(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(光束制御部材および発光装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る発光装置100の断面図である。
図1に示されるように、発光装置100は、発光素子110および光束制御部材120を有する。
【0015】
発光素子110は、発光装置100の光源であり、不図示の基板上に実装されている。発光素子110は、例えば、白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。
【0016】
光束制御部材120は、発光素子110から出射された光の配光を制御する。光束制御部材120は、その中心軸CAが発光素子110の光軸LAに合致するように配置されている。なお、後述する光束制御部材120の入射領域121および出射領域122の形状はいずれも回転対称であり、かつこれらの回転軸は一致する。この入射領域121および出射領域122の回転軸を「光束制御部材の中心軸CA」という。また、「発光素子の光軸LA」とは、発光素子110からの立体的に出射された光束の中心の光線を意味する。
【0017】
図2〜
図4は、実施の形態1に係る光束制御部材120の構成を示す図である。
図2は、斜視図である。
図3Aは、平面図であり、
図3Bは、底面図であり、
図3Cは、側面図である。
図4Aは、
図3Bに示されるA−A線の断面図であり、
図4Bは、
図4Aにおいて破線で示される領域の部分拡大断面図である。
【0018】
図2〜
図4に示されるように、光束制御部材120は、発光素子110から出射された光を入射させる入射領域121と、入射領域121の反対側に位置し、入射領域121で入射した光を出射させる出射領域122とを有する。入射領域121と出射領域122との間には、フランジ123が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。本実施の形態では、入射領域121と出射領域122との間には、フランジ123が設けられている。
【0019】
光束制御部材120の平面視形状は、特に限定されない。
図3Aに示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材120の平面視形状は、円形である。また、本実施の形態に係る光束制御部材120の直径は、例えば4.7mm程度である。
【0020】
光束制御部材120の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。光束制御部材120の材料は、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。光束制御部材120は、例えば、射出成形により製造することができる。
【0021】
入射領域121は、発光素子110から出射された光を入射させる。
図4Aに示されるように、入射領域121は、入射領域121の中央部分に位置する屈折部130と、屈折部130の外側に配置された反射部140とを有する。入射領域121の形状は、前述のとおり、その中心を回転軸として回転対称である。この回転軸は、光束制御部材120の中心軸CAおよび発光素子110の光軸LAと一致する。入射領域121の外形は、円形である。
【0022】
屈折部130は、発光素子110から出射された光の一部(光軸LAに対して比較的小さな角度で出射された光)を光束制御部材120の内部に入射させるとともに、入射した光を、光束制御部材120内を伝搬するに従って発光素子110の光軸LAから離れるように屈折させる(後述する
図5A、B参照)。屈折部130の形状は、このような機能を発揮することができれば特に限定されない。屈折部130の形状の例には、フレネルレンズ形状や球面形状、非球面形状などが含まれる。本実施の形態では、屈折部130の形状は、フレネルレンズ形状である。
【0023】
反射部140は、発光素子110から出射された光の他の一部(光軸LAに対して比較的大きな角度で出射された光)を入射させるとともに、入射した光の大部分を、光束制御部材120内を伝搬するに従って光軸LAに近づくように反射させる。反射部140では、入射した光のうちの一部は、反射されなくてもよい(後述する
図5B参照)。反射部140は、光軸LAを取り囲むように配置された円環状の突起141を有する。突起141の数は、特に限定されず、例えば、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、突起141の形状および大きさも、上記の機能が発揮できれば特に限定されない。突起141の数が2以上の場合、各突起141の形状および大きさは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態では、突起141の数は2つであり、各突起141の形状は、異なる。
