特許第6551421号(P6551421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551421
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】僧帽弁または三尖弁の人工装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-567259(P2016-567259)
(86)(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公表番号】特表2017-526392(P2017-526392A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】IB2015050498
(87)【国際公開番号】WO2015177655
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年1月19日
(31)【優先権主張番号】1454678
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516333861
【氏名又は名称】ヴァルミー ホールディング
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】モディン,トーマス
【審査官】 石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/037519(WO,A1)
【文献】 特表2012−508033(JP,A)
【文献】 特表2013−523218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ構造の拡張型管状フレーム(2)及びこのフレームにマウントされた人工弁(3)、心房部(2a)、心室部(2v)、及びこれらの心房部と心室部の間に位置する弁輪部(2i)を含む前記フレーム(2)を含み、
前記心房部(2a)は、人工装置の外側に向かって、前記弁輪部(2i)から前記弁輪部の反対側の心房部の端に向かって大きく開き、前記弁輪部(2i)の側面に外面から突き出すアンカー止め(5a)を含み、
前記心室部(2v)は、球形または卵形であり、前記弁輪部(2i)の側面に外面から突き出すアンカー止め(5v)を含み、
前記心室部(2v)は、片側に大きなへこみ(6)を有し、前記弁輪部(2i)の反対側の前記心室部(2v)の端から前記弁輪部(2i)に近接する前記心室部(2v)の部分(2vm)まで縦方向に広がり、このへこみ(6)は人工装置の縦軸に対して垂直な面において、人工装置の縦軸を中心軸として90〜140°の範囲内で前記メッシュ構造が欠け、前記心室部(2v)に非対称性を持たせることを特徴とする、
僧帽弁または三尖弁の人工装置(1)。
【請求項2】
前記へこみが120°人工装置の周辺のセクターに広がっていることを特徴とする、請求項1に記載の人工装置(1)。
【請求項3】
前記アンカー止め(5a、5v)が基部から先端の自由端に向かって人工装置の外側方向に伸びる曲線状の鍵爪の形であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の人工装置(1)。
【請求項4】
前記アンカー止め(5a、5v)が人工装置の全周辺に存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の人工装置(1)。
【請求項5】
前記アンカー止め(5a、5v)が人工装置の全周辺に一定間隔で分布することを特徴とする、請求項4に記載の人工装置(1)。
【請求項6】
前記心房部(2a)からなる前記アンカー止め(5a)が前記心室部(2v)からなる前記アンカー止め(5v)の真向かいに位置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の人工装置(1)。
【請求項7】
6対の心房用の前記アンカー止め(5a)及び心室用の前記アンカー止め(5v)を含むことを特徴とする、請求項1−6のいずれか一項に記載の人工装置(1)。
【請求項8】
人工装置の展開状態おいて、
それぞれの前記アンカー止め(5a、5v)が、直線の基部を有し、人工装置の縦軸に対して35〜55°の角度を形成する方向にある人工装置の部分から突き出し、及び前記基部に対して折れ曲がり、人工装置の円周方向に沿って配置された自由端部分を有し、
