(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の内装体の身体面に設けた区間線によって吸収要素の吸収体を区画して、パンツタイプ使い捨ておむつの装着時した場合に、装着者の背側部からの排泄物の外部への漏れ出しを防止した構造の理解を容易にするために、先ずパンツタイプ使い捨ておむつ100について添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、パンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品の外面をなす外装体12と、外装体12の内面に貼り付けられた内装体200とから形成されている。
【0021】
<内装体>
図2に示すように、内装体200は、平面視において長方形に形成されているが、任意の形状にすることもできる。なお、本明細書において「前後方向」とは、腹側と背側を結ぶ方向を言い、「幅方向」とは、前後方向と直交する方向を言い、「上下方向」とは、パンツタイプ使い捨ておむつ100の装着状態において胴回り方向と直交する方向を言うものとする。
【0022】
図4,5に示すように、内装体200は、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。また、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間には、中間シート40が設けられ、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側には、身体側に起立する立体ギャザー60が設けられている。なお、
図4,5等の点模様部分は各構成部材を固定する固定部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。
【0023】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法である。
【0024】
(中間シート)
中間シート40は、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m
2が好ましく、25〜60g/m
2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。なお、目付けとは、次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。また、中間シート40は、必須の部材ではなく省略する事もできる。
【0025】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて固定した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0026】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重して、二つに折りにしたギャザーシート62の間に折り返し部分から弾性伸縮シート11の幅方向の両側部まで延在する防水シート64を設け、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状の弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66とされている。なお、立体ギャザー60の折り返しの形状等は、特に制限はなく他の折り返し形状にすることもできる。
【0027】
ギャザーシート62は、スパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m
2程度とするのが好ましい。弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、ギャザーシート62は、特に制限はなく他の不織布を使用することもできる。
【0028】
立体ギャザー60の自由部分に設けられる弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔は3〜10mmが適当である。このように構成すると、弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも弾性伸縮部材63を配置しても良い。
【0029】
防水シート64は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて固定した積層シートなどを例示することができる。なお、防水シート64の幅方向の内側部は、液不透過性シート11の幅方向の両側部にホットメルト接着剤等で固定されている。
【0030】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、吸収体56を包む包装シート58とから形成されている。
【0031】
(第1実施形態の吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m
2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m
2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0032】
図7に示すように、吸収体56は、装着者にパンツタイプ使い捨ておむつ100を装着した場合に、装着者の仙骨部に位置する略逆三角形状に形成された吸収体仙骨部