【0024】
突起141は、
図4Bに示されるように、入射面142、反射面143および接続面144を有する。突起141において、入射面142は、内側(中心軸CA側)に配置され、反射面143は外側に配置され、接続面144は、入射面142および反射面143を接続するように配置されている。
【0025】
入射面142は、発光素子110から出射された光の他の一部(光軸LAに対して比較的大きな角度で出射された光)を突起141の内部に入射させる曲面である。入射面142は、中心軸CA(光軸LA)に平行であってもよいし、中心軸CAに対して傾斜していてもよい。本実施の形態では、射出成形時における離型を容易にする観点から、入射面142は、光束制御部材120の下端部(基準面)に近づくにつれて、中心軸CAから離れるように傾斜している。ここで「光束制御部材の下端部」とは、突起141(本実施の形態では、外側の突起141)の頂部を意味し、「基準面」とは、突起141の頂部を含む平面を意味する。入射面142の傾斜角度は、中心軸CAを含む任意の断面において、中心軸CAに対して0°超であって、10°以下の範囲内であることが好ましい。入射面142の傾斜角度は、5°以下であることが好ましい。
【0026】
反射面143は、入射面142と対に形成され、入射面142で入射した光を出射領域122に向けて光軸LAに近づく方向に反射させる曲面である。また、反射面143は、到達した光を全反射させる観点から、中心軸CAに対して傾斜している。反射面143は、突起141の下端部(基準面)に近づくにつれて、中心軸CAに近づくように傾斜している。たとえば、反射面143は、中心軸CA(光軸LA)に対して22〜30°傾斜している。
【0027】
接続面144は、入射面142および反射面143を繋ぐ。本実施の形態では、接続面144は、発光素子110から出射され、到達した光を突起141の内部に入射させるとともに、入射した光を、光束制御部材120内を伝搬するに従って発光素子110の光軸LAから離れるように屈折させる。接続面144は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。本実施の形態では、接続面144は、曲面である。また、接続面144を形成せずに、入射面142と反射面143とを直接繋いでもよい。
【0028】
出射領域122は、入射領域121の反対側に形成され、入射領域121で入射した光を出射させる。出射領域122は、発光素子110とは反対側の被照射領域側に形成された平面または曲面である。本実施の形態では、出射領域122は、平面である。また、出射領域122の面積は、光束制御部材120の中心軸CAに沿う方向の、入射領域121側または出射領域122側からの光束制御部材120の投影面積より小さい。
図4A、Bに示されるように、出射領域122は、光束制御部材120の中心軸CAと交わるように形成されている。出射領域122は、反射部140で反射された光を出射領域122から離れるに従って光軸LAに近づくように出射させる。この光は、光軸LAに最接近した後は、出射領域122から離れるに従って光軸LAから離れる。また、出射領域122は、屈折部130で屈折された光、および反射部140の接続面144で屈折された光も出射させるが、これらの光を出射させる方向は、特に限定されない。本実施の形態では、出射領域122は、屈折部130で屈折された光と、反射部140の接続面144で屈折された光とを、出射領域122から離れるに従って光軸LAから離れるように出射させる。
【0029】
(光束制御部材の配光特性)
ここで、実施の形態1に係る光束制御部材120の配光特性について説明する。
図5A、Bは、実施の形態1に係る発光装置100における光路を示す図である。
図5Aは、屈折部130で光束制御部材120の内部に入射した光の光路を示す図であり、
図5Bは、屈折部130における外側の領域と反射部140とで光束制御部材120の内部に入射した光の光路を示す図である。
【0030】
図5A、Bに示されるように、発光素子110から出射された光の一部(光軸LAに対して比較的小さな角度で出射された光)は、屈折部130で光束制御部材120の内部に入射する。このとき、入射光は、光束制御部材120内を伝播するに従って発光素子110の光軸LAから離れるように屈折され、出射領域122で出射領域122から離れるに従って発光素子110の光軸LAから離れるように出射される。
【0031】
また、
図5Bに示されるように、発光素子110から出射された光の他の一部(光軸LAに対して比較的大きな角度で出射された光)は、反射部140の入射面142および接続面144で光束制御部材120の内部に入射する。入射面142で入射した光は、反射面143で発光素子110の光軸LAに近づく方向に反射され、出射領域122から発光素子110の光軸LAに近づくように出射される。一方、接続面144で入射した光は、出射領域122で出射領域122から離れるに従って発光素子110の光軸LAから離れるように出射される。なお、