前記心房用のアンカー止め(5a)の前記自由端部分は、隣接する前記心室用のアンカー止め(5v)の前記自由端部分に向かって、円周方向を囲むように配置され、相対的に、前記心室用のアンカー止め(5v)の前記自由端部分は、隣接する前記心房用のアンカー止め(5a)の自由端部分に向かって、円周方向を囲むように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の人工装置(1)。
【請求項9】
それぞれの前記基部が人工装置の縦軸に対して45°の角度を形成する方向に沿って突き出すことを特徴とする、請求項8に記載の人工装置(1)。
【請求項10】
それぞれの前記アンカー止め(5a、5v)において、前記基部の長さが前記自由端部分の長さの2〜3倍であることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の人工装置(1)。
【請求項11】
人工装置の前記フレーム(2)の周辺において、
1つの前記アンカー止め(5a、5v)が植え込み後に前三角で見いだされる前記フレーム(2)のゾーンに位置し、1つの前記アンカー止め(5a、5v)が植え込み後に後三角で見いだされる前記フレーム(2)のゾーンに位置し、1つの前記アンカー止め(5a、5v)が植え込み後に僧帽弁の前交連で見いだされる前記フレーム(2)のゾーン位置し、1つの前記アンカー止め(5a、5v)が植え込み後に僧帽弁の後交連で見いだされる前記フレーム(2)のゾーンに位置し、1つの前記アンカー止め(5a、5v)が植え込み後に僧帽弁の後弁輪の中央で見いだされる前記フレーム(2)のゾーンに位置し、1つの前記アンカー止め(5a、5v)が植え込み後に僧帽弁の前弁輪の中央で見いだされる前記フレーム(2)のゾーンに位置する、ように分散され、僧帽弁の治療を目的とすることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の人工装置(1)。
【請求項12】
前記フレーム(2)の前記メッシュ構造が、前記アンカー止め(5v)が含まれる前記の心房部及び弁輪部(2a、2i)、ならびに心室部(2v)に、前記メッシュ構造の角で互いが結合するダイアモンド形のメッシュを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の人工装置(1)。
【請求項13】
前記アンカー止め(5a、5v)の基部が人工装置の心房-心室方向におけるこれらのメッシュの反対側の角で形成されるメッシュ部分に結合され、これらの前記アンカー止め(5a、5v)がメッシュのこれらの部分から突き出すことを特徴とし、請求項3〜7のいずれか一項を引用する請求項12に記載の人工装置(1)。
【請求項14】
前記フレーム(2)の前記メッシュ構造が、前記心室部(2v)のパーツに前記アンカー止め(5v)がなく、互いに対して頭−尾で配置される2つの隣接するメッシュを有する涙型のメッシュフレームを含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の人工装置(1)。
【請求項15】
人工装置の前記心房部(2a)及び弁輪部(2i)が「角及び縁が丸いD」の形状の非円形断面を有することを特徴とし、僧帽弁の治療を目的とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の人工装置(1)。
【請求項16】
人工装置の前記心房部(2a)が人工装置のメッシュを覆う堅い壁を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の人工装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、僧帽弁または三尖弁の人工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主に高齢患者に影響を与える心臓弁の周知の病状が弁輪の膨張であり、この膨張は弁の接合の不良につながり、弁の密封性及び有効性が失われる。
【0003】
環形成、すなわち自然弁輪の再修正を目的とする人工弁輪の全体または一部の置換によるこの病状の治療は公知である。この技術にはいくつか欠点があり、特に高齢患者に対して非常に適したものではない。
【0004】
