特許第6551845号(P6551845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6551845医療用試験対象物の耐久性試験装置及び耐久性試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551845
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】医療用試験対象物の耐久性試験装置及び耐久性試験方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/82 20130101AFI20190722BHJP
   G09B 23/32 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   A61F2/82
   G09B23/32
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-25374(P2016-25374)
(22)【出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2017-140334(P2017-140334A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114524
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 清隆
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0016301(US,A1)
【文献】 特開2000−342692(JP,A)
【文献】 特開2008−018029(JP,A)
【文献】 特開2015−064487(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0325117(US,A1)
【文献】 米国特許第05176153(US,A)
【文献】 国際公開第2009/031329(WO,A1)
【文献】 特開2008−020655(JP,A)
【文献】 特開2008−020654(JP,A)
【文献】 特開2008−018030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
G09B 23/28 − 23/34
G09B 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の試験用流体を循環させる流体回路により構成され、当該流体回路の途中に医療用試験対象物を設置し、前記試験用流体に人体の血流状態を模擬した流れを与えて前記医療用試験対象物の耐久性試験を行うための装置であって、
前記試験用流体が流れる流路と、当該流路の途中に設けられて前記試験対象物が設置されるとともに、屈曲変形、ねじれ変形及び/又は伸縮変形が可能に構成された設置部と、前記流路内を循環する前記試験用流体を拍動流の状態にする流れ生成手段と、前記設置部の入口側における前記試験用流体の圧力及び/又は流量を検出する流れ状態検出手段と、前記設置部に外的負荷を加えて屈曲変形、ねじれ変形及び/又は伸縮変形させるように動作する動作手段と、前記流れ状態検出手段で検出された圧力及び/又は流量の状態に応じて、前記動作手段の動作を制御する制御手段とを備え
前記制御手段では、前記設置部の入口側における前記試験用流体の圧力及び/又は流量の変化に基づいて、前記設置部の動作を同期させるように前記動作手段を制御することを特徴とする医療用試験対象物の耐久性試験装置。
【請求項2】
前記制御手段では、前記試験用流体の圧力及び/又は流量の周期的な変化に同期して前記屈曲変形、ねじれ変形及び/又は伸縮変形がなされるように、前記動作手段の動作を複数パターンで制御することを特徴とする請求項1記載の医療用試験対象物の耐久性試験装置。
【請求項3】
前記制御手段では、前記試験用流体の圧力又は流量が所定値に達したタイミングで、前記設置部の変形が開始するように、前記動作手段の動作を制御することを特徴とする請求項2記載の医療用試験対象物の耐久性試験装置。
【請求項4】
前記制御手段では、前記試験用流体の圧力又は流量が極大になるタイミングと前記設置部が最大に変形するタイミングとを合わせるように、前記動作手段の動作を制御することを特徴とする請求項2記載の医療用試験対象物の耐久性試験装置。
【請求項5】
所定の試験用流体を循環させる流路の途中に設けられた設置部に医療用試験対象物を設置し、前記試験用流体に人体の血流状態を模擬した流れを与えて前記試験対象物の耐久性試験を行うための方法であって、
