(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続先設定手段により定められた前記接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の無線通信装置へと変更させる接続制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
前記変更要求送信制御手段は、前記接続タイミングで接続先を前記第2の無線通信装置に変更する設定がなされた場合に、前記第3の無線通信装置に対して前記第2の無線通信装置に係る情報及び前記接続タイミングに係る情報を前記無線通信手段により送信させることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の無線通信システムの第1実施形態を示す全体図である。
【0013】
この第1実施形態の無線通信システム1は、一台の親通信装置10(マスタークライアント、マスター無線通信装置、無線通信装置、コンピュータ)と、複数台の通信装置20(スレイブクライアント、他の無線通信装置、スレイブ無線通信装置)と、一度に一つが接続に利用されるアクセスポイント40(中継部)とからなる。親通信装置10と通信装置20との間は、アクセスポイント40を介して無線LAN(Local Area Network)で接続されて、無線通信が可能となっている。
【0014】
親通信装置10は、音声送信アプリ(プログラム)を用いて通信装置20に対してマルチキャストで音声を送信する。また、親通信装置10は、自装置及び通信装置20が接続されるアクセスポイント40を同時に切り替えるための制御信号を出力する。親通信装置10としては、例えば、スマートフォンなどが用いられるが、特定の目的の音声ガイド装置といった専用の通信装置であっても良いし、その他、ノートPCなどであっても良い。
【0015】
通信装置20は、親通信装置10から送信された音声データを復号処理して音声を出力する。また、通信装置20は、親通信装置10から送信された接続制御データに応じて、設定されたタイミングで無線LANに係るアクセスポイントを切り替える。通信装置20としては、親通信装置10同様にスマートフォンなどが用いられる。
【0016】
アクセスポイント40は、少なくとも複数の通信装置(親通信装置10を含む)間の無線通信データの送受信を制御するスイッチングハブの機能を有するものであって、ここでは、外部のインターネット等との接続が可能なルータやL3(レイヤ3)スイッチなどである。このアクセスポイント40に接続されたクライアントの全て又は一部は、同一のLAN(サブネット)内に設定される。例えば、親通信装置10及び通信装置20に対して予め固定IPアドレスが割り当てられ、アクセスポイント40(ルータ)は、当該割り当てられたIPアドレスを全て同一のLAN内に含むサブネット設定がなされる。
【0017】
図2は、本実施形態の親通信装置10及び通信装置20の機能構成をそれぞれ示すブロック図である。
図2(a)に示すように、親通信装置10は、CPU11(Central Processing Unit)(接続先設定手段、変更要求送信制御手段、接続制御手段、第1接続制御手段、データ送信制御手段)と、ROM12(Read Only Memory)と、RAM13(Random Access Memory)と、入出力インターフェイス14と、記憶部15(記憶手段)と、入力部16と、出力部17と、通信部18(無線通信手段、第1無線通信手段)と、バス19などを備えている。
【0018】
CPU11は、各種演算処理を行い、親通信装置10の全体動作を制御する。また、CPU11は、後述する音声配信プログラム150を実行して、入力部16から入力された音声を通信装置20に配信する。
【0019】
ROM12は、親通信装置10の動作に係る基本的な制御プログラムや初期設定データを格納する。このROM12は、マスクROMに加えて書き換え更新可能なEEPROMやフラッシュメモリなどを内蔵ストレージとして有していても良い。
【0020】
RAM13は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM13には、DRAMやSRAMなどの各種揮発性メモリが用いられる。
【0021】
入出力インターフェイス14は、CPU11、ROM12及びRAM13(まとめて制御部とも記す)と共にバス19に接続され、外部と制御部とのデータのやり取りを接続機器の規格に従って制御する。
【0022】
記憶部15は、着脱可能な可搬型外部記憶媒体であり、例えば、miniSDカードなどである。miniSDカードには、各種アプリ(プログラム)やデータが記憶される。記憶部15に記憶されているプログラムには、音声配信プログラム150が含まれ、この音声配信プログラム150には、更に、親通信装置10及び通信装置20のアクセスポイントの設定を制御する通信制御プログラム151が含まれる。
【0023】
入力部16は、ユーザ操作を受け付けるための操作部161を有し、操作部161は、例えば、出力部17の表示画面に重ねて設けられたタッチパネルや、スマートフォンの筐体側面などに設けられた押しボタンスイッチ及び/又はスライドスイッチなどを備える。入力部16は、これらの操作部161に対して行われた操作を電気信号に変換して入力信号として入出力インターフェイス14へ出力する。また、入力部16は、音声を取得するためのマイク162(マイクロフォン)を有する。
【0024】
出力部17は、ユーザの視覚、聴覚や触覚などにより知覚可能な信号を出力する。出力部17は、表示画面を備えた表示部や、電話の着信などに伴って報知動作を行うための音声出力部171及び振動発生部などを備える。表示画面には、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)が用いられるが、これに限られない。また、表示部には、LED(Light Emitting Diode)ランプなどが含まれても良い。音声出力部171は、音声を出力するスピーカやイヤホン接続端子(イヤホンジャック)、ビープ音を発生させる圧電素子を含む回路などを備える。また、振動発生部としては、例えば、錘付の振動モータなどが用いられる。
【0025】
通信部18は、親通信装置10の外部と所定の規格に従って無線通信を行う。通信部18は、例えば、電話通信を行うための基地局との通信電波の送受信回路及び内蔵アンテナと、インターネットや無線LAN(IEEE802.11)に接続してデータ通信を行うためのネットワークカード及び内蔵アンテナと、を備える。また、通信部18は、近接無線通信を行うためのRFICタグや、ブルートゥース通信(登録商標:Bluetooth)などの近距離無線通信を行うための通信モジュールなどを備えていても良い。
【0026】
バス19は、制御部の各部と入出力インターフェイス14との間でデータのやり取りを行うための通信経路である。
なお、入出力インターフェイス14は、記憶部15、入力部16、出力部17及び通信部18に対して各々別個に設けられてバス19に接続されることが出来る。
【0027】
図2(b)に示すように、通信装置20は、CPU21(接続制御手段、第2接続制御手段)と、ROM22と、RAM23と、入出力インターフェイス24と、記憶部25と、入力部26と、出力部27と、通信部28と、バス29などを備えている。入力部26は、操作部261及びマイク262を備え、出力部27は、音声出力部271を備える。
