特許第6551255号(P6551255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551255
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ニーエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/206 20110101AFI20190722BHJP
   B60R 21/2338 20110101ALI20190722BHJP
   B60R 21/233 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B60R21/206
   B60R21/2338
   B60R21/233
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-27121(P2016-27121)
(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公開番号】特開2017-144840(P2017-144840A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 由美
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃典
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−208653(JP,A)
【文献】 特開2008−114782(JP,A)
【文献】 特開2008−114701(JP,A)
【文献】 特開平10−035399(JP,A)
【文献】 特開2002−046562(JP,A)
【文献】 特開2009−083550(JP,A)
【文献】 特開2005−343180(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0200321(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 − 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるニーエアバッグ装置であって、
ガスの供給を受けて膨張展開して乗員の両膝部を拘束するニーエアバッグと、
上記ニーエアバッグの膨張展開を規制するテザーと、を備え、
上記テザーは、長尺帯状に形成され、その短手方向の両端部が上記ニーエアバッグの内壁に接合されるとともに、上記両端部のうちの少なくとも一方に上記短手方向に凹んだ凹み部を備え、その長手方向が上記ニーエアバッグの膨張展開時に車幅方向と平行となるように配置され且つ上記凹み部が上記乗員の両膝部と対向するように車両後方側に配置される、ニーエアバッグ装置。
【請求項2】
上記テザーは、上記凹み部の上記長手方向の開口幅がその凹み部の底に向かうにつれて除々に狭くなるように構成されている、請求項1に記載のニーエアバッグ装置。
【請求項3】
上記テザーは、上記両端部の双方の上記短手方向の対称位置に上記凹み部を備える、請求項1または2に記載のニーエアバッグ装置。
【請求項4】
上記テザーは、上記両端部の上記短手方向のテザー幅が相対的に狭い幅狭部を備え、上記幅狭部を利用して上記凹み部が構成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のニーエアバッグ装置。
【請求項5】
上記テザーは、複数のガス流通開口を備え、上記複数のガス流通開口のうち上記凹み部の近傍に位置するガス流通開口の開口面積が別のガス流通開口の開口面積を下回るように構成されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のニーエアバッグ装置。
【請求項6】
上記テザーを上部テザーとしたとき、上記上部テザーとは別に上記ニーエアバッグの内壁に接合され且つガス流通開口を有する下部テザーを備え、上記下部テザーは、上記ニーエアバッグの膨張展開時に上記上部テザーの下方に配置され、
上記ニーエアバッグは、上記下部テザーよりも下方に形成され且つ上記ガスが最初に供給される第1チャンバーと、上記下部テザーと上記上部テザーとの間に形成される第2チャンバーと、上記上部テザーよりも上方に形成される第3チャンバーと、を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のニーエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるニーエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員保護のための車両に搭載される種々のエアバッグ装置が提案されている。