(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表層樹脂層および支持樹脂層は、ともに1,2−ブタジエン構造を有するとともに末端にエチレン性不飽和二重結合を有するプレポリマ、エチレン性不飽和単量体、および光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物からなる請求項1に記載のフレキソ印刷版の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈フレキソ印刷版〉
本発明の
製造方法によって製造されるフレキソ印刷版は、片面が印刷面とされ、前記印刷面には、所定の印刷パターンの非印刷領域に対応する凹部が形成されたインキ転写層を備え、前記印刷面は、前記凹部の内面よりN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略記する場合がある。)の接触角が5°以上小さいことを特徴とする。
【0016】
かか
るフレキソ印刷版によれば、インキ用溶剤の代表例としてのNMPの接触角を、上記のように印刷面において、凹部の内面より5°以上小さい親油性(親インキ性)とし、相対的に上記凹部の内面を印刷面より撥油性(撥インキ性)とすることにより、インキ自体の表面張力と相まって、印刷面上に極力インキを留めたり、エッジから凹部に流れ込みかけたインキを印刷面上に引き戻したりできる。
【0017】
そのため、凹部内にインキが流れ込んでインキ溜まりが生じるのを抑制したり、生じるインキ溜まりを極力小さくしたりでき、当該インキ溜まりに伴う印刷パターンのはみ出しやにじみ等を生じにくくできる。
なお、NMPの接触角を印刷面と凹部の内面とで違えるには、例えば凹部の内面を、シリコーンやシランカップリグ剤で化学的に、またはフッ素プラズマ等によって物理的に処理して、上記内面の接触角を印刷面より5°以上大きくすることが考えられる。
【0018】
また逆に、印刷面をフレーム処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理等して、当該印刷面の接触角を内面より5°以上小さくすることも考えられる。
しかしこれらの処理は、いずれもそれぞれの面のごく表層部のみに対する処理であるため、フレキソ印刷を繰り返すうちに、上記処理の効果が比較的短期間で低下したり失われたりするおそれがある。
【0019】
すなわち印刷を繰り返すと処理の効果が急速に失われ、両面間でのNMPの接触角の差が急速に縮まって、上述した効果が比較的短期間で得られなくなるおそれがある。
これに対し、本発明の製造方法によって構成される、たとえば、図1(a)(b)に示す構造を採用することにより、NMPの接触角の差を、できるだけ長期間に亘って持続させる
ことができる。
図1(a)は、本発明の
製造方法によって製造されるフレキソ印刷版の、実施の形態の一例を示す斜視図、
図1(b)は、上記例のフレキソ印刷版の一部を拡大して示す断面図である。
【0020】
両図を参照して、この例のフレキソ印刷版1は、全体が矩形平板状に形成されたもので、片面(図では上面)が印刷面2とされたインキ転写層3と、当該インキ転写層3の反対面に積層された補強シート4とを備えている。
またインキ転写層3は、補強シート4と直接に積層された支持樹脂層5と、当該支持樹脂層5上に積層されて上記印刷面2を構成する表層樹脂層6の2層の積層体からなる。
【0021】
印刷面2には、所定の印刷パターンの非印刷領域に対応する、図では格子状の凹部7が、当該印刷面2から支持樹脂層5に達するように形成され、それによって印刷面2が、上記印刷パターンに対応させてパターン形成されているとともに、上記凹部7の内面8において支持樹脂層5が露出されている。
また、フレキソ印刷版1の矩形の互いに平行な2辺の近傍で、かつ印刷面2の外側には、それぞれフレキソ印刷版1をフレキソ印刷機にセットする際に図示しないバイスで咥え込んで把持するための、凸条部9と溝10からなる咥え込み部11が、それぞれの辺の全幅に亘って設けられている。
【0022】
また凸条部9には、その長さ方向の複数箇所(図では5箇所)に等間隔で、バイスで咥え込んで把持した状態の咥え込み部11を、固定ピン(図示せず)を挿通して固定するためのチャック穴12が形成されている。
表層樹脂層6は、支持樹脂層5を形成する樹脂よりもNMPの接触角が小さい樹脂によって形成されている。
【0023】
また表層樹脂層6の露出した表面である印刷面2は、従来同様に、平滑面よりNMPの接触角を小さくできる、凹凸面としての粗面とされている。
そして上記樹脂自体の材料的な特性と、印刷面2の形状的特性とに基づいて、上記印刷面2を、支持樹脂層5の露出した表面である凹部7の内面8より上記NMPの接触角が5°以上小さい親油性とし、相対的に上記内面8を印刷面2より撥油性としている。