これらのうち、CPU21、ROM22、RAM23、入出力インターフェイス24、入力部26、出力部27、通信部28及びバス29については、それぞれ、親通信装置10におけるCPU11、ROM12、RAM13、入出力インターフェイス14、入力部16、出力部17、通信部18及びバス19と同一の構成であり、説明を省略する。
【0028】
記憶部25は、親通信装置10における記憶部15と同様に、miniSDカードなどの可搬型外部記憶媒体である。この記憶部25には、親通信装置10から配信された音声を受信して再生する音声受信プログラム251が記憶されている。
【0029】
次に、親通信装置10から通信装置20への音声配信について説明する。
図3は、音声配信に係るデータのやり取りを示すシーケンス図である。
【0030】
親通信装置10から複数の通信装置20への音声配信は、親通信装置10と通信装置20が同一のアクセスポイント40に接続された状態で当該アクセスポイント40を介して無線LANにより行われる。音声配信プログラム150が実行されることで、親通信装置10のマイク162に入力された音声、例えば、観光ガイドなどによるアナウンスが略リアルタイムで通信装置20に配信される。
【0031】
配信される音声データは、所定のデータ長ごとに分割され、所定の間隔で予め設定された通信装置20を送信先として親通信装置10が接続されているアクセスポイントAにマルチキャスト送信される。或いは、親通信装置10と通信装置20のみが同一のLAN内にある場合には、ブロードキャスト送信を用いても良い。アクセスポイントAのルータは、マルチキャストの送信先として設定(マルチキャスト設定)された各通信装置20に対してこの音声データを転送する。マルチキャスト設定は、ここでは、予め送信先の通信装置20の固定IPアドレスが定められて記憶部15に記憶させておくことで行われる。従って、これらの固定IPアドレスは、マルチキャスト設定が可能な同一のサブネット(LAN)内のアドレスに定められる。
【0032】
親通信装置10は、アクセスポイントの変更が可能な設定状況において、随時各アクセスポイント40からのSSIDなどを含むビーコンのブロードキャスト送信を受信してアクセスポイント40の識別及び受信強度の判別を行う。アクセスポイントがSSIDを送信していないSSIDステルスモードの場合には、親通信装置10から予め記憶部15に記憶された接続先のアクセスポイントリスト内のSSIDを指定してプローブ要求を行い、その返信を受信して受信強度の判別を行う。
【0033】
親通信装置10が現在接続されているアクセスポイントA(第1の中継部)とは異なるアクセスポイントB(第2の中継部)から所定の接続基準を満たす、ここでは、受信強度(電力値や振幅などの電波強度)が基準値以上である送信電波が受信されたと判断すると、親通信装置10は、接続先をアクセスポイントBに変更する決定を行い、マルチキャスト送信しているデータに音声データと、変更先のアクセスポイント及び変更タイミング(接続タイミング)に係る情報(ここでは、カウント時間(待機時間))からなる制御データとを含めてアクセスポイントAにマルチキャストで送信する。アクセスポイントAのルータは、この送信データをマルチキャストで指定された各通信装置20に送信する。
【0034】
親通信装置10は、引き続き音声データを含むデータを通信装置20に対して送信すると共に、接続先の切替タイミングまでカウント時間を計数する。同様に、通信装置20は、引き続き親通信装置10からアクセスポイントAを介して音声データを受信して処理を行うと共に、制御データとして親通信装置10(予め定められた一の無線通信装置)から取得されたカウント時間を計数する。
【0035】
カウント時間の計数がなされると、親通信装置10及び通信装置20では、それぞれアクセスポイントAとの接続を解除すると共にアクセスポイントBとの接続認証を行い、アクセスポイントBを接続先に変更する。接続認証がなされると、親通信装置10は、通信装置20に配信する音声データをアクセスポイントBへマルチキャスト送信する。アクセスポイントBのルータは、当該音声データをマルチキャスト指定先の各通信装置20に送信し、通信装置20は、それぞれ受信した音声データを適宜処理して再生する。
【0036】
図4は、本実施形態で親通信装置10から送信されるデータのフォーマットを示す図である。
本実施形態の親通信装置10は、マイク162により取得された音声信号をデジタルデータ化して、RTP(Real-time Transport Protocol)(所定のフォーマット)を用いてUDP/IP(User Datagram Protocol / Internet Protocol)によりマルチキャスト送信でリアルタイム配信する。
図4(a)に示すように、RTPデータは、音声データや上述の制御データからなるRTPペイロードの前にRTPヘッダが付されて生成される。このRTPデータに対して、更にUDPヘッダ(トランスポート層)、IPヘッダ(ネットワーク層)などが付加されることでMAC(Media Access Control)フレームボディが得られる。通信部18は、MACフレームボディを適宜暗号化(WEP、WPA−TKIP、WPA2−AESなど)し、IEEE802.11ヘッダを付加してMACフレームを生成し、更にこのMACフレームデータ(フレームデータ)に物理ヘッダを付加してアクセスポイント40へ送信する。各通信装置20は、アクセスポイント40から送信されたフレームデータが自装置のMACアドレス宛(自装置を含むマルチキャストアドレスに対応するMACアドレス宛)のものであることを確認して当該フレームデータを取り込み、暗号化されたMACフレームボディを復号してUDP/IP及びRTPに応じたフォーマットでデータを取得、処理する。
【0037】
図4(b)に示すようにRTPヘッダ(固定ヘッダが12バイト)の先頭には、RTPのバージョン識別子、パディング設定や拡張ヘッダの有無に係るフラグ、及びCSRC(Contributing Source)の識別子の数やマーカビットなどを16ビット(2バイト)含み、この16ビットのうち末尾の7ビットがRTPペイロードの識別子(ヘッダ情報)である。RTPペイロードの識別子は、「0」〜「127」のうち一部が音声データや動画データなどの符号化方式などに応じて既定値として割り当てられており、本実施形態の無線通信システム1では、既定値が割り当てられていない番号に対し、制御データの有無や種別などを音声配信プログラムで設定して用いる。ここでは、例えば、RTPペイロード識別子が「21」である場合には、
図4(c)に示すように、RTPペイロードの中身は所定のフォーマット(圧縮形式)による音声データのみであり、「22」である場合には、
図4(d)に示すように、RTPペイロードの先頭に予め定められた長さNの制御データ(付加情報)が含まれ、その後ろに通常の音声データが付加される。
なお、ここでは制御データをRTPペイロードの一部としているが、RTPヘッダの固定ヘッダに続いて配置される拡張ヘッダの要素であっても良い。
【0038】
