(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御回路は、前記制御端子と前記グランド端子との間の電圧が前記第1の閾値以下の所定の第2の閾値よりも低いことが前記電圧監視回路により検出された場合、前記放電制御トランジスタをオンすることによって前記二次電池の放電を許可する、請求項1に記載の二次電池保護集積回路。
前記制御回路は、前記制御端子と前記グランド端子との間の電圧が前記第1の閾値よりも高いことが前記電圧監視回路により検出された場合、前記スイッチ回路に含まれる充電制御トランジスタをオフすることによって前記二次電池の充電を禁止し、前記寄生電流がながれることにより前記制御端子の電位が前記入力端子の電位よりも低くなることが前記電位比較回路により検出された場合、前記充電制御トランジスタをオンすることによって前記二次電池の充電を許可する、請求項1又は2に記載の二次電池保護集積回路。
前記制御回路は、前記制御端子と前記グランド端子との間の電圧が前記第1の閾値以下の所定の第2の閾値よりも低いことが前記電圧監視回路により検出された場合、前記スイッチ回路に含まれる充電制御トランジスタをオンすることによって前記二次電池の充電を許可する、請求項2又は3に記載の二次電池保護集積回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、制御信号が入力される制御端子CNTを備える二次電池保護集積回路420の構成の一例を示す図である。二次電池保護集積回路420は、過放電等の異常状態が検出された場合、放電制御トランジスタ312をオフすることによって、二次電池500を過放電等の異常状態から保護する回路の一例である。放電制御トランジスタ312及び充電制御トランジスタ311は、二次電池500の負極502と、電子機器430のグランドに接続されるマイナス端子P−との間の充放電電流経路に直列に挿入されている。また、電子機器430は、抵抗分452を有する負荷の一例である。二次電池保護集積回路420、二次電池500、放電制御トランジスタ312及び充電制御トランジスタ311は、電池パック400に内蔵されている。電池パック400は、充放電禁止スイッチ510を介して接続される電子機器430に電力を供給する。
【0005】
制御端子CNTには、充放電禁止スイッチ510のオン状態又はオフ状態に応じて電圧値が変化する制御信号が入力される。充放電禁止スイッチ510がオンすると、制御端子CNTの電圧は、上昇する。制御端子CNTの電圧が所定の充放電禁止モード検出閾値を超えたことが検出回路370により検出された場合、制御回路398は、放電制御トランジスタ312及び充電制御トランジスタ311をオフする。これにより、二次電池500の充放電が禁止される。一方、充放電禁止スイッチ510がオフすると、制御端子CNTの電圧は、低下する。制御端子CNTの電圧が所定の充放電禁止モード復帰閾値以下であることが検出回路370により検出された場合、制御回路398は、放電制御トランジスタ312及び充電制御トランジスタ311をオンする。これにより、二次電池500の充放電が許可される。
【0006】
しかしながら、プルダウン抵抗373が、制御端子CNTとグランド端子VSSとの間に挿入され、且つ、ダイオード451が、制御端子CNTとマイナス端子P−との間に寄生している又は静電気対策用に挿入されている場合がある。この場合、放電制御トランジスタ312のオフにより二次電池500の放電が禁止されている状態(放電禁止状態)であっても、二次電池500からの放電電流437が、正極501、抵抗分452、ダイオード451、制御端子CNT、プルダウン抵抗373、グランド端子VSS、負極502の経路で流れてしまう。
【0007】
プルダウン抵抗373の抵抗値を高くすることで、放電禁止状態での放電電流437の増加を抑制することができる。ところが、プルダウン抵抗373の抵抗値を高くすると、制御端子CNTの電圧が放電電流437により持ち上がるため、充放電禁止スイッチ510がオフされても、放電禁止状態から復帰できないことがある。つまり、制御端子CNTの電圧の持ち上がりによって、制御端子CNTの電圧が充放電禁止モード復帰閾値以下であると検出回路370により検出されない結果、制御回路398は、放電制御トランジスタ312及び充電制御トランジスタ311をオフ状態からオン状態に切り替えできないことがある。
【0008】
そこで、本発明は、制御端子とマイナス端子との間にダイオードが存在しても、放電禁止状態からの復帰を可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの案では、
二次電池の負極と、負荷の
低電位側電源ノードに接続されるマイナス端子との間の充放電電流経路に直列に挿入されるスイッチ回路を制御することによって前記二次電池を保護する二次電池保護集積回路であって、
前記二次電池の正極に接続される電源端子と、
