(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。
図1は、本実施形態に係る投影装置100の外観斜視図である。なお、本実施形態の投影装置100本体の説明において、左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影方向の前後方向を示すものであり、
図1における斜め右下方向を前方とする。
【0013】
投影装置100は、
図1に示す様に略直方体形状である。投影装置100は、上ケース110と下ケース140による筐体本体と、この筐体本体に脱着可能な左側板117を覆うコネクタカバー150とにより形成される。コネクタカバー150は、左側板117の外周縁を覆うように凹状に形成される。下ケース140の底板141の各種機器や回路基板は、上ケース110により覆われる。投影装置100は、上ケース110の前側板113に正面吸気孔161を、右側板119に排気孔181を有している。また、投影装置100は、背面板115に、背面側吸気孔とスピーカの放音用の孔部を有する。
【0014】
上ケース110の上面板111の後方にはキー/インジケータ部223が設けられる。このキー/インジケータ部223には、電源スイッチキー、投影のオン又はオフを切り替える投影スイッチキーや、電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、光源ユニットや表示素子又は制御回路などが過熱したときに報知をする加熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0015】
この上ケース110の上面板111には、本体の右側から左側のコネクタカバー150に亘って左右方向に延びる略V形状の切込み溝121が形成される。切込み溝121には、投影口125が形成される。投影口125は、斜め前方に画像光を出射可能としている。
【0016】
左側板117には、図示しないが、アナログRGB映像信号が入力される映像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子、音声出力端子、及び、電源アダプタやプラグ等の各種端子(群)が設けられる。なお、左側板117にも、吸気孔が設けられている。
【0017】
つぎに、投影装置100の投影装置制御部等について、
図2の機能ブロック図を用いて述べる。投影装置制御部は、制御部231、入出力インターフェース212、画像変換部213、表示エンコーダ214、表示駆動部216等から構成される。
【0018】
この投影装置制御部により、入出力コネクタ部211から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース212、システムバス(SB)を介して画像変換部213で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ214に出力される。
【0019】
制御部231は、投影装置100内の各回路の動作制御を司るものであって、演算装置としてのCPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0020】
また、表示エンコーダ214は、入力された画像信号をビデオRAM215に展開記憶させた上で、このビデオRAM215の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部216に出力する。
【0021】
表示駆動部216は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ214から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子411を駆動させる。
【0022】
投影装置100は、光源装置250を備える。また、制御部231は、光源制御手段として光源制御回路232を制御している。この光源制御回路232は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光源光が光源装置250から出射されるように、光源装置250の励起光照射装置310及び赤色光源装置350の発光を個別に制御すると共に、ホイール制御部234により緑色光源装置330における蛍光板331(
図3参照)の回転を制御する。
【0023】
投影装置100は、光源装置250から出射される光線束を、表示素子411に照射することにより、表示素子411の反射光で光像を形成し、投影光学系を介してスクリーン等に映像を投影表示する。
【0024】
投影光学系は、可動レンズ群416を有する。可動レンズ群416は、レンズモータ239によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0025】