拡張型管状フレーム及びこのフレームにマウントされた人工弁が含まれる人工装置を、自然弁の上にインプラントすることも公知である。しばしば「ステント」と呼ばれる管状フレームはメッシュ構造を有し、心房部(すなわち心臓の心房における置換を意図)、心室部(すなわち心臓の心室における置換を意図)、及びこれらの心房部と心室部の間に位置する弁輪部(すなわち自然弁輪における置換を意図)を含む。フレームは、自己拡張型(特に形状記憶材料で作られている場合)であるか、バルーンを使用する拡張型材料で作られている可能性がある。人工弁は同様にして合成材料または天然材料で作られている可能性がある。
【0005】
そのような人工装置は、変形可能であるためカテーテルに取り付けができ、このカテーテルから治療される自然弁までの展開が意図されている。該人工装置は、心尖部アプローチ(すなわち心臓の低端から)、経中隔(僧帽弁)アプローチ、または頸静脈もしくは大腿動脈(三尖弁)アプローチを使用して取り付けが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種類の既存の人工装置は、十分に満足が得られるものではなく、特に取り付けられている場合、大動脈弁の手術に手間がかかるリスク及び移動のリスクがあるため、 心室の放出経路が妨害される。さらに、これらの人工装置は取り付けが常に非常に容易なわけではなく、人工装置の形状は植え込み部分の形状に完全に適応していない。
【0007】
本発明は、これらの根本的な欠点の解決を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
問題になっている人工装置は、上述の種類の人工装置であり、メッシュ構造の拡張型管状フレーム及びこのフレームにマウントされた人工弁を含み、前記フレームは心房部、心室部、及びこれらの心房部と心室部の間に位置する弁輪部を含む。
【0009】
本発明によれば、
−前記心室部は、片側に大きなへこみを有し、前記弁輪部の反対側の該心室部の端から弁輪部に近接する該心室部のパーツまで縦方向に広がり、このへこみは約90〜140°の人工装置の周辺のセクターに広がっている;
−前記心房部は、人工装置の外側に向かって、前記弁輪部から該弁輪部の反対側の心房部の端に向かって大きく開き、前記弁輪部の側面に(少なくとも周辺のパーツに)外面から突き出すアンカー止めを含む;及び
−前記心室部は、実質的に球形または卵形であり、前記弁輪部の側面に(少なくとも周辺のパーツに)外面から突き出すアンカー止めを含む。
【0010】
したがって、前記へこみは、フレームのメッシュ構造を遮り、人工装置の心室部に非対称形を持たせる;このへこみは大動脈弁の近くに位置する心室の壁に向かって曲がるように意図されており、このゾーンは「僧帽弁−大動脈弁間の連続性」または「三尖弁−大動脈弁間の連続性」と呼ばれる。心室の壁の真向かいにメッシュ構造がなくなるため、大動脈弁手術を妨げ得る大動脈弁の右側の心室の壁に対する過剰な軸受のリスクが人工装置からなくなる。
【0011】
しかし、本発明者は、前記へこみに起因する心室の壁に対する人工装置の軸受表面の減少が、人工装置の移動のリスクを著しく増加させたため、心室の放出経路が妨害されると予測する;そこで、発明者は、関連するそれらのへこみを採用することで植え込み部分に人工装置の完全なアンカーが確保されると考え、その目的を達成するために、前記弁輪部に近接する前記心房部及び前記心室部にアンカー止めを配置して、治療される弁の弁輪の深さに挿入できるようにする必要があると考えた。
【0012】
心尖部アプローチを用いて人工装置を取り付ける場合、人工装置の心房部が最初に展開され、弁輪の心房パーツに逆らって運ばれる;この心房部のフレア形は、弁輪の心房パーツに対する幅広の軸受によく適している;ひとたび前記心房部が展開されると、この心房部からなる様々なアンカー止めを、カテーテル抜去時に弁輪の前記心房パーツに差し込んで、フレームの他の部分を遊離できる。結果として、植え込み部分に対する人工装置の優れた事前位置が確保される。カテーテルの連続抜去は、心室部の段階的な展開につながる;心室部の球形または卵形を考慮すると、前記展開によって前記心室部の壁の放射的な広がりが生じ、展開の初期から、前記心室部からなる様々なアンカー止めが弁輪の心室部に差し込まれるため、自然弁輪に対する人工装置の完全なロッキングが生じる。このロッキングは、心室部の球形または卵形が弁輪の前記心室部に対するフレームの閉鎖利用を許容する場合に一層効果的である。
【0013】
