特許第6551621号(P6551621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6551621蒸気管の温度測定装置、蒸気管の温度測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6551621
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】蒸気管の温度測定装置、蒸気管の温度測定方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/38 20060101AFI20190722BHJP
   G01K 1/14 20060101ALI20190722BHJP
   G01K 11/32 20060101ALN20190722BHJP
【FI】
   F22B37/38 Z
   G01K1/14 L
   G01K1/14 A
   !G01K11/32 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-566332(P2018-566332)
(86)(22)【出願日】2018年9月13日
(86)【国際出願番号】JP2018033920
【審査請求日】2018年12月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西田 秀高
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−137509(JP,A)
【文献】 特開2016−042005(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103727521(CN,A)
【文献】 特開平11−108765(JP,A)
【文献】 特開平08−054289(JP,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02799824(CA,A1)
【文献】 特開2018−132240(JP,A)
【文献】 特開2010−014583(JP,A)
【文献】 特開2007−024830(JP,A)
【文献】 特開2014−196964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/38
G01K 1/14
G01K 11/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラに供給される水を燃焼ガスと熱交換して得られる蒸気が内部を循環する蒸気管の表面温度を測定するための光ファイバと、
前記光ファイバが前記蒸気管の長手方向に沿って前記蒸気管に密着するように、前記光ファイバを挟んで前記蒸気管を取り囲むように装着されるカバーと、を備え
前記カバーは、
前記蒸気管の長手方向に沿う1本の隙間と、前記蒸気管に装着された際に前記光ファイバが収容されるように、前記蒸気管の長手方向に沿って窪む溝と、を有し、前記蒸気管を取り囲む円筒形状を呈するカバー本体と、
前記カバー本体の両端に前記隙間を挟んで形成され、前記カバー本体が前記蒸気管に密着するようにボルトによって締め付けられるフランジと、を有し、
前記溝は、前記カバー本体の前記フランジとは反対側に形成され、
前記光ファイバ及び前記カバーは、前記フランジが燃焼ガスの下流側を向くように、前記ボイラ内に設置される
ことを特徴とする蒸気管の温度測定装置。
【請求項2】
前記カバーは、合金鋼から形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸気管の温度測定装置。
【請求項3】
前記カバーは、ステンレス鋼から形成される
ことを特徴とする請求項に記載の蒸気管の温度測定装置。
【請求項4】
前記蒸気管は、過熱器管である
ことを特徴とする請求項1〜請求項の何れか一項に記載の蒸気管の温度測定装置。
【請求項5】
前記蒸気管は、再熱器菅である
ことを特徴とする請求項1〜請求項の何れか一項に記載の蒸気管の温度測定装置。
【請求項6】
ボイラに供給される水を燃焼ガスと熱交換して得られる蒸気が内部を循環する蒸気管の表面温度を測定するための光ファイバが、前記蒸気管の長手方向に沿って前記蒸気管に密着するように、前記光ファイバを挟んで前記蒸気管を取り囲むカバーを装着し、
前記カバーは、
前記蒸気管の長手方向に沿う1本の隙間と、前記蒸気管に装着された際に前記光ファイバが収容されるように、前記蒸気管の長手方向に沿って窪む溝と、を有し、前記蒸気管を取り囲む円筒形状を呈するカバー本体と、
前記カバー本体の両端に前記隙間を挟んで形成され、前記カバー本体が前記蒸気管に密着するようにボルトによって締め付けられるフランジと、を有し、
前記溝は、前記カバー本体の前記フランジとは反対側に形成され、