例えば、下記の特許文献1には、乗員の両膝部を拘束するべく膨張展開するニーエアバッグを備えたニーエアバッグ装置が開示されている。このニーエアバッグ装置において、ニーエアバッグは、膨張展開時の両端部のバッグ厚みが中央部よりも厚くなるように構成されている。この場合、乗員の両膝部をニーエアバッグの両端部で拘束することによって、乗員の両膝部が外側に開く動作、所謂「股開き」を抑えようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−126974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のニーエアバッグ装置において、ニーエアバッグのうち乗員の両膝部の間の空間に膨張展開する中央部は両端部に比べて体積が大きく、この中央部によって両膝部が外側に押圧され易い。このため、ニーエアバッグの両端部のバッグ厚みを厚くする構造のみを採用しても、乗員の股開きを本質的に抑えるのが難しい。この股開きが生じる結果、乗員の腰の浮き上がり量(腰ストローク)が増えて乗員の頭部がフロントガラスに近接し易くなる。
そこで、この種のニーエアバッグ装置の設計に際しては、乗員保護のために乗員の股開きを確実に抑えることができる技術が要請される。その場合、ニーエアバッグ装置を複雑化させることのない簡単な構造を採用するのが好ましい。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ニーエアバッグの膨張展開時に乗員の両膝部が外側に開く動作を簡単な構造によって抑えることができるニーエアバッグ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両に搭載されるニーエアバッグ装置であって、
ガスの供給を受けて膨張展開して乗員の両膝部を拘束するニーエアバッグと、
上記ニーエアバッグの膨張展開を規制するテザーと、を備え、
上記テザーは、長尺帯状に形成され、その短手方向の両端部が上記ニーエアバッグの内壁に接合されるとともに、上記両端部のうちの少なくとも一方に上記短手方向に凹んだ凹み部を備え、その長手方向が上記ニーエアバッグの膨張展開時に車幅方向と平行となるように配置され且つ上記凹み部が上記乗員の両膝部と対向するように車両後方側に配置される、ニーエアバッグ装置、にある。
【発明の効果】
【0007】
このニーエアバッグ装置において、ニーエアバッグのうちテザーの凹み部と接合されている接合部は、膨張展開時に車両前方側に凹んだ状態で、即ち乗員の両膝部から離れた状態で両膝部と対向する。そして、この接合部が乗員の両膝部間の空間に向けて膨張する。このため、ニーエアバッグは、乗員の両膝部間の空間に向けて膨張する接合部における膨張体積が小さく抑えられる。その結果、膨張展開したニーエアバッグによって乗員の両膝部が左右に押し出されにくくなり両膝部が外側に開く動作が抑えられる。この場合、ニーエアバッグの構成を変更しないでテザーの構成のみを工夫することによる簡単な構造によって対応できる。
【0008】
以上のごとく、上記のニーエアバッグ装置によれば、ニーエアバッグの膨張展開時に乗員の両膝部が外側に開く動作を簡単な構造によって抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のニーエアバッグ装置の構成の概要を示す図。
図2図1中の膨張展開後のニーエアバッグを矢印A方向から視た平面図。
図3図2のIII-III線矢視断面図。
図4図3のIV-IV線矢視断面図。
図5図3のV-V線矢視断面図。
図6図4中の上部テザーの平面図。
図7図6において上部テザーの寸法設定を説明するための図。
図8図5中の下部テザーの平面図。
図9図4中の断面について膨張展開後のニーエアバッグの様子を示す図。
図10図3においてニーエアバッグの膨張展開時に形成されるガス流を説明するための図。
図11】実施形態2における上部テザーの平面図。
図12】実施形態3における上部テザーの平面図。
図13】実施形態4における上部テザーの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態において、「膨張展開」とは、予め所定の形態に折り畳まれたエアバッグが、ガスの供給を受けて膨張しながら折り畳まれた状態を解除するように展開する動作をいう。また、「拘束」には、乗員の両膝部が車両前方へ移動する動作をニーエアバッグの内圧による反力によって受け止める態様、及び乗員の両膝部が外側に開く動作(「股開き」ともいう。)をニーエアバッグによって規制する態様が包含される。
【0011】
上記態様のニーエアバッグ装置では、上記テザーは、上記ニーエアバッグの膨張展開時において、上記凹み部の一方の開口端が上記幅方向について上記乗員の一方の膝部の中心を通る第1仮想線上に配置され、且つ上記凹み部の他方の開口端が上記幅方向について上記乗員の他方の膝部の中心を通る第2仮想線上に配置されるのが好ましい。