【0024】
そのため図の例のフレキソ印刷版1によれば、印刷面2上に極力インキを留めたり、エッジから凹部7に流れ込みかけたインキを印刷面2上に引き戻したりして、上記凹部7内にインキが流れ込むのを抑制でき、印刷を繰り返した際に、上記凹部7内にインキ溜まりが生じるのを抑制したり、生じるインキ溜まりを極力小さくしたりして、当該インキ溜まりに伴う印刷パターンのはみ出しやにじみ等を生じにくくすることができる。
【0025】
その上、表層樹脂層6、および支持樹脂層5は、それぞれ全体が同じ樹脂からなるため、印刷を繰り返しても、上記粗面を維持できる範囲で、つまり通常のフレキソ印刷版の場合と同等程度の期間に亘って、上述したNMPの接触角の差を維持できる。
したがって、図の例のフレキソ印刷版1によれば、上記のようにインキ溜まりとそれに伴う印刷パターンのはみ出しやにじみ等を生じにくくする効果を、より長期間に亘って維持することが可能となる。
【0026】
表層樹脂層6の厚みは0.02mm以上、0.4mm以下である必要があり、特に0.2mm以下であるの好ましい。
厚みがこの範囲未満である薄い表層樹脂層6を形成するのは容易でない上、形成できたとしても、当該表層樹脂層6は薄すぎて耐久性が不十分であり、印刷を繰り返すことで比較的短期間に摩耗して失われやすくなって、インキ転写層3を2層構造とすることによる上述した効果が不十分になるおそれがある。
【0027】
一方、表層樹脂層6の厚みが上記の範囲を超える場合には、凹部7の内面8のうち開口近傍において、表層樹脂層6を形成する親油性の樹脂が厚く露出することになるため、却ってインキの流入が助長されて、凹部7内にインキ溜まりを生じやすくなるおそれがある。
これに対し、表層樹脂層6の厚みを上記の範囲とすることにより、当該表層樹脂層6の良好な耐久性を維持しながら、凹部7の内面8のうち開口近傍に上記表層樹脂層6を形成する親油性の樹脂が厚く露出してインキ溜まりの原因となるのを抑制できる。
【0028】
印刷面2と凹部7の内面8とのNMPの接触角の差は、前述した5°以上の範囲でも大きいほど好ましく、特に10°以上であるのが好ましい。
上記両面2、8の、NMPの接触角の差を大きくするには、印刷面2に付与した粗面等の凹凸面の形状を変更したり、表層樹脂層6を形成する樹脂と支持樹脂層5を形成する樹脂の、NMPの接触角の差を大きくしたりすればよい。
【0029】
ただし凹凸面の形状の変更によってNMPの接触角を調整できる範囲には限界があり、それ以上にNMPの接触角の差を大きくするには、接触角の差が大きい樹脂を選択して組み合わせるのが好ましい。
ところが接触角の差が大きすぎる樹脂からなる2層を一体に積層してインキ転写層3を形成するのは容易でない上、印刷時の応力等によって層間で剥離等を生じやすくなるおそれもある。
【0030】
そのためインキ転写層3の一体性を向上すること等を考慮すると、上記両層5、6を形成する樹脂の、NMPの接触角の差をあまり大きくするのは好ましくなく、結果的に、印刷面2と凹部7の内面8とのNMPの接触角の差は、上記の範囲でも30°以下とするのが好ましい。
なお、表層樹脂層6を形成する樹脂と支持樹脂層5形成する樹脂のNMPの接触角を違えるには、当該両層を形成する樹脂の組成を違えればよい。
【0031】
例えば、後述する本発明の製造方法において上記両層の形成材料として使用している、1,2−ブタジエン構造を有するとともに末端にエチレン性不飽和二重結合を有するプレポリマ、エチレン性不飽和単量体、および光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物の場合は、上記各成分の種類と配合割合を層ごとに変更することによって、表層樹脂層6と支持樹脂層5を形成する樹脂、つまり各々の感光性樹脂組成物の硬化物の、NMPの接触角を違えることができる。
【0032】
両層5、6を形成する樹脂の、NMPの接触角の差の具体的な範囲は特に限定されない。
ただしこの発明では、図に示すように、印刷面2を粗面等の凹凸面と
しているため、当該凹凸面による接触角の低下分と合わせて、両面2、8のNMPの接触角の差が前述した5°以上の範囲となるように、両樹脂の接触角に差をつければよい。
【0033】
なお上記NMPの接触角を、本発明では、温度23±2℃、相対湿度50±2%の標準雰囲気下、First Ten Angstroms社製の測定器FTA125を用いてNMPの液滴量2μlで、滴下5秒後の液滴斜面角度を測定した値の、n=5の平均値でもって表すこととする。
例えば印刷面2および凹部7の表面8の接触角は、製造したフレキソ印刷版1の、上記印刷面2および凹部7の表面8を直接に測定した値とする。一方、表層樹脂層6と支持樹脂層5を形成する樹脂の接触角は、形状的な影響を排除するために平滑に仕上げた測定面について測定した値とする。