前記光ファイバ及び前記カバーは、前記フランジが燃焼ガスの下流側を向くように、前記ボイラ内に設置される
ことを特徴とする蒸気管の温度測定方法。
【請求項7】
前記カバーは、合金鋼から形成される
ことを特徴とする請求項に記載の蒸気管の温度測定方法。
【請求項8】
前記カバーは、ステンレス鋼から形成される
ことを特徴とする請求項に記載の蒸気管の温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気管の温度測定装置、蒸気管の温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電所における発電用のボイラ内には、復水器から供給される水を燃焼ガスと熱交換することによって得られる蒸気を循環させる蒸気管(例えば過熱器や再熱器)が設置されている。蒸気管は耐熱鋼(例えば低合金鋼)を成分とするボイラチューブで構成されているが、設計基準を超えた高温状態で使用され続けると、クリープ損傷の進行に伴って、蒸気管の外周面が膨張するか或いは蒸気管の肉厚が減肉する等の変形を生じる虞がある。そこで、蒸気管の表面温度の測定結果から、ボイラの燃焼状態や蒸気管の余寿命を把握することによって、蒸気管の劣化に起因する事故を未然に防止する点検が行われている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−190229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボイラの燃焼状態や蒸気管の余寿命を把握する場合、蒸気管の表面温度を広範囲に亘って測定し、蒸気管の表面温度の温度分布を求める必要がある。
【0005】
例えば、蒸気管の表面温度を測定する手段として熱電対を用いる場合がある。しかし、熱電対を用いた場合、蒸気管における狭い範囲の表面温度しか測定できないため、蒸気管の表面温度の温度分布を求めることは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、蒸気管の表面温度を広範囲に亘って確実に測定することが可能な温度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決する主たる本発明は、蒸気管の温度測定装置として、ボイラに供給される水を燃焼ガスと熱交換して得られる蒸気が内部を循環する蒸気管の表面温度を測定するための光ファイバと、前記光ファイバが前記蒸気管の長手方向に沿って前記蒸気管に密着するように、前記光ファイバを挟んで前記蒸気管を取り囲むように装着されるカバーと、を備え、前記カバーは、前記蒸気管の長手方向に沿う1本の隙間と、前記蒸気管に装着された際に前記光ファイバが収容されるように、前記蒸気管の長手方向に沿って窪む溝と、を有し、前記蒸気管を取り囲む円筒形状を呈するカバー本体と、前記カバー本体の両端に前記隙間を挟んで形成され、前記カバー本体が前記蒸気管に密着するようにボルトによって締め付けられるフランジと、を有し、前記溝は、前記カバー本体の前記フランジとは反対側に形成され、前記光ファイバ及び前記カバーは、前記フランジが燃焼ガスの下流側を向くように、前記ボイラ内に設置される
【0008】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蒸気管の表面温度を広範囲に亘って確実に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る蒸気管の温度測定装置が用いられる火力発電所の全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る温度測定装置を蒸気管の直管部分に装着する前の様子を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る温度測定装置を蒸気管の直管部分に装着した後の様子を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る温度測定装置を蒸気管の直管部分に装着した後の様子を示す断面図である。
図5】本実施形態に係る他の温度測定装置を蒸気管の曲管部分に装着する前の様子を示す斜視図である。
図6】本実施形態に係る他の温度測定装置を蒸気管の曲管部分に装着した後の様子を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る他の温度測定装置を蒸気管の曲管部分に装着した後の様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
===火力発電所の全体構成の一例===
図1は、本実施形態に係る蒸気管の温度測定装置が用いられる火力発電所の全体構成の一例を示す図である。
【0013】
