特許第6551912号(P6551912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6551912
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】型枠板固定器具
(51)【国際特許分類】
   E04G 13/02 20060101AFI20190722BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   E04G13/02 B
   E04G23/02 D
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-241933(P2016-241933)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-25084(P2018-25084A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2018年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2016-134730(P2016-134730)
(32)【優先日】2016年7月7日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第12回内見会 株式会社テクト/株式会社丸高工業 平成28年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】510118101
【氏名又は名称】株式会社丸高工業
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】高木 一昌
(72)【発明者】
【氏名】高木 栄造
(72)【発明者】
【氏名】小野 良寛
(72)【発明者】
【氏名】石川 賢治
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−150225(JP,U)
【文献】 特開2011−252354(JP,A)
【文献】 特開平07−001425(JP,A)
【文献】 実開昭57−110243(JP,U)
【文献】 米国特許第04630797(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 13/02
E04G 23/02
E04G 17/14
E04G 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の施行に使用される型枠板を鋼材に着脱可能に固定する型枠板固定器具において、
前記型枠板固定器具が、横方向へ離間対向して縦方向へ延びていて力点部と該力点部につながる支点部と該支点部につながる作用固定部とを有する第1および第2旋回固定アームと、前記第1および第2旋回固定アームの力点部に位置して横方向へ延びる螺着部材と、前記第1および第2旋回固定アームの支点部に位置して横方向へ延びる支持部材とから形成され、前記第1旋回固定アームの支点部が、前記支持部材の横方向一端部に第1回転軸を介して回転可能に連結され、前記第2旋回固定アームの支点部が、前記支持部材の横方向他端部に第2回転軸を介して回転可能に連結され、
前記型枠板固定器具では、前記螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転すると、前記第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向外方へ移動し、それによって前記第1および第2旋回固定アームが支点部を中心に旋回しつつ該第1および第2旋回固定アームの作用固定部が横方向内方へ移動し、前記螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方に回転すると、前記第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方へ移動し、それによって前記第1および第2旋回固定アームが支点部を中心に旋回しつつ該第1および第2旋回固定アームの作用固定部が横方向外方へ移動し、
前記螺着部材が、前記第1旋回固定アームの側に位置する横方向一端部と、前記第2旋回固定アームの側に位置する横方向他端部とを有し、前記螺着部材の横方向一端部と横方向他端部とのいずれか一方を螺着する螺子部材が、前記第1旋回固定アームと前記第2旋回固定アームとのいずれか一方の力点部に設置され、前記型枠板固定器具では、前記螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転すると、該螺着部材が前記螺子部材から横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動しつつ前記第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動し、
前記第1旋回固定アームと前記第2旋回固定アームとのいずれか一方の旋回を停止させるストッパーが、前記螺着部材の横方向一端部と横方向他端部とのいずれか一方に設置され、前記型枠板固定器具では、前記ストッパーが前記第1旋回固定アームと前記第2旋回固定アームとのいずれかに当接した時点でそれらアームの旋回が停止し、該ストッパーによってそれらアームの旋回が停止した時点で、それらアームの作用固定部が支点部の横方向外方に位置することを特徴とする型枠板固定器具。
【請求項2】
前記螺着部材が、前記第1旋回固定アームの側に位置して正螺子が形成された横方向一端部と、前記第2旋回固定アームの側に位置して逆螺子が形成されて横方向他端部とを有し、前記螺着部材の横方向一端部の正螺子を螺着する第1螺子部材が、前記第1旋回固定アームの力点部に設置され、前記螺着部材の横方向他端部の逆螺子を螺着する第2螺子部材が、前記第2旋回固定アームの力点部に設置され、前記型枠板固定器具では、前記螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転すると、該螺着部材が前記第1および第2螺子部材から横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動しつつ前記第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動する請求項1に記載の型枠板固定器具。
【請求項3】
前記第1および第2旋回固定アームが、前記縦方向へ並ぶ複数の支点部を有し、前記型枠板固定器具では、それら支点部から所定のそれを選択することで、前記支点部から前記作用固定部までの寸法の長短を変更可能である請求項1または請求項に記載の型枠板固定器具。
【請求項4】
前記型枠板固定器具では、前記第1旋回固定アームの作用固定部を前記鋼材の一方のフランジの外面側に位置させて前記型枠板を該第1旋回固定アームの作用固定部と該鋼材の一方のフランジの外面との間に配置するとともに、前記第2旋回固定アームの作用固定部を前記鋼材の他方のフランジの外面側に位置させて前記型枠板を該第2旋回固定アームの作用固定部と該鋼材の他方のフランジの外面との間に配置した後、前記螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させて前記第1および第2旋回固定アームの力点部を横方向外方へ移動させることで、前記第1旋回固定アームの作用固定部が前記型枠板に密着しつつ該型枠板が該第1旋回固定アームの作用固定部と前記鋼材の一方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定され、前記第2旋回固定アームの作用固定部が前記型枠板に密着しつつ該型枠板が該第2旋回固定アームの作用固定部と前記鋼材の他方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定される請求項1ないし請求項いずれかに記載の型枠板固定器具。
【請求項5】
前記鋼材が、H形鋼であり、前記型枠板固定器具では、前記第1旋回固定アームの作用固定部を前記H形鋼の一方のフランジの外面側に位置させて前記型枠板を該第1旋回固定アームの作用固定部と該H形鋼の一方のフランジの外面との間に配置するとともに、前記第2旋回固定アームの作用固定部を前記H形鋼の他方のフランジの外面側に位置させて前記型枠板を該第2旋回固定アームの作用固定部と該H形鋼の他方のフランジの外面との間に配置した後、前記螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させて前記第1および第2旋回固定アームの力点部どうしを横方向外方へ移動させることで、前記第1旋回固定アームの作用固定部が前記型枠板に密着しつつ該型枠板が該第1旋回固定アームの作用固定部と前記H形鋼の一方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定され、前記第2旋回固定アームの作用固定部が前記型枠板に密着しつつ該型枠板が該第2旋回固定アームの作用固定部と前記H形鋼の他方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定される請求項に記載の型枠板固定器具。
【請求項6】
前記支持部材が、その中央に形成されて前記H形鋼のそれらフランジが収まる凹部を有し、前記H形鋼のそれらフランジが、横方向へ離間対向して縦方向へ延びる前記凹部の内側縁に当接する請求項に記載の型枠板固定器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の施行に使用される型枠板を形鋼に着脱可能に固定する型枠板固定器具に関する。
【背景技術】
【0002】
既設の建物(コンクリート構造物)の柱や梁の前に耐震補強に使用するH形鋼を所定寸法離間させて配置し、H形鋼のフランジに型枠を着脱可能に固定した後、H形鋼とコンクリート構造物と型枠との間の空間にモルタルやコンクリート等のセメント硬化物を充填し、H形鋼とコンクリート構造物とを一体化する耐震補強方法がある。