この同じ球形または卵形は、弁輪近くの心室の形状によく適したフレームの軸受、及び基本的な解剖学的構造に相反しないフレームの軸受を許容する。
【0014】
したがって、構築された人工装置は、適所に取り付けると、移動のリスクが非常に低く、取り付けが比較的簡単で、植え込み部分の形状によく適した形状を有している上に、大動脈弁の手術を妨げない人工装置を得るという上述の目的を完全に達成できる。
【0015】
本発明に記載の人工装置は経中隔(僧帽弁)アプローチまたは頸静脈もしくは大腿動脈(三尖弁)アプローチを用いてインプラントされ、この場合には、心室部のアンカー止めの挿入によって心室部が最初に展開され、その後に心房部のアンカー止めの挿入によって心房部が2番目に展開され、弁輪では上記の挙動が同時に起こることに注意する。











好ましくは、前記へこみは、約120°の人工装置の周辺のセクターに広がる。
【0016】
好ましくは、前記アンカー止めは、基部から先端の自由端に向かって人工装置の外側方向に伸びる曲線状の鍵爪の形である。
【0017】
したがって、構築されたアンカー止めから、効果的なアンカーが得られる。
【0018】
アンカー止めは、好ましくは、人工装置の全周辺に存在する;アンカー止めは、好ましくは、人工装置の全周辺に一定間隔で分布する。
【0019】
最初の可能性によると、前記心房部からなるアンカー止めは人工装置の真向かい(すなわち反対側)に位置し、前記心室部からなるアンカー止めは人工装置の縦方向に位置する。
【0020】
したがって、アンカー止めの様々な対によるクランプ効果によってアンカー化され、非常に効果的なアンカーとなる。これらの止め具の特殊性は、先端が互いに対して対称的に配置され「カニのはさみ」のような形を成していることから、弁輪組織をかみ、弁のフレームを安定化することである。心尖部アプローチの使用に伴う人工装置の展開中に、心房用のアンカー止めが最初に展開され弁輪組織を捉えることができ、その後に展開の流れの中で心室用のアンカー止めが次に展開され、弁輪内位置にアンカー止めを維持することで人工装置のアンカーが完全となる。
【0021】
したがって、提案される構造は、弁輪部周囲の組織に最初にかかる植え込み(アンカー止め)を許容し、次に弁輪に対する付加的な軸受が生じる。実際、鍵爪による捕捉システムは、使用するアプローチが要求する僧帽弁及び三尖弁の位置で、弁組織の捕捉を可能にし、金属構造の弁輪内軸受によって完成される。
【0022】
人工装置は、6対の心房用のアンカー止め及び心室用のアンカー止めを特に含む。
【0023】
2番目の可能性によると、人工装置の展開状態において:
−それぞれのアンカー止めは、実質的に直線の基部を有し、人工装置の縦軸に対して35〜55°の角度を形成する方向にある人工装置の部分から突き出し、前記基部に対して湾曲し、人工装置の実質的に円周方向に沿って配置された自由端部分を有する;
−心房用のアンカー止めの自由端部分は、隣接する心室用のアンカー止めの自由端部分に向かって、円周方向を囲むように配置されるが、この心房用のアンカー止めに対して角度が相殺されている;相対的に、心室用のアンカー止めの自由端部分は、隣接する心房用のアンカー止めの自由端部分に向かって、円周方向を囲むように配置されるが、この心室用のアンカー止めに対して角度が相殺されている。
【0024】
このアンカー止めの形が、治療される弁の弁輪に対する人工装置の効果的なアンカーにつながる。
【0025】
「心房用のアンカー止め」という表現は前記心房部に存在するアンカー止めを意味し、「心室用のアンカー止め」という表現は前記心室部に存在するアンカー止めを意味すると理解される。
【0026】
好ましくは、それぞれの基部が、人工装置の縦軸に対して約45°の角度を形成する方向に沿って突き出す。
【0027】
好ましくは、それぞれの止め具において、基部の長さが自由端部分の長さの約2〜3倍である。
【0028】
好ましくは、僧帽弁を治療する人工装置の場合、アンカー止めが人工装置のフレームの周辺で以下のように分散される:1つの止め具が植え込み後に前三角で見いだされる前記フレームのゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に後三角で見いだされるフレームのゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に僧帽弁の前交連で見いだされるフレームのゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に僧帽弁の後交連で見いだされるフレームのゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に僧帽弁の後弁輪の中央で見いだされるフレームのゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に僧帽弁の前弁輪の中央で見いだされるフレームのゾーンに位置する。
