(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブラシユニットは、複数本の前記ブラシ毛材、及び前記ブラシ毛材の基部が固定される円盤状の保持盤、及び前記保持盤を前記底面方向に移動可能に収容する円筒形状のブラシケース、を含む研磨ブラシと、
前記ブラシケースの天面中央に一端が固定された主軸及び前記主軸を回転させる機構を備える回転機構と、
前記保持盤の中央に一端が固定され、前記主軸の円形断面中央に貫通して設けられた貫通穴に摺動可能に挿通された副軸及び前記副軸を長手方向に移動させる下降機構を備える突出長調整機構と、を備え、
前記主軸の回転による前記主軸を軸心とした前記研磨ブラシの回転と、前記副軸の移動による前記ブラシ毛材の突出長さの調整と、を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のブラシ研磨装置。
【背景技術】
【0002】
ブラシ研磨装置は、面粗度調整、表層のマイクロクラックや微細孔の除去、バリ取り、形状調整、塗装皮膜等の皮膜の除去、等で広く用いられている。研磨ブラシは、回転軸を中心に外縁方向に向かってブラシ毛材を放射状に配設したタイプと、回転軸の先端に固定されたブラシケースの底面から下方に向かってブラシ毛材が露出しているタイプと、がある。後者のタイプの研磨ブラシはブラシ毛材の先端が、被加工面に対して水平回転することで研磨が行われるので、平面部の研磨に適している。
【0003】
前述の「ブラシケースの底面から下方に向かってブラシ毛材が露出している」タイプの研磨ブラシは、底面からの突出長さによって仕上がり程度が異なるため、複数のワークを研磨する場合、突出長さを常に一定となるように補正する必要がある。このタイプの研磨ブラシにおいて、ブラシ毛材の突出長さを調整できる構成の研磨ブラシが特許文献1に開示されている。この研磨ブラシは、ブラシ毛材が摩耗したら複数のブラシ毛材が束ねられた複数本の研磨具が固定されたブラシホルダを作業者が動かすことでブラシ毛材の突出長さを補正する構造のため、所定時間毎にブラシ研磨装置の作動を止める必要がある。
【0004】
特許文献2には、ブラシ毛材の突出長さを自動で補正するための機構を備えたブラシ研磨装置が開示されている。このブラシ研磨装置は、ブラシの先端が接触したか否かを判定するための手段を備えている。また、研磨具が固定されたブラシホルダは、ステッピングモータに連結されている。突出長さの調整は、研磨ブラシを前記測定手段まで移動させた後、ブラシホルダを前進させる。そして、ブラシ毛材の先端が接触したら、ブラシホルダを後退させる。ブラシホルダの前進及び後退はステッピングモータで行われるので、パルス数から前進距離及び後退距離を算出できる。これらの距離の差によって、突出長さを調整することができる。
【0005】
特許文献2の構成では、研磨ブラシを測定手段付近まで移動させるための機構(明細書では、「サーボモータがそれぞれ連結された第1及び第2のテーブル」と記載)が必要となることや、ワークの配置位置に制限が生じるなど、装置が複雑な構成となる。また、ブラシの先端が接触したか否かの判定は機械式のスイッチにブラシ毛材を接触させるので、このスイッチにはブラシ研磨時の切削粉や遊離砥粒で研磨した場合の砥粒などが付着し、測定手段の故障の原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の問題を鑑み、本発明は、ワーク毎の仕上がり程度の誤差を少なくするために、簡便な構成でブラシ毛材の突出長さを補正できる機構を備えたブラシ研磨装置およびこの研磨ブラシ装置を用いた研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面のブラシ研磨装置は、ワークの被加工面にブラシ毛材の先端が接触・回転して研磨するブラシ研磨装置である。前記ブラシ研磨装置は、ブラシユニットと、移動機構と、ワーク固定ユニットと、制御手段を備える。ブラシユニットは、底面にブラシ毛材の先端が露出された研磨ブラシ、及び研磨ブラシを被加工面に対して水平回転させる機構、及び研磨ブラシのブラシ毛材の先端が底面から突出する長さを予め設定した長さに自動で調整する機構、を備える。移動機構は、ブラシユニットを被加工面に対して水平方向に相対的に移動する。ワーク固定ユニットは、ワークを固定する。制御手段は、研磨条件を演算すると共に、ブラシ研磨装置の動作信号を各ユニットに出力する。
そして、ブラシ毛材が当接可能な面である調整面から予め設定された突出長さ離れた位置である調整位置に前記研磨ブラシの底面が位置するようにし、前記ブラシ毛材を前記調整面に向かって前進させ、ブラシ毛材の先端が調整面に当接したことによる負荷の変化が予め設定した値となったらブラシ毛材の前進が停止することでブラシ毛材の突出長さの調整を行う構成である。
【0009】