【0034】
表層樹脂層6の印刷面2に付与する凹凸面の形状、構造、および形成方法等については従来同様とすればよい。
ただし前述したように、両層5、6を形成する樹脂の、NMPの接触角の差と合わせて、両面2、8のNMPの接触角の差が前述した5°以上の範囲となるように、形成する凹凸面の形状、構造等を調整するのが好ましい。
【0036】
支持樹脂層5の厚みは任意に設定できる。
特に、当該支持樹脂層5と表層樹脂層6の2層からなるインキ転写層3の厚みが、従来の単層のインキ転写層3の厚みと同程度となるように、支持樹脂層5の厚みを、表層樹脂層6の厚みに応じて調整すればよい。
具体的には、支持樹脂層5の厚みは2mm以上とするのが好ましく、2.4mm以下とするのが好ましい。
【0037】
凹部7は、支持樹脂層5に達していれば、その深さは任意に設定できる。例えば表層樹脂層6の厚み次第では、当該表層樹脂層6のみを取り除いて支持樹脂層5の表面を露出させるだけでもよい。
ただし凹部7内にインキが流れ込んでインキ溜まりを生じても、印刷パターンのはみ出しやにじみを生じにくくすることを考慮すると、
図1(b)に示したように、当該凹部7を、支持樹脂層5の内部まで達する深さに形成するのが好ましい。
【0038】
凹部7の深さは、具体的には0.4mm以上で、かつインキ転写層3の厚み未満であるのが好ましい。
補強シート4は省略しても構わないが、補強シート4を積層することで、フレキソ印刷版1の引張強度を向上したり、フレキソ印刷版1の面方向の伸縮を抑制して、印刷面2のパターンの寸法精度を向上したりできる。
【0039】
補強シート4としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリウレタンエラストマ(TPU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等の熱可塑性樹脂からなるシートや金属シート、両者のラミネートシート等が使用可能である。
また、以下に説明する製造方法を採用し、かつ補強シート4側からも紫外線等の活性光線を照射する場合、上記補強シート4としては、上記熱可塑性樹脂からなり活性光線に対する透過性を有するシートを使用すればよい。
【0040】
〈フレキソ印刷版の製造方法〉
図2(a)(b)は、本発明の製造方法の、実施の形態の一例の工程を示す断面図である。また
図3(a)(b)は、上記例の製造方法の続きの工程を示す断面図である。さらに
図4(a)〜(c)は、上記例の製造方法のさらに続きの工程を示す断面図である。
図2(a)を参照して、この例の製造方法においては、ガラスや、あるいはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の硬質樹脂などの、硬質でなおかつ紫外線等の活性光線に対する透過性を有する材料からなる支持基板13と、対になる対向基板14とを用意する。
【0041】
対向基板14は、ガラス、硬質樹脂、金属などの任意の材料によって形成する。対向基板14の側からも活性光線を照射する場合は、当該対向基板14を、支持基板13と同じ、活性光線に対する透過性を有する、ガラスや硬質樹脂によって形成すればよい。
支持基板13と対向基板14は、支持基板13の支持面15と対向基板14の対向面16を互いに平行に対向させた状態で配設する。
【0042】
支持基板13の下側には、活性光線としての紫外線の光源であるUVランプ17を複数本、等間隔で配設する。
また表層樹脂層6の印刷面2を凹凸面としての粗面とするために、片面(図では上面)が粗面化された型面18とされた粗面化シート19を用意する。
粗面化シート19としては、例えばPE、PP、TPU、PET、FEP等の熱可塑性樹脂からなり、なおかつ活性光線に対する透過性を有するシートの片面を、例えばエンボスロールを用いた加圧シート成形等によって粗面化したものを用いるのが好ましい。
【0043】
かかる加圧シート成形によれば、粗面化シート19を連続的かつ多量に生産するのが容易であるという利点がある。
なお、上記の中でもPE、PP、TPU等の比較的軟質の熱可塑性樹脂からなり、かつ比較的薄手(例えば150μm以下程度)の粗面化シート19は、それ自体のコシが弱く、フラットな支持基板13の支持面15にシワなく均一に密着させるのが難しい場合がある。
【0044】
その場合には、粗面化シート19の反対面に、例えばPET等からなり活性光線に対する透過性を有する補強シートを貼り合わせる等すればよい。
上記粗面化シート19を、型面18を上にして、
図2(a)に一点鎖線の矢印で示すように支持基板13の支持面15に、その一端から他端へかけて順に重ねる等して、着脱自在に固定する。
【0045】