制御データには、上述のように、変更先のアクセスポイントに係る情報、例えば、SSID(Service Set Identifier)、通信を暗号化する場合の鍵データ、及び切替タイミングを定めるカウント時間が予め定められた順番やフォーマットで配列されており、当該順番やフォーマットに従って通信装置20で解読、取得される。このように、定期的に配信される通常の音声データの中に必要に応じて制御データを挿入し、RTPペイロード識別子で当該挿入を分別可能とすることで、当該設定を含む音声配信プログラム及び/又は受信プログラムをインストールして実行するだけで、親通信装置10と通信装置20とにより容易に略同一タイミングでのアクセスポイントの切替が行われる。
【0039】
図5は、親通信装置10で実行される音声データ配信処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
【0040】
この音声データ配信処理は、親通信装置10において、当該親通信装置10が一のアクセスポイント40に接続された状態で、入力部16の操作部161への入力操作に応じて起動される。音声データ配信処理が起動されると、CPU11は、マイク162により取得された音声信号を所定のサンプリングレートでデジタル化して当該デジタル化された音声データを含むフレームデータ生成する処理を開始する(ステップS101)。CPU11は、接続先移行準備モードであるか否かを判別する(ステップS102)。接続先移行準備モードではない、即ち、他に受信強度に係る接続基準を満たすアクセスポイントがあるとしてもアクセスポイントを変更しない設定である場合には(ステップS102で“NO”)、CPU11の処理は、ステップS104に移行する。
【0041】
接続先移行準備モードであると判別された場合には(ステップS102で“YES”)、CPU11は、アクセスポイントからの送信電波の受信データに基づいて各アクセスポイントからの受信強度を取得し、予めアクセスポイントリスト(候補リスト)に記憶されているアクセスポイントから基準値以上の受信強度で受信されている電波があるか否かを判別する(ステップS103)。ここで、基準値以上の受信強度は、瞬間値だけではなく、予め定められた時間以上継続して安定的に受信されていることを条件とすることが出来る。基準値以上の受信強度の電波がないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU11の処理は、ステップS104に移行する。
【0042】
ステップS102、S103の判別処理からステップS104の処理に移行すると、CPU11は、RTPペイロード識別子を「21」として音声データのみをRTPペイロードとしてフレームデータの送信を行う(ステップS104)。それから、CPU11の処理は、ステップS102に戻る。
【0043】
ステップS103の判別処理で、リストされたアクセスポイントから送信された基準値以上の受信強度の電波があると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU11は、当該電波に係るアクセスポイントを接続移行先とする決定を行い、RTPペイロード識別子を「22」として、当該アクセスポイントのSSID、暗号化キー、及びカウント時間を音声データと共にRTPペイロードとしてフレームデータの送信を行う(ステップS105)。また、CPU11は、送信したカウント時間を初期値として「0」までカウントダウンする計数を開始する(ステップS106)。
【0044】
CPU11は、計数されているカウントが「0」になったか否かを判別する(ステップS107)。「0」になっていないと判別された場合には(ステップS107で“NO”)、CPU11は、RTPペイロード識別子を「21」として音声データをRTPペイロードとしてフレームデータの送信を行う(ステップS108)。その後、CPU11の処理は、ステップS107に戻る。
【0045】
計数されているカウントが「0」になったと判別された場合には(ステップS107で“YES”)、CPU11は、現在のアクセスポイントとの接続を解除すると共に移行先として決定されているアクセスポイントとの通信接続処理を行い、認証を行って接続を確立する(ステップS109)。CPU11は、当該接続が確立された新たなアクセスポイントに対してRTPペイロード識別子を「21」として音声データをRTPペイロードとしたフレームデータの送信を行う(ステップS110)。それから、CPU11の処理は、ステップS102に戻る。
【0046】
この音声データ配信処理は、ユーザ操作により終了命令が入力されることで、割込み処理により随時終了される。
【0047】
図6は、本実施形態の通信装置20で実行される音声データ受信処理のCPU21による制御手順を示すフローチャートである。
この音声データ受信処理は、ユーザによる入力部16の操作部161への所定の入力操作に係る開始命令により開始される。
【0048】
音声データ受信処理が開始されると、CPU21は、音声データを含むフレームデータの取得を開始し(ステップS151)、取得されたフレームデータのRTPペイロード識別子を読み出して、RTPペイロードが接続制御データ付であるか(即ち、RTPペイロード識別子が「22」であるか)否かを判別する(ステップS152)。接続制御データ付ではない(即ち、RTPペイロード識別子が「21」である)と判別された場合には(ステップS152で“NO”)、CPU21は、RTPペイロードが全て音声データであるとして当該音声データの処理(デコードなど)を行い、適切なタイミングで音声を再生出力させる(ステップS154)。それから、CPU21の処理は、ステップS152に戻る。
【0049】
ステップS152の判別処理で、接続制御データ付である(即ち、RTPペイロード識別子が「22」である)と判別された場合には(ステップS152で“YES”)、CPU21のRTPペイロードから接続制御データを取得し、カウント時間を初期値として設定して「0」までのカウントダウンを開始する(ステップS156)。CPU21は、計数されているカウント時間が「0」になったか否かを判別する(ステップS157)。「0」になっていないと判別された場合には(ステップS157で“NO”)、CPU21は、RTPペイロードを音声データとして当該音声データの処理を行う(ステップS158)。
【0050】
カウント時間が「0」になっていると判別された場合には(ステップS157で“YES”)、CPU21は、現在のアクセスポイントとの接続を解除すると共に、接続制御データ中で設定されている接続移行先のアクセスポイントとの通信接続処理を開始し、接続認証を行って接続を確立する(ステップS159)。それから、CPU21は、新たなアクセスポイントから受信された音声データの処理を行う(ステップS160)。それから、CPU21の処理は、ステップS152に戻る。
【0051】
この音声データ受信処理は、ユーザ操作の操作部161による受付により、割込み処理として随時終了される。
【0052】
[変形例]
図7は、本実施形態の無線通信システム1のおける音声データ配信処理の変形例を示すフローチャートである。
【0053】
この音声データ配信処理は、一のアクセスポイントが親通信装置10と共にユーザにより携行されていて常に接続可能な状態にある場合に実行される。携行されるアクセスポイントは、親通信装置10自体であっても良い。この音声データ配信処理は、上記実施の形態で示した音声データ配信処理にステップS111、S112の処理が追加された点を除き同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0054】