そして、この研磨ブラシによるブラシ研磨方法は、セット工程と、突出長さ調整工程と、ブラシ位置設定工程と、研磨工程と、を備える。セット工程は、ワークをワーク固定ユニットに固定する。突出長さ調整工程は、ブラシ毛材が前記研磨ブラシのブラシ毛材の先端が底面からの突出長さを予め設定した長さに自動で調整する。ブラシ位置設定工程は、研磨ブラシの先端が予め設定された切り込み量の長さだけ被加工面方向に押し付けられるように研磨ブラシを被加工面方向に前進させる。研磨工程は、研磨ブラシを水平回転させると共に研磨ブラシを被加工面に対して相対的に水平移動するように前記ブラシユニットまたは前記ワーク固定ユニットの少なくとも何れかを移動しながら研磨する。
そして、突出長さ調整工程は、研磨ブラシの底面が調整位置に位置するように研磨ブラシを移動する工程と、ブラシ毛材が調整面に向けて前進する工程と、ブラシ毛材が調整面に接触したことによる負荷の変化が予め設定した値となったらブラシ毛材の前進が停止する工程と、を備える。
【0010】
一側面のブラシ研磨装置及びブラシ研磨方法は、ブラシユニットは、ブラシ毛材の突出長さを自動で調整する構成であるので、複数のワークを研磨する場合、常に同じ仕上がり程度が得られる。また、突出長さを調整する機構は、研磨ブラシの底面が調整面から所望の突出長さだけ離れるように位置させ、ブラシ毛材を調整面に当接するまで前進させる。本発明の構成では、先行技術のように機械式のスイッチを用いなくてよいので、突出長調整工程においてブラシ毛材が調整面に接触する際にブラシ研磨時の切削粉や遊離砥粒を用いてで研磨した場合の砥粒などがブラシ毛材の突出長さを調整する機構に付着して故障することがない。
【0011】
また、一実施形態の研磨ブラシは、ブラシユニットに隣接される高さ位置測定器を更に備え、高さ位置測定器はワークにおけるブラシ毛材の先端に対向する面である調整面の高さ位置を検出してその高さ位置を制御手段に出力し、制御手段は、高さ位置に基づいて調整位置を演算する構成としてもよい。
【0012】
そして、この研磨ブラシによるブラシ研磨方法は、セット工程と、高さ位置測定工程と、突出長さ調整工程と、ブラシ位置設定工程と、研磨工程と、を備える。セット工程は、ワークをワーク固定ユニットに固定する。高さ位置測定工程は、高さ位置測定器で調整面の高さ位置を測定する。突出長さ調整工程は、ブラシ毛材が研磨ブラシのブラシ毛材の先端が底面からの突出長さを予め設定した長さに自動で調整する。ブラシ位置設定工程は、高さ位置の測定結果に基づいて研磨ブラシの先端が予め設定された切り込み量の長さだけ調整面である被加工面方向に押し付けられるように研磨ブラシを前進させる。研磨工程は、研磨ブラシを水平回転させると共に研磨ブラシを被加工面に対して相対的に水平移動するようにブラシユニットまたはワーク固定ユニットの少なくとも何れかを移動する。
そして、突出長さ調整工程は、予め設定する突出長さ及び高さ位置測定工程で測定した調整面の高さ位置を制御手段にそれぞれ入力する工程と、制御手段に入力された突出長さ及び高さ位置より研磨ブラシを前後進させる距離を演算する工程と、演算の結果に基づいて研磨ブラシが移動する工程と、ブラシ毛材が被加工面に向けて前進する工程と、ブラシ毛材が調整面に当接したことによる負荷の変化が予め設定した値となったらブラシ毛材の前進が停止する工程と、を備えてもよい。
【0013】
一実施形態のブラシ研磨装置及びブラシ研磨方法は、高さ位置測定器で被加工面の高さ位置を測定するように構成される。この構成により、複数のワークを研磨する場合にそれぞれのワークの寸法に誤差があっても、常に同じ切り込み量で研磨することができる。また、ワークにおけるブラシ毛材の先端に対向する面を調整面とすることで、ワークの高さ位置の測定と共にブラシ毛材の突出長さの調整を行うことが出来る。
【0014】
また、一実施形態のブラシ研磨装置のブラシユニットは、研磨ブラシと、回転機構と、突出長調整機構と、を備える。研磨ブラシは、複数本のブラシ毛材、及びブラシ毛材の基部が固定される円盤状の保持盤、及び保持盤を底面方向に移動可能に収容する円筒形状のブラシケース、を含む。回転機構は、ブラシケースの天面中央に一端が固定された主軸及び主軸を回転させる機構を備える。突出長調整機構は、保持盤の中央に一端が固定され、主軸の円形断面中央に貫通して設けられた貫通穴に摺動可能に挿通された副軸及び副軸を長手方向に移動させる下降機構を備える。
そして、主軸の回転による主軸を軸心とした研磨ブラシの回転と、副軸の移動によるブラシ毛材の突出長さの調整と、を行うように構成してもよい。突出長さの調整と研磨ブラシの回転を同じ軸心で行うことが出来るので、研磨ブラシの際に偏心によるブレが生じない。これにより安定してワークを研磨することが出来る。
【0015】