前記試験用流体を拍動流の状態にして前記流路を循環させた上で、前記試験用流体の圧力及び/又は流量周期的変化させ、前記設置部の入口側における前記試験用流体の圧力及び/又は流量の変化に基づいて、前記設置部に周期的な外的負荷を与えることで、前記試験用流体の流れ状態に同期するように、前記設置部の屈曲、ねじれ、及び/又は伸縮を繰り返し行いながら前記耐久性試験を行うことを特徴とする医療用試験対象物の耐久性試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冠動脈に用いられるステントその他の医療機器等の耐久性試験装置及び耐久性試験方法に係り、更に詳しくは、人体での使用環境を模擬して前記耐久性試験を人工的に行えるようにする医療用試験対象物の耐久性試験装置及び耐久性試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の心臓から拍出された血液は、大動脈を通り、当該大動脈から全身に分岐する各種動脈に行き渡り、対応する各種静脈から大静脈に合流して心臓に戻る体循環が行われている。ここで、大動脈から分岐する動脈としては、心筋に張り巡らされた冠動脈があり、この冠動脈は、大動脈の基部から大静脈の基部に戻るように血液を循環させ、心臓にエネルギーや酸素を供給している。このような冠動脈による血液の循環は、冠循環と呼ばれている。
【0003】
ところで、動脈硬化等によって冠動脈が狭窄、閉塞すると、心筋梗塞と呼ばれる心筋壊死が発生する。このような冠動脈の狭窄、閉塞に対する治療法としては、薬物療法の他、カテーテル療法、及び冠動脈バイパス手術療法が知られている。カテーテル療法は、狭窄した冠動脈内でバルーンを膨らませることで狭くなった血流路を拡張し、その拡張部位にステントと呼ばれる血管拡張具を留置することで、血流路の拡張状態を維持するものである。
【0004】
冠動脈内に留置されるステントとしては、これまでの金属製ステントの他に、近時、血管留置後、数ヶ月から数年間で生体内に吸収されて消失する生体吸収性ステントが出現し、現在、臨床試験が行われている。国際標準化機構(ISO)の規格では、当該生体吸収性ステントを含む心臓血管内吸収性インプラントに関しては、力学的評価、繰り返し疲労耐久性、分解の物理的特性、及び材料の組成評価の4項目を生体外で非臨床的に評価すべきとの指針があるが、各評価項目の具体的試験法は未だ確立されておらず、当該具体的試験法の確立が広く要請されている。
【0005】
ところで、特許文献1には、冠動脈ステントの性能評価シミュレータが開示されている。当該ステント性能評価シミュレータは、冠循環を模擬した回路構成になっており、液体流路と、この液体流路内を循環する液体に拍動流を付与するポンプと、流体流路の途中で分岐する分岐管路と、当該分岐管路の途中に設けられた可撓性チューブとを備えている。この可撓性チューブ内には、評価対象となるステントが留置され、当該ステントは、拍動流が付与された液体にさらされた状態となる。従って、このシミュレータでは、実際の使用時における血液の拍動条件に近い条件でステントの耐久性を調べることが可能となる。
【0006】
また、特許文献2には、身体の動き等による生体力学的負荷に起因する血管の挙動を模擬して、当該挙動を考慮したステントの耐久性試験を行うことができる血管動作シミュレータが開示されている。この血管動作シミュレータは、液体が充填された状態の模擬血管内にステントを留置した上で、当該模擬血管がモータ等の駆動手段で屈曲変形されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4166905号公報
【特許文献2】特許第4968821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らの研究に基づく知見によれば、冠動脈内に留置される生体吸収性ステントに対する非臨床的な耐久性試験を正確に行うには、冠循環環境に相当する流れ状態の中にステントを配置し、経時的な分解等のステントの物理的特性の変化を確認する他に、ステントを留置した血管全体が冠動脈流の拍動状態に起因して屈曲、伸縮、ねじれ等の運動事象を考慮する必要がある。ここでは、患者個人やステントの留置部分により、心臓の拡張期や収縮期に対する血管の前記各運動の状態が相違することから、想定する各ケースに応じて冠動脈流の流れ状態と前記運動を同期させる必要がある。例えば、心臓の拡張期に血管が緩く屈曲する一方で心臓の収縮期に血管が大きく屈曲するケースやその逆のケースもあり得る。また、血圧値が極大のときに血管が最大に屈曲するケースもある。
【0009】
しかしながら、特許文献1のステント性能評価シミュレータにあっては、ステントが留置される可撓性チューブ自体を強制的に屈曲、伸縮、ねじれ等の変形させるための構造そのものが無く、冠動脈流の拍動状態に対応して可撓性チューブに屈曲、伸縮、ねじれ等の運動をさせる耐久性試験を行うことはできない。また、特許文献2の血管動作シミュレータは、浅大腿静脈等にステントを留置した際等のように、身体の動き等による生体力学的負荷に起因する血管の挙動を考慮した耐久性試験を行うためのものであって、冠動脈中にステントを留置した際等における流体の圧力や流量の状態に対応した模擬血管への屈曲、ねじれ、伸縮等の外的負荷を任意に設定変更することはできない。