(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記歯車機構は、前記電動モータの回転軸および前記軸部と平行に伸長するアイドラ軸と、前記電動モータの回転軸に支持されるモータ回転軸歯車と、前記アイドラ軸に支持される第1アイドラ軸歯車および第2アイドラ軸歯車と、前記軸部に支持されるシフト用歯車とを具備し、
前記モータ回転軸歯車と前記第1アイドラ軸歯車が噛合するとともに、前記第2アイドラ軸歯車と前記シフト用歯車が噛合し、
前記モータ回転軸歯車は前記第1アイドラ軸歯車よりも歯数が少なく、前記第2アイドラ軸歯車は前記シフト用歯車よりも歯数が少ない
ことを特徴とする請求項1に記載の船外機のシフトアクチュエータ。
前記歯車機構は、前記軸部に支持されるセンサ用歯車と、前記軸部と連動回転する第1中継歯車および第2中継歯車と、前記センサの被検知部を回転させる被検知部歯車とを具備し、
前記センサ用歯車と前記第1中継歯車が噛合するとともに、前記第2中継歯車と前記被検知部歯車が噛合し、
前記センサ用歯車は前記第1中継歯車よりも歯数が少なく、前記第2中継歯車は前記被検知部歯車よりも歯数が少ない
ことを特徴とする請求項3に記載の船外機のシフトアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、1つの実施形態に係る船外機のシフトアクチュエータについて、
図1から
図7を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係るシフトアクチュエータは、船舶に搭載されてプロペラシャフトを回転駆動する船外機において、プロペラシャフトのギア切替(シフト)を行う。
図1は、本実施形態に係るシフトアクチュエータ2を備えた船外機10の一例を示している。なお、以下の説明においては、
図1から
図3に示す矢印X方向を前後方向、矢印Y方向を上下方向という。このうち前後方向は、矢印X1方向を前側(前方)、矢印X2方向を後側(後方)とする。
【0017】
図1に示すように、船外機10は、エンジンユニット11、ミッドユニット12およびロアユニット13を上部から下部へ順に配置して構成されており、ミッドユニット12の前部側で船体の後尾板90にブラケット91で固定されている。シフトアクチュエータ2は、ロアユニット13、具体的にはそのギアケース14に備えられている。シフトアクチュエータ2を含むロアユニット13は、船外機10の稼働時において水面下に位置する。
【0018】
エンジンユニット11には、クランクシャフト(図示省略)を上下方向に伸長させてエンジン15が配置されている。エンジン15としては、例えばV型や直列型の多気筒エンジンなどを任意に採用可能である。エンジン15のクランクシャフトの下端部には、ドライブシャフト16が連結されている。ドライブシャフト16は、ミッドユニット12のドライブシャフトハウジング17に収容され、シャフト両端部がエンジンユニット11側およびロアユニット13側にそれぞれ伸長するように、ミッドユニット12を上下方向に貫通している。ロアユニット13には、プロペラ19が取り付けられたプロペラシャフト18が前後方向に伸長して配置されている。また、ロアユニット13には、ドライブシャフト16の駆動力を伝達してプロペラシャフト18を回転させる複数のギアなどがギアケース14に収容されている。
【0019】
シフトアクチュエータ2は、船室からのリモート操作を受けたエンジンユニット11の電子制御ユニット(ECU)110により制御されて作動する。
図2から
図4は、本実施形態に係るシフトアクチュエータ2を示している。
図2はシフトアクチュエータ2の外観斜視図、
図3および
図4はシフトアクチュエータ2の断面図である。
【0020】
シフトアクチュエータ2は、船外機10のギアケース14に着脱可能に収容される本体部3と、本体部3と分離可能に嵌合する軸部4とを具備している。なお、
図2は、軸部4と分離した状態の本体部3のみを示し、
図3および
図4は、本体部3と軸部4とを嵌合させた状態を示している。
【0021】
