(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551520
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】自動毛髪植毛器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20190722BHJP
A61F 2/10 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
A61B17/00
A61F2/10
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-512616(P2017-512616)
(86)(22)【出願日】2015年4月20日
(65)【公表番号】特表2017-515640(P2017-515640A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】KR2015003929
(87)【国際公開番号】WO2015174645
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2018年4月19日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0056372
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516340559
【氏名又は名称】チョン、ヨン ジュル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヨン ジュル
【審査官】
菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0178943(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0051816(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0078475(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第2003−0004620(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61F 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛作業に必要な作業情報をプログラミングして保存し出力するコンピュータ制御装置(C)と、
調整盤(1)に支持されて前記コンピュータ制御装置(C)の指示により上下左右方向に移動するマルチ移動子(2)と、
前記マルチ移動子(2)の下端固定部(2a)の外周に放射状に設置された第1、2、3 装置台(3)(3a)(3b)と、
前記第1装置台(3)の下端に結合された回転盤(30)、
前記回転盤(30)の外周に放射状に突出するように設置され、前記コンピュータ制御装置(C)の指示に基づいて回転する複数の移動杆(31)と、
前記移動杆(31)それぞれの先端に付着された回転関節(31a)と、
前記回転関節(31a)に結合されて回転する植毛針装置部(32)と、
前記植毛針装置部(32)の垂直案内孔(32a)に挿入され、前記植毛針装置部(32)内の第1サーボモータ(4)によって上下方向に移動する昇降棒(5)と、
前記昇降棒(5)の下端に結合する植毛針を固定する針ホルダー(6)と、
前記昇降棒(5)の上端部に設置された第2サーボモータ(7)によって前記昇降棒(5)の中心孔(5a)に沿って昇降する毛髪圧着棒(8)と、
前記昇降棒(5)に装着されて、植毛する位置を感知する植毛位置感知センサ(9)と、
前記第2装置台(3a)に結合された昇降装置部(3イ)と、
前記昇降装置部(3イ)に装着される昇降型支持杆(301)と、
前記昇降型支持杆(301)に装着されて長さが調整され、毛髪が収容された植毛針(11)を前記針ホルダー(6)に挿入する第1電動ピンセット(302)、
前記第3装置台(3b)に結合された昇降装置部(3ロ)と、
前記昇降装置部(3ロ)に装着される昇降型支持杆(301)と、
前記昇降型支持杆(301)に装着されて長さが調整され、前記針ホルダー(6)に固定された前記植毛針(11)を分離する第2電動ピンセット(302)、
下端に尖端部(11a)が形成され、前記尖端部(11a)の内側に植毛する毛髪(10)の毛嚢(10a)が介入され上端部が前記針ホルダー(6)内に着脱可能に結合される植毛針(11)からなる、自動毛髪植毛器。
【請求項2】
前記植毛針装置部(32)に設置される前記垂直案内孔(32a)は単数または複数個で形成され、各垂直案内孔(32a)ごとに昇降棒(5)が装着されて下端に針ホルダー(6)が装着され、各昇降棒(5)の中心孔にはそれぞれ毛髪圧着棒(8)が具備されて単数または複数個の毛髪植毛がなされるようにした、請求項1に記載の自動毛髪植毛器。
【請求項3】
植毛形態はライン状、曲線状、不規則な配列状のうち少なくとも一つからなることを特徴とする、請求項1に記載の自動毛髪植毛器。
【請求項4】
前記植毛針装置部(32)が前記植毛針(11)を利用して植毛をすると、前記第2電動ピンセット(302)は前記針ホルダー(6)から前記植毛針(11)を分離し、前記第1電動ピンセット(302)は毛髪が収容された新しい植毛針を前記針ホルダー(6)に挿入することを特徴とする、請求項1に記載の自動毛髪植毛器。