ステップS101の処理が終了すると、CPU11は、現在接続されているアクセスポイントからの電波受信強度が所定の接続基準未満であるか(即ち、接続基準(接続継続基準)を満たしていないか)否かを判別する(ステップS111)。ここで、現アクセスポイントが携行されている上述の一のアクセスポイントである場合には、通常、電波受信強度が接続基準未満にはならない。
【0055】
接続基準未満ではないと判別された場合(携行されているアクセスポイントに接続されている場合を含む)には(ステップS111で“NO”)、CPU11の処理は、ステップS102に移行する。接続基準未満であると判別された場合には(ステップS111で“YES”)、CPU11は、接続先を携行されているアクセスポイントに戻す設定を当該戻すタイミング(接続復帰タイミング)、即ち、上記接続タイミングと同様のカウント時間(待機時間)の設定と共に行い(ステップS112)、処理をステップS105に移行させる。
【0056】
このように、本変形例の音声データ配信処理では、携行されているアクセスポイントへの接続を基本として、他に受信強度の大きなアクセスポイントがある場合にのみ当該アクセスポイントに接続先を変更させる。
【0057】
以上のように、本実施形態の無線通信システム1の親通信装置10は、無線通信のアクセスポイントに接続して当該無線通信により前記アクセスポイントを介して通信データの送受信を行う通信部18と、CPU11とを備える。CPU11は、接続先設定手段として、受信強度に係る所定の接続基準に基づいて、現在接続されているアクセスポイントAとは異なるアクセスポイントB及び当該アクセスポイントBへの接続タイミングを定め、変更要求送信制御手段として、接続タイミングで接続先をアクセスポイントBに変更する設定がなされた場合に、予め定められた通信装置20に対してアクセスポイントBの情報及び前記接続タイミングに係る情報を通信部18により送信させ、また、接続制御手段として、接続先設定手段により定められた接続タイミングで通信部18に接続先をアクセスポイントBへと変更させる。
即ち、通信装置20が接続するアクセスポイントを親通信装置10が接続するアクセスポイントと同じになるように一括して制御することが出来るので、親通信装置10と通信装置20との間で容易に通信を維持することが可能となる。また、マルチキャストなどでデータを一括送信することが可能になって負荷を低減可能することが出来ると共に、送信データが複数のルータを通過することによる遅延を大きくさせない。
【0058】
また、通信装置20は、無線通信のアクセスポイントに接続して当該無線通信により前記アクセスポイントを介して通信データの送受信を行う通信部28と、制御部(CPU21)とを備える。制御部は、接続制御手段として、アクセスポイントAに接続されている状態で通信部28によりアクセスポイントBの情報及び当該アクセスポイントBへの接続タイミングに係る情報が受信された場合には、当該接続タイミングで通信部28に接続先をアクセスポイントBへと変更させる。従って、通信装置20における個別の設定ではなく、外部の親通信装置10などの要求に応じて当該外部の親通信装置10などとの通信に適切なタイミングでアクセスポイントを変更させることが出来る。従って、ハードウェアの追加や構成の変更などによる大きな費用や手間をかけずに、特定の複数の無線通信装置間における通信を容易に保つことが出来る。特に、マルチキャスト送信データなどのLAN内部でのみ送信されるデータやLAN内部で送信されるのが好ましいデータを途切れなく確実に受信することが出来る。また、アクセスポイントBへと変更させる接続タイミングを指定することで、通信装置20ごとに実際にアクセスポイントBに接続先を移行させるタイミングがばらつくのを抑制することが出来る。
【0059】
また、上述の親通信装置10及び通信装置20からなる無線通信システム1は、親通信装置10による接続先の変更要求により、通信装置20で親通信装置10と同タイミングでアクセスポイントを切り替えるので、追加のハードウェア構成を必要とせずに容易な処理でアクセスポイントの切り替えを管理することが出来る。従って、設備投資などの必要がなく、また、ハードウェアが対応していないアクセスポイントを利用出来ないといった事態の発生を防ぎながら、親通信装置10と通信装置20との通信を容易且つ適切に維持することが出来る。また、このようにアクセスポイントの切り替えを一括して行うことで、無線通信システム1内の通信装置が必要以上の時間に亘ってアクセスポイントを利用するのを避けることが出来る。また、データの送信側と受信側とでばらばらにアクセスポイントが変わることでデータ配送ルートが細かく変わり、データ配送に遅延が生じたり、通信が不能になったりするのを抑えることが出来る。
【0060】
また、親通信装置10にインストールされる音声配信プログラム150は、無線通信のアクセスポイントに接続して当該無線通信により前記アクセスポイントを介して通信データの送受信を行う通信部18を備えるコンピュータ(親通信装置10)を、受信強度に係る所定の接続基準に基づいて、現在接続されているアクセスポイントAとは異なるアクセスポイントB及び当該アクセスポイントBへの接続タイミングを定める接続先設定手段、接続先をアクセスポイントBに変更する設定がなされた場合に、予め定められた通信装置20に対してアクセスポイントBの情報及び接続タイミングに係る情報を通信部18により送信させる変更要求送信制御手段、接続先設定手段により定められた接続タイミングで通信部18に接続先をアクセスポイントBへと変更させる接続制御手段、として機能させる。
これにより、ハードウェアの変更や追加が必要なく、ソフトウェア動作のみで通信先の通信装置20が接続するアクセスポイントを一括して管理することが出来る。従って、親通信装置10及び各通信装置20の間で容易に通信接続を維持し、大きな遅延を発生させずにデータを送受信させることが出来る。特にリアルタイム性の要求されるデータや、複数の通信装置20に対してマルチキャストなどでデータを送信する場合にネットワークに負荷をかけずに確実にデータを送受信させることが出来る。
【0061】
また、本実施形態の通信装置20にインストールされる音声受信プログラム251は、無線通信のアクセスポイントに接続して当該無線通信により前記アクセスポイントを介して通信データの送受信を行う通信部28を備える通信装置20のコンピュータ(制御部)を、アクセスポイントAに接続されている状態で通信部28によりアクセスポイントBの情報及び当該アクセスポイントBへの接続タイミングに係る情報が受信された場合には、当該接続タイミングで通信部28に接続先をアクセスポイントBへと変更させる接続制御手段として機能させる音声受信プログラム251を備える。
これにより、通信装置20において、ハードウェアを対応させることなくソフトウェア処理のみで容易に親通信装置10とタイミングを合わせてアクセスポイントを変更させることが出来る。従って、親通信装置10からの通信データを大きな遅延なくネットワークに大きな負荷をかけずに継続して取得することが出来る。
【0062】
また、接続先設定手段は、通信部18で受信されるアクセスポイントからの電波強度に基づいてアクセスポイントBを定めるので、親通信装置10及びその周囲にあるはずの通信装置20で実際に当該アクセスポイントBを利用可能であるかを判断してアクセスポイントBを定めることが出来る。
【0063】