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、冠循環環境等の人体の血流状態を模擬した拍動流中に試験対象物を設置するとともに、血流の圧力波形及び/又は流量波形に同期した任意の条件で、試験対象物の設置部に対して屈曲、ねじれ、伸縮等を発生させる外的負荷を与えることができる医療用試験対象物の耐久性試験装置及び耐久性試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、所定の試験用流体を循環させる流体回路により構成され、当該流体回路の途中に医療用試験対象物を設置し、前記試験用流体に人体の血流状態を模擬した流れを与えて前記医療用試験対象物の耐久性試験を行うための装置であって、前記試験用流体が流れる流路と、当該流路の途中に設けられて前記試験対象物が設置されるとともに、屈曲変形、ねじれ変形及び/又は伸縮変形が可能に構成された設置部と、前記流路内を循環する前記試験用流体を拍動流の状態にする流れ生成手段と、前記試験用流体の圧力及び/又は流量を検出する流れ状態検出手段と、前記設置部に外的負荷を加えて屈曲変形、ねじれ変形及び/又は伸縮変形させるように動作する動作手段と、前記流れ状態検出手段で検出された圧力及び/又は流量の状態に応じて、前記動作手段の動作を制御する制御手段とを備える、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、実際の冠循環環境における拍動流を模擬した試験用流体の流れ状態に試験対象物を置いた上で、試験用流体の圧力及び/又は流量の周期的な変化に同期して、試験対象物の設置部に対し所望とする任意のタイミングで屈曲負荷、ねじれ負荷、及び/又は伸縮負荷を与えることができる。従って、冠動脈に留置される生体吸収性ステント等の試験対象物の耐久性試験を実際の人体に留置した様々なケースを想定しながら同様の状況にて行うことができ、冠動脈に留置される生体吸収性ステント等についても、非臨床的な人工試験装置を用いて簡易かつ正確に耐久性評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る耐久性試験装置の構成を表す概念図。
図2】(A)、(B)は、動作手段により設置部に屈曲負荷が作用している状態を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1には、本実施形態に係る医療機器等の耐久性試験装置の構成を表す概念図が示されている。この図において、前記耐久性試験装置10は、所定の試験用流体を循環させる流体回路により構成され、当該流体回路の途中に医療機器や医療用材料等の試験対象物Tを設置し、試験用流体に人体の血流状態を模擬した流れを与えて人体への使用時と同様の状態を模擬的に作り出すことにより、試験対象物Tの耐久性試験を非臨床的に行うための装置である。ここで、試験対象物Tとしては、例えば、生体吸収性ステント等の各種ステントが挙げられる。また、試験用流体としては、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等の液体が挙げられる。
【0016】
前記耐久性試験装置10は、空気非接触の状態で試験用流体が一方向に循環するように構成された環状の流路11と、流路11の途中に設けられて試験対象物Tが設置されるとともに、屈曲変形可能に構成された設置部12と、流路11内を循環する試験用流体を拍動流の状態にする流れ生成手段14と、設置部12の入口側における試験用流体の圧力及び/又は流量の状態を検出する流れ状態検出手段15と、設置部12に外力負荷を与えて屈曲変形させるように動作する動作手段17と、流れ状態検出手段15で検出された圧力及び/又は流量の状態に応じて、動作手段17の動作を制御する制御手段18とを備えている。
【0017】
前記流路11は、特に限定されるものではないが、樹脂製等の弾性チューブからなり、その途中2箇所に設けられた逆流防止弁20により、試験用流体が図1中時計周りとなる一方向のみに循環するように構成されている。
【0018】
前記設置部12は、所定の大きさ以上の外力により変形可能な弾性チューブによって構成されており、流路11に対して着脱自在に設けられるとともに、試験対象物Tを収容して保持しながら流路11に連通する内部空間を備えている。本実施形態において、設置部12には、試験対象物Tとして生体吸収性ステントが拡張した状態で留置されており、拍動流が付与された状態の試験用流体は、試験対象物Tが保持された設置部12の内部空間を通過することになる。
【0019】
前記流れ生成手段14は、流路11内で試験用流体を流すための動力となるポンプ22と、設置部12とポンプ22の上流側との間に配置されたコンプライアンスチューブ23と、設置部12とポンプ22の下流側との間に配置された容量増加用チューブ24と、設置部12の下流側でコンプライアンスチューブ23との間に配置された抵抗付与部25とにより構成されている。
【0020】
本実施形態では、前記ポンプ22として、流路11に沿ってローラ26が回転し、当該ローラ26が一定間隔で流路11を周期的に押し潰しながら扱くことにより、試験用流体を吸排するローラポンプが採用されている。なお、本発明においては、流路11を流れる試験用流体を拍動流の状態にできる限りにおいて、他のポンプに代替することも可能である。また、ポンプ22の入口側及び出口側にそれぞれ前記逆流防止弁20が配置されている。
【0021】
