における実施の形態の田植機の上面図であり、
図3は、本発明における実施の形態の田植機の動力伝達系および制御系のブロック図である。
【0029】
図1および2においては、乗用型の6条植えの田植機が示されている。いくつかの構成要素の図示は理解を容易にするために省略されており、たとえば、リアマーカー1000が示されていない。
【0030】
まず説明されるのは、本実施の形態の田植機の基本的な構成および動作である。
【0031】
したがって、苗載せ台110の端寄せ動作制御を行うコントローラー100に関連する構成および動作などについては、後に詳細に説明する。
【0032】
さて、本実施の形態の田植機は、車体10、メインフレーム20、前輪31、後輪32、エンジン40、HST(Hydro Static Transmission)50、操縦ユニット60、苗植付部120、施肥部160、および苗植付部昇降機構210などを備える。
【0033】
車体10は、メインフレーム20に架装されている。
【0034】
前輪31および後輪32は、メインフレーム20などを支持する手段である。
【0035】
エンジン40は、駆動力を供給する手段である。
【0036】
HST50は、エンジン40からの駆動力を変速し、変速された駆動力を前輪31および後輪32などに伝達する手段である。
【0037】
操縦ユニット60には、操舵ハンドル61などの操作具が配置されている。
【0038】
苗植付部120は、苗載せ台110に載置されている苗の苗植付を行う手段である。
【0039】
施肥部160は、肥料タンクに貯留されている肥料の施肥を行う手段である。
【0040】
車体10の後部には、その一端が車体10に回動可能に取り付けられ、その他端に苗植付部120が回動可能に取り付けられる苗植付部昇降機構210が配置されている。
【0041】
本実施の形態の田植機の基本的な構成および動作についてより具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0042】
車体10の後側には苗植付部120が苗植付部昇降機構210を介して昇降可能に装着されており、車体10の後部上側には施肥部160の本体部分が設けられている。
【0043】
HSTレバー51は、HST50の出力値をレバー操作位置に応じて指示する。
【0044】
より具体的には、HSTサーボモーターなどのHST出力可変アクチュエーターを利用するHSTトラニオン軸の開度の変更は、作業者のHSTレバー操作に基づいたHSTレバー51からのコントローラー100を介する命令、またはコントローラー100からの直接的な命令に応じて行われる。
【0045】
エンジン40はメインフレーム20の上に搭載されており、エンジン40の回転動力はベルト伝動装置およびHST50を介してトランスミッションケースに伝達される。
【0046】
トランスミッションケースに伝達された回転動力は、トランスミッションケース内のトランスミッション機構により変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケースに伝達されて前輪31を駆動し、残りが後輪ギヤケースに伝達されて後輪32を駆動する。
【0047】
そして、外部取出動力は、車体10の後部に設けた植付クラッチ機構230に伝達され、植付伝動軸によって苗植付部120へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥部160へ伝動される。
【0048】
つまり、外部取出動力は、つぎのように利用される。
【0049】
外部取出動力は、フィードケース240に伝達された後、苗植付具122に伝達されるとともに、施肥部160にも伝達され、横送りネジ軸に伝達されて苗載せ台110を左右方向に往復移動させるために利用され、苗送り駆動軸に伝達されて苗送りベルトを駆動するためにも利用される。
【0050】
エンジン40からHST50を介して伝達される駆動力を利用して、苗載せ台110は左右方向に往復移動し、苗植付具122は苗載せ台110に載せられた苗を植付ける。そして、植付クラッチ機構230は、苗載せ台110および苗植付具122などへの駆動力の伝達モードとしてオンモードまたはオフモードを選択する。
【0051】
部分条クラッチ250は、対応する苗植付具122のオンオフを設定する苗植付側部分条クラッチ250aと、対応する施肥部160の施肥装置161のオンオフを設定する施肥側部分条クラッチ250bと、を有する。苗植付側部分条クラッチ250aの切断が行われると、対応する植付休止条での、苗送りベルトによる苗送りも休止される。
【0052】