また、一実施形態のブラシ研磨装置の下降機構は、ブラシ毛材が移動する際のトルクの変化を検知できるモータ、またはブラシ毛材が移動する際に副軸に負荷される荷重の変化を検知できるセンサ、のいずれかを含んでもよい。複雑な構成を必要とせず、ブラシ毛材の突出長さを調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
一側面または一実施形態の構成により、研磨ブラシの底面からのブラシ毛材の突出量を自動で調整することができるブラシユニットを備えたブラシ研磨装置を提供することができる。これにより、複数のワークを研磨しても、その仕上がり程度のバラツキを少なくするブラシ研磨方法を提供ことができる。
【0017】
この出願は、日本国で2014年8月5日に出願された特願2014−159187号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明により更に完全に理解できるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、当業者にとって明らかだからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本明細書あるいは請求の範囲の記載において、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書中で提供されたいずれの例示または例示的な用語(例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説明し易くするという意図であるに過ぎず、特に請求の範囲に記載しない限り本発明の範囲に制限を加えるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るブラシ研磨装置の一実施形態を、図を用いて説明する。本発明は以下の実施形態に限定されず、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加えることができる。なお、以下の説明における「上下左右の方向」は、特に断りのない限り図中の方向を指す。
【0020】
図1に、本実施形態のブラシ研磨装置を示す。本実施形態のブラシ研磨装置01は、複数台のブラシユニット10を備えた研磨ユニット20と、ワークWを挟持するワーク固定ユニット30と、ワーク固定ユニット30で挟持する際にワークWを載置する載置ユニット40と、ブラシ研磨装置01の作動を制御する制御手段50と、ブラシ研磨装置01の作動を操作する操作部60と、筐体70と、を備えている。
【0021】
研磨ユニット20は、移動ベース21と、移動ベース21に垂直に固定された固定プレート22と、移動ベース21に固定された移動機構23と、ワークWにおける後述の研磨ブラシ11の先端に対向する面(本実施形態では上面)の高さ位置を測定するための高さ位置測定器24と、固定プレート22に固定された3台のブラシユニット10と、を備えている。移動機構23は、モータ23a及びギヤ(図示せず)を備えている。筐体70には、前述のギヤと噛合可能な歯を有する長細いレール71が、同図左右方向に向かって配置されている。モータ23aを作動させるとレール71に沿って研磨ユニット20を移動させることができる。
【0022】
ブラシユニット10は、互いに平行となるように固定プレート22に3台連設されている。ブラシユニット10の構成の詳細は後述するが、下端部には底面にブラシ毛材の先端が突出した研磨ブラシ11が固定されている。研磨ブラシ11の研磨力は、3台のブラシユニット10毎に異なり、
図1では左にいくにつれ研磨力が大から小となるように配置されている。
【0023】
高さ位置測定器24は、ワークWの上面(本実施形態ではこの面を調整面とした)の高さ位置を測定する。測定方式は、接触式、非接触式の何れをも選択することができる。本実施形態では、接触式のタイプを選択した。
【0024】
ワーク固定ユニット30は、挟持軸32A、32Bを有するシリンダ31A、31Bと、挟持軸32A、32Bの先端にそれぞれ固定された挟持部33A、33Bと、を備えている。シリンダ31A、31Bを作動させて挟持軸32A、32Bを伸縮させて挟持部33A、33Bを載置ユニットに載置されたワークに向けて前進し、挟持部33A、33BによりワークWの両端を挟持することで、ワークWを挟持する。また、ワーク固定ユニット30は図示しないワーク回転機構を連結して、挟持軸32A、32Bを軸心にワークWを回転させる構成とすると、ワークWの複数の被加工面を自動で研磨することができる。
【0025】
載置ユニット40は、載置部材41と、載置部材41を昇降させるためのワーク昇降機構42と、を備えている。載置部材41はワークWをワーク固定ユニット30で挟持する際にワークWを載置する部材であり、その際にワークWが動かないように載置できればその形態は特に限定されない。本実施形態では