【0003】
耐震補強方法において使用する耐震補強用型枠支持金具が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の耐震補強用型枠支持金具は、主固定ボルトおよび副固定ボルトと、主固定ボルトおよび副固定ボルトによって耐震補強用のH形鋼の下フランジをその上面側から押えるフランジ押え部材と、H形鋼の下フランジの下面に接触した状態で設置される堰板をバタ材を介して支持する型枠支持材と、フランジ押え部材および型枠支持材の基部側をそれぞれ連結する連結部材と、型枠支持材に高さ調整可能に取り付けられ、高さを調整してH形鋼の下フランジの下面に当接することによってH形鋼をその下フランジの下面側から支持する高さ調整ボルトとから形成されている。この耐震補強用型枠支持金具は、連結部材を介したフランジ押え部材と型枠支持材との間に、H形鋼の下フランジと堰板とバタ材とが配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−122227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示の耐震補強用型枠支持金具を利用してH形鋼に堰板を固定するには、型枠支持材に設置された高さ調整ボルトを回転させ、堰板とバタ材との厚みを確保しつつ、高さ調整ボルトの上面がH形鋼の下フランジの下面に当接するように高さを調節する。次に、主固定ボルトおよび副固定ボルトを回転させ、それらボルトによってH形鋼の下フランジをその上面側から締め付け、バタ材の介在下に型枠支持材によって堰板をH形鋼の下フランジに固定する。この耐震補強用型枠支持金具は、高さ調整ボルトを回転させて高さを調節する手順と、型枠支持材と堰板との間にバタ材の介在させる手順と、主固定ボルトや副固定ボルトを回転させて型枠支持材によって堰板をH形鋼の下フランジに固定する手順とが必要となり、H形鋼に対する堰板の固定に手間と時間とを要し、堰板をH形鋼に手間を要せず短時間に効率よく固定することができない。また、主固定ボルトよりも副固定ボルトを多く回転させると、型枠支持材がH形鋼の下フランジに対して傾斜するから、型枠支持材によって堰板をH形鋼の下フランジに強固に固定するには主固定ボルトおよび副固定ボルトによるH形鋼の下フランジの締め付け具合を最適に調整する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、型枠板を形鋼に手間を要せず短時間に効率よく固定することができ、型枠板を形鋼に強固に固定することができる型枠板固定器具を提供することにある。本発明の他の目的は、ボルトの締め付け具合を調整することなく型枠板を形鋼に容易に固定することができる型枠板固定器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、コンクリート構造物の施行に使用される型枠板を鋼材に着脱可能に固定する型枠板固定器具である。
【0008】
前記前提における本発明の特徴は、型枠板固定器具が、横方向へ離間対向して縦方向へ延びていて力点部と力点部につながる支点部と支点部につながる作用固定部とを有する第1および第2旋回固定アームと、第1および第2旋回固定アームの力点部に位置して横方向へ延びる螺着部材と、第1および第2旋回固定アームの支点部に位置して横方向へ延びる支持部材とから形成され、第1旋回固定アームの支点部が支持部材の横方向一端部に第1回転軸を介して回転可能に連結され、第2旋回固定アームの支点部が支持部材の横方向他端部に第2回転軸を介して回転可能に連結され、型枠板固定器具では、螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転すると、第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向外方へ移動し、それによって第1および第2旋回固定アームが支点部を中心に旋回しつつ第1および第2旋回固定アームの作用固定部が横方向内方へ移動し、螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方に回転すると、第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方へ移動し、それによって第1および第2旋回固定アームが支点部を中心に旋回しつつ第1および第2旋回固定アームの作用固定部が横方向外方へ移動することにある。
【0009】
本発明の一例としては、螺着部材が第1旋回固定アームの側に位置する横方向一端部と第2旋回固定アームの側に位置する横方向他端部とを有し、螺着部材の横方向一端部と横方向他端部とのいずれか一方を螺着する螺子部材が第1旋回固定アームと第2旋回固定アームとのいずれか一方の力点部に設置され、型枠板固定器具では、螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転すると、螺着部材が螺子部材から横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動しつつ第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動する。
【0010】
本発明の他の一例としては、第1旋回固定アームと第2旋回固定アームとのいずれか一方の旋回を停止させるストッパーが螺着部材の横方向一端部と横方向他端部とのいずれか一方に設置され、型枠板固定器具では、ストッパーが第1旋回固定アームと第2旋回固定アームとのいずれかに当接した時点でそれらアームの旋回が停止し、ストッパーによってそれらアームの旋回が停止した時点で、それらアームの作用固定部が支点部の横方向外方に位置する。
【0011】
本発明の他の一例としては、螺着部材が第1旋回固定アームの側に位置して正螺子が形成された横方向一端部と第2旋回固定アームの側に位置して逆螺子が形成されて横方向他端部とを有し、螺着部材の横方向一端部の正螺子を螺着する第1螺子部材が第1旋回固定アームの力点部に設置され、螺着部材の横方向他端部の逆螺子を螺着する第2螺子部材が第2旋回固定アームの力点部に設置され、型枠板固定器具では、螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転すると、螺着部材が第1および第2螺子部材から横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動しつつ第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動する。
【0012】
本発明の他の一例としては、第1および第2旋回固定アームが縦方向へ並ぶ複数の支点部を有し、型枠板固定器具では、それら支点部から所定のそれを選択することで、作用固定部に作用する力を調節可能であり、支点部から作用固定部までの寸法を変更可能である。
【0013】
本発明の他の一例として、型枠板固定器具では、第1旋回固定アームの作用固定部を鋼材の一方のフランジの外面側に位置させて型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部と鋼材の一方のフランジの外面との間に配置するとともに、第2旋回固定アームの作用固定部を鋼材の他方のフランジの外面側に位置させて型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部と鋼材の他方のフランジの外面との間に配置した後、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させて第1および第2旋回固定アームの力点部を横方向外方へ移動させることで、第1旋回固定アームの作用固定部が型枠板に密着しつつ型枠板が第1旋回固定アームの作用固定部と鋼材の一方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定され、第2旋回固定アームの作用固定部が型枠板に密着しつつ型枠板が第2旋回固定アームの作用固定部と鋼材の他方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定される。
【0014】
本発明の他の一例としては、鋼材がH形鋼であり、型枠板固定器具では、第1旋回固定アームの作用固定部をH形鋼の一方のフランジの外面側に位置させて型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の一方のフランジの外面との間に配置するとともに、第2旋回固定アームの作用固定部をH形鋼の他方のフランジの外面側に位置させて型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の他方のフランジの外面との間に配置した後、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させて第1および第2旋回固定アームの力点部どうしを横方向外方へ移動させることで、第1旋回固定アームの作用固定部が型枠板に密着しつつ型枠板が第1旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の一方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定され、第2旋回固定アームの作用固定部が型枠板に密着しつつ型枠板が第2旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の他方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定される。
【0015】