画像圧縮/伸長部221は、再生時にメモリカード222に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを、画像変換部213を介して表示エンコーダ214に出力し、メモリカード222に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0026】
また、上ケース110に設けられたキー/インジケータ部223からの操作信号は、直後に制御部231に送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号はIr受信部225で受信され、Ir処理部226で復調されたコード信号が制御部231に出力される。
【0027】
制御部231には、システムバス(SB)を介して音声処理部235が接続されている。この音声処理部235は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ236を駆動して拡散放音させる。
【0028】
さらに、制御部231は、冷却ファン駆動制御回路233に光源装置250等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させる。また、制御部231は、冷却ファン駆動制御回路233にタイマー等によって投影装置100本体の電源オフ後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によって投影装置100本体の電源をオフにする等の制御を行う。
【0029】
つぎに、投影装置100の内部構造について述べる。
図3は、投影装置100の内部構造を示す平面模式図である。投影装置100は、背面板115の近傍に主制御回路基板441や電源制御回路基板443を備える。
【0030】
光源装置250は、光源ケース(ケース)50内に緑色光源装置330を有する。また、光源装置250は、導光路として、導光光学系370と光源側光学系380とを備える。なお、
図3では、光源ケース50の上ケースを省略している。
【0031】
励起光照射装置310は、投影装置100の筐体内において右側板119近傍に配置される。励起光照射装置310には、半導体発光素子である複数の青色レーザダイオード312が設けられる。また、各青色レーザダイオード312の光軸上には、青色レーザダイオード312からの出射光を、指向性を高めるように平行光に変換するコリメータレンズ313が配置されている。なお、本実施形態において、青色レーザダイオード312及びコリメータレンズ313は、それぞれ2行6列の合計12個が配置される。
【0032】
コリメータレンズ313の正面には、集光レンズ315が設けられる。集光レンズ315は、各コリメータレンズ313から出射された青色波長帯域光を集光し、拡散板317に導光する。拡散板317は、入射した青色波長帯域光を拡散透過し、緑色光源装置330へ導光する。
【0033】
赤色光源装置350は、赤色光源352と、集光レンズ群353とを備える。赤色光源352は、赤色波長帯域の光を出射する半導体発光素子である赤色発光ダイオードである。赤色光源352は、青色レーザダイオード312の出射光と光軸が平行となるように配置される。集光レンズ群353は、赤色光源352から出射された赤色波長帯域光を集光する。
【0034】
赤色光源装置350の前側板113側には、赤色光源装置350のヒートシンク365が配置される。また、励起光照射装置310の前側板113側には、励起光照射装置310のヒートシンク325が配置される。ヒートシンク325とヒートシンク365との間には冷却ファン327が配置されている。また、ヒートシンク365の左側板117側にも冷却ファン367が配置されている。冷却ファン327,367による冷却風は、励起光照射装置310のヒートシンク325や赤色光源装置350のヒートシンク365に送風される。よって、青色レーザダイオード312及び赤色光源352は、それぞれのヒートシンク325,365により冷却される。
【0035】
緑色光源装置330を構成する蛍光板331は、投影装置100の略中央に配置される。蛍光板331は、円板状に形成され、励起光照射装置310から出射された励起光の光路上に配置される。蛍光板331は、モータ92(
図5参照)により回転駆動される。
【0036】
蛍光板331の励起光照射装置310側には集光レンズ群332が配置され、その反対側である反射ミラー377側にも集光レンズ333(
図5参照)が配置される。
【0037】
集光レンズ群332は、励起光照射装置310から出射されて第一ダイクロイックミラー371を透過した励起光の光線束を、蛍光板331に集光させるとともに蛍光板331から励起光照射装置310方向に出射される蛍光光を集光する。
【0038】
蛍光板331には、光学機能部として蛍光発光領域と透過領域とが周方向に連続して設けられている。蛍光発光領域は、励起光照射装置310から集光レンズ群332を介して集光された光を励起光として受けて、緑色波長帯域の蛍光光を出射する。透過領域は、励起光照射装置310から出射された励起光を透過又は拡散透過させる。
【0039】