本体部3は、電動モータ31と歯車機構32とセンサ33とを有し、これらをベース材34にそれぞれ組み付けて構成されている。電動モータ31は、回転軸31aを上下方向(前後方向に伸長するプロペラシャフト18と直交する方向)に伸長させてベース材34に組み付けられている。回転軸31aは、転がり軸受31bにより回転自在にベース材34に支持されている。電動モータ31とベース材34とは、モータヨーク31cの上部に設けられたフランジ31dとベース材34の下部との間にOリング34aを介在させてネジ止めされている。Oリング34aは、ベース材34の下部に形成された溝34bに嵌め込まれている。これにより、電動モータ31とベース材34との組み付け部分における防水が図られている。
【0022】
軸部4は、ネジ軸41と、ネジ軸41に螺合する可動ナット42と、ネジ軸41を支持する支持軸43とを有し、その軸方向が電動モータ31の回転軸31aと平行をなして上下方向に伸長するように配置されている。
【0023】
この場合、軸部4と本体部3は、支持軸43とベース材34で分離可能に嵌合するようになっている。
図5は、本体部3と軸部4が分離した状態を示す図である。
図5に示すように、軸部4はギアケース14に設けられ、本体部3はドライブシャフトハウジング17に設けられている。したがって、軸部4と本体部3が支持軸43とベース材34で分離した状態では、軸部4はギアケース14と一体的に、本体部3はドライブシャフトハウジング17と一体的に取り扱われる。このため、ギアケース14にはシフトアクチュエータ2の軸部4のみしか残らず、本体部3のケーブル6を取り回す必要がないから、ギアケース14内のメンテナンスなどを行い易い。
【0024】
このように軸部4と本体部3を分離可能とするため、支持軸43の上端側外周部には、軸方向(上下方向)に沿ったスプライン歯43aが所定の周方向ピッチで形成されている。一方、ベース材34に支持された筒状の嵌合部材35には、筒体の内周部に支持軸43のスプライン歯43aと嵌合可能なスプライン溝35aが、上下方向に沿ってスプライン歯43aと同一の周方向ピッチで形成されている。嵌合部材35は、上下方向を回転軸にして回転自在にブッシュ(滑り軸受)35bでベース材34に支持されている。ブッシュ35bは、ベース材34との間にリップ付きのパッキン35cを介在させてベース材34に組み付けられている。また、嵌合部材35には、筒体の上端部にパッキン35dが装着されている。これにより、ブッシュ35bとベース材34との組み付け部分、およびスプライン溝35aとスプライン歯43aとの嵌合部分における防水が図られている。
【0025】
なお、本実施形態では、軸部4と本体部3を容易に分離可能とするため、支持軸43とベース材34とをスプライン嵌合させているが、軸部4と本体部3は必ずしも分離可能でなくともよい(分離可能であっても、容易に分離できない場合も含む)。この場合、例えば支持軸43をベース材34に対して回転自在に、転がり軸受で支持する構成とすることができる。これにより、嵌合部材35やブッシュ35bを省略し、部品点数を減らすことが可能となる。
【0026】
支持軸43がベース材34の嵌合部材35と嵌合されることで、軸部4は、歯車機構32を介して電動モータ31の回転軸31aと連動回転可能な状態となる。歯車機構32による回転軸31aと軸部4との連動回転の構造については、後述する。
【0027】
軸部4のネジ軸41には、上端側および下端側の外周部を除いて、その外周部にボール溝41aが螺旋状に連続して形成されている。ネジ軸41の下端部には、鍔付きのカラー41bが鍔を上側にして取り付けられている。カラー41bの外周部には、転がり軸受41cの内輪が取り付けられている。転がり軸受41cの外輪は、ギアケース14に嵌合されている。これにより、ネジ軸41は、転がり軸受41cによって回転自在にギアケース14に支持される。
【0028】
ネジ軸41の上端部は、支持軸43の下端部に形成された穴部43bとの間に平行キー43cを嵌め込んだ状態で挿入されている。これにより、ネジ軸41は、滑り止めがなされて支持軸43と連結される。
【0029】