(請求項の「第1吸収体部」)70と、装着者の股間部における前後方向の前側部と腹部に位置する略長方形状に形成された吸収体腹側部
(請求項の「第2吸収体部」)71と、吸収体仙骨部70と吸収体腹側部71の間に形成された装着者の右臀部に位置する吸収体右臀部
(請求項の「第3吸収体部」)72と、吸収体仙骨部70と吸収体腹側部71の間に形成された装着者の左臀部に位置する吸収体左臀部
(請求項の「第4吸収体部」)73に区画されている。また、吸収体腹側部71と吸収体右臀部72の幅方向の外側部及び吸収体腹側部71と吸収体右臀部72の幅方向の外側部にはそれぞれ略円弧状の切欠き部57が設けられてくびれ部が形成されている。
【0033】
略逆三角形状に形成された吸収体仙骨部70の底辺は、吸収体56の前後方向における背側端部に位置し、
図8に示すように、吸収体仙骨部70の頂点は、装着者にパンツタイプ使い捨ておむつ100を装着した場合に、背面視において装着者の尾骨に位置するように、吸収体56の幅方向の中心部であって、且つ、吸収体56における外装体12を前後方向に4分割する第1仮想線59Aの近傍に位置している。また、吸収体仙骨部70は、包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれ、表面シート30の反身体面は、外装体12の身体面に固定されている。なお、外装体12に表面シート30を確実に固定するために、表面シート30の反身体面における均一に分散された30%以上の部位を固定するのが好適である。
【0034】
略長方形状に形成された吸収体腹側部71の前後方向における腹側の辺は、吸収体56の前後方向における腹側端部に位置し、吸収体腹側部71の前後方向における背側の辺は、装着者にパンツタイプ使い捨ておむつ100を装着した場合に、装着者の股間部よりも背側に位置するように、吸収体56における外装体12を前後方向に4分割する第2仮想線59Bの近傍に位置している。また、吸収体腹側部71は、吸収体右臀部72と吸収体左臀部73と共に包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれ、表面シート30における吸収体腹側部71に対向する部位の反身体面は、外装体12の身体面に固定されている。なお、外装体12に表面シート30を確実に固定するために、表面シート30の反身体面における均一に分散された30%以上の部位を固定するのが好適である。また、吸収体56における外装体12を前後方向に4分割する第3仮想線59Cは、吸収体腹側部71の切欠き部57よりも腹側に位置する。
【0035】
吸収体右臀部72は、吸収体仙骨部70の幅方向の側部に隣接する略逆三角形状に形成された右臀部後部(請求項の「第3吸収体部後部」)72Aと、右臀部後部72Aと吸収体腹側部71の間に位置する略長方形状の右臀部前部72Bから形成されている。また、吸収体右臀部72は、吸収体腹側部71と吸収体左臀部73と共に包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれている。
図9に示すように、表面シート30における右臀部後部72Aに対向する部位の反身体面は、外装体12の身体面に固定されていない。表面シート30における右臀部前部
(請求項の「第3吸収体部前部」)72Bに対向する部位の反身体面における右臀部前部72Bを幅方向に3等分する第1仮想線81Aと第2仮想線81Bで区画される中央領域82Aは、外装体12の身体面に固定され、中央領域82Aの外側に隣接する右側領域82Bと中央領域82Aの内側に隣接する左側領域82Cは、外装体12の身体面に固定されていない。また、中央領域82Aを外装体12の身体面に非固定にすることもできる。なお、右臀部後部72Aと右臀部前部72Bの幅方向の内側部に沿って、太さが470〜1240dtexで、固定時の伸長率が150〜350%の細長状の弾性伸縮部材を設けることもできる。
【0036】
吸収体左臀部73は、吸収体仙骨部70の幅方向の側部に隣接する略逆三角形状に形成された左臀部後部
(請求項の「第4吸収体部後部」)73Aと、左臀部後部73Aと吸収体腹側部71の間に位置する略長方形状の左臀部前部73Bから形成されている。また、吸収体左臀部73は、吸収体腹側部71と吸収体右臀部72と共に包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれている。
図9に示すように、表面シート30における左臀部後部73Aに対向する部位の反身体面は、外装体12の身体面に固定されていない。表面シート30における左臀部前部
(請求項の「第4吸収体部前部」)73Bに対向する部位の反身体面における左臀部前部73Bを幅方向に3等分する第1仮想線83Aと第2仮想線83Bで区画される中央領域84Aは、外装体12の身体面に固定され、中央領域84Aの外側に隣接する左側領域84Bと中央領域84Aの内側に隣接する右側領域82Cは、外装体12の身体面に固定されていない。また、中央領域84Aを外装体12の身体面に非固定にすることもできる。なお、左臀部後部73Aと左臀部前部73Bの幅方向の内側部に沿って、太さが470〜1240dtexで、固定時の伸長率が150〜350%の細長状の弾性伸縮部材を設けることもできる。所定の伸長率を有する細長状の弾性伸縮部材を設けることもできる。
【0037】
吸収体仙骨部70と吸収体右臀部72の
右臀部後部72Aは、吸収体仙骨部70の底辺の幅方向の一側から頂点に向かって右下がりに延在する区画線