本発明の他の一例としては、支持部材がその中央に形成されてH形鋼のそれらフランジが収まる凹部を有し、H形鋼のそれらフランジが横方向へ離間対向して縦方向へ延びる凹部の内側縁に当接する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る型枠板固定器具によれば、螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転すると、第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向外方へ移動し、それによって第1および第2旋回固定アームが支点部を中心に旋回しつつ第1および第2旋回固定アームの作用固定部が横方向内方へ移動するから、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させるだけで、型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部と鋼材の一方のフランジの外面との間に固定することができるとともに、型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部と鋼材の他方のフランジの外面との間に固定することができ、型枠板を鋼材に手間を要せず短時間に効率よく固定することができる。型枠板固定器具は、第1および第2旋回固定アームの作用固定部によって型枠板を鋼材のフランジに強固に固定することができ、ボルトの締め付け具合を調整することなく型枠板を鋼材に容易に固定することができる。型枠板固定器具は、螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方に回転すると、第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方へ移動し、それによって第1および第2旋回固定アームが支点部を中心に旋回しつつ第1および第2旋回固定アームの作用固定部が横方向外方へ移動するから、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方に回転させるだけで、鋼材のフランジに対する型枠板の固定を容易に解除することができ、フランジから型枠板を容易に取り外すことができる。
【0017】
螺着部材が第1旋回固定アームの側に位置する横方向一端部と第2旋回固定アームの側に位置する横方向他端部とを有し、螺着部材の横方向一端部と横方向他端部とのいずれか一方を螺着する螺子部材が第1旋回固定アームと第2旋回固定アームとのいずれか一方の力点部に設置され、螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転すると、螺着部材が螺子部材から横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動しつつ第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動する型枠板固定器具は、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転させると、螺着部材が螺子部材から横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動しつつ第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動し、それによって第1および第2旋回固定アームが支点部を中心に旋回しつつ第1および第2旋回固定アームの作用固定部が横方向内方と横方向外方とのいずれかへ移動するから、型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部と鋼材の一方のフランジの外面との間に手間を要せず短時間に効率よく固定することができ、型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部と鋼材の他方のフランジの外面との間に手間を要せず短時間に効率よく固定することができるとともに、鋼材のフランジに対する型枠板の固定を容易に解除することができ、フランジから型枠板を手間を要せず短時間に効率よく取り外すことができる。
【0018】
第1旋回固定アームと第2旋回固定アームとのいずれか一方の旋回を停止させるストッパーが螺着部材の横方向一端部と横方向他端部とのいずれか一方に設置され、ストッパーが第1旋回固定アームと第2旋回固定アームとのいずれかに当接した時点でそれらアームの旋回が停止し、ストッパーによってそれらアームの旋回が停止した時点で、それらアームの作用固定部が支点部の横方向外方に位置する型枠板固定器具は、それを鋼材に設置するときに、第1旋回固定アームの作用固定部を鋼材の一方のフランジの外面に容易に位置させることができ、第2旋回固定アームの作用固定部を鋼材の他方のフランジの外面に容易に位置させることができ、それらアームを鋼材に手間を要せず短時間に効率よく設置することができる。
【0019】
螺着部材が第1旋回固定アームの側に位置して正螺子が形成された横方向一端部と第2旋回固定アームの側に位置して逆螺子が形成されて横方向他端部とを有し、螺着部材の横方向一端部の正螺子を螺着する第1螺子部材が第1旋回固定アームの力点部に設置され、螺着部材の横方向他端部の逆螺子を螺着する第2螺子部材が第2旋回固定アームの力点部に設置され、螺着部材が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転すると、螺着部材が第1および第2螺子部材から横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動しつつ第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動する型枠板固定器具は、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転させると、螺着部材が第1および第2螺子部材から横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動しつつ第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向内方と横方向外方とのいずれかに移動し、それによって第1および第2旋回固定アームが支点部を中心に旋回しつつ第1および第2旋回固定アームの作用固定部が横方向内方と横方向外方とのいずれかへ移動するから、型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部と鋼材の一方のフランジの外面との間に手間を要せず短時間に効率よく固定することができ、型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部と鋼材の他方のフランジの外面との間に手間を要せず短時間に効率よく固定することができるとともに、鋼材のフランジに対する型枠板の固定を容易に解除することができ、フランジから型枠板を手間を要せず短時間に効率よく取り外すことができる。
【0020】
第1および第2旋回固定アームが縦方向へ並ぶ複数の支点部を有し、それら支点部から所定のそれを選択することで、支点部から作用固定部までの寸法の長短を変更可能である型枠板固定器具は、型枠板固定器具を使用する鋼材はフランジどうしの離間寸法が小さくウェブからフランジの延出寸法が小さい小型タイプとフランジどうしの離間寸法が大きくウェブからフランジの延出寸法が大きい大型タイプとがあるが、それら支点部から所定のそれを選択することで、支点部から作用固定部までの寸法を長くしたり、短くしたりすることができるから、ウェブからフランジの延出寸法が小さい小型タイプの鋼材に取り付けることができるとともに、ウェブからフランジの延出寸法が大きい大型タイプの鋼材に取り付けることができる。型枠板固定器具は、1つのそれを小型タイプの鋼材と大型タイプの鋼材との両者に使用することができ、2種類のそれを用意する必要はなく、2種類の型枠板固定器具を用意する手間とコストとを省くことができる。
【0021】
型枠板固定器具は、第1旋回固定アームの作用固定部を鋼材の一方のフランジの外面側に位置させて型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部と鋼材の一方のフランジの外面との間に配置するとともに、第2旋回固定アームの作用固定部を鋼材の他方のフランジの外面側に位置させて型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部と鋼材の他方のフランジの外面との間に配置した後、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させて第1および第2旋回固定アームの力点部を横方向外方へ移動させることで、第1旋回固定アームの作用固定部が型枠板に密着しつつ型枠板が第1旋回固定アームの作用固定部と鋼材の一方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定され、第2旋回固定アームの作用固定部が型枠板に密着しつつ型枠板が第2旋回固定アームの作用固定部と鋼材の他方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定されるから、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させるだけで、型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部と鋼材の一方のフランジの外面との間に固定することができるとともに、型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部と鋼材の他方のフランジの外面との間に固定することができ、型枠板を鋼材に手間を要せず短時間に効率よく固定することができる。
【0022】