本構成において、ニーエアバッグのうちテザーの凹み部の開口端よりも外側領域と接合されている接合部は、乗員の両膝部に近い位置に配置される。従って、膨張展開の初期段階において乗員の両膝部が車両前方へ移動する動作をこの接合部での内圧による反力によって受け止めることができる。このため、乗員の両膝部が外側に開く動作を抑える効果に加えて、ニーエアバッグの膨張展開の初期段階において車両前方へ移動しようとする乗員の両膝部を速やかに拘束することができる。その結果、ニーエアバッグの膨張展開の初期段階での乗員拘束性を向上させることができる。
【0012】
また、上記態様のニーエアバッグ装置では、上記テザーは、上記凹み部の上記長手方向の開口幅がその凹み部の底に向かうにつれて除々に狭くなるように構成されるのが好ましい。
本構成によれば、凹み部の開口幅が一定である場合に比べて、ニーエアバッグのうちテザーが接合されている接合部に応力が集中しにくくなる。このため、ニーエアバッグの耐久性を向上させることができる。
【0013】
また、上記態様のニーエアバッグ装置では、上記テザーは、上記両端部の双方の上記短手方向の対称位置に上記凹み部を備えるのが好ましい。この場合、テザーは、一方の端部の凹み部がニーエアバッグの厚み方向の一方のパネル面に接合され、且つ他方の端部の凹み部がニーエアバッグの厚み方向の他方のパネル面に接合される。
これにより、ニーエアバッグの両パネル面を厚み方向についてバランス良く膨張展開させることが可能になる。また、テザーは、対称形状を有しており、一方の端部のみに凹み部を備えるテザーに比べて、製造コストを低く抑えることが可能になる。
【0014】
また、上記態様のニーエアバッグ装置では、上記テザーは、上記両端部の上記短手方向のテザー幅が相対的に狭い幅狭部を備え、上記幅狭部を利用して上記凹み部が構成されるのが好ましい。
本構成によれば、ニーエアバッグのうちテザーの凹み部との接合部におけるエアバッグ厚み、即ち乗員の両膝部間の空間に対向する部位におけるエアバッグ厚みを小さく抑えることができる。これにより、この接合部での内圧が低下しにくくなり、乗員の両膝部を拘束するための反力を高く維持することができる。
【0015】
また、上記態様のニーエアバッグ装置では、上記テザーは、複数のガス流通開口を備え、上記複数のガス流通開口のうち上記凹み部の近傍に位置するガス流通開口の開口面積が別のガス流通開口の開口面積を下回るように構成されるのが好ましい。
本構成によれば、テザーによって区画されたチャンバー間で複数のガス流通開口を通じてガスを適正に流通させることができる。また、凹み部の近傍に位置するガス流通開口が拡張して凹み部が乗員側へ伸長するのを抑制できる。
【0016】
また、上記態様のニーエアバッグ装置では、上記テザーを上部テザーとしたとき、上記上部テザーとは別に上記ニーエアバッグの内壁に接合され且つガス流通開口を有する下部テザーを備え、上記下部テザーは、上記ニーエアバッグの膨張展開時に上記上部テザーの下方に配置され、上記ニーエアバッグは、上記下部テザーよりも下方に形成され且つ上記ガスが最初に供給される第1チャンバーと、上記下部テザーと上記上部テザーとの間に形成される第2チャンバーと、上記上部テザーよりも上方に形成される第3チャンバーと、を有するのが好ましい。
本構成によれば、ニーエアバッグの膨張展開時に3つのチャンバーが下方のチャンバーから順次膨張するため、乗員の両膝部を拘束する拘束力が段階的に増える。これにより、ニーエアバッグの膨張展開の初期段階から乗員の両膝部を確実に拘束することができ乗員拘束性が向上する。
【0017】
以下、本実施形態のエアバッグ装置について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
なお、本明細書の図面では、車両前方を矢印Xで示し、車両上方を矢印Yで示している。また、特に断わらない限り、膨張展開時におけるエアバッグの上下方向であり且つテザーの厚み方向を矢印D1で示し、膨張展開時におけるエアバッグの厚み方向であり且つテザーの幅方向を矢印D2で示し、第1方向D1及び第2方向D2の双方に直交する方向を矢印D3で示すものとする。この場合、矢印D3で示される方向は、膨張展開時におけるエアバッグの左右方向であり且つテザーの長手方向となる。
【0019】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1のニーエアバッグ装置1は、車両100に搭載されるものであり、特に車両100の内装部材101に装着されるように構成されている。このニーエアバッグ装置1は、ニーエアバッグ(以下、単に「エアバッグ」ともいう。)10と、テザー20と、インフレータ30と、を備えている。このニーエアバッグ装置1は、運転席シート104に着座する乗員Cに対して設けられている。
【0020】