図3に示すようなV字形状の切り欠き41aと、矩形の切り欠き41bと、を有する形状とした。このような形状とすることで、
図3(B)に示すように、ワークWが四角柱形状、円柱形状のいずれの場合でも良好に載置することができる。また、四角柱形状の場合、加工面(上面)が平面の場合でも稜角面の場合でも良好に載置することができる。
【0026】
制御手段50は、高さ位置測定器24によるワークWの高さ位置の測定結果に基づいて演算を行い、その結果に基づいて研磨ユニット20の動作を制御する信号を出力する。また、予め入力された研磨条件に基づいて研磨ユニット20、ワーク固定ユニット30、載置ユニット40の動作を制御する信号を各ユニットに出力する。制御手段50は、パーソナルコンピュータなどの各種演算装置、プログラマルロジックコントローラ(PLC)及びデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのモーションコントローラ、高機能携帯端末及び高機能携帯電話、等を用いることができる。
【0027】
操作部60は制御手段50に連結されており、ブラシ研磨装置01の作動を作業者が制御手段50に入力することができる。また、LCDディスプレイを配置してブラシ研磨装置01の作動状況や研磨条件等を確認することができる。また、LCDディスプレイに変えてタッチパネルディスプレーを使用することで、制御手段50に研磨条件を入力できる構成としてもよい。
【0028】
筐体70は、前面に開閉扉(図示せず)を備え、内部の空間がブラシ研磨を行う加工室を形成する箱形状である。研磨ユニット20、ワーク固定ユニット30、載置ユニット40、制御手段50、が収容されており、表面には操作部60が配置されている。
【0029】
次に、ブラシユニット10について、さらに
図2を用いて詳細に説明する。ブラシユニット10は、底面(底板11eの下面)でブラシ毛材の先端が突出した研磨ブラシ11と、研磨ブラシ11を被加工面に対して水平回転させる回転機構12と、研磨ブラシ11におけるブラシ毛材の突出長さを調整する突出長調整機構13と、研磨ブラシ11及び回転機構12及び突出長調整機構13を昇降させる昇降機構14と、研磨ブラシ11を下降させた際の下降端を調整する下降端調整機構15と、を備える。
【0030】
研磨ブラシ11は、複数本のブラシ毛材を束ねてその基部に金属製のブラシホルダ11bを取り付けた複数本(本実施形態では10本)の研磨具11aと、研磨具11aが着脱自在に固定される円盤形状の保持盤11cと、上端面が閉止され下端面に底板11eが固定されているブラシケース11dと、を備えている。底板11eには、研磨具11aが通過できる複数個の穴が設けられている。
【0031】
ブラシ毛材は、基体であるポリエステル樹脂やナイロン樹脂等の合成樹脂に所定量の砥粒を含有させたモノフィラメントとした。特にポリエステル樹脂を基体とすると、毛腰が強く研磨力が高いブラシ毛材が得られるので、シリコンブロックやセラミックスや水晶等の硬脆材料の研磨に好適に用いることができる。ポリエステル樹脂は、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリメチレンナフタレート、ポリテトラメチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、及びこれらを主成分とする共重合ポリエステル、等を選択することができる。
【0032】
砥粒は、ワークWの性状及び目的とする加工程度に合わせて材質や粒度を選択することができる。例えば、前述の硬脆材料を研磨する場合は、ダイヤモンド粒子を用いると好適に研磨することができる。ダイヤモンド粒子は、ニッケルまたはニッケルを主成分とする合金でコーティングされている。コーティングにより、前記の合成樹脂との結合力が強くなるので、研磨中にダイヤモンド粒子がブラシ毛材より脱落しにくくなる。ダイヤモンド粒子の大きさは、小さすぎると十分な研磨力が得られず、大きすぎるとブラシ毛材の強度が低下して折れやすくなる。ダイヤモンドの粒子径は、平均粒子径が5μm〜150μmとするとよい。また、砥粒の含有量も同様の理由から、ブラシ毛材100重量部に対して10重量部〜40重量部とするとよい。
【0033】
ブラシ毛材の断面形状は、円形、楕円形、三角形、矩形、その他の異型、等形状は特に限定されない。本実施形態では、断面形状を円形とした。ブラシ毛材の太さは、細すぎると毛腰が弱くなりすぎて十分な研磨力が得られない、または折れやすくなるといった問題が生じる。太すぎると研磨力が強くなり過ぎて、被加工面の面粗度の調整が困難となる。断面形状が円形の場合、直径を0.4mm〜1.0mmより選択するとよい。
【0034】
保持盤11cの下面には、円形中心点を中心として放射状に等間隔で研磨具11aを固定できる凹部が設けられている。ブラシホルダ11bを凹部に嵌合し、保持盤11cの側面より研磨具11aを保持盤11cにボルト(図示せず)で固定する。