軸部4の可動ナット42には、螺旋状に連続するボール溝42aがネジ軸41のボール溝41aと対向して内周部に形成されている。対向するボール溝41a,42aの間に形成される螺旋状空間には、複数のボール(図示省略)が転動循環自在に組み入れられている。これにより、ネジ軸41が回転すると、その回転力が複数のボールに伝達され、これら複数のボールが螺旋状空間に沿って循環する。この結果、ネジ軸41の回転に伴って可動ナット42が上下動するようになっている。可動ナット42は、ネジ軸41に装着された止め輪41dを上限位置、カラー41bを下限位置として、ネジ軸41に沿って上下動する。ただし、可動ナット42は、通常は止め輪41dとカラー41bの間の狭い範囲内を上下動する。
【0030】
可動ナット42は、プロペラシャフト18のギアを切り替えるシフト部材80(
図5参照)に連結されている。これにより、ネジ軸41の回転に伴って、シフト部材80が可動ナット42とともに上下動する。このようにシフト部材80の上下動によってプロペラシャフト18のギア切替を行う(シフトする)ことで、前後方向へのシフトアクチュエータ2の可動域を広げずに済み、かかる可動域をギアケース14内に確保し易くなる。
【0031】
軸部4の支持軸43は、転がり軸受43dによって回転自在にギアケース14に支持されている。この場合、支持軸43の下端側外周部には、フランジ43eが設けられている。転がり軸受43dは、内輪をフランジ43eに上方から接触させて、支持軸43の外周部に取り付けられている。
【0032】
軸部4のネジ軸41および支持軸43は、歯車機構32により電動モータ31の回転軸31aと連動回転する。
【0033】
歯車機構32は、電動モータ31の回転軸31aと軸部4の支持軸43との間に介在し、支持軸43を回転軸31aと連動回転させる。歯車機構32は、電動モータ31の回転軸31aと軸部4の支持軸43の間で、回転軸31aの回転を中継する軸としてアイドラ軸32aを備えている。アイドラ軸32aは、回転軸31aおよび軸部4の支持軸43と平行に上下方向へ伸長している。
【0034】
図6は、支持軸43を回転軸31aと連動回転させる歯車機構32を示す概略図である。
図6に示すように、回転軸31aとアイドラ軸32aが相互に平歯車で噛合し、嵌合部材35と嵌合した支持軸43とアイドラ軸32aが相互に平歯車で噛合する。回転軸31aにはモータ回転軸歯車32b、支持軸43には嵌合部材35を介してシフト用歯車32eがそれぞれ支持されている。アイドラ軸32aには、第1アイドラ軸歯車32cと第2アイドラ軸歯車32dが支持されている。これらの歯車のうち、モータ回転軸歯車32bと第1アイドラ軸歯車32cが噛合するとともに、第2アイドラ軸歯車32dとシフト用歯車32eが噛合する。
【0035】
図3に示すように、モータ回転軸歯車32bは、dカットにより回り止めをして、電動モータ31の回転軸31aの先端(上端)に取り付けられている。
【0036】
アイドラ軸32aは、その下端がベース材34に固定され、常時静止状態で上方へ起立している。アイドラ軸32aの上端側および下端側の外周部には、転がり軸受32fの内輪がそれぞれ取り付けられている。転がり軸受32fの外輪は、第1アイドラ軸歯車32cと第2アイドラ軸歯車32dに嵌合されている。これにより、第1アイドラ軸歯車32cおよび第2アイドラ軸歯車32dは、転がり軸受32fによって回転自在にアイドラ軸32aに支持される。
【0037】
第1アイドラ軸歯車32cと第2アイドラ軸歯車32dは、軸方向に連接して上下2段をなすように構成されており、第1アイドラ軸歯車32cを上側、第2アイドラ軸歯車32dを下側に位置付けてアイドラ軸32aにそれぞれ支持されている。そして、第1アイドラ軸歯車32cと第2アイドラ軸歯車32dは、アイドラ軸32aを回転中心に同期して回転する。なお、第1アイドラ軸歯車32cおよび第2アイドラ軸歯車32dをアイドラ軸32aに固定し、アイドラ軸32aをベース材34に対して回転自在に転がり軸受で支持する構成も想定可能である。
【0038】
シフト用歯車32eは、軸部4の支持軸43と嵌合する嵌合部材35にネジ止めされている。これにより、シフト用歯車32eは、嵌合部材35とともに回転自在にブッシュ35bでベース材34に支持される。
【0039】
