特許第6551627号(P6551627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6551627-給電装置 図000002
  • 特許6551627-給電装置 図000003
  • 特許6551627-給電装置 図000004
  • 特許6551627-給電装置 図000005
  • 特許6551627-給電装置 図000006
  • 特許6551627-給電装置 図000007
  • 特許6551627-給電装置 図000008
  • 特許6551627-給電装置 図000009
  • 特許6551627-給電装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6551627
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】給電装置
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/12 20060101AFI20190722BHJP
   B64F 1/20 20060101ALI20190722BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20190722BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20190722BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20190722BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20190722BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B64F1/12
   B64F1/20
   B64C39/02
   B64C27/08
   B64D27/24
   H02J50/12
   H02J7/00 301D
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-507880(P2019-507880)
(86)(22)【出願日】2018年10月10日
(86)【国際出願番号】JP2018037787
【審査請求日】2019年2月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】沖原 潤
(72)【発明者】
【氏名】谷川 博昭
(72)【発明者】
【氏名】大久保 典浩
(72)【発明者】
【氏名】織田 昭人
(72)【発明者】
【氏名】沖段 和磨
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/016024(WO,A1)
【文献】 特開2018−094980(JP,A)
【文献】 特開2012−071645(JP,A)
【文献】 特開2014−204539(JP,A)
【文献】 特開2017−178018(JP,A)
【文献】 特開2017−124758(JP,A)
【文献】 特開2017−024616(JP,A)
【文献】 特表2017−505254(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0073085(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0257424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/12
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 27/24
B64F 1/20
H02J 7/00
H02J 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体を着陸させるとともに充電できる給電装置であって、
無人飛行体の着陸面を有し、かつ、非接触給電により電力を供給できる非接触給電部と、
前記着陸面とともに1つの平面を形成するように非接触給電部の外周縁に沿って着脱自在に取り付けられた板状の拡張部材と、
前記非接触給電部及び/又は前記拡張部材に取り付けられた表示灯と、を備え
前記表示灯は、前記拡張部材に複数取り付けられ、
複数の前記表示灯は、平面視において前記着陸面を挟んで対向するように少なくとも1対配置される給電装置。
【請求項2】
前記拡張部材が、複数枚の板状部材により構成される請求項に記載の給電装置。
【請求項3】
前記非接触給電部は、前記表示灯の点灯状態を制御する表示灯制御部を備え、