【0035】
保持盤11cはブラシケース11d内で上下方向に移動可能に収容されている。底板11eには、研磨具11aが通過可能な穴が設けられているので、保持盤11cを上下方向に移動させることで、底面(底板11eの下面)からのブラシ毛材の突出長さを調整することができる。
【0036】
研磨ブラシ11を水平回転させる回転機構12は、下端面が研磨ブラシ11の天面中央に固定される主軸12aと、回転モータ12bと、回転モータ12bの回転力を主軸12aに伝達する回転力伝達機構12cと、を備えている。回転力伝達機構12cは、例えば主軸12aの上端及び回転モータ12bの回転軸にそれぞれ固定されたプーリと、プーリ同士に架け渡されたベルトと、を備えている。回転モータ12bを作動させると、回転力伝達機構12cを介して回転モータ12bの回転が主軸12aに伝達されるので、研磨ブラシ11は主軸12aを軸心に回転する。
【0037】
研磨ブラシ11底面からのブラシ毛材の突出長さを調整する突出長調整機構13は、下端面が保持盤11cの上面中央に固定された副軸13aと、副軸13aを下降させる力を発生させる下降機構13bと、副軸13a及び下降機構13bを連結する連結部材13cと、を備えている。副軸13aは、主軸12aの円形断面中央に貫通して設けられた貫通孔に上下方向に摺動可能に、且つ主軸12aの回転に従動して回転するように挿通されている。
【0038】
下降機構13bは、副軸13a即ち研磨具11aを下降させてブラシ毛材の突出長さの調整を行う。ブラシ毛材の突出長さの調整は、調整面に向けてブラシ毛材を下降させていき、ブラシ毛材が調整面に接触することにより生じる負荷を検知する方式によって行ってもよい。また別の方式として、ブラシ毛材が調整面に接触しても予め設定した負荷に達するまでは下降するが、設定した負荷に達した以降は下降しない方式でおこなってもよい。本実施形態では、前者の方式を用いた場合について説明する。この場合、下降機構13bは、ブラシ毛材を下降させ、且つこの負荷を検知することができればよい。例えば、トルクの変化を検知できるモータ(サーボモータ等)を連結したボールネジ機構を用いてブラシ毛材が調整面に接触した際のトルクの変化を検知する構成としてもよい。また別の構成として、荷重の変化を検知できるセンサ(ロードセル)及び電動シリンダを組み合わせた機構を用いてブラシ毛材が調整面に接触した際の荷重の変化を検知する構成としてもよい。本実施形態では、サーボモータ13dを連結したボールネジ機構13eを用いてブラシ毛材が調整面に接触した際のトルクの変化を検知する構成とした。
【0039】
連結部材13cは、一端側が下降機構13bに固定されており、他端側は副軸13aを上下方向に移動可能に、且つ副軸13aの回転に従動しないように固定されている。
【0040】
研磨ブラシ11を昇降させる昇降機構14は、昇降軸14bを有するシリンダ14aと、昇降軸14bの先端が固定されているベース14cと、を含んでいる。ベース14cには、回転モータ12bが固定されており、また主軸12aがベース14cに回転可能に固定されている。シリンダ14aは研磨ユニット20の固定プレート22に固定されているので、シリンダ14aを作動させて昇降軸14bを伸縮させることで、昇降軸14bに従動して主軸12a及び副軸13aが昇降する。即ち、シリンダ14aを作動させることで、研磨ブラシ11を固定プレート22に対して昇降することができる。
【0041】
シリンダ14aは、研磨ブラシ11を昇降できればよいので、油圧、空気圧、電動、のいずれも用いることができる。また、サーボシリンダのように、昇降軸14bの伸縮距離を制御できる機構を用いた場合は、後述の下降端調整機構15を兼ねることができる。
【0042】
下降端調整機構15は、外周面に螺子山が形成されている螺子部材15aと、螺子部材15aに螺嵌可能な調整部材15bと、調整部材15bを回転させて上下方向に移動させる回転力を発生させる下降端調整モータ15cと、下降端調整モータ15cの回転力を調整部材15bに伝達する調整力伝達機構15dと、昇降機構14によるベース14cの下降端が設定される当接部材15eと、ベース14cが下降した際に当接部材15eと当接する当接板15fと、を備えている。
【0043】
螺子部材15aは円筒形状であり、研磨ユニット20の固定プレート22に固定されている。円形断面の中央に貫通穴が設けられており、主軸12aが回転可能に挿通されている。
【0044】
調整部材15bは円筒形状であり、内側には螺子部材15aの螺子山に対応する螺子山が設けられている。外周面には後述の調整力伝達機構15dに対応するギヤが設けられている。また、上端にはリング状の当接板15fが固定されている。
【0045】