前記二次電池の負極に接続されるグランド端子と、
前記マイナス端子に接続される入力端子と、
制御信号が入力される制御端子と、
前記制御端子と前記グランド端子との間に接続されたプルダウン抵抗と、
前記制御端子と前記グランド端子との間の電圧を監視する電圧監視回路と、
前記制御端子の電位と前記入力端子の電位とを比較する電位比較回路と、
前記制御端子と前記グランド端子との間の電圧が所定の第1の閾値よりも高いことが前記電圧監視回路により検出された場合、前記スイッチ回路に含まれる放電制御トランジスタをオフすることによって前記二次電池の放電を禁止
する制御回路とを備え、
放電が停止すると、前記正極から、前記負荷、前記低電位側電源ノードをアノードとする寄生ダイオード、前記制御端子、前記プルダウン抵抗を介して、前記グランド端子の方向に寄生電流の経路が生成され、
前記制御回路は、前記寄生電流が流れることにより前記制御端子の電位が前記入力端子の電位よりも低
くなることが前記電位比較回路により検出された場合、前記放電制御トランジスタをオンすることによって前記二次電池の放電を許可する
、二次電池保護集積回路が提供される。
【発明の効果】
【0010】
一態様によれば、制御端子とマイナス端子との間にダイオードが存在しても、放電禁止状態から復帰することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0013】
図2は、電池パック100及び電子機器130の一例を示す構成図である。電池パック100は、プラス端子5とマイナス端子6に接続される電子機器130に電力を供給可能な二次電池200と、二次電池200を保護する二次電池保護装置110とを内蔵して備える。電池パック100は、電子機器130に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。電池パック100は、充放電禁止スイッチ210を介して接続される電子機器130に二次電池200の電力を供給する。
【0014】
電子機器130は、電池パック100の二次電池200を電源とする負荷の一例である。電子機器130の具体例として、携帯可能な携帯端末装置などが挙げられる。携帯端末装置の具体例として、携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ゲーム機、テレビ、音楽や映像のプレーヤー、カメラなどの電子機器が挙げられる。
【0015】
二次電池200の具体例として、リチウムイオン電池やリチウムポリマ電池などが挙げられる。
【0016】
二次電池保護装置110は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過放電等から保護する二次電池保護装置の一例である。二次電池保護装置110は、充放電制御回路140と、電池正極接続端子3と、電池負極接続端子4と、プラス端子5と、マイナス端子6と、制御入力端子10とを備える。
【0017】
充放電制御回路140は、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過放電等から保護する充放電制御回路の一例である。充放電制御回路140は、スイッチ回路13と、二次電池保護集積回路120と、抵抗1と、キャパシタ2と、抵抗9と、センス抵抗15とを備える。
【0018】
電池正極接続端子3は、二次電池200の正極201に接続される端子であり、電池負極接続端子4は、二次電池200の負極202に接続される端子である。プラス端子5は、電子機器130の機器プラス端子131に接続される端子の一例であり、機器プラス端子131を介して、電子機器130の機器電源経路141に接続される。マイナス端子6は、電子機器130の機器マイナス端子133に接続される端子の一例であり、機器マイナス端子133を介して、電子機器130の機器グランド139に接続される。制御入力端子10は、電子機器130の制御出力端子132に接続される端子の一例であり、制御出力端子132を介して、電子機器130の制御部134に接続される。
【0019】
電子機器130は、抵抗分152を有する負荷の一例である。電子機器130は、ダイオード151と抵抗分152とを有する制御部134を有する。ダイオード151は、制御出力端子132と機器マイナス端子133との間に寄生している又は静電気対策用に挿入されている素子である。ダイオード151のアノードは、機器マイナス端子133に接続され、機器マイナス端子133を介して、マイナス端子6及び入力端子95に接続される。ダイオード151のカソードは、制御出力端子132に接続され、制御出力端子132を介して制御端子96に接続される。
【0020】
電池正極接続端子3とプラス端子5とは、プラス側電源経路8によって接続され、電池負極接続端子4とマイナス端子6とは、マイナス側電源経路7によって接続される。プラス側電源経路8は、電池正極接続端子3とプラス端子5との間の充放電電流経路の一例であり、マイナス側電源経路7は、電池負極接続端子4とマイナス端子6との間の充放電電流経路の一例である。
