(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、前述した関連技術の方法でレンズの貼り合せを行った場合、以下のような課題が生じる。
【0017】
特許文献2では、真空チャンバを有し、減圧下で表示パネルと光学基板との貼り合せをする減圧貼り合せ装置が開示されている。このようなレンチキュラレンズ基板からなる光学シートとパネル基板との貼り合せにおいて、特許文献1に示されるマーク読み取り方法(間接アライメント)を適用すると、以下のような構成が考えられる。
【0018】
光学シートをその貼り合せ面を下向きにして上テーブルで保持し、パネル基板をその貼り合せ面を上向きにして下テーブルで保持する。真空チャンバ内の真空排気を実施した後に、間隔をおいて水平に配置されている上テーブルと下テーブルとの隙間に、位置測定用カメラを挿入することにより、光学シートの位置合せマークの下へ位置測定用カメラを配置する。そして、上基板と上テーブルとの接触部に光を照射し、位置合せマークからの反射光を撮像し読み取る。次いで、表示パネルの位置合せマークを読み取って、下テーブルに付設された水平方向(XYθ方向)の移動可能機構によって、上基板と下基板の位置合せを行う。最後に、上テーブルを駆動モータによって下降させて、上下基板の密着貼り合せを行う。
【0019】
この構成のポイントは、特許文献4に示される耐真空用カメラを位置測定用カメラとして用い、その位置測定用カメラを上下テーブルの隙間に挿入し、位置合せマークの反射光を撮像し読み取ることである。しかしながら、この構成による機構には、以下のような課題が生じる。
【0020】
位置測定用カメラとして用いる、特許文献4に示される真空環境下に耐えるカメラは、ステンレス鋼で構成したカメラ筐体や、コネクタ及びコネクタを覆うジャケットなどの特別な外装や配線が必要となる。したがって、そのようなカメラは、一般的な大気中で使用されるカメラよりも複雑な構造であるため高額であり、複数台使用する場合に更にコストアップが大きくなる。
【0021】
また、上下テーブルの隙間に位置測定用カメラを挿入する構成上、位置測定用カメラを水平方向(XY)に移動させる高精度のXY搬送機構が真空チャンバ内に追加して必要となる。この真空中で使用される搬送機構は、大気中で使用される搬送機構に比べて放熱しにくくなるので、放熱性能及び耐熱性能を確保するためのコストアップが大きくなる。
【0022】
更に、このカメラの搬送機構の移動ストロークは、少なくとも上テーブルの平面寸法よりも大きくなる。なぜなら、上テーブルが貼り付けの動作で上下動する際に、カメラが邪魔にならないように、カメラを上テーブルから退避させる必要があるからである。これにより、上テーブルより平面寸法の大きい搬送機構が、上テーブルの周囲に構築されることになる。このことから、搬送機構を収める真空チャンバは、前述した特許文献2の場合よりもかなり大きくなってしまう。真空チャンバが大きくなることは、貼り合せ装置全体が大きくかつ重くなることに繋がり、装置フレームの大型化や剛性アップ対策も必要になり、コストアップだけでなく設置スペースも大きくなる。
【0023】
これらの対策として、次の改善策1が考えられる。これは、特許文献5の
図20及び
図21に開示されているように、一般的な大気中で使用するカメラを位置測定用カメラとして用い、この位置測定用カメラを大気中で移動させる搬送機構を採用する案である。この改善策1について以下に説明する。
【0024】
真空チャンバ内には、上テーブル及び下テーブルが上下に対向するように間隔をおいて水平に配置されている。真空チャンバの横には、複数台の位置測定用カメラを腕状支持体の先端に設けた、スカラー型ロボット又はXY水平方向の直行ロボット等によるカメラ搬送機構が設けられている。真空チャンバのドアバルブを開き、表示パネル及び光学基板を真空チャンバ内に搬入し、光学基板をその貼り合せ面を下向きにして上テーブルで保持し、パネル基板をその貼り合せ面を上向きにして下テーブルで保持する。パネル基板の搬入が完了すると、上下テーブルが上下に対向するように間隔をおいた状態で、ドアバルブの開口部からカメラ搬送機構を挿入し、光学基板の位置合せマークの下へ位置測定用カメラを配置する。そして、上基板と上テーブルとの接触部に光を照射し、位置合せマークからの反射光を撮像し読み取る。次いで表示パネルの位置合せマークを読み取る。位置合せマークの読み取りが終了すると、ドアバルブの開口部からカメラ搬送機構を引き出して位置測定用カメラを真空チャンバの横に出す。続いて、ドアバルブを閉めて、真空チャンバ内の真空排気を行い、下テーブルに付設された水平方向(XYθ方向)の移動可能機構により、上基板と下基板との位置合せを行う。位置合せの後に上テーブルを駆動モータによって下降させて、上下基板の貼り合せを行う。貼り合せが完了した基板は、真空チャンバのゲートバルブを開き、搬送機構により真空チャンバから搬出する。
【0025】
この改善策1のポイントは、複数台の位置測定用カメラを腕状支持体の先端に有する、スカラー型ロボット又はXY水平方向の直行ロボット等によるカメラ搬送機構を、真空チャンバの横に設け、大気圧中で位置合せマークの読み取りを行うことである。これにより、上記した耐真空用カメラや真空中で使用する搬送機構を採用する必要がなくなるので、これらに関わるコストアップ及び設置スペース拡大に、ある程度の効果が期待される。
【0026】
しかしながら、この改善策1では、貼り合せ精度をμmオーダーに収めることが困難である。つまり、位置測定用カメラを先端に有する腕状支持体は、その支点が真空チャンバの外に有る片持ち構造となる。そのため、カメラ搬送機構に伝わる周囲の振動よって位置測定用カメラに位置ブレや焦点ズレが発生し、位置合せ精度が悪化してしまうのである。
【0027】
以上から、特許文献2で示される減圧貼り合せ装置は、レンチキュラレンズ基板からなる光学シートと表示パネル基板との貼り付けにおいて、コストアップや設置スペース拡大や貼り合せ精度悪化などの課題が残る。
【0028】
一方、特許文献1では、レンチキュラレンズ基板からなる光学シートのレンズマークの形成及びマーク読み取り方法、並びに光学シートと表示パネルの貼り合せ方法が開示されている。この光学シートと表示パネルの貼り合せ方法は、特許文献1の段落0054、
図1[C]及び
図8[B]に示されるように、レンチキュラレンズ基板からなる光学シートを表示パネルに貼り合せる際に、シート保持ヘッドを表示パネルに対して傾けて貼り合せるものである。しかしながら、端部から始まる貼り合せが進むにつれて、シート保持ヘッドと表示パネルとのなす接触角度が次第に小さくなるため、貼り合せが終了する直前に気泡が入り込むおそれがあり、大きな光学シートになればなるほど気泡の入り込みの発生率が高くなると予想される。
【0029】
また、特許文献1の段落0061〜0063及び
図10には、円弧状の保持面を持つシート保持ヘッドを用いて、保持した光学シートを表示パネルに接触させ、シート保持ヘッドの回転軸を回転させつつ、その回転と同期するように表示パネル又は回転軸自身を相対運動させることで、光学シートの端部から反対側の端部に向かって連続的に、光学シートを表示パネルに貼り合せる方法も開示されている。この方法では、光学シートと表示パネルとのなす接触角度が貼り合せの始めから終了まで常に一定の角度となるので、前述した貼り合せが終了する直前に気泡が入り込むおそれが無いと期待される。しかしながら、前記円弧状の保持面には、曲げに支障が無い材料からなるフィルムシート状の光学シートであれば、保持させることが可能であるが、高剛性の材料による光学シートを保持させることは困難である。例えば、ガラスのような透明板材を基材とするレンチキュラレンズ基板からなる光学シートは、この方法では貼り合せが困難である。
【0030】
そこで、特許文献1の実施形態1で示されるシート保持ヘッド及びパネルステージに対して、真空チャンバと真空排気系統を追加し、大気圧より低い減圧下にて貼り合せる、次の改善策2が考えられる。
【0031】
具体的には、真空チャンバは立方体の真空チャンバを上下に二分割した一対からなる分割構造となっており、シート保持ヘッドは真空チャンバの片方の上側のチャンバ(上真空チャンバ)の内側に配置し、パネルステージはもう片方の下側のチャンバ(下真空チャンバ)の内側に配置し、下真空チャンバの側面に真空排気系統を設ける構成とする。そして、貼り合せる工程は、光学シートと表示パネルとの貼り合せる工程(特許文献1の段落0033の工程106を参照)に、シート保持ヘッドとパネルステージが上下に接近した際、上真空チャンバと下真空チャンバとが接触して一つの真空チャンバとして閉空間を形成した後、真空排気により真空チャンバ内(シート保持ヘッドとパネルステージの周囲)を減圧してから貼り合せる工程を追加した。
【0032】
この改善策2により、上記のガラスのような透明板材を基材とするレンチキュラレンズ基板からなる光学シートの貼り合せが可能になると期待される。また、追加した真空チャンバは、その内側がシート保持ヘッド及びパネルステージの平面寸法より若干大きければ良い。したがって、改善策2による設置スペースの拡大は比較的少ないと見積もられる。
【0033】