下降端調整モータ15cは螺子部材15a、即ち、研磨ユニット20の固定プレート22に固定されている。下降端調整モータ15cの作動により調整部材15bの位置を調整するので、下降端調整モータ15cは回転角度が制御可能な機構であることが好ましい。たとえば、サーボモータやステッピングモータを用いることができる。
【0046】
調整力伝達機構15dは、下降端調整モータ15cの回転軸に固定されたギヤと、調整部材15bの外周に設けられたギヤと、を備えている。この2つのギヤの歯は互いに噛合できる。下降端調整モータ15cを作動させると、調整力伝達機構15dを介して調整部材15bが回転するので、調整部材15bを上下方向に移動することができる。調整部材15bを所定の位置にセットした後、昇降機構14を作動させると、ベース14cが下降する。当接部材15e(本実施形態ではボルト)は、当接部材15fの上方に位置するようにベース14cに固定されている。ベース14cが下降していくと、当接部材15eが当接板15fと当接して下降が停止する。即ち、下降端調整モータ15cの作動により当接板15fの位置を調整することで、研磨ブラシ11の下降端を調整することができる。下降端の調整により、ブラシ毛材の被加工面への押し付ける量(切り込み量)を調整したり、異なる大きさのワークを研磨したりすることもできる。
【0047】
次に、本実施形態のブラシ研磨装置01によるブラシ研磨方法について説明する。以下の説明では、四角柱状の多結晶シリコンブロックの長辺側の全ての面(4つの平面部及び隣接する平面部がなす4つの稜角部)を研磨して、表層に存在するマイクロクラックの除去及び表面の面粗度の調整を行う方法について説明する。なお、稜角部は微小な斜面(C面)となるように加工されている。
【0048】
(1)初期設定
加工目標寸法となるワーク(マスターワークM)を、その平面部の1つが水平上向きとなるように載置部材41に載置する。次いでシリンダ31Aを作動させて挟持部材33Aを基準位置Rまで前進させた後、シリンダ31Bを作動させて挟持部材33Bを前進させ、マスターワークMを挟持する。
【0049】
次に、研磨ユニット20の移動機構23を作動させて、高さ位置測定器24がマスターワークMの直上に位置するように、研磨ユニット20を原位置(
図1の位置)から左方に移動させる。その後、高さ位置測定器24を作動させて高さ位置測定器24の接触子をマスターワークMの上面(基準面)に接触させて、この高さ位置を測定する。測定した結果は、制御手段50に出力されて、記憶される。高さ位置を測定後、研磨ユニット20は原位置に戻る。
【0050】
その後、シリンダ31A、31Bの作動により挟持部33A、33Bをそれぞれ後退させて、マスターワークMの挟持を解除する。そして、マスターワークMを載置部材41から取り外す。
【0051】
操作部60を操作し、研磨条件を制御手段50に入力する。研磨条件は、研磨ブラシ11の回転数及び切り込み量、研磨ユニット20の移動速度、ブラシ毛材の突出長さ、ワークの形状(稜角部の形状)、等がある。
【0052】
(2)セット工程
ワークWを、その平面部の1つが水平上向きとなるように載置部材41に載置する。次いでシリンダ31Aを作動させて挟持部材33Aを基準位置Rまで前進させた後、シリンダ31Bを作動させて挟持部材33Bを前進させ、ワークWを挟持してワーク固定ユニット30に固定する。
【0053】
(3)高さ位置測定工程
移動機構23の作動によって研磨ユニット20を左方に移動させて、高さ位置測定器24と研磨ブラシ11がワークWの上面(調整面)の直上に位置するようにする。その後、高さ位置測定器24を作動させて高さ位置測定器24の接触子をワークWの上面に接触させて、この高さ位置を測定する。測定した結果は、制御手段50に出力されて、記憶される。
【0054】
(4)突出長さ調整工程
「ワークWの調整面の高さ位置」及び予め入力した「ブラシ毛材の突出長さ」に基づいて研磨ブラシ11の底面(底板11eの下面)の位置及び当接板15fの位置等を算出する演算を行う。下降端、即ち当接部材15eが当接板15fに当接して研磨ブラシ11の下降が停止した際の研磨ブラシ11の底面(底板11eの底面)の位置が、調整面より突出長さ分上方の位置(調整位置)に位置するように下降端調整機構15を作動させる信号を生成して出力する。この信号に基づき、下降端調整モータ15cの作動により調整部材15bの位置が調整された後、シリンダ14aが作動し、研磨ブラシ11が所定の位置まで下降する。
【0055】
次いで、サーボモータ13dが作動して研磨具11aが下降する。この際、サーボモータに負荷されるトルクを検知し、制御手段50に入力される。ブラシ毛材が調整面に当接すると、サーボモータ13dに負荷されるトルクが増大する。サーボモータ13dに負荷されるトルクが予め設定された値を越えると、制御手段50よりサーボモータ13dの作動を停止する信号が出力され、サーボモータ13dの作動が停止する。(例えば、調整面に当接しない状態で研磨具11aを下降させた際のトルクに対して125%以上となったらサーボモータ13dの作動を停止する。)このようにして、研磨ブラシ11の底面からのブラシ毛材の突出長さが設定される。