図5A、Bでは、フランジ123の上面(出射領域122の外側に位置する面)に遮光板150が配置されているため、フランジ123からの出射光は、照射光として有効に利用されない。
【0032】
(シミュレーション)
上述した実施の形態に係る光束制御部材120を有する発光装置100について、光度分布のシミュレーションを行った。比較のため、入射領域121における反射部140を遮光した発光装置と、屈折部130を遮光した発光装置とについてのシミュレーションも行った。このとき、フランジ123の上面(出射領域122の外側に位置する面)には、貫通孔(窓部)が形成された遮光板150を配置した(
図5A、B参照)。この貫通孔の内側に位置する光束制御部材120の上面が出射領域122となる。さらに、比較のため、光束制御部材120および遮光板150を有さず、発光素子110のみを有する発光装置(以下、「比較例1に係る発光装置」ともいう)と、発光素子110上に遮光板150のみが配置された発光装置(以下、「比較例2に係る発光装置」ともいう)とについても、光度分布のシミュレーションを行った。このとき、比較例2に係る発光装置では、遮光板150の貫通孔(窓部)は、本実施の形態に係る光束制御部材120の出射領域122に相当する位置に配置されている。
【0033】
図6は、本実施の形態に係る発光装置100と、比較用の発光装置とについての光度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図6において、横軸は発光素子110の光軸LAを基準(0°)としたときの発光装置の出射領域122から出射された光の出射角(°)を示し、縦軸は発光装置から出射された光の光度(cd)を示す。また、
図6において、本実施の形態に係る発光装置100についてのシミュレーション結果を太い実線で示し、反射部140を遮光した発光装置についてのシミュレーション結果を一点鎖線で示し、屈折部130を遮光した発光装置についてのシミュレーション結果を太い破線で示し、発光素子110のみを有する発光装置(比較例1に係る発光装置)についてのシミュレーション結果を細い破線で示し、発光素子110および遮光板150のみを有する発光装置(比較例2に係る発光装置)についてのシミュレーション結果を細い実線で示す。
【0034】
図6において細い破線で示されるように、発光素子110のみを有する発光装置(比較例1に係る発光装置)は、−90°〜+90°の方向に光を出射することがわかった。ここで、平面状の被照射面に光を照射する場合を考えると、出射角が小さい光と出射角が大きい光とでは、被照射面までの距離および被照射面への入射角が異なる。このため、出射角が小さい光と出射角が大きい光とが同じ光度であったとしても、被照射面のうち出射角が大きい光が到達する領域では、照度が小さくなってしまう。
図6に示されるように、比較例1に係る発光装置では、0°の方向(光軸LA方向)の光度が最も大きく、出射角が大きくなるほど光度が小さくなっていた。上記の点を考慮すると、比較例1に係る発光装置では、被照射領域の外周部において光量不足となることがわかる。
【0035】
また、
図6において細い実線で示されるように、発光素子110および遮光板150のみを有する発光装置(比較例2に係る発光装置)は、−60°〜+60°の方向に光を出射し、−45°〜+45°の範囲外では急激に光度が低下することがわかった。このことから、本実施の形態では、遮光板150は、発光素子110から−45°〜+45°の範囲外の方向に出射された光を遮光し、−45°〜+45°の範囲内の光によってスポット状に被照射面を照らすように制御するものであることがわかる。
【0036】
また、
図6において一点鎖線で示されるように、反射部140を遮光した発光装置では、−45°〜+45°の範囲内における光度が低減されることがわかった。具体的には、光束制御部材120を有しない発光装置(比較例1および比較例2に係る発光装置)と比較して、0°の方向(光軸LA方向)の光度が低減されることにより、被照射面の中心部における明部の発生を抑制することができることがわかった。このことから、屈折部130は、入射した光を光軸LAから離れる方向に屈折させて、拡げることに寄与していることがわかった。
【0037】
さらに、
図6において太い破線で示されるように、屈折部130を遮光した発光装置は、−60°〜−30°および+30°〜+60°の方向であって、被照射面の外周部を照らす方向(出射角:±45°)にピークをもって光を出射することがわかった。前述のとおり、反射部140は、大きい出射角で出射された光の一部を、反射面143で発光素子110の光軸LAに近づく方向に反射する(