前記表示灯制御部は、前記非接触給電部の給電状態に基づいて点灯状態を切り換える請求項1又は2に記載の給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体用の給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔操作、自律制御等によって飛行する無人飛行体の活用の検討が盛んに進められている。その用途として、趣味的使用から、配送物の運搬、太陽光発電所のソーラーパネルの点検、原子力発電所の放射能汚染検査、農場での農薬の散布等の産業用まで各種検討されている。無人飛行体を長時間使用する場合、定期的に給電をするための無人飛行体用の給電装置等が必要になる。この種の給電装置について記載されているものとして例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、無人飛行体を着陸させるとともに、非接触給電により無人飛行体に電力を供給することができる給電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6156605号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、無人飛行体を給電装置に着陸させる方法としては、自律制御による方法、遠隔操作による方法等が挙げられる。自律制御による方法の場合、GPSの精度、突風等の自然現象等の要因により、着陸位置に誤差が生じる場合がある。遠隔操作による方法の場合、上記の要因に加えて給電装置の着陸面の視認性が悪いため、着陸位置がずれる場合がある。この結果、無人飛行体が着陸面から外れた位置に着陸し、無人飛行体の落下や給電不良が生じる場合がある。
【0006】
そこで、上記の無人飛行体の着陸位置のずれを考慮して、無人飛行体が給電装置から落下しないように着陸面を広くすることが考えられるが、給電装置の持ち運ぶことが困難になるおそれがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、給電装置からの送電を受電可能な面への無人飛行体の着陸を容易にするとともに、持ち運びが容易になる無人飛行体用の給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、無人飛行体を着陸させるとともに充電できる給電装置であって、無人飛行体の着陸面を有し、かつ、非接触給電により電力を供給できる非接触給電部と、前記着陸面とともに1つの平面を形成するように非接触給電部の外周縁に沿って着脱自在に取り付けられた板状の拡張部材と、前記非接触給電部及び/又は前記拡張部材に取り付けられた表示灯と、を備える給電装置に関する。
【0009】
前記表示灯は、前記拡張部材に複数取り付けられることが好ましい。
【0010】
複数の前記表示灯は、平面視において前記着陸面を挟んで対向するように少なくとも1対配置されることが好ましい。
【0011】
前記拡張部材が、複数枚の板状部材により構成されることが好ましい。
【0012】
前記非接触給電部は、前記表示灯の点灯状態を制御する表示灯制御部を備え、前記表示灯制御部は、前記非接触給電部の給電状態に基づいて点灯状態を切り換えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、給電装置からの送電を受電可能な面への無人飛行体の着陸を容易にするとともに、持ち運びが容易になる無人飛行体用の給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る給電装置と無人飛行体とを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る給電装置を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る給電装置に無人飛行体が着陸した状態を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る給電装置に無人飛行体が着陸した状態を示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る給電装置の各構成部品に分解した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る給電装置の非接触給電部の筐体に内蔵された構成及び表示灯を示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係る給電装置の送電装置の電気的構成を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態に係る給電装置の情報処理装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図9】本発明の一実施形態に係る給電装置の情報処理装置が備える機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
まず、本発明の一実施形態に係る給電装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る給電装置1と飛行中の無人飛行体2を示す斜視図、図2は該給電装置1の平面図、図3は該給電装置1に無人飛行体2が着陸した状態を示す平面図、図4は該給電装置1に無人飛行体2が着陸した状態を示す正面図、図5は該給電装置1を各構成部品に分解した状態を示す斜視図、図6は非接触給電部10の筐体11に内蔵された構成及び表示灯30を示すブロック図である。
【0017】
