特許第6551641号(P6551641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551641
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】構造体および構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20190722BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20190722BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20190722BHJP
   C23C 14/10 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   B32B27/00 BZBP
   B32B9/00 A
   B32B27/36
   C23C14/10
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-105499(P2014-105499)
(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2015-217663(P2015-217663A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】服部 真志
【審査官】 深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/163289(WO,A1)
【文献】 特開2011−195660(JP,A)
【文献】 特開2009−196287(JP,A)
【文献】 特開2013−001661(JP,A)
【文献】 特表2013−543925(JP,A)
【文献】 特開2008−285617(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0275563(US,A1)
【文献】 特表2006−512472(JP,A)
【文献】 特開2011−218789(JP,A)
【文献】 小町 卓也, 他,層状高分子超薄膜の創製と創傷被覆材としての医療応用,第63回 高分子学会年次大会予稿集, 2014.05.09, Vol.63, No.1, p.2983, 1H11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C23C 14/00−14/58
B29C 41/00−41/36、41/46−41/52
B29C 70/00−70/88
C09D 1/00−10/00、101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1高分子基材、ガスバリア層、第2高分子基材が順次積層された構造体であって、該構造体の総厚が100nm〜300nmであることを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記ガスバリア層が、無機物の蒸着層、あるいは樹脂の塗布層のいずれか、または、それらが組み合わされた層であることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
蒸着層の前記無機物が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素のいずれかの無機酸化物、あるいは、ダイヤモンドライクカーボンであることを特徴とする請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
塗布層の前記樹脂が、ポリビニルアルコール、エチレン‐ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリルのいずれかの樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の構造体。
【請求項5】
前記第1高分子基材および前記第2高分子基材が、ポリ乳酸またはトリアセチルセルロースであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の構造体の製造方法であって、支持体の上に、第1高分子基材、ガスバリア層、第2高分子基材を順次積層して構造体を作成し、該構造体を前記支持体より剥離することを特徴とする構造体の製造方法。
【請求項7】
前記支持体が、ガラス、石英、シリコンウェハー、マイカ、金基板、樹脂のいずれかのフィルムまたはシートであることを特徴とする請求項6に記載の構造体の製造方法。
【請求項8】
前記構造体を積層する前記支持体の表面が撥液処理してあることを特徴とする請求項6または7に記載の構造体の製造方法。
【請求項9】
前記構造体を積層する前記支持体の表面に除去可能な犠牲層を設け、該犠牲層を除去して、前記構造体を剥離することを特徴とする請求項6または7に記載の構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体および構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機能性の薄膜は、機械的な強度不足のため、一般に薄膜は支持体の上に形成され、支持体と共に使用される。一方で、薄膜自身は、表面積と厚さについての高アスペクト比、曲面形状への追従性を有するため、近年、自己支持性を有するナノメートル厚の薄膜に関する報告が行われている(特許文献1)。