鋼材がH形鋼である型枠板固定器具は、第1旋回固定アームの作用固定部をH形鋼の一方のフランジの外面側に位置させて型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の一方のフランジの外面との間に配置するとともに、第2旋回固定アームの作用固定部をH形鋼の他方のフランジの外面側に位置させて型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の他方のフランジの外面との間に配置した後、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させて第1および第2旋回固定アームの力点部を横方向外方へ移動させることで、第1旋回固定アームの作用固定部が型枠板に密着しつつ型枠板が第1旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の一方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定され、第2旋回固定アームの作用固定部が型枠板に密着しつつ型枠板が第2旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の他方のフランジの外面とに挟まれた状態で固定されるから、螺着部材を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方に回転させるだけで、型枠板を第1旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の一方のフランジの外面との間に固定することができるとともに、型枠板を第2旋回固定アームの作用固定部とH形鋼の他方のフランジの外面との間に固定することができ、型枠板をH形鋼に手間を要せず短時間に効率よく固定することができる。
【0023】
支持部材がその中央に形成されてH形鋼のそれらフランジが収まる凹部を有し、H形鋼のそれらフランジが横方向へ離間対向して縦方向へ延びる凹部の内側縁に当接する型枠板固定器具は、支持部材の中央に形成された凹部にH形鋼のそれらフランジが収まり、凹部の内側縁にそれらフランジが当接することで、支持部材とH形鋼のそれらフランジとを互いに嵌合させた状態で固定することができるとともに、型枠板固定器具の第1および第2旋回固定アームや支持部材とH形鋼のそれらフランジとの間に大きな隙間が生じることはなく、H形鋼に型枠板を安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一例として示す型枠板固定器具の斜視図。
図2】型枠板固定器具の正面図。
図3】第1旋回固定アームの側から示す型枠板固定器具の側面図。
図4】第2旋回固定アームの側から示す型枠板固定器具の側面図。
図5】第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向外方へ移動した状態の型枠板固定器具の正面図。
図6】H形鋼に設置した状態で示す型枠板固定器具の斜視図。
図7】H形鋼に設置した状態で示す型枠板固定器具の正面図。
図8】他の一例として示す型枠板固定器具の正面図。
図9】第1旋回固定アームの側から示す型枠板固定器具の側面図。
図10】第2旋回固定アームの側から示す型枠板固定器具の側面図。
図11】第1および第2旋回固定アームの力点部が横方向外方へ移動した状態の型枠板固定器具の正面図。
図12】H形鋼に設置した状態で示す型枠板固定器具の斜視図。
図13】H形鋼に設置した状態で示す型枠板固定器具の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
一例として示す型枠板固定器具10Aの斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる型枠板固定器具の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、型枠板固定器具10Aの正面図であり、図3は、第1旋回固定アーム11の側から示す型枠板固定器具10Aの側面図である。図4は、第2旋回固定アーム12の側から示す型枠板固定器具10Aの側面図であり、図5は、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向外方へ移動した状態の型枠板固定器具10の正面図である。図1では、縦方向(上下方向)を矢印A、横方向の矢印Bで示し、前後方向を矢印Cで示す。
【0026】
型枠板固定器具10A(型枠板固定器具10Bを含む)は、その一例として、後記するH形鋼(鋼材)と既設の建物(コンクリート構造物)の柱や梁とを一体化する耐震補強の施工において利用され、H形鋼に対する型枠板の固定に使用される。なお、型枠板固定器具10A(型枠板固定器具10Bを含む)は、H形鋼のみならず、I形鋼やT形鋼、山形鋼、溝形鋼、Z形鋼に型枠板を固定する場合にも使用することができる。また、鋼材には、形鋼のみならず、各種の鉄骨ブレースや各種の増設フレーム等が含まれる。型枠板固定器具10Aは、第1旋回固定アーム11および第2旋回固定アーム12と、螺着ロッド13(螺着部材)および支持プレート14(支持部材)とから形成されている。
【0027】
第1旋回固定アーム11は、第2旋回固定アーム12に対して横方向へ所定寸法離間対向し、第2旋回固定アーム12に並行して縦方向へ延びている。第1旋回固定アーム11は、力点部15と、力点部15の縦方向下方に位置して力点部15につながる支点部16と、支点部16の縦方向下方に位置して支点部16につながる作用固定部17とを有する。力点部15は、第1旋回固定アーム11の上端域18に位置し、支点部16は、第1旋回固定アーム11の中間域19に位置している。作用固定部17は、第1旋回固定アーム11の下方域20に位置している。
【0028】
第1旋回固定アーム11は、図3に示すように、断面L字状の第1アーム部材21aと、第1アーム部材21aから後方へ離間対向する断面L字状の第2アーム部材21bとから形成されている。第1アーム部材21aと第2アーム部材21bとの間には、縦方向へ延びるスペース22が形成されている。第1アーム部材21aは、鋼材やアルミ、ステンレス等の金属から作られ、前後方向に張り出して縦方向へ延びる第1当接部分23aと、第1当接部分23aの側縁につながり、横方向に張り出して縦方向へ延びる第1補強部分23bとを有する。第1当接部分23aと第1補強部分23bとは、一体に成形されている。第2アーム部材21bは、鋼材やアルミ、ステンレス等の金属から作られ、前後方向に張り出して縦方向へ延びる第2当接部分24aと、第2当接部分24aの側縁につながり、横方向に張り出して縦方向へ延びる第2補強部分24bとを有する。第2当接部分24aと第2補強部分24bとは、一体に成形されている。
【0029】
スペース22には、第1アーム部材21aの第1補強部分23bと第2アーム部材21bの第2補強部分24bとを連結する複数の連結駒25が配置されている。それら連結駒25は、縦方向へ所定寸法離間して並び、力点部15と支点部16と作用固定部17とに配置され、第1補強部分23bと第2補強部分24bとに溶接固定されている。力点部15の位置におけるスペース22であって第2旋回固定アーム12に対向する第1旋回固定アーム11の内側には、ナット26(螺子部材)が溶接固定されている。支点部16における第1補強部分23bと第2補強部分24bとには、縦方向へ並ぶ回転軸第1挿通孔27と回転軸第2挿通孔28とが穿孔されている。回転軸第2挿通孔28は、回転軸第1挿通孔27の縦方向下方に作られている。
【0030】
第2旋回固定アーム12は、第1旋回固定アーム11に対して横方向へ所定寸法離間対向し、第1旋回固定アーム11に並行して縦方向へ延びている。第2旋回固定アーム12は、第1旋回固定アーム11と同形同大であり、その長さ寸法が第1旋回固定アーム11のそれと同一である。第2旋回固定アーム12は、力点部29と、力点部29の縦方向下方に位置して力点部29につながる支点部30と、支点部30の縦方向下方に位置して支点部30につながる作用固定部31とを有する。力点部29は、第2旋回固定アーム12の上端域32に位置し、支点部30は、第2旋回固定アーム12の中間域33に位置している。作用固定部31は、第2旋回固定アーム12の下方域34に位置している。
【0031】
第2旋回固定アーム12は、図4に示すように、断面L字状の第1アーム部材35aと、第1アーム部材35aから後方へ離間対向する断面L字状の第2アーム部材35bとから形成されている。第1アーム部材35aと第2アーム部材35bとの間には、縦方向へ延びるスペース36が形成されている。第1アーム部材35aは、鋼材やアルミ、ステンレス等の金属から作られ、前後方向に張り出して縦方向へ延びる第1当接部分37aと、第1当接部分37aの側縁につながり、横方向に張り出して縦方向へ延びる第1補強部分37bとを有する。第1当接部分35aと第1補強部分35bとは、一体に成形されている。第2アーム部材35bは、鋼材やアルミ、ステンレス等の金属から作られ、前後方向に張り出して縦方向へ延びる第2当接部分38aと、第2当接部分38aの側縁につながり、横方向に張り出して縦方向へ延びる第2補強部分38bとを有する。第2当接部分38aと第2補強部分38bとは、一体に成形されている。
【0032】
スペース36には、第1アーム部材35aの第1補強部分37bと第2アーム部材35bの第2補強部分38bとを連結する複数の連結駒39が配置されている。それら連結駒39は、縦方向へ所定寸法離間して並び、力点部29と支点部30と作用固定部31とに配置され、第1補強部分37bと第2補強部分38bとに溶接固定されている。力点部29の位置におけるスペース36には、連結駒39の間に開口する挿通孔40が形成されている。支点部30における第1補強部分37bと第2補強部分38bとには、縦方向へ並ぶ回転軸第1挿通孔41と回転軸第2挿通孔42とが穿孔されている。回転軸第2挿通孔42は、回転軸第1挿通孔41の縦方向下方に作られている。
【0033】