粗面化シート19は、当該粗面化シート19上に液状の感光性樹脂組成物を塗り拡げる際のせん断力や、あるいは感光性樹脂組成物の硬化時の収縮力等によって、支持基板13に対して位置ずれするのを防止するとともに、使用後の粗面化シート19の交換を容易にするため、例えば下記(i)〜(iii)のいずれかの方法によって、支持基板13の支持面15に着脱自在に固定するのが好ましい。
【0046】
(i) 活性光線に対する透過性を有する材料からなる弱粘着層を介して、上記支持面15に着脱自在に粘着固定。
(ii) 支持面15に吸引溝を形成し、当該吸引溝を介して真空吸引することによって、当該支持面15に着脱自在に吸着固定。
(iii) 支持基板13の面方向の寸法よりも間隔を隔てた一対のチャック治具間に展張させた状態で、支持面15に着脱自在に圧接固定。
【0047】
このうち(i)の粘着固定に用いる弱粘着層としては、支持基板13および粗面化シート19の形成材料に対して弱粘着性を有し、かつ活性光線に対する透過性を有する種々の粘着剤からなる層がいずれも採用可能である。弱粘着層は、支持基板13の支持面15、および粗面化シート19の反対面(図では下面)のうちの少なくとも一方に、粘着剤を、例えばスプレー塗布等の種々の塗布方法によって塗布することで形成される。
【0048】
かかる弱粘着層を支持基板13の支持面15および/または粗面化シート19の反対面に形成したのち、
図2(a)に一点鎖線の矢印で示すように、粗面化シート19を、型面18を上にして、上記支持面15に、その一端から他端へかけて間に空気が入らないように注意しながら順に重ねると、当該粗面化シート19を、弱粘着層の粘着力によって支持面15に固定できる。
【0049】
また固定した粗面化シート19を支持面15から取り除くには、当該粗面化シート19を、例えば
図2(a)の矢印とは逆に支持基板13の他端から一端へかけて、弱粘着層の粘着力に抗しながら順に引き剥がす等すればよい。
(ii)の吸着固定をするには、支持基板13の支持面15を平滑に仕上げるとともに、かかる支持面15の略全面に吸引溝を形成する。吸引溝は、真空ポンプ等を含む真空系に接続する。
【0050】
そして粗面化シート19を、型面18を上にして支持基板13の支持面15に重ねた状態で、真空系を作動させるか、あるいは先に作動させておいた真空系を吸引溝と接続する等して、当該吸引溝を介して粗面化シート19を真空吸引することにより、当該粗面化シート19を支持面15に固定できる。
固定した粗面化シート19を支持面15から取り除くには、真空系を停止させるか、あるいは真空系と吸引溝との接続を遮断すればよい。
【0051】
図2(b)を参照して、上記いずれかの方法で、支持基板13の支持面15に固定した粗面化シート19の型面18上に、表層樹脂層6のもとになる液状の感光性樹脂組成物20を供給し、例えばブレード21を用いて、図中に一点鎖線の矢印で示すように支持基板13の支持面15の一端から他端へかけて、所定の厚みとなるように塗り拡げることで、当該感光性樹脂組成物20からなり、表層樹脂層6のもとになる第一前駆層22を形成する。
【0052】
図3(a)を参照して、形成した第一前駆層22上に、支持樹脂層5のもとになる液状の感光性樹脂組成物23を供給し、例えばブレード24を用いて、図中に一点鎖線の矢印で示すように支持基板13の支持面15の一端から他端へかけて、所定の厚みとなるように塗り拡げることで、当該感光性樹脂組成物23からなり、支持樹脂層5のもとになる第二前駆層25を形成する。
【0053】
それとほぼ同時に、補強シート4を、形成した第二前駆層25との間に空気が入らないように注意しながら、上記一点鎖線の矢印で示すように、支持基板13の支持面15の一端から他端へかけて、順に重ね合わせる。
なお感光性樹脂組成物20、23の塗布方法は、ブレード21、24を用いた塗り拡げには限定されず、従来公知の種々の塗布方法がいずれも採用可能である。
【0054】
図3(b)を参照して、重ね合わせた補強シート4上に、対向基板14の対向面16を接触させる。
そして上記対向面16を、支持基板13の支持面15との間に一定の間隔を隔てて平行に維持しながら、当該対向基板14を、
図3(b)に白抜きの矢印で示すように支持基板13の方向に押圧することで、第一前駆層22を粗面化シート19の型面18に圧着させるとともに、当該第一前駆層22、第二前駆層25、および補強シート4を互いに圧着させる。
【0055】
この圧着状態でUVランプ17を点灯させて、両前駆層22、25に、支持基板13および粗面化シート19を通して活性光線としての紫外線を照射することで、当該両前駆層22、25を形成する感光性樹脂組成物20、23を硬化反応させて、表層樹脂層6と支持樹脂層5を形成する。
それとともに、両樹脂層5、6を一体化させて2層構造のインキ転写層3を形成し、なおかつ形成したインキ転写層3の支持樹脂層5側に、補強シート4を一体化させる〔