また、特に、接続先設定手段は、電波強度が予め定められた時間以上継続して基準値を超えた場合に当該電波強度の電波を送信するアクセスポイントを次の接続先となるアクセスポイントBとして定めるので、安定して接続状態を維持するのに適切な受信状態であるか否かを判断してより確実にアクセスポイントを選択することが出来る。
【0064】
また、接続先設定手段は、アクセスポイントBに接続された状態で当該アクセスポイントBが所定の電波強度に係る接続継続基準を満たさなくなった場合に、アクセスポイントBを再度接続先として定めるとともに、当該アクセスポイントAへの接続復帰タイミングを定め、変更要求送信制御手段は、接続先をアクセスポイントAに変更する設定がなされた場合に、通信装置20に対してアクセスポイントAの情報及び接続復帰タイミングに係る情報を通信部18により送信させ、接続制御手段は、接続復帰タイミングで通信部18に接続先をアクセスポイントAへと変更させる。
このように、携行されるアクセスポイントAが保持されていて原則的に常時親通信装置10及び通信装置20と接続可能な場合に、可能な範囲で主に固定された他のアクセスポイントに一括して接続先を変更させることが出来るので、携行されるアクセスポイントAの負荷を軽減させることが出来る。また、固定アクセスポイントBの方が携行される携帯型のアクセスポイントAよりも性能が良いことも多いので、効率良く通信を行うことが出来る。また、このように固定されたアクセスポイントBでは、当該固定箇所に応じた情報、例えば当該固定箇所が観光地の場合の解説や、固定箇所が店舗などの場合の案内などの配信をブロードキャストで行いやすいので、適切にタイミング良く当該アクセスポイントBに通信装置20の接続先を誘導することが出来る。
【0065】
また、音声配信プログラム150は、親通信装置10(コンピュータ)を、所定の圧縮形式の音声データをRTPペイロードとして通信装置20に対して送信するデータ送信制御手段として機能させ、変更要求送信制御手段は、RTPペイロードの音声データにアクセスポイントBの情報及び接続タイミングに係る情報を付加情報として追加して通信部18により送信させる。
即ち、親通信装置10から通信装置20に対して送信される音声配信に係る通常のフォーマットデータに対してオプショナルに付加情報が追加されたフォーマットを定義するだけで通常短い時間間隔で継続的に行われる音声データ配信の中で併せて接続先の切替に係る情報を送信することが出来るので、通信を複雑化することなく、また、トラフィックの増大を極力抑えて容易に通信装置20の接続先のアクセスポイントを一括管理することが出来る。
【0066】
また、このような配信データは、音声、動画又はこれらの組合せを含むデータであることで、同様に、短い間隔で継続的、定期的に送信されるデータに伴って接続制御データが送られることで、管理を容易にすると共に、通信装置20におけるこれら音声や動画(映像)データの再生中に、通信切断による当該音声や動画の飛び、中断の発生を効果的に防ぐことが出来る。
【0067】
また、音声データのペイロードを含む配信データには、RTPヘッダが付され、当該RTPヘッダには、付加情報として追加される接続制御データの有無の識別に係る情報を含むRTPペイロード識別子が含まれる。従って、通信装置20では、当該RTPペイロード識別子を確認することで、RTPペイロードのフォーマットを確認し、当該フォーマットに従って容易にアクセスポイント40の切替設定を取得して適切なタイミングでアクセスポイントの接続先を移行させることが出来る。
【0068】
また、データ送信制御手段は、通信装置20に対してマルチキャスト又はブロードキャストで音声データを通信部18により送信させるので、上述のように通信装置20の接続先を親通信装置10の接続先のアクセスポイントと同一に保つことで、容易にマルチキャストやブロードキャストの送信範囲内となるサブネット内にこれらの通信装置を保つことが出来る。従って、ユニキャスト送信などでネットワークに負荷をかけず、また、接続先の切替時に中断や飛びなどを生じさせずに継続的に通信装置20に対して配信データを送信することが出来る。
【0069】
また、親通信装置10が記憶部15を備えて接続先として設定可能なアクセスポイントのリストを記憶させることで、親通信装置10(コンピュータ)を、アクセスポイント40として定めることが可能なアクセスポイントの候補リストを保持する記憶手段として機能させ、接続先設定手段は、この候補リスト内に含まれるアクセスポイント40からアクセスポイントBを定める。
従って、近傍に電波を発するアクセスポイントが複数ある場合でも容易且つ速やかに利用可能なもののみを選択して、アクセスポイントBとして接続先に設定可能かどうかの判断を行い、また、接続先として設定することが出来る。また、公衆に利用可能なアクセスポイントであるが、セキュリティ上などの問題から接続に適さない、及び/又はマルチキャストやブロードキャストでのデータ配信に適さないアクセスポイントを接続先から除外することが出来る。
【0070】
また、接続タイミングに係る情報は、接続先をアクセスポイントBへと変更する動作を開始させるまでの待機時間を含むので、日時データを送信する場合などと比較して、親通信装置10と各通信装置20との間でそれぞれ計数されている時刻のずれを考慮する必要がなく、また、時刻情報と比較してデータサイズを小さくすることが出来る。
【0071】
また、同様に、接続復帰タイミングに係る情報は、接続先を携行されるアクセスポイントAへと変更する動作を開始させるまでの待機時間を含むので、上述の接続タイミングに係る情報としての待機時間と同様の効果を得ることが出来る。
【0072】
また、通信装置20において、アクセスポイントBの情報及び当該アクセスポイントBへの接続タイミングに係る情報は、予め定められた一の無線通信装置から受信されるので、他の悪意のある通信装置のユーザなどから接続先として不適なアクセスポイント40へ誘導されて接続されたりせず、容易に適切な接続先にガイドされる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の無線通信システムについて説明する。
この第2実施形態の無線通信システム1の全体構成及び親通信装置10、通信装置20の機能構成は、何れも第1実施形態の無線通信システム1に係る構成と同一であり、同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0074】
次に、第2実施形態の無線通信システムにおける音声データ配信について説明する。
図8は、第2実施形態の無線通信システム1における親通信装置10、通信装置20及びアクセスポイント40の間でのデータのやり取りを示すシーケンス図である。
【0075】
本実施形態の無線通信システム1では、親通信装置10において受信されたアクセスポイントのルータからの電波(ビーコンのブロードキャストやプローブ要求に対する返信)が受信強度に係る接続基準を満たす場合に、CPU11(候補確認送信制御手段、報知要求送信制御手段)は、当該接続基準を満たしたアクセスポイントの情報を通信装置20に接続移行先候補(候補確認情報)として音声データと共に通信部18によりマルチキャスト送信させる。この接続移行先候補の情報を受信した通信装置20は、当該接続移行先候補のアクセスポイントのルータからの電波の受信強度を取得し、当該通信装置20でも受信強度の基準を満たすことを確認して受信強度が良好であることを示す信号(候補承認情報)を返信する。この返信は、親通信装置10へのユニキャスト送信により通常のUDP/IP(又はTCP/IP)のペイロード(IPパケット)に含めて行われれば良い。全ての通信装置20から受信強度良好を示す返信が受信されると、親通信装置10は、音声データと共に上述の接続制御データを各通信装置20にマルチキャスト送信し、カウント時間の経過ののち、アクセスポイントを変更先に移行させる。