蛍光板331の基材には銅やアルミニウム等からなる金属基材を用いることができる。この基材の励起光照射装置310側の表面には、環状の溝が形成される。この溝の底部は、銀蒸着等によってミラー加工がされており、その底部には緑色蛍光体層が敷設されている。また、透過領域には基材の切抜き透光部に透光性を有する透明基材が嵌入される。なお、透過領域として、励起光を拡散透過する領域が配置される場合、切抜き透孔部には表面をサンドブラスト等で微細凹凸を設けた透明基材が嵌入される。
【0040】
蛍光板331の緑色蛍光体層は、励起光照射装置310から出射された青色波長帯域光が照射されると緑色蛍光体が励起されるため、全方位に緑色波長帯域光を出射する。蛍光発光された緑色波長帯域光は、右側板119側へ出射され、集光レンズ群332に入射する。一方、透明領域に入射した励起光照射装置310から出射された青色波長帯域光は、蛍光板331を透過又は拡散透過し、蛍光板331の背面側(換言すれば、左側板117側)に配置された集光レンズ333(
図5参照)に入射する。
【0041】
導光光学系370は、青色波長帯域光、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸に導光する反射ミラーやダイクロイックミラー等を備える。具体的に、導光光学系370は、第一ダイクロイックミラー371、第二ダイクロイックミラー373、第三ダイクロイックミラー375、反射ミラー377、及び複数の集光レンズ379を備える。
【0042】
第一ダイクロイックミラー371は、拡散板317と集光レンズ群332の間に配置される。また、第一ダイクロイックミラー371は、青色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射する。蛍光板331から出射された緑色波長帯域光は、第一ダイクロイックミラー371により反射され、集光レンズ379を介して第二ダイクロイックミラー373に導光される。
【0043】
第二ダイクロイックミラー373は、第一ダイクロイックミラー371から出射された緑色波長帯域光と、赤色光源装置350から出射された赤色波長帯域光とが、交差する位置に配置される。第二ダイクロイックミラー373は、緑色波長帯域光を反射し、赤色波長帯域光を透過する。第一ダイクロイックミラー371から出射された緑色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー373により反射され、左側板117側にある集光レンズ379を介して第三ダイクロイックミラー375に導光される。
【0044】
また、赤色光源装置350から出射された赤色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー373を透過し、緑色波長帯域光と光軸が一致する。その後、赤色波長帯域光は、集光レンズ379を介して第三ダイクロイックミラー375に導光される。
【0045】
一方、励起光照射装置310から出射されて拡散板317によって拡散された青色波長帯域光のうち、蛍光板331の透過領域に入射した青色波長帯域光は、反射ミラー377により反射し、集光レンズ379を介して第三ダイクロイックミラー375に導光される。
【0046】
第三ダイクロイックミラー375は、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光を透過する。よって、第二ダイクロイックミラー373で反射した緑色波長帯域光の光軸、及び第二ダイクロイックミラー373を透過した赤色波長帯域光の光軸は、第三ダイクロイックミラー375で反射し、光源側光学系380の集光レンズ381に入射する。一方、反射ミラー377で反射した青色波長帯域光は、第三ダイクロイックミラー375を透過し、光源側光学系380の集光レンズ381に導光される。
【0047】
このように、青色波長帯域光、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の各光軸は、第三ダイクロイックミラー375で透過又は反射することにより一致する。
【0048】
光源側光学系380は、集光レンズ381、ライトトンネル383、集光レンズ385、照射ミラー387、TIR(Total Internal Reflection)プリズム(全反射プリズム)389を備える。なお、TIRプリズム389は、後述の投影側光学系410の一部でもある。集光レンズ381は、第三ダイクロイックミラー375から出射された光を集光する。集光レンズ381により集光された青色波長帯域光、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、ライトトンネル383に入射する。ライトトンネル383に入射した光線束は、ライトトンネル383により均一な強度分布となる。
【0049】
集光レンズ385は、ライトトンネル383の前側板113側の光軸上に配置される。ライトトンネル383から出射された光線束は、集光レンズ385で集光されて照射ミラー387に照射される。
【0050】