これらのモータ回転軸歯車32b、第1アイドラ軸歯車32c、第2アイドラ軸歯車32dおよびシフト用歯車32eは、ギアキャップ32gで上方を覆われた状態でベース材34の内部に閉じ込められている。ギアキャップ32gは、ベース材34の上部にネジ止めされている。
【0040】
モータ回転軸歯車32bは、第1アイドラ軸歯車32cよりも歯数が少ない。第2アイドラ軸歯車32dは、シフト用歯車32eよりも歯数が少ない。より具体的には、最も歯数が多いシフト用歯車32eから、第1アイドラ軸歯車32c、第2アイドラ軸歯車32d、モータ回転軸歯車32bの順に歯数が少なくなっている。
【0041】
これにより、モータ回転軸歯車32bと第1アイドラ軸歯車32cの噛合で、第1アイドラ軸歯車32cが回転軸31aの回転速度よりも減速されてアイドラ軸32aに対して回転する。この時、第2アイドラ軸歯車32dが第1アイドラ軸歯車32cと同一速度でアイドラ軸32aに対して回転するから、第2アイドラ軸歯車32dとシフト用歯車32eの噛合で、シフト用歯車32eが第2アイドラ軸歯車32dの回転速度よりも減速されて回転する。そして、シフト用歯車32eが回転することで、シフト用歯車32eと同一速度で支持軸43、さらには支持軸43と連結されたネジ軸41が回転する。
【0042】
このような歯車機構32により、電動モータ31の回転軸31aの回転動力を、簡易な平歯車で効率よく減速して軸部4の支持軸43およびネジ軸41に伝達することができる。支持軸43およびネジ軸41を回転軸31aの回転速度よりも減速して回転させることで、トルクが増大してプロペラシャフト18のギア切替(シフト)を電動で行うことが可能となる。また、回転軸31aの回転速度を2段階で減速しているため、各歯車32b,32c,32d,32eの径寸法を小さくし、歯車機構32をコンパクトにできる。
【0043】
軸部4(支持軸43およびネジ軸41)の回転状態は、センサ33により検知される。
【0044】
センサ33は、軸部4の支持軸43と連動回転する被検知部33aと、被検知部33aの回転位置により支持軸43の回転状態を検知する素子部33bと、素子部33bを制御する制御部33cとを備えている。被検知部33aは、略円板状の磁石であり、平板体の上面がN極とS極が周方向へ交互に並ぶ磁極面となっている。被検知部33aは、後述する被検知部歯車32oに配置され、被検知部歯車32oと一体に回転する。素子部33bは、被検知部33aの磁極面と対向するように制御板33cに配置され、被検知部33aの回転に伴う磁極面による磁界の変化を検知する。制御板33cは、平板状に形成され、センサケース33dの上部側にネジ止めされている。センサケース33dは、下部側でギアキャップ32gを覆うように、ギアキャップ32gの上部にネジ止めされている。
【0045】
センサ33の被検知部33aは、歯車機構32により支持軸43と連動回転する。
図7は、被検知部33aを支持軸43と連動回転させる複数の平歯車からなる歯車機構32を示す概略図である。
【0046】
図5および
図7に示すように、支持軸43には、嵌合部材35を介してセンサ用歯車32hが支持されている。センサ用歯車32hは、シフト用歯車32eとの間に挟まれる中間層と軸方向に連接し、センサ用歯車32hを上側、シフト用歯車32eを下側にして配置されている。センサ用歯車32hとシフト用歯車32eは、中間層を挟んで上下3段に構成され、中間層に装着したブッシュ(滑り軸受)32iによって回転自在にギアキャップ32gに支持されている。
【0047】
センサ用歯車32hは、第1中継歯車32jと噛合している。第1中継歯車32jは、被検知部33aを回転させる同心の第2中継歯車32kと軸方向に連接している。第1中継歯車32jと第2中継歯車32kは、上下2段に構成され、第1中継歯車32jを下側、第2中継歯車32kを上側にして配置されている。
【0048】