衝突検知センサ102は、車両100の衝突を検知するように構成されている。制御ユニット(ECU)103は、衝突検知センサ102が車両100の衝突を検知したときにニーエアバッグ装置1に制御信号を出力するように構成されている。これら衝突検知センサ102及び制御ユニット103はいずれも車両100に搭載され、ニーエアバッグ装置1とともに、乗員を保護するための乗員保護システムを構築している。
【0021】
エアバッグ10は、複数の基布を縫合して袋状に形成されており、予め所定の形態に折り畳まれた状態で、インフレータ30とともに収容体に収容されている。インフレータ30は、エアバッグ10にガスを供給するガス供給手段であり、制御ユニット103からの制御信号によって作動してガスを発生するように構成されている。
【0022】
インフレータ30で発生したガスは、エアバッグ10の内部空間に供給される。このとき、エアバッグ10は、インフレータ30からのガスの供給を受けて内装部材101から車室空間に向けて突出しつつ乗員Cの両方の膝部Kの前側領域において膨張展開する。即ち、予め所定の形態に折り畳まれたエアバッグ10は、膨張しながら折り畳まれた状態を解除するように展開する動作を行う。このとき、テザー20は、繋留部材としてエアバッグ10に接合されており、エアバッグ10の膨張展開を規制するように構成されている。膨張展開したエアバッグ10は、乗員Cの少なくとも両方の膝部Kを拘束する機能を果たす。ここでいう拘束には、エアバッグ10の内圧による反力によって乗員Cの両方の膝部Kが前方へ移動する動作を規制する態様、及び乗員Cの両方の膝部Kが外側に開く動作を規制する態様が包含される。
【0023】
図2及び図3に示されるように、本実施形態では、テザー20として、2つの上部テザー21及び下部テザー27が用いられている。エアバッグ10の内壁(バッグ内壁)10aに上部テザー21及び下部テザー27がそれぞれ接合されている。これにより、エアバッグ10は、一定サイズ以上に膨張展開しないようにテザー21,27によって内側から繋ぎ止められる。テザー21,27はいずれも、一様な厚みで長手方向D3に延在する長尺帯状(「ベルト状」或いは「薄板状」ともいう。)である。下部テザー27は、エアバッグ10の膨張展開時において上下方向D1について上部テザー21の下方に配置されるように構成されている。
【0024】
テザー21,27は、典型的には縫合や接着等の手法によってエアバッグ10の内壁に接合される。また、これらテザー21,27は、典型的にはエアバッグ10に使用される基布によって、或いはシートベルトに使用されるウェビングの素材によって構成される。
【0025】
エアバッグ10は、膨張展開時における内部空間が2つのテザー21,27によって3つのチャンバー11,12,13に区画されるように構成されている。第1チャンバー11は、エアバッグ10の上下方向D1について下部テザー27よりも下方に形成され且つインフレータ30のガスが最初に供給される空間である。第2チャンバー12は、エアバッグ10の上下方向D1について上部テザー21と下部テザー27との間に形成される空間である。第3チャンバー13は、エアバッグ10の上下方向D1について上部テザー21よりも上方に形成される空間である。
【0026】
図4に示されるように、上部テザー21は、長手方向D3と直交する幅方向D2の両端部22,23においてエアバッグ10の内壁10aに接合されている。この上部テザー21は、エアバッグ10の膨張展開時に車両左右方向(車幅方向)を長手方向D3として延在するように構成されている。この上部テザー21において、一方の端部(長辺部)22には凹み部22aが設けられ、他方の端部(長辺部)23には凹み部22aと同形状の凹み部23aが設けられている。凹み部22a,23aはいずれも両端部22,23が幅方向D2に凹んだ部位(端部の一部が切り欠かれたような切り欠き状の部位)である。また、この上部テザー21は、両端部22,23の双方の幅方向D2の対称位置に凹み部22a,23aを備えるように構成されている。ここでいう「幅方向D2の対称位置」を、幅方向D2について互いに対向する位置、或いは長手方向D3に延在する対称軸について互いに線対称となる位置ということもできる。
【0027】
上部テザー21には複数のガス流通開口21a,21b,21cが長手方向D3に並んで設けられており、これら複数のガス流通開口21a,21b,21cを通じてガスの流通が可能になっている。これにより、上部テザー21によって区画された第2チャンバー12と第3チャンバー13との間で複数のガス流通開口21a,21b,21cを通じてガスを適正に流通させることができる。
【0028】
ガス流通開口21aは、上部テザー21の長手方向D3の中央部に設けられた貫通穴である。このガス流通開口21aは、別のガス流通開口21b,21cに比べて凹み部22aの最も近傍に位置するように配置されている。このガス流通開口21aは、上部テザー21の幅方向D2を短辺とし長手方向D3を長辺とする楕円形状をなしている。ガス流通開口21bは、ガス流通開口21aの両側に設けられた貫通穴であり、ガス流通開口21aと同様に楕円形状をなしている。また、ガス流通開口21aの開口面積(流路面積)が別のガス流通開口であるガス流通開口21bの開口面積(流路面積)を下回るように構成されている。ガス流通開口21cは、各ガス流通開口21bの外側に設けられた半楕円形状の溝である。このガス流通開口21cとエアバッグ10の内壁とによってガスが流通可能な空間が区画されている。