(請求項の「第1区画線」)75によって区画され、吸収体仙骨部70と吸収体左臀部73の左臀部後部73Aは、吸収体仙骨部70の底辺の幅方向の他側から頂点に向かって左下がりに延在する区画線
(請求項の「第2区画線」)76によって区画され、吸収体右臀部72の右臀部前部72Bと吸収体左臀部73の左臀部前部73Bは、吸収体仙骨部70の頂部から吸収体腹側部71の背側の辺に向かって真っ直ぐ延在する区画線
(請求項の「第3区画線」)77によって区画されている。なお、区画線77は、吸収体仙骨部70の頂部から吸収体56における外装体12における前後方向の中心である第2仮想線59Bを超えて延在するのが好適である。
【0038】
区画線75は、吸収体仙骨部70と吸収体右臀部72の右臀部後部72Aを分割して別体とする所定の間隔を有するスリット線とし、区画線76は、吸収体仙骨部70と吸収体左臀部73の左臀部後部73Aを分割して別体とする所定の間隔を有するスリット線とし、区画線77は、吸収体右臀部72の右臀部前部72Bと吸収体左臀部73の左臀部前部73Bを分割して別体とする所定の間隔を有するスリット線とするのが好適である、これにより、装着者にパンツタイプ使い捨ておむつ100を装着した場合に、装着者の仙骨部に吸収体仙骨部70が密着し、装着者の動きに伴って吸収体右臀部72が容易に起立することによって装着者の右臀部に吸収体右臀部72が密着し、装着者の動きに伴って吸収体左臀部73が容易に起立することによって装着者の左臀部に吸収体左臀部73が密着して、装着者の排泄物のパンツタイプ使い捨ておむつ100の背側部分からの外部への漏れ出しを防止することができる。また、装着者の腹部には、吸収体腹側部71が密着して、装着者の排泄物のパンツタイプ使い捨ておむつ100の腹側部分からの外部への漏れ出しを防止することができる。なお、区画線75〜77の幅は、5〜20mmが好ましい。区画線75等の幅が5mm未満の場合は、製造時に区画線が潰れる虞があり、区画線75等の幅が20mm超の場合には、排泄物が区画線75等内に滞留する虞がある。また、区画線75等の幅を身体面側と反身体面側で相違させることもできる。
【0039】
また、区画線75等は、スリット線に制限されることはなく、エンボス加工等や区画線75に対向する部位の目付け量を少なくして形成された区画線75上で容易に折り込むことができる折込み線にすることもできる。これにより、外装体12の身体面に固定された吸収体仙骨部70によって拘束されることなく吸収体右臀部72の右臀部後部72A等が装着者の右臀部に向かって起立させることができ、また、製造コストを低減することもできる。
【0040】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0041】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0042】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。なお、ゲル強度とは、次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:20wt%、食塩:8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.3wt%、酸化マグネシウム七水和物:0.8wt%、純水:70.01wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
【0043】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m
2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m
2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m
2を超えると、効果が飽和する。
【0044】
(第2実施形態の吸収体)
次に、第2実施形態の吸収体56について説明する。なお、第1実施形態の吸収体56と同一部品には、同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
図10に示すように、吸収体56は、装着者にパンツタイプ使い捨ておむつ100を装着した場合に、装着者の仙骨部に位置する略W字形状に形成された吸収体仙骨部70と、装着者の股間部における前後方向の前側部と腹部に位置する略長方形状に形成された吸収体腹側部71と、吸収体仙骨部70と吸収体腹側部71の間に形成された装着者の右臀部に位置する吸収体右臀部72と、吸収体仙骨部70と吸収体腹側部71の間に形成された装着者の左臀部に位置する吸収体左臀部73と、吸収体右臀部72と吸収体左臀部73の間に形成された吸収体中央臀部74に区画されている。
【0046】
略W字形状に形成された吸収体仙骨部70の底辺は、吸収体56の前後方向における背側端部に位置し、
図11に示すように、吸収体仙骨部70の2つの頂点は、装着者にパンツタイプ使い捨ておむつ100を装着した場合に、背面視において装着者の仙骨における中心部から尾骨に偏倚した部位に位置するように、吸収体56の幅方向の左右脚部の各内側部であって、且つ、吸収体56の背部側部と吸収体56における外装体12を前後方向に4分割する第1仮想線59Aの中心部に偏倚した部位に位置している。また、吸収体仙骨部70は、包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれ、表面シート30の反身体面は、外装体12の身体面に固定されている。