苗植付部昇降機構210は、平行リンク構成を有し、一本の上リンクおよび左右一対の下リンクを備えている。
【0053】
メインフレーム20に固着された支持部材と上リンクに一体的に形成されたスイングアームの先端部との間に昇降油圧シリンダーが設けられており、昇降油圧シリンダーが油圧で伸縮させられると、上リンクが上下に回動し、苗植付部120が略一定姿勢のまま昇降する。
【0054】
苗植付部昇降位置検出部220は、苗植付部120の昇降位置を検出する検出部である。
【0055】
たとえば、苗植付部昇降位置検出部220は、ポテンショメーターなどのリンクセンサーである。
【0056】
整地フロート部180は、苗植付装置121によって植付けられる苗の植付条に対応してフロート整地を行う手段である。
【0057】
より具体的には、苗植付部120の下部には中央にセンターフロート181が設けられ、その左右両側にはサイドフロート182がそれぞれ設けられている。機体がセンターフロート181およびサイドフロート182が圃場の泥面に接地させられた状態で進行すると、センターフロート181およびサイドフロート182が泥面を整地しながら滑走し、苗がその整地跡に苗植付装置121により植え付けられる。
【0058】
センターフロート181およびサイドフロート182は前端側が圃場表土面の凹凸に対応して上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート181の前部の上下動が迎角制御センサーにより検出され、その検出結果に対応して昇降油圧シリンダーを制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部120を昇降させることにより、苗の植付深さが常に一定に維持される。
【0059】
施肥部160は、肥料タンクに貯留されている粒状の肥料を繰出部によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホースでセンターフロート181およびサイドフロート182の左右両側に取り付けた施肥ガイドまで導き、施肥ガイドの前側に設けた作溝体によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込む。
【0060】
整地ローター部170は、苗植付装置121によって植付けられる苗の植付条に対応してローター整地を行う手段である。
【0061】
より具体的には、苗植付部120には、第1整地ローター171および第2整地ローター172が取り付けられている。
【0062】
そして、苗載せ台110は、苗植付部120の全体を支持する矩形の支持枠体の支持ローラを利用して、レールの上を左右方向にスライドする。
【0063】
つぎに、本実施の形態の田植機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0064】
(A)
図3および4を主として参照しながら、苗載せ台110の端寄せ動作制御を行うコントローラー100に関連する構成および動作などについて詳細に説明する。
【0065】
ここに、
図4は、本発明における実施の形態の田植機の副変速レバー320近傍の部分上面図である。
【0066】
苗載せ台移動装置310は、エンジン40から本発明の主変速装置の一例であるHST50を介して伝達される駆動力を利用して、苗載せ台110を左右方向に往復移動させる装置である。
【0067】
端寄せ指示部材300は、苗載せ台110を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せを指示する部材である。
【0068】
副変速レバー320は、端寄せ指示部材300に端寄せを指示させる端寄せレバー位置、車体10を苗植付け走行させる苗植付け走行レバー位置、車体10を走行させない中立レバー位置、または車体10を路上走行させる路上走行レバー位置を選択できるレバーである。
【0069】
端寄せ検出スイッチ311は、苗載せ台110が左側または右側の端に寄せられると、オンされるスイッチである。
【0070】
苗植付装置121は、エンジン40からHST50を介して伝達される駆動力を利用して苗植付けを行う装置である。苗植付部120は、複数の苗植付装置121を有する。本発明の苗植付装置クラッチ機構の一例である苗植付側部分条クラッチ250aは、複数の苗植付装置121へ伝達される駆動力を選択的にオンオフする機構である。
【0071】
苗植付部昇降機構210は、苗植付部120を、車体10に対して、上下方向に昇降させる機構である。本発明の苗植付部昇降レバーの一例である油圧ロックレバー330は、苗植付部昇降機構210を利用して、苗植付部120を昇降させずに停止させる停止レバー位置を選択できるレバーである。