螺着ロッド13(螺着部材)は、第1旋回固定アーム11の力点部15と第2旋回固定アーム12の力点部29とに位置して横方向へ延びている。螺着ロッド13は、横方向へ長い棒材であり、鋼材やアルミ、ステンレス等の金属から作られている。螺着ロッド13は、第1旋回固定アーム11の側に位置する横方向一端部43と、第2旋回固定アーム12の側に位置する横方向他端部45と、それら端部43,45の間に位置する中間部44とを有する。螺着ロッド13は、その全体(横方向一端部43、中間部44、横方向他端部45)に螺子が形成されている。なお、螺子は、横方向一端部43と横方向他端部45とに形成されていればよい。
【0034】
螺着ロッド13の横方向一端部43は、第1旋回固定アーム11の力点部15のスペース22に挿通されているとともに、スペース22に連通するナット26に螺着されている。螺着ロッド13の横方向一端部43のうちの第1旋回固定アーム11の力点部15から横方向外方へ延出する部分には、電動ドリルのドリルビット(ソケットレンチ)に嵌入するレンチ46が形成されている。
【0035】
螺着ロッド13の横方向他端部45のうちの第2旋回固定アーム12の力点部29から横方向内方へ延出する部分には、ストッパー47(ナット)が溶接固定されている。螺着ロッド13の横方向他端部45のうちのストッパー47から横方向外方へ延出する部分は、第2旋回固定アーム12の力点部29に位置する挿通孔40に挿通されている。螺着ロッド13の横方向他端部45のうちの第2旋回固定アーム12の力点部29から横方向外方へ延出する部分には、抜け止めピン48が取り付けられている。螺着ロッド13の中間部44は、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29の間に位置して横方向へ直状に延びている。
【0036】
支持プレート14(支持部材)は、第1旋回固定アーム11の支点部16と第2旋回固定アーム12の支点部30との間に位置して横方向へ延びている。支持プレート14は、横方向へ長い板材であり、鋼材やアルミ、ステンレス等の金属から作られている。支持プレート14は、第1旋回固定アーム11の側に位置する横方向一端部49と、第2旋回固定アーム12の側に位置する横方向他端部51と、それら端部49,51の間に位置する中間部50とを有する。
【0037】
支持プレート14の中間部50には、縦方向上方へ凸となる凹部52が形成されている。凹部52は、横方向へ離間対向して縦方向へ延びる一対の内側縁53と、それら内側縁53の間で横方向へ延びる内端縁54とを有する。それら内側縁53は、内端縁54から縦方向下方に向かうにつれて互いの離間寸法が次第に大きくなるように、末広がりに傾斜している。したがって、それら内側縁53の横方向の離間寸法が内端縁54において小さく、内端縁54から縦方向下方に向かうにつれて次第に大きくなっている。支持プレート14の横方向一端部49には、回転軸第3挿通孔55が穿孔され、支持プレート14の横方向他端部51には、回転軸第4挿通孔56が穿孔されている。
【0038】
第1旋回固定アーム11の支点部16に穿孔された回転軸第2挿通孔28と支持プレート14の横方向一端部49に穿孔された回転軸第3挿通孔55とが一致し、回転軸第2挿通孔28と回転軸第3挿通孔55とに第1回転軸57(第1回転ボルト)が挿通され、第1旋回固定アーム11の支点部16が支持プレート14の横方向一端部49に第1回転軸57を介して回転(旋回)可能に連結されている。第1旋回固定アーム11の支点部16は、回転軸第2挿通孔28の位置になっている。
【0039】
第2旋回固定アーム12の支点部30に穿孔された回転軸第2挿通孔42と支持プレート14の横方向他端部51に穿孔された回転軸第4挿通孔56とが一致し、回転軸第2挿通孔42と回転軸第4挿通孔56とに第2回転軸58(第2回転ボルト)が挿通され、第2旋回固定アーム12の支点部30が支持プレート14の横方向他端部51に第2回転軸58を介して回転(旋回)可能に連結されている。第2旋回固定アーム12の支点部30は、回転軸第2挿通孔42の位置になっている。
【0040】
型枠板固定器具10Aでは、螺着ロッド13が時計回り方向に回転すると、第1旋回固定アーム11の力点部15のナット26(螺子部材)に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43がナット26から横方向外方へ次第に移動(延出)し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向外方(第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が互いに離間する方向)へ次第に移動する。それによって第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30(第1および第2回転軸57,58)を中心に旋回しつつ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向内方(第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が互いに接近する方向)へ次第に移動する。
【0041】
逆に螺着ロッド13が反時計回り方向に回転すると、第1旋回固定アーム11の力点部15のナット26に螺着された螺着ロッド14の横方向一端部43がナット26から横方向内方へ次第に移動(延出)し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向内方(第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が互いに接近する方向)へ次第に移動する。それによって第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30(第1および第2回転軸57,58)を中心に旋回しつつ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向外方(第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が互いに離間する方向)へ次第に移動する。
【0042】
図6は、H形鋼59aに設置した状態で示す型枠板固定器具10Aの斜視図である。図7は、H形鋼59aに設置した状態で示す型枠板固定器具10Aの正面図である。図6では、時計回り方向を矢印D1で示し、反時計回り方向を矢印D2で示す。型枠板固定器具10Aを使用してH形鋼59a(形鋼)に型枠板60a,60bを設置・固定する手順は、以下のとおりである。なお、H形鋼59aはフランジ61a,61bどうしの離間寸法が小さくウェブ62からのフランジ61a,61bの延出寸法が小さい小型タイプである。
【0043】
H形鋼59aに型枠板60a,60bを固定する場合、型枠板固定器具10Aは、図1に示すように、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向内方へ移動して力点部15,29が接近し、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向外方へ移動して作用固定部17,31が離間し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29の間の横方向の寸法が第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31の間の横方向の寸法よりも小さくなっている。
【0044】
H形鋼59aに設置する前の型枠板固定器具10Aでは、ストッパー47が第2旋回固定アーム12に当接し、それらアーム11,12のそれ以上の旋回が停止している。ストッパー47によってそれらアーム11,12の旋回が停止した時点で、第1および第2旋回固定アーム11,12がハの字を画き、それらアーム11,12の作用固定部17,31が支点部16,30や力点部17,31の横方向外方に位置している。
【0045】
最初に、第1旋回固定アーム11の作用固定部17をH形鋼59aの一方のフランジ61aの外面側に位置させ、一方の型枠板60aを第1旋回固定アーム11の作用固定部17とH形鋼59aの一方のフランジ61aの外面との間に配置し、第2旋回固定アーム12の作用固定部31をH形鋼59aの他方のフランジ61bの外面側に位置させ、他方の型枠板60bを第2旋回固定アーム12の作用固定部31とH形鋼59aの他方のフランジ61bの外面との間に配置する。
【0046】
支持プレート14の凹部52の内側縁53の間の寸法(内端縁53の横方向の寸法)がH形鋼59aのフランジ61a,61bの外面どうしの離間寸法と略同一であり、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31をH形鋼59aのフランジ61a,61bの外面に配置すると、H形鋼59aのフランジ61a,61bが型枠板固定器具10Aの支持プレート14の凹部52に嵌り込み、H形鋼59aのそれらフランジ61a,61bが凹部52の内側縁53に当接する。なお、H形鋼59aの精度が小さく、フランジ61a,61bの外面どうしの離間寸法にバラツキがある場合でも、支持プレート14の内側縁53が支持プレート14の内端縁54から縦方向下方に向かうにつれて互いの離間寸法が次第に大きくなるように、末広がりに傾斜し、それら内側縁53の横方向の離間寸法が内端縁54において小さく、内端縁54から縦方向下方に向かうにつれて次第に大きくなっているから、H形鋼59aのそれらフランジ61a,61bを支持プレート14の凹部52に確実に嵌め込むことができる。
【0047】
次に、螺着ロッド13の横方向一端部43に形成されたレンチ46に電動ドリル(図示せず)のドリルビットを嵌め込み、図6に矢印D1で示すように、電動ドリルを利用して螺着ロッド13を時計回り方向に回転させる。螺着ロッド13を時計回り方向に回転させると、第1旋回固定アーム11の力点部15に位置するナット26(螺子部材)に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43が横方向外方へ次第に移動し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向外方へ次第に移動する。