【0029】
図5に示されるように、下部テザー27は、上部テザー21と同様に幅方向D2の両端部28,29においてエアバッグ10の内壁10aに接合されている。この下部テザー27は、エアバッグ10の膨張展開時において車両左右方向(車幅方向)を長手方向D3として延在するように構成されている。
【0030】
下部テザー27には、上部テザー21に設けられている複数のガス流通開口21a,21b,21cと同様の形状の、複数のガス流通開口27a,27b,27cが長手方向D3に並んで設けられている。これら複数のガス流通開口27a,27b,27cを通じてガスの流通が可能になっている。これにより、下部テザー27によって区画された第1チャンバー11と第2チャンバー12との間で複数のガス流通開口27a,27b,27cを通じてガスを適正に流通させることができる。
【0031】
インフレータ30から供給されたガスは、エアバッグ10の内部空間のうち先ず第1チャンバー11に充填される。これによりエアバッグ10が膨張展開を開始する。このガスは、第1チャンバー11に充填されつつ、下部テザー27の複数のガス流通開口27a,27b,27cを通じて第2チャンバー12に流入する。このガスは更に、第2チャンバー12に充填されつつ、上部テザー21の複数のガス流通開口21a,21b,21cを通じて第3チャンバー13に流入する。そして、エアバッグ10が所定の状態に膨張展開するまで第3チャンバー13にガスが充填される。
【0032】
図6に示されるように、上部テザー21は、その幅方向D2及び長手方向D3のいずれについても線対称な形状を有する。即ち、この上部テザー21は、幅方向D2に延在する中心線(対称軸)について線対称であり、また長手方向D3に延在する中心線(対称軸)について線対称である。この上部テザー21は、長手方向D3の中央部に幅狭部24を備え、長手方向D3の両端部に幅広部25を備えている。幅狭部24は、両端部22,23の幅方向D2のテザー幅が相対的に狭い部位である。この幅狭部24は、幅広部25のテザー幅d2を下回るテザー幅d1(<d2)を有する。幅狭部24にガス流通開口21aが設けられ、幅広部25にガス流通開口21cが設けられている。
【0033】
また、上部テザー21において、幅狭部24と幅広部25との間に徐変部26が設けられている。この徐変部26にガス流通開口21bが設けられている。上部テザー21の幅方向D2の幅寸法は、この徐変部26においてテザー幅d1とテザー幅d2との間で徐々に変化する。この場合、上部テザー21の幅狭部24を利用して、特に幅狭部24及び徐変部26の双方によって凹み部22aが構成されている。従って、この上部テザー21の凹み部22aは、長手方向D3の開口幅(一方の開口端22bと他方の開口端22cとの間の開口幅d3)が徐変部26から幅狭部24に向かうにつれて徐々に狭くなり、幅狭部24の底面22dにおいて最も狭くなるように構成されている。
【0034】
図7に示されるように、上部テザー21は、エアバッグ10の膨張展開時において、凹み部22aが乗員Cの両膝部K,Kと対向するように車両後方側に配置されるように構成されている。また、この上部テザー21は、エアバッグ10の膨張展開時において、乗員Cの一方の膝部Kの中心を通り幅方向D2に延在する直線である第1仮想線L1上に凹み部22aの一方の開口端22bが配置され、且つ乗員Cの他方の膝部Kの中心を通り幅方向D2に延在する直線である第2仮想線L2上に凹み部22aの他方の開口端22cが配置されるように構成されている。この場合、第1仮想線L1及び第2仮想線L2はいずれも、幅広部25と徐変部26との境界線である。ここで、膝部Kの中心とは、膝部Kの膝幅方向の中間部分(膝部Kの内側と外側との中間部分)をいう。
【0035】
更に、この上部テザー21は、エアバッグ10の膨張展開時において、乗員Cの一方の膝部Kの内側を通り幅方向D2に延在する直線である第3仮想線L3上に凹み部22aの底面22dの一端22eが配置され、且つ乗員Cの他方の膝部Kの内側を通り幅方向D2に延在する直線である第4仮想線L4上に凹み部22aの底面22dの他端22fが配置されるように構成されている。
【0036】
エアバッグ10の膨張展開時において、第3仮想線L3と第4仮想線L4との間の領域に、上部テザー21の幅狭部24が配置される。また、第1仮想線L1よりも外側の領域、及び第2仮想線L2よりも外側の領域に、上部テザー21の幅広部25が配置される。更に、第1仮想線L1と第3仮想線L3との間の領域、及び第2仮想線L2と第4仮想線L4との間の領域に、上部テザー21の徐変部26が配置される。