【0072】
施肥装置161は、エンジン40からHST50を介して伝達される駆動力を利用して施肥を行う装置である。本発明の施肥装置クラッチ機構の一例である施肥側部分条クラッチ250bは、複数の施肥装置161へ伝達される駆動力を選択的にオンオフする機構である。
【0073】
さて、端寄せが端寄せ指示部材300によって指示されると、コントローラー100は、苗載せ台110がエンジン40からHST50を介して伝達される駆動力を利用して移動させられるように、HST50の制御を行う。
【0074】
具体的には、端寄せが端寄せ指示部材300によって指示されると、コントローラー100は、エンジン40の回転数が増大し、駆動力が苗載せ台移動装置310へ伝達されるように、HST50の制御を行う。
【0075】
図5を主として参照しながらより具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0076】
ここに、
図5は、本発明における実施の形態の田植機の端寄せ動作制御ルーチンを説明する流れ図である。
【0077】
すなわち、端寄せレバー位置が副変速レバー320によって選択され、端寄せ動作制御ルーチンのスタート処理が行われると、端寄せ指示部材300がオンされる(ステップS101)。
【0078】
そして、端寄せ動作が実行され(ステップS102)、端寄せ指示部材300がオンされているか否かが確認される(ステップS103)。
【0079】
端寄せ指示部材300がオンされているか否かが確認された(ステップS103)結果、端寄せ指示部材300がオンされていない場合には、端寄せ動作が中断され(ステップS104)、端寄せ指示部材300がオンされている場合には、端寄せ検出スイッチ311がオンされているか否かが判断される(ステップS105)。
【0080】
端寄せ検出スイッチ311がオンされているか否かが判断された(ステップS105)結果、端寄せ指示部材300がオンされていない場合には、端寄せ動作がそのまま実行され(ステップS102)、端寄せ検出スイッチ311がオンされている場合には、端寄せ動作が完了され(ステップS106)、端寄せ動作制御ルーチンのエンド処理が行われる。
【0081】
前述された端寄せ動作が中断される(ステップS104)分岐は、異常を認識して端寄せを止めたいと思った作業者が端寄せ指示部材300を再び操作してオフした場合、後輪回転センサーが後輪32の回転を検出してコントローラー100が端寄せ指示部材300をオフした場合、または作業高さセンサーが苗植付部昇降機構210によって昇降させられた植付部120の作業高さの変化を検出してコントローラー100が端寄せ指示部材300をオフした場合などにおいて選択される。
【0082】
このように、副変速レバー320によって押されるボタンなどの端寄せ指示部材300がオンされると、HST50の制御が自動的に行われる。
【0083】
そして、モーターなどでケーブルを牽引することによりHST50の制御に連動してエンジン40の制御を行う機構を利用して、端寄せ動作に必要である、エンジン40の回転数、すなわちエンジン出力量が得られる。
【0084】
したがって、全HST出力量のおよそ80%を超える十分なHST出力量を得るための、従来は必須であった補完的なHSTレバー51の操作は不要となり、端寄せ動作は端寄せ指示部材300に対してのワンタッチ操作のみで実行されるので、熟練していない作業者であっても操作に戸惑うことなくより簡単に端寄せを行うことができる。
【0085】
さらに、苗タンクとも呼ばれる苗載せ台110が端寄せ完了所定位置に移動したことを検知する、少なくとも左右両端部の内の何れかに設けられたリミットスイッチなどの端寄せ検出スイッチ311を利用して、端寄せ動作を完了させるべきタイミングが認識され、エンジン40の状態が端寄せ動作が実行される前のアイドリング状態に戻され、端寄せ動作がこれにともなって完了されてもよい。
【0086】
すると、苗植付け走行レバー位置、または車体10を路上走行させる路上走行レバー位置が誤って選択されるような、端寄せ動作の完了後における副変速レバー320の誤操作が行われた場合においても、田植機が急発進する恐れはほとんどない。
【0087】
作業者が副変速レバー320から手を離すと、副変速レバー320の位置が自動的に端寄せレバー位置からPTO(Power Take Off)レバー位置とも呼ばれる中立レバー位置に戻される仕様が採用されてもよいし、前述された如き誤操作が副変速レバー320の位置が中立レバー位置に戻された後に行われた場合において、エンジン出力量およびHST出力量の内の少なくとも一方がゼロにされる仕様が併せて採用されてもよい。