【0003】
自己支持性とは、支持体を取り除いても前記の薄膜が薄膜の形態を保つことをいう。簡単のため、該自己支持性を有するナノメートル厚の薄膜をナノ薄膜と表記することがある。
【0004】
ナノ薄膜は、その膜厚の薄さのため高い気体透過性を有する一方で、ガスバリア性は低くなる傾向がある。ガスバリア性を向上させるためには、ガスバリア性に優れた有機系樹脂をコーティングしたり、ダイヤモンドライクカーボンや酸化ケイ素などの無機化合物を蒸着したりするなどの方法が必要となる。近年研究が行われている自己支持性のナノ薄膜に、ガスバリア性を付与した構造体は、まだ報告されていない。
【0005】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5207467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、総厚が100nm〜300nmで支持体がなくても自己支持性があり、気体の透過を極力抑制した構造体および構造体の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、第1高分子基材、ガスバリア層、第2高分子基材が順次積層された構造体であって、該構造体の総厚が100nm〜300nmであることを特徴とする構造体である。
【0009】
本発明の請求項2の発明は、前記ガスバリア層が、無機物の蒸着層、あるいは樹脂の塗布層のいずれか、または、それらが組み合わされた層であることを特徴とする請求項1に記載の構造体である。
【0010】
本発明の請求項3の発明は、蒸着層の前記無機物が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素のいずれかの無機酸化物、あるいは、ダイヤモンドライクカーボンであることを特徴とする請求項2に記載の構造体である。
【0011】
本発明の請求項4の発明は、塗布層の前記樹脂が、ポリビニルアルコール、エチレン‐ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリルのいずれかの樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の構造体である。
【0012】
本発明の請求項5の発明は、前記第1高分子基材および前記第2高分子基材が、ポリ乳酸またはトリアセチルセルロースであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の構造体である。
【0013】
本発明の請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の構造体の製造方法であって、支持体の上に、第1高分子基材、ガスバリア層、第2高分子基材を順次積層して構造体を作成し、該構造体を前記支持体より剥離することを特徴とする構造体の製造方法である。
【0014】
本発明の請求項7の発明は、前記支持体が、ガラス、石英、シリコンウェハー、マイカ、金基板、樹脂のいずれかのフィルムまたはシートであることを特徴とする請求項6に記載の構造体の製造方法である。
【0015】
本発明の請求項8の発明は、前記構造体を積層する前記支持体の表面が撥液処理してあることを特徴とする請求項6または7に記載の構造体の製造方法である。
【0016】
本発明の請求項9の発明は、前記構造体を積層する前記支持体の表面に除去可能な犠牲層を設け、該犠牲層を除去して、前記構造体を剥離することを特徴とする請求項6または7に記載の構造体の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構造体は、総厚が100nm〜300nmで、支持体がなくても自己支持性があり、気体の透過を極力抑制している。また、本発明の構造体の製造方法によればこの構造体を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の構造体の一例を模式的に断面で示した説明図である。
図2】(A)(B)(C)本発明の構造体の製造方法を説明する模式な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明の構造体の一例を模式的に断面で示した説明図である。
【0020】
本例の構造体100は、図1の断面図に示すように、第1高分子基材1、ガスバリア層2、第2高分子基材3が順次積層された構造体100であって、総厚が100nm〜300nmの多層構造からなっている。
【0021】
第1高分子基材1と第2高分子基材3は、ポリ乳酸やトリアセチルセルロースなど高分子の薄膜からなっていることが好ましい。これらは製膜性の観点から好ましく用いられる。第1高分子基材1と第2高分子基材3の厚さは、それぞれ、10nm〜100nmが好ましい。
【0022】
ガスバリア層2には、無機物の蒸着層、あるいは、樹脂の塗布層が用いられる。蒸着層に用いる無機物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素などの無機酸化物あるいはダイヤモンドライクカーボンを使用することができる。
【0023】