図5B参照)。このことから、反射部140は、発光素子110から大きい出射角で出射された光を発光素子110の光軸LA側(本実施の形態では、−60°〜−30°および+30°〜+60°の方向、特に、被照射面の外周部を照らすための±45°の方向)に集めることができる。すなわち、反射部140は、比較例2に係る発光装置では遮光板150に遮光されてしまうような光を適切に制御して、遮光板150の窓部(出射領域122)から出射させ、被照射面の外周部における光量不足を補うことに寄与していることがわかった。
【0038】
結果として、
図6において太い実線で示されるように、本実施の形態に係る発光装置100は、−45°〜+45°の方向において、平面状の被照射面の照射光に適した光度分布を有する光を出射することができる。また、前述したとおり、出射角が大きい光は、出射角が小さい光と比較して、被照射面までの距離が長い。このため、平面状の被照射面に均一に光を照射する観点からは、出射角が大きい光が、出射角が小さい光より、相対的に高い光度を有することが好ましい(実施の形態2のシミュレーション参照)。本実施の形態に係る発光装置100では、比較例1および比較例2に係る発光装置と比較して、出射角が小さい光については(−30°〜+30°)、出射光の光度を低減させ、出射角が大きい光については(−65°〜−30°、+30°〜+65°、特に被照射面の外周部に相当する±45°)、出射光の光度を増加させることができる。このことから、本実施の形態に係る発光装置100は、被照射領域の外周部における光量不足を補うことができることがわかる。
【0039】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る光束制御部材120は、入射領域121において、小面積に制限された出射領域122に光を導くことができるように形成された反射部140を有しているため、発光素子110から出射された光の配光を適切に制御することができる。また、入射領域121において、光軸LA近傍の光を拡げる屈折部130を有しているため、被照射面の中心部において明部が発生することを抑制することができる。これらにより、本実施の形態に係る発光装置100は、被照射領域に光を均一に照射することができる。また、前述のとおり、本実施の形態に係る発光装置100では、反射部140により発光素子110から大きい出射角で出射された光を適切に制御することができるため、光の利用効率を高めることができる。さらに、本実施の形態に係る光束制御部材120では、フレネルレンズ形状を有する屈折部130は、発光素子110側に形成されており、外部に晒されていないため、傷付きなどによって光の配光特性が失われるおそれがない。
【0040】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る光束制御部材220および発光装置200は、光束制御部材220の形状のみが実施の形態1に係る光束制御部材120および発光装置100とそれぞれ異なる。そこで、実施の形態1に係る光束制御部材120および発光装置100と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。なお、本実施の形態では、第2反射部224が新たに登場するため、反射部140を第1反射部140と称することとする。
【0041】
(光束制御部材の構成)
図2、
図7〜
図8は、実施の形態2に係る光束制御部材220の構成を示す図である。
図2は、斜視図である。
図7Aは、平面図であり、
図7Bは、底面図であり、
図7Cは、側面図である。
図8Aは、
図7Bに示されるA−A線の断面図であり、
図8Bは、
図8Aにおいて破線で示される領域の部分拡大断面図である。
【0042】
図2、
図7〜
図8に示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材220は、入射領域121、出射領域222、フランジ123および第2反射部224を有する。本実施の形態では、光束制御部材220の上部には、平面視形状が円形の凸部が形成されている。凸部の天面は出射領域222として機能し、凸部の側面は第2反射部224として機能する。第2反射部224は、入射領域121および出射領域222の間において光軸LAを取り囲むように配置されている。後述する遮光板150の開口部に凸部を嵌入することで、出射領域222が規定される。すなわち、フランジ123の上面が出射領域222として機能しないことが決定する。
【0043】
光束制御部材220の平面視形状は、特に限定されない。
図7Aに示されるように、本実施の形態に係る光束制御部材220の平面視形状は、円形である。また、本実施の形態に係る光束制御部材220の直径は、例えば4.7mm程度である。光束制御部材220の材料は、実施の形態1に係る光束制御部材120と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