【0088】
(A1)なお、端寄せが端寄せ指示部材300によって指示されると、コントローラー100は、複数の苗植付装置121へ伝達される駆動力がオフされるように、苗植付側部分条クラッチ250aの制御を行ってもよい。
【0089】
かくの如き苗植付側部分条クラッチ250aはHST50から植付クラッチ機構230を経て複数の苗植付装置121へ伝達される駆動力を選択的にオンオフする機構であり、苗植付装置121へ伝達される駆動力が苗植付側部分条クラッチ250aによってオフされても、苗載せ台110を左右方向にスライドさせる駆動力はオフされない。
【0090】
たとえば、電動モーター式の苗植付側部分条クラッチ250aのオンオフ操作をアクチュエーターなどにより行う機構を利用して、端寄せ指示部材300がオンされると、全ての苗植付側部分条クラッチ250aのオフ操作が自動的に行われる。
【0091】
すると、苗載せ台110の独立的なスライド動作が行われ、植込杵の無駄な回転動作が発生しないので、苗載せ台110の苗が端寄せにともなって空中に植えられてしまう恐れはほとんどない。
【0092】
(A2)また、端寄せが端寄せ指示部材300によって指示されると、コントローラー100は、複数の施肥装置161へ伝達される駆動力がオフされるように、施肥側部分条クラッチ250bの制御を行ってもよい。
【0093】
たとえば、電動モーター式の施肥側部分条クラッチ250bのオンオフ操作をアクチュエーターなどにより行う機構を利用して、端寄せ指示部材300がオンされると、全ての施肥側部分条クラッチ250bのオフ操作が自動的に行われる。
【0094】
すると、苗載せ台110の独立的なスライド動作が行われ、施肥送風機の無駄な動作が発生しないので、肥料タンクの肥料が端寄せにともなって空中に撒かれてしまう恐れはほとんどない。
【0095】
(A3)また、
図6に示されているように、エンジン40を緊急時に停止させるための配線を有するエンジン緊急停止配線回路41は、端寄せが端寄せ指示部材300によって指示されているとき、端寄せ検出スイッチ311がオンされると、コントローラー100がエンジン40を停止させるための制御を行わなくても、エンジン40を強制的に停止させてもよい。
【0096】
ここに、
図6は、本発明における別の実施の形態の田植機のエンジン緊急停止配線回路41のブロック図である。
【0097】
すなわち、通常のセルである12ボルト32アンペアのバッテリ42を利用してキースイッチ43の操作で始動させられるスターターとしてのエンジン40に接続されたエンジン緊急停止配線回路41においては、ボディアース44による接地が行われており、エンジン緊急停止スイッチ45が設けられているとともに、苗タンク端位置リミットスイッチとしての端寄せ検出スイッチ311、および端寄せオンオフスイッチとしての端寄せ指示部材300が追加されている。
【0098】
そして、端寄せ指示部材300がオンされているときに、端寄せ検出スイッチ311がオンされると、エンジン40が強制的に停止させられる。
【0099】
たとえば、苗載せ台110が端寄せ完了所定位置に移動したことがレールスイッチとしての端寄せ検出スイッチ311によって検知されると、エンジン40はコントローラー100の制御なく停止し、端寄せ動作がこれにともなって完了する。
【0100】
したがって、エンジン緊急停止配線回路41の兼用による、専用のマイクロコンピューターおよびモーターなどを必要としない廉価な構成が、実現される。
【0101】
さらに、端寄せ動作が完了した後の苗載せ台110への苗補充時におけるエンジン40の停止は、燃料使用量の削減および環境負荷の低減などに寄与し、望ましい。
【0102】
(A4)また、
図7に示されているように、端寄せレバー位置が副変速レバー320によって選択されると、所定のロック解除条件が満足されるまでは、副変速レバー320は走行レバー位置を選択できないようにロックされてもよい。
【0103】
ここに、
図7は、本発明における別の実施の形態の田植機の端寄せ動作制御ルーチンを説明する流れ図である。
【0104】
すなわち、端寄せレバー位置が副変速レバー320によって選択され、端寄せ動作制御ルーチンのスタート処理が行われると、端寄せ指示部材300がオンされる(ステップS201)。
【0105】
そして、副変速レバー320は走行レバー位置を選択できないようにロックされ(ステップS202)、端寄せ動作が実行され(ステップS203)、端寄せ指示部材300がオンされているか否かが確認される(ステップS204)。