【0076】
ここで、接続移行先候補の情報を送信する際には、RTPペイロード識別子を上述の「21」、「22」とは異なる番号が指定される。ここでは、RTPペイロード識別子として「23」が指定されることで、例えば、RTPペイロードの先頭32バイトに接続移行先候補のアクセスポイントに対応するSSIDが挿入されることを示す。
【0077】
図9は、本実施形態の親通信装置10で実行される音声データ配信処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
【0078】
この音声データ配信処理は、第1実施形態の音声データ配信処理におけるステップS103の処理とステップS105の処理の間にステップS115、S116の処理が追加挿入された点を除き第1実施形態の音声データ配信処理と同一であり、同一の処理内容については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0079】
ステップS103の判別処理で、予めリストされているアクセスポイントから基準以上の受信強度で受信されている電波があると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU11は、当該電波に係るアクセスポイントを接続移行先候補に設定し、RTPペイロード識別子を「23」として、音声データと接続移行先候補のSSIDとをRTPペイロードとして通信装置20へマルチキャストで送信する(ステップS115)。
【0080】
CPU11は、RTPペイロード識別子を「21」に戻して音声データのみをRTPペイロードとしたフレームデータの送信を行いながら全ての通信装置20からの受信状況に係る返信を待ち受け、全ての通信装置20から返信が受信されると、当該返信により全ての通信装置20で受信強度が良好であったか否かを判別する(ステップS116)。何れかの通信装置20で受信強度が良好でなかったと判別された場合には(ステップS116で“NO”)、CPU11は、接続移行先候補を保留し、処理をステップS104に移行させる。全ての通信装置20で受信強度が良好であったと判別された場合には(ステップS116で“YES”)、CPU11は、処理をステップS105に移行させる。
【0081】
ここで、ステップS116の判別処理において何れかの通信装置20で受信強度が良好でなかったと判別された場合には、CPU11は、通信部18から当該通信装置20に対して親通信装置10に近寄るように求める報知動作を行わせる要求(報知要求情報)を送信させることが出来る。報知動作は、通信装置20の出力部27から出力可能な種別の動作が適宜設定される。例えば、表示画面に表示を行わせても良いし、予め設定されたビープ音などを出力させても良い。この動作の種別は、通信装置20の側で設定可能であっても良いし、親通信装置10が指定可能であっても良い。親通信装置10は、通信装置20全てに対して報知要求情報を送信しても良い。
【0082】
保留された接続移行先の候補に対しては、所定時間経過後自動的に、及び/又は親通信装置10のユーザによる手動操作で、全ての通信装置20から受信強度が良好であることを示す返信が得られるまで親通信装置10のユーザの手動操作及び/又は所定の時間間隔で受信強度が良好であるかを確認する問い合わせを繰り返す。或いは、CPU11は、当該接続移行先の候補を一度取り消しても良い。この場合、このアクセスポイントが再度候補として選択されるのが所定時間禁止されても良い。
【0083】
図10は、本実施形態の通信装置20で実行される音声データ受信処理のCPU21による制御手順を示すフローチャートである。
この音声データ受信処理は、第1実施形態の音声データ受信処理においてステップS152の処理がステップS152aの処理で置き換えられ、また、ステップS161〜S163の処理が追加されたものであり、他の処理は、第1実施形態の音声データ受信処理と同一である。同一の処理内容については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0084】
ステップS151の処理で音声データが含まれるフレームデータの取得が開始されると、CPU21は、取得されたフレームデータのRTPペイロードが音声データのみであるか否か、即ち、RTPペイロード識別子が「21」であるか否かを判別する(ステップS152a)。音声データのみであると判別された場合には(ステップS152aで“YES”)、CPU21の処理は、ステップS154に移行する。また、ステップS154の処理が終了すると、CPU21の処理は、ステップS152aに戻る。
【0085】
RTPペイロードが音声データのみではないと判別された場合には(ステップS152aで“NO”)、CPU21は、音声データ以外の付加データが接続制御データであるか否か、即ち、RTPペイロード識別子が「22」であるか否かを判別する(ステップS161)。付加データが接続制御データであると判別された場合には(ステップS161で“YES”)、CPU21の処理は、ステップS156に移行する。また、ステップS160の処理が終了した場合には、CPU21の処理は、ステップS152aに移行する。
【0086】
付加データが接続制御データではないと判別された場合には(ステップS161で“NO”)、即ち、RTPペイロード識別子が「23」であり、CPU21は、接続移行先候補の情報を取得し、当該取得された接続移行先候補からの電波を受信して、当該電波の受信強度が基準を満たすか否か判断する。そして、CPU21は、当該判断結果を親通信装置10へユニキャスト送信する(ステップS162)。また、CPU21は、受信されたRTPペイロード内の音声データの処理を行い、適切なタイミングで音声を再生出力させる(ステップS163)。それから、CPU21の処理は、ステップS152aに戻る。
【0087】
以上のように、第2実施形態の無線通信システム1に係る親通信装置10において実行される音声配信プログラム150は、当該親通信装置10の制御部(CPU11)を、アクセスポイントを定めるための接続基準を満たす受信強度のアクセスポイントBが検出された場合に、当該検出されたアクセスポイントBが通信装置20の各々で接続基準を満たすか否かを問い合わせる候補確認情報を当該通信装置20に対して通信部18により送信させる候補確認送信制御手段として機能させ、接続先設定手段としてのCPU11は、候補確認情報の送信に応じ、通信装置20で検出されたアクセスポイントBが通信装置20で接続基準を満たすことを示す候補承認情報が通信部18により通信装置20の全てから受信された場合に、このアクセスポイントBを接続移行先のアクセスポイントとして定め、変更要求送信制御手段としてのCPU11は、アクセスポイントBの情報及びアクセスポイントBへの接続タイミングに係る情報を通信部18により送信させる。
従って、親通信装置10だけでなく、全ての通信装置20がアクセスポイントBに接続可能な状況であることを確認した上で接続先のアクセスポイントを切り替えるので、通信装置20でアクセスポイントの変更に失敗して親通信装置10と通信が出来なくなるのをより確実に防ぎ、親通信装置10から送信するデータを通信装置20に確実に届けることが出来る。