第2反射部224は、
図7Cに示されるように、光束制御部材220の上部に形成された凸部の側面である。第2反射部224は、光束制御部材220内に入射した光の一部を出射領域222に向けて、光束制御部材220内を伝搬するに従って光軸LAに近づく方向に反射させる。本実施の形態では、第2反射部224は、屈折部130の周縁部で入射した光を出射領域222に向けて、光束制御部材220内を伝搬するに従って光軸LAに近づく方向に反射させる。第2反射部224は、入射領域121および出射領域222の間において光軸LAを取り囲むように配置された、曲面である。また、第2反射部224は、中心軸CA(光軸LA)に平行であってもよいし、中心軸CAに対して傾斜していてもよい。本実施の形態では、第2反射部224は、中心軸CAに平行である。
【0045】
出射領域222は、
図7Cに示されるように、光束制御部材220の上部に形成された凸部の天面である。出射領域222は、入射領域121の反対側に形成された平面または曲面であり、入射領域121で入射した光を出射させる。本実施の形態では、出射領域222は、平面である。また、出射領域222の面積は、光束制御部材220の投影面積より小さい。
図8Aに示されるように、出射領域222は、光束制御部材120の中心軸CAと交わるように形成されている。出射領域222は、第1反射部140または第2反射部224で反射された光を、出射領域122から離れるに従って光軸LAに近づくように出射させる。この光は、光軸LAに最接近した後は、出射領域222から離れるに従って光軸LAから離れる。また、出射領域222は、屈折部130で屈折された光で屈折された光の一部も出射させるが、出射させる方向は、特に限定されない。本実施の形態では、出射領域222は、屈折部130で屈折された光の一部を、出射領域222から離れるに従って光軸LAから離れるように出射させる。
【0046】
(光束制御部材の配光特性)
ここで、実施の形態2に係る光束制御部材220の配光特性について説明する。
図9A、Bは、実施の形態2に係る発光装置200における光路を示す図である。
図9Aは、屈折部130で光束制御部材220の内部に入射した光の光路を示す図であり、
図9Bは、屈折部130における外側の領域と、第1反射部140とで光束制御部材220の内部に入射した光の光路を示す図である。
【0047】
図9A、Bに示されるように、発光素子110から出射された光の一部(光軸LAに対して比較的小さな角度で出射された光)は、屈折部130で光束制御部材220の内部に入射する。このとき、入射光は、光束制御部材220内を伝播するに従って発光素子110の光軸LAから離れるように屈折され、出射領域222で出射領域222から離れるに従って発光素子110の光軸LAから離れるように出射される。一方、
図9Bに示されるように、屈折部130における外側の領域で、光束制御部材220内を伝搬するに従って発光素子110の光軸LAから離れるように屈折された光は、第2反射部224で発光素子110の光軸LAに近づく方向に反射され、出射領域222で出射領域222から離れるに従って発光素子110の光軸LAに近づくように出射される。
【0048】
また、
図9Bに示されるように、発光素子110から出射された光の他の一部(光軸LAに対して比較的大きな角度で出射された光)は、第1反射部140の入射面142および接続面144で光束制御部材220の内部に入射する。入射面142で入射した光は、反射面143で発光素子110の光軸LAに近づく方向に反射され、出射領域222で出射領域222から離れるに従って発光素子110の光軸LAに近づくように出射される。一方、接続面144で入射した光は、第2反射部224で発光素子110の光軸LAに近づく方向に反射され、出射領域222で出射領域222から離れるに従って発光素子110の光軸LAに近づくように出射される。
【0049】
(第2反射部の配光特性)
ここで、特に、第2反射部224による配光制御について説明する。比較のために、第2反射部224を有しない実施の形態1に係る光束制御部材120の配光特性と対比しつつ説明する。
図10Aおよび
図11Aは、実施の形態1に係る発光装置100における光路を示す図であり、
図10Bおよび
図11Bは、実施の形態2に係る発光装置200における光路を示す図である。
図10Aおよび
図10Bでは、屈折部130で入射した光の光路を示している。
図11Aおよび
図11Bでは、(第1)反射部140で入射した光の光路を示している。
【0050】
実施の形態1に係る光束制御部材120では、
図10Aに示されるように、発光素子110から出射された光の一部(光軸LAに対して比較的小さな角度で出射された光)は、屈折部130で光束制御部材120の内部に入射しつつ、発光素子110の光軸LAから離れる方向に屈折される。次いで、出射領域122に到達した光の全部は、発光素子110の光軸LAから離れる方向に出射される。