【請求項5】
前記移動杆(31)の回転によって、前記植毛針装置部(32)、前記第2電動ピンセット(302)、前記第1電動ピンセット(302)の動作が繰り返されることを特徴とする、請求項4に記載の自動毛髪植毛器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱毛部位に選択された毛髪を移植するための毛髪自動植毛器に関するもので、より具体的には、毛根の健康な毛髪を選択して毛嚢が損傷しないように一定の長さにして植毛針内に収容し、植毛針を移植しようとする頭皮の中に投入した後、毛髪を残して植毛針だけを分離する方法で毛髪を植毛する毛髪植毛作業を迅速かつ正確に自動化できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来にも多様なタイプの毛髪植毛器が開発されているが、毛髪植毛作業を連続的に遂行できるようにしたものがなかったため、多くの毛髪を長時間植毛しなければならない医師と植毛関係者が大変疲れてしまう問題があり、これによって疲労が累積されると精巧な植毛をなすことができず、均等な施術ができなくなる問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前記のような問題点を解消できるように、毛髪自動植毛器を開発したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は発達したコンピュータの資料保存および保存情報処理技術を活用する制御装置と、普遍化されている精密自動移送装置と、近距離精密測定装置を活用して植毛する毛髪を収容した植毛針を選定した植毛部に移動させて植毛針を頭皮の中に投入し、植毛針に収容された毛髪を植毛部に移植した後で毛髪と分離して植毛針を引き出すことができるように構成した植毛針装置部と、植毛針中心部に設置されて植毛針が引き出される時に植毛された毛髪が植毛位置に残っているように毛髪を加圧し、植毛針を引き出して植毛針が毛髪と分離するようにする毛髪圧着棒と、植毛針装置部に接近して植毛する毛髪が収容された植毛針を電動ピンセットでつかんで植毛針装置部に装着された昇降棒の針ホルダーに投入する植毛針投入部と、植毛針装置部に接近して毛髪を排出した植毛針を電動ピンセットでつかんで植毛針装置部に装着された昇降棒の針ホルダーから分離する植毛針分離部で構成されて、指定された位置で植毛する毛髪を供給して指定された位置に毛髪を植毛し、毛髪が排出された植毛針を針装置部から分離する作業が区分されてそれぞれの作業が指定位置で連続的になされるようにし、迅速かつ精密な植毛作業が達成されるようにした構成である。
【発明の効果】
【0005】
このような本発明は、移植するために一定の規格で準備した植毛する毛髪を、毛嚢部分が植毛針尖端部の内側に挿入されるように植毛針の中に入れて自然離脱されないように支持させた植毛針を準備し、植毛針投入部で植毛針装置部に投入した後これを植毛する位置に移動させて表示した植毛位置に植毛針を投入した後、昇降棒に装着された毛髪圧着棒を作動させて投入部に挿入された毛髪が植毛された部位で弛緩しないように毛髪圧着棒で支持させ、その状態で植毛針を頭皮から抜き出して毛髪と針を分離し、毛髪圧着棒を元の位置に復帰させた後植毛針装置部を移動位置に上昇させると毛髪の植毛が完成される。
【0006】
次いで、毛髪が排出された植毛針装置部は植毛針分離部に移動され、植毛部から植毛針分離部に植毛針装置部が移動されると植毛針分離部にあった植毛針装置部は植毛針投入部に移動するようになり、植毛針投入部にあった植毛針装置部は植毛部に移動する移動が同時に起きるようになる。
【0007】
次いで、植毛針分離部では電動ピンセットが接近して毛髪が排出された植毛針を昇降棒下端の針ホルダーから分離し、植毛針投入部では植毛する毛髪が収容された植毛針を電動ピンセットがつかんで植毛針装置部の昇降棒下端の針ホルダーに結合させるところ、毛髪植毛部に植毛針装置部が移動されるとその位置で毛髪植毛がなされ、毛髪植毛後に毛髪が排出された植毛針は植毛針分離部で分離され、植毛針が分離された植毛針装置部は植毛針投入部で植毛する毛髪の供給を受けて植毛部に移動されて植毛作業を続行できる動作が繰り返されるため、毛髪植毛部位置では持続的に毛髪の植毛ができる、すなわち、迅速かつ能率的に毛髪植毛がなされる。
【0008】
一方、植毛針装置部には第1サーボモータによって駆動される昇降棒が装着されて、昇降棒下端に針ホルダーが形成されて植毛針が挿入されるとスプリングによって締め付けられる締め付け具が植毛針をホールディングして支持し、第1サーボモータによって昇降距離が計算された範囲内で昇降作動し、昇降棒の中には毛髪圧着棒が装着されていて第2サーボモータによって昇降作動されるため、植毛針が頭皮に投入されるとその中に収容された毛髪を毛髪圧着棒が圧着して植毛位置に維持させ、針が上昇する時に圧着棒が毛髪を押圧して植毛針だけが上昇するため、毛髪と植毛針が分離されて植毛針が頭皮表面に出された後、毛髪圧着棒も元の位置に上昇されて植毛動作が完成されるものであるが、このような一連の作動は昇降棒と毛髪圧着棒の区分動作により間違いなく履行され得る。
【0009】