しかしながら、この改善策2で追加する真空チャンバは、上下に二分割した分割構造であるため、一体構造の真空チャンバと比較して、上下に二分割した部位の剛性が劣ってしまうという構造上の課題がある。すなわち、下真空チャンバの側面に真空排気系統の配管機器を設けることにより、減圧時の大気圧による圧縮力が下真空チャンバの側面(水平方向)に働くせん断力となるので、下真空チャンバの変形を引き起こす。下真空チャンバの変形はパネルステージの位置ずれとなり、更にこのせん断力がパネルステージの水平搬送機構の位置決め精度を悪化させる。特に真空排気方向が貼り合せ精度が要求される方向と概ね一致する場合は、例えばOCRのような接着剤の硬化プロセス前後に真空排気によって、貼り合せ精度を悪化させてしまう。
【0034】
また、特許文献1に示された間接アライメントの場合、光学基板及び表示パネルの各マークを別々に撮像する必要がある。例えば、本願の
図20[B]に示したような光学基板を撮像する際に、撮像カメラが固定位置に存在する場合は、光学基板内の複数箇所のマークを撮像するために、光学基板を移動させながら撮像する工程や高精度の搬送機構が必要となる。これは、搬送機構の追加による装置フレームの大型化にもつながり、コストアップだけでなく設置スペースも大きくなる課題がある。
【0035】
更に、搬送機構において、それぞれの機構には必ず位置決め精度と言われる位置のズレ(誤差)が存在する。それは、貼り合せ精度に関わる搬送機構の数が増えれば増えるほど、搬送機構の位置ずれ(誤差)が累積されて、次第に貼り合せ精度が悪化することを意味する。本貼り合せ装置はμmオーダーでの貼り合せ精度が要求されていることから、その精度の実現や維持には搬送機構の数ができるだけ少ない装置構成とすることが望まれている。
【0036】
特許文献6、7、8では、光学基板と表示パネルが平行に間隔を空けて対向する状態で基板のマークを撮像する手段を備えた、直接アライメント法を用いた構成が示されている。これは、前述したように基板として光学基板を適用した場合、パネルマークの位置が光学基板上の光学素子(レンチキュラレンズなど)による屈折作用によって変化して観察されるため、精度確保の点においては間接アライメントに劣る。
【0037】
更に、特許文献3、6、7及び特許文献8の実施形態2に開示された技術では、真空チャンバを貫通する透光性ガラスの窓をマーク撮像位置に応じて設ける必要があり、パネルサイズを変更する場合に透光性ガラスの追加や窓の大きさの修正を伴うため、コストアップとなる。特許文献8の実施形態1においては、真空チャンバ内にカメラを設けることにより真空チャンバに透光性ガラスを設けない構成が開示されているが、特許文献4の説明で述べたように、真空環境下に耐えるカメラは高額である。また、特許文献8の実施形態3は、大気圧環境下にて貼り合せを行う構成を示しているが、OCAと呼ばれる粘着フィルムを貼り合せ材料とした場合は、前述したように光学基板と表示パネルとの間に気泡が入り込むおそれがある。
【0038】
更に特許文献7に開示された技術においては、その
図4に示されるようにレンズピッチ方向と真空排気方向とが一致している。しかし、レンズピッチ方向は貼り合せ精度が要求される方向であるため、この技術では前述したように真空排気により貼り合せ精度が悪化する。
【0039】
そこで、本発明の目的は、二枚の基板を貼り合せる際に、低コストかつ省スペースでありながらも、高精度に貼り合せることを可能にする基板貼り合せ装置及び基板貼り合せ方法を提供するととともに、この基板貼り合せ装置又は基板貼り合せ方法を用いて製造した高画質な立体表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明に係る基板貼り合せ装置は、
第一の開口を有する第一の真空チャンバと、
この第一の真空チャンバの前記第一の開口内に設けられ、第一の基板を保持する第一のテーブルと、
第二の開口を有する第二の真空チャンバと、
この第二の真空チャンバの前記第二の開口内に設けられ、第二の基板を保持する第二のテーブルと、を備え、
前記第二の開口に前記第一の開口が向き合って形成された閉空間を減圧して、基板を貼り合せる基板貼り合せ装置において、
前記第一の真空チャンバ又は前記第二の真空チャンバに接続され、前記閉空間を減圧排気する真空排気部を更に備えたものであり、
前記第一の基板と前記第二の基板とを貼り合せる際に、貼り合せ精度を優先する方向が存在する場合において、この方向を貼り合せ精度優先方向と定義すると、
前記真空排気部による減圧排気方向が前記貼り合せ精度優先方向とは異なる方向である。
【0041】
本発明に係る基板貼り合せ方法は、
第一の開口を有する第一の真空チャンバと、
この第一の真空チャンバの前記第一の開口内に設けられ、第一の基板を保持する第一のテーブルと、
第二の開口を有する第二の真空チャンバと、
この第二の真空チャンバの前記第二の開口内に設けられ、第二の基板を保持する第二のテーブルと、
前記第二の開口に前記第一の開口が向き合って閉空間を形成可能なように、前記第一の真空チャンバを移動させる移動機構部と、
前記第一の真空チャンバの前記第一の開口の外側に付設された撮像部と、
を備えた基板貼り合せ装置を用い、
前記移動機構部によって前記第一の真空チャンバとともに前記撮像部を移動させ、
前記第二のテーブルに保持された前記第二の基板を前記撮像部によって撮像することにより、前記第二の基板の位置情報を取得し、
取得した前記第二の基板の位置情報に基づき、前記第一のテーブルに保持された前記第一の基板を前記第二の基板に貼り合せる、
ものである。
【0042】
本発明に係る立体表示装置は、本発明に係る基板貼り合せ方法を用いてよって製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、真空排気部による減圧排気方向が貼り合せ精度優先方向とは異なる方向であるという構成により、省スペース化かつ機械部品削減による低コスト化及び高精度化を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については同一の符号を用いる。図面に描かれた形状は、当業者が理解しやすいように描かれているため、実際の寸法及び比率とは必ずしも一致していない。
【0046】
明細書の構成要素は特許請求の範囲の構成要素の一例であり、それらの対応関係は次のとおりである。レンチキュラレンズ基板50は「光学基板」、下真空チャンバ100は「第一の真空チャンバ」、下定盤XYθ微動機構110は「精度確保機構」、下テーブル112は「第一のテーブル」、下基板113は「第一の基板」、上基板用カメラ群120は「撮像部又は第一の撮像部」、Y軸サーボ機構130は「移動機構部」、上真空チャンバ200は「第二の真空チャンバ」、上テーブル212は「第二のテーブル」、上基板213は「第二の基板」、下基板用カメラ群220は「第二の撮像部」、真空排気着脱機構300及び真空排気口310は「真空排気部」、のそれぞれ一例である。
【0047】
<実施形態1>
図1は、実施形態1における基板貼り合せ装置10の構成の一例を示す。
図1[A]はZ軸方向からXY平面を見た上面図であり、
図1[B]はX軸方向からYZ平面を見た側面図である。
【0048】
本実施形態1の基板貼り合せ装置の概要を説明する。基板貼り合せ装置(10)は、第一の開口(101)を有する第一の真空チャンバ(100)と、第一の真空チャンバ(100)の第一の開口(101)内に設けられ、第一の基板(113)を保持する第一のテーブル(112)と、第二の開口(201)を有する第二の真空チャンバ(200)と、第二の真空チャンバ(200)の第二の開口(201)内に設けられ、第二の基板(213)を保持する第二のテーブル(212)と、第二の開口(201)に第一の開口(101)が向き合って閉空間(600、
図6[A]等)を形成可能なように、第一の真空チャンバ(100)を移動させる移動機構部(130)と、第一の真空チャンバ(100)の第一の開口(101)の外側に付設されることにより、移動機構部(130)によって第一の真空チャンバ(100)とともに移動し、第二のテーブル(212)に保持された第二の基板(213)を撮像することにより、第二の基板(201)の位置情報を得る撮像部(120)と、撮像部(120)によって得られた第二の基板(213)の位置情報に基づき、第一のテーブル(112)に保持された第一の基板(113)を第二の基板(213)に貼り合せる制御部(700、
図9[B])と、を備えたものである。
【0049】
本実施形態1の基板貼り合せ方法の概要を説明する。本実施形態1の基板貼り合せ方法は、第一の開口(101)を有する第一の真空チャンバ(100)と、第一の真空チャンバ(100)の第一の開口(101)内に設けられ、第一の基板(113)を保持する第一のテーブル(112)と、第二の開口(201)を有する第二の真空チャンバ(200)と、第二の真空チャンバ(200)の第二の開口(201)内に設けられ、第二の基板(213)を保持する第二のテーブル(212)と、第二の開口(201)に第一の開口(101)が向き合って閉空間(600、