また、これにより、変更前のアクセスポイントAが携行されているアクセスポイントの場合に、当該携行されているアクセスポイントの負荷を効率良く確実に低減させることが出来る。
【0088】
また、本実施形態の音声配信プログラム150は、親通信装置10を、通信装置20の少なくとも一部から候補承認情報が受信されない場合に、親通信装置10の周囲に近寄るように求める報知動作の実行を要求する報知要求情報を通信装置20のうち少なくとも候補承認情報を送信していないものに対して通信部18により送信させる報知要求送信制御手段として機能させる。
従って、親通信装置10に対して離れ過ぎて行動している通信装置20のユーザがいる場合でも、大きな遅滞なく速やかにアクセスポイントBへと接続先を切替えることが出来る。また、これにより、通信装置20のユーザを所望の移動方向に誘導することが出来る。
【0089】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、RTPを用いたリアルタイム音声送信の際に当該RTPデータに接続先に係る制御データを含めて接続されるアクセスポイントを変更させることとしたが、RTPデータとは別個に制御データを単独で送信しても良い。また、リアルタイム音声だけではなく動画(音声有り又は無し)の送信であっても良い。これらの場合には、それぞれ適合したプロトコルやフォーマットを用いてデータ送信が行われれば良い。また、これらの場合、通信装置20の出力部17には、画像出力が可能な表示画面などが備えられる。
【0090】
また、配信データは、既に収録済みの音声データなどであっても良い。この場合、親通信装置10のユーザが音声データを適宜再生又は一時停止させることが可能であっても良い。
【0091】
また、上記実施の形態では、アクセスポイント40からの受信電波強度に応じて接続先を切り替えることとしたが、親通信装置10、通信装置20及びアクセスポイント40の位置情報などに基づいて親通信装置10及び通信装置20の全てが当該アクセスポイント40と接続可能と判断して切替制御を行っても良い。
【0092】
また、上記実施の形態では、アクセスポイント40への接続動作を開始するまでのカウントダウン時間を接続タイミングのデータとして用いたが、時刻情報を用いても良い。この場合には、親通信装置10及び各通信装置20の間で日時が揃っていることが好ましく、例えば、各装置で各々携帯電話の基地局などから頻繁に日時情報を取得して修正していたり、親通信装置10と各通信装置20との通信が開始されたタイミングで親通信装置10の時刻情報を各通信装置20に送信したりしている場合に好ましく用いられる。
【0093】
また、上記実施の形態では、通信装置20に対して音声データをマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信したが、通信装置20の数が少ない場合や、送信データが静止画像やテキスト文書などでTCP/IPでの送信が好ましい場合などには、ユニキャスト送信がなされても良い。
【0094】
また、変形例における他のアクセスポイントへの接続基準となる受信強度の基準値と、携行されるアクセスポイントへの復帰時の判定に係る接続継続基準の受信強度の基準値とは、独立に設定されても良い。例えば、復帰時の基準値が接続時の基準値よりも低く設定されても良い。
【0095】
また、上記実施の形態では、親通信装置10と通信装置20とを分けて設定したが、全ての通信装置を対等に接続し、その中で一台の通信装置にアクセスポイントの設定管理を行わせても良い。また、親通信装置10ではなく、予め定められた通信装置20にアクセスポイントの設定管理を行わせても良い。また、上記実施の形態では、親通信装置10に配信用の音声配信プログラム150が記憶され、通信装置20に音声受信プログラム251が記憶されることとしたが、これら音声配信プログラム150と音声受信プログラム251は、一つのプログラムパッケージ(アプリ)に含まれて両方が親通信装置10及び通信装置20に記憶(インストール)されても良い。また、通信制御プログラム151は、音声配信プログラム150だけではなく、音声受信プログラム251に含まれていても良い。
【0096】
また、以上の説明では、本発明の音声配信プログラムや音声受信プログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてminiSDカードなどの可搬型外部(外付け)記憶媒体からなる記憶部15、16を例に挙げて説明したが、これに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD(Hard Disk Drive)、各種規格に応じたフラッシュメモリ、CD−ROMやDVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理内容やその手順は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0098】
[付記]
<請求項1>
無線通信の中継部に接続して当該無線通信により前記中継部を介して通信データの送受信を行う無線通信手段と、
所定の接続基準に基づいて、現在接続されている第1の中継部とは異なる第2の中継部及び当該第2の中継部への接続タイミングを定める接続先設定手段と、
前記接続タイミングで接続先を前記第2の中継部に変更する設定がなされた場合に、予め定められた他の無線通信装置に対して前記第2の中継部の情報及び前記接続タイミングに係る情報を前記無線通信手段により送信させる変更要求送信制御手段と、
前記接続先設定手段により定められた前記接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の中継部へと変更させる接続制御手段と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
<請求項2>
前記第1の中継部に接続されている状態で前記無線通信手段により前記第2の中継部の情報及び当該第2の中継部への前記接続タイミングに係る情報が受信された場合には、当該接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の中継部へと変更させる接続制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
<請求項3>
無線通信の中継部に接続して当該無線通信により前記中継部を介して通信データの送受信を行う無線通信手段と、
第1の中継部に接続されている状態で前記無線通信手段により第2の中継部の情報及び当該第2の中継部への接続タイミングに係る情報が受信された場合には、当該接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の中継部へと変更させる接続制御手段と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
<請求項4>
互いに無線通信を行うマスター無線通信装置とスレイブ無線通信装置とからなる無線通信システムであって、
前記マスター無線通信装置は、
無線通信の中継部に接続して当該無線通信により前記中継部を介して通信データの送受信を行う第1無線通信手段と、
所定の接続基準に基づいて、現在接続されている第1の中継部とは異なる第2の中継部及び当該第2の中継部への接続タイミングを定める接続先設定手段と、