【0048】
第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29どうしを横方向外方へ移動させることで、第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30を中心に旋回しつつ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向内方へ次第に移動し、第1旋回固定アーム11の作用固定部17(第1および第2当接部分23a,24a)が一方の型枠板60aの外面に密着しつつ、その型枠板60aの内面がH形鋼59aの一方のフランジ61aの外面に密着し、一方の型枠板60aが第1旋回固定アーム11の作用固定部17(第1および第2当接部分23a,24a)とH形鋼59aの一方のフランジ61aの外面とに挟まれた状態で固定される。
【0049】
さらに、第2旋回固定アーム12の作用固定部31(第1および第2当接部分37a,38a)が他方の型枠板60bの外面に密着しつつ、その型枠板60bの内面がH形鋼59aの他方のフランジ61bの外面に密着し、他方の型枠板60bが第2旋回固定アーム12の作用固定部31(第1および第2当接部分37a,38a)とH形鋼59aの他方のフランジ61bの外面とに挟まれた状態で固定される。型枠板60a,60bがH形鋼59aに固定された場合、図5に示すように、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29の間の横方向の寸法が第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31の間の横方向の寸法よりも大きくなり、第2旋回固定アーム12の力点部31が螺着ロッド13の横方向他端部45に固定されたストッパー47から横方向外方に離間している。
【0050】
第1および第2旋回固定アーム11,12の支点部16,30がそれらアーム11,12に穿孔された回転軸第2挿通孔28,42の位置になり、支点部16,30から作用固定部17,31までの寸法が短くなっており、ウェブ62からのフランジ61a,61bの延出寸法が小さい小型タイプのH形鋼59aに取り付ける型枠板固定器具10Aにすることができる。ストッパー47によってそれらアーム11,12の旋回が停止した時点で、それらアーム11,12の作用固定部17,31が力点部15,29や支点部16,30の横方向外方に位置するから、型枠板固定器具10AをH形鋼59aに設置するときに、第1旋回固定アーム11の作用固定部17をH形鋼59aの一方のフランジ61aの外面に容易に位置させることができ、第2旋回固定アーム12の作用固定部31をH形鋼59aの他方のフランジ61bの外面に容易に位置させることができ、それらアーム11,12をH形鋼59aに手間を要せず短時間に効率よく設置することができる。
【0051】
支持プレート14(支持部材)の中央に形成された凹部52にH形鋼59aのそれらフランジ61a,61bが収まり、凹部52の内側縁53にそれらフランジ61a,61bが当接することで、支持プレート14とH形鋼59aのそれらフランジ61a,61bとを互いに嵌合させた状態で固定することができるとともに、型枠板固定器具10Aの第1および第2旋回固定アーム11,12や支持プレート14とH形鋼59aのそれらフランジ61a,61bとの間に大きな隙間が生じることはなく、H形鋼59aに型枠板60a,60bを安定して固定することができる。
【0052】
型枠板固定器具10Aを使用してH形鋼59aのフランジ61a,61bに型枠板60a,60bの固定した後、型枠板60a,60bの間の空間63にコンクリート(図示せず)を打設する。空間63に打設したコンクリートの養生期間が経過し、コンクリートが硬化した後、型枠板60a,60bをH形鋼59aから取り外す。型枠板60a,60bをH形鋼59aから取り外す手順の一例は、以下のとおりである。型枠板60a,60bがH形鋼59aに固定された図6,7の状態において、螺着ロッド13の横方向一端部43に形成されたレンチ46に電動ドリルのドリルビットを嵌め込み、電動ドリルを利用して螺着ロッド13を反時計回り方向に回転させる。螺着ロッド13を反時計回り方向に回転させると、第1旋回固定アーム11の力点部15に位置するナット19に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43が横方向内方へ次第に移動し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向内方へ次第に移動する。
【0053】
第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29どうしを横方向内方へ移動させることで、第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30を中心に旋回しつつ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向外方へ次第に移動し、第1旋回固定アーム11の作用固定部17が一方の型枠板60aの外面から離間する方向へ移動し、H形鋼59aの一方のフランジ61aの外面に対する一方の型枠板60aの内面の密着状態が解除され、一方の型枠板60aのフランジ61aに対する固定状態が解除される。
【0054】
さらに、第2旋回固定アーム12の作用固定部31が他方の型枠板60bの外面から離間する方向へ移動し、H形鋼59aの他方のフランジ61bの外面に対する他方の型枠板60bの内面の密着状態が解除され、他方の型枠板60bのフランジ61bに対する固定状態が解除される。それら型枠板60a,60bのフランジ61a,61bに対する固定状態が解除された後、それら型枠板60a,60bから型枠板固定器具10Aを取り外すとともに、コンクリート(フランジ61a,61b)からそれら型枠板60a,60bを取り外す。
【0055】
型枠板固定器具10Aは、螺着ロッド13(螺着部材)を時計回り方向に回転させ、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29を横方向外方へ移動させることで、第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30を中心に旋回しつつ第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向内方へ移動し、第1旋回固定アーム11の作用固定部17が型枠板60aに密着しつつ型枠板60aが第1旋回固定アーム11の作用固定部17とH形鋼59aの一方のフランジ61aの外面とに挟まれた状態で固定され、第2旋回固定アーム12の作用固定部31が型枠板60bに密着しつつ型枠板60bが第2旋回固定アーム12の作用固定部31とH形鋼59aの他方のフランジ61bの外面とに挟まれた状態で固定されるから、螺着ロッド13を時計回り方向に回転させるだけで、型枠板60aを第1旋回固定アーム12の作用固定部17とH形鋼59aの一方のフランジ61aの外面との間に固定することができるとともに、型枠板60bを第2旋回固定アーム12の作用固定部31とH形鋼59aの他方のフランジ61bの外面との間に固定することができる。型枠板固定器具10Aは、型枠板60a,60bをH形鋼59aに手間を要せず短時間に効率よく固定することができるとともに、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31によって型枠板60a,60bをH形鋼59aのフランジ61a,61bに強固に固定することができる。
【0056】
型枠板固定器具10Aは、螺着ロッド13を反時計回り方向に回転させ、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29を横方向内方へ移動させることで、第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30を中心に旋回しつつ第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向外方へ移動するから、螺着ロッド13を反時計回り方向に回転させるだけで、H形鋼59aのフランジ61a,61bに対する型枠板60a,60bの固定を容易に解除することができ、フランジ61a,61bから型枠板60a,60bを容易に取り外すことができる。
【0057】
型枠板固定器具10Aは、第1および第2アーム部材21a,21bの第1および第2当接部分23a,24aや第1および第2アーム部材35a,35bの第1および第2当接部分37a,38aに応力が作用したとしても、第1旋回固定アーム11を形成する第1および第2アーム部材21a,21bが第1および第2補強部分23b,24bを有し、第2旋回固定アーム12を形成する第1および第2アーム部材35a,35bが第1および第2補強部分37b,38bを有するから、それら補強部分23b,24b,37b,38bが第1および第2アーム部材21a,21b,35a,35bの強度を向上させ、第1および第2当接部分23a,24a,37a,38aの変形を防ぐことができ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31によって型枠板60a,60bをH形鋼59aのフランジ61a,61bに強固かつ確実にに固定することができる。
【0058】
図8は、他の一例として示す型枠板固定器具10Bの正面図であり、図9は、第1旋回固定アーム11の側から示す型枠板固定器具10Bの側面図である。図10は、第2旋回固定アーム12の側から示す型枠板固定器具10Bの側面図であり、図11は、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向外方へ移動した状態の型枠板固定器具10Bの正面図である。
【0059】
