(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6551858
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】トレーラ支持装置の高さ調整機構
(51)【国際特許分類】
B60P 1/64 20060101AFI20190722BHJP
B65D 90/14 20060101ALI20190722BHJP
B66F 3/18 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
B60P1/64 A
B65D90/14
B66F3/18
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-79042(P2019-79042)
(22)【出願日】2019年4月18日
【審査請求日】2019年4月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516253031
【氏名又は名称】株式会社ウイング
(74)【代理人】
【識別番号】100170335
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博
(72)【発明者】
【氏名】奥村 健一
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭48−65651(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第0021623(EP,A1)
【文献】
米国特許第7044445(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/64
B60D 1/66
B60S 3/00−13/02
B62D 53/06
B65D 90/14
B66F 1/00−19/02
F16H 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォームギア機構を利用した高さ調整機能を有する荷重支持装置であって、ウォームと、ウォームホイールと、軸に垂直な断面が四角形であるジャッキーシャフトと、軸に垂直な内周形状の断面が四角形である滑り軸受と、前記ジャッキーシャフトに連結された台形ネジと、前記台形ネジと螺合するスクリューナットと、を有し、前記ウォームホイールは前記滑り軸受に連接され、前記ジャッキーシャフトと前記滑り軸受の接触箇所の断面が、互いに四角形の嵌め合いとする滑り軸受機構からなり、手動操作可能なハンドルで前記ウォームを回転させることにより、前記台形ネジが昇降することを特徴とする荷重支持装置。
【請求項2】
被牽引車であるトレーラの前端側を支持することができるトレーラ支持装置であって、請求項1に記載の荷重支持装置を具備することを特徴とするトレーラ支持装置。
【請求項3】
被牽引車であるトレーラの前端側を支持することができるトレーラ支持装置であって、円筒状の回動軸に備える円筒形状のセンタークラッチと、回動軸受と、軸受の端面部に備える回転止めと、を有し、前記センタークラッチの両端面と前記回転止めが互いに係合・分離できる複数の凹凸部で形成された部材を備えた嵌め合いクラッチ機能を有し、前記回動軸を軸支する前記回動軸受が滑動自在に支持した滑り軸受からなり、前記回動軸に請求項1に記載の荷重支持装置を連結して、前記荷重支持装置を手動によりスライド・回動可能とさせたことを特徴とするトレーラ支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被牽引車であるトレーラの前端側を支持することができるトレーラ支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
牽引車であるトラクタと被牽引車であるトレーラが連結された車両には、トラクタの後端側の連結器にトレーラの前端側を連結するようにしたトレーラがある。このようなトレーラは、トラクタに牽引されて走行するので、トレーラの前端側は駆動輪が設けられておらず、トレーラの後端側に走行車輪が配置されている。
【0003】
一般に、被牽引車であるトレーラは、トラクタから切り離す際に地面に接地することによりトレーラの前端側を支持する支持脚を備えている。支持脚の昇降は、油圧、空圧、モータ駆動、手動操作等、様々な方法で行われている。
【0004】
特許文献1に記載されているトレーラの補助脚は、外部のハンドルの操作で傘歯車機構を介して第1のシャフトの回転により、上部内筒が上下に伸縮移動できるものが開示されている。