【0037】
図8に示されるように、下部テザー27は、上部テザー21とは異なり、幅方向D2のテザー幅が一定となるように構成されている。この下部テザー27は、上部テザー21の幅狭部24よりも広く且つ幅広部25よりも狭いテザー幅d4を有する。
【0038】
図9に示されるように、エアバッグ10は、展開後に車両後方側に配置される背面パネル10bに、第1の接合部14、第2の接合部15及び第3の接合部16が含まれるように構成されている。
【0039】
第1の接合部14は、エアバッグ10の背面パネル10bが上部テザー21の端部22のうち幅狭部24に対応した領域と接合された接合部である。この第1の接合部14は、背面パネル10bのうち長手方向D3の中央部であり、エアバッグ10の膨張展開時において、乗員Cの一方の膝部Kの内側と他方の膝部Kの内側との間の領域(図7中の第3仮想線L3と第4仮想線L4との間の領域)に配置される。
【0040】
第2の接合部15は、エアバッグ10の背面パネル10bが上部テザー21の端部22のうち幅広部25に対応した領域と接合された接合部である。この第2の接合部15は、背面パネル10bのうち長手方向D3の両端部であり、エアバッグ10の膨張展開時において、乗員Cの各膝部Kの中心よりも外側の領域(図7中の第1仮想線L1よりも外側の領域、及び第2仮想線L2よりも外側の領域)に配置される。
【0041】
第3の接合部16は、エアバッグ10の背面パネル10bが上部テザー21の端部22のうち徐変部26に対応した領域と接合された接合部である。この第3の接合部16は、第1の接合部14と第2の接合部15との間の部位であり、乗員Cの各膝部Kの内側と中心との間の領域(図7中の第1仮想線L1と第3仮想線L3との間の領域、及び第2仮想線L2と第4仮想線L4との間の領域)に配置される。
【0042】
次に、実施形態1のニーエアバッグ装置1の作用効果について図9及び図10を参照しつつ説明する。
【0043】
インフレータ30の作動時に発生したガスがエアバッグ10の内部空間に供給されることによって、エアバッグ10が乗員Cの膝部Kの前方領域において膨張展開する。このとき、図9に示されるように、エアバッグ10の背面パネル10bのうち上部テザー21の凹み部22aと接合されている接合部14,16は、膨張展開時に車両前方側に凹んだ状態で乗員Cの両膝部K,Kと対向する。この場合、接合部14,16は、接合部15に比べて膝部Kから離れた位置に配置される。そして、背面パネル10bは接合部14,16において乗員Cの両膝部K,K間の空間Sに向けて膨張する。このため、エアバッグ10は、乗員Cの両膝部K,K間の空間Sに向けて膨張する膨張体積が小さく抑えられる。
【0044】
その結果、膨張展開したエアバッグ10によって乗員Cの両膝部K,Kが左右に押し出されにくくなり、両膝部K,Kが外側に開く動作(股開き)を抑えることができる。この場合、エアバッグ10の構成を変更しないで上部テザー21の構成のみを工夫することによる簡単な構造によって対応できる。従って、エアバッグ10の膨張展開時に乗員Cの両膝部K,Kが外側に開く動作を簡単な構造によって抑えることが可能になる。このとき、乗員Cの股開きの発生は許容しつつも、両膝部K,Kの外側への動作量を小さくできる。また、乗員Cの股開きを抑えることで、乗員Cの腰の浮き上がり量(腰ストローク)を小さく抑えることができ、乗員Cの頭部がフロントガラスに近接する可能性を減らすことができる。
【0045】
なお、本実施形態では、上部テザー21に幅広部25を設けているため、エアバッグ10のうち接合部15に対応した両端部(各膝部Kの中心よりも外側の部位)のエアバッグ厚み、即ち膨張体積を増やすことができる。これにより、乗員Cの股開きを抑える効果をより確実なものとすることができる。
【0046】
また、エアバッグ10のうち上部テザー21の凹み部22aの開口端22b,22cよりも外側領域と接合されている接合部15は、他の接合部14,16よりも乗員Cの両膝部K,Kに近い位置に配置される。これにより、膨張展開の初期段階において乗員Cの両膝部K,Kが車両前方へ移動する動作をこの接合部15での内圧による反力によって受け止めることができる。このため、乗員Cの両膝部K,Kが外側に開く動作を抑える効果に加えて、エアバッグ10の膨張展開の初期段階において車両前方へ移動しようとする乗員Cの両膝部K,Kを速やかに拘束することができる。その結果、エアバッグ10の膨張展開の初期段階での乗員拘束性を向上させることができる。
【0047】