本明細書でいう無人飛行体とは、例えば、トリコプタ、クアッドコプタ、ヘキサコプタ、オクトコプタ等のマルチコプタ、無人飛行機、飛行ロボット等である。また、無人飛行体2は、無線又は有線通信による遠隔操作により飛行するものであっても、自律制御により飛行するものであってもよい。本実施形態に係る無人飛行体2は、4本のプロペラ200を有するクアッドコプタであって、受電コイル201を含む受電装置、バッテリー202、各種センサ203、集配物、カメラ等の積載物204、飛行制御装置等の各種制御装置(図示せず)等を備える。無人飛行体2は、電磁誘導方式の非接触給電により充電可能な構成である。
【0018】
本実施形態に係る給電装置1は、給電装置1に着陸した無人飛行体2に非接触給電により電力を供給することができる。給電装置1は、無人飛行体2の離着陸面111を有し、非接触給電により電力を供給できる非接触給電部10と、該非接触給電部10を囲うように取り付けられた一対の板状の拡張部材20と、該拡張部材20に取り付けられた複数の表示灯30と、を備える。
【0019】
非接触給電部10は、筐体11、筐体11に内蔵されたバッテリー12と、送電装置13と、複数の発光体14と、機体検知センサ15と、情報処理装置16とを備える。
【0020】
筐体11は、図4、5に示すように、上面に離着陸面111と、側面に取っ手部113と、底面に脚部114とを有する。
【0021】
離着陸面111は、矩形の平坦な面であり、無人飛行体2を着陸させることができる。また、離着陸面111の外周縁には、離着陸面111の下方に位置し、離着陸面111と平行な段差面112が形成される。そして、離着陸面111と段差面112とにより段差が形成される。段差面112には、後述する拡張部材20が取り付けられる。
【0022】
取っ手部113は、筐体11の4つの側面のうちの1つに接合される。取っ手部113により、非接触給電部10の持ち運びが容易になる。筐体11の底面には、下方に向かって突出するように4本の脚部114が形成される。
【0023】
バッテリー12は、例えば、リチウムポリマー二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン二次電池等である。
【0024】
送電装置13は、非接触給電により無人飛行体2に電力を送電する装置である。送電装置13は、いわゆる電磁誘導方式により電力を無人飛行体2の受電コイル201に送電する。
【0025】
図7は、送電装置13の電気的構成を示すブロック図である。図7に示すように、送電装置13は、電源回路310と、電力計測回路320と、送電回路330とを備える。
【0026】
電源回路310は、例えば、AC/DCコンバータやスイッチング方式、リニア方式等のレギュレータを含み、バッテリー12から供給される電力を送電回路330、後述する情報処理装置16に供給する。
【0027】
電力計測回路320は、電源回路310から送電回路330に供給される電力を測定する電圧計321及び電流計322を含む。電力計測回路320の計測値は情報処理装置16等に入力される。
【0028】
送電回路330は、送電コイル331、容量素子332、及び制御回路333を含む。
【0029】
送電コイル331は、図3、4に示すように、非接触給電部10の離着陸面111の近傍に設けられている。送電コイル331は、スパイラル型であり、送電面が離着陸面111に対して平行になるように筐体11に埋設されている。送電コイル331は、無人飛行体2が離着陸面111に着陸した際、送電面が無人飛行体2の受電コイル201の受電面と対面するように、その配置位置や配置領域が設定されている。また、送電コイル331はインダクタンスの調節が可能であり、容量素子332は静電容量の調節が可能なものである。このため、送電コイル331のインダクタンスや容量素子332の静電容量を調整することにより、非接触給電の伝送効率を向上させることができる。
【0030】
制御回路333は、送電回路330に供給する所定周波数の駆動電流を生成する。制御回路333は、ドライバ回路(ゲートドライバ、ハーフブリッジドライバ等)、高周波増幅器、整合回路(マッチング回路)を含む。
【0031】
複数の発光体14は、図2に示すように、離着陸面111から上空へ光を放射できるように筐体11の上面近傍に内蔵されたLEDランプである。複数の発光体14は、平面視において円状に配置される。発光体14は、無人飛行体2への給電が開始されると点灯する。これにより、無人飛行体2への給電が正常に行われているかを容易に確認できる。
【0032】
機体検知センサ15は、無人飛行体2が非接触給電部10の離着陸面111に存在するか否かを検知するセンサである。機体検知センサ15は、例えば、非接触給電部10に配設された一つ以上の光電式センサを用いて構成される。また機体検知センサ15は、例えば、感圧センサや測距センサ等を用いて構成される。情報処理装置16は、主に給電装置1の動作を制御する。情報処理装置16の詳細については後述する。
【0033】
拡張部材20は、図5に示すように、平面視において略コ字状の一対の板状部材から構成される。拡張部材20は、非接触給電部10の離着陸面111の外縁部に両側から挟むように取り付けられる。具体的には、拡張部材20のコ字の内側に相当する部分を非接触給電部10の段差面112に載せて、ネジ止めすることにより一対の拡張部材20が非接触給電部10に固定される。この結果、離着陸面111と拡張部材20とが一体となった平面が形成される。これにより、無人飛行体2の着陸可能な範囲を広げることができる。また、給電装置1を運搬する場合は、再び拡張部材20を非接触給電部10から取り外すことにより給電装置1を容易に持ち運ぶことができる。この結果、給電装置1の搬送コストを抑えることができる。