【0021】
二次電池保護装置110は、スイッチ回路13を備える。スイッチ回路13は、第1のマイナス側接続点7aと第2のマイナス側接続点7bとの間のマイナス側電源経路7に直列に挿入される。スイッチ回路13は、例えば、充電制御トランジスタ11と放電制御トランジスタ12とが直列に接続された直列回路である。充電制御トランジスタ11のオフにより、二次電池200の充電電流が流れるマイナス側電源経路7が遮断され、二次電池200の充電電流の流れが禁止される。放電制御トランジスタ12のオフにより、二次電池200の放電電流が流れるマイナス側電源経路7が遮断され、二次電池200の放電電流の流れが禁止される。
【0022】
充電制御トランジスタ11と放電制御トランジスタ12は、それぞれ、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。充電制御トランジスタ11は、充電制御トランジスタ11の寄生ダイオードの順方向が二次電池200の放電電流の流れる方向に一致するようにマイナス側電源経路7に挿入される。放電制御トランジスタ12は、放電制御トランジスタ12の寄生ダイオードの順方向が二次電池200の充電電流の流れる方向に一致するようにマイナス側電源経路7に挿入される。
【0023】
二次電池保護装置110は、二次電池保護集積回路120を備える。二次電池保護集積回路120は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過電流等から保護する二次電池保護集積回路の一例である。二次電池保護集積回路120は、二次電池200から給電されて二次電池200を保護する。
【0024】
二次電池保護集積回路120は、例えば、電源端子91と、グランド端子92と、充電制御端子93と、放電制御端子94と、入力端子95と、制御端子96と、電流検出端子97とを備える。
【0025】
電源端子91は、プラス側接続点8a及び電池正極接続端子3を介して二次電池200の正極201に接続される正極側電源端子であり、VDD端子と呼ばれることがある。電源端子91は、例えば、プラス側電源経路8に一端が接続される抵抗1の他端と、マイナス側電源経路7に一端が接続されるキャパシタ2の他端との接続点に接続される。キャパシタ2の一端は、電池負極接続端子4と放電制御トランジスタ12との間のマイナス側電源経路7に第1のマイナス側接続点7aで接続される。
【0026】
グランド端子92は、第1のマイナス側接続点7a及び電池負極接続端子4を介して二次電池200の負極202に接続される負極側電源端子であり、VSS端子と呼ばれることがある。グランド端子92は、マイナス側電源経路7に第1のマイナス側接続点7aで接続され、放電制御トランジスタ12のソースに接続される。
【0027】
充電制御端子93は、二次電池200の充電を禁止する信号を出力する端子であり、COUT端子と呼ばれることがある。充電制御端子93は、充電制御トランジスタ11の制御電極(例えばMOSFETの場合、ゲート)に接続される。
【0028】
放電制御端子94は、二次電池200の放電を禁止する信号を出力する端子であり、DOUT端子と呼ばれることがある。放電制御端子94は、放電制御トランジスタ12の制御電極(例えば、MOSFETの場合、ゲート)に接続される。
【0029】
入力端子95は、電子機器130の機器グランド139に接続されるマイナス端子6に接続される端子であり、V−端子と呼ばれることがある。入力端子95は、マイナス端子6と充電制御トランジスタ11との間のマイナス側電源経路7に抵抗9を介して第2のマイナス側接続点7bで接続される。入力端子95は、抵抗9を介して、充電制御トランジスタ11のソースに接続される。
【0030】
制御端子96は、マイナス端子6を基準電位とする制御信号が制御入力端子10を介して入力される端子であり、CNT端子と呼ばれることがある。制御入力端子10は、制御出力端子132に接続される。
【0031】
電流検出端子97は、二次電池保護集積回路120が使用する電流検出端子の一例である。電流検出端子97は、センス抵抗15に対して第1のマイナス側接続点7aとは反対側の第3のマイナス側接続点7cでマイナス側電源経路7に接続される端子であり、CS端子と呼ばれることがある。センス抵抗15は、マイナス側電源経路7に直列に挿入される電流検出抵抗である。センス抵抗15の一端は、第1のマイナス側接続点7aを介して二次電池200の負極202及びグランド端子92に接続され、センス抵抗15の他端は、第3のマイナス側接続点7cを介してトランジスタ12のソース及び電流検出端子97に接続される。
【0032】