投影側光学系410は、TIRプリズム389、表示素子411、レンズ鏡筒412、非球面ミラー417を有する。照射ミラー387で反射された光線束は、TIRプリズム389に入射し、前側板113側に配置された表示素子411の画像形成面に照射される。表示素子411により形成された画像光は、背面板115側に設けられたレンズ鏡筒412内の固定レンズ群や可動レンズ群416を介して、非球面ミラー417に照射される。
【0051】
非球面ミラー417により反射された画像光は、カバーガラス419(
図1も参照)を介して投影装置100の外部に出射され、スクリーンに投影される。
【0052】
このように投影装置100を構成することで、蛍光板331を回転させるとともに励起光照射装置310及び赤色光源装置350から異なるタイミングで光を出射すると、青色波長帯域光、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光の各光は、導光光学系370を介して光源側光学系380の集光レンズ381、ライトトンネル383等に順次入射し、その後表示素子411に入射する。そのため、投影装置100の表示素子411であるDMDが表示させるデータに応じて各色の光を時分割反射することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0053】
つぎに、本実施形態の緑色光源装置330周辺の構成について
図4〜
図6を用いて説明する。
図4は、
図3のP方向から見た光源装置250の緑色光源装置330周辺の斜視図である。
図5は、
図3の緑色光源装置330のV−V断面図である。また、
図6は、保持部材であるバレル60、支持部材70、伝熱部材94及び放熱部材80の斜視図である。
【0054】
緑色光源装置330は、
図5に示すように、バレル60により支持された複数の集光レンズ332a,332b,333と、モータ92により支持される蛍光板331とを含む。モータ92と蛍光板331とにより光学装置が形成される。緑色光源装置330は、光源ケース50内、及び、光源ケース50の上面に設けられる第二開口部503を覆うカバー52内に配置される。カバー52は、開口縁521にフランジ部522を有し、有底角筒状に形成される(
図4も参照)。また、フランジ部522には、固定用の複数の孔部511が形成される。
【0055】
まず、バレル60について説明する。バレル60は、
図5に示すように、光源ケース50に対して固定される。バレル60は、本体部61、放熱部62、固定部63を有する。
【0056】
本体部61は、略直方体形状に形成される。また、本体部61は、3個のレンズ保持部61a,61b,61cを有する。各レンズ保持部61a〜61cは、励起光照射装置310の出射光が入射してくるX軸負方向に、レンズ保持部61a、レンズ保持部61b、レンズ保持部61cの順に配置される。レンズ保持部61a及びレンズ保持部61bは、それぞれ集光レンズ332a及び集光レンズ332bを保持する。また、レンズ保持部61cは、集光レンズ333を保持する。各集光レンズ332a,332b,333の中心軸は、励起光照射装置310の出射光の光軸と略一致する。このように、本体部61内には光路が形成される。
【0057】
本体部61のレンズ保持部61bとレンズ保持部61cとの間には、溝部611が設けられる。溝部611は、
図5の断面視でモータ92側に開口するように形成される。また、溝部611は、集光レンズ332a,332b,333に入射する励起光照射装置310の出射光の光軸と略垂直な面方向(Y−Z平面方向)に形成される。
【0058】
放熱部62は、本体部61の下面から下方に向かって立設する。放熱部62は、底部62aを有した略角筒状に形成される。また、放熱部62は、光源ケース50の下方に設けられた開口部501内、及び蓋部53の開口部531内に配置され、光源ケース50外部の冷却風を直接当てることが可能に形成される。
【0059】
固定部63は、本体部61のレンズ保持部61c側の上部から延設される。固定部63は、X−Y平面と略平行な板状に溝部611とは反対側へ向けて形成される。
図6に示すように、固定部63の基部側には、開口部631が形成される。固定部63の先端側の上面63aには、2個の位置決突起632a,632bが形成される。2個の位置決突起632a,632bは、励起光照射装置310から集光レンズ332a,332b,333に入射する光の光軸方向に配置される。
【0060】
支持部材70は、放熱部材80側に開口した略枠状に形成される(
図5参照)。
図6に示すように、支持部材70は、基部板71を有する。基部板71の下端からは下支持板72が略直角方向に延設される。
【0061】
基部板71の略中央には、
図5に示したモータ92を固定するための略円形の固定孔711が形成される。固定孔711の内縁には、複数の切欠部711aが形成される。モータ92は、
図4に示す複数の螺子712により切欠部711aに締結されることで、固定される。
【0062】