【0029】
好ましくは、フレームのメッシュ構造は、前記アンカー止めが含まれる前記の心房部及び弁輪部、ならびに心室部に、メッシュ構造の角で互いが結合されるダイアモンド形のメッシュを含む。アンカー止めが上述の最初の可能性に基づく場合、アンカー止めの基部は人工装置の心房-心室方向におけるこれらのメッシュの反対側の角で形成されるメッシュ部分に結合され、これらのアンカー止めはメッシュのこれらの部分から突き出す。
【0030】
このメッシュ構造によって、フレームが弁輪の対応するパーツに対して効果的にかかり、前記弁輪内への前記アンカー止めの適切な挿入が確保される。
【0031】
好ましくは、フレームのメッシュ構造は、心室部のパーツにアンカー止めがなく、互いに対して頭−尾で配置される2つの隣接するメッシュを有する涙型のメッシュフレームを含む。
【0032】
このメッシュ構造は、フレームの前記心室部パーツに大きな順応性を持たせ、心臓の心室の壁に対する軸受に適合する。
【0033】
好ましくは、人工装置が僧帽弁の治療を目的とする場合、人工装置の心房部及び弁輪部は「角及び縁が丸いD」の形状の非円形断面を有する。
【0034】
「断面」という表現は、人工装置の縦軸と直角を成す人工装置のセクションを意味すると理解される。
【0035】
したがって、これらの心房部及び弁輪部は、僧帽弁の弁輪近くの心房及び該弁輪の形状によく適した形状を有している。
【0036】
好ましくは、人工装置の心房部は、人工装置のメッシュを覆う堅い壁を含む。この堅い壁は、特にポリエチレンテレフタラートで作られている場合、この部分と心臓壁の接触面が増加する膜またはスリーブを形成し、弁傍の漏出すなわち人工装置と心臓壁の間の漏出が減少する。
【0037】
限定されない例として、問題になっている人工装置の2つの可能性がある実施を示す添付の概略図を参考にして、本発明は十分に理解され、本発明の他の特徴及び利点が現れる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】最初の実施に基づく側面図で、開放位置に該人工装置を構成する人工弁を含む。
図2a図1に示される人工装置の一部の拡大図であり、アンカー鍵爪を含む。
図2b】同じ部分の断面図であり、図2aに基づく図と直角を成す角度に沿う。
図3】心室の端の近くの人工装置の図であり、わずかに中心を外れ、開放位置に人工弁を含む。
図4】心室の端の近くの人工装置の図であり、該人工装置の軸に沿い、開放位置に人工弁を含む。
図5図1と同様の図であり、閉鎖位置に人工弁を含む。
図6】心房の端の近くの人工装置の図であり、わずかに中心を外れ、閉鎖位置に人工弁を含む。
図7】2番目の実施に基づく人工弁を含むフレームの透視図である。
図8】人工弁を含むフレームの側面図である。
図9図8のIX−IX線に沿った人工弁を含むフレームの断面図である。
図10図9に示される、人工装置の弁輪部で定義される管路の形状の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1図2図3図4図5及び図6は、拡張型管状フレーム2及びこのフレームにマウントされた人工弁3を含む、人工装置1の僧帽弁または三尖弁を示す。
【0040】
フレーム2は、弾性的に変形可能なフィラメントで構成されるメッシュ構造を有し、図に記載される展開形、及び心臓への挿入の際にカテーテルに包含できる収縮形(未記載)が予測される。フレーム2は特に、公知の技術を用いて、形状記憶合金、特にニチノールとして公知のニッケル−チタン合金から作成される。
【0041】
フレーム2は、心房部2a(すなわち心臓の心房への取り付けを目的とする)、心室部2v(すなわち心臓の心室への取り付けを目的とする)、及び前記の心房部2aと心室部2vの間に位置する中間体の弁輪部2i(自然弁輪への取り付けを目的とする)を含む。


