【0056】
被加工物Wの長さが十分長い場合は、全ての研磨ブラシをワークWの直上に位置するように研磨ユニット20を移動させることで、一度に突出長さの調整を行うことができる。被加工物Wの長さが短い場合は、ワークWの高さ位置を測定した後、研磨ユニット20を移動させてブラシ毛材の突出長さの調整を研磨ブラシ毎に順次行う。また、ブラシ研磨におけるブラシ毛材の摩耗量が全ての研磨ブラシで同一の場合は、1つの研磨ユニット20におけるブラシ毛材の突出長さの調整を行う際、そのブラシユニット10のサーボモータ13dの作動に連動させて他のブラシユニット10のサーボモータ13dを作動させることで、全てのブラシユニット10のブラシ毛材の突出長さを調整することができる。
【0057】
ブラシ毛材の突出長さの調整が終わったら、研磨ユニット20は左端(加工開始位置)に移動する。
【0058】
その時、ワーク昇降機構42が作動して載置部材41を下降させ、ワークWと載置部材41とを離反させる。そして、ワーク固定ユニット30に連結されたワーク回転機構が作動して、被加工面であるC面(稜角部)が上面となるようにワークを45度回転させた後、ワーク昇降機構42が作動して載置部材41が上昇して載置部材41とワークWが当接し、ワークWが載置部材41に再び載置される。
【0059】
(5)ブラシ位置設定工程
制御手段50は、マスターワークMにより測定された「基準面の高さ位置」及び「ワークの形状」より稜角部の加工寸法目標となる高さ位置を演算する。更に、予め入力された「ブラシ毛材の突出長さ」に基づいて、高さ位置よりブラシ毛材の突出長さ分上方である研磨ブラシ11の底面の位置(稜角部研磨におけるブラシ原点)を算出する。そして、研磨ブラシ11の底面が稜角部研磨におけるブラシ原点より予め入力された「切り込み量」分下方に位置するように下降端を設定する信号をそれぞれの下降端調整モータ15cに出力する。この信号に基づいてそれぞれの下降端調整モータ15cの作動により当接板15fの位置が調整された後、シリンダ14aが作動して研磨ブラシ11が下降して位置決めされる。
【0060】
(6)研磨工程
予め入力した「研磨ブラシの回転数」に基づいて回転モータ12bが作動し、研磨ブラシ11を主軸12aを軸心に水平回転させると共に、ワークWにむけて図示しないノズルより研磨液が噴射される。次いで、予め入力した「研磨ユニットの移動速度」に基づいてブラシユニット20が右端(原位置)に向かって前進する。研磨ブラシ11は右から順に研磨力が小さくなるように配置されている。即ち、研磨ブラシ11は右から順に「被加工面の表層に存在するマイクロクラックを除去する粗研磨用」「粗研磨用ブラシによって生じた凹凸を除去する中研磨用」「被加工面の面粗度が小さくなるように調整する仕上げ研磨用」となるように並んでいる。研磨ユニット20の移動により水平回転する研磨ブラシ11が「粗研磨用の研磨ブラシ」「中研磨用の研磨ブラシ」「仕上げ研磨用の研磨ブラシ」の順にワークに接触しながら通過するので、この移動によりワークWの表層に存在するマイクロクラックの除去及び表面の面粗度の調整を行うことができる。
【0061】
研磨ユニット20が原位置まで移動したら、回転モータ12bの作動が停止して研磨ブラシ11の回転が停止した後、シリンダ14aが作動して研磨ブラシ11が上昇する。そして、ワーク昇降機構42の作動によりワークWの載置を解除した後、ワーク固定ユニット30に連結されたワーク回転機構が作動して新たな被加工面であるC面が上面となるようにワークを90度回転させた後、ワーク昇降機構42を作動させて、ワークWを載置部材41に再び載置する。その後、上述と同じように新たな被加工面の研磨を行う。この動作を繰り返すことで、4つの稜角部を全て研磨することができる。
【0062】
4つの稜角部を研磨した後、ワーク昇降機構42の作動によりワークWの載置を解除した後、ワーク固定ユニット30に連結されたワーク回転機構が作動して、被加工面である平面部の1面が上面となるようにワークを45度回転させた後、ワーク昇降機構42を作動させて、ワークWを載置部材41に再び載置する。その後、被加工面の高さ位置を測定して、研磨ブラシ11の位置を設定する。具体的には、「基準面の高さ位置」及び「ブラシ毛材の突出長さ」に基づいて、高さ位置よりブラシ毛材の突出長さ分上方である研磨ブラシ11の底面の位置(平面部研磨におけるブラシ原点)を算出する。そして、研磨ブラシ11の底面が平面部研磨におけるブラシ原点より予め入力された「切り込み量」分下方に位置するように下降端を設定する信号をそれぞれの下降端調整モータ15cに出力する。この信号に基づいてそれぞれの下降端調整モータ15cの作動により当接板15fの位置が調整された後、シリンダ14aが作動して研磨ブラシ11が下降する。ブラシ位置を設定した後、前述の稜角部の研磨の場合と同様に、新たな被加工面である平面部が上面となるようにワーク昇降機構42及びワーク回転機構の作動によワークWを載置部材41に載置、新たな被加工面の高さ位置の測定及び研磨ブラシ11の位置の調整、新たな被加工面の研磨、の工程を繰り返すことで、4つの平面部を研磨することができる。ここで、研磨ブラシ11を水平回転させると共に研磨ブラシ11を被加工面に対して相対的に水平移動するようにブラシユニット10またはワーク固定ユニット30の少なくとも何れかを移動しながら研磨を行う。