【0051】
実施の形態2に係る光束制御部材220でも、
図10Bに示されるように、発光素子110から出射された光の一部(光軸LAに対して比較的小さな角度で出射された光)は、屈折部130で光束制御部材220の内部に入射しつつ、光束制御部材220内を伝播するに従って発光素子110の光軸LAから離れるように屈折される。次いで、屈折部130で入射した光の大部分は、そのまま出射領域222で、出射領域222から離れるに従って発光素子110の光軸LAから離れるように出射される。しかし、実施の形態2に係る発光装置200では、屈折部130における外側の領域で入射した光は、出射領域222に到達する前に第2反射部224に到達する。第2反射部224に到達した光は、発光素子110の光軸LAに近づく方向に反射される。このため、屈折部130における外側の領域で入射した光は、最終的に出射領域222で出射領域222から離れるに従って発光素子110の光軸LAに近づくように出射される。
【0052】
また、実施の形態1に係る光束制御部材120では、
図11Aに示されるように、発光素子110から出射された光の他の一部(光軸LAに対して比較的大きな角度で出射された光)は、(第1)反射部140の入射面142または接続面144で光束制御部材120の内部に入射する。(第1)反射部140に入射した光のうち、接続面144で入射した光の一部は、光束制御部材220内を伝播するに従って発光素子110の光軸LAから離れるように屈折され、出射領域122で出射領域222から離れるに従って発光素子110の光軸LAから離れるように出射される。
【0053】
実施の形態2に係る光束制御部材220でも、
図11Bに示されるように、発光素子110から出射された光の一部(光軸LAに対して比較的大きな角度で出射された光)は、第1反射部140の入射面142または接続面144で光束制御部材220の内部に入射する。第1反射部140に入射した光のうち、接続面144で入射した光の一部は、光束制御部材220内を伝播するに従って発光素子110の光軸LAから離れるように屈折される。しかし、実施の形態2に係る発光装置200では、接続面144で入射した光の一部は、出射領域222に到達する前に第2反射部224に到達する。第2反射部224に到達した光は、発光素子110の光軸LAに近づく方向に反射される。このため、接続面144で入射した光の一部は、最終的に出射領域222で出射領域222から離れるに従って発光素子110の光軸LAに近づくように出射される。
【0054】
(シミュレーション)
上述した実施の形態に係る光束制御部材220を有する発光装置200について、実施の形態1と同様に、光度分布のシミュレーションを行った。このとき、比較のため、入射領域121における第1反射部140を遮光した発光装置と、屈折部130を遮光した発光装置とについてのシミュレーションも行った。さらに、比較のため、実施の形態1と同様に、発光素子110のみを有する発光装置(比較例1に係る発光装置)と、発光素子110および遮光板150のみを有する発光装置(比較例2に係る発光装置)についても、光度分布のシミュレーションを行った。また、本実施の形態では、実施の形態2に係る発光装置、比較例1に係る発光装置および比較例2に係る発光装置について、照度分布のシミュレーションも行った。
【0055】
図12A、Bは、本実施の形態に係る発光装置200と、比較用の発光装置とについての光度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図12Aにおいて、横軸は発光素子110の光軸LAを基準(0°)としたときの発光装置の出射領域122から出射された光の出射角(°)を示し、縦軸は発光装置から出射された光の光度(cd)を示す。
図12Bでは、縦軸は、出射角が0°の光の光度を基準(1)としたときの光度比(相対光度)を示す。
【0056】
図13は、本実施の形態に係る発光装置200、比較例1に係る発光装置および比較例2に係る発光装置についての照度分布のシミュレーション結果を示す図である。
図13は、発光素子110の発光面から1m離れた平面状の被照射面を想定したときの、被照射面における照度分布のシミュレーション結果である。
図13において、横軸は発光素子110の光軸LAを基準(0°)としたときの発光装置の出射領域122から出射された光の出射角(°)を示す。また、縦軸は各出射角で出射された光が被照射面に到達した地点における相対照度(照度比)を示す。このとき、出射角が0°の光(被照射面の中心を照射される光)が到達した地点における照度を基準(1)として上記の照度比(相対照度)を計算した。
【0057】
また、
図12A、Bおよび