火力発電所1は、ボイラ2、蒸気発生器3、水冷壁4、蒸気弁5、高圧タービン6、中圧タービン7、低圧タービン8、再熱器9、復水器10、給水ポンプ11、発電機12を含んで構成されている。
【0014】
ボイラ2は、外部から供給される燃料(例えば微粉炭の状態の石炭)と空気を混合して燃焼ガスを生成し、燃焼ガスの熱を用いて水を水蒸気に換える熱交換装置である。ボイラ2には、蒸気発生器3、水冷壁4、再熱器9が収容されている。蒸気発生器3は、復水器10から供給される水を予熱する節炭器(不図示)と、水冷壁4から供給される飽和蒸気を更に加熱して過熱蒸気にする過熱器(不図示)と、を含んで構成されている。水冷壁4は、ボイラ2のハウジングを形成し、余熱された水を飽和蒸気にして過熱器に供給する。蒸気弁5は、蒸気発生器3で生成される過熱蒸気の流量を制御する調整弁である。
【0015】
高圧タービン6、中圧タービン7、低圧タービン8の回転軸13は同一であって、発電機12の回転軸14と結合されている。高圧タービン6には、蒸気発生器3で生成される過熱蒸気(第1蒸気)が蒸気弁5を介して供給される。高圧タービン6は、第1蒸気を膨張させ、膨張後の蒸気(第2蒸気)をボイラ2内の再熱器9に供給する。再熱器9は、第2蒸気を再熱し、再熱蒸気(第3蒸気)として中圧タービン7に供給する。中圧タービン7は、第3蒸気を膨張させ、膨張後の蒸気(第4蒸気)を低圧タービン8に供給する。低圧タービン8は、第4蒸気を膨張させる。
【0016】
復水器10は、低圧タービン8が第4蒸気を膨張させた後の排気を凝縮して復水に換える。給水ポンプ11は、復水器10で生成される復水を昇圧して給水としてボイラ2内の蒸気発生器3に戻している。
【0017】
そして、発電機12は、電力が発電されるように、第4蒸気が膨張した際に発生する動力で駆動される。
【0018】
本実施形態に係る温度測定装置によって、蒸気発生器3に含まれる過熱器を構成する過熱器管(蒸気管)や再熱器9を構成する再熱器管(蒸気管)の表面温度を測定することとなるが、詳細については後述する。尚、説明の便宜上、以下の説明において、過熱器管や再熱器管を蒸気管15と称することとする。
【0019】
===温度測定装置===
図2は、本実施形態に係る温度測定装置を蒸気管の直管部分に装着する前の様子を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る温度測定装置を蒸気管の直管部分に装着した後の様子を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る温度測定装置を蒸気管の直管部分に装着した後の様子を示す断面図である。尚、温度測定装置は、光ファイバがボイラ内で露出することがないように蒸気管に装着されていることとする。
【0020】
温度測定装置100は、光ファイバ110が蒸気管15の直管部分の表面に密着するように、光ファイバ110を介して蒸気管15の直管部分に装着される金属製(例えばSUS304,SUS316)の装置である。温度測定装置100は、光ファイバ110とカバー120を含んで構成されている。
【0021】
光ファイバ110は、蒸気管15の表面温度を測定するために、蒸気管15の長手方向に沿って蒸気管15の表面に密着するようにカバー120によって取り付けられる。光ファイバ110にパルス光を入射すると、パルス光は光ファイバ110の中で僅かに散乱を起こしながら進行する。その散乱光の1つであるラマン散乱光(ストークス光とアンチストークス光)は温度依存性を有するため、ラマン散乱光を検知することによって被測定物の温度を測定することが可能である。つまり、光ファイバ110を蒸気管15の表面に密着させることによって、蒸気管15の表面温度を測定することが可能である。光ファイバ110の径は、例えば0.2mm程度である。尚、ラマン散乱光の温度依存性を利用する温度測定方法は周知であるため、その説明を省略する。
【0022】
カバー120は、カバー本体1201とフランジ1202A,1202Bを含んで構成されている。カバー120の厚みは、例えば2〜3mm程度である。
【0023】
カバー本体1201は、蒸気管15の径よりも僅かに大きい径を有する円筒形状を呈している。カバー本体1201の内周面には、光ファイバ110を蒸気管15の長手方向に沿って蒸気管15の表面に密着させるために、蒸気管15の長手方向に沿って光ファイバ110を収容するための溝1201Cが形成されている。溝1201Cは、例えばカバー本体1201におけるフランジ1202A,1202Bの反対側に形成されている。温度測定装置100をボイラ2内に設置する場合、燃焼ガスがフランジ1202A,1202Bに当たると、燃焼ガスの流れが乱れてしまうため、フランジ1202A,1202Bが燃焼ガスの下流側(燃焼ガスが当たる側とは反対側)を向くように、温度測定装置100は設置される。溝1201Cは、光ファイバ110が蒸気管15の表面に密着する程度の窪みを有している。