図6[A]等)を形成可能なように、第一の真空チャンバ(100)を移動させる移動機構部(130)と、第一の真空チャンバ(100)の第一の開口(101)の外側に付設された撮像部(120)と、を備えた基板貼り合せ装置(10)を用い、
移動機構部(130)によって第一の真空チャンバ(100)とともに撮像部(120)を移動させ、第二のテーブル(212)に保持された第二の基板(213)を撮像部(120)によって撮像することにより、第二の基板(201)の位置情報を取得し、
取得した第二の基板(213)の位置情報に基づき、第一のテーブル(112)に保持された第一の基板(113)を第二の基板(213)に貼り合せる、というものである。
【0050】
以下、本実施形態1の基板貼り合せ装置及び基板貼り合せ方法の詳細を説明する。
【0051】
下真空チャンバ100及び上真空チャンバ200は、Y軸方向に沿って配置され、かつ下真空チャンバ100のZ値よりも上真空チャンバ200のZ値が大きくなるように配置されている。下真空チャンバ100はY軸サーボ機構130に接続され、上真空チャンバ200はZ軸サーボ機構230に接続されている。Y軸サーボ機構130は、高精度ボールネジ、高精度ガイドレール及びサーボモータとリニアスケール等の高精度測長器とからなる高精度搬送機構を用いることができ、その位置決め精度が数μm以内となる機器を選定することが望ましい。
【0052】
下真空チャンバ100はY軸方向のみの移動が可能で、上真空チャンバ200はZ軸方向のみの移動が可能である。つまり、下真空チャンバ100及び上真空チャンバ200は、X軸側への移動を不要とした一軸移動構成となっている。また、上記機器及び後述の機器も含めた全ての機器は、架台150の上に構築されている。
【0053】
下真空チャンバ100の内側には精度確保機構として下定盤XYθ微動機構110が配置され、その上には下テーブル112が配置されている。下テーブル112は、下基板113を吸着又は粘着によって固定する基板固定機構を有する。下基板113としては表示パネルを用いることができる。
【0054】
また、
図1[A]に例示したように、必要に応じてUV照射機構114も設けることができる。UV照射機構114は、下定盤XYθ微動機構110の横に少なくとも二か所以上設けられ、下テーブル112の側面に対してUV光を水平に照射する。各UV照射機構114は各々の間隔を調整及び固定することができる。
【0055】
下真空チャンバ100の外側(常に大気圧となる面)には、上基板用カメラ群120が設けられている。上基板用カメラ群120は、左上基板用カメラ120aと右上基板用カメラ120bとの二つのカメラによって構成されている。左上基板用カメラ120a及び右上基板用カメラ120bは、それぞれ下真空チャンバ100の側面に設けられた左右移動機構(図示せず)によって保持され、X軸方向に微動することができる。左上基板用カメラ120a及び右上基板用カメラ120bの撮像の向きは、Z軸の値が大きくなる方向であり、かつ下真空チャンバ100の外側である。
【0056】
上記した構成は、次のように言い換えることができる。第一の真空チャンバ(100)は、第二の真空チャンバ(200)との間で閉空間(600、
図6[A]等)を形成するための移動機構部(130)を有する。第一の真空チャンバ(100)は、第一の真空チャンバ(100)の閉空間(600、
図6[A]等)を形成しない外側に、第二の基板(213)の位置情報を読み取る第一の撮像部(120)を有する。第一の撮像部(120)は、第一の真空チャンバ(100)の閉空間(600、
図6[A]等)を形成しない位置で第二の基板(213)のマークを撮影し、この撮影画像から位置情報を抽出する機能を有する。
【0057】
上真空チャンバ200と下真空チャンバ100との接触部には、両チャンバ接触後の気密性を確保するために、ゴム又は樹脂製のOリング状のシールを設けておくことが望ましい。上真空チャンバ200の内側には上定盤加圧機構210が配置され、その上には上テーブル212が配置されている。上テーブル212は、上基板213を吸着又は粘着によって固定する基板固定機構を有する。上基板213としては、レンチキュラレンズ基板などの光学基板を用いることができる。
【0058】
基板貼り合せ装置10は、下基板用カメラ群220、真空排気着脱機構300、真空排気ポンプ(図示せず)などを更に備えている。
【0059】
下基板用カメラ群220は、位置Y2に配置され、左下基板用カメラ220a及び右下基板用カメラ220bの二つのカメラによって構成されている。左下基板用カメラ220a及び右下基板用カメラ220bは、それぞれ左右移動機構(図示せず)によって保持される。左下基板用カメラ220a及び右下基板用カメラ220bの撮像の向きは、Z軸の値が小さくなる方向である。
【0060】
真空排気着脱機構300は、真空排気ポンプ(図示せず)に接続され、かつエアーシリンダなどの水平移動機構を含み、下真空チャンバ100の側面に設けられた真空排気口310に対して着脱できる構造となっている。真空排気口310は、真空排気着脱機構300の装着時の気密性確保のため、例えばOリング付のフランジ口を有する。真空排気着脱機構300は、真空排気口310のフランジ口と同一寸法のフランジ口を持つ。真空排気着脱機構300をエアーシリンダによって真空排気口310に水平に押し付けることにより、前記Oリングの変形密着による気密性を確保する。
【0061】
上基板213にレンチキュラレンズ基板、下基板113に表示パネルを用いた場合について、上基板213と下基板113との適切な配置を、
図19[A]及び
図19[B]を参照して説明する。
【0062】
図19[A]では、シリンドリカルレンズ51の配列方向、すなわちレンズピッチ52の方向は、x方向として説明した。
図19[B]に示すように、表示パネル64上には各シリンドリカルレンズ51の焦点に対応するように左眼用画素65aと右眼用画素65bとが交互にx方向に配置されているが、これは各シリンドリカルレンズ51と各画素(左眼用画素65a及び右眼用画素65b)とがx方向で完全に整合していることを意味する。観察者に所定の立体画像を認識させるためには、このx方向の貼り合せ精度が非常に重要となる。これに対し、
図19[A]に示すy方向の貼り合せ精度は、x方向ほどの精度は要求されない。これは、シリンドリカルレンズ51が一つの方向(x方向)に光を振り分ける機能を有するために、その方向の精度が非常に重要になるためである。このx方向を「貼り合せ精度優先方向」と定義する。
【0063】
図1に示す基板貼り合せ装置10を参照して説明する。下真空チャンバ100は、上述したようにY軸のみに高精度搬送機構(Y軸サーボ機構130)を備える。この高精度搬送機構には、位置決め精度といわれる、搬送設定値と実際搬送された位置との誤差が、数μm以内の範囲で存在する。しかしながら、高い貼り合せ精度を確保するためには、この位置決め精度の影響を極力無くしたい。したがって、貼り合せ精度優先方向(x方向すなわち
図19[A]に示すシリンドリカルレンズ51の配列方向及び
図19[B]に示す左眼用画素65aと右眼用画素65bとの並ぶ方向)がこの高精度搬送機構の移動方向であるY軸と異なるように、レンチキュラレンズ基板50及び表示パネル64をセットすることが望ましい。更には、この貼り合せ精度優先方向は、Y軸と直交するX軸と平行であればなお好ましい。これは、X軸ならばY軸の位置決め精度の影響が一番小さくなるためである。
【0064】
基板貼り合せ装置10の動作は後で詳細に説明するが、その概要は次の通りである。下真空チャンバ100は、位置Y1において、下基板113をマウントする。下基板用カメラ群220は位置Y2に配置されている。下基板113をマウントした下真空チャンバ100が位置Y2付近に移動し、下基板用カメラ群220が下基板113のマークを撮像する。そして、マーク撮像結果に応じて下定盤XYθ微動機構110が動作するとともに、下真空チャンバ100が位置Y3へ移動する。続いて、上基板213をマウントした上真空チャンバ200が位置Z1から位置Z2に向けて移動し、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100とが閉空間を形成する。続いて、真空排気着脱機構300が、Y軸方向に移動して下真空チャンバ100に接続し、閉空間内の真空排気を行う。真空排気完了後、上定盤加圧機構210が所定の加圧動作をし、下基板113と上基板213との貼り合せが完了する。ここで、下真空チャンバ100の位置Y1,Y3は、上基板用カメラ群120のカメラ視野中心座標となる。
【0065】
図9[B]に示す制御部700は、例えばコンピュータ及びそのプログラムからなり、例えば下定盤XYθ微動機構110、上基板用カメラ群120、Y軸サーボ機構130、上定盤加圧機構210、下基板用カメラ群220、Z軸サーボ機構230、真空排気着脱機構(真空排気ポンプを含む)300などに電気的に接続されている。基板貼り合せ装置10の全部又は一部の動作は、制御部700のプログラムによって実現することもできる。本プログラムは、非一時的な記録媒体(non-transitory storage medium)、例えば光ディスク、半導体メモリなどに記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0066】