【0034】
表示灯30は、光を放出して給電装置1の位置を表示し、給電状態を表示するランプである。表示灯30の種類は特に制限されず、例えば、白熱ランプ、LEDランプ、ELランプ等が挙げられる。表示灯30と非接触給電部20とは、配線31により電気的に接続されており、非接触給電部20の送電装置13から表示灯30に電力が供給される。表示灯30は、非接触給電部10に装着された拡張部材20の四隅に取り付けられる。具体的には、表示灯30を支持できる取付治具32を介して拡張部材20に取り付けられる。表示灯30は、表示灯30が拡張部材20に配置されているため、表示灯30等の目印を非接触給電部10に取り付ける場合と比べて、給電装置1の視認性が向上する。また、表示灯30は、図4に示すように、無人飛行体2の着陸平面より上方に突出するように取り付けられる。表示灯30が着陸平面より上方に突出するため、無人飛行体2の着陸場所をより遠方から識別できる。さらに、4つの表示灯30は、平面視において離着陸面111を挟んで対向する表示灯30を結んだ2本の仮想線の交点が、離着陸面111の中心に位置するように取り付けられる。このため、例えば、表示灯30からの光を無人飛行体2のカメラに検知させて、上記交点を目印として着陸するように無人飛行体2を制御させることにより、精度よく離着陸面111に着陸させることができる。
【0035】
次に、非接触給電部10の情報処理装置16の構成及び機能について説明する。図8は、非接触給電部10の情報処理装置16のハードウェアの構成を示すブロック図である。図8に示すように、情報処理装置16は、プロセッサ161、記憶装置162、入力装置163、出力装置164、及び通信装置165を備える。これらはバス等の通信手段を介して通信可能に接続されている。
【0036】
プロセッサ161は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)を用いて構成されている。
【0037】
記憶装置162は、プログラムやデータを記録する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、NVRAM(Non Volatile RAM)等である。プロセッサ161及び記録装置162は、例えば、これらが一体としてパッケージングされたマイクロコンピュータ(マイコン)等として提供されるものであってもよい。
【0038】
入力装置163は、ユーザから情報や指示の入力を受け付けるインターフェイスであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。出力装置164は、ユーザに情報を提供するインターフェイスであり、例えば、液晶パネル、スピーカ等である。
【0039】
通信装置165は、無人飛行体2と無線通信を行う装置である。この無線通信は、例えば、2.4GHz帯の電波等を用いて行われる。
【0040】
図9は、給電装置1の情報処理装置16が備える機能を示すブロック図である。情報処理装置16は、操作入力受付部601、機体認識処理部602、機体有無検知部603、送電制御部604、消費電力監視部605、情報出力部606、表示灯制御部607、及び発光体制御部608の各機能を有する。これらの機能は、例えば、プロセッサ161が、記録装置162に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0041】
操作入力受付部601は、入力装置163を介して操縦者から操作入力を受け付ける。操作入力受付部601は、例えば、操縦者が送電開始操作(給電許可操作)又は送電停止操作を行ったか否かを判定し、その結果を送電制御部604に通知する。
【0042】
機体認識処理部602は、無人飛行体2から取得した認証情報(例えば、無人飛行体2ごとに固有の識別番号や登録番号等)に基づく認証処理を行う。上記認証情報は、例えば、通信装置165が、無人飛行体2と無線通信することにより取得する。このように、機体認識処理部602が無人飛行体2の認証を行うことで、例えば、盗電防止、他社製品等の誤動作防止、非接触給電部10の無人飛行体2の仕様把握ミス防止等を図ることができる。
【0043】
機体有無検知部603は、機体検知センサ15から入力される情報に基づき、無人飛行体2が非接触給電部10の離着陸面111に着陸しているか否かを判定する。
【0044】
送電制御部604は、送電コイル331から送電する電力の大きさや送電有無を制御する。送電制御部604は、操作入力受付部601からの通知(例えば、ユーザが送電開始操作や送電停止操作を行った旨の通知)に応じて、送電コイル331からの送電有無を制御する。送電制御部604は、無人飛行体2から送電開始要求や送電停止要求を受信したのに応じて、送電コイル331からの送電有無を制御する。また送電制御部604は、機体有無検知部603の判定結果に基づき、送電コイル331からの送電有無を制御する。こうした制御は、送電制御部604が、制御回路333のドライバ回路のPWM制御におけるデューティ比、送電回路330と無人飛行体2の受電回路の結合係数、容量素子332の静電容量、電源回路310から制御回路333への電力供給量、制御回路333から送電コイル331への電力供給量等の一つ以上を変化させることにより行われる。なお、送電制御部604は、非接触給電の伝送効率が向上するように送電コイル331のインダクタンスや容量素子332の静電容量を自動調節する機能を有する。送電制御部604は、送電回路330からの送電電力と、無人飛行体2の受電装置の受電電力との比に基づき、上記伝送効率を把握する。また送電制御部604は、電力計測回路320の計測値に基づき上記の伝送効率を把握することもできる。