【0106】
端寄せ指示部材300がオンされているか否かが確認された(ステップS204)結果、端寄せ指示部材300がオンされていない場合には、端寄せ動作が中断され(ステップS205)、端寄せ指示部材300がオンされている場合には、端寄せ検出スイッチ311がオンされているか否かが判断される(ステップS206)。
【0107】
端寄せ検出スイッチ311がオンされているか否かが判断された(ステップS206)結果、端寄せ指示部材300がオンされていない場合には、端寄せ動作がそのまま実行され(ステップS203)、端寄せ検出スイッチ311がオンされている場合には、端寄せ動作が完了され(ステップS207)、副変速レバー320のロック解除条件が満足されているか否かが判断される(ステップS208)。
【0108】
そして、副変速レバー320のロック解除条件が満足されているか否かが判断された(ステップS208)結果、ロック解除条件が満足されていない場合には、端寄せ動作制御ルーチンのエンド処理が直ちに行われ、ロック解除条件が満足されている場合には、副変速レバー320のロックが解除され(ステップS209)、端寄せ動作制御ルーチンのエンド処理が行われる。
【0109】
前述された端寄せ動作が中断される(ステップS205)分岐は、異常を認識して端寄せを止めたいと思った作業者が端寄せ指示部材300を再び操作してオフした場合、後輪回転センサーが後輪32の回転を検出してコントローラー100が端寄せ指示部材300をオフした場合、または作業高さセンサーが苗植付部昇降機構210によって昇降させられた植付部120の作業高さの変化を検出してコントローラー100が端寄せ指示部材300をオフした場合などにおいて選択される。
【0110】
このように、端寄せレバー位置が副変速レバー320によって選択されると、ロック解除条件が満足されるまでは、副変速レバー320はロックされる。
【0111】
たとえば、作業者が副変速レバー320から手を離すと、副変速レバー320の位置が自動的に端寄せレバー位置から中立レバー位置に戻されてからロックされる、または副変速レバー320の位置が中立レバー位置に戻されることなく端寄せレバー位置でそのままロックされる。
【0112】
すると、苗植付け走行レバー位置、または車体10を路上走行させる路上走行レバー位置が誤って選択されるような、端寄せ動作の完了後における副変速レバー320の誤操作が行われ、田植機が急発進する恐れはほとんどない。
【0113】
ロック解除条件としては、HSTレバー51の位置が手動操作で中立レバー位置に戻されるという条件、またはエンジン40が手動操作で停止させられるという条件などが採用される。
【0114】
(A5)また、
図8(a)および(b)に示されているように、端寄せが端寄せ指示部材300によって指示されても、停止レバー位置が油圧ロックレバー330によって選択されていなければ、コントローラー100は端寄せを実行するための制御を行わなくてもよい。
【0115】
ここに、
図8(a)は、本発明における別の実施の形態の田植機の油圧ロックレバー330および油圧感度調節レバー340近傍の部分左側面図であり、
図8(b)は、本発明における別の実施の形態の田植機の油圧ロックレバー330および油圧感度調節レバー340近傍の部分上面図である。
【0116】
かくの如き油圧ロックレバー330および油圧感度調節レバー340は、たとえば、操縦ユニット60に配置されている操縦座席の側方などに設けられている。
【0117】
たとえば、端寄せが指示されても、苗植付部120が昇降されないように油圧が固定される停止レバー位置の選択が油圧ロックレバーセンサー331によって検出されていなければ、端寄せは実行されない。
【0118】
すると、苗植付部120が端寄せにともなって下降することはないので、苗植付装置121が植込杵の回転動作による硬い路面への衝突などのために破損してしまう恐れはほとんどない。
【0119】
さらに、苗載せ台110が端寄せ完了所定位置に移動したことがレールスイッチとしての端寄せ検出スイッチ311によって検知されると、植付クラッチ機構230はコントローラー100の植付クラッチスイッチ操作によってオフされ、端寄せ動作がこれにともなって完了されてもよい。
【0120】
このような端寄せ動作の完了を簡易に実現する構成は、苗植付部昇降機構210の油圧バルブが電磁バルブであるかメカバルブであるかにかかわらず、実装することができる。
【0121】
(A6)また、