カバー本体1201は、蒸気管15の長手方向に沿って1本の隙間が形成されるように、蒸気管15の長手方向に沿う端面1201A,1201Bを有している。フランジ1202A,1202Bは、それぞれ、蒸気管15から遠ざかるように端面1201A,1201Bから延在して形成されている。フランジ1202A,1202Bは、それぞれ、蒸気管15の長手方向に沿って複数の孔1203A,1203Bを有している。複数の孔1203A,1203Bは、それぞれ、ボルト1204がナット1205と螺合するように連通している。そして、温度測定装置100の剛性に抗してフランジ1020A,1202Bの間の隙間を広げながらカバー本体1201を蒸気管15に被せた後、ボルト1204を複数の孔1203A,1203Bに挿入してボルト1204とナット1205を締め付けると、フランジ1202A,1202Bの間の隙間がなくなって、カバー本体1201は蒸気管15に密着して装着される。
【0024】
ボイラ2において、復水器10から供給される水を燃焼ガスと熱交換するとき、燃焼ガスの温度は例えば1200℃程度であり、蒸気管15を循環する蒸気の温度は例えば600℃程度である。光ファイバ110はカバー120によって燃焼ガスには直接触れないため、光ファイバ110の温度は蒸気管15の表面温度の影響のみを受ける。従って、光ファイバ110の温度は700℃未満に抑えられ、蒸気管15の表面温度を確実に取得することが可能となる。蒸気管15の表面温度の情報は、ネットワークを介して監視用の外部機器(不図示)に取り込まれて温度分布が求められる。更に、カバー120は蒸気管15を取り囲むため、蒸気管15のクリープ強度を向上させることが可能となる。
【0025】
図5は、本実施形態に係る他の温度測定装置を蒸気管の曲管部分に装着する前の様子を示す斜視図である。図6は、本実施形態に係る他の温度測定装置を蒸気管の曲管部分に装着した後の様子を示す斜視図である。図7は、本実施形態に係る他の温度測定装置を蒸気管の曲管部分に装着した後の様子を示す断面図である。尚、温度測定装置は、光ファイバがボイラ内で露出することがないような長さを有して蒸気管に装着されることとする。
【0026】
温度測定装置200は、光ファイバ210が蒸気管15の曲管部分の表面に密着するように、光ファイバ210を介して蒸気管15の曲管部分に装着される金属製(例えばSUS304,SUS316)装置である。温度測定装置200は、光ファイバ210とカバー220を含んで構成されている。
【0027】
光ファイバ210は、蒸気管15の表面温度を測定するために、蒸気管15の長手方向(曲管部分の形状)に沿って蒸気管15の表面に密着するようにカバー220によって取り付けられる。そして、光ファイバ110と同様に、光ファイバ210を蒸気管15の表面に密着させ、ラマン散乱光の温度依存性を利用することによって、蒸気管15の表面温度を測定することが可能となる。光ファイバ210の径は、例えば0.2mm程度である。
【0028】
カバー220は、カバー本体2201とフランジ2202A,2202Bを含んで構成されている。カバー220の厚みは、例えば2〜3mm程度である。
【0029】
カバー本体2201は、蒸気管15の径よりも僅かに大きい径を有し、蒸気管15の曲率に応じた円筒形状を呈している。カバー本体2201の内周面には、光ファイバ210を蒸気管15の長手方向に沿って蒸気管15の表面に密着させるために、蒸気管15の長手方向に沿って光ファイバ210を収容するための溝2201Cが形成されている。溝2201Cは、例えばカバー本体2201におけるフランジ2202A,2202Bの反対側に形成されている。温度測定装置200をボイラ2内に設置する場合、燃焼ガスがフランジ2202A,2202Bに当たると、燃焼ガスの流れが乱れてしまうため、フランジ2202A,2202Bが燃焼ガスの下流側(燃焼ガスが当たる側とは反対側)を向くように、温度測定装置200は設置される。又、温度測定装置200として、ボイラ2内に配置されている蒸気管15の曲管部分に装着した際に、フランジ2202A,2202Bが常に燃焼ガスの下流側を向くような様々な形状を呈するバリエーションが予め用意されていることとする。溝2201Cは、光ファイバ210が蒸気管15の表面に密着する程度の窪みを有している。カバー本体2201は、蒸気管15の長手方向に沿って1本の隙間が形成されるように、蒸気管15の長手方向に沿う端面2201A,2201Bを有している。フランジ2202A,2202Bは、それぞれ、蒸気管15から遠ざかるように端面2201A,2201Bから延在して形成されている。フランジ2202A,2202Bは、それぞれ、蒸気管15の長手方向に沿って複数の孔2203A,2203Bを有している。複数の孔2203A,2203Bは、それぞれ、ボルト2204がナット2205と螺合するように連通している。そして、温度測定装置200の剛性に抗してフランジ2020A,2202Bの間の隙間を広げながらカバー本体2201を蒸気管15の曲管部分に被せた後、ボルト2204を複数の孔2203A,2203Bに挿入してボルト2204とナット2205を締め付けると、フランジ2202A,2202Bの間の隙間がなくなって、カバー本体2201は蒸気管15の曲管部分に密着して装着される。