前記接続タイミングで接続先を前記第2の中継部に変更する設定がなされた場合に、前記スレイブ無線通信装置に対して前記第2の中継部の情報及び前記接続タイミングに係る情報を前記無線通信手段により送信させる変更要求送信制御手段と、
前記接続先設定手段により定められた前記接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の中継部へと変更させる第1接続制御手段と、
を備え、
前記スレイブ無線通信装置は、
前記中継部に接続して無線通信により当該中継部を介して通信データの送受信を行う第2無線通信手段と、
前記第1の中継部に接続されている状態で前記無線通信手段により前記マスター無線通信装置から前記第2の中継部の情報及び当該第2の中継部への前記接続タイミングに係る情報が受信された場合には、当該接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の中継部へと変更させる第2接続制御手段と、
を備える
ことを特徴とする無線通信システム。
<請求項5>
無線通信の中継部に接続して当該無線通信により前記中継部を介して通信データの送受信を行う無線通信手段を備えるコンピュータを、
所定の接続基準に基づいて、現在接続されている第1の中継部とは異なる第2の中継部及び当該第2の中継部への接続タイミングを定める接続先設定手段、
接続先を前記第2の中継部に変更する設定がなされた場合に、予め定められた他の無線通信装置に対して前記第2の中継部の情報及び前記接続タイミングに係る情報を前記無線通信手段により送信させる変更要求送信制御手段、
前記接続先設定手段により定められた前記接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の中継部へと変更させる接続制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
<請求項6>
前記コンピュータを、
前記第1の中継部に接続されている状態で前記無線通信手段により前記第2の中継部の情報及び当該第2の中継部への前記接続タイミングに係る情報が受信された場合には、当該接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の中継部へと変更させる接続制御手段
として機能させることを特徴とする請求項5記載のプログラム。
<請求項7>
無線通信の中継部に接続して当該無線通信により前記中継部を介して通信データの送受信を行う無線通信手段を備えるコンピュータを、
第1の中継部に接続されている状態で前記無線通信手段により第2の中継部の情報及び当該第2の中継部への接続タイミングに係る情報が受信された場合には、当該接続タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第2の中継部へと変更させる接続制御手段
として機能させることを特徴とするプログラム。
<請求項8>
前記接続先設定手段は、前記無線通信手段で受信される中継部からの電波強度に基づいて前記第2の中継部を定めることを特徴とする請求項5又は6記載のプログラム。
<請求項9>
前記接続先設定手段は、前記電波強度が予め定められた時間以上継続して基準値を超えた場合に当該電波強度の電波を送信する中継部を前記第2の中継部として定めることを特徴とする請求項8記載のプログラム。
<請求項10>
前記接続先設定手段は、前記第2の中継部に接続された状態で当該第2の中継部が所定の接続継続基準を満たさなくなった場合に、前記第1の中継部を再度接続先として定めるとともに、当該第1の中継部への接続復帰タイミングを定め、
前記変更要求送信制御手段は、接続先を前記第1の中継部に変更する設定がなされた場合に、前記他の無線通信装置に対して前記第1の中継部の情報及び前記接続復帰タイミングに係る情報を前記無線通信手段により送信させ、
前記接続制御手段は、前記接続復帰タイミングで前記無線通信手段に接続先を前記第1の中継部へと変更させる
ことを特徴とする請求項5、6、8、9の何れか一項に記載のプログラム。
<請求項11>
前記コンピュータを、
所定のフォーマットのデータを前記他の無線通信装置に対して送信するデータ送信制御手段として機能させ、
前記変更要求送信制御手段は、前記所定のフォーマットのデータに前記第2の中継部の情報及び前記接続タイミングに係る情報を付加情報として追加して前記無線通信手段により送信させる
ことを特徴とする請求項5、6、8〜10の何れか一項に記載のプログラム。
<請求項12>
前記所定のフォーマットのデータは、音声、動画又はこれらの組合せを含むデータであることを特徴とする請求項11記載のプログラム。
<請求項13>
前記所定のフォーマットには、前記付加情報の有無の識別に係るヘッダ情報が含まれることを特徴とする請求項11又は12記載のプログラム。
<請求項14>
前記データ送信制御手段は、前記他の無線通信装置に対してマルチキャスト又はブロードキャストで前記所定のフォーマットのデータを前記無線通信手段により送信させることを特徴とする請求項11〜13の何れか一項に記載のプログラム。
<請求項15>
前記コンピュータを、
前記第2の中継部を定めるための前記接続基準を満たす中継部が検出された場合に、当該検出された中継部が前記他の無線通信装置の各々で前記接続基準を満たすか否かを問い合わせる候補確認情報を当該他の無線通信装置に対して前記無線通信手段により送信させる候補確認送信制御手段、
として機能させ、
前記接続先設定手段は、前記候補確認情報の送信に応じ、前記他の無線通信装置で前記検出された中継部が前記接続基準を満たすことを示す候補承認情報が前記無線通信手段により当該他の無線通信装置から受信された場合に、前記検出された中継部を前記第2の中継部として定め、
前記変更要求送信制御手段は、前記第2の中継部の情報及び前記接続タイミングに係る情報を前記無線通信手段により送信させる
ことを特徴とする請求項5、6、8〜14の何れか一項に記載のプログラム。
<請求項16>
前記コンピュータを、
前記他の無線通信装置の少なくとも一部から前記候補承認情報が受信されない場合に、当該コンピュータに近寄るように求める報知動作の実行を要求する報知要求情報を前記他の無線通信装置のうち少なくとも前記候補承認情報を送信していないものに対して前記無線通信手段により送信させる報知要求送信制御手段
として機能させることを特徴とする請求項15記載のプログラム。
<請求項17>
前記コンピュータを、前記第2の中継部として定めることが可能な中継部の候補リストを保持する記憶手段として機能させ、
前記接続先設定手段は、前記候補リスト内に含まれる中継部から前記第2の中継部を定める
ことを特徴とする請求項5、6、8〜16の何れか一項に記載のプログラム。
<請求項18>
前記接続タイミングに係る情報は、前記接続先を前記第2の中継部へと変更する動作を開始させるまでの待機時間を含むことを特徴とする請求項5〜17の何れか一項に記載のプログラム。
<請求項19>
前記接続復帰タイミングに係る情報は、前記接続先を前記第1の中継部へと変更する動作を開始させるまでの待機時間を含むことを特徴とする請求項10記載のプログラム。
<請求項20>
前記第2の中継部の情報及び当該第2の中継部への接続タイミングに係る情報は、予め定められた一の無線通信装置から受信されることを特徴とする請求項6又は7記載のプログラム。