図13において、本実施の形態に係る発光装置200についてのシミュレーション結果を太い実線で示し、発光素子110のみを有する発光装置(比較例1に係る発光装置)についてのシミュレーション結果を細い破線で示し、発光素子110および遮光板150のみを有する発光装置(比較例2に係る発光装置)についてのシミュレーション結果を細い実線で示す。また、
図12Aにおいて、第1反射部140を遮光した発光装置についてのシミュレーション結果を一点鎖線で示し、屈折部130を遮光した発光装置についてのシミュレーション結果を太い破線で示す。
【0058】
実施の形態1で述べたとおり、発光素子110のみを有する発光装置(比較例1に係る発光装置)は、被照射面に均一に光を照射することができないことがわかる(
図12Aにおける細い破線参照)。また、比較例1に係る発光装置と、比較例2に係る発光装置との比較から、本実施の形態においても、遮光板150は、発光素子110から−45°〜+45°の範囲外の方向に出射された光を遮光し、−45°〜+45°の範囲内の方向に出射された光によってスポット状に被照射面を照らすように制御していることがわかる(
図12Aにおける細い実線参照)。
【0059】
これに対し、
図12Aにおいて一点鎖線で示されるように、第1反射部140を遮光した発光装置は、−80°〜+80°の方向に光を出射することがわかった。このことから、実施の形態2においても、屈折部130は、入射した光を拡げて、被照射面の中央部(出射角が0°の方向)において、光度を低減させ、明部の発生を抑制することに寄与していることがわかった。このとき、出射光の出射角の範囲(−80°〜+80°)が、実施の形態1に係る発光装置が出射する光の出射角の範囲(−65°〜+65°)より広いことから、第2反射部224が屈折部130で入射した光の一部を、より広範囲に拡げることに寄与していることがわかった(
図10B参照)。
【0060】
また、屈折部130を遮光した発光装置は、−60°〜−30°および+30°〜+60°の方向に光を出射することがわかった。実施の形態2においても、反射部140は、比較例2に係る発光装置では遮光板150に遮光されてしまうような光を適切に制御して、遮光板150の窓部(出射領域122)から出射させるとともに、被照射面の外周部に到達する光を増やすことに寄与していることがわかった。このとき、第2反射部224は、拡がりすぎた光を発光素子110の光軸LA側に向けることで、被照射面の外周部に到達する光を増やすことに寄与している(
図11B参照)。
【0061】
結果として、
図12A、Bにおいて太い実線で示されるように、本実施の形態に係る発光装置200は、出射角が小さい光については(−30°〜+30°)、出射光の光度を低減させ、出射角が大きい光については(−80°〜−30°、+30°〜+80°)、出射光の光度を増加させることができる。このように実施の形態2に係る発光装置200では、出射角が大きい光が、出射角が小さい光より、相対的に高い光度を有する。したがって、
図13に示されるように、本実施の形態に係る発光装置200は、比較例1および比較例2に係る発光装置と比較して、被照射面の外周部における光量不足を補うことで、より均一に被照射面に光を照射することができる。具体的には、本実施の形態に係る発光装置200は、約±40°の方向においても、光軸LA方向への出射光の50%以上の照度で、被照射面に光を照射することができる。
【0062】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る光束制御部材220および発光装置200は、実施の形態1に係る光束制御部材120および発光装置100と同様の効果を奏し、さらに第2反射部224によって、より広範囲に、かつ均一に光を照射することができる。
【0063】
なお、実施の形態2に係る光束制御部材220では、光軸LAから第1反射部140の最も外側に位置する突起141の反射面143の外縁までの距離が、光軸LAから出射領域222の外縁までの距離とほぼ同じである場合について説明したが、最も外側に位置する突起141の反射面143の位置は、これに限定されない。
図14A〜Cは、実施の形態2の変形例に係る光束制御部材220’の構成を示す図である。
図14Aは、斜視図を示し、
図14Bは、側面図を示し、
図14Cは、
図14Aに示されるC−C線の断面図を示す。光束制御部材220’では、第1反射部140’(突起141’)の反射面143’で光軸LAに近づく方向に光を反射させる。このため、
図14B、Cに示されるように、第1反射部140’の最も外側に位置する突起141’の反射面143’の内縁は、光軸LAに対して出射領域222’の外縁よりも離れた位置に配置されていてもよい。この場合でも、第1反射部140’が発光素子110から大きい出射角で出射された光の配光を適切に制御して、出射領域222’から光を出射させることができる。