【0045】
本実施形態では、送電装置13が電磁誘導方式によって電力を無人飛行体2に送電する構成であるが、充電方式は特に限定されない。例えば、磁界共鳴方式によって非接触給電を行う構成としてもよい。磁界共鳴方式によって非接触給電を行う場合も、送電制御部604は、上述した電磁誘導方式の場合と同様の構成及び機能を有する。そして、送電制御部604が、非接触給電の伝送効率が向上するように送電コイル331のインダクタンスや容量素子332の静電容量を自動調節することで、送電コイル331の送電面と無人飛行体2の受電コイルの受電面が多少ずれていたとしても効率よく非接触給電を行うことができる。
このように磁界共鳴方式による非接触給電を行うことにより、無人飛行体2へ給電可能な範囲が広がる。また、非接触給電部10には拡張部材20が取り付けられているため、無人飛行体2の一部が非接触給電部10内に収まらなくても給電装置1から落下することなく着陸できる。この結果、無人飛行体2の一部が非接触給電部10からずれた位置に着陸しても充電可能となる。
【0046】
消費電力監視部605は、電力計測回路320から得られる電圧値及び電流値に基づき送電回路330の消費電力を随時監視する。送電回路330の消費電力を監視することで無人飛行体2の受電状態を把握することができる。情報出力部606は、出力装置164に様々な情報を出力する。
【0047】
表示灯制御部607は、非接触給電部10の給電状態に基づいて点灯状態を切り換える。具体的には、無人飛行体2への給電が行われていない状態では表示灯30は点滅しており、無人飛行体2への給電が行われている状態では表示灯30は常時点灯した状態を維持する。
【0048】
発光体制御部608は、送電制御部604による送電コイル331からの送電が開始されると発光体14を常時点灯した状態に切り換え、送電が終わると点滅した状態に切り換える。
【0049】
次に、給電装置1を用いた無人飛行体2への給電工程の一例について説明する。
【0050】
給電装置1は、無人飛行体2が給電装置1に着陸する前は、表示灯30及び発光体14は点滅した状態である。無人飛行体2が遠隔操作によって飛行する場合、操縦者が表示灯30を目印に無人飛行体2を給電装置1の離着陸面111に着陸させる。無人飛行体2が自律制御によって飛行する場合、例えば、無人飛行体2に備わる光センサ等により、表示灯30からの光を検知して、無人飛行体2が4つの表示灯30の中心部に位置するように制御されながら離着陸面111に着陸させてもよい。非接触給電部10は、周囲に拡張部材20が取り付けられているため、無人飛行体2の着陸位置がずれても拡張部材20に着陸させることができる。
【0051】
無人飛行体2が給電装置1の離着陸面111に着陸すると、機体検知センサ15からの情報に基づき機体有無検知部603が離着陸面111に着陸していることを判定する。
【0052】
送電が開始されると、表示灯制御部607は表示灯30が点滅した状態から常時点灯した状態に切り換え、発光体制御部608は発光体14が点滅した状態から常時点灯した状態に切り換える。これにより、充電が開始されたことを容易に確認することができる。
【0053】
送電制御部604は、送電回路330からの送電電力と無人飛行体2側の受電電力との比、又は電力計測回路320の計測値に基づき伝送効率を把握する。そして、伝送効率が低い場合、送電コイル331のインダクタンスや容量素子332の静電容量を調整することにより、非接触給電の伝送効率を向上させることができる。
【0054】
無人飛行体2の充電が完了すると、送電制御部604は送電を停止させる。送電が停止すると、表示灯制御部607は表示灯30が常時点灯した状態から点滅した状態に切り換え、発光体制御部608は発光体14が常時点灯した状態から点滅した状態に切り換える。これにより、充電が完了したことを容易に確認することができる。
【0055】
以上説明した実施形態に係る給電装置1によれば、以下のような効果を奏する。
【0056】
給電装置1は、無人飛行体2の離着陸面111を有し、かつ、非接触給電により電力を供給できる非接触給電部10と、離着陸面111とともに1つの平面を形成するように非接触給電部10の外周縁に沿って取り付けられた拡張部材20と、非接触給電部10及び/又は拡張部材20に取り付けられた表示灯30と、を備える。
【0057】
非接触給電部10及び/又は拡張部材20に表示灯30が取り付けられているので、無人飛行体2の離着陸面111の視認性が向上する。また、拡張部材20により給電装置1上における着陸可能な範囲が拡大するので、離着陸面111からずれても給電装置1から落下せずに着陸できる。以上のことから、無人飛行体2を非接触給電部10へ容易に着陸させることができる。さらに、拡張部材20は非接触給電部10から着脱可能であるため、給電装置1の搬送が容易になる。