図示された展開状態において、心房部2aは円錐形で、心房部のセクションは弁輪部2iから拡大し、尖角は約120°である。心房部は、それぞれの角で互いが結合されるダイアモンド形のメッシュで形成され、心房部の周辺に一定間隔で分散される6つのアンカー鍵爪5aを含む。図2a及び図2bで特に示されるように、前記鍵爪5aの基部は、人工装置1の心房側に位置するメッシュの角を形成するメッシュ部分と結合し、メッシュのメッシュ部分から人工装置の心室側に向かって突き出す。鍵爪は曲線状で、鍵爪の基部から先端の自由端に向かって人工装置1の外側方向に伸びる。
【0042】
中間体の弁輪部2iは、心房部2aと同じダイアモンド形のメッシュで形成され、前記メッシュと連続している。
【0043】
心室部2vは実質的に卵形である。心室部2vは、中間体の弁輪部2iと結合しアンカー鍵爪5vを含む中間体の弁輪部2iに近接する縁パーツ2vm、及び中間体の弁輪部2iの反対側の前記縁パーツと結合し幅広のへこみ6を有する主要パーツ2vpを含む。
【0044】
縁パーツ2vmは、心房部2a及び中間体部2iと同じダイアモンド形のメッシュで形成され、前記メッシュと連続している。縁パーツ2vmに含まれる鍵爪5vは、鍵爪5aの真向かいに位置し、鍵爪5aと同一の構造を有し、人工装置1の心室側に位置するメッシュの角を形成するメッシュの部分と結合する基部を有し、メッシュのこれらの部分から突き出し、曲線状で、基部から先端の自由端に向かって人工装置1の外側方向に伸びている。
【0045】
主要パーツ2vpは、1つのメッシュから隣接するメッシュまで頭−尾で配置される涙型のメッシュで形成される。
【0046】
へこみ6は、弁輪部2iの反対側の心室部2vの端から縁パーツ2vmまで縦方向に広がり、約 120°のセクターに広がる。したがって、へこみ6は、心室部2vに非対称形を持たせる。
【0047】
人工弁2は、公知の種類で、合成材料または天然材料(例えば、ブタの心膜)で作られている。図示された例によると、人工弁2は3つの弁を含む。
【0048】
実際には、人工装置1は収縮して、心臓への挿入の際にカテーテルに取り付けられる。このカテーテルにはX線不透過性マーカーが含まれているため、このカテーテルの角度方向つまり人工装置1を見ることができ、展開する前に人工装置を角度的に正しい位置における。
【0049】
カテーテルは、心尖部アプローチで心臓に挿入でき、人工装置1が角度的に正しい位置におかれるように配置され、へこみ6は大動脈弁を保護する心室の壁に向かって曲がり、このゾーンは「僧帽弁−大動脈間の連続性」と呼ばれる。
【0050】
人工装置1の心房部2aが最初に展開され、弁輪の心房パーツに逆らって運ばれる;この心房部の円錐形は、弁輪の心房パーツに対する幅広の軸受によく適している;ひとたび前記心房部が展開されると、様々なアンカー止め5aを、カテーテル抜去時に弁輪の前記心房パーツに差し込んで配向させ、フレーム2の他の部分を遊離できる。結果として、植え込み部分に対する人工装置1の優れた事前位置が確保される。
【0051】
カテーテルの連続抜去は、心室部2vの段階的な展開につながる;心室部の卵形を考慮すると、前記展開によって前記心室部2vの壁の放射的な広がりが生じ、展開の初期から様々なアンカー止め5vが弁輪の心室部に差し込まれるため、自然弁輪に対する人工装置1の完全なロッキングが生じる。このロッキングは、心室部2vの卵形が弁輪の前記心室部に対するフレーム2の閉鎖利用を許容する場合に一層効果的である。
【0052】
この同じ卵形は、心室の形状によく適したフレーム2の軸受、及び基本的な解剖学的構造に相反しないフレーム2の軸受を許容する。
【0053】
へこみ6は、フレーム2のメッシュ構造を遮り、本発明に基づく人工装置から大動脈弁の適切な手術を妨げるリスクまたは心室のフラッシュチャンバを詰まらせるリスクをなくす。
【0054】
本発明に記載の人工装置は経中隔(僧帽弁)アプローチまたは頸静脈(三尖弁)アプローチを用いてインプラントされ、この場合には、心室部のアンカー止め5vの挿入によって心室部2vが最初に展開され、その後に心房部のアンカー止め5aの挿入によって心房部2aが2番目に展開され、弁輪では上記の挙動が同時に起こることに注意する。
【0055】
図7図8及び図9に、僧帽弁の治療を目的とする人工装置のフレーム2の2番目の実施(人工弁は未記載)を様々な角度から示す。単純化のために、既に説明されたパーツまたは成分が、この2番目の実施に含まれる場合、同じ参照番号を用いて特定する。