図3(b)、
図4(a)〕。
【0056】
この際、支持基板13の支持面15と、対向基板14の対向面16との間隔は、製造するフレキソ印刷版1のインキ転写層3の厚み、つまり支持樹脂層5と表層樹脂層6の合計の厚みに、粗面化シート19の厚みと補強シート4の厚みを加えた寸法を維持するようにする。
また上記の工程では、先述したように、補強シート4および対向基板14をともに活性光線の透過性を有する材料によって形成しておき、当該対向基板14の側からも、両前駆層22、25に、活性光線としての紫外線を照射して、当該両前駆層22、25を形成する感光性樹脂組成物20、23を硬化反応させるようにしてもよい。
【0057】
感光性樹脂組成物20、23としては、ともに先に説明したように1,2−ブタジエン構造を有するとともに末端にエチレン性不飽和二重結合を有するプレポリマ、エチレン性不飽和単量体、および光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物が好適に使用される。
先に説明したように、両感光性樹脂組成物20、23で上記各成分の種類と配合割合を変更することにより、表層樹脂層6と支持樹脂層5を形成する樹脂、つまり各々の感光性樹脂組成物20、23の硬化物の、NMPの接触角を違えることができる。
【0058】
図4(a)(b)を参照して、補強シート4、インキ転写層3(支持樹脂層5+表層樹脂層6)、および粗面化シート19の一体化させた積層体である版シート26を、支持基板13と対向基板14の間から取り出し、上下を逆転させて、補強シート4を下にして作業台27の上に載置する。
そして
図4(b)に一点鎖線の矢印で示すように粗面化シート19を、上記版シート26の一端から他端へかけて順に引き剥がすと、表層樹脂層6の図において上面側が、粗面化シート19の型面18の凹凸形状が転写されて粗面化された印刷面2とされる。
【0059】
さらに
図4(c)を参照して、粗面化シート19を引き剥がして露出させた印刷面2の、印刷パターンの非印刷領域に、レーザヘッド28から炭酸ガスレーザ29等を走査しながら照射して、照射された領域の樹脂を熱的に除去したり、あるいは図示していないが機械的に除去したりすることにより、支持樹脂層5に達する凹部7を形成する。
それと同時あるいは前後の工程で、版シート26の4辺をカットして全体の平面形状を矩形に整えるとともに、互いに平行な2辺の近傍を例えばレーザー加工等して、凸条部9と溝10からなる咥え込み部11、およびチャック穴12を形成すると、
図1に示すフレキソ印刷版1が完成する。
【0060】
図2(b)の工程で形成した第一前駆層22は、その上に第二前駆層25を積層する前に、活性光線を短時間照射して半硬化の状態としておいてもよい。これにより、第一前駆層22を硬化反応させて形成される表層樹脂層6の厚みの均一性を向上できる。
しかも第一前駆層22を半硬化の状態とすると、その上に感光性樹脂組成物20を塗布して第二前駆層25を形成したのち、全体に活性光線を照射して両前駆層22、25を硬化反応させて形成される表層樹脂層6と支持樹脂層5の積層体、つまりインキ転写層3の一体性を、第一前駆層22をあらかじめ半硬化させない場合と同等程度に向上でき、フレキソ印刷版1の使用時に両樹脂層5、6間で層間剥離が生じるのを確実に防止できる。
【0061】
《液晶表示素子の製造方法》
本発明は、上記本発明の
製造方法によって製造されたフレキソ印刷版を用いて、フレキソ印刷によって液晶配向膜を形成する工程を含む液晶表示素子の製造方法である。
本発明によれば、厚みが均一でピンホールがなくかつ薄い上、印刷を繰り返しても、印刷パターンのはみ出しやにじみ等がなく、印刷精度に優れた良好な液晶配向膜を備えた液晶表示素子を製造し続けることができる。
【0062】
本発明の製造方法のその他の工程は、従来同様に実施できる。
例えばTFT液晶の場合は、対になる基板のそれぞれTFT回路形成面、カラーフィルタ形成面に、本発明の
製造方法によって製造されたフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷によって液晶配向膜を形成し、さらに液晶配向膜の表面を、必要に応じてラビング等によって配向処理する。
次いでこの一対の基板を位置合わせした状態で、その間に液晶材料を挟みこみ、周囲をシール材で囲んで封入するとともに上記一対の基板を互いに固定して積層体を形成し、さらに必要に応じてこの積層体の両外側に偏光板を配設して液晶表示素子が製造される。
【0063】
本発明は、以上で説明した図の例には限定されない。
例えば、補強シート4は省略してもよい。また第一および第二前駆層22、25を、対向基板14によって押圧する代わりにローラ等によって塗り拡げて厚みを一定化してもよい。