前記コンプライアンスチューブ23は、その内部を通過する試験用流体の圧力変化に応じて内径が拡縮可能に弾性変形する弾性チューブにより形成されており、流路11を構成するチューブよりも大きな内径となっている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態のコンプライアンスチューブ23は、シリコーン製のものが用いられている。このコンプライアンスチューブ23では、次の圧力調整作用を奏するようになっている。すなわち、ポンプ22のローラ26での流路11の押圧が解除されたタイミングで、ポンプ22側に真空吸引力(陰圧)が発生するが、その際に、コンプライアンスチューブ23の弾性によってその内径が収縮することで、前記真空吸引力の発生による試験用流体の圧力低下が抑制され、人体の冠動脈流における血圧幅を模擬した試験用流体の圧力変動幅を再現可能になる。
【0022】
前記容量増加用チューブ24は、流路11を構成するチューブよりも内径が大きくなっており、流路11を流れる試験用流体を一時的に溜め込むリザーバとして機能する。
【0023】
前記抵抗付与部は25、流路11に絞り抵抗を付与するクランプ等によって構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、同様の作用を奏する限りにおいて、弁等の種々の機器を代替的に採用することができる。
【0024】
以上の構成の流れ生成手段14においては、試験対象物Tが留置される実際の冠循環環境が模擬されるように、コンプライアンスチューブ23及び容量増加用チューブ24の長さ及び内径が設定された上で、抵抗付与部25により流路11に所定の流れ抵抗が付加されるとともに、ポンプ22の駆動制御がなされる。なお、流れ生成手段14としては、流路11内に試験用流体の拍動流を生成できる限りにおいて、前述の構成に限定されず、種々の構成を採用することができる。
【0025】
前記流れ状態検出手段15は、設置部12の入口側における試験用流体の入口圧を計測する圧力計27と、設置部12の入口側における試験用流体の流量を計測する流量計28とからなる。
【0026】
前記動作手段17は、設置部12の延出方向両端側に取り付けられ、相対的に離間接近可能に配置された保持部30,31と、図1中左側に位置する一方の保持部30に取り付けられ、当該一方の保持部30を他方の保持部31に向かって離間接近させる動力となる駆動装置33とからなる。本実施形態では、駆動装置33として、ボイスコイルモータが用いられているが、同様の作用を奏する限りにおいて、他のアクチュエータに代替することも可能である。また、駆動装置33の駆動により、図2に示されるように、前記一方の保持部30を前記他方の保持部31に対して移動し、これら保持部30,31が繰り返し離間接近することになる。当該各保持部30,31の周期的な離間接近動作により、各保持部30,31に両端側が支持された設置部12に対し、周期的に大きさの異なる屈曲負荷が作用し、設置部12は、直線状態からの屈曲と復元(伸展)を繰り返す屈曲運動がなされることになる。
【0027】
前記制御手段18では、圧力計27及び/又は流量計28による計測値に基づき、設置部12の入口側における試験用流体の圧力や流量の周期的な変化に基づいて、設置部12の屈曲運動を同期させるように駆動装置33の駆動を制御するようになっている。すなわち、当該制御手段18では、複数パターンの制御が可能となっており、図示しない入力装置による入力指令に基づいて、耐久性試験に際して所望とする制御パターンの選択が可能となっている。具体的に、例えば、前記試験用流体の流量又は圧力が所定値に達したタイミングで、設置部12の屈曲運動を開始するように駆動装置33を駆動制御するトリガー機能を選択することができる。また、試験用流体の圧力又は流量が極大になるタイミングと、設置部12が最大に屈曲するタイミングとを合わせるように、設置部12を周期的に屈曲変形させる際の位相調整を行うディレイ機能を選択することもできる。
【0028】
以上の本実施形態によれば、心臓の拡張期と収縮期に対応した冠動脈の屈曲運動を模擬し、当該屈曲運動を考慮した臨床時に近い状況下で試験を行うことができるため、冠動脈に留置される生体吸収性ステント等の耐久性の正確な評価が可能になる。また、設置部12に流れる試験用流体の拍動状態と屈曲運動の同期について、任意の設定により、想定する使用状況に応じた制御を行うことができ、生体吸収性ステント等の留置部位や使用者の個人的差異による細かい想定を考慮した耐久性試験が可能になる。
【0029】
なお、前記動作手段17は、設置部12に対し、屈曲変形の他に、若しくは、屈曲変形とともに、ねじれ変形及び/又は伸縮変形させるように外的負荷を与える構成とすることもできる。この構成においても、前記実施形態のように、制御手段18において、圧力計27や流量計28による計測値に基づき、設置部12の入口側における試験用流体の圧力や流量の周期的な変化に基づいて、設置部12の屈曲運動、ねじれ運動及び/又は伸縮運動を同期させるように、駆動装置33の駆動を制御するようになっている。
【0030】
また、動作手段17としては、前述の構成に限定されるものではなく、同様の作用を奏する限りにおいて、種々の構造や構成を採用することができる。
【0031】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 耐久性試験装置
11 流路
12 設置部
14 流れ生成手段
15 流れ状態検出手段
17 動作手段
18 制御手段
T 試験対象物
図1
図2