【0056】
この場合、心房部2aは円錐形ではなく、断面は非円形であるだけでなく、図9に示すように「角及び縁が丸いD」の形状であり、図10に概略図を示す。この図10を参考にすると、このセクションは1つの丸い後部分、1つのわずかに丸い前部分、及び2つの丸い横部分で構成され、これらの様々な部分が中間体部で互いに結合され小さな曲線半径を持つようになると考えられる。上記の「後」及び「前」という用語は、それぞれ植え込み後に僧帽弁弁輪の後側及び僧帽弁弁輪の前側に位置する人工装置の部分を意味すると理解される。
【0057】
最初の実施に基づくフレームと同様に、心房部2aは、人工装置の外側に向かって大きく開き、弁輪部2iから該弁輪部2iの反対側の心房部2aの端に向かって拡大するセクションを含む。
【0058】
弁輪部2i及び心室部2vは最初の実施に基づく人工装置の場合と同じ形状を有するが、心室部2vが弁輪部2iの反対側の心室部の端より接近している場合は例外であり、最初の実施に基づく場合より先端が切断されている。
【0059】
2番目の実施に基づくフレーム2は、最初の実施に基づくフレーム2とはアンカー止め5a、5vの形状が異なる。実際、それぞれのアンカー止め5a、5vは、フレーム2の対応する部分2a、2vと結合する基部、及び前記基部に対して湾曲する自由端部分を有する。この基部は、実質的に直線で、フレームの縦軸に対して約45°の角度を形成する方向の2a部、2v部から突き出す(特に図8を参照);基部の長さは自由端部分の長さの約2〜3倍である。自由端部は、基部に対して湾曲し、人工装置の実質的に円周方向に配置されている。
【0060】
アンカー止め5a、5vがフレーム2の周辺で以下のように分散されると考えられる:1つの止め具が植え込み後に前三角で見いだされるフレーム2のゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に後三角で見いだされるフレーム2のゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に僧帽弁の前交連で見いだされるフレーム2のゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に僧帽弁の後交連で見いだされるフレーム2のゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に僧帽弁の後弁輪の中央で見いだされるフレーム2のゾーンに位置し、1つの止め具が植え込み後に僧帽弁の前弁輪の中央で見いだされるフレーム2のゾーンに位置する。
【0061】
心房用のアンカー止め5aの自由端部分は、隣接する心室用のアンカー止め5vの自由端部分に向かって、円周方向を囲むように配置されるが、この心房用のアンカー止め5aに対して角度が相殺されているとも考えられる;相対的に、心室用のアンカー止め5vの自由端部分は、隣接する心房用のアンカー止め5aの自由端部分に向かって、円周方向を囲むように配置されるが、この心室用のアンカー止めに対して角度が相殺されている。
【0062】
特に図8を考慮すると、この側面図から、人工装置の前部分(すなわち、ビューアーに近い部分)は人工装置の後部分と重なり合って見えるため、図8では2つの中央の心房の先端5aが互いに近接していると考えられるが、一方が人工装置の前側に、他方が該人工装置の後側に位置すると理解される;2つの中央の心室の先端5vに関しても同様で、図8の左端に位置する心室用の止め具5vは右端に位置する中央の心房用の止め具5aと関連し、左端に位置する心房用の止め具5aは右端に位置する心室用の止め具5vと関連する。
【0063】
したがって、本発明は、先行技術の対応する人工装置と比較すると、取り付けられている場合、大動脈弁の手術に手間がかからず、移動のリスクが低いという決定的な優位性を持つため、心室の放出経路を妨害するリスクが低い人工の僧帽弁または三尖弁の心臓弁1を提供する。さらに、この人工装置は取り付けが比較的容易で、人工装置の形状は植え込み部分の形状に完全に適応している。
【0064】
本発明は、実施例として提供された実施に関連して前述されている。もちろん、本発明は、これらの実施に限定されず、添付した特許請求の範囲が及ぶ他のすべての実施に拡大適用される。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10