酸化珪素としては、金属珪素と二酸化珪素からなる混合物を蒸着用材料として用い、SiOnとして、nが1より大きく、2より小さい範囲で設定することによって、ガスバリア性と透明性のバランスを取ることができる。
【0024】
形成される蒸着層からなるガスバリア層2の厚さは、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましいとされるが、本発明のガスバリア層2は構造体の総厚を低減するため、5〜100nmの範囲内にすることが望ましい。
【0025】
塗布膜に用いる樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの樹脂を用いることができる。厚さは、本発明のガスバリア層2は構造体の総厚を低減するため、蒸着層と同様に、5〜100nmの範囲内が望ましい。
【0026】
このようにして、第1高分子基材1、ガスバリア層2、第2高分子基材3からなる構造体100の総厚を100nm〜300nmとすることができる。このようにすることによって、自己支持性を有していて、且つ、柔軟性のある構造体とすることができる。
【0027】
以下、本発明の構造体の製造方法について説明する。
図2(A)(B)(C)は、本発明の構造体の製造方法を説明する模式な断面図である。
【0028】
構造体100の製造方法は、先ず、支持体10を用意する。支持体10には、ソーダガラスなどのガラスや、石英、シリコンウェハー、マイカ、金基板、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等の樹脂のフィルムやシートを用いることができる。
【0029】
この支持体10の片面に、第1高分子基材1となるポリ乳酸やトリアセチルセルロースなど高分子材料をスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法によって塗布膜を形成する。
【0030】
塗布方法では特に、スピンコーターが薄膜を作るのに適していて好ましい。そして、乾燥や焼成、光照射などによって固化させ、塗布膜からなる第1高分子基材1を形成する。
【0031】
そして、この第1高分子基材1の面に、ガスバリア層2を形成する。ガスバリア層2として蒸着層を設けるには、無機酸化物を蒸着層とする場合は、真空蒸着法が好ましく用いられる。また、ダイヤモンドライクカーボンを蒸着層とする場合は、イオン化蒸着法により形成することができる。
【0032】
ガスバリア層2として塗布層を設けるには、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの樹脂を、前述の公知の塗布方法によって形成することができる。また、スピンコーターが最も適していて好ましい。
【0033】
支持体10に第1高分子基材1とガスバリア層2を設けたこの積層体のガスバリア層2の面に、さらに、ポリ乳酸やトリアセチルセルロースなど高分子材料を、スピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法によって塗布膜を形成する。特に、スピンコーターが薄膜を作るのに適していて好ましい。さらに乾燥や焼成、光照射によって固化させ、塗布膜からなる第2高分子基材3を形成する。
【0034】
このようにして、図2(A)に示す断面図のように、支持体10の上に、構造体100の第1高分子基材1、ガスバリア層2、第2高分子基材3の積層体が出来上がる。この構造体100を支持体10から物理的に剥離して、単独の構造体100を得ることができる。たとえば、支持体10と構造体100の間にかみそりで切り込みを入れて取っ掛かりを作り、単独の構造体100を剥離することができる。
【0035】
また、図2(B)のように、支持体10に第1高分子基材1を積層する前に、あらかじめ支持体10の面を撥液処理して表面エネルギーを低下させた撥液層20を設けておくことができる。撥液層20を設けるための撥液処理の方法としては、支持体10と高分子基材1を著しく侵食しないものであれば、いかなる方法を用いてもよく、例えば、パーフルオロデシルトリエトキシシランや、オクタデシルトリエトキシシランの様なシランカップリング剤を用いて支持体上に自己組織化単分子膜を形成してもよい。
【0036】
このように、支持体10の面を撥液処理して撥液層20を設け、前述のように、第1高分子基材1とガスバリア層2、第2高分子基材3を設け、構造体100を形成する。この構造体100を支持体10から剥離して、単独の構造体100を得ることができる。このとき、支持体10の面は撥液処理され撥液層20が設けられているので、支持体10から構造体100を容易に剥離することができる。
【0037】
また、支持体10にあらかじめ、除去が可能な犠牲層30を設けておくこともできる。犠牲層30を設ける方法および除去する方法は、本発明の構造体100に損傷を与えない方法であれば、いかなる方法であってもよい。
【0038】
犠牲層30を形成する材料としては、ポリビニルアルコール,ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルフォネート、半導体用レジスト材料、熱架橋性のポリマー等を用いることができる。
【0039】
犠牲層30はこれらの材料を用いて溶媒に溶解して、塗布液として用い、塗布して形成することができる。用いる溶媒としては、構造体100に損傷を与えない溶媒であることが好ましい。
【0040】