基板貼り合せ装置10の動作のフローチャートを
図2に示す。
【0067】
ステップ1は、下テーブル112に上基板213を載せる工程である。
図3[A]に示すように、下真空チャンバ100は基板保持位置である位置Y1に有り、下テーブル112に上基板外形位置決め治具115を装着する。そして、上基板外形位置決め治具115に上基板213の縦方向及び横方向の側面を接触させつつ、下テーブル112の上に上基板213を搭載する。続いて、下テーブル112に、吸着又は粘着による基板固定機構によって上基板213を固定する。
【0068】
ステップ2は、下真空チャンバ100を閉空間形成位置である位置Y3へ移動させる工程である。
図3[B]に示すように、位置Y1に有る下真空チャンバ100を、Y軸サーボ機構130によって位置Y3へ移動させる。
【0069】
ステップ3は、上真空チャンバ200を下げて、上基板213を上テーブル212へ移す工程である。
図3[B]に示すように、位置Z1かつ位置Y3にある上真空チャンバ200を、Z軸サーボ機構230によって位置Z2まで下げる。この位置Z2は、上テーブル212の表面が上基板213の表面に接触する位置である。これにより、上テーブル212に、吸着又は粘着による基板固定機構によって上基板213を固定する。続いて、上基板213を下テーブル112から剥離する。このとき、下テーブル112の基板固定機構が吸着方式であれば、吸着破壊動作により上基板213を下テーブル112から剥離する。また、下テーブル112の基板固定機構が粘着方式であれば、上テーブル212の粘着力を下テーブル112の粘着力よりも強く設定することにより、上基板213を下テーブル112から剥離する。
【0070】
ステップ4は、上真空チャンバ200を上げる工程である。
図3[B]に示すように、上真空チャンバ200を位置Z2からZ1位置へZ軸サーボ機構230によって引き上げると、上基板213は上テーブル212に保持されたままで引き上げられる。
【0071】
ステップ5は、下真空チャンバ100を位置Y1へ移動させる工程である。
図4[A]に示すように、下真空チャンバ100をY軸サーボ機構130によって位置Y3から位置Y1へ移動させる。
【0072】
ステップ6は、ステップ5の途中にて、下真空チャンバ100に設けられた上基板用カメラ群120によって、上基板213のアライメントマークのピッチを測長する工程である。
図4[A]に示すように、下真空チャンバ100を位置Y3から位置Y4へY軸サーボ機構130によって水平に移動させる。位置Y4では、下真空チャンバ100に設けられた上基板用カメラ群120の視野121の中心が、上基板213の第一の上基板アライメントマーク213aに一致する。この位置Y4に上基板用カメラ群120が停止した後、左上基板用カメラ120a及び右上基板用カメラ120bを用いて第一の上基板アライメントマーク213aの左右マークを撮像し、上基板用カメラ群120に接続された画像認識装置(例えば
図9[B]に示す制御部700)によって第一の上基板アライメントマーク213aの位置を求める。続いて、下真空チャンバ100を位置Y4から位置Y5へY軸サーボ機構130によって水平に移動させる。位置Y5では、位置Y4と同様に、下真空チャンバ100に設けられた上基板用カメラ群120の視野121の中心が、上基板213の第二の上基板アライメントマーク213bに一致する。この位置Y5に上基板用カメラ群120が停止した後、左上基板用カメラ120a及び右上基板用カメラ120bを用いて第二の上基板アライメントマーク213bの左右マークを撮像し、上基板用カメラ群120に接続された画像認識装置(例えば
図9[B]に示す制御部700)によって第二の上基板アライメントマーク213bの位置を求める。
【0073】
このように、ステップ6は、下真空チャンバ100が位置Y3から位置Y1に戻るステップ5の動きに同期して、上基板213のアライメント動作を行うため、無駄のない効率的な工程である。
【0074】
ステップ7は、下テーブル112に下基板113を載せる工程である。
図4[B]に示すように、下テーブル112から上基板外形位置決め治具115を取り外して、下テーブル112に下基板外形位置決め治具116を装着する。そして、下基板外形位置決め治具116に下基板113の縦方向及び横方向の側面を接触させつつ、下テーブル112の上に下基板113を搭載する。下基板113には、その上面にOCAと呼ばれる粘着フィルムが貼り付けられるか、又はOCRと呼ばれる接着剤が塗布されている(図示せず)。続いて、下テーブル112に、吸着又は粘着による基板固定機構によって下基板113を固定する。
【0075】
ステップ8は、下基板用カメラ群220によって下基板113のアライメントマークのピッチを測長する工程である。
図5[A]に示すように、下真空チャンバ100を位置Y1から位置Y6へY軸サーボ機構130によって水平に移動させる。位置Y6では、下基板用カメラ群220の視野221の中心が、下基板113の第一の下基板アライメントマーク113aに一致する。この位置Y6に下真空チャンバ100が停止し、左下基板用カメラ220a及び右下基板用カメラ220bを用いて第一の下基板アライメントマーク113aの左右マークを撮像し、下基板用カメラ群220に接続された画像認識装置(例えば
図9[B]に示す制御部700)によって第一の下基板アライメントマーク113aの位置を求める。続いて、下真空チャンバ100を位置Y6から位置Y7へY軸サーボ機構130によって水平に移動させる。位置Y7では、位置Y6と同様に、下基板用カメラ群220の視野221の中心が、下基板113の第二の下基板アライメントマーク113bに一致する。この位置Y7に下真空チャンバ100が停止した後、左下基板用カメラ220a及び右下基板用カメラ220bを用いて第二の下基板アライメントマーク113bの左右マークを撮像し、下基板用カメラ群220に接続された画像認識装置(例えば
図9[B]に示す制御部700)によって第二の下基板アライメントマーク113bの位置を求める。
【0076】
ステップ9は、下定盤XYθ微動機構110によって下基板113の水平位置を調整する工程である。
図5[B]に示すように、ステップ6、8によって得られた第一の上基板アライメントマーク213a及び第二の上基板アライメントマーク213b並びに第一の下基板アライメントマーク113a及び第二の下基板アライメントマーク113bのそれぞれの位置を用いて、アライメントマークのピッチの測長値に対するXYθ水平ズレ量を計算し、このXYθ水平ズレ量を無くす方向に下定盤XYθ微動機構110を動かし、下定盤XYθ微動機構110上の下基板113の位置を水平方向に微動する。下定盤XYθ微動機構110は、0.1μm単位のXY方向への移動と0.0001度単位のθ回転とが可能な高精度の駆動機構となっている。
【0077】
ステップ10は、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100とを連結することにより閉空間600を形成する工程である。
図6[A]に示すように、下真空チャンバ100を位置Y7から位置Y3へY軸サーボ機構130によって水平に移動させる。続いて、Z軸サーボ機構230によって上真空チャンバ200を位置Z1から位置Z3へ下げる。位置Z3は位置Z2よりも数mm〜十数mm高い位置であり、上基板213と下基板113との間に若干の隙間が設けられる。そして、下押し付け機構(図示せず)によって上真空チャンバ200を下真空チャンバ100に押接する。上真空チャンバ200と下真空チャンバ100との接触部分は、ゴム又は樹脂製のOリング状のシールにより気密性を確保する。
【0078】
ステップ11は、真空チャンバ内部の真空排気の工程である。
図6[B]に示すように、下真空チャンバ100の側面に設けられた真空排気口310に真空排気着脱機構300を接続し、真空排気着脱機構300に接続された真空ポンプ(図示せず)を用いて、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100とによる閉空間600の大気を吸引し真空状態にする。このとき、前述したとおり、真空排気口310のOリング付のフランジ口に対して、同一寸法のフランジ口を持つ真空排気着脱機構300をエアーシリンダによって水平に押し付けることにより、これらを気密性高く接続することができる。
【0079】
ステップ12は、上基板213と下基板113との接合の工程である。
図7[A]に示すように、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100とによる閉空間600の真空度が目標値に達した後、上定盤加圧機構210によって上基板213と下基板113とを加圧し接合する。上定盤加圧機構210は、エアーシリンダ又は油圧機構によって、概ね0.1MPa〜1.0MPaの加圧力を得ている。
【0080】
ステップ13は、UV照射機構114によるUV光照射の工程である。本工程は、貼り合せ材料として、OCRと呼ばれるUV硬化樹脂を用いた場合である。貼り合せ材料として、OCAと呼ばれる粘着フィルムを用いた場合は、本工程が不要である。