第1中継歯車32jには、軸心と同心の穴部32lが下部に形成され、第2中継歯車32kには、軸心と同心のボス32mが上部に設けられている。ギアキャップ32gには、上部へ突出し、穴部32lへ挿入可能なボス32nが設けられ、センサケース33dには、ボス32mを挿入可能な穴部33eが形成されている。ボス32nは穴部32lよりも、ボス32mは穴部33eよりもそれぞれ若干大きな直径で形成されている。これにより、穴部32lへボス32nを挿入するとともに、穴部33eへボス32mを挿入することで、第1中継歯車32jおよび第2中継歯車32kを軸心周りに同期して回転させられるようになっている。
【0049】
第2中継歯車32kは、被検知部歯車32oと噛合している。被検知部歯車32oは、被検知部33aよりも大径の円板状に形成されており、平板体の上部に軸心を取り囲む環状の突起32pが設けられている。突起32pの内側には被検知部33aが配置されており、被検知部歯車32oと一体に回転する。
【0050】
被検知部歯車32oの下部には、軸心と同心の穴部32qが形成されている。ギアキャップ32gには、上部へ突出し、穴部32qへ挿入可能なボス32rが設けられている。ボス32rは穴部32qよりも若干大きな直径で形成されており、穴部32qへボス32rを挿入することで被検知部歯車32oおよび被検知部33aを軸心周りに回転させられるようになっている。
【0051】
センサ用歯車32hは、第1中継歯車32jよりも歯数が少ない。第2中継歯車32kは、被検知部歯車32oよりも歯数が少ない。より具体的には、最も歯数が多い被検知部歯車32oから、第1中継歯車32j、第2中継歯車32k、センサ用歯車32hの順に歯数が少なくなっている。
【0052】
これにより、センサ用歯車32hと第1中継歯車32jの噛合で、第1中継歯車32jが支持軸43の回転速度よりも減速されて回転する。この時、第2中継歯車32kが第1中継歯車32jと同一速度で回転するから、第2中継歯車32kと被検知部歯車32oの噛合で、被検知部歯車32oが第2中継歯車32kの回転速度よりも減速されて回転する。
【0053】
このような歯車機構32により、簡易な平歯車を用いて支持軸43の回転動力を、被検知部歯車32oおよび被検知部33aに効率よく減速して、つまり回転軸31aの回転速度よりも大幅に減速して伝達することができる。被検知部33aを極低速で回転(電動モータ31の1回の作動で略1回転程度)させることで、被検知部33aの回転位置を素子部33bで精度よくかつ確実に検知することが可能となる。また、支持軸43の回転速度を2段階で減速しているため、各歯車32h,32j,32k、32oの径寸法を小さくし、歯車機構32をコンパクトにできる。
【0054】
なお、
図3および
図4に示すように、電動モータ31およびセンサ33は、コネクタ61,62を介してケーブル(一例として、キャブタイヤケーブル)6のリード線6aと接続されて個別に給電されている。ケーブル6は、本体部3の上蓋に相当するキャブタイヤケース36の開口部36aからシフトアクチュエータ2の外部へ引き出され、所定の電源装置(バッテリ等)に接続されている。開口部36aは、キャブタイヤケース36の上部に隆起して形成されている。
【0055】
キャブタイヤケース36は、下部に設けられたフランジ36bとベース材34の上部との間にOリング34cを介在させてベース材34にネジ止めされている。Oリング34cは、ベース材34の上部に形成された溝34dに嵌め込まれている。これにより、キャブタイヤケース36とベース材34との組み付け部分における防水が図られている。
【0056】
キャブタイヤケース36の開口部36aには、樹脂製のケーブルグロメット63が装着されている。ケーブルグロメット63には、ケーブル6のリード線6aの径と略同寸の孔径を持つ複数の孔部が形成され、各孔部にリード線6aが1本ずつ挿通されている。ケーブルグロメット63は、ケーブルグランド64で外周部が保持されている。ケーブルグランド64は、一端側にフランジ64aを有し、フランジ64aを開口部36aの端面に接触させるように開口部36aに嵌め込まれている。
【0057】
ケーブルグランド64の外周部と開口部36aの内周部の間には、Oリング65が介在されている。これらのケーブルグランド64およびOリング65により、キャブタイヤケース36の開口部36aからケーブル6が引き出される部分の防水が図られている。なお、ケーブルグランド64の外側で、ケーブル6周りを所定範囲に亘ってエポキシ樹脂などでコーキングしてもよい。これにより、ケーブル6の引き出し部分の防水性をさらに高めることができる。