【0063】
(7)終了工程
4つの平面部及び4つの稜角部の研磨が終了すると、研磨ユニット20の作動が停止する。また、研磨液の噴射も停止される。その後、シリンダ31A、31Bの作動により挟持部33A、33Bをそれぞれ後退させて、ワークWの挟持を解除する。そして、ワークWを載置部材41から取り外す。
【0064】
このようにして、一連の研磨が完了する。複数のワークWを研磨する場合は、上述の(2)〜(7)の工程を繰り返して行えばよい。
【0065】
(変更例)
例えば、円柱形状である単結晶のシリコンインゴットから四角柱状に切り出したシリコンブロックのようなワークWの稜角部の形状が曲面の場合、研磨条件としてのワークの形状として画数(この場合は4)および曲面の曲率(即ち、シリコンインゴットの径)をさらに入力する。そして、上述の(4)の工程が終了した後、予め入力された「曲面の曲率」及び「ブラシ毛材の突出長さ」に基づいて稜角部研磨におけるブラシ原点を算出する。そして、研磨ブラシ11の底面が角部の研磨におけるブラシ原点より予め入力された「切り込み量」分下方に位置するように下降端を設定して研磨ブラシ11を下降させる。稜角部を研磨する際は、ワーク昇降機構42を作動させて載置部材41をワークWから離反させた状態で、ワーク固定ユニット30に連結されたワーク回転機構を作動させてワークWを連続回転させる。ワークWを連続回転させた状態で、上述の(6)の工程のようにブラシユニット10及び研磨ユニット20を作動させて、4つの稜角部の研磨を同時に行う。
【0066】
本実施形態では、ワークWの上面を調整面としてブラシ毛材の突出長さを調整したが、調整面としての部材を別途設けてもよい。この部材はブラシ毛材が当接する面が単に平面であればよい。従来技術のようにブラシ毛材が調整面に接触したことを検知する機構を調整面に設ける必要がないので、ブラシ毛材の接触によって突出長調整機構13が故障が生じることはない。
【0067】
研磨ブラシ11は、保持盤11cに直接ブラシ毛材の一端を固定する構成でもよい。この場合、ブラシ毛材が摩耗したら、保持盤11cごと交換する。
【0068】
(別の実施形態)
本実施形態におけるブラシ毛材の突出長さの調整は、ブラシ毛材が調整面に接触したことによる負荷の変化を検知してブラシ毛材の前進を停止する信号を出力することにより行った。しかし、本発明における「ブラシ毛材の先端が調整面に当接したことによる負荷の変化が予め設定した値となったらブラシ毛材の前進を停止する」とは、この形態に限定されない。以下に別の形態の例を説明する。なお、以下の説明では、前述の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
別の実施形態では、副軸13aを下降させる下降機構13bとして、ロック機能を備えたシリンダを用いた。例えばエアシリンダの場合、シリンダに導入される空気圧を予め調整することでシリンダの推力が設定される。この推力は、研磨具が調整面に接触した際の負荷が所定以上とならないように設定される(例えば、ブラシ毛材が必要以上に撓まないことや、ブラシ毛材の降伏点を超えないこと、等)。即ち、この推力の設定により、ブラシ毛材にかかる負荷が予め設定される。その後、先述の「突出長さ調整工程」においてこのシリンダを作動させて研磨具11aを下降させる。研磨具11aの先端が調整面に到達するが、予め設定された負荷を越えてシリンダが前進することはない。その後、ロック機能が作動し、シリンダが固定される。ロック機能の作動は、研磨具11aの先端が調整面に到達する時間を予め推測し、シリンダの作動後この時間を十分に越える時間が経過したら作動するようにしてもよい。
【0070】
以上のように、本発明における「ブラシ毛材の先端が調整面に当接したことによる負荷の変化が予め設定した値となったらブラシ毛材の前進を停止する」とは、
(1)負荷の変化をリアルタイムで検出してブラシ毛材の前進を停止する場合
(2)予め負荷の上限値を設定し、「研磨ブラシのブラシ毛材の先端が底面から突出する長さを予め設定した長さに自動で調整する機構」の作動が継続していてもこの負荷を越えてブラシ毛材が前進することがない場合
のいずれをも含む。