【0047】
略長方形状に形成された吸収体腹側部71の前後方向における腹側の辺は、吸収体56の前後方向における腹側端部に位置し、吸収体腹側部71の前後方向における背側の辺は、装着者にパンツタイプ使い捨ておむつ100を装着した場合に、装着者の股間部よりも背側に位置するように、吸収体56における外装体12を前後方向に4分割する第2仮想線59Bの近傍に位置している。また、吸収体腹側部71は、吸収体右臀部72と吸収体左臀部73と共に包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれ、表面シート30における吸収体腹側部71に対向する部位の反身体面は、外装体12の身体面に固定されている。
【0048】
吸収体右臀部72は、吸収体仙骨部70の幅方向の側部に隣接する略逆三角形状に形成された右臀部後部72Aと、右臀部後部72Aと吸収体腹側部71の間に位置する略長方形状の右臀部前部72Bから形成されている。また、吸収体右臀部72は、吸収体腹側部71と吸収体左臀部73と共に包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれている。
図12に示すように、表面シート30における右臀部後部72Aに対向する部位の反身体面は、外装体12の身体面に固定されていない。表面シート30における右臀部前部72Bに対向する部位の反身体面における右臀部前部72Bを幅方向に3等分する第1仮想線81Aと第2仮想線81Bで区画される中央領域82Aは、外装体12の身体面に固定され、中央領域82Aの外側に隣接する右側領域82Bと中央領域82Aの内側に隣接する左側領域82Cは、外装体12の身体面に固定されていない。また、中央領域82Aを外装体12の身体面に非固定にすることもできる。
【0049】
吸収体左臀部73は、吸収体仙骨部70の幅方向の側部に隣接する略逆三角形状に形成された左臀部後部73Aと、左臀部後部73Aと吸収体腹側部71の間に位置する略長方形状の左臀部前部73Bから形成されている。また、吸収体左臀部73は、吸収体腹側部71と吸収体右臀部72と共に包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれている。
図12に示すように、表面シート30における左臀部後部73Aに対向する部位の反身体面は、外装体12の身体面に固定されていない。表面シート30における左臀部前部73Bに対向する部位の反身体面における左臀部前部73Bを幅方向に3等分する第1仮想線83Aと第2仮想線83Bで区画される中央領域84Aは、外装体12の身体面に固定され、中央領域84Aの外側に隣接する左側領域84Bと中央領域84Aの内側に隣接する右側領域82Cは、外装体12の身体面に固定されていない。また、中央領域84Aを外装体12の身体面に非固定にすることもできる。
【0050】
吸収体中央臀部74は、吸収体仙骨部70の幅方向の中心部に隣接する略三角形状に形成された中央臀部後部74Aと、吸収体右臀部72の右臀部前部72Bと吸収体左臀部73の左臀部前部73Bの間に位置する略長方形状の中央臀部前部74Bから形成されている。また、吸収体中央臀部74は、吸収体腹側部71、吸収体右臀部72及び吸収体左臀部73と共に包装シート58で包まれ、さらに包装シート58の外側から表面シート30に包まれ、表面シート30における吸収体中央臀部74に対向する部位の反身体面は、外装体12の身体面に固定されている。
【0051】
吸収体仙骨部70と吸収体右臀部72の右臀部後部72Aは、吸収体仙骨部70の底辺の幅方向の一側から頂点に向かって右下がりに延在する区画線75によって区画され、吸収体仙骨部70と吸収体左臀部73の左臀部後部73Aは、吸収体仙骨部70の底辺の幅方向の他側から頂点に向かって左下がりに延在する区画線76によって区画され、吸収体仙骨部70と吸収体中央臀部74の中央臀部後部74Aは、吸収体仙骨部70の一側の頂部から右上がりに延在した後に右下がりに延在して吸収体仙骨部70の他側の頂部に至っている区画線78によって区画され、吸収体右臀部72の右臀部前部72Bと吸収体中央臀部74の中央臀部前部74Bの幅方向の一側は、吸収体仙骨部70の一側の頂部から吸収体腹側部71の背側の辺に向かって真っ直ぐ延在する区画線79によって区画され、吸収体左臀部73の左臀部前部73Bと吸収体中央臀部74の中央臀部前部74Bの幅方向の他側は、吸収体仙骨部70の他側の頂部から吸収体腹側部71の背側の辺に向かって真っ直ぐ延在する区画線80によって区画されている。
【0052】
区画線75は、吸収体仙骨部70と吸収体右臀部72の右臀部後部72Aを分割して別体とする所定の間隔を有するスリット線とし、区画線76は、吸収体仙骨部70と吸収体左臀部73の左臀部後部73Aを分割して別体とする所定の間隔を有するスリット線とし、区画線78は、吸収体仙骨部70と吸収体中央臀部74の中央臀部後部74Aを分割して別体とする所定の間隔を有するスリット線とし、区画線79は、吸収体右臀部72の右臀部前部72Bと吸収体中央臀部74の中央臀部前部74Bの幅方向の一側を分割して別体とする所定の間隔を有するスリット線とし、区画線80は、吸収体左臀部73の左臀部前部73Bと吸収体中央臀部74の中央臀部前部74Bの幅方向の他側を分割して別体とする所定の間隔を有するスリット線とするのが好適である、これにより、装着者にパンツタイプ使い捨ておむつ100を装着した場合に、装着者の仙骨部に吸収体仙骨部70が密着し、装着者の股間部の背側部位に吸収体中央臀部74が密着し、装着者の動きに伴って吸収体右臀部72が容易に起立することによって装着者の右臀部に吸収体右臀部72が密着し、装着者の動きに伴って吸収体左臀部73が容易に起立することによって装着者の左臀部に吸収体左臀部73が密着して、装着者の排泄物のパンツタイプ使い捨ておむつ100の背側部分からの外部への漏れ出しを防止することができる。