【0005】
特許文献2に記載されているトレーラ支持装置は、支持脚の下に送りねじを有する送りねじ機構で高さ調整をすることができるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−147217号
【特許文献2】特許第6289722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
重量物を支持するトレーラ支持装置の高さを、ハンドルの手動操作で変更することができる高さ調整機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ウォームギア機構を利用した高さ調整機能を有する荷重支持装置であって、ウォームと、ウォームホイールと、軸に垂直な断面が四角形であるジャッキーシャフトと、軸に垂直な内周形状の断面が四角形である滑り軸受と、ジャッキーシャフトに連結された台形ネジと、台形ネジと螺合するスクリューナットと、を有し、ウォームホイールは滑り軸受に連接され、ジャッキーシャフトと滑り軸受の接触箇所の断面が、互いに四角形の嵌め合いとする滑り軸受機構からなり、手動操作可能なハンドルでウォームを回転させることにより、台形ネジが昇降することを特徴とする荷重支持装置である。
【0009】
被牽引車であるトレーラの前端側を支持することができるトレーラ支持装置であって、前述に記載された荷重支持装置を具備することを特徴とするトレーラ支持装置である。また、自立することができる車両用コンテナにおいて、前述に記載された荷重支持装置を具備することを特徴とする車両用コンテナ支持装置としても良い。
【発明の効果】
【0010】
伸縮する台形ネジ部は支持脚内部に収納するようにしたので、構造が簡単で軽量化することができ、重量物が搭載されたトレーラであっても安定した荷重支持を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一実施形態のトレーラ支持装置の斜視図である。
【
図2】第一実施形態のトレーラ支持装置の正面図と左側面図である。
【
図4】本発明の荷重支持装置の高さ調整機構の動作説明図である。
【
図5】第一実施形態におけるトレーラ支持装置の格納時及び立脚時の説明図である。
【
図6】第二実施形態におけるトレーラ支持装置及び格納時の説明図である。
【
図7】第三実施形態におけるトレーラ支持装置を車両用コンテナに取り付けた斜視図及び格納時の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を
図1〜
図7に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1は、第一実施形態のトレーラ支持装置1の斜視図である。トレーラ支持装置1は
図1に図示するように、支持脚2と、ハンドル3と、台形ネジ4と、台形ネジ4の下端にワッシャはめ込みナットであるスイベルナット6とベースプレート5が連結されて構成されている。
【0014】
図2(A)は第一実施形態のトレーラ支持装置1の正面図であり、
図2(B)は左側面図である。手動操作でハンドル3を回転させることでベースプレート5を昇降させることができる。
【0015】
図3(A)は、
図2(B)のギアボックス7の内部構造図である。
図3(B)は、
図3(A)のX−X線断面図を図示したものである。
【0016】
ギアボックス7内は、台形ネジ4と、ウォームホイール9と、四角柱形状のジャッキーシャフト10と、ジャッキーシャフト10を滑動させる滑り軸受12と、軸に直角な方向に作用する荷重を支えるラジアルベアリング14と、軸方向に作用する荷重を支えるスラストベアリング15と、スクリューナット18と、ウォーム19と、で構成されている。
【0017】
ねじ状の歯車のウォーム19と、斜歯歯車のウォームホイール9をかみ合わせ、ウォーム19が回転することでウォームホイール9の歯を送って回転させるウォームギア機構としている。ジャッキーシャフト10と台形ネジ4はピン17で連結され、台形ネジ4はスクリューナット18と螺合構造で保持されている。
【0018】
図4は、荷重支持装置の高さ調整機構の動作説明図である。
図4(A)はベースプレート6の立脚時の状態を示し、
図4(B)はベースプレート5を上昇させて格納時の状態を示している。
【0019】
図4(B)に示すように、ハンドル3を手動操作で回転させると、ウォーム19が回転し、