下支持板72には、2個の貫通孔721と3個の長孔722a,722b,723が形成される。3個の長孔722a,722b,723は、2個の貫通孔721の内側に設けられる。各長孔722a,722b,723の長手方向は、蛍光板331の面と略直角方向に、すなわち励起光照射装置310から出射される光の光軸方向に形成される。長孔722aと長孔722bとの間に設けられる中央の長孔723は、長孔722a及び長孔722bよりも長く形成される。
【0063】
長孔723には、バレル60の固定部63上に配置された位置決突起632a,632bが挿通される。これにより、支持部材70は、励起光照射装置310から出射される光の光軸方向に移動可能としつつその光軸方向と垂直で上面63aと平行な方向への移動が規制される。支持部材70の位置は、長孔722a,722bに挿通された螺子を、固定部63の螺子孔633a,633bに螺入することで固定される。よって、支持部材70の位置をバレル60に対し調整して固定することで、支持部材70はバレル60を介して光源ケース50に固定される。
【0064】
また、基部板71の上端からは上支持板731,732が基部板71と略直角方向に延設される。下支持板72と上支持板731は、同方向に形成される。一方、上支持板732は、基部板71から上支持板731と反対方向に形成される。
【0065】
一方の上支持板731は、他方の上支持板732よりも幅広に形成される。上支持板731には螺子孔731aが形成される。また、上支持板732にも螺子孔732aが形成される。上支持板731と上支持板732の上面は略同一平面上に形成され、この上面には基板91が載置される(
図4及び
図5参照)。基板91は、略対角位置に設けられた貫通孔(不図示)に挿通された螺子が、螺子孔731a,732aに螺入されることにより固定される。
【0066】
基板91には、モータ92を制御するための制御回路が形成されている。基板91には、図示しないケーブルが接続されて、主制御回路基板441等と制御信号の送受信を行う。
【0067】
放熱部材80は、光源ケース50の上面50aに配置される(
図5参照)。
図6で、放熱部材80は板状に形成される。放熱部材80は、光源ケース50に固定される固定部81と、固定部81から伝達された熱を放熱させるフィン82とを有する。固定部81は、中央側に第一開口部81aを有した略四角枠状に形成され、四隅に円形に貫通した孔部811a〜811dを有する。固定部81は、光源ケース50の上面50aから立設する位置決突起502(
図5では一部のみ図示)が挿通される位置決孔部812a,812bを有する。位置決孔部812bは、長孔として形成される。
【0068】
第一開口部81aの内縁81a1には、熱伝達部83が形成される。熱伝達部83は、略矩形状に形成され、一部が第一開口部81aの内側へ突出する突出部831を有する。また、熱伝達部83は、上面83a側が縁部81a1周辺を含めて下方へ窪んだ凹状に形成される(
図5も参照)。一方で、熱伝達部83は、下面83b側が縁部81a1周辺を含めて下方へ突出した凸状に形成される。熱伝達部83と固定部81との境界縁832には、略円形の2個の貫通孔832a,832bが形成される。貫通孔832a,832b内には、支持部材70をバレル60に固定する際に、長孔722a,722bを介して螺子孔633a,633bに螺入される螺子の頭部が固定部81と干渉しないように収容される。
【0069】
フィン82は、固定部81の端縁から接続部821を介して延設される。フィン82と固定部81とは、略平行に形成される。接続部821は、固定部81及びフィン82に対し略垂直に接続される。フィン82は略矩形状であり、一方の先端角部には切欠部822を有する。
【0070】
図4に示すように、フィン82の下面82aと光源ケース50との間には接続部821を設けたことにより間隙が形成される。この間隙によりフィン82を冷却するための冷却風の流路S1が形成される。また、フィン82の上面82b側にも、
図1に示した投影装置100の上ケース110内壁との間に、冷却風の流路S2が形成される。
【0071】
放熱部材80の固定部81の孔部811a,811bと、カバー52の孔部511に挿入された螺子は、光源ケース50の螺子孔(不図示)に螺止固定される。これにより、カバー52は、光源ケース50に対し固定される。また、放熱部材80は、第一開口部81aの周縁が、フランジ部522と、光源ケース50の第二開口部503の周縁とにより挟持されるように配置されて、カバー52とともに共締めされることで光源ケース50に対し固定される。
【0072】
放熱部材80と支持部材70との間には、サーマルシート等の伝熱部材94が配置される。伝熱部材94は、放熱部材80と支持部材70により挟持される。この挟持される方向は、支持部材70の位置調整が可能な方向と垂直な方向(本実施形態では光路と垂直な方向であるZ軸方向)である。これにより、支持部材70は、伝熱部材94を介して放熱部材80と接続される。また、伝熱部材94は、熱伝導性の可撓性部材により形成される。伝熱部材94は、例えば、樹脂及びゴム等の可撓性があり、電気絶縁性及び耐熱性のある材料が用いることができる。よって、下支持板72と熱伝達部83により伝熱部材94を挟持させる際、伝熱部材94が下支持板72と熱伝達部83の接触面に沿うように変形するため、接触面積を広くすることができ、伝熱効果を高めることができる。また、熱伝達部83は凸状のため、熱伝達部83以外にはみ出した伝熱部材94が熱伝導の不要な領域へ過剰に広がることを防止することができる。