二次電池保護集積回路120は、二次電池200の保護動作を行う。二次電池保護集積回路120は、異常検出回路21と、制御回路98とを備える。異常検出回路21は、二次電池200の電流又は電圧の異常を検出する手段の一例である。制御回路98は、異常検出回路21による異常検出結果に基づいて、スイッチ回路13のトランジスタ11,12のオンオフを制御するスイッチ制御回路を有する。制御回路98及びスイッチ制御回路は、例えば、論理回路によって構成される。
【0033】
制御回路98は、例えば、二次電池200を過充電から保護する動作(過充電保護動作)を行う。例えば、異常検出回路21は、電源端子91とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、二次電池200の電池電圧(セル電圧)を監視する。異常検出回路21は、所定の過充電検出電圧Vdet1以上のセル電圧を検知することにより、二次電池200の過充電が検出されたとして、過充電検出信号を出力する。
【0034】
過充電検出信号を検知した制御回路98は、所定の過充電検出遅延時間tVdet1の経過を待って、トランジスタ11をオフさせるローレベルの制御信号を充電制御端子93から出力する過充電保護動作を実行する。トランジスタ11がオフされることにより、トランジスタ12のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の充電が禁止され、二次電池200が過充電されることを防止することができる。
【0035】
制御回路98は、例えば、二次電池200を過放電から保護する動作(過放電保護動作)を行う。例えば、異常検出回路21は、電源端子91とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、二次電池200の電池電圧(セル電圧)を監視する。異常検出回路21は、所定の過放電検出電圧Vdet2以下のセル電圧を検知することにより、二次電池200の過放電が検出されたとして、過放電検出信号を出力する。
【0036】
過放電検出信号を検知した制御回路98は、所定の過放電検出遅延時間tVdet2の経過を待って、トランジスタ12をオフさせるローレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する過放電保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の放電が禁止され、二次電池200が過放電されることを防止することができる。
【0037】
一方、異常検出回路21は、所定の過放電復帰電圧Vrel2以上のセル電圧を検知することにより、二次電池200が過放電状態から通常状態に復帰したとして、過放電復帰信号を出力する(「過放電検出信号の出力を停止する」としてもよい)。過放電復帰電圧Vrel2は、過放電検出電圧Vdet2よりも高い。
【0038】
過放電復帰信号を検知した制御回路98は(あるいは、過放電検出信号の出力の停止を検知した制御回路98は)、トランジスタ12をオンさせるハイレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する。トランジスタ12のオンにより、過放電保護動作が終了する。
【0039】
制御回路98は、例えば、二次電池200を放電過電流から保護する動作(放電過電流保護動作)を行う。例えば、異常検出回路21は、センス抵抗15に流れる電流によって電流検出端子97とグランド端子92との間に発生するセンス電圧を検出する。異常検出回路21は、所定の放電過電流検出電圧Vdet3以上のセンス電圧を検知することにより、マイナス側電源経路7に二次電池200の放電方向に流れる異常電流である放電過電流が検出されたことを表す放電過電流検出信号を出力する。
【0040】
放電過電流検出信号を検知した制御回路98は、所定の放電過電流検出遅延時間tVdet3の経過を待って、トランジスタ12をオフさせるローレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する放電過電流保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の放電が禁止され、二次電池200を放電する方向に過電流が流れることを防止することができる。
【0041】
制御回路98は、例えば、二次電池200を充電過電流から保護する動作(充電過電流保護動作)を行う。例えば、異常検出回路21は、センス抵抗15に流れる電流によって電流検出端子97とグランド端子92との間に発生するセンス電圧を検出する。異常検出回路21は、所定の充電過電流検出電圧Vdet4以下のセンス電圧を検知することにより、マイナス側電源経路7に二次電池200の充電方向に流れる異常電流である充電過電流が検出されたことを表す充電過電流検出信号を出力する。
【0042】