ウォーム19の軸と直角にかみ合ったウォームホイール9が回転する。滑り軸受12はウォームホイール9と連接するので、ウォームホイール9の回転に伴い滑り軸受12も回転する。
【0020】
軸に垂直な断面が四角形であるジャッキーシャフト10と、軸に垂直な内周形状の断面が四角形である滑り軸受12の接触箇所の断面が、互いに四角形の嵌め合いとする滑り軸受機構としていることが特徴である。滑り軸受12の回転に伴いジャッキーシャフト10も回転する。嵌め合い部分は四角形以外の多角形や略円形でも良いが、製作の容易な四角形を採用した。
【0021】
ジャッキーシャフト10とピン17で連結された台形ネジ4は、ウォームホイール9の回転に伴い台形ネジ4も連動して回転する。比較的小さなモーメントで軸方向に大きな力が伝達させることができる台形ネジ4は、スクリューナット18と螺合して昇降する。
【0022】
滑り軸受機構を採用することにより、台形ネジ4が回転すると、ジャッキーシャフト10を軸方向に滑動自在に昇降させることができる。すなわち、ウォームギア機構を利用してベースプレート5の高さを調整することができる構造となっている。
【0023】
図5は、第一実施形態におけるトレーラ支持装置1の格納時及び立脚時の説明図である。トレーラ支持装置1の高さを調整する機構は、本発明の荷重支持装置で構成されている。
【0024】
図5(A)は、トレーラ支持装置1の台形ネジ4部が支持脚2の内部に格納されている状態を示している。
図5(B)は、トレーラをトレーラ支持装置1で立脚させた状態を示している。
【0025】
図6は、第二実施形態におけるトレーラ支持装置1及び格納時の説明図である。トレーラ支持装置1の高さを調整する機構は、本発明の荷重支持装置で構成されている。
【0026】
図6(A)は、第一実施形態のトレーラ支持装置1を回動軸30に連結し、回動軸受31で軸支された回動軸30を手動で回動軸30の軸方向に滑動してスライドした後、円周方向に滑動して90度回動させて立脚させた状態を示している。
【0027】
二つの回動軸受31の間は、回動軸30の軸方向に回転止め33と、円筒形状のセンタークラッチ32が配置されている。センタークラッチ32の両端面と回転止め33が互いに係合・分離できる複数の凹凸部で形成された部材を備えた嵌め合いクラッチ機能を有している。回動軸30は、円筒状の鋼材であり、回動軸受31で軸支する。
【0028】
回動軸30の外周面が軸受31の内周面に沿って軸方向に滑動してスライド可能であり、かつ、回動軸30の外周面が回動軸受31の内周面に沿って円周方向に滑動して回動可能としている。回動軸30を軸支する回動軸受31は、滑動自在に支持した滑り軸受としている。
【0029】
図6(B)は、トレーラ支持装置1をトレーラの下部に格納した状態を示している。
【0030】
図7は、第三実施形態におけるトレーラ支持装置をコンテナ支持装置として、車両用コンテナに取り付けた斜視図及び格納時の説明図である。
図7(A)は、車両用コンテナの下部にコンテナ支持装置を4箇所取り付け、トラックからコンテナを下ろしコンテナを地面に自立させた状態を示したものであり、
図7(B)は、コンテナをトラックに積載した後、コンテナ支持装置をトラックの下部に格納した状態を示している。
【符号の説明】
【0031】
1 トレーラ支持装置
2 支持脚
3 ハンドル
4 台形ネジ
5 ベースプレート
6 スイベルナット
7 ギアボックス
8 支持脚取付プレート
9 ウォームホイール
10 ジャッキーシャフト
11 カバープレート
12 滑り軸受
13 C型止め輪
14 ラジアルベアリング
15 スラストベアリング
16 ベアリングハウジング
17 ピン
18 スクリューナット
19 ウォーム
20 ギアシャフト
21 軸受メタル
30 回動軸
31 回動軸受
32 センタークラッチ
33 回転止め
【要約】
【課題】重量物を支持するトレーラ支持装置の高さを、ハンドルの手動操作で変更することができる高さ調整機構を提供する。
【解決手段】ウォームギア機構を利用した高さ調整機能を有する荷重支持装置であって、ウォーム19と、ウォームホイール9と、軸に垂直な断面が四角形であるジャッキーシャフト10と、軸に垂直な内周形状の断面が四角形である滑り軸受12と、ジャッキーシャフト10に連結された台形ネジ4と、台形ネジ4と螺合するスクリューナット18と、を有し、ウォームホイール9は滑り軸受12に連接され、ジャッキーシャフト10と滑り軸受12の接触箇所の断面が、互いに四角形の嵌め合いとする滑り軸受機構からなり、手動操作可能なハンドル3でウォーム19を回転させることにより、台形ネジ4が昇降することを特徴とする荷重支持装置である。
【選択図】
図1