また、装着者の腹部には、吸収体腹側部71が密着して、装着者の排泄物のパンツタイプ使い捨ておむつ100の腹側部分からの外部への漏れ出しを防止することができる。なお、区画線75〜80の幅は、5〜20mmが好ましい。区画線75等の幅が5mm未満の場合は、製造時に区画線が潰れる虞があり、区画線75等の幅が20mm超の場合には、排泄物が区画線75等内に滞留する虞がある。また、区画線75等の幅を身体面側と反身体面側で相違させることもできる。
【0053】
(包装シート)
包装シート58は、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m
2、特に10〜30g/m
2のものが望ましい。
【0054】
<外装体>
外装体12は、
図3に示すように、股間部から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、股間部から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とを固定することのよって、
図1に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WOと、脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成される。なお、外装体12は、特に制限はなく前身頃Fを構成する部分と後身頃Bを構成する部分を別体にすることもできる。
【0055】
図5,6に示すように、外装体12は、二枚の第1シート材12Sと第2シート12Hを固定して形成されている。内側に位置する第2シート材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する第1シート材12Sは第2シート材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されている。また、第1シート材12Sと第2シート12Hの間には、ウエスト縁部Wに配置される細長状のウエスト縁部弾性伸縮部材17と、ウエスト下部Uに配置される細長状のウエスト下部弾性伸縮部材15と、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lに配置される細長状の中間部弾性伸縮部材16が固定されている。
【0056】
ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、ウエスト開口部WOの近傍部位に、幅方向全体にわたり連続するように、上下方向に所定の間隔を隔てて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。なお、ウエスト縁部弾性伸縮部材17における内装体200側に配置された数本のウエスト縁部弾性伸縮部材17を内装体200と重ねて配置することもできる。
【0057】
ウエスト下部弾性伸縮部材15は、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、上下方向に所定の間隔を隔てて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト下部弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0058】
中間部弾性伸縮部材16は、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、上下方向に所定の間隔を隔てて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、中間部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0059】
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「人口尿」は、尿素:20wt%、食塩:8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.3wt%、酸化マグネシウム七水和物:0.8wt%、及び純水:70.01wt%を混合したものであり、特に記載の無い限り、温度40度で使用される。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAXME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「吸水量」は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・「吸水速度」は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味し、展開状態とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「仙骨」とは、脊椎の下部に位置する大きな逆略三角形の骨で、骨盤の上方後部にあり、くさびのように寛骨に差し込まれている骨である。仙骨の上部は、腰椎の最下部と結合しており、仙骨の下部は、尾骨と結合している。