この型枠板固定器具10Bが図1のそれと異なるところは、支持プレート14(支持部材)の横方向の長さ寸法が大きい点、回転軸第1挿通孔27と回転軸第3挿通孔55とに第1回転軸57が挿通されている点、回転軸第1挿通孔41と回転軸第4挿通孔56とに第2回転軸58が挿通されている点にある。型枠板固定器具10Bのその他の構成は図1のそれと同一であるから、図1の型枠板固定器具10Aと同一の符号を付すとともに、図1の型枠板固定器具10Aの説明を援用することで、型枠板固定器具10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。型枠板固定器具10Bは、第1旋回固定アーム11および第2旋回固定アーム12と、螺着ロッド13(螺着部材)および支持プレート14(支持部材)とから形成されている。
【0060】
第1旋回固定アーム11は、図1の型枠板固定器具10Aのそれと同一であり、力点部15と、力点部15の縦方向下方に位置する支点部16と、支点部16の縦方向下方に位置する作用固定部17とを有する。力点部15の位置におけるスペース22であって第2旋回固定アーム12に対向する第1旋回固定アーム11の内側には、ナット26(螺子部材)が溶接固定されている。支点部16における第1アーム部材21aの第1補強部分23bと第2アーム部材21bの第2補強部分24bとには、縦方向へ並ぶ回転軸第1挿通孔27と回転軸第2挿通孔28とが穿孔されている。
【0061】
第2旋回固定アーム12は、図1の型枠板固定器具10Aのそれと同一であり、力点部29と、力点部29の縦方向下方に位置する支点部30と、支点部30の縦方向下方に位置する作用固定部31とを有する。力点部29の位置におけるスペース36には、連結駒39の間に開口する挿通孔40が形成されている。支点部30における第1アーム部材35aの第1補強部分37bと第2アーム部材35b第2補強部分38bとには、縦方向へ並ぶ回転軸第1挿通孔41と回転軸第2挿通孔42とが穿孔されている。
【0062】
螺着ロッド13(螺着部材)は、図1の型枠板固定器具10Aのそれと同一であり、第1旋回固定アーム11の力点部15と第2旋回固定アーム12の力点部29とに位置して横方向へ直状に延びている。螺着ロッド13は、横方向一端部43および横方向他端部45と、それら端部43,45の間に位置する中間部44とを有し、その全体に螺子が形成されている。
【0063】
螺着ロッド13の横方向一端部43は、第1旋回固定アーム11の力点部15のスペース22に挿通されているとともに、スペース22に連通するナット26に螺着されている。螺着ロッド13の横方向他端部45のうちの第2旋回固定アーム12の力点部29から横方向内方へ延出する部分には、ストッパー47(ナット)が溶接固定されている。螺着ロッド13の横方向他端部45のうちのストッパー47から横方向外方へ延出する部分は、第2旋回固定アーム12の力点部29に位置する挿通孔40に挿通されている。
【0064】
支持プレート14(支持部材)は、横方向の長さ寸法が図1の型枠板固定器具10Aのそれよりも長く、第1旋回固定アーム11の支点部16と第2旋回固定アーム12の支点部30との間に位置して横方向へ延びている。支持プレート14は、回転軸第3挿通孔55が穿孔された横方向一端部49および回転軸第4挿通孔56が穿孔された横方向他端部51と、それら端部49,51の間に位置する中間部50とを有する。支持プレート14の中間部50には、内側縁53および内端縁54を有して縦方向上方へ凸となる凹部52が形成されている。それら内側縁53は、内端縁54から縦方向下方に向かうにつれて互いの離間寸法が次第に大きくなるように、末広がりに傾斜している。したがって、それら内側縁53の横方向の離間寸法が内端縁54において小さく、内端縁54から縦方向下方に向かうにつれて次第に大きくなっている。
【0065】
第1旋回固定アーム11の支点部16に穿孔された回転軸第1挿通孔27と支持プレート14の横方向一端部49に穿孔された回転軸第3挿通孔55とが一致し、回転軸第1挿通孔27と回転軸第3挿通孔55とに第1回転軸57が挿通され、第1旋回固定アーム11の支点部16が支持プレート14の横方向一端部49に第1回転軸57を介して回転(旋回)可能に連結されている。第1旋回固定アーム11の支点部16は、回転軸第1挿通孔27の位置になっている。
【0066】
第2旋回固定アーム12の支点部30に穿孔された回転軸第1挿通孔41と支持プレート14の横方向他端部51に穿孔された回転軸第4挿通孔56とが一致し、回転軸第1挿通孔41と回転軸第4挿通孔56とに第2回転軸58が挿通され、第2旋回固定アーム12の支点部30が支持プレート14の横方向他端部51に第2回転軸58を介して回転(旋回)可能に連結されている。第2旋回固定アーム12の支点部30は、回転軸第1挿通孔41の位置になっている。
【0067】
図12は、H形鋼59bに設置した状態で示す型枠板固定器具10Bの斜視図であり、図13は、H形鋼59bに設置した状態で示す型枠板固定器具10Bの正面図である。図12では、時計回り方向を矢印D1で示し、反時計回り方向を矢印D2で示す。型枠板固定器具10Bを使用してH形鋼59b(形鋼)に型枠板60a,60bを設置・固定する手順は、以下のとおりである。なお、H形鋼59bは、H形鋼59aと比較し、フランジ61a,61bどうしの離間寸法が大きくウェブ62からのフランジ61a,61bの延出寸法が大きい大型タイプである。
【0068】
第1旋回固定アーム11の作用固定部17をH形鋼59bの一方のフランジ61aの外面側に位置させ、一方の型枠板60aを第1旋回固定アーム11の作用固定部17とH形鋼59bの一方のフランジ61aの外面との間に配置し、第2旋回固定アーム12の作用固定部31をH形鋼59bの他方のフランジ61bの外面側に位置させ、他方の型枠板60bを第2旋回固定アーム12の作用固定部31とH形鋼59bの他方のフランジ61bの外面との間に配置する。
【0069】
支持プレート14の凹部52の内側縁53の間の寸法がH形鋼59bのフランジ61a,61bの外面どうしの離間寸法と略同一であり、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31をH形鋼59bのフランジ61a,61bの外面に配置すると、H形鋼59bのフランジ61a,61bが支持プレート14の凹部52に嵌り込み、H形鋼59bのそれらフランジ61a,61bが凹部52の内側縁53に当接する。なお、H形鋼59bの精度が小さく、フランジ61a,61bの外面どうしの離間寸法にバラツキがある場合でも、支持プレート14の内側縁53が支持プレート14の内端縁54から縦方向下方に向かうにつれて互いの離間寸法が次第に大きくなるように、末広がりに傾斜し、それら内側縁53の横方向の離間寸法が内端縁54において小さく、内端縁54から縦方向下方に向かうにつれて次第に大きくなっているから、H形鋼59bのそれらフランジ61a,61bを支持プレート14の凹部52に確実に嵌め込むことができる。
【0070】
螺着ロッド13の横方向一端部43に形成されたレンチ46に電動ドリルのドリルビットを嵌め込み、図12に矢印D1で示すように、電動ドリルを利用して螺着ロッド13を時計回り方向に回転させる。螺着ロッド13を時計回り方向に回転させると、第1旋回固定アーム11の力点部15に位置するナット26に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43が横方向外方へ次第に移動し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向外方へ次第に移動する。
【0071】
第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29どうしを横方向外方へ移動させることで、第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30を中心に旋回しつつ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向内方へ次第に移動し、第1旋回固定アーム11の作用固定部17(第1および第2当接部分23a,24a)が一方の型枠板60aの外面に密着しつつ、その型枠板60aの内面がH形鋼59bの一方のフランジ61aの外面に密着し、一方の型枠板60aが第1旋回固定アーム11の作用固定部17(第1および第2当接部分23a,24a)とH形鋼59bの一方のフランジ61aの外面とに挟まれた状態で固定される。
【0072】
第2旋回固定アーム12の作用固定部31(第1および第2当接部分37a,38a)が他方の型枠板60bの外面に密着しつつ、その型枠板60bの内面がH形鋼59bの他方のフランジ61bの外面に密着し、他方の型枠板60bが第2旋回固定アーム12の作用固定部31(第1および第2当接部分37a,38a)とH形鋼59bの他方のフランジ61bの外面とに挟まれた状態で固定される。型枠板60a,60bがH形鋼59bに固定された場合、図11に示すように、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29の間の横方向の寸法が第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31の間の横方向の寸法よりも大きくなる。
【0073】
第1および第2旋回固定アーム11,12の支点部16,30がそれらアーム11,12に穿孔された回転軸第1挿通孔27,41の位置になり、支点部16,30から作用固定部17,31までの寸法が型枠板固定器具10Aのそれよりも長くなっており、ウェブ62からのフランジ61a,61bの延出寸法が大きい大型タイプのH形鋼59bに取り付ける型枠板固定器具10Bにすることができる。型枠板固定器具10Aと同様に、ストッパー47によってそれらアーム11,12の旋回が停止した時点で、それらアーム11,12の作用固定部17,31が力点部15,29や支点部16,30の横方向外方に位置するから、第1旋回固定アーム11の作用固定部17をH形鋼59bの一方のフランジ61aの外面に容易に位置させることができ、第2旋回固定アーム12の作用固定部31をH形鋼59bの他方のフランジ61bの外面に容易に位置させることができ、それらアーム11,12をH形鋼59bに手間を要せず短時間に効率よく設置することができる。