その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことができる。
【実施例】
【0064】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明の構成は、これらの実施例、比較例によって限定されるものではない。
〈実施例1〉
(感光性樹脂組成物)
表層樹脂層6用の感光性樹脂組成物20としては、粗面化された印刷面2のNMPの接触角が32°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用意した。
【0065】
また支持樹脂層5用の感光性樹脂組成物23としては、凹部7の内面8のNMPの接触角が54°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用意した。
(補強シート4)
補強シート4としてはPETシート〔住友ゴム工業(株)製のBF/CF〕を用意した。
(粗面化シート19)
粗面化シート19としては、片面に厚み100μmのPETシートを補強シートとして貼り合わせたTPUのシート〔大倉工業(株)製のシルクロン(登録商標)SNESS80−150μm〕の露出したTPUの表面を、粗面化した型面18としたものを用意した。
【0066】
(フレキソ印刷版1の製造)
図2(a)〜
図4(c)を参照して、支持基板13としての紫外線透過性を有する平滑透明ガラス板と、対向基板14とを備えたフレキソ印刷版の製造装置の、上記支持基板13の支持面15に、先の粗面化シート19を、型面18を上にして、支持面15に接するようにスプレー粘着剤の層を介して着脱自在に固定した。
【0067】
次いで型面18上に、表層樹脂層6用の感光性樹脂組成物20を供給し、ブレード21を用いて塗り拡げて第一前駆層22を形成した。感光性樹脂組成物20の塗布厚みは、次工程以下を経て形成される表層樹脂層6の厚みが0.4mmとなるように設定した。
次にこの第一前駆層22上に、支持樹脂層5用の感光性樹脂組成物23を供給し、ブレード24を用いて塗り拡げて第二前駆層25を形成しながら、その上に先の補強シート4を積層した。感光性樹脂組成物23の塗布厚みは、次工程以下を経て形成される支持樹脂層5の厚みが1.96mmとなるように設定した。
【0068】
次いで積層した補強シート4上に、対向基板14の対向面16を接触させた。
そしてこの対向面16を、支持基板13の支持面15との間に一定の間隔を隔てて平行に維持しながら、
図3(b)に黒矢印で示すように、対向基板14を支持基板13の方向に押圧することで、第一前駆層22を粗面化シート19の型面18に圧着させるとともに、当該第一前駆層22、第二前駆層25、および補強シート4を互いに圧着させた。
【0069】
そしてこの状態でUVランプ17を点灯させて、両前駆層22、25に、支持基板13および粗面化シート19を通して活性光線としての紫外線を照射して、当該両前駆層22、25を形成する感光性樹脂組成物20、23を硬化反応させて表層樹脂層6と支持樹脂層5を形成するとともに両樹脂層5、6を一体化させて2層構造のインキ転写層3を形成し、なおかつ当該インキ転写層3の支持樹脂層5側に補強シート4を一体化させた(
図3(b)、
図4(a)参照)。光源としてはフィリップス社製のUV光源を用いた。
【0070】
この際、支持基板13の支持面15と対向基板14の対向面16との間の間隔は、製造するフレキソ印刷版1のインキ転写層3の厚み、つまり支持樹脂層5と表層樹脂層6の合計の厚みに、粗面化シート19の厚みと補強シート4の厚みを加えた寸法を維持するようにした。
次に
図4(a)(b)を参照して、補強シート4、支持樹脂層5、表層樹脂層6、および粗面化シート19の積層体としての版シート26を、支持基板13と対向基板14の間から取り出し、上下逆転させて作業台27の上に載置した。
【0071】
そして
図4(b)に一点鎖線の矢印で示すように粗面化シート19を、上記版シート26の一端から他端へかけて順に引き剥がして、表層樹脂層6の図において上面側が、粗面化シート19の型面18の凹凸形状が転写されて粗面化された印刷面2とした。
次いで、
図4(c)に示すように、粗面化シート19を引き剥がして露出させた印刷面2の、印刷パターンの非印刷領域に、レーザヘッド28から炭酸ガスレーザ29等を走査しながら照射して、照射された領域の樹脂を熱的に除去するレーザー加工により、支持樹脂層5に達する凹部7を形成した。
【0072】
また版シート26の4辺をカットして全体の平面形状を矩形に整えるとともに、互いに平行な2辺の近傍を、同様にレーザー加工して、凸条部9と溝10からなる咥え込み部11、およびチャック穴12を形成して、
図1に示すフレキソ印刷版1を製造した。