【0058】
表示灯30は、拡張部材20に複数取り付けられる。
これにより、非接触給電部10を囲うように取り付けられた拡張部材20に複数の表示灯30が取り付けられているため、無人飛行体2の離着陸面111の視認性がより向上する。自律制御により無人飛行体2を着陸させる場合は、無人飛行体2が複数の表示灯30の光を利用することにより、無人飛行体2を離着陸面111に精度よく着陸させることができる。
【0059】
複数の表示灯30は、平面視において離着陸面111を挟んで対向するように少なくとも1対配置される。
これにより、無人飛行体2の離着陸面111の視認性がより向上する。また、自律制御により無人飛行体2を着陸させる場合、例えば、表示灯30からの光を無人飛行体2のカメラに検知させて、対向する1対の表示灯30を結んだ仮想線の中心を目印として着陸するように認識させることにより、無人飛行体2を離着陸面111に精度よく着陸させることができる。上記表示灯30が2対以上に取り付けられている場合は、対向する表示灯30を結んだ仮想線の交点を目印として着陸するように無人飛行体2に認識させれば、より高い精度で着陸させることができる。
【0060】
拡張部材20が、複数枚の板状部材により構成される。
これにより、拡張部材20を重ね合わせ小型化することができるため、給電装置1の持ち運びがより容易になる。
【0061】
非接触給電部10は、表示灯30の点灯状態を制御する表示灯制御部607を備え、
表示灯制御部607は、非接触給電部10の給電状態に基づいて点灯状態を切り換える。
これにより、遠方から無人飛行体2の充電状態を識別することが容易になる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では、拡張部材20は2枚の板状部材からなるが、1枚の板状部材であっても、3枚以上の板状部材であってもよい。また、丁番を介して複数の部材同士を連結することにより、拡張部材20を1枚の折り畳み可能な板状部材としてもよい。
【0063】
上記実施形態では、取っ手部113は、筐体11の4つの側面のうちの1つに接合されるが、取っ手部113の数は特に限定されない。例えば、筐体11の1つの側面に複数の取っ手部113を接合してもよく、筐体11の4つの側面に全てに取っ手部113を接合してもよい。
【0064】
上記実施形態では、送電装置13が電磁誘導方式によって電力を無人飛行体2に送電する構成としたが、充電方式は特に限定されない。例えば、磁界共鳴方式、電波受信方式、又は電界結合方式によって非接触給電を行う構成としてもよい。
【0065】
上記実施形態では、発光体12及び表示灯30の種類をLEDランプとしたが、ELランプとしても、白熱ランプとしても、放電ランプとしてもよい。
【0066】
上記実施形態では、複数の表示灯30が非接触給電部10に装着された拡張部材20の四隅に取り付けられるが、表示灯30の数や配置については特に限定されない。例えば、1つ又は複数の表示灯30を非接触給電部10の中心部に埋め込んでもよい。
【0067】
上記実施形態では、表示灯制御部607は、無人飛行体2への送電が行われていない場合に表示灯30を点滅した状態に維持させ、送電が開始した場合に常時点灯した状態に変化させる構成としたが、点灯方式は特に限定されない。例えば、表示灯制御部607は、無人飛行体2への送電が行われていない場合に表示灯30を常時点灯した状態に維持させ、送電が開始した場合に点滅した状態に変化させる構成としてもよい。また、送電の有無によって点灯の色が変化する構成としてもよい。また、無人飛行体2が非接触給電部10に着陸した場合に表示灯30が点滅した状態から常時点灯した状態に変化する構成としてもよい。
【0068】
上記実施形態では、非接触給電部20の送電装置13から表示灯30に電力が供給されるが、表示灯30への給電方式は特に限定されない。例えば、非接触給電部20のバッテリー12から給電してもよい。
【0069】
上記実施形態では、機体検知センサ15は、無人飛行体2が非接触給電部10の離着陸面111に存在するか否かを検知するセンサであるが、無人飛行体2が拡張部材20を含む給電装置1全体に存在するか否かを検知するセンサとしてもよい。これに伴い表示灯30は、無人飛行体2が非接触給電部10及び拡張部材20を含む給電装置1に着陸した場合に、点灯状態を変化させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 給電装置
2 無人飛行体
10 非接触給電部
11 筐体
13 送電装置
14 発光体
20 拡張部材
30 表示灯
【要約】
無人飛行体2を着陸させるとともに充電できる給電装置1であって、無人飛行体2の離着陸面111を有し、かつ、非接触給電により電力を供給できる非接触給電部10と、離着陸面111とともに1つの平面を形成するように非接触給電部10の外周縁に沿って着脱自在に取り付けられた板状の拡張部材20と、非接触給電部10及び/又は拡張部材20に取り付けられた表示灯30と、を備える給電装置1を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9