このように、支持体10の面に犠牲層30を設けて、犠牲層30の面に、第1高分子基材1とガスバリア層2、第2高分子基材3を設け、構造体100を形成する。そして、犠牲層30を溶媒などで溶解することで除去し、構造体100を自己支持性の膜として支持体10から剥離する。
【0041】
このように、支持体10の面に犠牲層30が設けられていれば、この犠牲層30を溶媒などで溶解することで除去することができるので、支持体10から構造体100を剥離することが、容易にできる。
【0042】
以上のようにして製造された構造体100は、総厚が100nm〜300nmの範囲で用いる用途に応じて適宜定めることができる。このような膜厚とすることにより、ガスバリア性を有しながら、柔軟さを持たせることができる。そして自己支持性を有することができる。また、上記のような製造方法によれば、前記の構造体100を容易に製造することができる。ここでいう構造体の総厚とは、第1高分子基材1とガスバリア層2、第2高分子基材3からなる厚さである。
【0043】
本発明の構造体の用途としては、例えば人体の創傷部を被覆し、創傷部を外部から保護する用途として使用することができる。また、人体の皮膚の乾燥を抑制するために、人体の乾燥部位に本構造体を貼り付けることによって、皮膚の乾燥部位を保湿する用途として使用することができる。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0045】
<実施例1>
支持体10としては、厚さが0.7mmで、10cm×10cmのソーダガラス基材を用いた。該ガラス基材をパーフルオロデシルトリエトキシシランのクロロホルム溶液に3時間浸漬し、120℃で1時間乾燥させることによって撥液処理し、支持体10のガラス基材の面に撥液層を設けた。
【0046】
続いて、撥液層を設けたガラス基板上に、1%のポリ乳酸のクロロホルム溶液をスピンコート法にて製膜し、70℃にて1時間乾燥した。このようにして形成した、第1高分子基材1のポリ乳酸薄膜の厚さは約100nmであった。
【0047】
次に、金属珪素と二酸化珪素からなる蒸着用材料を作製し、電子ビーム加熱方式の真空蒸着装置により、電子銃から放出する電子ビームを混合蒸着用材料に照射し蒸発させ、高分子基材1上にガスバリア層2を成膜した。ガスバリア層2の厚さは約30nmであった。
【0048】
ガスバリア層2の面に、第2高分子基材3を第1高分子基材1と同様の方法で形成し、70℃にて、1時間乾燥し、第2高分子基材3を形成した。第2高分子基材3ポリ乳酸薄膜の厚さは約100nmであった。
【0049】
支持体10のガラス基材上に形成した構造体100にかみそりで切り込みを入れることで取っ掛かりを作り、構造体100を支持体10から剥がした。これにより、厚さ230nmの実施例1の構造体を得た。
【0050】
<実施例2>
支持体10としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。このポリエチレンテレフタレートフィルム上に犠牲膜20として、ポリビニルアルコールの1%水溶液をバーコート法にて製膜し、70℃にて1時間乾燥した。
【0051】
続いて、犠牲膜20の面に、第1高分子基材1として、1%のポリ乳酸のクロロホルム溶液をスピンコート法にて製膜し、70℃にて1時間乾燥した。形成したポリ乳酸薄膜の厚さは約100nmであった。
【0052】
金属珪素と二酸化珪素の混合物からなる蒸着用材料を作製し、電子ビーム加熱方式の真空蒸着装置により、電子銃から放出する電子ビームを混合蒸着用材料に照射し蒸発させ、第1高分子基材1上に酸化珪素からなるガスバリア層2を成膜した。ガスバリア層2の厚さは約30nmであった。
【0053】
ガスバリア層2の上には、第2高分子基材3を、第1高分子基材1と同様の方法で形成し、70℃にて、1時間乾燥した。形成したポリ乳酸薄膜の厚さは約100nmであった。
【0054】
上記の構造体を形成したポリエチレンテレフタレートフィルムごと、水に1時間浸漬し、ポリビニルアルコールの溶解によりポリエチレンテレフタレートフィルムから端部が剥離した構造体100の剥離した端部をもって剥離して、厚さ230nmの実施例2の構造体を得た。
【0055】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0056】
<比較例1>
ガスバリア層2を形成しないこと以外は、実施例1と同様の方法にて、厚さ200nmの比較例1の構造体を得た。
【0057】
<試験方法>
実施例と比較例の構造体を下記の方法で試験し、比較評価した。
【0058】
<透湿度>
実施例と比較例の構造体を、JIS−Z0208−1976の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)を用いて、温度40±0.5℃、相対湿度90±2%の条件で透湿度を測定し、ガスバリア性を評価した。その結果を表1にまとめた。
【0059】
【表1】
以下に、実施例と比較例との比較結果について説明する。
【0060】
<比較結果>
実施例1と実施例2の構造体では、総厚が100nm〜300nmで、自己支持性があり、比較例1の構造体に比べて透湿度が低く、ガスバリア性が付与されていた。
【符号の説明】
【0061】
100・・・構造体
1・・・第1高分子基材
2・・・ガスバリア層
3・・・第2高分子基材
10・・・支持体
20・・・撥液層
30・・・犠牲層
図1
図2