図9に示されているように、端寄せ指示部材300は副変速レバー320とは独立して設けられており、端寄せが端寄せ指示部材300によって指示されても、中立レバー位置が副変速レバー320によって選択されていなければ、コントローラー100は端寄せを実行するための制御を行わなくてもよい。
【0122】
ここに、
図9は、本発明における別の実施の形態の田植機の副変速レバー320近傍の部分上面図である。
【0123】
たとえば、端寄せが指示されても、車体10が走行しないように副変速機構などへの駆動力伝達が遮断される中立レバー位置の選択が副変速レバーセンサー321によって検出されていなければ、端寄せは実行されない。
【0124】
すると、車体10が端寄せにともなって走行することはないので、作業者が不意の車体走行などのために転倒してしまう恐れはほとんどない。
【0125】
さらに、苗載せ台110が端寄せ完了所定位置に移動したことがレールスイッチとしての端寄せ検出スイッチ311によって検知されると、植付クラッチ機構230はコントローラー100の植付クラッチスイッチ操作によってオフされ、端寄せ動作がこれにともなって完了されてもよい。
【0126】
このような端寄せ動作の完了を簡易に実現する構成は、苗植付部昇降機構210の油圧バルブが電磁バルブであるかメカバルブであるかにかかわらず、実装することができる。
【0127】
もちろん、端寄せ指示部材300は副変速レバー320とは独立して設けられており、端寄せが端寄せ指示部材300によって指示されると、所定のロック解除条件が満足されるまでは、副変速レバー320は走行レバー位置を選択できないようにロックされてもよい。
【0128】
かくの如き実施の形態においては、端寄せ指示部材300は、操作パネルではなく、操縦ユニット60に配置されている操縦座席の側方などに設けられていてもよい。
【0129】
(B)
図10を主として参照しながら、つぎの植付列の目安となる直線状のマークを圃場面に形成する振出し電動モーター式のリアマーカー1000に関連する構成および動作などについて詳細に説明する。
【0130】
ここに、
図10は、本発明における実施の形態の田植機の苗載せ台110近傍の部分背面図である。
【0131】
図10においては、車体10の外側へ向かって振出されていないリアマーカー収納時におけるリアマーカー1000が示されており、車体側ロッド部材1210となす角度がおよそ0度である非折畳み状態の線引き水車側ロッド部材1220と、車体側ロッド部材1210となす角度がおよそ90度である折畳み状態の線引き水車側ロッド部材1220と、が同時に示されている。いくつかの構成要素の図示は理解を容易にするために省略されており、たとえば、車体10の左側のリアマーカー1000のみが示されており、車体10の右側のリアマーカー1000は示されていない。
【0132】
リアマーカー1000は、線引き水車1100と、折畳み式ロッド1200と、ロッド回動機構1300と、を有する。
【0133】
折畳み式ロッド1200は、水車側ロッド部材1220と、車体側ロッド部材1210と、を有する。
【0134】
線引き水車1100が先端部に装着された水車側ロッド部材1220と、根元部が車体10に回動可能に連結された車体側ロッド部材1210と、は、ロッド回動機構1300によって回動可能に接続されている。
【0135】
下方に回動させられた折畳み状態の線引き水車側ロッド部材1220の先端部に装着された線引き水車1100は、水車側ロッド部材1220の長さが十分に大きいので、左右方向に往復移動させられる苗載せ台110の最接近時にも苗載せ台110と干渉しない。
【0136】
したがって、リアマーカー収納時においても苗載せ台110との干渉を避けるために線引き水車1100を水車側ロッド部材1220からわざわざ取外す必要はなく、取外した線引き水車1100を収納する収納スペースを確保する必要もない。
【0137】
図11(a)および(b)を主として参照しながらより具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0138】
ここに、
図11(a)は、本発明における実施の形態の田植機のロッド回動機構1300近傍の部分斜視図であり、
図11(b)は、本発明における別の実施の形態の田植機のロッド回動機構1300近傍の部分斜視図である。
【0139】
図11(a)に示されているように、ロッド回動機構1300は、水車側ロッド部材1220に設けられた貫通孔と、車体側ロッド部材1210に設けられた貫通孔と、に挿通されたロッド回動支点軸1310を有する。
【0140】
したがって、線引き水車側ロッド部材1220の折畳みは、ワンタッチ操作のみで簡単に実行される。
【0141】
なお、