【0073】
なお、放熱部材80の方が光源ケース50よりも高温の場合、支持部材70から熱伝達部83を介して移動してきた放熱部材80の熱は、本実施形態のようにフィン82と光源ケース50の両方から放熱されるため高い放熱効果を得ることができる。一方で、光源ケース50の方が放熱部材80よりも高温の場合、光源ケース50と放熱部材80の間で熱移動が容易であると、放熱部材80の温度を上昇させてしまい、モータ92や蛍光板331の放熱効果の効率を低下させてしまう。よって、この場合、熱伝導性の低い断熱部材を放熱部材80と光源ケース50との間に設ける。断熱部材は、光源ケース50の第二開口部503と第一開口部81aの周縁を封止するよう枠状に形成される。これにより、光源ケース50から放熱部材80への熱移動を遮断して放熱部材80を熱流路として独立させ、モータ92側から移動してくる熱を効率良く放熱部材80のフィン82側へ伝達させることができる。断熱部材としては、例えば、シリコン、ポリエチレンテレフタレート(PET)を適用することができる。また、放熱部材80と光源ケース50との間に断熱部材を設けることにより、防塵効果を得ることができる。
【0074】
また、本実施形態では、バレル60と支持部材70を別体とした場合について示したが、バレル60と支持部材70を一体としてもよい。これにより、モータ92と蛍光板331を、集光レンズ332a,332b,333とともに一体の保持部材に対して固定させることができ、蛍光板331と集光レンズ332a,332b,333との位置調整を不要とすることができる。また、バレル60と支持部材70を一体とした場合、モータ92及び蛍光板331は、蛍光板331がバレル60の溝部611と干渉しない方向から侵入させてバレル60へ固定する構造とすることができる。
【0075】
また、光学装置がモータ92と蛍光板331を含む構成について説明したが、光源装置250の構成によっては、光学装置は他の構成を備えてもよい。例えば、蛍光板331は特定波長の光を遮光するカラーフィルタを含むカラーホイールとしてもよいし、蛍光板331の蛍光体層は緑色以外の他の色の蛍光光を出射する蛍光体層としてもよい。また、光学装置は、モータ92を含まず、固定された蛍光板、拡散板、偏光板、反射ミラー等の光学部材を含む構成としてもよい。
【0076】
また、接続部821から延設されるフィン82は、放熱効果を高めるために複数枚設ける構成としてもよい。
【0077】
以上、本実施形態において、支持部材70は、モータ92の支持位置と、光源ケース50におけるバレル60の固定位置との間に、放熱部材80への熱流路を有する構成とした。そのため、冷却対象であるモータ92の熱は、光源ケース50におけるバレル60の固定位置よりも手前の位置(すなわちモータ92側の位置)で、放熱させることができることができるため、従来よりも放熱効果を得ることができる。また、モータ92が取り付けられる支持部材70は、位置調整方向である励起光照射装置310の出射光の光軸方向に対して調整されて固定される。一方、伝熱部材94が挟持される際の放熱部材80の押圧方向は、その支持部材70の位置調整方向と略垂直な方向である。よって、伝熱部材94の設置による蛍光板331の位置ずれの発生を抑えることができる。また、放熱部材80を、光源ケース50の第二開口部503の周縁を封止するようにカバー52とともに固定する構成としたため、防塵性を確保することができる。また、モータ92の放熱のための熱流路を、モータ92の比較的近くに設けて放熱する構成としたため、モータ92の温度上昇を低減させることができる。
【0078】
本実施形態の光源装置250は、光学装置(蛍光板331とモータ92)を支持する支持部材70と、支持部材70を固定する光源ケース50と、光源ケース50に固定される放熱部材80と、支持部材70と光源ケース50との間に配置される伝熱部材94と、を備える。よって、冷却対象の光学装置と、支持部材70が固定される光源ケース50との距離が遠い場合であっても、光源装置250及び投影装置100の放熱性を向上させることができる。
【0079】
また、伝熱部材94が、放熱部材80と支持部材70により挟持される光源装置250は、伝熱部材94が下支持板72と熱伝達部83の接触面に沿うように変形するため、接触面積を広くすることができ、伝熱効果を高くすることができる。
【0080】
また、伝熱部材94が、支持部材70の位置調整方向と垂直な方向に挟持される光源装置250は、光学部材に入射する光の光軸方向に対する位置ずれを防止しつつ、伝熱部材94を配置させることができる。
【0081】