また、上部テザー21は、凹み部22aの長手方向D3の開口幅が底面22dに向かうにつれて除々に狭くなるように構成されており、この凹み部22aの開口幅が一定である場合に比べて、エアバッグ10のうち上部テザー21が接合されている接合部16に応力が集中しにくくなる。このため、エアバッグ10の耐久性を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態において、上部テザー21は、一方の端部22の凹み部22aがエアバッグ10の厚み方向の一方のパネル面に接合され、且つ他方の端部23の凹み部23aがエアバッグ10の厚み方向の他方のパネル面に接合されるように構成されている。これにより、エアバッグ10の両パネル面を厚み方向についてバランス良く膨張展開させることが可能になる。また、上部テザー21は、対称形状を有しており、一方の端部22のみに凹み部22aを備えるテザーに比べて、製造コストを低く抑えることが可能になる。
【0049】
また、本実施形態において、上部テザー21の凹み部22aは、幅狭部24を利用して構成されており、エアバッグ10のうち上部テザー21の凹み部22aとの接合部14,16におけるエアバッグ厚み、即ち乗員Cの両膝部K,K間の空間Sに対向する部位におけるエアバッグ厚みを小さく抑えることができる。これにより、接合部14,16での内圧が低下しにくくなり、乗員Cの両膝部K,Kを拘束するための反力を高く維持することができる。
【0050】
また、本実施形態において、上部テザー21の凹み部22aの近傍に位置するガス流通開口21aの開口面積が別のガス流通開口21b,21cの開口面積を下回るため、ガス流通開口21aが拡張して凹み部22aが乗員C側へ伸長するのを抑制できる。
【0051】
尚、本実施形態において、ガス流通開口21aは、上部テザー21の幅方向D2を短辺とし長手方向D3を長辺とする楕円形状であり、幅方向D2に拡張しにくい形状になっている。このガス流通開口21aの形状として、例えば円形、多角形などの形状を採用してもよい。
【0052】
また、図10に示されるように、エアバッグ10の膨張展開時に3つのチャンバー11,12,13が下方のチャンバーから順次膨張する。即ち、インフレータ30からのガス流F1によって、先ず第1チャンバー11が膨張する。次いで、第1チャンバー11からのガス流F2によって第2チャンバー12が膨張する。最終的に、第2チャンバー11からのガス流F3によって第3チャンバー13が膨張する。この場合、乗員Cの両膝部K,Kを拘束する拘束力が段階的に増える。これにより、エアバッグ10の膨張展開の初期段階から乗員Cの両膝部K,Kを確実に拘束することができ乗員拘束性が向上する。
【0053】
なお、上記の上部テザー21の形状は必要に応じて変更することができる。例えば、以下に示す実施形態2〜4を採用することもできる。
実施形態2〜4はいずれも、実施形態1に比べて上部テザーの構成のみが異なる。その他の構成は、実施形態1と同様である。ここでは図11図13を参照しつつ、変更例にかかる上部テザーの構成のみについて説明するものとし、その他の要素の説明は省略する。また、図11図13において、図6に示される要素と同一の要素には同一の符号を付している。
【0054】
(実施形態2)
実施形態2における上部テザー121は、上部テザー21において端部23の凹み部23aが省略された構成と同一の構成を有する。即ち、この上部テザー121は、両端部22,23のうち一方の端部22のみに凹み部22aを備えている。
【0055】
(実施形態3)
実施形態3における上部テザー221は、上部テザー21において端部22の凹み部22a及び端部23の凹み部23aの形状がともに変更された構成と同一の構成を有する。即ち、上部テザー221は、端部22に段差状の凹み部122aを備え、且つ端部23に段差状の凹み部123aを備えている。この上部テザー221は、幅狭部24及び幅広部25を備える一方で、上部テザー21の徐変部26に相当する部位を備えていない。そして、上部テザー221の幅狭部24を利用して凹み部122a,123aが構成されている。
【0056】
(実施形態4)
実施形態4における上部テザー321は、上部テザー221において端部23の凹み部123aが省略された構成と同一の構成を有する。即ち、この上部テザー321は、両端部22,23のうち一方の端部22のみに凹み部122aを備えている。
【0057】
上述の実施形態2〜4のいずれの場合でも、実施形態1の場合と同様に、少なくとも一方の端部22に凹み部22a或いは凹み部122aを設けることによって、膨張展開したエアバッグ10によって乗員Cの両膝部K,Kが左右に押し出されにくくなり、両膝部K,Kが外側に開く動作を抑えることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0058】
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0059】
上記の実施形態では、エアバッグ10の膨張展開時において上部テザー21の凹み部22aの開口端22bが第1仮想線L1上に配置され、且つ凹み部22aの開口端22cが第2仮想線L2上に配置される場合について例示したが、凹み部22aの開口端22b,22cが仮想線L1,L2から外れた位置に配置されてもよい。例えば、一方の膝部Kの外側を通る仮想線と他方の膝部Kの外側を通る仮想線とによって区画される領域内に凹み部22aの開口端22b,22cが配置される構成を採用することができる。