レーザー加工の条件は、炭酸ガスレーザの出力:400W×2ビーム、ビーム径:20μm、送りピッチ:60μm、送り速度140cm/秒とした。
【0073】
レーザー加工後は、融除飛沫樹脂による汚れを、太陽化学(株)製の商品名KS−HGシンナを用いて洗浄したのち、十分に乾燥させた。
製造したフレキソ印刷版1における表層樹脂層6の厚みは0.4mm、支持樹脂層5の厚みは1.96mm、印刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差は22°であった。
【0074】
〈実施例2〉
表層樹脂層6用の感光性樹脂組成物20として、粗面化された印刷面2のNMPの接触角が29°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用いるとともに、両樹脂層5、6用の感光性樹脂組成物20、23の塗布厚みなどを調整して表層樹脂層6の厚みを0.2mm、支持樹脂層5の厚みを2.16mmとしたこと以外は実施例1と同様にしてフレキソ印刷版1を製造した。
【0075】
製造したフレキソ印刷版1における印刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差は25°であった。
〈実施例3〉
表層樹脂層6用の感光性樹脂組成物20として、粗面化された印刷面2のNMPの接触角が25°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用いるとともに、両樹脂層5、6用の感光性樹脂組成物20、23の塗布厚みなどを調整して表層樹脂層6の厚みを0.1mm、支持樹脂層5の厚みを2.26mmとしたこと以外は実施例1と同様にしてフレキソ印刷版1を製造した。
【0076】
製造したフレキソ印刷版1における印刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差は29°であった。
〈実施例4〉
表層樹脂層6用の感光性樹脂組成物20として、粗面化された印刷面2のNMPの接触角が25°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用い、かつ支持樹脂層5用の感光性樹脂組成物23として、凹部7の内面8のNMPの接触角が41°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用いるとともに、両樹脂層5、6用の感光性樹脂組成物20、23の塗布厚みなどを調整して表層樹脂層6の厚みを0.02mm、支持樹脂層5の厚みを2.31mmとしたこと以外は実施例1と同様にしてフレキソ印刷版1を製造した。
【0077】
製造したフレキソ印刷版1における印刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差は16°であった。
〈実施例5〉
表層樹脂層6用の感光性樹脂組成物20として、粗面化された印刷面2のNMPの接触角が31°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用い、かつ支持樹脂層5用の感光性樹脂組成物23として、凹部7の内面8のNMPの接触角が36°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用いるとともに、両樹脂層5、6用の感光性樹脂組成物20、23の塗布厚みなどを調整して表層樹脂層6の厚みを0.2mm、支持樹脂層5の厚みを2.16mmとしたこと以外は実施例1と同様にしてフレキソ印刷版1を製造した。
【0078】
製造したフレキソ印刷版1における印刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差は5°であった。
〈比較例1〉
粗面化された印刷面2のNMPの接触角が36°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用いて、単層で厚みが2.36mmのインキ転写層3を形成したこと以外は実施例1と同様にしてフレキソ印刷版1を製造した。
【0079】
〈比較例2〉
粗面化された印刷面2のNMPの接触角が25°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用いて、単層で厚みが2.36mmのインキ転写層3を形成したこと以外は実施例1と同様にしてフレキソ印刷版1を製造した。
〈比較例3〉