充電過電流検出信号を検知した制御回路98は、所定の充電過電流検出遅延時間tVdet4の経過を待って、トランジスタ11をオフさせるローレベルの制御信号を充電制御端子93から出力する充電過電流保護動作を実行する。トランジスタ11がオフされることにより、トランジスタ12のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の充電が禁止され、二次電池200を充電する方向に過電流が流れることを防止することができる。
【0043】
制御回路98は、例えば、トランジスタ12を制御することで二次電池200を短絡電流から保護する動作(短絡保護動作)を行う。異常検出回路21は、例えば、所定の第1の短絡検出電圧Vshort1以上の電圧を電流検出端子97とグランド端子92との間で検知した場合、プラス端子5とマイナス端子6との間の短絡異常が検出されたことを表す短絡検出信号を出力する。或いは、異常検出回路21は、例えば、所定の第2の短絡検出電圧Vshort2以上の電圧を入力端子95とグランド端子92との間で検知した場合、プラス端子5とマイナス端子6との間の短絡異常が検出されたことを表す短絡検出信号を出力する。第2の短絡検出電圧Vshort2は、第1の短絡検出電圧Vshort1よりも十分大きい。
【0044】
短絡検出信号を検知した制御回路98は、トランジスタ12をオフさせるローレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する短絡保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオン状態及びオフ状態にかかわらず、二次電池200の放電が禁止され、二次電池200を放電する方向に短絡電流が流れることを防止することができる。
【0045】
二次電池保護集積回路120は、プルダウン抵抗73と、電圧監視回路70と、電位比較回路80とを備える。プルダウン抵抗73は、制御端子96とグランド端子92との間に挿入接続されている。電圧監視回路70は、制御端子96とグランド端子92との間の電圧を監視する。電圧監視回路70は、例えば、閾値電圧72を生成する閾値電圧生成回路と、コンパレータ71とを有する。電位比較回路80は、制御端子96の電位と入力端子95の電位とを比較するコンパレータを有する。
【0046】
制御端子96には、充放電禁止スイッチ210のオン状態又はオフ状態に応じて電圧値が変化する制御信号が入力される。充放電禁止スイッチ210がオンすると、制御端子96とグランド端子92との間の電圧は、上昇する。制御端子96とグランド端子92との間の電圧が充放電禁止モード検出閾値(所定の第1の閾値の一例)を超えたことが電圧監視回路70のコンパレータ71により検出された場合、制御回路98は、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11をオフする。これにより、二次電池500の充放電が禁止される。一方、充放電禁止スイッチ210がオフすると、制御端子96とグランド端子92との間の電圧は、低下する。制御端子96とグランド端子92との間の電圧が所定の充放電禁止モード復帰閾値(第1の閾値以下の所定の第2の閾値の一例)以下であることが電圧監視回路70のコンパレータ71により検出された場合、制御回路98は、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11をオンする。これにより、二次電池500の充放電が許可される。
【0047】
電子機器130のダイオード151は、制御出力端子132と機器マイナス端子133との間に寄生している又は静電気対策用に挿入されている素子である。ダイオード151のアノードは、機器マイナス端子133に接続され、機器マイナス端子133を介して、マイナス端子6及び入力端子95に接続される。ダイオード151のカソードは、制御出力端子132に接続され、制御出力端子132を介して制御端子96に接続される。
【0048】
ダイオード151が、制御端子96とマイナス端子6との間に存在しない場合、制御端子96はプルダウン抵抗73でグランド端子92にプルダウンされているので、制御回路98は、充放電禁止状態から復帰できる。つまり、制御回路98は、制御端子96とグランド端子92との間の電圧が所定の充放電禁止モード復帰閾値以下であると電圧監視回路70のコンパレータ71により検出されるので、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11をオンできる。
【0049】
一方、ダイオード151が制御端子96とマイナス端子6との間に存在する場合、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11がオフされている状態では、
図3のように、二次電池200からの放電電流137が流れる。
【0050】