また、放熱部材80が、支持部材70側に突出して伝熱部材94と接する熱伝達部83を有する光源装置250は、伝熱部材94を熱伝導させたい領域に確実に接触させることができる。また、熱伝導の不要な領域に伝熱部材94が過剰に広がることを防止することができる。
【0082】
また、開口縁にフランジ部522を有する有底筒状のカバー52を備え、熱伝達部83が、放熱部材80の第一開口部81aの内縁に形成され、第一開口部81aの周縁が、フランジ部522と、光源ケース50の第二開口部503の周縁とにより挟持される、光源装置250は、光源ケース50から突出してカバー52により覆われた光学部材を、防塵機能を低下させることなく放熱部材80を配置させて放熱効果を高めることができる。
【0083】
また、支持部材70は、光学部材(集光レンズ332a,332b,333)を保持する保持部材(バレル60)を介して、光源ケース50に固定される光源装置250は、支持部材70の光学部材と、保持部材の他の光学部品との位置調整を、個別に行うことができる。よって、支持部材70や保持部材の加工精度が十分でない場合であっても、位置調整工程により組み付け精度の高い光源装置250を構成することができる。また、保持部材を先に光源ケース50に固定させ、その後に支持部材70の位置調整を行うこともできるため、支持部材70に支持される蛍光板331の位置を、励起光照射装置310から光を出射させる等しながら精度よく調整することができる。
【0084】
また、光学部材は、集光レンズ332a,332b,333であり、光学装置は、蛍光板331と、該蛍光板331の光学機能部(蛍光発光領域、透過領域)を集光レンズ332a,332b,333の光軸上に移動可能なモータ92とを含む、光源装置250は、冷却機構を直接取り付けることができない蛍光板331の光学機能部を、集光レンズにより集光された光の光路上に配置させることができる。モータ92は高速回転しているため、騒音を発生させる。この騒音は、蛍光板331から発生した熱がモータ92に伝わり、モータ92の温度が上昇することにより、増加することがある。よって、モータ92の放熱機能を向上させることにより、モータ92から発生する騒音も低減させることができる。
【0085】
また、放熱部材80は、光源ケース50との間に間隙を設けて配置されるフィン82を有する光源装置250は、放熱部材80の表側(上面82b側)及び裏側(下面82a側)に冷却風の流路を確保することができるため、放熱機能を高めることができる。
【0086】
また、光源ケース50と放熱部材80との間に挟持される断熱部材を備える光源装置250は、放熱部材80の温度よりも、光源ケース50の温度の方が高い場合であっても、放熱部材80に冷却対象部材以外の部材から熱が流入するのを防ぐことができ、冷却対象部材の温度の放熱機能の低下を防ぐことができる。
【0087】
以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0088】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 光学装置を支持する支持部材と、
前記支持部材を固定し、第二開口部が形成されるケースと、
前記ケースに固定され、前記第二開口部と対応する第一開口部が形成され、前記第一開口部内に突出する熱伝達部を有する放熱部材と、
前記放熱部材の前記熱伝達部と前記支持部材とにより狭持される伝熱部材と、
を備えることを特徴とする光源装置。
[2] 前記伝熱部材は、前記支持部材の位置調整方向と垂直な方向に挟持されることを特徴とする上記[1]に記載の光源装置。
[3] 前記放熱部材は、前記ケースとの間に間隙を設けて配置されるフィンを有することを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の光源装置。
[4] 前記熱伝達部は、前記支持部材側に突出して前記伝熱部材と接することを特徴とする上記[1]乃至上記[3]の何れかに記載の光源装置。
[5] 開口縁にフランジ部を有する有底筒状のカバーを備え、
前記放熱部材の前記第一開口部の周縁は、前記カバーの前記フランジ部と、前記ケースの前記第二開口部の周縁とにより挟持される、
ことを特徴とする上記[4]に記載の光源装置。
[6] 前記支持部材は、光学部材を保持する保持部材を介して、前記ケースに固定されることを特徴とする上記[1]乃至上記[5]の何れかに記載の光源装置。
[7] 前記光学部材は、集光レンズであり、
前記光学装置は、蛍光板と、該蛍光板の光学機能部を前記集光レンズの光軸上に移動可能なモータとを含む、
ことを特徴とする上記[6]に記載の光源装置。
[8] 前記ケースと前記放熱部材との間に挟持される断熱部材を備えることを特徴とする上記[1]乃至上記[7]の何れかに記載の光源装置。
[9] 上記[1]乃至上記[8]の何れか記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記表示素子と前記光源装置を制御する制御部と、
を有することを特徴とする投影装置。