【0058】
図1に示すように、シフトアクチュエータ2は、船室からのリモート操作を受けたエンジンユニット11の電子制御ユニット(ECU)110により制御されて作動する。以下、作動されたシフトアクチュエータ2の作用について説明する。
【0059】
シフトアクチュエータ2が作動すると、電動モータ31の回転軸31aが回転し、これに連動して支持軸43およびネジ軸41が回転する。例えば、回転軸31aを時計回りに回転させると、これと連動して支持軸43およびネジ軸41も時計回りに回転し、回転するネジ軸41に沿って可動ナット42が上方へ移動する。これに対し、回転軸31aを反時計回りに回転させると、これと連動して支持軸43およびネジ軸41も反時計回りに回転し、回転するネジ軸41に沿って可動ナット42が下方へ移動する。
【0060】
可動ナット42には、プロペラシャフト18のギアを切り替えるシフト部材80が連結されているため、可動ナット42を上下動させることで、プロペラシャフト18のギア切替を行うことができる。例えば、上下方向の所定位置(ニュートラル位置)を境として、可動ナット42が上方へ移動した場合、可動ナット42と連動して上方へ移動したシフト部材80で、プロペラシャフト18に前進側ギア(図示省略)を繋ぐ。これに対し、可動ナット42が下方へ移動した場合、可動ナット42と連動して下方へ移動したシフト部材80で、プロペラシャフト18に後進側ギア(図示省略)を繋ぐ。可動ナット42がニュートラル位置にある場合には、前進側ギアおよび後進側ギアのいずれもプロペラシャフト18とは繋がず、切断する。
【0061】
シフト部材80がニュートラル、前進側および後進側のいずれに位置しているのかは、シフト部材80と同期して回転する被検知部33aの回転状態に基づいてセンサ33で検知される。
【0062】
プロペラシャフト18に前進側ギアもしくは後進側ギアを繋ぐ際には、シフト部材80でドグクラッチ(図示省略)を適宜切り替えてドライブシャフト16を前進側ギアもしくは後進側ギアを介してプロペラシャフト18と連結させればよい。前進側ギアもしくは後進側ギアを介してドライブシャフト16とプロペラシャフト18が連結されると、ドライブシャフト16の動力が前進推力もしくは後進推力としてプロペラシャフト18に伝達される。このようにシフトアクチュエータ2でプロペラシャフト18のギア切替(シフト)を行うことで、プロペラ19の回転方向が変化して船体を前進もしくは後進させることができる。
【0063】
本実施形態では、可動ナット42と連結されたシフト部材80の移動範囲を上下方向の狭い範囲に限定することができるから、上下方向および前後方向(プロペラシャフト18の軸方向)へのシフトアクチュエータ2の可動域が小さくて済む。これにより、シフトアクチュエータ2のコンパクト化を図ることができる。
【0064】
このようにコンパクト化を図ったシフトアクチュエータ2では、電動モータ31をシフト部材80と近接して配置できるため、電動モータ31のシフト部材80への動力伝達時のロスを低減することができる。これにより、電動モータ31でシフト時の応答性の向上を図りつつ、モータ動力の伝達効率や伝達精度の向上を図ることができる。また、モータ動力伝達時のロスが少ないので、例えば電動モータを船外機のエンジンユニットやミドルユニットに配置した場合などと比べて、電動モータの消費電力も抑制することができる。
【0065】
加えて、センサ33をシフト部材80と近接して配置できるため、センサ33によるシフト部材80の位置検知の精度の向上を図ることができる。
【0066】
以上、本発明について
図1から
図7に示すような1つの実施形態に基づいて説明したが、上述した実施形態は本発明の一例に過ぎないものであり、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、本発明の要旨の範囲で変形又は変更された形態で本発明を実施可能であることは、当業者には明白なことであり、そのような変形又は変更された形態が本願の特許請求の範囲に属することは当然のことである。