図3は、充放電禁止スイッチ210、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11がオフされている状態で、ダイオード151が存在する場合の等価回路図である。制御端子96の電圧は、二次電池200からの放電電流137と抵抗152とプルダウン抵抗73とによって決定される。したがって、プルダウン抵抗73の抵抗値が比較的高いと、制御端子96とグランド端子92との間の電圧が放電電流137により過度に持ち上がる。そのため、充放電禁止スイッチ210がオフされても、電圧監視回路70が、制御端子96とグランド端子92との間の電圧が充放電禁止モード復帰閾値以下であると検出できないため、充放電禁止状態から復帰できないことがある。しかし、放電電流137が流れると、制御端子96の電位は、入力端子95又はマイナス端子6の電にに対して、ダイオード151の順方向電圧分低い状態となる。
【0051】
そこで、制御回路98は、制御端子96の電位が入力端子95の電位よりも低いことが電位比較回路80により検出された場合、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11をオンすることによって二次電池200の充放電を許可する。これにより、充放電禁止状態から復帰可能となる。
【0052】
図4は、制御回路98の状態遷移図である。
【0053】
通常状態S10で、制御回路98は、COUT端子及びDOUT端子をハイレベルにすることによって、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11をオンする。通常状態S10で、制御回路98は、異常検出回路21が所定の過放電検出電圧Vdet2よりも低いセル電圧を検知することにより、COUT端子をハイレベル、DOUT端子をローレベルとする。これにより、制御回路98の動作状態は、放電制御トランジスタ12がオフされた過放電検出状態S20に遷移する。過放電検出状態S20で、制御回路98は、異常検出回路21が所定の過放電復帰電圧Vrel2よりも高いセル電圧を検知することにより、COUT端子をハイレベル、DOUT端子をハイレベルとする。これにより、制御回路98の動作状態は、通常状態S10に遷移する。
【0054】
通常状態S10で、制御端子96の電圧が充放電禁止モード検出閾値を超えたことが電圧監視回路70により検出された場合(CNT=H)、制御回路98は、COUT端子及びDOUT端子をローレベルにすることによって、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11をオフする。これにより、制御回路98の動作状態は、充放電禁止状態S30に遷移する。
【0055】
充放電禁止状態S30で、制御端子96とグランド端子92との間の電圧が充放電禁止モード復帰閾値以下であることが電圧監視回路70により検出された場合(CNT=L)、又は、制御端子96の電位が入力端子95の電位よりも低いことが電位比較回路80により検出された場合(CNT<V−)、制御回路98は、COUT端子及びDOUT端子をハイレベルにする。これにより、放電制御トランジスタ12及び充電制御トランジスタ11がオンされ、制御回路98の動作状態は、通常状態S10に遷移する。
【0056】
充放電禁止状態S30で、制御回路98は、異常検出回路21が所定の過放電検出電圧Vdet2よりも低いセル電圧を検知することにより、COUT端子をハイレベル、DOUT端子をローレベルとする。これにより、制御回路98の動作状態は、過放電検出状態S20に遷移する。
【0057】
したがって、本実施形態によれば、電子機器130側のダイオード151の有無にかかわらず、充放電禁止スイッチ210のオン又はオフにより、二次電池200の充放電の許否を制御することができる。また、電子機器130側の構成を変えることなく、放電禁止状態からの復帰を可能にすることができ、電池パック100の消費電流も抑制することができる。
【0058】
また、
図5に示されるように、プラス端子5とマイナス端子6との間の短絡異常211が検出された場合、上述の通り、制御回路98は、放電制御トランジスタ12をオフする(放電禁止状態)。短絡異常211による放電禁止状態でも、ダイオード151が存在する場合、制御端子96とグランド端子92との間の電圧は持ち上がる。そのため、電圧監視回路70は、制御端子96とグランド端子92との間の電圧が充放電禁止モード検出閾値を超えたと検出し、充放電禁止モードを誤検出するおそれがある。
【0059】
しかし、短絡異常211による放電禁止状態では、制御端子96の電位は、ダイオード151の順方向電圧分、入力端子95の電位に対して低くなる(
図6参照)。電位比較回路80によるダイオード検出機能によって、この制御端子96の電位の低下を検出可能となるので、充放電禁止モードの誤検出がなくなる。
【0060】
以上、二次電池保護集積回路を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。