【0074】
支持プレート14の中央に形成された凹部52にH形鋼59bのそれらフランジ61a,61bが収まり、凹部52の内側縁53にそれらフランジ61a,61bが当接することで、支持プレート14とH形鋼59bのそれらフランジ61a,61bとを互いに嵌合させた状態で固定することができるとともに、第1および第2旋回固定アーム11,12や支持プレート14とH形鋼59bのそれらフランジ61a,61bとの間に大きな隙間が生じることはなく、H形鋼59bに型枠板60a,60bを安定して固定することができる。
【0075】
型枠板60a,60bの間の空間63に打設したコンクリートの養生期間が経過し、コンクリートが硬化した後、型枠板60a,60bをH形鋼59bから取り外す。型枠板60a,60bがH形鋼59bに固定された図12,13の状態において、電動ドリルを利用して螺着ロッド13を反時計回り方向に回転させる。螺着ロッド13を反時計回り方向に回転させると、第1旋回固定アーム11の力点部15に位置するナット19に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43が横方向内方へ次第に移動し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向内方へ次第に移動する。
【0076】
第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29どうしを横方向内方へ移動させることで、第1旋回固定アーム11の作用固定部17が一方の型枠板60aの外面から離間する方向へ移動し、一方の型枠板60aのH形鋼59bのフランジ61aに対する固定状態が解除される。第2旋回固定アーム12の作用固定部31が他方の型枠板60bの外面から離間する方向へ移動し、他方の型枠板60bのH形鋼59bのフランジ61bに対する固定状態が解除される。それら型枠板60a,60bのフランジ61a,61bに対する固定状態が解除された後、それら型枠板60a,60bから型枠板固定器具10Bを取り外すとともに、コンクリート(フランジ61a,61b)からそれら型枠板60a,60bを取り外す。
【0077】
型枠板固定器具10Bは、型枠板固定器具10Aと同様に、螺着ロッド13を時計回り方向に回転させるだけで、型枠板60aを第1旋回固定アーム12の作用固定部17とH形鋼59bの一方のフランジ61aの外面との間に固定することができ、型枠板60bを第2旋回固定アーム12の作用固定部31とH形鋼59bの他方のフランジ61bの外面との間に固定することができ、型枠板60a,60bをH形鋼59bに手間を要せず短時間に効率よく固定することができるとともに、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31によって型枠板60a,60bをH形鋼59bのフランジ61a,61bに強固に固定することができる。また、螺着ロッド13を反時計回り方向に回転させるだけで、H形鋼59bのフランジ61a,61bに対する型枠板60a,60bの固定を容易に解除することができ、フランジ61a,61bから型枠板60a,60bを容易に取り外すことができる。
【0078】
型枠板固定器具10Bは、第1および第2アーム部材21a,21bの第1および第2当接部分23a,24aや第1および第2アーム部材35a,35bの第1および第2当接部分37a,38aに応力が作用したとしても、第1および第2アーム部材21a,21bが第1および第2補強部分23b,24bを有し、第1および第2アーム部材35a,35bが第1および第2補強部分37b,38bを有するから、第1および第2当接部分23a,24a,37a,38aの変形を防ぐことができ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31によって型枠板60a,60bをH形鋼59bのフランジ61a,61bに強固に固定することができる。
【0079】
既述の型枠板固定器具10A,10Bでは、螺着ロッド13が時計回り方向に回転すると、第1旋回固定アーム11の力点部15のナット26(螺子部材)に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43がナット26から横方向外方へ次第に移動し、螺着ロッド13が反時計回り方向に回転すると、第1旋回固定アーム11の力点部15のナット26(螺子部材)に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43がナット26から横方向内方へ次第に移動する場合を説明したが、その他の例として以下の場合がある。
【0080】
螺着ロッド(螺着部材)では、第1旋回固定アームの側に位置する横方向一端部に正螺子(例えば右螺子)が形成され、第2旋回固定アームの側に位置する横方向他端部に逆螺子(例えば左螺子)が形成されている。力点部15の位置におけるスペース22であって第2旋回固定アーム12に対向する第1旋回固定アーム11の内側には、ナット26(第1螺子部材)が溶接固定されている。力点部29の位置におけるスペース36であって第1旋回固定アーム11に対向する第2旋回固定アーム12の内側には、ナット26(第2螺子部材)が溶接固定されている。螺着ロッド13の横方向一端部43の正螺子が第1旋回固定アーム11の内側に固定されたナット26(第1螺子部材)に螺着され、螺着ロッド13の横方向他端部45に逆螺子が第2旋回固定アーム12の内側に固定されたナット26(第2螺子部材)に螺着されている。
【0081】
正螺子と逆螺子とが形成された螺着ロッド13を有する型枠板固定器具10A,10Bでは、たとえば螺着ロッド13が時計回り方向に回転すると、第1旋回固定アーム11の力点部15のナット26(第1螺子部材)に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43がナット26から横方向外方へ次第に移動(延出)するとともに、第2旋回固定アーム12の力点部29のナット26(第2螺子部材)に螺着された螺着ロッド13の横方向他端部45がナット26から横方向外方へ次第に移動(延出)し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向外方(第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が互いに離間する方向)へ次第に移動する。それによって第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30(第1および第2回転軸57,58)を中心に旋回しつつ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向内方(第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が互いに接近する方向)へ次第に移動する。
【0082】
逆に螺着ロッド13が反時計回り方向に回転すると、第1旋回固定アーム11の力点部15のナット26(第1螺子部材)に螺着された螺着ロッド13の横方向一端部43がナット26から横方向内方へ次第に移動(延出)するとともに、第2旋回固定アーム12の力点部29のナット26(第2螺子部材)に螺着された螺着ロッド13の横方向他端部45がナット26から横方向内方へ次第に移動(延出)し、第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が横方向内方(第1および第2旋回固定アーム11,12の力点部15,29が互いに接近する方向)へ次第に移動する。それによって第1および第2旋回固定アーム11,12が支点部16,30(第1および第2回転軸57,58)を中心に旋回しつつ、第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が横方向外方(第1および第2旋回固定アーム11,12の作用固定部17,31が互いに離間する方向)へ次第に移動する。正螺子と逆螺子とが形成された螺着ロッド13を有する型枠板固定器具10A,10Bの効果は、図1図8に示す型枠板固定器具10A,10Bのそれと同一である。
【符号の説明】
【0083】
10A 型枠板固定器具具
10B 型枠板固定器具具
11 第1旋回固定アーム
12 第2旋回固定アーム
13 螺着ロッド(螺着部材)
14 支持プレート(支持部材)
15 力点部
16 支点部
17 作用固定部
18 上端域
19 中間域
20 下端域
21a 第1アーム部材
21b 第2アーム部材
22 スペース
23a 第1当接部分
23b 第1補強部分
24a 第2当接部分
24b 第2補強部分
25 連結駒
26 ナット(螺子部材)
27 回転軸第1挿通孔
28 回転軸第2挿通孔
29 力点部
30 支点部
31 作用固定部
32 上端域
33 中間域
34 下端域
35a 第1アーム部材
35b 第2アーム部材
36 スペース
37a 第1当接部分
37b 第1補強部分
38a 第2当接部分
38b 第2補強部分
39 連結駒
40 挿通孔
41 回転軸第1挿通孔
42 回転軸第2挿通孔
43 横方向一端部
44 中間部
45 横方向他端部
46 レンチ
47 ストッパー
48 抜け止めピン
49 横方向一端部
50 中間部
51 横方向他端部
52 凹部
53 内側縁
54 内端縁
55 回転軸第3挿通孔
56 回転軸第4挿通孔
57 第1回転軸
58 第2回転軸
59a H形鋼
59b H形鋼
60a 型枠板
60b 型枠板
61a フランジ
61b フランジ
62 ウェブ
63 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13