図7[B]に示すように、上基板213と下基板113との接合において、その接合材料にUV硬化樹脂を用いた場合は、上基板213と下基板113とが接触した後、UV照射機構114によってUV光を照射することにより、上基板213と下基板113との間に設けたUV硬化樹脂が硬化し、これらの基板の接合が行われる。
【0081】
ステップ14は、真空チャンバの大気開放の工程である。
図8[A]に示すように、下真空チャンバ100の側面に設けられた真空排気口310と真空排気着脱機構300との接続を解除する。これにより、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100とよる閉空間600は、真空排気口310と真空排気着脱機構300との間の隙間から、大気が導入されて常圧状態となる。真空排気口310と真空排気着脱機構300との接続は、例えばステップ11において真空排気口310に真空排気着脱機構300をエアーシリンダによって水平に押し付けた場合、そのエアーシリンダを逆に動かすことにより解除できる。
【0082】
ステップ15は、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100との加圧を解除し、これらを分離する工程である。
図8[B]に示すように、上定盤加圧機構210による加圧を解除し、上真空チャンバ200をZ軸サーボ機構230によって位置Z3から位置Z1へ上げる。このとき、上テーブル212の基板固定機構を解除すると、下テーブル112には上基板213と下基板113とが貼り合された貼り合せ基板400が載せられる。
【0083】
ステップ16は、貼り合せ基板400を取り出す工程である。
図9[A]に示すように、下真空チャンバ100を、Y軸サーボ機構130によって位置Y3から位置Y1へ移動させる。続いて、下テーブル112の基板固定機構を解除して貼り合せ基板400を取り出す。
【0084】
これらのステップ1〜16の動作により、上基板213と下基板113とを真空環境下で貼り合せることができ、その貼り合せ面に気泡の混入が無くかつ高い位置精度にて貼り合された貼り合せ基板400を得ることができる。
【0085】
また、下真空チャンバ100と上真空チャンバ200とが向かい合う方向は、上下方向であるZ軸方向と平行な方向に限らず、X軸方向やY軸方向に対して平行な方向、又はXYZ軸に対して任意の方向でもよい。
【0086】
以上説明したとおり、基板貼り合せ装置10によれば、上真空チャンバ200に固定されている上基板213を撮像する上基板用カメラ群120を下真空チャンバ100に設け、下真空チャンバ100と同期した動作で上基板213の第一の上基板アライメントマーク213a及び第二の上基板アライメントマーク213bを撮像するという構成により、省スペースでかつ機械部品削減による低コスト化を実現することができる。
【0087】
ここで、下真空チャンバ100と上基板用カメラ群120とが分離独立した構造であったとする。その場合、ステップ6の第一の上基板アライメントマーク213a及び第二の上基板アライメントマーク213bのピッチを測長する工程において、上基板用カメラ群120を第一の上基板アライメントマーク213a及び第二の上基板アライメントマーク213bの位置まで移動させる高精度の機械部品及び制御機器をX軸又はY軸に備える必要が生じる。その結果、コストアップを招くと同時に、機械部品や制御機器を設置する空間が必要になるので省スペース化が阻害される。これに対して、基板貼り合せ装置10の構成では、下真空チャンバ100と上基板用カメラ群120とが一体化されているため、このような問題が発生しない。
【0088】
関連技術では、上基板の寸法が複数種類存在する場合に、真空チャンバ内にある上基板のマーク撮像位置に応じて、透光性ガラスからなる窓の数及び大きさを修正する必要があった。又は、関連技術では、真空環境下に耐えるカメラを使用する必要があった。これに対して、基板貼り合せ装置10の構成では、上基板213の寸法が複数種類存在する場合に、下真空チャンバ100の側面に設けられた左右移動機構を動かすことにより、左上基板用カメラ120aと右上基板用カメラ120bとの間隔を基板寸法に応じて調整すれば良い。したがって、基板貼り合せ装置10によれば、上基板の寸法が複数種類存在する場合でも、関連技術と異なり、修正が不要であるとともに、真空環境下に耐えるカメラを使用する必要も無いので、コスト低減が可能である。
【0089】
なお、本実態形態1では上基板用カメラ群120として二つのカメラを用いた説明をしたが、これに限定されず上基板213のアライメントマークに応じて一つのみ又は三つ以上のカメラを用いてもよい。更にステップ6において、第一の上基板アライメントマーク213aと第二の上基板アライメントマーク213bの二つアライメントマークにおけるアライメントマークのピッチを測長する工程を示したが、これに限らず、上基板213に三つ以上の複数のアライメントマークが有った場合には、それぞれのアライメントマークに対して順次に上基板用カメラ群120をY軸サーボ130にて水平移動させて撮像し、前述した画像認識装置によってアライメントマークの位置を求めてもよい。また、Y軸サーボ機構130についても、例えば、リニアスケールをレーザ干渉による測長器に置き換えるなど、所定の精度が維持されるものであれば任意のものを使用することができる。
【0090】
更に、下真空チャンバ100及び上真空チャンバ200は、X軸方向への移動を不要とした一軸移動構成となっているため、省スペース化及び部品のコストダウンに加えて、高精度に対応した組立・調整工程が一軸分だけでよいので更にコストダウンに寄与する。
【0091】
換言すると、本実施形態1によれば、第一の真空チャンバに第一の撮像部を備え、第一の真空チャンバと同期した動作で第二の基板のアライメントマークを撮像するという構成により、省スペース化かつ機械部品削減による低コスト化及び高精度化を実現することができる。
【0092】
<変形例>
本実施形態1では、第一の真空チャンバとして下真空チャンバ、第二の真空チャンバとして上真空チャンバを用い、第二の真空チャンバに固定された上基板を撮像するカメラを第一の真空チャンバに備えた例を採り上げたが、本発明の構成はこれに限定されない。例えば、第一の真空チャンバとして上真空チャンバ、第二の真空チャンバとして下真空チャンバを用い、第二の真空チャンバに固定された下基板を撮像するカメラを第一の真空チャンバに備えた構成としてもよい。この構成を変形例として以下に説明する。
【0093】
図10は、変形例の主要な構成要素を本実施形態1の構成要素と比較した一覧である。
図10に示すように、例えば、第一の真空チャンバとして上真空チャンバ、第二の真空チャンバとして下真空チャンバを用い、第二の真空チャンバに固定された下基板を撮像する第一の撮像部である下基板用カメラ群を、第一の真空チャンバに備えた構成となっている。つまり、本変形例は本実施形態1の上下を逆にした構成となっている。
【0094】
ただし、本変形例では、ステップ1、7で説明した、基板をそれぞれのテーブルに載せる工程において、本実態形態1と同様な動作では貼り合せ材料の種類によって不具合が生じる可能性がある。例えば、貼り合せ材料がOCAの場合は、本実態形態1と同様に、ステップ1では第二の基板である光学基板を第一のテーブル(上テーブル)に搭載し、ステップ7では第一の基板であるOCAを貼りつけた表示パネルを第一のテーブル(上テーブル)に搭載し、これらの基板を貼り合せる。しかしながら、貼り合せ材料がOCRの場合に、ステップ1では光学基板を第一のテーブル(上テーブル)に搭載し、ステップ7ではOCRを塗布した表示パネルを第一のテーブル(上テーブル)搭載するとなると、OCRを塗布した表示パネルの表面が下側に向くため、重力の影響でOCR材が下へ垂れ落ちてしまう可能性がある。
【0095】
そこで、本変形例の構成において、貼り合せ材料としてOCRを使用する場合には、次の方法が有効である。第一の方法は、搭載する基板の順番を変更してステップ1でOCRを塗布した表示パネルを搭載し、ステップ7では光学基板を搭載して貼り合せる方法である。第二の方法は、表示パネル側にOCRを塗布するのではなく、光学基板側にOCRを塗布し、ステップ1ではOCRが塗布された光学基板を第一のテーブル(上テーブル)に搭載し、ステップ7では表示パネルを第一のテーブル(上テーブル)搭載して貼り合せる方法である。このように本変形例の構成を採るときは、上記二つの方法を選択することが望ましい。これらにより、本変形例においても本実施形態1と同様の効果を奏する。
【0096】
<実施形態2>
実施形態2における基板貼り合せ装置20の構成の一例を
図11に示す。基板貼り合せ装置20では、
図1に示す実施形態1の基板貼り合せ装置10における真空排気着脱機構300及び真空排気口310が、縦真空排気着脱機構500及び縦真空排気口510に置き換わっている。基板貼り合せ装置20のその他の構成は、
図1に示す基板貼り合せ装置10と同じであるので、その説明を省略する。
【0097】
基板貼り合せ装置20の動作のフローチャートは