図11(b)に示されているように、ロッド回動機構1300は水車側ロッド部材1220と、車体側ロッド部材1210と、に連結された死点越えスプリングとしてのロッド回動支点スプリング1320を有してもよい。
【0142】
すると、線引き水車側ロッド部材1220と車体側ロッド部材1210との間の角度がおよそ0度である非折畳み状態は、ロッド回動支点スプリング1320の復元力によってほぼ確実に実現される。
【0143】
(B1)なお、
図12(a)および(b)に示されているように、ロッド回動機構1300は、釣竿の構成に類似した回動ジョイント式の構成を有してもよい。
【0144】
ここに、
図12(a)は、本発明における別の実施の形態の田植機のロッド回動機構1300近傍の模式的な部分断面図(その一)であり、
図12(b)は、本発明における別の実施の形態の田植機のロッド回動機構1300近傍の模式的な部分断面図(その二)である。
【0145】
図12(a)においては、車体側ロッド部材1210に引入れられた状態の線引き水車側ロッド部材1220が示されており、
図12(b)においては、車体側ロッド部材1210から引出された状態の線引き水車側ロッド部材1220が示されている。
【0146】
このような回動ジョイント式の構成を有するロッド回動機構1300は、ジョイント1330を有する。
【0147】
ジョイント1330は、線引き水車側ロッド部材1220が回動可能に取り付けられたロッド回動支点軸1310をもち、角チューブ部材またはボス溶接部材などである車体側ロッド部材1210にスライド可能に装着されている。
【0148】
図12(a)に示されているように、ジョイント1330が通常はロッド回動支点スプリング1320の復元力によって車体側ロッド部材1210に引入れられているので、線引き水車側ロッド部材1220と車体側ロッド部材1210との間の角度がおよそ0度である非折畳み状態が実現される。
【0149】
図12(b)に示されているように、ジョイント1330がロッド回動支点スプリング1320の復元力に抗して車体側ロッド部材1210から引出され、線引き水車側ロッド部材1220が回動させられると、線引き水車側ロッド部材1220と車体側ロッド部材1210との間の角度がおよそ90度である折畳み状態が実現される。
【0150】
なお、このような折畳み状態をより簡単に実現するためのトルクスプリングが、ロッド回動支点軸1310に装着されていてもよい。
【0151】
(B2)また、
図13に示されているように、線引き水車1100は、傘骨の構成に類似した開閉式の構成を有してもよい。
【0152】
ここに、
図13は、本発明における別の実施の形態の田植機の線引き水車1100近傍の分解部分斜視図である。
【0153】
図13においては、開かれた状態の線引き水車1100が示されている。
【0154】
このような開閉式の構成を有する線引き水車1100は、五枚の水車スポーク羽根1110の根元部が回動可能に連結された水車本体シャフト1120と、五つの水車ホルダースリット溝1131が設けられた水車ホルダー1130と、を有する。
【0155】
水車側ロッド部材1220には、水車本体シャフト1120がロッド部材先端側に固着され、水車ホルダー1130がロッド部材根元側にスライド可能に挿通されるとともに、水車ホルダー1130が乗越えて往復可能な爪状の付勢ラッチ1400が設けられている。
【0156】
付勢ラッチ1400が手指などで押込まれ、水車ホルダー1130が付勢ラッチ1400を乗越えて水車本体シャフト1120に当接するようにスライドさせられると、五枚の水車スポーク羽根1110が五つの水車ホルダースリット溝1131の底部にそれぞれ当接されて回動し、線引き水車1100が開いた状態が実現される。
【0157】
反対に、水車ホルダー1130が付勢ラッチ1400を乗越えて水車本体シャフト1120に当接しないようにスライドさせられると、線引き水車1100が閉じた状態が実現される。
【0158】
なお、このような線引き水車1100が開閉状態をより簡単に実現するための付勢スプリングが、水車本体シャフト1120と水車ホルダー1130との間に装着されていてもよい。
【0159】
また、傘布の構成に類似した構成を有する補強シートが隣接する水車スポーク羽根1110の間に設けられており、水車ホルダー1130の先端面が開いた状態の同補強シートの形状に応じた曲面形状を有してもよい。
【0160】
もちろん、コンパクトであって邪魔にならないこのような線引き水車1100の開閉式の構成は、折畳み式ロッド1200がロッドとして採用されているか否かにかかわらず、実装することができる。