次いで、毛髪を排出した植毛針が装着された植毛針装置部が植毛針分離部に到達するとその位置に装着された電動ピンセットが接近して植毛針をつかんで針ホルダーから抜き取り、次の段階に移動すると毛髪が収容されて待機中の植毛針を針投入部に装着された電動ピンセットがつかんで植毛針装置部の昇降棒下端の針ホルダーに投入して植毛部に移動するところ、植毛と針分離および針投入の三つの作業が各自の位置で同時になされるため、毛髪植毛部では継続して毛髪を植毛する連続植毛がなされるようになる。
【0010】
一方、本発明の植毛針装置部は、一つまたは複数個の昇降棒を設けることができ、昇降棒ごとに針ホルダーが具備され毛髪圧着棒が装着されるため、一度に一つずつまたは一度に複数の毛髪を植毛部に植毛することができるようになり、毛髪が植毛される形態は植毛位置に合わせて一定の傾斜度を有するように植毛され、その形は一列でまたは曲線上に植毛するか植毛面積内で不規則に植毛して、毛髪が育つと自然さを図ることができるようになる。
【0011】
したがって、本発明は植毛作業の能率化を達成し、医師と植毛関係者の作業疲労を解消させることができ、過労による植毛の支障を最大限予防できるようになる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2(a)】本発明の植毛針装置部の動作状態を示した例示図。
【
図2(b)】本発明の植毛針装置部の動作状態を示した例示図。
【
図2(c)】本発明の植毛針装置部の動作状態を示した例示図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は植毛作業に必要な作業情報をプログラミングして保存し出力するコンピュータ制御装置(公知の技術を活用するため、具体的な説明を省略する)Cと、調整盤1に支持されて前記コンピュータ制御装置によって制御され、普遍化されている精密自動移送装置技術によって縦横方向に移動するマルチ移動子2と、マルチ移動子2の下端固定部2aの外周に沿って120°角度で放射状に設置された3個の装置台3、3a、3bと、3個の装置台のうち中央部に装着された第1装置台3の下端に結合された回転盤30、前記回転盤30の外周に沿って120°角度で放射状に突出するように設置されてコンピュータ制御装置に基づいて間歇回転する移動杆31と移動杆31の先端に付着された回転関節31aと、前記回転関節31aに結合されて角度が調整され、装置部に垂直案内孔32aが形成されて垂直案内孔に案内されるように装着されて第1サーボモータ4によって上下方向で強制昇降する昇降棒5と、昇降棒5の下端に付着されてスプリング6bの弾力で中心に向かって伸縮される締付け具6aが具備されて締付け具の中央部に投入される植毛針が締付け具によって支持される針ホルダー6と、昇降棒の中心孔5aに装着されて中心孔に沿って昇降し、上端部で第2サーボモータ7と結合されて強制昇降する毛髪圧着棒8と、昇降棒5に装着されて普遍化されている位置感知技術を利用して植毛する位置を感知した後、植毛位置に植毛針を停止させる植毛位置感知センサ9が具備された植毛針装置部32と、マルチ移動子2の下端固定部2aに固定されて突出された第2装置台3aに結合された昇降装置部3イと、昇降装置部3イに装着される昇降型支持杆301と、昇降型支持杆に装着されて長さが調整される電動ピンセット302によって毛髪が収容された植毛針11を植毛針装置部32の針ホルダー6に投入する植毛針投入部Aと、マルチ移動子2の下端固定部2aに固定されて突出された第3装置台3bに結合された昇降装置部3ロと、昇降装置部3ロに装着される昇降型支持杆301と、昇降型支持杆に装着されて長さが調整される電動ピンセット302によって植毛針を植毛針装置部32の昇降棒5の下端針ホルダー6に支持された植毛針を強制分離する植毛針分離部Bと、管体とされて下端に開放され、開放部の先端に尖端部11aが形成されて尖端部の内側に植毛する毛髪10の毛嚢10aが介入され、上端部が昇降棒5の針ホルダー6内に着脱可能に結合される植毛針11で構成される自動毛髪植毛器である。
【0014】
前記において、植毛針装置部32に形成される垂直案内孔32aは単数または複数個で形成され、垂直案内孔ごとに昇降棒5が装着されて下端に針ホルダー6が装着され、各昇降棒の中心孔にはそれぞれ毛髪圧着棒8が装着されて単数または複数個の毛髪植毛が同時になされるようにした構成が含まれ、植毛形態は植毛部位によって、毛髪が突出する角度に合うように適切な傾斜角度を有するように傾斜して植毛され、植毛形態は直線に沿って植毛されるライン状、曲線に沿って植毛される曲線状、植毛面積内で不規則に植毛される不規則植毛が含まれる。
【0015】
そして、本発明は植毛針11の管体内に植毛する毛髪10を装填するために、
図7に例示した通り、植毛針の中に吸着器またはピンセットのような道具11bを投入して植毛する毛髪の先端をつかんで針の中に引き入れて、毛髪の毛嚢10a部分が植毛針尖端部11aで停止するようにする方法で植毛針に毛髪を収容し、これを植毛針装置部に投入して使用する。
【符号の説明】
【0016】
1:調整盤
2:マルチ移動子
2a:下端固定部
3、3a、3b:装置台
4:第1サーボモータ
5:昇降棒
5a:昇降棒中心孔
6:針ホルダー
6b:スプリング
7:第2サーボモータ
8:毛髪圧着棒
9:植毛位置感知センサ
10:毛髪
10a:毛嚢
11:植毛針
11a:植毛針尖端部
11b:道具
30:回転盤
31:移動杆
31a:回転関節
32:植毛針装置部
301:昇降型支持杆
302:電動ピンセット
3イ、3ロ:昇降装置部
A:植毛針投入部
B:植毛針分離部
C:コンピュータ