表層樹脂層6用の感光性樹脂組成物20として、粗面化された印刷面2のNMPの接触角が29°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用い、かつ支持樹脂層5用の感光性樹脂組成物23として、凹部7の内面8のNMPの接触角が33°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用いるとともに、両樹脂層5、6用の感光性樹脂組成物20、23の塗布厚みなどを調整して表層樹脂層6の厚みを0.2mm、支持樹脂層5の厚みを2.16mmとしたこと以外は実施例1と同様にしてフレキソ印刷版1を製造した。
【0080】
製造したフレキソ印刷版1における印刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差は4°であった。
〈比較例4〉
表層樹脂層6用の感光性樹脂組成物20として、粗面化された印刷面2のNMPの接触角が29°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用い、かつ支持樹脂層5用の感光性樹脂組成物23として、凹部7の内面8のNMPの接触角が54°となる紫外線硬化型の液状の感光性樹脂組成物を用いるとともに、両樹脂層5、6用の感光性樹脂組成物20、23の塗布厚みなどを調整して表層樹脂層6の厚みを0.41mm、支持樹脂層5の厚みを1.96mmとしたこと以外は実施例1と同様にしてフレキソ印刷版1を製造した。
【0081】
製造したフレキソ印刷版1における印刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差は25°であった。
〈実機試験〉
(フレキソ印刷)
液晶配向膜印刷用のフレキソ印刷機〔ナカン(株)製のA45〕に実施例、比較例で製造したフレキソ印刷版と、アニロックスロール#220〔セル容積6.5cc/m
2〕とを組み込んだ。
【0082】
そして液晶配向膜用のインキ〔JSR(株)製のオプトマー(登録商標)AL17901〕を、上記フレキソ印刷機を用いて液晶パネル用の模擬基板の表面に印刷したのち120℃で30分間予備乾燥させて液晶配向膜を形成した。液晶配向膜の予備乾燥後の設定厚みは900Åとした。
上記模擬基板としては、5インチ角のエリアに画素数420ppiの密度でドットを構築したものを用いた。凹凸のピッチは3〜15μm、高さは0.3〜1μmであった。
【0083】
(インキのはみ出し量、にじみ量測定)
印刷した液晶配向膜の印刷パターンの、印刷進行方向の後方側のエッジからの、インキのはみ出し量(mm)、およびはみ出した端からの、インキのにじみ量(mm)を測定した。
(総合評価)
はみ出し量とにじみ量の合計を求め、下記の基準で総合評価をした。
【0084】
◎:はみ出し量とにじみ量の合計は0.4mm以内であった。
○:はみ出し量とにじみ量の合計は0.4mmを超え、かつ0.6mm以内であった。
△:はみ出し量とにじみ量の合計は0.6mmを超え、かつ1.0mm未満であった。
×:はみ出し量とにじみ量の合計は1.0mm以上であった。
以上の結果を表1、表2に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
表の比較例1の結果より、単層の通常のインキ転写層3で、印刷面2と凹部7の内面8とでNMPの接触角に差がない場合は、上記凹部7内にインキ溜まりとそれに伴う印刷パターンのはみ出しやにじみ等を生じやすいことが判った。
また比較例2の結果より、かかる単層のインキ転写層3の全体を、より親油性の良い樹脂で形成しても、上記インキ溜まりとそれに伴う印刷パターンのはみ出しやにじみ等は改善されないことが判った。
【0088】
また比較例3の結果より、インキ転写層3を表層樹脂層6と支持樹脂層5の2層構造としても、印刷面2と凹部7の内面8とでNMPの接触角の差が5°未満では効果が得られず、依然としてインキ溜まりとそれに伴う印刷パターンのはみ出しやにじみ等を生じやすいことが判った。
さらに比較例4の結果より、表層樹脂層6、支持樹脂層5の2層とした系では、印刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差が5°以上であっても、表層樹脂層6の厚みが0.4mmを超える場合には、やはりインキ溜まりとそれに伴う印刷パターンのはみ出しやにじみ等を生じやすいことが判った。
【0089】
これに対し実施例1〜5の結果より、インキ転写層3を表層樹脂層6と支持樹脂層5の2層構造とした系では、印刷面2と凹部7の内面8とでNMPの接触角の差を5°以上とするとともに、表層樹脂層6の厚みを0.4mm以下とすることで、インキ溜まりとそれに伴う印刷パターンのはみ出しやにじみ等を生じにくくできることが判った。
また実施例1〜5の結果より、上記効果をより一層向上することを考慮すると、刷面2と凹部7の内面8の、NMPの接触角の差は、上記の範囲でも10°以上であるのが好ましく、30°以下であるのが好ましいこと、表層樹脂層6の厚みは、上記の範囲でも0.2mm以下であるのが好ましいことが判った。