図2と同様である。ただし、本実施形態2に特有の構成に関する動作、すなわち上真空チャンバ200と下真空チャンバ100との閉空間の真空排気から下基板113と上基板213との貼り合せまでの動作であるステップ10〜16について、
図11乃至
図14を用いて説明する。
【0098】
ステップ10は、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100とを連結する工程である。ステップ10を示す
図12[A]では、実施形態1のステップ10を示す
図6[A]における真空排気着脱機構300及び真空排気口310が、縦真空排気着脱機構500及び縦真空排気口510に置き換わっている。その他の構成及び動作は、
図6[A]に示す構成及び動作と同じである。
【0099】
ステップ11は、真空チャンバ内部の真空排気の工程である。
図12[B]に示すように、下真空チャンバ100の下面に設けられた縦真空排気口510に縦真空排気着脱機構500を接続し、縦真空排気着脱機構500に接続された真空ポンプ(図示せず)を用いて、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100とによる閉空間600の大気を吸引し真空状態にする。例えば、縦真空排気口510は、縦真空排気着脱機構500の装着時の気密性確保のため、Oリング付のフランジ口を有する。縦真空排気着脱機構500は、縦真空排気口510のフランジ口と同一寸法のフランジ口を持つ。縦真空排気着脱機構500をエアーシリンダによって縦真空排気口510にZ軸方向に押し付けることにより、前記Oリングの変形密着による気密性を確保する。縦真空排気口510に縦真空排気着脱機構500を押しつける方向と減圧排気されたときに発生する吸引力の方向とは、Z軸方向にのみ作用することになる。
【0100】
一方、前述の実施形態1では、
図6[B]及び
図16に示すように、下真空チャンバ100の側面に設けられた真空排気口310に、真空排気着脱機構300をエアーシリンダによって水平に押し付ける。この構成において、真空排気着脱機構300のX軸方向に対する中心線と、下真空チャンバ100のX軸方向に対する中心線X1とが、一致しているとする。その場合、そのエアーシリンダの押し付け力f1と減圧に伴う吸引力f2とに着目すると、押し付け力f1は−Y側に、吸引力f2は+Y側に作用し、その合成力が下真空チャンバ100に作用する。したがって、この合成力によりY軸サーボ機構130の位置ずれが発生してY軸精度が低下する。
【0101】
更に、
図17に示す例は、真空排気着脱機構300のX軸方向に対する中心線X2と、下真空チャンバ100のX軸方向に対する中心線X1とが、一致していない場合である。この場合は、押し付け力f1と吸引力f2との合成力により、下真空チャンバ100のXY平面に対するせん断力が働く。したがって、下真空チャンバ100は僅かながらの回転するため、下基板113の位置精度が更に悪化してしまう。特に、
図19[A]及び
図19[B]に基づき前述したように、XY軸に貼り合せ精度優先方向が存在する場合に加え、XY軸に二つの方向に光を振り分ける機能を有するフライアイレンズや二枚のレンチキュラレンズや液晶レンズなどの光学基板を用いる場合は、このような精度悪化となる構成を避けることが望ましい。
【0102】
これに対し、縦真空排気着脱機構500を下真空チャンバ100のZ軸方向に押し付ける構成とすることによって、下真空チャンバ100にはXY軸方向の力が働かないので、XY平面に対する位置ずれやせん断力に伴う回転を抑制することが可能となる。そのため、ステップ9において、精度確保機構である下定盤XYθ微動機構110の上に搭載され、XY平面に存在する下基板113は、微動水平位置の調整が完了した位置をそのまま維持することができ、上基板213に対するズレの影響は無くなる。
【0103】
縦真空排気口510のXY平面における位置は、
図15に示すように、下真空チャンバ100の外周部におけるY軸サーボ固定部131の交点131a,131b,131c,131dからなる多角形の重心及びその近傍が望ましい。ここで近傍とは、底面寸法の20%の範囲を指す。この理由を以下に説明する。
【0104】
縦真空排気口510の位置が前述の重心から大きく離れた場合には、押し付け力と吸引力との合成力Fに基づく、下真空チャンバ100の底面に加わるZ軸方向の応力により、下真空チャンバ100のXY平面に対する傾斜が発生して、上基板213と下基板113との貼り合せの圧力分布が不均一になる懸念がある。
【0105】
貼り合せの圧力分布の均一性を検証したところ、縦真空排気口510のXY平面における位置が、概ね下真空チャンバ100の底面中央部から底面寸法の20%の範囲内であれば、所望の均一性を得られることが判明した。この許容範囲は、縦真空排気口510を上記多角形の重心位置に設けられない場合、例えば、Y軸サーボ機構130の部品の干渉や下定盤XYθ微動機構110の部品などが存在する場合などに有用である。また、下真空チャンバ100とY軸サーボ固定部131との間に挿入された部品(図示せず)がある場合は、その挿入された部品とY軸サーボ固定部131の交点131a,…とからなる多角形の重心によって、前述の重心を代用することも可能である。
【0106】
このような構成を用いることで、真空機器のコスト低減と省スペース化においても有効である。一般的に、本実施形態2のような移動する下真空チャンバ100と真空ポンプとの接続においては、屈曲性配管が用いられる。屈曲性配管の例として、Y軸サーボ機構130の最大移動寸法と最少曲げ半径を考慮した長さの、真空配管用フレキシブルチューブやベローズが挙げられる。この屈曲性配管には収納空間が必要である。その収納空間としては、Y軸サーボ機構130の移動方向に沿った、下真空チャンバ100の近傍の、架台150上に設ける例などが考えられる。
【0107】
本実施形態2は、一般的な構成とは異なり、縦真空排気着脱機構500を下真空チャンバ100のZ軸方向に押し付ける構成とすることにより、屈曲性配管の長さは縦真空排気着脱機構500の着脱ストロークの長さのみ考慮すれば良いため、真空機器コストが少なくなるとともに、下真空チャンバ100の占有エリアの一部に屈曲性配管を設置できるため架台150を小さくすることができる。したがって、一般的な真空配管の構成例に比べて、本実施形態2では真空機器のコスト低減及び省スペース化を図ることが可能となる。
【0108】
ステップ12は、上基板213と下基板113との接合の工程である。ステップ12を示す
図13[A]では、実施形態1のステップ12を示す
図7[A]における真空排気着脱機構300及び真空排気口310が、縦真空排気着脱機構500及び縦真空排気口510に置き換わっている。その他の構成及び動作は、
図7[A]に示す構成及び動作と同じである。
【0109】
ステップ13は、UV照射機構114によるUV光照射の工程である。ステップ13を示す
図13[B]では、実施形態1のステップ13を示す
図7[B]における真空排気着脱機構300及び真空排気口310が、縦真空排気着脱機構500及び縦真空排気口510に置き換わっている。その他の構成及び動作は、
図7[B]に示す構成及び動作と同じである。
【0110】
ステップ14は、真空チャンバの大気解放の工程である。
図14に示すように、下真空チャンバ100の下面に設けられた縦真空排気口510と縦真空排気着脱機構500との接続を解除する。これにより、上真空チャンバ200と下真空チャンバ100による閉空間600は、縦真空排気口510と縦真空排気着脱機構500との間の隙間から、大気が導入されて常圧状態となる。縦真空排気口510と縦真空排気着脱機構500との接続は、例えばステップ11において縦真空排気口510に縦真空排気着脱機構500をエアーシリンダによって押し付けた場合、そのエアーシリンダを逆に動かすことのより解除できる。
【0111】
以上、本実施形態2では、第一の真空チャンバとして下真空チャンバ、第二の真空チャンバとして上真空チャンバを用い、精度確保機構の存在する平面(XY平面)を精度優先方向(X軸、Y軸)とした場合に、第一真空チャンバと第二の真空チャンバとで構成される閉空間を真空排気する方向が精度優先方向(X軸、Y軸)とは異なるZ軸方向である例を採り上げたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、精度確保機構の存在する平面をXYZ軸に対して任意の二つの方向を含む平面とした場合に、第一の真空チャンバと第二の真空チャンバとで構成される閉空間を真空排気する方向が、前記任意の二つの方向とは異なる方向であれば良く、前記任意の二つの方向に直交する方向であればなお良い。また、本実施形態2では、真空チャンバの真空排気の接続は真空チャンバとして第一の真空チャンバにて行う構成を示したが、これに限定されず、第二の真空チャンバにて行う構成でもよい。
【0112】
本実施形態2によれば、その構成及びステップ11を含む動作で説明したとおり、真空排気ユニットを真空チャンバの下に設置することにより、真空機器のコスト低減及び省スペース化を実現するとともに、上下真空チャンバに水平方向のせん断力が作用しないので、高精度の確保が可能となる。なお、本実施形態2のその他の構成、作用及び効果は。実施形態1のそれらと同様である。