【0030】
光ファイバ210はカバー220によって燃焼ガスには直接触れないため、光ファイバ210の温度は蒸気管15の表面温度の影響のみを受ける。従って、光ファイバ210の温度は700℃未満に抑えられ、蒸気管15の曲管部分の表面温度を確実に取得することが可能となる。蒸気管15の表面温度の情報は、ネットワークを介して監視用の外部機器(不図示)に取り込まれて温度分布が求められる。更に、カバー220は蒸気管15を取り囲むため、蒸気管15のクリープ強度を向上させることが可能となる。
【0031】
蒸気管15は、直管部分と曲管部分が連続する形状を呈している。そこで、蒸気管15における直管部分と曲管部分の表面温度を測定する場合、カバー120を蒸気管15の直管部分に装着し、カバー220を蒸気管15の曲管部分に装着すればよい。又、カバー220を蒸気管15の曲管部分に二重に装着し、蒸気管15の曲管部分を補強してもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る温度測定装置100(200)は、ボイラ2に供給される水を燃焼ガスと熱交換して得られる蒸気が内部を循環する蒸気管15(過熱器管や再熱器管)の表面温度を測定するための光ファイバ110(210)と、光ファイバ110(210)が蒸気管15の長手方向に沿って蒸気管15に密着するように、光ファイバ110(210)を挟んで蒸気管15を取り囲むように装着されるカバー120(220)と、を備える。本実施形態によれば、光ファイバ110(210)はカバー120(220)によって燃焼ガスには直接触れず、光ファイバ110(210)の温度は蒸気管15の表面温度の影響のみを受けるため、光ファイバ110(210)の温度は700℃未満に抑えられ、蒸気管15の表面温度を確実に取得することが可能となる。更に、カバー120(220)は蒸気管15を取り囲むため、蒸気管15のクリープ強度を向上させることが可能となる。
【0033】
又、本実施形態において、カバー120(220)は、蒸気管15に装着された際に光ファイバ110(210)が収容されるように、蒸気管15の長手方向に沿って窪む溝1201C(2201C)を有する。本実施形態によれば、光ファイバ110(210)を蒸気管15に密着させたまま保護することが可能となる。
【0034】
又、本実施形態において、カバー120(220)は、蒸気管15の長手方向に沿う隙間を有し、蒸気管15を取り囲む円筒形状を呈するカバー本体1201(2201)と、カバー本体1201(2201)の両端に形成され、カバー本体1201(2201)が蒸気管15に密着するようにボルト1204(2204)及びナット1205(2205)によって締め付けられるフランジ1202A(2202A),1202B(2202B)と、を有する。
【0035】
又、本実施形態において、カバー120(220)は、合金鋼から形成される。特に、カバー120(220)は、ステンレス鋼(SUS304やSUS316)から形成されることが望ましい。
【0036】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、カバー120(220)は、フランジ1202A(2202A),1202B(2202B)を設けずに蒸気管15に対して溶接されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 火力発電所
2 ボイラ
3 蒸気発生器
6 高圧タービン
7 中圧タービン
8 低圧タービン
9 再熱器
10 復水器
12 発電機
100,200 温度測定装置
110,210 光ファイバ
120,220 カバー
1201,2201 カバー本体
1201A,1201B,2201A,2201B 端面
1201C,2201C 溝
1202A,1202B,2202A,2202B フランジ
1203A,1203B,2203A,2203B 孔
1204,2204 ボルト
1205,2205 ナット
【要約】
【解決手段】 蒸気管の温度測定装置として、ボイラに供給される水を燃焼ガスと熱交換して得られる蒸気が内部を循環する蒸気管の表面温度を測定するための光ファイバと、前記光ファイバが前記蒸気管の長手方向に沿って前記蒸気管に密着するように、前記光ファイバを挟んで前記蒸気管を取り囲むように装着されるカバーと、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7