【0060】
上記の実施形態では、上部テザーの両端部のうちの少なくとも一方に凹み部を設ける構成について例示したが、本構成を下部テザーに適用することもできる。本構成を上部テザー及び下部テザーの双方に適用した場合、乗員の体格に違いによって膝部の位置がエアバッグの上下方向(車両上下方向)にずれた時でも、下部テザーの凹み部によって当該乗員の股開きを抑えることが可能になる。
【0061】
上記の実施形態では、ニーエアバッグの内壁に上部テザーと下部テザーの2つのテザーが接合される場合について例示したが、上部テザーのみを用いる形態や、上部テザー及び下部テザーに加えて更なる別のテザーを用いる形態を採用することもできる。
【0062】
上記の実施形態では、上部テザー及び下部テザーの双方に複数のガス流通開口を設ける場合について例示したが、各テザーにおいてガス流通開口の数は1つであってもよい。
【0063】
上記の実施形態では、上部テザーの幅方向の幅狭部を利用して凹み部を形成する場合について例示したが、上部テザーに幅狭部を設けることなく凹み部を形成することもできる。例えば、上部テザーの幅方向の一方の端部に凹み部を設けるとともに、他方の端部のうち凹み部と幅方向の同一軸線上に該凹み部と同形状の凸部を設けることもできる。この場合、凹み部と凸部との間のテザー幅を他の部位のテザー幅に合わせることによって、幅方向のテザー幅が長手方向について一様になる。
【0064】
上記の実施形態では、上部テザーの中央部に設けられたガス流通開口21aの開口面積がガス流通開口21bの開口面積を下回る場合について例示したが、必要に応じて、ガス流通開口21aの開口面積をガス流通開口21bの開口面積と同一或いはそれ以上に設定することもできる。
【0065】
上記の実施形態では、運転席シートに着座する乗員に対して使用されるニーエアバッグ装置について例示したが、このニーエアバッグ装置と同様の装置を、車両の内装部材のうち助手席シートに対応した位置に装着することもできる。
【0066】
また、上記の実施形態や、他の変更例に鑑みた場合、以下のような態様が考えられる。
【0067】
一つの態様として、
「車両に搭載され、ガスの供給を受けて膨張展開して乗員の両膝を拘束するニーエアバッグであって、
当該ニーエアバッグの膨張展開を規制するテザーを備え、
上記テザーは、長手方向に延在する長尺帯状であり、上記長手方向と直交する幅方向の両端部がともにバッグ内壁に接合され、上記両端部のうちの少なくとも一方に上記幅方向に凹んだ凹み部を備え、当該ニーエアバッグの膨張展開時において車両左右方向を上記長手方向として延在し且つ上記凹み部が上記乗員の両膝部と対向するように車両後方側に配置される、ニーエアバッグ。」
という態様を採り得る。
この態様によれば、膨張展開時に乗員の両膝部が外側に開く動作を簡単な構造によって抑えることができるニーエアバッグを提供できる。
【0068】
別の態様として、
「ニーエアバッグ装置と、車両の衝突を検知する衝突検知センサと、上記衝突検知センサが上記車両の衝突を検知したときに上記ニーエアバッグ装置に制御信号を出力する制御ユニットと、を含む乗員保護システムであって、
上記ニーエアバッグ装置は、
上記制御ユニットからの制御信号によって作動してガスを発生するインフレータと、
上記インフレータからのガスの供給を受けて膨張展開して乗員の両膝部を拘束するニーエアバッグと、
上記ニーエアバッグの膨張展開を規制するテザーと、を備え、
上記テザーは、長手方向に延在する長尺帯状であり、上記長手方向と直交する幅方向の両端部において上記ニーエアバッグの内壁に接合されるとともに、上記両端部のうちの少なくとも一方に上記幅方向に凹んだ凹み部を備え、上記ニーエアバッグの膨張展開時において車両左右方向を上記長手方向として延在し且つ上記凹み部が上記乗員の両膝部と対向するように車両後方側に配置される、乗員保護システム。」
という態様を採り得る。
この態様によれば、ニーエアバッグの膨張展開時に乗員の両膝部が外側に開く動作を簡単な構造によって抑えることができるニーエアバッグ装置を備えた乗員保護システムを提供できる。
【符号の説明】
【0069】
1 ニーエアバッグ装置
10 ニーエアバッグ(エアバッグ)
11 第1チャンバー
12 第2チャンバー
13 第3チャンバー
20 テザー
21,121,221,321 上部テザー
21a,21b,21c ガス流通開口
22,23 端部
22a,23a,122a,123a 凹み部
22b,22c 開口端
22d 底面
24 幅狭部
27 下部テザー(テザー)
27a,27b,27c ガス流通開口
28,29 端部
100 車両
L1 第1仮想線
L2 第2仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13