【0113】
換言すると、本実施形態2によれば、真空排気ユニットを真空チャンバの下に設置することにより、低コスト化と省スペース化を実現するとともに、第一の真空チャンバ及び第二の真空チャンバに水平方向のせん断力が作用しないので、高精度の確保が可能となる。更に、実施形態1と実施形態2において、精度確保機構は真空チャンバとして第一の真空チャンバに設ける構成を示したが、これに限定されず第二の真空チャンバに設ける構成でもよい。
【0114】
<実施形態3>
図18は、実施形態1、2の基板貼り合せ装置を用いて、光学基板としてのレンチキュラレンズ基板50を貼り合せ材料61を介して表示パネル64に貼り合せた立体表示装置40を示す概略図である。上記したように光学基板と表示パネルとがμmオーダの高精度で貼り合せされているため、非常に高画質の立体画像を表示することが可能となる。
【0115】
本実施形態3では光学基板としてレンチキュラレンズ基板を用いた場合を採り上げたが、光学基板としてはレンチキュラレンズ基板だけでなく、パララックスバリア基板、フライアイレンズ基板、液晶レンズ基板などを用いた場合も同様の効果がある。また、表示パネルとしては、液晶表示パネルや有機ELパネルなどの電気光学素子を用いることができる。また、表示パネルとしては、平面パネルだけでなく、非平面パネルにも本願発明を適用可能である。この場合、実施形態1、2における第一のテーブル及び第二のテーブルとして、表示パネルや光学基板の面形状に合わせた面形状のテーブルを用いればよい。
【0116】
換言すると、本実施形態3によれば、実施形態1、2による高精度の貼り合せにより、3D表示品質の向上を図ることができる。
【0117】
以上、本発明を上記各実施形態に即して説明したが、本発明は、上記各実施形態の構成や動作にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得ることが可能な各種変形及び修正を含むことはもちろんである。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合せたものも含まれる。
【0118】
上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0119】
<付記1>最小構成(実施形態1)
第一の開口を有する第一の真空チャンバと、
この第一の真空チャンバの前記第一の開口内に設けられ、第一の基板を保持する第一のテーブルと、
第二の開口を有する第二の真空チャンバと、
この第二の真空チャンバの前記第二の開口内に設けられ、第二の基板を保持する第二のテーブルと、
前記第二の開口に前記第一の開口が向き合って閉空間を形成可能なように、前記第一の真空チャンバを移動させる移動機構部と、
前記第一の真空チャンバの前記第一の開口の外側に付設されることにより、前記移動機構部によって前記第一の真空チャンバとともに移動し、前記第二のテーブルに保持された前記第二の基板を撮像することにより、前記第二の基板の位置情報を得る撮像部と、
この撮像部によって得られた前記第二の基板の位置情報に基づき、前記第一のテーブルに保持された前記第一の基板を前記第二の基板に貼り合せる制御部と、
を備えた基板貼り合せ装置。
【0120】
<付記2>実施形態1(第一の真空チャンバは一軸移動)
前記第一のテーブル及び前記第二のテーブルの基板保持面をXY平面、このXY平面に直交する方向をZ方向と定義すると、
前記第一の真空チャンバの移動方向は、XY平面上の任意の一軸方向のみである、
付記1記載の基板貼り合せ装置。
【0121】
<付記3>実施形態1(第一の真空チャンバの移動方向規定)
前記第一の基板と前記第二の基板とを貼り合せる際に、貼り合せ精度を優先する方向が存在する場合において、この方向を貼り合せ精度優先方向と定義すると、
前記第一の真空チャンバの移動方向は、前記貼り合せ精度優先方向とは異なる方向である、
付記2記載の基板貼り合せ装置。
【0122】
<付記4>実施形態1(第一の真空チャンバの移動方向規定2)
前記第一の真空チャンバの移動方向と前記貼り合せ精度優先方向とが直交している、
付記3記載の基板貼り合せ装置。
【0123】
<付記5>実施形態1(第二の真空チャンバの移動方向規定1)
前記第二の真空チャンバの移動方向は前記XY平面に存在しない、
付記2乃至4のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0124】
<付記6>実施形態1(第二の真空チャンバの移動方向規定2)
前記第二の真空チャンバの移動方向は前記Z方向のみである、
付記2乃至5のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0125】
<付記7>実施形態1(第一の真空チャンバ=下真空チャンバ、第二の真空チャンバ=上真空チャンバ)
前記第一の真空チャンバは前記閉空間の下側に配置される真空チャンバであり、
前記第二の真空チャンバは前記閉空間の上側に配置される真空チャンバである、
付記1乃至6のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0126】
<付記8>実施形態1、2(真空排気方向)
第一の開口を有する第一の真空チャンバと、
この第一の真空チャンバの前記第一の開口内に設けられ、第一の基板を保持する第一のテーブルと、
第二の開口を有する第二の真空チャンバと、
この第二の真空チャンバの前記第二の開口内に設けられ、第二の基板を保持する第二のテーブルと、を備え、
前記第二の開口に前記第一の開口が向き合って形成された閉空間を減圧して、基板を貼り合せる基板貼り合せ装置において、
前記第一の真空チャンバ又は前記第二の真空チャンバに接続され、前記閉空間を減圧排気する真空排気部を更に備え、
前記第一の基板と前記第二の基板とを貼り合せる際に、貼り合せ精度を優先する方向が存在する場合において、この方向を貼り合せ精度優先方向と定義すると、
前記真空排気部による減圧排気方向が前記貼り合せ精度優先方向とは異なる方向である、
基板貼り合せ装置。
【0127】
<付記9>実施形態1、2(真空排気方向2)
前記第一のテーブル又は前記第二のテーブルに精度確保機構が設けられ、
この精度確保機構が動作する方向を貼り合せ精度優先方向とし、
前記減圧排気方向は前記貼り合せ精度優先方向とは異なる方向である、
付記8記載の基板貼り合せ装置。
【0128】
<付記10>実施形態1、2(真空排気方向3)
前記貼り合せ精度優先方向と前記減圧排気方向とは略直交する、
付記8又は9記載の基板貼り合せ装置。
【0129】
<付記11>実施形態1(第一の真空チャンバの移動方向規定)
前記第一の真空チャンバの移動方向は、前記減圧排気方向と略平行である、
付記8乃至10のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0130】
<付記12>実施形態2(第二の真空チャンバの移動方向規定1)
前記第二の真空チャンバの移動方向は前記減圧排気方向のみである、
付記8乃至11のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0131】
<付記13>実施形態2(第一の真空チャンバ=下真空チャンバ、第二の真空チャンバ=上真空チャンバ)
前記第一の真空チャンバは前記閉空間の下側に配置される真空チャンバであり、
前記第二の真空チャンバは前記閉空間の上側に配置される真空チャンバである、
付記8乃至12のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0132】
<付記14>
前記第一の基板は光学基板及び表示パネルの一方であり、
前記第二の基板は光学基板及び表示パネルの他方である
付記1乃至13のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0133】
<付記15>
第一の開口を有する第一の真空チャンバと、
この第一の真空チャンバの前記第一の開口内に設けられ、第一の基板を保持する第一のテーブルと、
第二の開口を有する第二の真空チャンバと、
この第二の真空チャンバの前記第二の開口内に設けられ、第二の基板を保持する第二のテーブルと、
前記第二の開口に前記第一の開口が向き合って閉空間を形成可能なように、前記第一の真空チャンバを移動させる移動機構部と、
前記第一の真空チャンバの前記第一の開口の外側に付設された撮像部と、
を備えた基板貼り合せ装置を用い、
前記移動機構部によって前記第一の真空チャンバとともに前記撮像部を移動させ、
前記第二のテーブルに保持された前記第二の基板を前記撮像部によって撮像することにより、前記第二の基板の位置情報を取得し、
取得した前記第二の基板の位置情報に基づき、前記第一のテーブルに保持された前記第一の基板と前記第二の基板を貼り合せる、
基板貼り合せ方法。
【0134】
<付記16>実施形態1(撮像工程)
第一の基板を保持する第一のテーブルを有する第一の真空チャンバと、
第二の基板を保持する第二のテーブルを有する第二の真空チャンバと、
前記第一の真空チャンバに付設され、前記第二の基板の位置情報を読み取る撮像部と、を備え
前記第一のテーブル及び前記第二のテーブルの基板保持面をXY平面、このXY平面に直交する方向をZ方向と定義すると、前記第一の真空チャンバの移動方向は、XY平面上の任意の一軸方向のみであり、
前記第一の真空チャンバと前記第二の真空チャンバとにより形成された閉空間を減圧して、前記第一の基板と前記第二の基板とを貼り合せる基板貼り合せ装置、
を用いた基板貼り合せ方法であって、
前記第一の真空チャンバが基板保持位置にあり、前記第一のテーブルに前記第二の基板を保持させる第一の工程と、
前記第二の基板を含む前記第一の真空チャンバを、前記基板保持位置から前記移動方向に沿って、前記Z方向に前記第二の真空チャンバが位置する閉空間形成位置まで移動させる第二の工程と、
前記第二の真空チャンバが前記Z方向に降下して、前記第二の基板を前記第一のテーブルから前記第二のテーブルに移す第三の工程と、
前記第二の真空チャンバが前記Z方向に上昇する第四の工程と、
前記第一の真空チャンバが前記閉空間形成位置から前記基板保持位置に戻る第五の工程と、
前記第五の工程を実施する際に、前記第一の真空チャンバと一体化した前記撮像部により、前記第二の基板のマークを撮影する第六の工程と、
を含む基板貼り合せ方法。
【0135】
<付記17>実施形態1(第一の撮像部の制御部)
前記第六の工程において、前記撮像部は、前記第一の真空チャンバの移動方向に沿って少なくとも二箇所の位置で、前記第二の基板のマークを撮影する、
付記16記載の基板貼り合せ方法。
【0136】
<付記18>実施形態3
付記15乃至17のいずれか一つに記載の基板貼り合せ方法を用いて製造された立体画像表示装置。
【0137】
<付記21>最小構成(実施形態1)
第一の基板を保持する第一のテーブルを有する第一の真空チャンバと、
第二の基板を保持する第二のテーブルを有する第二の真空チャンバと、を備え
前記第一の真空チャンバと前記第二の真空チャンバとにより形成された閉空間を減圧して、粘着フィルム又は接着剤を用いて貼り合せる基板貼り合せ装置において、
前記第一の真空チャンバに設けられ、前記第二の真空チャンバとの間で閉空間を形成するための移動機構と、
前記第一の真空チャンバの前記閉空間を形成しない外側に設けられ、前記第二の基板の位置情報を読み取る第一の撮像部と、を更に備え、
前記第一の撮像部は、前記第一の真空チャンバの前記閉空間を形成しない位置で前記第二の基板のマークを撮影し、この撮影画像から位置情報を抽出する機能を有する、
ことを特徴とする基板貼り合せ装置。
【0138】
<付記22>実施形態1(第一の真空チャンバは一軸移動)
前記第一のテーブル及び前記第二のテーブルの基板保持面をXY平面、このXY平面に直交する方向をZ方向と定義すると、
前記第一の真空チャンバの移動方向は、XY平面上の任意の一軸方向のみである、
付記21に記載の基板貼り合せ装置。
【0139】
<付記23>実施形態1(第一の真空チャンバの移動方向規定)
前記第一の基板と前記第二の基板とを貼り合せる際に、貼り合せ精度を優先する方向が存在する場合において、この方向を貼り合せ精度優先方向と定義すると、
前記第一の真空チャンバの移動方向は、前記貼り合せ精度優先方向とは異なる方向である、
付記22記載の基板貼り合せ装置。
【0140】
<付記24>実施形態1(第一の真空チャンバの移動方向規定2)
前記第一の真空チャンバの移動方向と前記貼り合せ精度優先方向とが直交している、
付記23記載の基板貼り合せ装置。
【0141】
<付記25>実施形態1(第二の真空チャンバの移動方向規定1)
前記第二の真空チャンバは、前記XY平面に移動方向が存在しない、
付記22乃至24のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0142】
<付記26>実施形態1(第二の真空チャンバの移動方向規定2)
前記第二の真空チャンバは、前記Z方向にのみ移動する、
付記22乃至25のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0143】
<付記27>実施形態1(第一の撮像部の制御部)
前記第一の撮像部は、前記第一の真空チャンバの移動方向に対して少なくとも二箇所の位置で、前記移動方向と垂直な方向に存在する前記第二の基板を撮影する、
付記21乃至26のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0144】
<付記28>実施形態1(第一の真空チャンバ=下真空チャンバ、第二の真空チャンバ=上真空チャンバ)
前記第一の真空チャンバは前記閉空間の下側に配置される真空チャンバであり、
前記第二の真空チャンバは前記閉空間の上側に配置される真空チャンバである、
付記21乃至27のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0145】
<付記29>実施形態1、2(真空排気方向)
第一の基板を保持する第一のテーブルを有する第一の真空チャンバと、
第二の基板を保持する第二のテーブルを有する第二の真空チャンバと、を備え、
前記第一の真空チャンバと前記第二の真空チャンバにより形成された閉空間を減圧して、粘着フィルム又は接着剤を用いて貼り合せる基板貼り合せ装置において、
前記第一の真空チャンバ又は前記第二の真空チャンバに接続され、前記閉空間を減圧する真空排気部を更に備え、
前記第一の基板と前記第二の基板とを貼り合せる際に、貼り合せ精度を優先する方向が存在する場合において、この方向を貼り合せ精度優先方向と定義すると、
前記真空排気部による減圧排気方向は前記貼り合せ精度優先方向とは異なる、
ことを特徴とする基板貼り合せ装置。
【0146】
<付記30>実施形態1、2(真空排気方向2)
前記第一のテーブル又は前記第二のテーブルに設けられた精度確保機構を更に備え、
この精度確保機構が動作する方向を貼り合せ精度優先方向とし、
前記減圧排気方向が前記貼り合せ精度優先方向とは異なる方向である、
付記29に記載の基板貼り合せ装置。
【0147】
<付記31>実施形態1、2(真空排気方向3)
前記貼り合せ精度優先方向と前記減圧排気方向は略直交する、
付記29又は30記載の基板貼り合せ装置。
【0148】
<付記32>実施形態1(第一の真空チャンバの移動方向規定)
前記第一の真空チャンバの移動方向は、前記減圧排気方向と略平行である、
付記29乃至31のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0149】
<付記33>実施形態2(第二の真空チャンバの移動方向規定1)
前記第二の真空チャンバは前記減圧排気方向にのみ移動する
付記29乃至32のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0150】
<付記34>実施形態2(第一の真空チャンバ=下真空チャンバ、第二の真空チャンバ=上真空チャンバ)
前記第一の真空チャンバは前記閉空間の下側に配置される真空チャンバであり、
前記第二の真空チャンバは前記閉空間の上側に配置される真空チャンバである、
付記29乃至33のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0151】
<付記35>
前記第一の基板は、光学素子又は表示パネルのどちらか一方であり、
前記第二の基板は、その他方である、
付記21乃至34のいずれか一つに記載の基板貼り合せ装置。
【0152】
<付記36>実施形態1(撮像工程)
第一の基板を保持する第一のテーブルを有する第一の真空チャンバと、
第二の基板を保持する第二のテーブルを有する第二の真空チャンバと、
前記第一の真空チャンバに設けられ、前記第二の基板の位置情報を読み取る第一の撮像部と、を備え、
前記第一のテーブル及び前記第二のテーブルの基板保持面をXY平面、このXY平面に直交する方向をZ方向と定義すると、前記第一の真空チャンバの移動方向は、XY平面上の任意の一軸方向のみであり、
前記第一の真空チャンバと前記第二の真空チャンバとにより形成された閉空間を減圧して、粘着フィルム又は接着剤を用いて貼り合せる基板貼り合せ装置、
を用いて前記第一の基板と前記第二の基板とを貼り合せる基板貼り合せ方法であって、
前記第一の真空チャンバが基板保持位置にあり、前記第一のテーブルに前記第二の基板を保持させる第一の工程と、
前記第二の基板を含む前記第一の真空チャンバを前記基板保持位置から前記移動方向に沿って、前記Z方向に前記第二の真空チャンバが位置する閉空間形成位置まで移動させる第二の工程と、
前記第二の真空チャンバが前記Z方向に降下して、前記第二の基板を前記第一のテーブルから前記第二のテーブルに移す第三の工程と、
前記第二の真空チャンバが前記Z方向に上昇する第四の工程と、
前記第一の真空チャンバが前記閉空間形成位置から前記基板保持位置に戻る第五の工程と、
前記第五の工程を実施する際に、前記第一の真空チャンバと一体化した前記第一の撮像部により、前記第二の基板のマークを撮影する第六の工程と、
を含むことを特徴とする基板貼り合せ方法。
【0153】
<付記37>実施形態3
付記36に記載の基板貼り合せ方法を用いて製造された立体画像表示装置。